JP2005139221A - シートモールディングコンパウンド及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 透明感,高級感のあるSMC成形品を提供する。
【解決手段】 不飽和ポリエステル樹脂,重合性単量体,低収縮材,硬化材,増粘材及び充填材として水酸化アルミニウムを含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるシートモールディングコンパウンドにおいて,水酸化アルミニウムの平均粒径が5μm以上30μm以下であり,その含有量が前記不飽和ポリエステル樹脂組成物に対して30質量%以上60質量%以下であることを特徴とするシートモールディングコンパウンド。
【選択図】 なし
【解決手段】 不飽和ポリエステル樹脂,重合性単量体,低収縮材,硬化材,増粘材及び充填材として水酸化アルミニウムを含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるシートモールディングコンパウンドにおいて,水酸化アルミニウムの平均粒径が5μm以上30μm以下であり,その含有量が前記不飽和ポリエステル樹脂組成物に対して30質量%以上60質量%以下であることを特徴とするシートモールディングコンパウンド。
【選択図】 なし
Description
本発明は,浴槽,洗い場パン,浴室壁パネル等の浴室機器,パネル組立式貯水槽,浄化槽等に用いられる成形材料であるシートモールディングコンパウンド(以下,SMCと称する)及び成形品に関する。
SMCは,ビニル系単量体に希釈させた不飽和ポリエステルに,添加材として低収縮材,硬化材,重合禁止材,充填材,増粘材,離型材,さらには着色材等を混ぜたペーストにガラス繊維や有機繊維などの繊維基材を含浸させてシート状にして両側をキャリアフィルムで覆い,熟成して半固形化させた成形材料である。このSMCは,金型に載置して温度130℃〜150℃,圧力7〜10MPaの条件で加圧加熱成形され,浴槽,パネル組立式貯水槽、浄化槽等のSMC成形品として製造される。
上記のようにして加圧加熱成形されたSMC成形品は,耐久性,耐水性,機械強度及び表面光沢,並びに形状の自由度が大きく意匠性に優れることから浴槽等の浴室機器やパネル組立式貯水槽,浄化槽等として広く用いられている。
しかしながら,前記SMC成形品は,透明感,高級感といった点でBMC(バルクモールディングコンパウンド)に劣るため,浴槽等の浴室機器やキッチンカウンタ,洗面カウンタ等の人造大理石調製品にはBMCの方が広く用いられている。しかしBMCは,材料として塊状のため加圧力を高くする必要がある等の欠点があり,人造大理石調のSMC製品が望まれている。
これらの材料には、無機充填剤が普通充填される(例えば特許文献1参照)。
特開2001−115001号公報
しかしながら,前記SMC成形品は,透明感,高級感といった点でBMC(バルクモールディングコンパウンド)に劣るため,浴槽等の浴室機器やキッチンカウンタ,洗面カウンタ等の人造大理石調製品にはBMCの方が広く用いられている。しかしBMCは,材料として塊状のため加圧力を高くする必要がある等の欠点があり,人造大理石調のSMC製品が望まれている。
これらの材料には、無機充填剤が普通充填される(例えば特許文献1参照)。
本発明は,かかる課題に鑑みてなされたもので,透明感,高級感のあるSMC成形品を提供することを目的とする。
本発明は,次のものに関する。
(1)不飽和ポリエステル樹脂,重合性単量体,低収縮材,硬化材,増粘材及び充填材として水酸化アルミニウムを含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維強化基材に含浸させてなるSMCにおいて,水酸化アルミニウムの平均粒径が5μm以上30μm以下であり,その含有量が前記不飽和ポリエステル樹脂組成物に対して30%以上60%以下であることを特徴とするSMC。
(2)前記(1)のSMCを80℃以上130℃以下で加熱加圧成形することを特徴とするSMCの成形方法。
(3)前記(1)(2)のSMCを加圧加熱成形したSMC成形品。
(1)不飽和ポリエステル樹脂,重合性単量体,低収縮材,硬化材,増粘材及び充填材として水酸化アルミニウムを含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維強化基材に含浸させてなるSMCにおいて,水酸化アルミニウムの平均粒径が5μm以上30μm以下であり,その含有量が前記不飽和ポリエステル樹脂組成物に対して30%以上60%以下であることを特徴とするSMC。
