JPH10158481A - 不飽和ポリエステル樹脂および低収縮化剤 - Google Patents

不飽和ポリエステル樹脂および低収縮化剤

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JPH10158481A
JPH10158481A JP31821096A JP31821096A JPH10158481A JP H10158481 A JPH10158481 A JP H10158481A JP 31821096 A JP31821096 A JP 31821096A JP 31821096 A JP31821096 A JP 31821096A JP H10158481 A JPH10158481 A JP H10158481A
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JP
Japan
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polyester resin
unsaturated polyester
weight
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solvent
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Application number
JP31821096A
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English (en)
Inventor
Takahiko Terada
貴彦 寺田
Yoshikazu Yamagata
芳和 山縣
Hiroshi Onishi
宏 大西
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 廃棄時の分解処理が容易な不飽和ポリエステ
ル樹脂および低収縮化剤を提供することを目的とする。 【解決手段】 メタクリル酸2−ヒドロキシエチルおよ
びアクリル酸2−ヒドロキシエチルの少なくとも一方を
含む溶媒、および前記溶媒に溶解された不飽和アルキド
からなる不飽和ポリエステル樹脂。メタクリル酸2−ヒ
ドロキシエチルおよびアクリル酸2−ヒドロキシエチル
の少なくとも一方を含む溶媒、および前記溶媒に溶解さ
れた熱可塑性ポリエステルからなる低収縮化剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗料、化粧版、住
宅器材、船舶など工業的に幅広い用途で使用されている
ポリエステル樹脂およびFRPなどモールド材の原料と
して用いられる不飽和ポリエステル樹脂、および不飽和
ポリエステル樹脂の硬化時の収縮を防止する低収縮化剤
に関する。さらに、詳しくは、特に使用後の廃棄処理が
容易なポリエステル樹脂およびモールド材を構成する不
飽和ポリエステル樹脂、および低収縮化剤に関する。
【0002】
【従来の技術】不飽和アルキドと付加重合性モノマーを
骨格とする不飽和ポリエステル樹脂は、単独で用いられ
ることもあるが、多くは複合系材料として用いられ、生
産量の約80%は繊維強化プラスチック(FRP)とし
て使用される。無機質などの充填材、添加剤の配合、繊
維による強化が容易なことから、成形材料、積層板、接
着剤、塗料等に応用される。一方、これら樹脂は、硬化
反応により3次元化し、一般的には不溶不融の固体とな
るため、従来から分解処理は困難であり、再生処理、再
使用には適合し難いものであるとされ廃棄するしかなか
った。また、不飽和ポリエステル樹脂をバインダーに用
いたモールド材は、ガラス繊維、炭酸カルシウム、タル
クやシリカ等の無機材料やパルプ、木材等の有機系材料
を充填した成形材料である。このような充填により、比
強度、比剛性の大きい材料となるので、工業分野、民生
分野に様々な用途に応用されている。
【0003】しかし、モールド材は複合材料であるた
め、一般に使用後の再資源化処理が困難である。さら
に、バインダ−樹脂が不飽和ポリエステル樹脂であれ
ば、硬化反応により3次元化し、一般的には不溶不融の
固体となるため、従来から分解処理は困難であり、再生
処理、再利用には適合し難いものであるとして廃棄する
しかなかった。しかし、廃棄物問題が注目されるにつれ
て、再利用・再資源化技術開発が必要とされ、熱分解に
よる原料化などが検討され始めた。しかし、熱硬化性樹
脂、あるいはモールド材の有する硬さ、強度の大きさ、
耐熱性、難燃性、耐薬品性といった利点が、廃棄物処理
を技術的な面から困難なものにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】廃棄物問題はますます
深刻さを増し、廃棄された熱硬化性組成物、あるいはモ
