JP2004346151A - リサイクルポリエチレンテレフタレートを原材料とした、高分子量不飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル樹脂組成物、この不飽和ポリエステル樹脂組成物を使用した成形材料、及びその製造方法 - Google Patents
リサイクルポリエチレンテレフタレートを原材料とした、高分子量不飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル樹脂組成物、この不飽和ポリエステル樹脂組成物を使用した成形材料、及びその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ポリエチレンテレフタレートボトルなどから回収されたポリエチレンテレフタレートを原料とした耐水性が優れた硬化物とその樹脂生成物、成形材料、および製造方法を得る。
【解決手段】(1)リサイクルポリエチレンテレフタレートに、(2)2−メチル1,3プロパンジオールを添加し、クラッキングを行った後、(3)α,β−不飽和多塩基酸またはその酸無水物を加え、減圧下においてエステル化反応を行って得られる、重量平均分子量が10000以上の高分子量不飽和ポリエステル、これと共重合する重合性単量体を配合した不飽和ポリエステル樹脂組成物、及びその製造方法、それらを含有してなる樹脂混合物及びその製造方法、さらに繊維類を含有してなる成形材料及びその製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】(1)リサイクルポリエチレンテレフタレートに、(2)2−メチル1,3プロパンジオールを添加し、クラッキングを行った後、(3)α,β−不飽和多塩基酸またはその酸無水物を加え、減圧下においてエステル化反応を行って得られる、重量平均分子量が10000以上の高分子量不飽和ポリエステル、これと共重合する重合性単量体を配合した不飽和ポリエステル樹脂組成物、及びその製造方法、それらを含有してなる樹脂混合物及びその製造方法、さらに繊維類を含有してなる成形材料及びその製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、繊維強化プラスチックス(以下、FRPと略称する)、塗料、ライニング、注型、といった各用途に有用な高分子量をもった不飽和ポリエステル樹脂に関し、さらに詳しくは、ポリエチレンテレフタレートボトルなどから回収されたポリエチレンテレフタレートを原料とする不飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル樹脂組成物、また、この樹脂組成物を使用した繊維強化プラスチック成形品、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
不飽和ポリエステル樹脂は、常温硬化、加熱硬化が可能で、しかも硬化の際、無圧で成形可能なことから、建設資材,輸送機器,工業機材などに用いられるFRP(繊維強化プラスチック)の基材として、あるいは注型、塗料、接着剤、化粧板用等、幅広く用いられている。
この不飽和ポリエステル樹脂は、一般に多価アルコールからなるアルコール成分と、α,β−不飽和多価カルボン酸類及びα,β−飽和多価カルボン酸類や芳香族多価カルボン酸類からなる酸成分とを重縮合させて得られた不飽和ポリエステルに、ラジカル重合性モノマー、一般的にはスチレンを配合することによって得られる液状樹脂である。
そして、上記不飽和ポリエステルの製造において用いられる多価アルコール,α,β−不飽和多価カルボン酸類及びα,β−飽和多価カルボン酸類や芳香族多価カルボン酸類の種類と使用量の比率を変えることによって、各種の使用目的に適した物性を有する、あるいは使用目的に適した成形方法により成形可能な不飽和ポリエステル樹脂組成物を製造することができる。
【0003】
FRP成形品が主に用いられる住設用機器のうち、浴槽、防水パン等、耐水性が要求される用途には、酸成分として、イソフタル酸やテレフタル酸やそれらの反応性誘導体を使用した不飽和ポリエステル樹脂組成物が、一般的に利用されている。特に、近年テレフタル酸は価格的に利用しやすくなってきている。その一例として、リサイクルポリエチレンテレフタレ−ト(以下R−PETと略称する)の使用があげられる。
【0004】
R−PETの活用例として、PETボトルに再利用(リサイクル)しようとする動きはあるが、ボトルに再生可能なレベルにまで、R−PETの品質を向上させることは、非常に困難である。また再生されたPETから成形されるPETボトルのコストは、再生前のPETボトルの数倍になるため、現実的に、実用性に乏しい。
【0005】
一方、R−PETを不飽和ポリエステル樹脂の製造用の原料とする場合には、異物を極力取除いたR−PETであれば利用が可能である。この場合、コストも実用的な範囲、例えばテレフタル酸とエチレングリコールとを原料として不飽和ポリエステル樹脂を製造する場合よりも、むしろ低コストで利用可能な場合もある。
【0006】
また、特許文献1には、R−PETに焼成珪藻土を混練することにより、ポリエチレンテフタレート樹脂組成物を得る方法が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−41107号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の方法、すなわち、グリコール中にR−PETを加え、加熱してグリコール分解するやり方では、R−PETの使用割合は、ポリエステル全体(モノマーを除く)の30重量部程度が限界となる。さらに、R−PET中に含有されるエチレングリコ−ルの影響により、得られた成形品の耐水性が低下する問題も発生している。このため、現在FRP成形品の主な用途の1つである浴槽等の水周り製品には、耐水性が満足できず、適用されていない。また、焼成珪藻土を混練する方法の場合、別途珪藻土を焼成する装置等の設備投資が必要となる。
【0009】
本発明は、PETボトルなどから回収されたポリエチレンテレフタレートを原料とし、耐水性に優れた硬化物を得ることができる高分子量不飽和ポリエステル、この不飽和ポリエステルを重合性単量体に溶解した不飽和ポリエステル樹脂組成物、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
1)本発明は、(1)リサイクルポリエチレンテレフタレートに、(2)2−メチル1,3プロパンジオールを添加し、クラッキングを行った後、(3)α,β−不飽和多塩基酸またはその酸無水物を加え、減圧下においてエステル化反応を行って得られる、重量平均分子量が10000以上の高分子量不飽和ポリエステルに関する。
2)また、本発明は、1)により得られた不飽和ポリエステルに、これと共重合する重合性単量体を配合した不飽和ポリエステル樹脂組成物に関する。
3)また、本発明は、1)記載の不飽和ポリエステルが10〜80重量部、2)記載の共重合する重合性単量体が90〜20重量部である1)〜2)記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物に関する。
4)また、本発明は、1)〜3)記載の不飽和ポリエステル及び不飽和ポリエステル樹脂の製造方法に関する。
5)また、本発明は、低収縮材、硬化剤を含有してなる1)〜4)記載の樹脂混合物及びその製造方法に関する。
6)また、本発明は、1)〜5)記載の樹脂混合物に、さらに繊維類を含有してなる成形材料及びその製造方法に関する。
7)また、本発明は、6)記載の成形材料に、熱圧縮成形を行う繊維強化プラスチック成形品及びその製造方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、原材料として使用される、R−PETとしては、特に制限はなく、一般に使用されているPETボトル、包装材、使用済PETフィルムの回収品をフレ−ク状に破砕、洗浄、乾燥したものである。使用するR−PETの重量平均分子量についても、特に制限はない。