(2)前記(1)のSMCを80℃以上130℃以下で加熱加圧成形することを特徴とするSMCの成形方法。
(3)前記(1)(2)のSMCを加圧加熱成形したSMC成形品。
本発明におけるSMC及びその成形方法によれば,従来のSMCと比較して透明感があり,意匠性に優れたSMC成形品を製造することができる。
本発明におけるSMCは,不飽和ポリエステル樹脂,重合性単量体,低収縮材,硬化材,充填材,増粘材及び繊維強化材を配合してなる繊維強化成形材料であって、シート状に形成してなるものである。
本発明における不飽和ポリエステル樹脂は,α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物を必須成分として含む多塩基酸成分と多価アルコールを反応させて得られる。
本発明において,不飽和ポリエステル樹脂の合成原料であるα,β−不飽和多塩基酸又はその無水物としては,例えば,α,β−不飽和二塩基酸又はその無水物,例えば,マレイン酸,フマル酸,イタコン酸,シトラコン酸,無水マレイン酸,これらの無水物などが挙げられる。これらは,2種以上併用してもよい。
多塩基酸成分としては,不飽和基の濃度を調節すること,可撓性,耐熱性などの特性を付与するために,α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物の他,飽和多塩基酸又はその無水物を併用するのが好ましい。このとき,α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物としては,多塩基酸成分のうち40モル%以上とするのが好ましい。α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物が40モル%より少なくなると得られる成形品の強度が漸次低下する傾向を示す。このことから,α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物が,45〜80モル%であるのがより好ましく,50〜70モル%であることが特に好ましい。
本発明において,不飽和ポリエステル樹脂の合成原料であるα,β−不飽和多塩基酸又はその無水物としては,例えば,α,β−不飽和二塩基酸又はその無水物,例えば,マレイン酸,フマル酸,イタコン酸,シトラコン酸,無水マレイン酸,これらの無水物などが挙げられる。これらは,2種以上併用してもよい。
多塩基酸成分としては,不飽和基の濃度を調節すること,可撓性,耐熱性などの特性を付与するために,α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物の他,飽和多塩基酸又はその無水物を併用するのが好ましい。このとき,α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物としては,多塩基酸成分のうち40モル%以上とするのが好ましい。α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物が40モル%より少なくなると得られる成形品の強度が漸次低下する傾向を示す。このことから,α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物が,45〜80モル%であるのがより好ましく,50〜70モル%であることが特に好ましい。
併用される飽和多塩基酸又はその無水物としては,フタル酸,無水フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,テトラヒドロフタル酸,テトラヒドロ無水フタル酸,3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸,ヘキサヒドロフタル酸,ヘキサヒドロ無水フタル酸,グルタル酸,アジピン酸,セバチン酸,トリメリット酸,無水トリメリット酸,ピロメリット酸,ダイマー酸,こはく酸,アゼライン酸,ロジン−マレイン酸付加物などが挙げられる。これらは,2種以上を併用してもよい。
不飽和ポリエステル樹脂のもう一つの合成原料である多価アルコールとしては,エチレングリコール,ジエチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,1,3−ブタンジオール,1,6−ヘキサンジオール,ネオペンチルグリコール,1,4−シクロヘキサンジオール,水素添加ビスフェノールA等の二価アルコール,グリセリン,トリメチロールプロパン等の三価アルコール,ペンタエリスリトール等の四価アルコールなどが挙げられる。これらは,2種以上を併用してもよい。
