JP2001213982A - シートモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品 - Google Patents

シートモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品

Info

Publication number
JP2001213982A
JP2001213982A JP2000355989A JP2000355989A JP2001213982A JP 2001213982 A JP2001213982 A JP 2001213982A JP 2000355989 A JP2000355989 A JP 2000355989A JP 2000355989 A JP2000355989 A JP 2000355989A JP 2001213982 A JP2001213982 A JP 2001213982A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet molding
molding compound
unsaturated polyester
mass
organic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000355989A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Hasegawa
寛士 長谷川
Mitsuo Kaname
光男 要
Mamoru Kimura
守 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Priority to JP2000355989A priority Critical patent/JP2001213982A/ja
Publication of JP2001213982A publication Critical patent/JP2001213982A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
  • Bathtubs, Showers, And Their Attachments (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼却残分が少なく、従って、セメント燃原料
としても熱効率が高く、また、廃棄処理も容易であり、
リサイクル性に優れるシートモールディングコンパウン
ドSMC及びこれを用いた成形品を提供することを目的
とする。 【解決手段】 不飽和ポリエステル樹脂、重合性単量
体、低収縮剤、硬化剤、増粘剤及び充填材を含有する不
飽和ポリエステル組成物を有機繊維基材に含浸させてな
るシートモールディングコンパウンドにおいて、上記充
填材が有機物粉末であり、これが上記不飽和ポリエステ
ル組成物中3〜50質量%含有され、シートモールディ
ングコンパウンド中のの有機繊維基材の含有量が2〜4
0質量%以上であることを特徴とするシートモールディ
ングコンパウンド並びにこれを加圧加熱成形したシート
モールディングコンパウンド成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浴槽、洗い場パ
ン、浴室壁パネル等の浴室機器、パネル組立式貯水槽、
浄化槽等に用いられる成形材料であるシートモールディ
ングコンパウンド(以下,SMCと称する)、並びにそ
のSMCを成形した成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】SMCは、ビニル系単量体に希釈させた
不飽和ポリエステルに、添加剤として低収縮剤、硬化
剤、重合禁止剤、充填剤、増粘剤、雛型剤、さらには着
色剤等を混ぜたぺ一ストにガラス繊維を含浸させてシー
ト状にして両側をキャリアフィルムで覆い、熟成して半
固形化させた成形材料である。この、SMCは、金型に
載置して加圧加熱成形され、浴槽、パネル組立式貯水
槽、浄化槽等のSMC成形品として製造される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにして加圧
加熱成形されたSMC成形品は、その優れた耐久性、耐
水性、機械強度、あるいは成形品表面の光沢等、及び形
状の自由度が大きく意匠性に優れる点等から浴槽等の浴
室機器やパネル組立式貯水槽、浄化槽等として広く用い
られている。しかしながら、前記のSMC成形品は、ジ
シクロペンタジエンや熱可塑性樹脂成形品等と比べてリ
サイクル性や産業廃棄物処理に難点がある。すなわち、
SMC成形品には補強材としてガラス繊維が、一般的に
は10〜50質量%含まれており、そのためにセメント