【0012】
本発明において、グリコ−ル成分として、2−メチル1,3プロパンジオールが原材料として使用される。この2−メチルプロパンジオール1,3は、単独で使用してもよく、また2−メチル1、3プロパンジオールと他の多価グリコ−ルとを併用してもよい。
【0013】
併用される多価アルコールとしては、エチルグリコールは重合性単量体との相溶性に問題を生ずるので必ずしも望ましくはないが、その他のグリコールに特に制限を加える必要はなく、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA等の二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の三価アルコール、ペンタエリスリトール等の四価アルコールなどが挙げられる。これらは、単独または2種以上を併用してもよい。
【0014】
2−メチル1,3プロパンジオールと他の多価アルコールとを併用する場合は、前記2−メチル1,3プロパンジオールを単独で使用した場合の特性、すなわち、樹脂硬化物の耐水性が良好で、重合性単量体との相溶性が良いこと、などの特長を損なわない範囲内で他の多価アルコールを配合することが必要であり、そのためには2メチル1,3プロパンジオールを多価アルコール成分全体の0.1モル以上使用することが好ましい。0.1モル以下では、得られる成形品の耐水性の向上が認められない。
【0015】
本発明においては、この回収されたR−PETを2−メチル1,3プロパンジオールと必要に応じて他のグリコ−ルと共存させ、160〜210℃、好ましくは190〜200℃の溶融状態に保ち、R−PETのグリコール分解を行う。210℃以上では、2−メチル1,3プロパンジオールや必要に応じて添加した他のグリコ−ルが沸騰状態となり、系外に留出してしまう。また、160℃以下では、触媒を添加していても分解時間が長くかかる弊害が発生する。
【0016】
R−PETをグリコール分解した後、必要量のα,β−不飽和多塩基酸またはその酸無水物を加え、必要段階迄エステル化して、不飽和ポリエステルを製造する。
【0017】
本発明にて使用される、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、及びこれらの無水物などが挙げられる。これらは、単独または2種以上を
併用してもよい。
【0018】
本発明にて、使用可能な飽和多塩基酸又はその無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、こはく酸、アゼライン酸、ロジン−マレイン酸付加物などが挙げられる。これらは、単独または2種以上を併用してもよい。必要に応じ、飽和多塩基酸エステルを使用することもできる。
【0019】
必要に応じて使用することができる飽和多塩基酸エステルとしては、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ブチレングリコ−ル等のアルキレングリコ−ル等の直鎖状アルキレングリコ−ルとアジピン酸,セバシン酸、テレフタル酸、ナフタル酸等の二塩基酸、直鎖状アルキレン基または、パラフェニル基とカルボキシル基が結合している二塩基酸との低分子量エステルまたは、高分子量エステル(すなわち飽和ポリエステル)があり、例えば、ジ(エチレンテレフタレ−ト)、ジ(ブチレンテレフタレ−ト)、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ジ(エチレンアジペ−ト)、ジ(ブチレンアジペ−ト)、ポリエチレンアジペ−ト、ポリブチレンアジペ−トなどが挙げられる。これらは、単独または2種以上を併用することもできる。
【0020】
酸成分として使用されるR−PETの配合量としては、不飽和基の濃度を調節すること、耐水性などの特性を付与するために、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物のほか、飽和多塩基酸又はその無水物を併用するのが好ましい。このとき、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物aと飽和多塩基酸b及びR−PET中のテレフタル酸分cとしては、c/(a+b+c)=0.1/1〜0.6/1、より好ましくは、0.2/1〜0.45/1になるように配合されるとよい。R−PETの配合量が0.1未満では、得られる樹脂硬化物の耐水性の向上が確認できずまた、0.6以上では得られる樹脂硬化物の強度が極端に減少し、水周り成形品等の成形材料には使用できなくなる
また、多塩基酸成分としては、不飽和基の濃度を調節するために、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物のほか、飽和多塩基酸又はその無水物を併用するのが好ましい。このとき、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物aと飽和多塩基酸b及びR−PET中のテレフタル酸分cとしては、a/(a+b+c)=0.1/1〜0.95/1、より好ましくは、0.3/1〜0.75/1に、特に好ましくは、0.4/1〜0.7/1となるように配合されるとよい。α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物が0.1/1より少なくなると得られる成形品の強度が低下する傾向を示す。
【0021】
多塩基酸成分と多価アルコールとは、当量比で、多塩基酸成分を1とするとき、多価アルコールを1〜2.5の範囲で使用することが好ましく、1.005〜2.0の範囲で使用することがより好ましい。多価アルコールが少なくなると、得られる不飽和ポリエステル樹脂の分子量が大きくなり、ポリエステル樹脂を製造する際にゲル化しやすくなる傾向にあり、多くなると酸価が小さくなり、高分子量化の進行が遅くなる。また、大過剰の場合、高分子量化ができない不具合が発生する。
【0022】
不飽和ポリエステル樹脂の製造方法としては、従来から公知の方法によることができる。例えば、多塩基酸成分、多価アルコール成分とを縮合反応させ、両成分が反応するときに生じる縮合水を系外に除きながら進める方法がある。縮合水を系外に除去することは、好ましくは不活性気体を通じることによる自然留出又は減圧留出によって行われる。縮合水の留出を促進するため、トルエン、キシレンなどの溶剤を共沸成分として系中に添加することもできる。反応の進行は、一般に反応により生成する留出分量の測定、末端の官能基の定量、反応系の粘度の測定などにより知ることができる。
【0023】
反応の温度は160℃以上とすることが好ましく、また酸化による不飽和ポリエステルの着色、ゲル化等の副反応を防止するためにチッ素、二酸化炭素などの不活性気体を通気しながら反応させることが好ましい。
このことから、反応装置としては、ガラス、ステンレス製等のものが選ばれ、撹拌装置、水とアルコール成分の共沸によるアルコール成分の留出を防ぐための分留装置、反応系の温度を高める加熱装置、この加熱装置の温度制御装置、チッ素など不活性気体の吹込み装置等を備えた反応装置を用いるのが好ましい。
【0024】
反応触媒の不存在下でも、高温では解重合は可能であるが、例えば、t−ブチルチタネ−トや三酸化アンチモンのような触媒を使用することにより、クラッキング等の解重合、および重縮合反応させる温度を低下することができる。配合量は、全酸成分配合量の総量に対して、0.01重量%〜1重量%が好ましく、さらに好ましくは、0.1重量%〜0.5重量%である。反応触媒の配合量が、1重量%を超えると、クラッキング等の解重合に要する時間が短縮しないばかりか、得られる樹脂硬化物および成型品の耐候性、耐水性が低下する。
【0025】
合成反応を行うための反応温度は、160℃〜300℃の範囲で行うことが好ましく、160℃〜250℃の範囲で行うことがより好ましい。この温度が300℃を超えると、多価アルコ−ルの沸騰、蒸発が激しくなる。反応温度は、使用する多価アルコ−ルの沸点により、便宜選択設定可能である。