ールド材成形品の減容化技術、再利用のための処理技術
などの開発が急がれる。特に、繊維強化された不飽和ポ
リエステル樹脂は、漁船、タンク、あるいは住宅機材な
ど大型製品の製造に多用されているため、廃棄物の分
解、再生処理が深刻である。また、不飽和ポリエステル
樹脂をバインダーとするモールド材の多くは、その強度
的な大きさなどから構造材として使われることが多く、
金属などその他の素材を包含している場合も多い。金属
などは、樹脂材料よりも高価な有価物であり、その再生
及び再利用の可能性を阻んでいるという点は、より大き
な問題となっている。つまりモールド材成形品に対して
従来の構成、処理方法では、廃棄物問題を解決できてい
ないのが現状である。
【0005】本発明は、この課題に対し、廃棄されたと
きの処理が容易な不飽和ポリエステル樹脂、およびモー
ルド材を構成する不飽和ポリエステル樹脂および低収縮
化剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の不飽和ポリエステル樹脂は、メタクリル酸
2−ヒドロキシエチルおよびアクリル酸2−ヒドロキシ
エチルの少なくとも一方を含む溶媒、および前記溶媒に
溶解された不飽和アルキドからなる。本発明の不飽和ポ
リエステル樹脂は、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
およびアクリル酸2−ヒドロキシエチルの少なくとも一
方とスチレンを含む溶媒、および前記溶媒に溶解された
不飽和アルキドからなる。
【0007】本発明の低収縮化剤は、メタクリル酸2−
ヒドロキシエチルおよびアクリル酸2−ヒドロキシエチ
ルの少なくとも一方を含む溶媒、および前記溶媒に溶解
された熱可塑性ポリエステルから構成されている。ここ
において、熱可塑性ポリエステルが、ポリカプロラクト
ン、ポリジプロピレングリコールアジペート、およびポ
リプロピレングリコールアジペートからなる群より選択
されることが望ましい。また、本発明の低収縮化剤は、
メタクリル酸2−ヒドロキシエチルおよびアクリル酸2
−ヒドロキシエチルの少なくとも一方を含む溶媒、およ
び前記溶媒に溶解されたポリ酢酸ビニルから構成されて
いる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる不飽和アルキ
ドは、不飽和多塩基酸および飽和多塩基酸とグリコール
類とを公知の方法で重縮合することにより得られる。不
飽和多塩基酸としては、無水マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸、シトラコン酸などが挙げられる。飽和多塩基
酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラヒドロ無水フタル
酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレン
テトラヒドロ無水フタル酸、ヘット酸、テトラブロム無
水フタル酸などが挙げられる。グリコール類としては、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチル
グリコール、1,3ーブタンジオール、1,6ーヘキサ
ンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノール
Aプロピレンオキシド化合物、ジブロムネオペンチルグ
リコールなどが挙げられる。好適な不飽和アルキドとし
ては、以下の式(1)で表されるようなイソフタル酸お
よびフマル酸とネオペンチルグリコールとの共重合体、
式(2)で表されるような無水フタル酸および無水フマ
ル酸とプロピレングリコールとの共重合体、式(3)で
表されるようなイソフタル酸および無水マレイン酸とプ
ロピレングリコールとの共重合体などが挙げられる。
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】ここで、n1〜n3は、各々独立して1〜3
0である。本発明に用いられる不飽和アルキドの溶媒
は、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2
−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ルとアクリル酸2−ヒドロキシエチルの混合溶媒、スチ
レンとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルの混合溶媒、
スチレンとアクリル酸2−ヒドロキシエチルの混合溶
媒、またはスチレンとアクリル酸2−ヒドロキシエチル
とメタクリル酸2−ヒドロキシエチルの混合溶媒であ
る。これら溶媒は、不飽和アルキドを溶解して液状不飽
和ポリエステル樹脂として提供すると共に、硬化反応を