燃原料等で熱回収リサイクルを行う時には、他の熱可塑
性樹脂成形品に比べて、発生熱量が低く熱回収効率が悪
い、あるいはガラス繊維が残るために燃焼後の廃棄処理
量が多いなどの問題がある。
【0004】また、マテリアルリサイクルはガラス繊維
を含んでいるため、その分離が困難であり、現状不可能
であり、埋め立て処理せざるを得ず、環境問題になりつ
つあるのが現状である。また、SMC成形品は高比重の
ガラス繊維を含むために、ジシクロペンタジエン樹脂や
熱可塑性樹脂に比べて比重が高く、製品の軽量化が難し
く施工性にも劣っている。このようなことから、SMC
成形品は、浄化槽、パネル組み立て式貯水槽、自動車用
外装部材等で、ガラス繊維を含まないジシクロペンタジ
エン樹脂や熱可塑性樹脂にその用途を取って代られつつ
ある。
【0005】本発明は、かかる課題に鑑みてなされたも
ので、リサイクル性に優れるSMC及びSMC成形品を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、次のものに関
する。 (1) 不飽和ポリエステル樹脂、重合性単量体、低収
縮剤、硬化剤、増粘剤及び充填材を含有する不飽和ポリ
エステル組成物を有機繊維基材に含浸させてなるシート
モールディングコンパウンドにおいて、上記充填材が有
機物粉末であり、これが上記不飽和ポリエステル組成物
中3〜50質量%含有され、シートモールディングコン
パウンド中のの有機繊維基材の含有量が2〜40質量%
以上であることを特徴とするシートモールディングコン
パウンド。 (2) 有機繊維基材は繊維長が3〜150mmのもの
を主体とする不織布である項(1)に記載のシートモー
ルディングコンパウンド。 (3) 有機物粉末のの水分含有量が0.8質量%以下
である項(1)又は(2)に記載のシートモールディン
グコンパウンド。 (4) 有機繊維基材の有機繊維がビニロン繊維であ
り、有機物粉末が木粉である項(1)〜(3)のいずれ
かに記載のシートモールディングコンパウンド。 (5) 項(1)〜(4)のいずれかに記載のシートモ
ールディングコンパウンドを、加圧加熱成形したシート
モールディングコンパウンド成形品。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明におけるシートモールディ
ングコンパウンド(SMC)は、不飽和ポリエステル樹
脂、重合性単量体、低収縮剤、硬化剤、増粘剤及び繊維
強化材を配合してなる繊維強化成形材料であって、シー
ト状に形成してなるものである。
【0008】本発明における不飽和ポリエステル樹脂
は、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物を必須成分
として含む多塩基酸成分と多価アルコールを反応させて
得られる。本発明において、不飽和ポリエステル樹脂の
合成原料であるα,β−不飽和多塩基酸又はその無水物
としては、例えば、α,β−不飽和二塩基酸又はその無
水物、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シ
トラコン酸、無水マレイン酸、これらの無水物などが挙
げられる。これらは、2種以上併用してもよい。多塩基
酸成分としては、不飽和基の濃度を調節すること、可撓
性、耐熱性などの特性を付与するために、α,β−不飽
和多塩基酸又はその無水物のほか、飽和多塩基酸又はそ
の無水物を併用するのが好ましい。このとき、α,β−
不飽和多塩基酸又はその無水物としては、多塩基酸成分
のうち、40モル%以上とするのが好ましい。α,β−
不飽和多塩基酸又はその無水物が40モル%より少なく
なると得られる成形品の強度が漸次低下する傾向を示
す。このことから、α,β−不飽和多塩基酸又はその無
水物が、45〜80モル%であるのがより好ましく、5
0〜70モル%であることが特に好ましい。
【0009】併用される飽和多塩基酸又はその無水物と
しては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレ
フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フ
タル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタ
ル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル
酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、トリメリッ
ト酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー
酸、こはく酸、アゼライン酸、ロジン−マレイン酸付加