【0026】
合成における重縮合反応を行うために調整する反応装置内圧力は、常圧でも反応を進めることができるが、合成装置内の減圧を行うことにより、反応を促進することができる。この場合、常圧〜0.1Torr(13Pa)の範囲で行うことが好ましい。
【0027】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂の重量平均分子量(ゲルパーミッションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値、以下も同じ)は、10000以上とされる。好ましくは、10000〜100000である。10000未満では、耐水性が極端に劣り、100000を超えると粘度が高すぎる上、重合性単量体との相溶性が悪化したり、作業性が劣ったりする。
【0028】
本発明に用いられる重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ジビニルベンゼン、tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステル、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの多価アルコールのメタクリル酸エステル、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独または2種以上を併用してもよい。これらの中でも、不飽和ポリエステルとの相溶性、コスト面からスチレンが好ましい。
【0029】
不飽和ポリエステルと重合性単量体とを配合し、必要により重合禁止剤などを加えて不飽和ポリエステル樹脂組成物とする。このときの不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との配合割合は、両者の合計量を100重量部とするとき、不飽和ポリエステル樹脂が10〜80重量部、重合性単量体が90〜20重量部とするのが好ましい。10重量部未満であると不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度が低すぎるうえ、樹脂の硬化阻害が発生する。また、樹脂粘度が極端に低下するため、他の成分と均一に混合しにくくなり、さらに、得られる繊維強化成形材料を成形しても硬化収縮率が大きく、成形品に割れ、クラック等が生じる場合がある。不飽和ポリエステル樹脂が80重量部を超えると、粘度が高すぎて作業性が悪化する。このことから、不飽和ポリエステル樹脂が30〜65重量部、重合性単量体が70〜35重量部とするのがより好ましい。
【0030】
必要により使用される重合禁止剤としては、p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、ナフトキノン、p−トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。その配合量は、得られる不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化性により便宜決定されるが、その配合量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物100重量部に対して0.01〜5.0重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜3重量部である。
【0031】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂を硬化させるには、従来不飽和ポリエステル樹脂組成物に慣用されている硬化剤及び硬化促進剤を添加すれば硬化できるが、さらに必要に応じて適当な温度に加熱してもよい。
本発明で用いられる硬化剤としては、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド類、ベンゾイルパーオキシド、イソブチルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、クメンハイドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ブタン等のパーオキシケタール類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のアルキルパーエステル類、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネイト、t−ブチルパーオキシイソブチルカーボネイト等のカーボネイト類等の有機過酸化物等が挙げられる。硬化剤の配合量は、保存性、成形サイクルの点から、不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0032】
一方、硬化促進剤の例としては、ナフチル酸コバルト;オクチル酸コバルト;N,N−ジメチルアニリン;N,N−ジエチルアニリン;N,N−ジメチル−p−トルイジン;アセチルアセトン;アセト酢酸エチルエステルなどが挙げられる。
【0033】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂の使用に際しては、用途に応じて、ガラス繊維,炭素繊維,ポリエステル繊維,アラミド繊維などの無機又は有機繊維補強材,炭酸カルシウム,水酸化アルミニウムなどの充填剤、ポリスチレン,ポリ酢酸ビニル,ポリブタジエンなどの熱可塑性樹脂などを、適宜配合することができる。
【0034】
さらに、必要に応じ、本発明の目的が損なわれない範囲で、揺変性付与剤,顔料,離型剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤,含浸剤,消泡剤などの各種添加剤を配合することができる。
【0035】
本発明に使用される低収縮材としては、例えば、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリ−ε−カプロラクタム、飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体等、また、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム等の熱可塑性ゴムが挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いることができる。その配合量は、得られる成形品の外観、表面光沢、着色、成形品の収縮率や表面平滑性等の点から、不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましい。1重量部未満では、得られる成形品の成形収縮率が大きくなる。また、10重量部を超えると低収縮材が分離しやすく、得られる成形品の外観、表面光沢、着色の均一性が悪化する。
【0036】
本発明品で用いられる補強繊維としては特に制限はなく、ガラス繊維、有機繊維等が使用可能である。補強繊維の例としては、炭素繊維、ボロン繊維などの無機質繊維、又は天然繊維、再生繊維、半合成繊維又は合成繊維、例えば、ポリエステル、ビニロン、ナイロン、アラミド、フェノール樹脂等から選ばれた少なくとも一種、或いはこれらの混合繊維等が挙げられる。
【0037】
これらの補強繊維の用い方は特に限定されるものではなく、具体的には、例えば織布、不織布、マット、クロス又は編み物などの布、繊維束、長繊維、短繊維、フィラメントなど任意の組織を採用することができるが、取扱いの容易性、強度的無方向性、靭性、割れにくさ等の点から、繊維類が、不織布の生地であることが好ましい。このような織物状の生地としては、例えば、ポリエステル繊維マット、ビニロン繊維マット、ナイロン繊維マット、アラミド樹脂繊維製マット、フェノール樹脂繊維製マット等のマット類が挙げられる。また、前記マット類は、繊維を互いに絡ませるのにニードルパンチ方式等の機械的方法を採用したものであるが、これらのマット類を溶融接着させたフェルト類が、靭性、割れにくさ等の点から好ましい。これら繊維類は2種類以上を組み合わせて使用できる。また、必要に応じて天然繊維等も添加することができる。