多塩基酸成分と多価アルコールとは,当量比で多塩基酸成分を1とするとき,多価アルコールを1〜1.3の範囲で使用することが好ましく,1.03〜1.05の範囲で使用することがより好ましい。多価アルコールが少なくなると,得られる不飽和ポリエステル樹脂の分子量が小さくなる傾向にあり,多くなると酸価が小さくなって増粘剤による増粘の進行が遅くなる傾向がある。
不飽和ポリエステル樹脂の製造方法としては,従来から公知の方法によることができる。例えば,多塩基酸成分,多価アルコール成分とを縮合反応させ,両成分が反応するときに生じる縮合水を系外に除きながら進められる。縮合水を系外に除去することは,好ましくは不活性気体を通じることによる自然留出又は減圧留出によって行われる。縮合水の留出を促進するため,トルエン,キシレンなどの溶剤を共沸成分として系中に添加することもできる。反応の進行は,一般に反応により生成する留出分量の測定,末端の官能基の定量,反応系の粘度の測定などにより知ることができる。
反応の温度は150℃以上とすることが好ましく,また酸化による副反応を防止するために窒素,二酸化炭素などの不活性気体を通気しながら反応させることが好ましい。
このことから,反応装置としては,ガラス,ステンレス製等のものが選ばれ,撹拌装置,水とアルコール成分の共沸によるアルコール成分の留出を防ぐための分留装置,反応系の温度を高める加熱装置,この加熱装置の温度制御装置,窒素など不活性気体の吹込み装置等を備えた反応装置を用いるのが好ましい。
反応の温度は150℃以上とすることが好ましく,また酸化による副反応を防止するために窒素,二酸化炭素などの不活性気体を通気しながら反応させることが好ましい。
このことから,反応装置としては,ガラス,ステンレス製等のものが選ばれ,撹拌装置,水とアルコール成分の共沸によるアルコール成分の留出を防ぐための分留装置,反応系の温度を高める加熱装置,この加熱装置の温度制御装置,窒素など不活性気体の吹込み装置等を備えた反応装置を用いるのが好ましい。
不飽和ポリエステルの数平均分子量は2500〜4500であることが好ましい。分子量が2500よりも低いと増粘材を適量添加しても増粘が上がらず樹脂組成物とした場合に柔らかく作業性が悪化するなどの問題が発生する。分子量が4500よりも大きいと粘度が高く,ガラス繊維の含浸不良をおこし成形した場合成形品の表面特性が低下する。
本発明に用いられる重合性単量体としては,例えば,スチレン,クロルスチレン,ジビニルベンゼン,ターシャリブチルスチレン,臭化スチレン等のスチレン誘導体,メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル等のメタクリル酸又はアクリル酸のアルキルエステル,β−ヒドロキシメタクリル酸エチル,β−ヒドロキシアクリル酸エチル等のメタクリル酸又はアクリル酸のヒドロキシアルキルエステル,ジアリルフタレート,アクリルアミド,フェニルマレイミドなどがあげられる。また,エチレングリコールジメタクリレート,ネオペンチルグリコールジメタクリレート,トリメチールプロパントリメタクリレートなどの多官能のメタクリル酸又はアクリル酸のエステル類を用いることもできる。
不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体とを配合し,必要により重合禁止材などを加えて不飽和ポリエステル樹脂組成物とされる。
このときの不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との配合割合は,両者の合計量を100質量部とするとき,不飽和ポリエステル樹脂が25〜80質量部,重合性単量体が75〜20質量部とするのが好ましい。25質量部未満であると不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度が低すぎてシート状に塗布しにくく,また,沈降等のため他の成分と均一に混合しにくくなり,さらに,得られる繊維強化成形材料を成形しても硬化収縮率が大きく,成形品に割れ,クラック等が生じる場合がある。不飽和ポリエステル樹脂が80質量部を超えると,粘度が高すぎて均一に塗布したり,他の成分との混合がしにくくなる場合がある。このことから,不飽和ポリエステル樹脂が40〜65質量部,重合性単量体が60〜35質量部とするのがより好ましい。