物などが挙げられる。これらは、2種以上を併用しても
よい。
【0010】不飽和ポリエステル樹脂のもう一つの合成
原料である多価アルコールとしては、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,
4−シクロヘキサンジオール、水素添加ビスフェノール
A等の二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプ
ロパン等の三価アルコール、ペンタエリスリトール等の
四価アルコールなどが挙げられる。これらは、2種以上
を併用してもよい。
【0011】多塩基酸成分と多価アルコールとは、当量
比で、多塩基酸成分を1とするとき、多価アルコールを
1〜1.3の範囲で使用することが好ましく、1.03
〜1.05の範囲で使用することがより好ましい。多価
アルコールが少なくなると、得られる不飽和ポリエステ
ル樹脂の分子量が小さくなる傾向にあり、多くなると酸
価が小さくなって増粘剤による増粘の進行が遅くなる傾
向がある。
【0012】不飽和ポリエステル樹脂の製造方法として
は、従来から公知の方法によることができる。例えば、
多塩基酸成分、多価アルコール成分とを縮合反応させ、
両成分が反応するときに生じる縮合水を系外に除きなが
ら進められる。縮合水を系外に除去することは、好まし
くは不活性気体を通じることによる自然留出又は減圧留
出によって行われる。縮合水の留出を促進するため、ト
ルエン、キシレンなどの溶剤を共沸成分として系中に添
加することもできる。反応の進行は、一般に反応により
生成する留出分量の測定、末端の官能基の定量、反応系
の粘度の測定などにより知ることができる。反応の温度
は150℃以上とすることが好ましく、また酸化による
副反応を防止するためにチッ素、二酸化炭素などの不活
性気体を通気しながら反応させることが好ましい。この
ことから、反応装置としては、ガラス、ステンレス製等
のものが選ばれ、撹拌装置、水とアルコール成分の共沸
によるアルコール成分の留出を防ぐための分留装置、反
応系の温度を高める加熱装置、この加熱装置の温度制御
装置、チッ素など不活性気体の吹込み装置等を備えた反
応装置を用いるのが好ましい。
【0013】不飽和ポリエステルの数平均分子量は25
00〜4500であることが好ましい。分子量が250
0よりも低いと増粘剤を適量添加しても増粘が上がらず
樹脂組成物とした場合に柔らかく作業性が悪化するなど
の問題が発生する。分子量が4500よりも大きいと粘
度が高くガラス繊維の含浸不良をおこし成形した場合表
面光沢性が低下する。
【0014】本発明に用いられる重合性単量体として
は、例えば、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベン
ゼン、ターシャリブチルスチレン、臭化スチレン等のス
チレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のメタクリ
ル酸又はアクリル酸のアルキルエステル、β−ヒドロキ
シメタクリル酸エチル、β−ヒドロキシアクリル酸エチ
ル等のメタクリル酸又はアクリル酸のヒドロキシアルキ
ルエステル、ジアリルフタレート、アクリルアミド、フ
ェニルマレイミドなどがあげられる。また、エチレング
リコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジ
メタクリレート、トリメチールプロパントリメタクリレ
ートなどの多官能のメタクリル酸又はアクリル酸のエス
テル類を用いることもできる。
【0015】不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体と
を配合し、必要により重合禁止剤などを加えて不飽和ポ
リエステル樹脂組成物とされる。このときの不飽和ポリ
エステル樹脂と重合性単量体との配合割合は、両者の合
計量を100重量部とするとき、不飽和ポリエステル樹
脂が25〜80重量部、重合性単量体が75〜20重量
部とするのが好ましい。25重量部未満であると不飽和
ポリエステル樹脂組成物の粘度が低すぎてシート状に塗
布しにくく、また、沈降等のため他の成分と均一に混合
しにくくなり、さらに、得られる繊維強化成形材料を成
形しても硬化収縮率が大きく、成形品に割れ、クラック
等が生じる場合がある。不飽和ポリエステル樹脂が80
重量部を超えると、粘度が高すぎて塗布したり、他の成
分と混合しにくくなる場合がある。このことから、不飽
和ポリエステル樹脂が40〜65重量部、重合性単量体
が60〜35重量部とするのがより好ましい。重合禁止
剤としては、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、トルキ