【0038】
次に、本発明の成形材料の製造方法について説明する。本発明においては、例えば、2枚のフィルムに均一な厚みで塗布された不飽和ポリエステル樹脂組成物で繊維類をはさみ、得られた成形材料を熱圧縮成形、トランスファー成形、コールドプレス等することにより硬化させて得られる。
【0039】
熱圧縮成形条件としては、生産性、光沢等の点から、型温を40〜200℃、より好ましくは70〜160℃、さらに好ましくは80〜120℃に加熱し、面圧を0.1〜7MPa、より好ましくは1〜6MPa、さらに好ましくは3〜5MPaとすることが望まれる。また、型表面は、より優れた光沢を発現するため、鏡面平滑に処理した金属板を用いるのが好ましい。
【0040】
本発明において例えば、2枚のフィルムに均一な厚みで塗布された不飽和ポリエステル樹脂組成物で繊維類をはさみ、一般的な含浸装置を用いて繊維類に不飽和ポリエステル樹脂組成物を含浸することによりシート状成形材料(SMC)を得るが、このシート状成形材料における2枚のフィルム間に層状の形態で成形材料を得ることもできる。使用するフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を用いることができる。
【0041】
本発明のシート状成形材料は、必要に応じてロール状に巻き取り、必要に応じ熟成等を行うことができる。室温〜60℃の温度に過熱して、1〜10日間熟成することが好ましい。
【0042】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、前記熱圧縮成形法の他に、例えばハンドレイアップ成形法,スプレーアップ成形法,フィラメントワインディング成形法,レジンインジェクション成形法,レジントランスファー成形法,引き抜き成形法,真空成形法,圧空成形法,圧縮成形法,インジェクション成形法,注型法などの多種成形法に適用することができる。
【0043】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物の用途としては、例えばゲルコート,塗料,化粧板,舟艇,船舶,住宅設備(浴槽,浄化槽,水回り品など),タンク容器,自動車車両部品,レジンコンクリート,電気電子部品,土木建築材料、さらにはBMC(Bulk Molding Compound),SMC(Sheet Molding Compound)などの成形材料などが挙げられ、浴室ユニット(壁、防水パン、天井、エプロン、カウンター等)、浴槽、浄化槽、洗面台、キッチンカウンター、建材等の各種住宅設備機器、各種パイプ、タンク製品、梁、グレーチング等の建設資材、カップ、トレイ等の雑貨品、船艇、車両部材、研磨保持材やセパレ−タ等の工業部材等の広範囲な用途に最適である。
【0044】
【実施例】
次に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、部は重量部を意味する。
【0045】
実施例1 不飽和ポリエステル樹脂樹脂組成物(a)の合成
R−PET480部、2−メチル1、3プロパンジオ−ル248部、t−ブチルチタネ−ト1.2部を、温度計、チッ素吹き込み管、精留塔及び撹拌装置を備えた2リットルのフラスコに仕込み、マントルヒータを用いて加熱して1時間で200℃まで昇温した。その後3時間保温し、130℃まで冷却し、無水マレイン酸245部を加え、再度2時間で215℃まで昇温した。その後酸価が55となった時点で、真空度20Torr(2.6kPa)で3時間保温した。その後常圧で190℃まで冷却し、さらに真空度20Torr(2.6kPa)で3時間保温し、その後冷却し、反応を終了させた。この時の酸価は9.6であった。この時の不飽和ポリエステル樹脂(a)の重量平均分子量は38100であった。
【0046】
不飽和ポリエステル樹脂組成物(a)の調製
不飽和ポリエステル樹脂(A)600部を重合性単量体であるスチレン400部に溶解し、ついで重合禁止剤として、ハイドロキノン0.1部を溶解し不飽和折りエステル樹脂組成物(a)を得た。
この樹脂の粘度は25℃で1.80Pa・sであった。
【0047】
樹脂硬化物(a)の作成
不飽和ポリエステル樹脂組成物(a)100部に、オクチル酸コバルト0.5部を加え良く攪拌した後、メチルエチルケトンパ−オキサイド1.0部を加えさらによく攪拌後、減圧脱泡を行い、3mm厚の樹脂注型板を作成した。なお、この樹脂注型板は室温で硬化後、110℃2時間後硬化を行った。
【0048】
曲げ強度,曲げ弾性率
樹脂硬化物(a)について、JIS−K6911の方法に従って曲げ試験を行い、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
耐水性
樹脂硬化物(a)について、100℃の連続煮沸試験を行い、外観変化(ブリスター発生の有無)の確認を行い、ブリスタ−が発生した時間を測定した。
【0049】
実施例2
実施例1のうち、R−PET288部、2−メチル1、3プロパンジオ−ル338部に変更し、さらに無水マレイン酸量を343部に変更したほかは、実施例1と同様に不飽和ポリエステル(b)、不飽和ポリエステル樹脂組成物(b)、樹脂硬化物(b)を得た。不飽和ポリエステル樹脂(b)の重量平均分子量は38600、酸価は8.4であった。また、不飽和ポリエステル樹脂組成物(b)の粘度は1.65Pa・sであった。
【0050】
実施例3
実施例1のうち、R−PET96部、2−メチル1、3プロパンジオ−ル428部に変更し、さらに無水マレイン酸量を441部に変更したほかは、実施例1と同様に不飽和ポリエステル(c)、不飽和ポリエステル樹脂組成物(c)、樹脂硬化物(c)を得た。不飽和ポリエステル樹脂(c)の重量平均分子量は35400、酸価は6.9であった。また、不飽和ポリエステル樹脂組成物(c)の粘度は1.78Pa・sであった。
【0051】
比較例1
実施例1のうち、2−メチル1、3プロパンジオ−ルをプロピレングリコ−ル190部に変更し、実施例1と同様に不飽和ポリエステル(d)、不飽和ポリエステル樹脂組成物(d)、樹脂硬化物(d)を得た。不飽和ポリエステル樹脂(d)の重量平均分子量は38600、酸価は8.4であった。また、不飽和ポリエステル樹脂組成物(d)の粘度は1.65Pa・sであった。
【0052】
比較例2
実施例1のうち、R−PET672部、2−メチル1、3プロパンジオ−ル158部に変更し、さらに無水マレイン酸量を147部に変更したほかは、実施例1と同様に不飽和ポリエステル(e)、不飽和ポリエステル樹脂組成物(e)、樹脂硬化物(e)を得た。不飽和ポリエステル樹脂(e)の重量平均分子量は34500、酸価は5.4であった。また、不飽和ポリエステル樹脂組成物(e)の粘度は1.68Pa・sであった。
【0053】
比較例3
実施例1のうち、2−メチル1、3プロパンジオ−ルをプロピレングリコ−ル190部に変更し、実施例1と同様に不飽和ポリエステル(f)、不飽和ポリエステル樹脂組成物(f)、樹脂硬化物(f)を得た。不飽和ポリエステル樹脂(f)の重量平均分子量は9800、酸価は8.6であった。また、不飽和ポリエステル樹脂組成物(f)の粘度は0.24Pa・sであった。
【0054】
表1 試験評価結果
【0055】
【発明の効果】
本発明により、地球環境的にも価格的にも優位なR−PETを用いて耐水性に優れた不飽和ポリエステル樹脂を得ることができる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物の用途としては、例えばゲルコート,塗料,化粧板,舟艇,船舶,住宅設備(浴槽,浄化槽,水回り品など),タンク容器,自動車車両部品,レジンコンクリート,電気電子部品,土木建築材料、さらにはBMC(Bulk Molding Compound),SMC(Sheet Molding Compound)などの成形材料などが挙げられ、浴室ユニット(壁、防水パン、天井、エプロン、カウンター等)、浴槽、浄化槽、洗面台、キッチンカウンター、建材等の各種住宅設備機器、各種パイプ、タンク製品、梁、グレーチング等の建設資材、カップ、トレイ等の雑貨品、船艇、車両部材、研磨保持材やセパレ−タ等の工業部材等の広範囲に使用することが出来る。