重合禁止材としては,p−ベンゾキノン,ナフトキノン,トルキノン,ハイドロキノン,モノ−t−ブチルハイドロキノン,ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。重合禁止材は,前記不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との総量に対して0.5質量%以下で使用されることが好ましい。硬化材を配合したときは,貯蔵安定性のため,0.05質量%以上含有させることが好ましい。
このときの不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との配合割合は,両者の合計量を100質量部とするとき,不飽和ポリエステル樹脂が25〜80質量部,重合性単量体が75〜20質量部とするのが好ましい。25質量部未満であると不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度が低すぎてシート状に塗布しにくく,また,沈降等のため他の成分と均一に混合しにくくなり,さらに,得られる繊維強化成形材料を成形しても硬化収縮率が大きく,成形品に割れ,クラック等が生じる場合がある。不飽和ポリエステル樹脂が80質量部を超えると,粘度が高すぎて均一に塗布したり,他の成分との混合がしにくくなる場合がある。このことから,不飽和ポリエステル樹脂が40〜65質量部,重合性単量体が60〜35質量部とするのがより好ましい。
重合禁止材としては,p−ベンゾキノン,ナフトキノン,トルキノン,ハイドロキノン,モノ−t−ブチルハイドロキノン,ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。重合禁止材は,前記不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との総量に対して0.5質量%以下で使用されることが好ましい。硬化材を配合したときは,貯蔵安定性のため,0.05質量%以上含有させることが好ましい。
本発明で用いられる低収縮材としては,ポリメタクリル酸メチル,ポリスチレン,ポリカプロラクトン,ポリ酢酸ビニル,ポリエチレン,ブタジエンゴムなどの熱可塑性樹脂が用いられる。使用量は,成形品の成形収縮率や表面平滑性、表面光沢等の表面特性を考慮して決定され,特に制限はない。低収縮材は,前記不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との総量に対して20〜50質量%の範囲で使用されることが好ましい。
本発明で用いられる硬化材としては,ケトンパーオキサイド類,パーオキシジカーボネート類,ハイドロパーオキサイド類,ジアシルパーオキサイド類,パーオキシケタール類,ジアルキルパーオキサイド類,パーオキシエステル類,アルキルパーエステル類などが挙げられる。硬化材の量は,成形サイクルのみではなく材料の保存性,色むら等の面にも影響があるため,それぞれに応じて決定される。材料の保存性,成形サイクルの面から前記不飽和ポリエステル樹脂及び重合性単量体の総量に対して0.5〜5.0質量%が好ましく,より好ましくは1.0〜3.0質量%である。
増粘材としては,酸化マグネシウム,水酸化マグネシウム,酸化カリウム,水酸化カリウム等が用いられるが,一般的には酸化マグネシウムが用いられる。増粘材の量は,成形材の作業性に応じて決定されるが,前記不飽和ポリエステル樹脂及び重合性単量体の総量に対して,0.5〜5.0質量%が好ましく,より好ましくは0.7〜2.0質量%である。増粘材が少な過ぎると,樹脂組成物の粘度が上昇しない場合があり,樹脂組成物とした場合に柔らかく,取扱い時のべたつきによる作業性低下やプレス成形時にピンホール等の欠陥が発生しやすくなる等の問題が生じる。また,増粘材が多すぎると粘度上昇が著しく,繊維基材への含浸不良をおこし,成形した場合,成形品にふくれ、巣、ピンホール等の欠陥が生じるためである。
充填材としては,平均粒径5μm以上〜30μm以下の水酸化アルミニウムが用いられる。水酸化アルミニウムの平均粒径を規定するのは,その平均粒径が5μm未満では,透明性が低下するため目的とする高級感が得られない。また,30μmを超えると表面光沢や表面平滑性等の表面特性が低下するなどの等の問題があるためである。
その含有量は,増粘性及び作業性,並びに成形した場合の表面特性,機械特性等を考慮して決定されるが不飽和ポリエステル樹脂組成物中の含有量が30質量%以上60質量%以下になるように加えられる。