ノン、ハイドロキノン、モノ−t−ブチルハイドロキノ
ン、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。重合
禁止剤は、前記不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体
との総量に対して0.5重量%以下で使用されることが
好ましい。硬化剤を配合したときは、貯蔵安定性のた
め、0.05重量%以上含有させることが好ましい。
【0016】本発明で用いられる低収縮剤としては、ポ
リメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカプロラク
トン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ブタジエンゴム
などの熱可塑性樹脂が用いられる。使用量は、成形品の
収縮率や表面平滑性、表面光沢を考慮して決定され、特
に制限はない。低収縮剤は、前記不飽和ポリエステル樹
脂と重合性単量体との総量に対して20〜50重量%の
範囲で使用されることが好ましい。
【0017】本発明で用いられる硬化剤としては、ケト
ンパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、ハ
イドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、
パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、
パーオキシエステル類、アルキルパーエステル類などが
挙げられる。硬化剤の量は、成形サイクルのみではなく
材料の保存性、色ムラ等の面に影響があるため、それぞ
れに応じて決定される。材料の保存性、成形サイクルの
面から前記不飽和ポリエステル樹脂及び重合性単量体の
総量に対して0.5〜5重量%が好ましく、より好まし
くは1〜3重量%である。
【0018】増粘剤としては、酸化マグネシウム、水酸
化マグネシウム、酸化カリウム、水酸化カリウム等が用
いられるが、一般的には酸化マグネシウムが用いられ
る。増粘剤の量は、成形材の作業性に応じて決定される
が、前記不飽和ポリエステル樹脂及び重合性単量体の総
量に対して、0.5〜5重量%が好ましく、より好まし
くは0.7〜2重量%である。増粘剤が少なすぎると樹
脂組成物の粘度が上昇しない場合がある。また増粘剤が
多すぎると粘度が上昇し過ぎて制御できなくなる場合が
ある。
【0019】有機物粉末としては、木粉やポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、
ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂粉末、不飽和ポリエ
ステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン
樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂粉末、あるいは使用済
のペットボトルやクレジットカード等の回収、粉砕品等
を用いることができる。有機物粉末は、不飽和ポリエス
テル樹脂組成物中の含有量が3〜50質量%になるよう
に加えられる。有機物粉末の含有量が3質量%未満では
不飽和ポリエステル樹脂組成物の酸化マグネシウム等の
アルカリ土類金属酸化物等による増粘反応が進みにく
く、増粘後のタックフリー性が不足し、取扱い時のべと
つきによる作業性低下やプレス成形時にピンホール等の
欠陥が発生しやすくなる等の問題があるためである。ま
た、有機物粉末の含有量が50質量%を超えると、不飽
和ポリエステル樹脂組成物の粘度上昇が著しく、有機繊
維基材への含浸性が悪くなり、成形時にふくれ、巣、ピ
ンホール等の欠陥を招きやすくなるためである。有機物
粉末の水分含有量は、好ましくは12質量%以下、より
好ましくは10質量%以下である。水分含有量が10質
量%より多くなると、不飽和ポリエステル樹脂組成物の
水分含有量が多くなり、SMC製造時の増粘速度が速く
なり有機繊維基材への含浸性低下を招く恐れがあるため
である。特に、有機繊維として、ビニロン繊維を用いた
場合は、有機物粉末の水分は上記のように比較的多くて
もよいが、その他の有機繊維の場合は、1質量%以下が
好ましく、特に0.8質量%以下であることが好まし
い。有機物粉末の粒径については、特に制限はないが、
平均粒径が2〜500μmであることが好ましい。
【0020】前記の不飽和ポリエステル樹脂組成物に
は、さらに、適宜、無機充填材、離型剤、安定剤、着色
剤等が配合される。
【0021】無機充填材としては、珪砂、炭酸カルシウ
ム、タルク、クレー等が挙げられる。無機充填材の配合