【産業上の利用分野】
本発明は、繊維強化プラスチックス(以下、FRPと略称する)、塗料、ライニング、注型、といった各用途に有用な高分子量をもった不飽和ポリエステル樹脂に関し、さらに詳しくは、ポリエチレンテレフタレートボトルなどから回収されたポリエチレンテレフタレートを原料とする不飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル樹脂組成物、また、この樹脂組成物を使用した繊維強化プラスチック成形品、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
不飽和ポリエステル樹脂は、常温硬化、加熱硬化が可能で、しかも硬化の際、無圧で成形可能なことから、建設資材,輸送機器,工業機材などに用いられるFRP(繊維強化プラスチック)の基材として、あるいは注型、塗料、接着剤、化粧板用等、幅広く用いられている。
この不飽和ポリエステル樹脂は、一般に多価アルコールからなるアルコール成分と、α,β−不飽和多価カルボン酸類及びα,β−飽和多価カルボン酸類や芳香族多価カルボン酸類からなる酸成分とを重縮合させて得られた不飽和ポリエステルに、ラジカル重合性モノマー、一般的にはスチレンを配合することによって得られる液状樹脂である。
そして、上記不飽和ポリエステルの製造において用いられる多価アルコール,α,β−不飽和多価カルボン酸類及びα,β−飽和多価カルボン酸類や芳香族多価カルボン酸類の種類と使用量の比率を変えることによって、各種の使用目的に適した物性を有する、あるいは使用目的に適した成形方法により成形可能な不飽和ポリエステル樹脂組成物を製造することができる。
【0003】
FRP成形品が主に用いられる住設用機器のうち、浴槽、防水パン等、耐水性が要求される用途には、酸成分として、イソフタル酸やテレフタル酸やそれらの反応性誘導体を使用した不飽和ポリエステル樹脂組成物が、一般的に利用されている。特に、近年テレフタル酸は価格的に利用しやすくなってきている。その一例として、リサイクルポリエチレンテレフタレ−ト(以下R−PETと略称する)の使用があげられる。
【0004】
R−PETの活用例として、PETボトルに再利用(リサイクル)しようとする動きはあるが、ボトルに再生可能なレベルにまで、R−PETの品質を向上させることは、非常に困難である。また再生されたPETから成形されるPETボトルのコストは、再生前のPETボトルの数倍になるため、現実的に、実用性に乏しい。
【0005】
一方、R−PETを不飽和ポリエステル樹脂の製造用の原料とする場合には、異物を極力取除いたR−PETであれば利用が可能である。この場合、コストも実用的な範囲、例えばテレフタル酸とエチレングリコールとを原料として不飽和ポリエステル樹脂を製造する場合よりも、むしろ低コストで利用可能な場合もある。
【0006】
また、特許文献1には、R−PETに焼成珪藻土を混練することにより、ポリエチレンテフタレート樹脂組成物を得る方法が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−41107号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の方法、すなわち、グリコール中にR−PETを加え、加熱してグリコール分解するやり方では、R−PETの使用割合は、ポリエステル全体(モノマーを除く)の30重量部程度が限界となる。さらに、R−PET中に含有されるエチレングリコ−ルの影響により、得られた成形品の耐水性が低下する問題も発生している。このため、現在FRP成形品の主な用途の1つである浴槽等の水周り製品には、耐水性が満足できず、適用されていない。また、焼成珪藻土を混練する方法の場合、別途珪藻土を焼成する装置等の設備投資が必要となる。
【0009】
本発明は、PETボトルなどから回収されたポリエチレンテレフタレートを原料とし、耐水性に優れた硬化物を得ることができる高分子量不飽和ポリエステル、この不飽和ポリエステルを重合性単量体に溶解した不飽和ポリエステル樹脂組成物、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
1)本発明は、(1)リサイクルポリエチレンテレフタレートに、(2)2−メチル1,3プロパンジオールを添加し、クラッキングを行った後、(3)α,β−不飽和多塩基酸またはその酸無水物を加え、減圧下においてエステル化反応を行って得られる、重量平均分子量が10000以上の高分子量不飽和ポリエステルに関する。
2)また、本発明は、1)により得られた不飽和ポリエステルに、これと共重合する重合性単量体を配合した不飽和ポリエステル樹脂組成物に関する。
3)また、本発明は、1)記載の不飽和ポリエステルが10〜80重量部、2)記載の共重合する重合性単量体が90〜20重量部である1)〜2)記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物に関する。
4)また、本発明は、1)〜3)記載の不飽和ポリエステル及び不飽和ポリエステル樹脂の製造方法に関する。
5)また、本発明は、低収縮材、硬化剤を含有してなる1)〜4)記載の樹脂混合物及びその製造方法に関する。
6)また、本発明は、1)〜5)記載の樹脂混合物に、さらに繊維類を含有してなる成形材料及びその製造方法に関する。
7)また、本発明は、6)記載の成形材料に、熱圧縮成形を行う繊維強化プラスチック成形品及びその製造方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、原材料として使用される、R−PETとしては、特に制限はなく、一般に使用されているPETボトル、包装材、使用済PETフィルムの回収品をフレ−ク状に破砕、洗浄、乾燥したものである。使用するR−PETの重量平均分子量についても、特に制限はない。
【0012】
本発明において、グリコ−ル成分として、2−メチル1,3プロパンジオールが原材料として使用される。この2−メチルプロパンジオール1,3は、単独で使用してもよく、また2−メチル1、3プロパンジオールと他の多価グリコ−ルとを併用してもよい。
【0013】
併用される多価アルコールとしては、エチルグリコールは重合性単量体との相溶性に問題を生ずるので必ずしも望ましくはないが、その他のグリコールに特に制限を加える必要はなく、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA等の二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の三価アルコール、ペンタエリスリトール等の四価アルコールなどが挙げられる。これらは、単独または2種以上を併用してもよい。
【0014】
2−メチル1,3プロパンジオールと他の多価アルコールとを併用する場合は、前記2−メチル1,3プロパンジオールを単独で使用した場合の特性、すなわち、樹脂硬化物の耐水性が良好で、重合性単量体との相溶性が良いこと、などの特長を損なわない範囲内で他の多価アルコールを配合することが必要であり、そのためには2メチル1,3プロパンジオールを多価アルコール成分全体の0.1モル以上使用することが好ましい。0.1モル以下では、得られる成形品の耐水性の向上が認められない。
【0015】
本発明においては、この回収されたR−PETを2−メチル1,3プロパンジオールと必要に応じて他のグリコ−ルと共存させ、160〜210℃、好ましくは190〜200℃の溶融状態に保ち、R−PETのグリコール分解を行う。210℃以上では、2−メチル1,3プロパンジオールや必要に応じて添加した他のグリコ−ルが沸騰状態となり、系外に留出してしまう。また、160℃以下では、触媒を添加していても分解時間が長くかかる弊害が発生する。