不飽和ポリエステル樹脂組成物中の水酸化アルミニウムの含有量を規定するのは,その含有量が30質量%未満では不飽和ポリエステル樹脂組成物の酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属酸化物等による増粘反応が進みにくく,増粘後のタックフリー性が不足し,取扱い時のべたつきによる作業性低下やプレス成形時にピンホール等の欠陥が発生しやすくなる等の問題があるためである。また,水酸化アルミニウムが60質量%を超えると,成形品の表面光沢等の表面特性が低下する。また,不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度上昇が著しく,繊維基材への含浸性が悪化し,成形時にふくれ,巣,ピンホール等の欠陥が生じるなどの問題があるためである。
その含有量は,増粘性及び作業性,並びに成形した場合の表面特性,機械特性等を考慮して決定されるが不飽和ポリエステル樹脂組成物中の含有量が30質量%以上60質量%以下になるように加えられる。
不飽和ポリエステル樹脂組成物中の水酸化アルミニウムの含有量を規定するのは,その含有量が30質量%未満では不飽和ポリエステル樹脂組成物の酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属酸化物等による増粘反応が進みにくく,増粘後のタックフリー性が不足し,取扱い時のべたつきによる作業性低下やプレス成形時にピンホール等の欠陥が発生しやすくなる等の問題があるためである。また,水酸化アルミニウムが60質量%を超えると,成形品の表面光沢等の表面特性が低下する。また,不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度上昇が著しく,繊維基材への含浸性が悪化し,成形時にふくれ,巣,ピンホール等の欠陥が生じるなどの問題があるためである。
前記の不飽和ポリエステル樹脂組成物には,さらに,適宜,離型材,安定材,着色材等が配合される。
離型材としては,ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウム等が使用される。離型材の量は,前記不飽和ポリエステル樹脂及び重合性単量体の総量に対して,1.0〜10質量%が好ましく,より好ましくは2.0〜4.0質量%である。離型材の量が少なすぎると成形品が型に付き,脱型しづらく,また成形品にクラック等が入る場合がある。また,離型剤が多すぎると成形品強度が低下する傾向にある。
繊維強化基材(補強材)としては,ガラス繊維が用いられる。ガラス繊維は,連続繊維,織布等の形態で用いられるが,ロービング状のものを5〜30mmに切断したものを用いることが好ましい。
本発明においては,繊維基材としてさらに有機繊維を使用できる。この有機繊維のSMC中の含有率は2.0〜40質量%が好適である。2.0質量%未満では,その補強効果が十分でなく,得られたSMC成形品の強度が不足するためである。また,40質量を超えると,不飽和ポリエステル樹脂組成物への含浸性が低下し,成形品に繊維模様,ふくれ,クラック,ピンホール等の欠陥が発生し,製品外観を損ねるとともに強度も低下してしまうためである。また,使用する有機繊維の形態は,不織布,クロス,あるいはチョップド短繊維等を用いることができるが,不織布は,SMCの成形時(成形品の製造時)に,クロスよりも樹脂の流動性がよく,チョップド短繊維よりも繊維の均一分散性,樹脂含浸性がよい。
有機繊維基材を構成する有機繊維長は,3〜150mmが好適である。繊維長が3mm未満では補強効果が不十分で成形品の強度が不足し,150mmを超えると成形時の樹脂の流動性が悪く,成形品外観が損なわれ,又,リブやボスヘの充填性も悪く,成形品の用途,形状が制限されるためである。
上記の有機繊維としては,ポリエステル繊維,セルロース繊維,ナイロン繊維,アラミド繊維等の合成繊維やサイザル麻,ジュート等の天然繊維を用いることができるが,ポリエステル繊維が,不飽和ポリエステル樹脂との密着性に優れることから好適である。又,サイザル麻やジュート等の天然繊維は,合成繊維に比べて安価であり,しかも天然物を有効利用できることから環境配慮の点からも好適である。
有機繊維基材を構成する有機繊維長は,3〜150mmが好適である。繊維長が3mm未満では補強効果が不十分で成形品の強度が不足し,150mmを超えると成形時の樹脂の流動性が悪く,成形品外観が損なわれ,又,リブやボスヘの充填性も悪く,成形品の用途,形状が制限されるためである。