与る架橋剤となる。すなわち、溶媒と不飽和アルキドの
間で付加共重合反応が起こり、硬化樹脂となる。上記混
合溶媒は、上記不飽和アルキド100重量部に対して、
好ましくは20〜150重量部、さらに好ましくは30
〜100重量部の範囲で使用される。
【0013】また、本発明の不飽和ポリエステル樹脂に
は、好ましくは重合禁止剤が含有される。重合禁止剤と
しては、ヒドロキノン、ベンゾキノン、パラ−t−ブチ
ルピロカテコール、メトキシヒドロキノン、パラメトキ
シフェノール等が用いられる。本発明の低収縮化剤に用
いられる熱可塑性ポリエステルには、以下の式(4)で
表されるポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトンの
ようなラクトンの開環重合により得られる重合体;式
(5)で表されるポリ乳酸、式(6)で表されるポリグ
リコール酸のようなヒドロキシ酸の重合体;ポリエチレ
ンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリプロピレ
ンアジペート、ポリジプロピレンアジペート、ポリエチ
レンサクシネート、ポリブチレンサクシネートのような
式(7)で表されるグリコールと脂肪族ジカルボン酸と
からなる共重合体;3−ヒドロキシプロピオナート、3
−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシバリレート、
3−ヒドロキシオクタノエートのような微生物の発酵に
より得られるポリエステルなどが挙げられる。
【0014】
【化4】
【0015】
【化5】
【0016】ここで、n4〜n9は、各々独立して10〜
2000である。これら熱可塑性ポリエステルの中で
も、ポリカプロラクトン、ポリジプロピレンアジペー
ト、ポリプロピレンアジペートを用いることが好まし
い。これらポリエステルは、不飽和ポリエステル樹脂に
対する低収縮化機能が高く、また、後述の分解溶液に対
する親和性も高い。
【0017】また、本発明の低収縮化剤には、ポリ酢酸
ビニルが用いられる。本発明の低収縮化剤に用いられる
溶媒は、少なくともメタクリル酸2−ヒドロキシエチル
とアクリル酸2−ヒドロキシエチルの両方、もしくはど
ちらか一方を含んでいる。また、本発明の低収縮化剤に
用いられる溶媒には、メタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル以外に、スチレ
ン、ビニルトルエン、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸、ジアリルフタレートなどを挙げられる。これら溶媒
は、熱可塑性ポリエステルまたはポリ酢酸ビニルを溶解
させ、液状低収縮化剤を提供すると共に、不飽和ポリエ
ステル樹脂と混合後、硬化においては架橋剤として架橋
反応を与る。
【0018】本発明の低収縮化剤100重量部におい
て、熱可塑性ポリエステルもしくはポリ酢酸ビニルは、
おおよそ10重量部〜80重量部を占める。好ましく
は、25重量部から70重量部を占める。本発明の不飽
和ポリエステル樹脂と低収縮化剤は、好ましくは組み合
わせて用いられる。この場合、不飽和ポリエステル樹脂
100重量部に対して、低収縮化剤10〜200重量部
の割合で混入され用いられることが好ましい。
【0019】不飽和ポリエステル樹脂と低収縮化剤とを
混合後、さらに好ましくは、硬化剤を混合する。硬化剤
としては、過酸化ベンゾイル、tーブチルパーベンゾエ
ート、tーブチルパーオキシベンゾエート、tーブチル
パーオキシラウレート、tーブチルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート、tーブチルパーオクトエート、
2,5−ジメチルー2,5ージ(tertーブチルパー
オキシ)ヘキサン、1,2ービス(tertーブチルパ
ーオキシ)3,3,5ートリメチルシクロヘキサンなど
が挙げられる。硬化剤は、不飽和ポリエステル樹脂と低
収縮化剤の混合液100重量部に対して、好ましくは
0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.2〜4重量部
の範囲で含有される。
【0020】本発明の不飽和ポリエステル樹脂は、塗
料、接着剤、成形材料などとして用いられる。また、本
発明の不飽和ポリエステル樹脂は、必要に応じて、充填
剤、増粘剤、離型剤、ワックス、着色剤などを添加して
用いられる。本発明の不飽和ポリエステル樹脂は、少な
くとも塩基と加溶媒分解性溶媒からなる分解溶液に親和
性を示すため、硬化後に前記分解溶液に浸漬するだけ
で、加溶媒分解を受け、ゲル様に膨潤し形状は崩壊す
る。また、本発明の低収縮化剤は、従来の不飽和ポリエ
ステル樹脂もしくは本発明の不飽和ポリエステル樹脂と
組み合わされ、硬化時に収縮防止機能を発揮すると共