【0016】
R−PETをグリコール分解した後、必要量のα,β−不飽和多塩基酸またはその酸無水物を加え、必要段階迄エステル化して、不飽和ポリエステルを製造する。
【0017】
本発明にて使用される、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、及びこれらの無水物などが挙げられる。これらは、単独または2種以上を
併用してもよい。
【0018】
本発明にて、使用可能な飽和多塩基酸又はその無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、こはく酸、アゼライン酸、ロジン−マレイン酸付加物などが挙げられる。これらは、単独または2種以上を併用してもよい。必要に応じ、飽和多塩基酸エステルを使用することもできる。
【0019】
必要に応じて使用することができる飽和多塩基酸エステルとしては、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ブチレングリコ−ル等のアルキレングリコ−ル等の直鎖状アルキレングリコ−ルとアジピン酸,セバシン酸、テレフタル酸、ナフタル酸等の二塩基酸、直鎖状アルキレン基または、パラフェニル基とカルボキシル基が結合している二塩基酸との低分子量エステルまたは、高分子量エステル(すなわち飽和ポリエステル)があり、例えば、ジ(エチレンテレフタレ−ト)、ジ(ブチレンテレフタレ−ト)、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ジ(エチレンアジペ−ト)、ジ(ブチレンアジペ−ト)、ポリエチレンアジペ−ト、ポリブチレンアジペ−トなどが挙げられる。これらは、単独または2種以上を併用することもできる。
【0020】
酸成分として使用されるR−PETの配合量としては、不飽和基の濃度を調節すること、耐水性などの特性を付与するために、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物のほか、飽和多塩基酸又はその無水物を併用するのが好ましい。このとき、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物aと飽和多塩基酸b及びR−PET中のテレフタル酸分cとしては、c/(a+b+c)=0.1/1〜0.6/1、より好ましくは、0.2/1〜0.45/1になるように配合されるとよい。R−PETの配合量が0.1未満では、得られる樹脂硬化物の耐水性の向上が確認できずまた、0.6以上では得られる樹脂硬化物の強度が極端に減少し、水周り成形品等の成形材料には使用できなくなる
また、多塩基酸成分としては、不飽和基の濃度を調節するために、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物のほか、飽和多塩基酸又はその無水物を併用するのが好ましい。このとき、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物aと飽和多塩基酸b及びR−PET中のテレフタル酸分cとしては、a/(a+b+c)=0.1/1〜0.95/1、より好ましくは、0.3/1〜0.75/1に、特に好ましくは、0.4/1〜0.7/1となるように配合されるとよい。α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物が0.1/1より少なくなると得られる成形品の強度が低下する傾向を示す。
【0021】
多塩基酸成分と多価アルコールとは、当量比で、多塩基酸成分を1とするとき、多価アルコールを1〜2.5の範囲で使用することが好ましく、1.005〜2.0の範囲で使用することがより好ましい。多価アルコールが少なくなると、得られる不飽和ポリエステル樹脂の分子量が大きくなり、ポリエステル樹脂を製造する際にゲル化しやすくなる傾向にあり、多くなると酸価が小さくなり、高分子量化の進行が遅くなる。また、大過剰の場合、高分子量化ができない不具合が発生する。
【0022】
不飽和ポリエステル樹脂の製造方法としては、従来から公知の方法によることができる。例えば、多塩基酸成分、多価アルコール成分とを縮合反応させ、両成分が反応するときに生じる縮合水を系外に除きながら進める方法がある。縮合水を系外に除去することは、好ましくは不活性気体を通じることによる自然留出又は減圧留出によって行われる。縮合水の留出を促進するため、トルエン、キシレンなどの溶剤を共沸成分として系中に添加することもできる。反応の進行は、一般に反応により生成する留出分量の測定、末端の官能基の定量、反応系の粘度の測定などにより知ることができる。
【0023】
反応の温度は160℃以上とすることが好ましく、また酸化による不飽和ポリエステルの着色、ゲル化等の副反応を防止するためにチッ素、二酸化炭素などの不活性気体を通気しながら反応させることが好ましい。
このことから、反応装置としては、ガラス、ステンレス製等のものが選ばれ、撹拌装置、水とアルコール成分の共沸によるアルコール成分の留出を防ぐための分留装置、反応系の温度を高める加熱装置、この加熱装置の温度制御装置、チッ素など不活性気体の吹込み装置等を備えた反応装置を用いるのが好ましい。
【0024】
反応触媒の不存在下でも、高温では解重合は可能であるが、例えば、t−ブチルチタネ−トや三酸化アンチモンのような触媒を使用することにより、クラッキング等の解重合、および重縮合反応させる温度を低下することができる。配合量は、全酸成分配合量の総量に対して、0.01重量%〜1重量%が好ましく、さらに好ましくは、0.1重量%〜0.5重量%である。反応触媒の配合量が、1重量%を超えると、クラッキング等の解重合に要する時間が短縮しないばかりか、得られる樹脂硬化物および成型品の耐候性、耐水性が低下する。
【0025】
合成反応を行うための反応温度は、160℃〜300℃の範囲で行うことが好ましく、160℃〜250℃の範囲で行うことがより好ましい。この温度が300℃を超えると、多価アルコ−ルの沸騰、蒸発が激しくなる。反応温度は、使用する多価アルコ−ルの沸点により、便宜選択設定可能である。
【0026】
合成における重縮合反応を行うために調整する反応装置内圧力は、常圧でも反応を進めることができるが、合成装置内の減圧を行うことにより、反応を促進することができる。この場合、常圧〜0.1Torr(13Pa)の範囲で行うことが好ましい。
【0027】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂の重量平均分子量(ゲルパーミッションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値、以下も同じ)は、10000以上とされる。好ましくは、10000〜100000である。10000未満では、耐水性が極端に劣り、100000を超えると粘度が高すぎる上、重合性単量体との相溶性が悪化したり、作業性が劣ったりする。
【0028】
本発明に用いられる重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ジビニルベンゼン、tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステル、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの多価アルコールのメタクリル酸エステル、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独または2種以上を併用してもよい。これらの中でも、不飽和ポリエステルとの相溶性、コスト面からスチレンが好ましい。
【0029】