上記の有機繊維としては,ポリエステル繊維,セルロース繊維,ナイロン繊維,アラミド繊維等の合成繊維やサイザル麻,ジュート等の天然繊維を用いることができるが,ポリエステル繊維が,不飽和ポリエステル樹脂との密着性に優れることから好適である。又,サイザル麻やジュート等の天然繊維は,合成繊維に比べて安価であり,しかも天然物を有効利用できることから環境配慮の点からも好適である。
SMCは,通常のSMC製造装置を用いて通常の方法により製造することができる。
例えば,前記不飽和ポリエステル樹脂組成物を,上下に配置されたキャリアフィルムに均一な厚さとなるように塗布し,巻き出し装置から巻き出された所定の大きさの繊維補強材(織布又は不織布)を上記した上下に配置されたキャリアフィルムの不飽和ポリエステル樹脂組成物に挾み込み,次いで,全体を含浸ロールの間に通して,圧力を加えて繊維補強材を不飽和ポリエステル樹脂組成物に含浸させた後,ロール状に巻き取るかつづら折りに畳む。また,繊維補強剤として単繊維を用いる場合,キャリアフィルムに不飽和ポリエステル樹脂組成物を塗布し,ついで,単繊維をその上に散布する方法もある。
この後,必要に応じて熟成等を行う。増粘材を配合した場合には室温〜60℃の温度に加熱して熟成することが好ましい。
離型フィルムとしては,ポリエチレンフィルム,ポリプロピレンフィルム等を用いることができる。
例えば,前記不飽和ポリエステル樹脂組成物を,上下に配置されたキャリアフィルムに均一な厚さとなるように塗布し,巻き出し装置から巻き出された所定の大きさの繊維補強材(織布又は不織布)を上記した上下に配置されたキャリアフィルムの不飽和ポリエステル樹脂組成物に挾み込み,次いで,全体を含浸ロールの間に通して,圧力を加えて繊維補強材を不飽和ポリエステル樹脂組成物に含浸させた後,ロール状に巻き取るかつづら折りに畳む。また,繊維補強剤として単繊維を用いる場合,キャリアフィルムに不飽和ポリエステル樹脂組成物を塗布し,ついで,単繊維をその上に散布する方法もある。
この後,必要に応じて熟成等を行う。増粘材を配合した場合には室温〜60℃の温度に加熱して熟成することが好ましい。
離型フィルムとしては,ポリエチレンフィルム,ポリプロピレンフィルム等を用いることができる。
SMCの粘度は,40℃において15,000〜150,000Pa・sとなるように調整されるのが好ましく,60,000〜120,000Pa・sとなるように調整されるのが特に好ましい。粘度が低すぎると,成形品表面にスカミングが発生し易く,また粘度が高すぎると型締め時間が長くなって成形サイクルが長くなる傾向を示す。ただし,繊維強化成形材料の最適の粘度は,成形品によって決定される。また,繊維強化成形材料の粘度は増粘材の配合量や熟成条件によって調整することができる。
SMCは,圧縮成形,トランスファー成形等により成形され,広範囲なFRP成形品を得ることができる。成形温度は80℃以上130℃以下,成形圧力は0.1〜10MPaであることが好ましい。成形温度が80℃未満の場合,硬化時間が長くなり,その結果成形サイクルが長くなる。また,130℃を超えると透明感が低下するため,本発明の目的の高級感が得られない。
上記のようにして作製したSMCを用いると,透明感があり高級感のある成形品が得られ,従来のSMCと比較して優れた特性を持たせることができる。
以下において,スチレンで希釈された不飽和ポリエステル樹脂として,ポリセツトPS−9415(不飽和ポリエステル樹脂40質量%のスチレン溶液,日立化成工業株式会社製、商品名),低収縮材としてポリスチレン(デンカスチロール,電気化学工業株式会社,商品名)を用いた。
実施例1〜7(実施例No.1〜7)及び比較例1〜6(比較例No.1〜6)
(SMCの作製)
スチレンに溶解された不飽和ポリエステル樹脂80質量部(スチレン60質量%)及びスチレンに溶解したポリスチレン20質量部(スチレン70質量%),そして,この重合性単量体のスチレンで希釈された不飽和ポリエステルとスチレンで溶解したポリスチレンの混合物100質量部に対して,硬化材のt−アミルパーオキシベンゾエート1.0質量部,重合禁止材のパラベンゾキノン0.01質量部,離型材のステアリン酸亜鉛4.0質量部,及び増粘材の酸化マグネシウム1.0質量部を配合し,充填材として水酸化アルミニウムを配合して不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。水酸化アルミニウムは,不飽和ポリエステル樹脂組成物に対して,表1に示す割合で配合した。