量は、不飽和ポリエステル樹脂、重合性単量体及び低収
縮剤との混合物100質量部に対して、0〜200質量
部であることが好ましい。
【0022】離型剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステ
アリン酸カルシウム等が使用される。離型剤の量は、前
記不飽和ポリエステル樹脂及び重合性単量体の総量に対
して、1〜10重量%が好ましく、より好ましくは2〜
4重量%である。離型剤の量が少なすぎると1重量部未
満では成形品が型に付き、脱型しづらく、また成形品に
クラック等が入る場合がある。また、離型剤が多すぎる
と成形品強度が低下する傾向にある。
【0023】繊維補強材として、有機繊維が用いられ
る。この有機繊維のSMC中の含有率は2〜40質量%
以下が好適である。2質量%未満では、その補強効果が
十分でなく、得られたSMC成形品の強度が不足するた
めである。また、40質量%を超えると、不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物への含浸性が低下し、成形品に繊維
目、ふくれ、クラック、ピンホール等の欠陥が発生し、
製品外観を損ねるとともに強度も低下してしまうためで
ある。また、使用する有機繊維の形態は、不織布、クロ
ス、あるいはチョップド短繊維等を用いることができる
が、不織布は、SMCの成形時(成形品の製造時)に、
クロスよりも樹脂の流動性がよく、チョップド短繊維よ
りも繊維の均一分散性、樹脂含浸性がよい。有機繊維基
材を構成する有機繊維の長は、3〜150mmが好適で
ある。繊維長が3mm未満では補強効果が不十分で成形
品の強度が不足し、150mmを超えると成形時の樹脂
の流動性が悪く、成形品外観が損なわれ、又、リブやボ
スヘの充填性も悪く、成形品の用途、形状が制限される
ためである。上記の有機繊維としては、ポリエステル繊
維、セルロース繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維等を
用いることができるが、ポリエステル繊維が、不飽和ポ
リエステル樹脂との密着性に優れることから、好適であ
る。
【0024】SMCは、通常のSMC製造装置を用い
て、通常の方法により製造することができる。前記不飽
和ポリエステル樹脂組成物を、上下に配置されたキャリ
アフィルムに均一な厚さとなるように塗布し、巻きだし
装置から巻き出された所定の大きさの繊維補強材(織布
又は不織布)を上記した上下に配置されたキャリアフィ
ルムの不飽和ポリエステル樹脂組成物に挾み込み、次い
で、全体を含浸ロールの間に通して、圧力を加えて繊維
補強材を不飽和ポリエステル樹脂組成物に含浸させた
後、ロール状に巻き取るかつづら折りに畳む。また、繊
維補強剤として単繊維を用いる場合、キャリアフィルム
に不飽和ポリエステル樹脂組成物を塗布し、ついで、単
繊維をその上に散布する方法もある。この後、必要に応
じて熟成等を行う。増粘剤を配合した場合には室温〜6
0℃の温度に加熱して熟成することが好ましい。離型フ
ィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレ
ンフィルム等を用いることができる。
【0025】SMCの粘度は、40℃において1,00
0〜18,000Pa・sとなるように調整されるのが
好ましい。粘度が低すぎると、成形品表面にスカミング
が発生し易く、また粘度が高すぎると型締め時間が長く
なって成形サイクルが長くなる傾向を示す。繊維強化成
形材料の粘度は、40℃において1,500Pa・s〜
15,000Pa・sとなるように調整されるのがより
好ましく、3,500〜12,000Pa・sとなるよ
うに調整されるのが特に好ましい。ただし、繊維強化成
形材料の最適の粘度は、成形品によって決定される。ま
た、繊維強化成形材料の粘度は増粘剤の配合量や熟成条
件によって調整することができる。
【0026】SMCは、圧縮成形、トランスファー成形
等により成形され、広範囲なFRP成形品を得ることが
できる。成形温度は70〜150℃、成形圧力は0.1
〜10MPaであることが好ましい。
【0027】上記のようにして作製したSMCを用いる
と、運搬時等に衝撃を受けた時にクラックが発生しにく
くなり、パネル組立式貯水槽、浄化槽等の大型容器、大
型成形品、浴室壁成型品等に優れた特性を持たせること
ができる。
【0028】次に上記のSMCと、加飾フィルムを用い
て得られる加飾成形品について説明する。加飾成形品
は、表面層に加飾面を有するものであり、浴室壁パネ
ル、洗い場、浴槽エプロンなどに限定されるものでな
く、上記のSMC及び加飾フィルムとから得られる樹脂
成形品である。このような加飾成形品は、次のようにし