不飽和ポリエステルと重合性単量体とを配合し、必要により重合禁止剤などを加えて不飽和ポリエステル樹脂組成物とする。このときの不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との配合割合は、両者の合計量を100重量部とするとき、不飽和ポリエステル樹脂が10〜80重量部、重合性単量体が90〜20重量部とするのが好ましい。10重量部未満であると不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度が低すぎるうえ、樹脂の硬化阻害が発生する。また、樹脂粘度が極端に低下するため、他の成分と均一に混合しにくくなり、さらに、得られる繊維強化成形材料を成形しても硬化収縮率が大きく、成形品に割れ、クラック等が生じる場合がある。不飽和ポリエステル樹脂が80重量部を超えると、粘度が高すぎて作業性が悪化する。このことから、不飽和ポリエステル樹脂が30〜65重量部、重合性単量体が70〜35重量部とするのがより好ましい。
【0030】
必要により使用される重合禁止剤としては、p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、ナフトキノン、p−トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。その配合量は、得られる不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化性により便宜決定されるが、その配合量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物100重量部に対して0.01〜5.0重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜3重量部である。
【0031】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂を硬化させるには、従来不飽和ポリエステル樹脂組成物に慣用されている硬化剤及び硬化促進剤を添加すれば硬化できるが、さらに必要に応じて適当な温度に加熱してもよい。
本発明で用いられる硬化剤としては、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド類、ベンゾイルパーオキシド、イソブチルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、クメンハイドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ブタン等のパーオキシケタール類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のアルキルパーエステル類、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネイト、t−ブチルパーオキシイソブチルカーボネイト等のカーボネイト類等の有機過酸化物等が挙げられる。硬化剤の配合量は、保存性、成形サイクルの点から、不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0032】
一方、硬化促進剤の例としては、ナフチル酸コバルト;オクチル酸コバルト;N,N−ジメチルアニリン;N,N−ジエチルアニリン;N,N−ジメチル−p−トルイジン;アセチルアセトン;アセト酢酸エチルエステルなどが挙げられる。
【0033】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂の使用に際しては、用途に応じて、ガラス繊維,炭素繊維,ポリエステル繊維,アラミド繊維などの無機又は有機繊維補強材,炭酸カルシウム,水酸化アルミニウムなどの充填剤、ポリスチレン,ポリ酢酸ビニル,ポリブタジエンなどの熱可塑性樹脂などを、適宜配合することができる。
【0034】
さらに、必要に応じ、本発明の目的が損なわれない範囲で、揺変性付与剤,顔料,離型剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤,含浸剤,消泡剤などの各種添加剤を配合することができる。
【0035】
本発明に使用される低収縮材としては、例えば、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリ−ε−カプロラクタム、飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体等、また、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム等の熱可塑性ゴムが挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いることができる。その配合量は、得られる成形品の外観、表面光沢、着色、成形品の収縮率や表面平滑性等の点から、不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましい。1重量部未満では、得られる成形品の成形収縮率が大きくなる。また、10重量部を超えると低収縮材が分離しやすく、得られる成形品の外観、表面光沢、着色の均一性が悪化する。
【0036】
本発明品で用いられる補強繊維としては特に制限はなく、ガラス繊維、有機繊維等が使用可能である。補強繊維の例としては、炭素繊維、ボロン繊維などの無機質繊維、又は天然繊維、再生繊維、半合成繊維又は合成繊維、例えば、ポリエステル、ビニロン、ナイロン、アラミド、フェノール樹脂等から選ばれた少なくとも一種、或いはこれらの混合繊維等が挙げられる。
【0037】
これらの補強繊維の用い方は特に限定されるものではなく、具体的には、例えば織布、不織布、マット、クロス又は編み物などの布、繊維束、長繊維、短繊維、フィラメントなど任意の組織を採用することができるが、取扱いの容易性、強度的無方向性、靭性、割れにくさ等の点から、繊維類が、不織布の生地であることが好ましい。このような織物状の生地としては、例えば、ポリエステル繊維マット、ビニロン繊維マット、ナイロン繊維マット、アラミド樹脂繊維製マット、フェノール樹脂繊維製マット等のマット類が挙げられる。また、前記マット類は、繊維を互いに絡ませるのにニードルパンチ方式等の機械的方法を採用したものであるが、これらのマット類を溶融接着させたフェルト類が、靭性、割れにくさ等の点から好ましい。これら繊維類は2種類以上を組み合わせて使用できる。また、必要に応じて天然繊維等も添加することができる。
【0038】
次に、本発明の成形材料の製造方法について説明する。本発明においては、例えば、2枚のフィルムに均一な厚みで塗布された不飽和ポリエステル樹脂組成物で繊維類をはさみ、得られた成形材料を熱圧縮成形、トランスファー成形、コールドプレス等することにより硬化させて得られる。
【0039】
熱圧縮成形条件としては、生産性、光沢等の点から、型温を40〜200℃、より好ましくは70〜160℃、さらに好ましくは80〜120℃に加熱し、面圧を0.1〜7MPa、より好ましくは1〜6MPa、さらに好ましくは3〜5MPaとすることが望まれる。また、型表面は、より優れた光沢を発現するため、鏡面平滑に処理した金属板を用いるのが好ましい。
【0040】
本発明において例えば、2枚のフィルムに均一な厚みで塗布された不飽和ポリエステル樹脂組成物で繊維類をはさみ、一般的な含浸装置を用いて繊維類に不飽和ポリエステル樹脂組成物を含浸することによりシート状成形材料(SMC)を得るが、このシート状成形材料における2枚のフィルム間に層状の形態で成形材料を得ることもできる。使用するフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を用いることができる。
【0041】
本発明のシート状成形材料は、必要に応じてロール状に巻き取り、必要に応じ熟成等を行うことができる。室温〜60℃の温度に過熱して、1〜10日間熟成することが好ましい。