に、少なくとも塩基と加溶媒分解性溶媒からなる分解溶
液に親和性を示すため、硬化後に前期分解溶液に浸漬す
るだけで、加溶媒分解を受け、ゲル様に膨潤し形状は崩
壊する機能を付加する。当然、本発明の不飽和ポリエス
テル樹脂と低収縮化剤が組み合わせて使われた場合、分
解、形状崩壊の程度は大きい。なお、分解溶液に用いら
れる加溶媒分解性溶媒とは、加溶媒分解反応を起こすこ
とのできる水、エタノール、メタノール、グリコール等
を指す。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 《実施例1》無水フタル酸、無水フマル酸、およびプロ
ピレングリコールからなる不飽和アルキド65重量部に
対して、アクリル酸2−ヒドロキシエチルが35重量部
となるよう混合し、重合禁止剤メトキシヒドロキノンを
0.01重量部加えた上で、窒素雰囲気下、90℃で1
5分間撹拌し、不飽和ポリエステル樹脂を得た。この不
飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して、重合開始
剤t−ブチルパーオキシベンゾエートを1重量部加えて
撹拌混合した。この樹脂液を、140℃で1時間硬化さ
せ、2mm厚の板状成形体を得た。この成形体を、5N
−水酸化ナトリウム水溶液である分解溶液に80℃で浸
漬したところ、数時間の内に不飽和ポリエステルのエス
テル結合が加水分解されると共に、成形体は膨潤軟化
し、元の形状をとめていなかった。
【0022】以上のように、本発明の不飽和ポリエステ
ル樹脂は、硬化後に水酸化ナトリウム水溶液に浸漬すれ
ば、化学的分解を容易に受けると共に、ゲル様に膨潤し
形状をとめないため、処理容易である。なお、本実施例
では、成形体の例を示したが、塗料、パテ、接着剤等と
しても使用できるし、水酸化ナトリウムによる処理も同
様にできる。また、樹脂配合比、分解処理の温度、分解
溶液の濃度、成形温度などは本実施例の値に限定される
ものではない。
【0023】《実施例2》 試作例2ー1:無水フタル酸、無水フマル酸、およびプ
ロピレングリコールからなる不飽和アルキド65重量部
に、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルを20重量部、
スチレンを15重量部混合し、重合禁止剤メトキシヒド
ロキノンを0.01重量部加えた上で、室温で撹拌溶解
させ、不飽和ポリエステル樹脂を得た。また、ポリカプ
ロラクトン25重量部を、メタクリル酸2−ヒドロキシ
エチル37.5重量部およびスチレン37.5重量部の
混合物からなる溶媒に室温で撹拌溶解させ、低収縮化剤
を得た。
【0024】上記不飽和ポリエステル樹脂74重量部に
対して、低収縮化剤26重量部、重合開始剤1,1−
(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンを1重量部加えて撹拌混合し、樹脂液組成物
を得た。次に、充填剤である炭酸カルシウム17.8重
量部、水酸化アルミニウム48.5重量部、離型剤であ
るステアリン酸亜鉛1.5重量部、および着色剤である
炭素粉末0.4重量部をニーダに移し、乾式混合を行っ
た。約5分後、均一に混ざったこの乾式混合物に、先に
混合しておいた樹脂液組成物22重量部を徐々に加えて
混練し、均一なペースト状の混合物を得た。更に、この
ペースト状混合物に、9.8重量部のガラス繊維をまん
べんなく分散させながら、極力短時間で添加し、ガラス
繊維が濡れて均一に分散したところで混練を終了して、
モールド材を得た。
【0025】試作例2ー2:無水フタル酸、無水フマル
酸、およびプロピレングリコールからなる不飽和アルキ
ド65重量部に、スチレンを35重量部混合し、重合禁
止剤メトキシヒドロキノンを0.01重量部加えた上
で、室温で撹拌溶解させ、不飽和ポリエステル樹脂を得
た。また、ポリジプロピレンアジペート36重量部を、
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル64重量部に室温で
撹拌溶解させ、低収縮化剤を得た。上記不飽和ポリエス
テル樹脂74重量部に、低収縮化剤26重量部、および
重合開始剤1,1−(t−ブチルパーオキシ)3,3,
5−トリメチルシクロヘキサンを1重量部加えて撹拌混
合して樹脂液組成物を得た。上記の樹脂液組成物を用
い、試作例2ー1と同様にしてモールド材を得た。
【0026】比較例1:上記試作例2ー1において、メ
タクリル酸2−ヒドロキシエチルをスチレンに、ポリカ
プロラクトンをポリスチレンにそれぞれ置き換えた以外
は、全く同様にして比較品であるモールド材を得た。こ
のモールド材は、従来組成のものである。
【0027】こうして得られたモールド材は、バルク状
であるので、通常BMC(Bulk Molding Compound)と