このように配合して得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物を,通常の方法により所定含有量にて含浸させ,SMCを作製した。
(SMCの作製)
スチレンに溶解された不飽和ポリエステル樹脂80質量部(スチレン60質量%)及びスチレンに溶解したポリスチレン20質量部(スチレン70質量%),そして,この重合性単量体のスチレンで希釈された不飽和ポリエステルとスチレンで溶解したポリスチレンの混合物100質量部に対して,硬化材のt−アミルパーオキシベンゾエート1.0質量部,重合禁止材のパラベンゾキノン0.01質量部,離型材のステアリン酸亜鉛4.0質量部,及び増粘材の酸化マグネシウム1.0質量部を配合し,充填材として水酸化アルミニウムを配合して不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。水酸化アルミニウムは,不飽和ポリエステル樹脂組成物に対して,表1に示す割合で配合した。
このように配合して得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物を,通常の方法により所定含有量にて含浸させ,SMCを作製した。
成形品の製造
上記で得られたSMCを用いて,220cm角の平板を加圧加熱成形した。なお,成形条件は,SMC投入重量300g,チャージ面積0.05m2(15cm角),成形圧力9MPa,保圧時間3分で成形した。
上記で得られたSMCを用いて,220cm角の平板を加圧加熱成形した。なお,成形条件は,SMC投入重量300g,チャージ面積0.05m2(15cm角),成形圧力9MPa,保圧時間3分で成形した。
試験方法
(1)繊維基材の含浸性
得られたSMCシートの中の繊維基材をカッターナイフで表面の樹脂を取り除きながら観察し,繊維基材に樹脂が含浸されていない箇所の有無を目視判断した。繊維基材に樹脂が含浸されていない箇所がない場合を○として,その箇所が有る場合を×として評価した。
(2)作業性
得られたSMCシートの表面を触手により観察した。べたつきがない場合を○として,べたつきが感じられる場合を×として評価した。
(3)光沢
光沢度計にて成形板表面の60°反射率を測定した。測定値が85以上の場合を○として,80以上85未満の場合を△,80未満の場合を×として評価した。
(4)透明性
積分球式光線透過率測定装置を用いて4mm厚成形板の全光線透過率を測定した。透過率10%以上を○として,5%以上10%未満の場合を△,5%未満の場合を×として評価した。
(1)繊維基材の含浸性
得られたSMCシートの中の繊維基材をカッターナイフで表面の樹脂を取り除きながら観察し,繊維基材に樹脂が含浸されていない箇所の有無を目視判断した。繊維基材に樹脂が含浸されていない箇所がない場合を○として,その箇所が有る場合を×として評価した。
(2)作業性
得られたSMCシートの表面を触手により観察した。べたつきがない場合を○として,べたつきが感じられる場合を×として評価した。
(3)光沢
光沢度計にて成形板表面の60°反射率を測定した。測定値が85以上の場合を○として,80以上85未満の場合を△,80未満の場合を×として評価した。
(4)透明性
積分球式光線透過率測定装置を用いて4mm厚成形板の全光線透過率を測定した。透過率10%以上を○として,5%以上10%未満の場合を△,5%未満の場合を×として評価した。
Claims (3)
- 不飽和ポリエステル樹脂,重合性単量体,低収縮材,硬化材,増粘材及び充填材として水酸化アルミニウムを含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるシートモールディングコンパウンドにおいて,水酸化アルミニウムの平均粒径が5μm以上30μm以下であり,その含有量が前記不飽和ポリエステル樹脂組成物に対して30質量%以上60質量%以下であることを特徴とするシートモールディングコンパウンド。
- 請求項1記載のシートモールディングコンパウンドを温度80℃以上130℃以下で加熱加圧成形することを特徴とするシートモールディングコンパウンドの成形方法。
- 請求項1又は請求項2記載のシートモールディングコンパウンドを加圧加熱成形したシートモールディングコンパウンド成形品。
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