【0042】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、前記熱圧縮成形法の他に、例えばハンドレイアップ成形法,スプレーアップ成形法,フィラメントワインディング成形法,レジンインジェクション成形法,レジントランスファー成形法,引き抜き成形法,真空成形法,圧空成形法,圧縮成形法,インジェクション成形法,注型法などの多種成形法に適用することができる。
【0043】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物の用途としては、例えばゲルコート,塗料,化粧板,舟艇,船舶,住宅設備(浴槽,浄化槽,水回り品など),タンク容器,自動車車両部品,レジンコンクリート,電気電子部品,土木建築材料、さらにはBMC(Bulk Molding Compound),SMC(Sheet Molding Compound)などの成形材料などが挙げられ、浴室ユニット(壁、防水パン、天井、エプロン、カウンター等)、浴槽、浄化槽、洗面台、キッチンカウンター、建材等の各種住宅設備機器、各種パイプ、タンク製品、梁、グレーチング等の建設資材、カップ、トレイ等の雑貨品、船艇、車両部材、研磨保持材やセパレ−タ等の工業部材等の広範囲な用途に最適である。
【0044】
【実施例】
次に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、部は重量部を意味する。
【0045】
実施例1 不飽和ポリエステル樹脂樹脂組成物(a)の合成
R−PET480部、2−メチル1、3プロパンジオ−ル248部、t−ブチルチタネ−ト1.2部を、温度計、チッ素吹き込み管、精留塔及び撹拌装置を備えた2リットルのフラスコに仕込み、マントルヒータを用いて加熱して1時間で200℃まで昇温した。その後3時間保温し、130℃まで冷却し、無水マレイン酸245部を加え、再度2時間で215℃まで昇温した。その後酸価が55となった時点で、真空度20Torr(2.6kPa)で3時間保温した。その後常圧で190℃まで冷却し、さらに真空度20Torr(2.6kPa)で3時間保温し、その後冷却し、反応を終了させた。この時の酸価は9.6であった。この時の不飽和ポリエステル樹脂(a)の重量平均分子量は38100であった。
【0046】
不飽和ポリエステル樹脂組成物(a)の調製
不飽和ポリエステル樹脂(A)600部を重合性単量体であるスチレン400部に溶解し、ついで重合禁止剤として、ハイドロキノン0.1部を溶解し不飽和折りエステル樹脂組成物(a)を得た。
この樹脂の粘度は25℃で1.80Pa・sであった。
【0047】
樹脂硬化物(a)の作成
不飽和ポリエステル樹脂組成物(a)100部に、オクチル酸コバルト0.5部を加え良く攪拌した後、メチルエチルケトンパ−オキサイド1.0部を加えさらによく攪拌後、減圧脱泡を行い、3mm厚の樹脂注型板を作成した。なお、この樹脂注型板は室温で硬化後、110℃2時間後硬化を行った。
【0048】
曲げ強度,曲げ弾性率
樹脂硬化物(a)について、JIS−K6911の方法に従って曲げ試験を行い、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
耐水性
樹脂硬化物(a)について、100℃の連続煮沸試験を行い、外観変化(ブリスター発生の有無)の確認を行い、ブリスタ−が発生した時間を測定した。
【0049】
実施例2
実施例1のうち、R−PET288部、2−メチル1、3プロパンジオ−ル338部に変更し、さらに無水マレイン酸量を343部に変更したほかは、実施例1と同様に不飽和ポリエステル(b)、不飽和ポリエステル樹脂組成物(b)、樹脂硬化物(b)を得た。不飽和ポリエステル樹脂(b)の重量平均分子量は38600、酸価は8.4であった。また、不飽和ポリエステル樹脂組成物(b)の粘度は1.65Pa・sであった。
【0050】
実施例3
実施例1のうち、R−PET96部、2−メチル1、3プロパンジオ−ル428部に変更し、さらに無水マレイン酸量を441部に変更したほかは、実施例1と同様に不飽和ポリエステル(c)、不飽和ポリエステル樹脂組成物(c)、樹脂硬化物(c)を得た。不飽和ポリエステル樹脂(c)の重量平均分子量は35400、酸価は6.9であった。また、不飽和ポリエステル樹脂組成物(c)の粘度は1.78Pa・sであった。
【0051】
比較例1
実施例1のうち、2−メチル1、3プロパンジオ−ルをプロピレングリコ−ル190部に変更し、実施例1と同様に不飽和ポリエステル(d)、不飽和ポリエステル樹脂組成物(d)、樹脂硬化物(d)を得た。不飽和ポリエステル樹脂(d)の重量平均分子量は38600、酸価は8.4であった。また、不飽和ポリエステル樹脂組成物(d)の粘度は1.65Pa・sであった。
【0052】
比較例2
実施例1のうち、R−PET672部、2−メチル1、3プロパンジオ−ル158部に変更し、さらに無水マレイン酸量を147部に変更したほかは、実施例1と同様に不飽和ポリエステル(e)、不飽和ポリエステル樹脂組成物(e)、樹脂硬化物(e)を得た。不飽和ポリエステル樹脂(e)の重量平均分子量は34500、酸価は5.4であった。また、不飽和ポリエステル樹脂組成物(e)の粘度は1.68Pa・sであった。
【0053】
比較例3
実施例1のうち、2−メチル1、3プロパンジオ−ルをプロピレングリコ−ル190部に変更し、実施例1と同様に不飽和ポリエステル(f)、不飽和ポリエステル樹脂組成物(f)、樹脂硬化物(f)を得た。不飽和ポリエステル樹脂(f)の重量平均分子量は9800、酸価は8.6であった。また、不飽和ポリエステル樹脂組成物(f)の粘度は0.24Pa・sであった。
【0054】
表1 試験評価結果
【0055】
【発明の効果】
本発明により、地球環境的にも価格的にも優位なR−PETを用いて耐水性に優れた不飽和ポリエステル樹脂を得ることができる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物の用途としては、例えばゲルコート,塗料,化粧板,舟艇,船舶,住宅設備(浴槽,浄化槽,水回り品など),タンク容器,自動車車両部品,レジンコンクリート,電気電子部品,土木建築材料、さらにはBMC(Bulk Molding Compound),SMC(Sheet Molding Compound)などの成形材料などが挙げられ、浴室ユニット(壁、防水パン、天井、エプロン、カウンター等)、浴槽、浄化槽、洗面台、キッチンカウンター、建材等の各種住宅設備機器、各種パイプ、タンク製品、梁、グレーチング等の建設資材、カップ、トレイ等の雑貨品、船艇、車両部材、研磨保持材やセパレ−タ等の工業部材等の広範囲に使用することが出来る。
Claims (7)
- (1)リサイクルポリエチレンテレフタレートに、(2)2−メチル1,3プロパンジオールを添加し、クラッキングを行った後、(3)α,β−不飽和多塩基酸またはその酸無水物を加え、減圧下においてエステル化反応を行って得られる、重量平均分子量が10000以上の高分子量不飽和ポリエステル。
- 請求項1により得られた不飽和ポリエステルに、これと共重合する重合性単量体を配合した不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1記載の不飽和ポリエステルが10〜80重量部、請求項2記載の共重合する重合性単量体が90〜20重量部である請求項1〜2記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1〜3記載の不飽和ポリエステル及び不飽和ポリエステル樹脂の製造方法。
- 低収縮材、硬化剤を含有してなる請求項1〜4記載の樹脂混合物及びその製造方法。
- 請求項1〜5記載の樹脂混合物に、さらに繊維類を含有してなる成形材料及びその製造方法。
- 請求項6記載の成形材料に、熱圧縮成形を行う繊維強化プラスチック成形品及びその製造方法。
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