呼ばれる成形材料の1種であり、溶媒を含むにもかかわ
らず、非粘着状態である。これらモールド材について測
定した基本物性を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】スパイラルフローは、細孔からの材料押し
出し長さ(フロー長さ)を測定するもので、主にトラン
スファー成形やインジェクション成形の成形性を判定す
るのに利用される。150℃、50kgf/cm2の条
件で測定した。試作例2ー1および2ー2のスパイラル
フローは、いずれも従来品である比較例とほぼ同等であ
る。成形時の寸法変化を示す成形収縮率は、150℃、
100kgf/cm2、10分の成形条件で測定した。
試作例の成形収縮率は、いずれも比較例と同等であるこ
とから、本発明の低収縮化剤が機能していることがわか
る。また、試作例の硬化時間は、従来品より少し短く、
硬化成形サイクルを加速できる。
【0030】成形品の強度は、次のようにして測定し
た。各モールド材を150℃、5分間のトランスファー
成形で、幅12.7mm、長さ127mm、高さ3.2
mmの平板状に成形し、曲げ試験用サンプルとした。曲
げ試験は、支点間距離50mm、クロスヘッド速度10
mm/分で行った。試作例の強度は、従来品と同等のレ
ベルであった。以上より、本発明の不飽和ポリエステル
樹脂および低収縮化剤を用いたモールド材は、従来のモ
ールド材と比較した場合、成形性、硬化性(硬化速
度)、強度等に関してほぼ同等であり、従来品が使用さ
れる用途に十分使えることがわかる。
【0031】次に、これらモールド材を、金型温度15
0℃、35kgf/cm2の圧力で圧縮成形を行い、直
径20mmの円柱状成形品を試作した。そして、これら
の試作品材成形体の分解処理試験を行った。試験方法
は、少なくとも塩基と水を含む加溶媒分解性溶液である
分解溶液に浸漬することによった。本実施例では、5N
の水酸化ナトリウム水溶液を分解溶液として使用した。
モールド材成形体を、分解溶液に80℃で50時間浸漬
し、分解液浸透の速度、および分解液浸漬処理後の成形
体の表面硬度を測定した。なお、硬度の測定は、ゴム硬
度計によった。その結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】試作例2ー1および試作例2ー2のモール
ド成形体は、分解溶液の浸透速度が大きく、また、ゴム
硬度計では測定できないまでに硬度は低下している。一
方、比較例1のモールド材成形体は、浸透が遅い上に、
硬度の低下は殆ど見られない。すなわち、5N−水酸化
ナトリウム水溶液での処理により、試作例2ー1、試作
例2ー2のモールド材成形体は、分解処理を被り、膨潤
軟化するしているのに対して、比較例1のモールド材成
形体は分解処理されいない。以上のように、本発明の不
飽和ポリエステル樹脂と低収縮化剤を用いて作製したモ
ールド材は、水酸化ナトリウムと水を含有する分解溶液
によって、速やかに分解処理することができる。なお、
水での煮沸試験においては、試作例2ー1および2ー
2、比較例1において違いは観察されず、本発明の試作
例においても耐水性は、従来品並であった。
【0034】なお、ポリカプロラクトンは結晶性が強
く、不飽和ポリエステル樹脂とポリカプロラクトン低収
縮化剤溶液を混合し放置した場合は、ポリカプロラクト
ンが析出することがある。従って、低収縮化剤にポリカ
プロラクトン溶液を用いた場合、不飽和ポリエステル樹
脂と混合後は、数日以内に使用することが好ましい。ま
た、混合後長期に保存する場合は、不飽和ポリエステル
樹脂と低収縮化剤との混合液における溶媒中のスチレン
存在率を45重量%以上にすることが望ましい。また、
水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、本実施例のように5
Nに限ることなく、10N以下に調製されればよい。さ
らに、2〜5Nの範囲に調製されることがより好まし
い。
【0035】なお、不飽和ポリエステルおよび低収縮剤
の濃度、両液の混合比率は本実施例の値に限定されな
い。また、モールド材の構成および製造方法は、本実施
例に限定されることはなく、例えば、炭酸カルシウム、
珪酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、
タルク、マイカなどのフィラーや、ガラス繊維、炭素繊
維などの強化剤、その他、増粘剤、離型剤、着色剤など
を混入していてももちろん良い。なお、本実施例ではモ
ールド材成形時に圧縮成形を用いたが、トランスファー
成形、射出成形などによっても良い。また、本実施例で
は、バルク状のモールド材について説明したが、バルク
状以外にも、シート状のSMC(sheet molding comp
ound)や、粒状のPMC(petletized type molding
compound)であってもよい。なお、本実施例では、円
柱状に成形した例を用いたが、これに限定されることな
く、その他の形状を有する成形体、および塗料、パテ、
接着剤などであっても良い。なお、分解処理時の温度
も、もちろん本実施例の値に限定されない。しかし、耐
圧装置による分解処理を行わない場合は、分解溶液の沸
点以下であることが好ましい。
【0036】《実施例3》 試作例3ー1:無水フタル酸、無水フマル酸、およびプ
ロピレングリコールからなる不飽和アルキド70重量部
に、スチレンを30重量部混合し、重合禁止剤メトキシ
ヒドロキノンを0.01重量部加えた上で、室温で撹拌
溶解し、不飽和ポリエステル樹脂を得た。また、ポリプ
ロピレンアジペート30重量部を、メタクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル70重量部に室温で撹拌溶解させ、低収
縮化剤を得た。上記不飽和ポリエステル樹脂65重量部
に、低収縮化剤35重量部、および重合開始剤1,1−
(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンを1重量部加えて撹拌混合して樹脂液組成物
を得た。
【0037】次に、充填材である炭酸カルシウム57重
量部、離型剤であるステアリン酸亜鉛を2重量部、およ
び増粘剤酸化マグネシウム1重量部をニーダに移し、乾
式混合を行った。約5分後、均一に混ったこの乾式混合
物に、先に混合しておいたバインダー組成物30重量部
を徐々に加えて混練し、均一なペースト状のものを得
た。ガラス繊維をカッターで切断したチョップドストラ
ンドを、ポリエチレンフィルム上に散布し、先のペース
ト状物を含浸させることによってモールド材を得た。含
浸を終えたモールド材は、必要長さを巻き取って、熟成
させ、必要な稠度にまで増粘させた。この結果、ペース
ト状物100重量部に対して、約30重量部のガラス繊
維が配合されたことになる。
【0038】試作例3ー2:無水フタル酸、無水フマル
酸、およびプロピレングリコールからなる不飽和アルキ
ド70重量部に、スチレンを30重量部混合し、重合禁
止剤メトキシヒドロキノンを0.01重量部加えた上
で、室温で撹拌溶解させ、不飽和ポリエステル樹脂を得
た。また、ポリ酢酸ビニル30重量部を、メタクリル酸
2−ヒドロキシエチル70重量部に室温で撹拌溶解さ
せ、低収縮化剤を得た。上記不飽和ポリエステル樹脂6
5重量部に、低収縮化剤35重量部、および重合開始剤
1,1−(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサンを1重量部加えて撹拌混合して樹脂
液組成物を得た。上記の樹脂液組成物を用い、試作例3
ー1と同様にしてモールド材を得た。
【0039】こうして得られたモールド材は、シート状
であるので、通常SMC(sheet molding compound)
と呼ばれる成形材料の1種であり、スチレンを含むにも
かかわらず、非粘着状態である。試作例3ー1および3
ー2のモールド材は、通常工業的によく使用される不飽
和ポリエステル樹脂から成るFRP(繊維強化プラスチ
ック)と比較した場合、いずれも成形性、硬化性(硬化
時間、ゲル化時間)、強度などに関してはほぼ同等であ
り、耐水性などついても問題になるような点はなかっ
た。従って本発明によるモールド材は、通常FRP材料
が使用されるような用途へは、十分応用できることがわ
かる。
【0040】次に、この試作例3ー1および3ー2のモ
ールド材を、金型温度150℃、35kg/cm2の注
入圧力で圧縮成形を行い、直径20mmの円柱状成形品
を試作した。そして、この試作品材成形体の分解処理試
験を行った。試験方法は、少なくとも塩基と水を含む加
溶媒分解性溶液である分解溶液に浸漬することによっ
た。本実施例では、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を分
解溶液として使用した。モールド材成形体を、分解溶液
に80℃で50時間浸漬した。5N−水酸化ナトリウム
水溶液での処理により、試作例3ー1および試作例3ー
2のモールド材成形体は、分解処理を被り、さらに分解
溶液を吸って膨潤状態にあった。硬度は、ゴム硬度計で
は測定できない程軟らかかった。以上のように、本発明
のモールド材は、水酸化ナトリウムと水からなる分解溶
液によっては容易に処理される。
【0041】なお、モールド材の構成および製造方法
は、上記の実施例に限定されることはなく、例えば、炭
酸カルシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化
アルミニウム、タルク、マイカなどのフィラーや、ガラ
ス繊維、炭素繊維などの強化剤、その他、増粘剤、離型
剤、着色剤などを混入していてももちろんよい。なお、
本実施例ではモールド材成形時に圧縮成形を用いたが、
トランスファー成形、射出成形などによっても良い。ま
た、本実施例では、シート状のSMC(sheet molding
compound)について説明したが、シート状以外にも、
バルク状のモールド材BMCや、粒状のPMC(petlet
ized type molding compound)であってもよい。な
お、本実施例では、円柱状に成形した例を用いたが、こ
れに限定されることなく、その他の形状を有する成形
体、および塗料、パテ、接着剤などであっても良い。ま
た、分解処理時の温度も、もちろん本実施例の値に限定
されない。
【0042】なお、本発明のモールド材から得られる最
終成形品は、これ以外に、浴槽、便槽、貯水槽、洗面台
のような建設資材;椅子、机、家具のような家庭用品;
タイル、人工大理石、パイプのような土木資材;船舶、
自動車、鉄道、航空機のような輸送機器のボディや部
品;住宅機器;化粧板;装飾品などの様々な分野で使用
され得る。また、以上の実施例では分解処理溶液として
水酸化ナトリウム水溶液の例を示したが、組成、配合比
などは以上の例に限定されず、少なくとも塩基と、加溶
媒分解性溶媒を含んでいればよい。塩基としては、実施
例で示した水酸化ナトリウム以外にも、水酸化カリウ
ム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物、酸化ナトリ
ウム、酸化カルシウムなどの金属酸化物、ナトリウムエ
トキシド、カリウムt−ブトキシドのような金属アルコ
キシド等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種
以上混合して使用され得る。また、加溶媒分解性溶媒と
しては、以上の実施例で用いた水以外にも、エタノー
ル、メタノール、エチレングリコール、アンモニア、酢
酸、ヒドラジンなどを混入することができる。また、塩
基であり加溶媒分解性溶媒であるジエタノールアミンな
どを単独で用いることもできる。また、分解溶液中に
は、加溶媒分解性溶媒以外にも、ジエチルエーテル、ジ
オキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアミンなどの親水性有機溶媒を、
1種、あるいは2種以上が混合しても使用され得る。
【0043】
【発明の効果】以上のように、本発明の不飽和ポリエス
テル樹脂および低収縮化剤を用いれば、使用後におい
て、少なくとも塩基と水など加溶媒分解性溶媒からなる
分解溶液によって簡単に分解処理され得るポリエステル
樹脂およびモールド材などを提供することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタクリル酸2−ヒドロキシエチルおよ
    びアクリル酸2−ヒドロキシエチルの少なくとも一方を
    含む溶媒、および前記溶媒に溶解された不飽和アルキド
    からなる不飽和ポリエステル樹脂。
  2. 【請求項2】 メタクリル酸2−ヒドロキシエチルおよ
    びアクリル酸2−ヒドロキシエチルの少なくとも一方と
    スチレンを含む溶媒、および前記溶媒に溶解された不飽
    和アルキドからなる不飽和ポリエステル樹脂。
  3. 【請求項3】 メタクリル酸2−ヒドロキシエチルおよ
    びアクリル酸2−ヒドロキシエチルの少なくとも一方を
    含む溶媒、および前記溶媒に溶解された熱可塑性ポリエ
    ステルからなる低収縮化剤。
  4. 【請求項4】 熱可塑性ポリエステルが、ポリカプロラ
    クトン、ポリジプロピレンアジペート、およびポリプロ
    ピレンアジペートからなる群より選択される少なくとも
    1種を含む請求項3に記載の低収縮化剤。
  5. 【請求項5】 メタクリル酸2−ヒドロキシエチルおよ
    びアクリル酸2−ヒドロキシエチルの少なくとも一方を
    含む溶媒、および前記溶媒に溶解されたポリ酢酸ビニル
    からなる低収縮化剤。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001018102A1 (en) * 1999-09-10 2001-03-15 Kt Holdings, Llc Novel polymer additives for forming objects
JP2005154747A (ja) * 2003-10-27 2005-06-16 Japan Composite Co Ltd 熱硬化性樹脂組成物、成形品およびその製造方法
CN114289479A (zh) * 2021-12-31 2022-04-08 广西康利岗石有限公司 一种用四氢呋喃去除人造岗石废渣中不饱和树脂的方法

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