て製造される。先ず、SMCを金型へ積置する際に、加
飾を必要とされる面の最上面に加飾フィルム層が形成さ
れるように、SMCと加飾フィルムとを積層して積置す
る。次にもう一方の型を合わせて、加圧及び加熱が行わ
れて成形される。そして所定時間経過後に金型より脱型
して意匠性に優れた加飾成形品が得られる。
【0029】
【実施例】以下において、スチレンで希釈された不飽和
ポリエステル樹脂として、ポリセツトPS−9415
(不飽和ポリエステル樹脂40質量%のスチレン溶液、
日立化成工業株式会社製、商品名)、低収縮剤としてポ
リスチレン(デンカスチロール、電気化学工業株式会社
商品名)を用いた。
【0030】実施例1〜3及び比較例1〜3 (SMCの作製)スチレンに溶解された不飽和ポリエス
テル樹脂80質量部(スチレン60質量%)及びスチレ
ンに溶解したポリスチレン20質量部(スチレンモノマ
ー70質量%)、そして、この重合性単量体のスチレン
で希釈された不飽和ポリエステルとスチレンで溶解した
ポリスチレンの混合物100質量部に対して、硬化剤の
t−ブチルパーオキシベンゾエート1質量部、重合禁止
剤のパラベンゾキノン0.06質量部、グレー色着色剤
6.5質量部、離型剤のステアリン酸亜鉛3.5質量
部、増粘剤の酸化マグネシウム0.7質量部を配合し、
さらに、表1又は表2に示す有機物粉末及び充填材を表
1又は表2に示す量だけ配合した。このように配合して
得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物を、表1又は表
2に示すように所定の有機繊維に所定含有量にて通常の
方法により含浸させ、SMCを作製した。
【0031】成型品の製造 上記で得られたSMCを用いて、220cm角の平板を
加圧加熱成形した。なお、成形条件は、SMC投入重量
1.5kg、チャージ面積0.05m2(15cm
角)、成形圧力9MPa、保圧時間4分に成形した。
【0032】試験方法 (1)繊維の含浸性 得られたSMCシートの中の繊維基材をカッターナイフ
で表面の樹脂を取り除きながら観察し、樹脂が含浸され
ていない繊維基材の箇所の有無を目視判断した。樹脂が
含浸されていない繊維基材の箇所がない場合を〇とし
て、その箇所が有る場合を×として評価した。 (2)成形作業性 SMCは、フィルムの剥離性、べとつきの有無、剥離後
の樹脂のたれを観察し、フィルムの剥離性が優れ、べと
つきがなく、剥離後の樹脂のたれもないものを〇とし
て、いずれかに欠陥があるものを×として評価した。 (3)成型品の外観 得られた成型品を目視観察し、SMCの充填度合い、ふ
くれ、巣、ピンホール等の欠陥の有無を調べた。欠陥の
ないものを〇として、欠陥のあるものを×として評価し
た。 (4)成型品比重 電子天秤式の比重計により測定した。 (5)曲げ強さ JIS K 6911に準じ、オリエンテック(株)製
引張試験機により測定した。 (6)灼熱時の発熱量及び残分 SMC成形品を示差熱熱重量同時測定装置にて600℃
で2時間処理したときの発熱量及び処理後の残分量を測
定した。比較例1のSMC成形品では残分が70質量%
で、ガラス繊維がその中に含まれていたのに対して、実
施例1〜3のSMC成形品の残分は、離型剤であるステ
アリン酸亜鉛中の亜鉛分と着色剤中の顔料分からなる
0.7〜1.8質量%のみであった。また、発熱量も同
重量当たりの燃焼可能分が多いために高かった
【0033】
【表1】
【0034】浴室壁成型品の製造 上記実施例で得られたSMCを用いて、幅700mm、
長さ1500mmの浴室壁成型品を加圧加熱成形した。
なお、成形条件は、SMC投入重量7kg、チャージ面
積0.87m2(幅650mm、長さ1350mm)、
成形圧力9MPa、保圧時間4分とした。いずれの成形
品の外観及び強度は良好であった。
【0035】上記実施例で得られたSMCと、加飾フィ
ルムを用いて、220cm角の平板を加圧加熱成形し
た。加飾フィルムには、ポリエステル不織布層の上に御
影石調の加飾を施した厚さ100μmのポリエステルフ
ィルムからなる加飾フィルム(大日本印刷株式会社製)
を用い、加飾面が壁パネルの表面となるように、SMC
及び加飾フィルムを金型に積置して成形した。なお、成
形条件は、SMC投入重量1.5kg、チャージ面積
0.05m2(15cm角)、成形圧力9MPa、保圧
時間4分に成形した。
【0036】
【表2】
【0037】実施例4〜13及び比較例4〜7 (SMCの作製)スチレンに溶解された不飽和ポリエス
テル樹脂80質量部(スチレン60質量%)及びスチレ
ンに溶解したポリスチレン20質量部(スチレンモノマ
ー70質量%)、そして、この重合性単量体のスチレン
で希釈された不飽和ポリエステルとスチレンで溶解した
ポリスチレンの混合物100質量部に対して、硬化剤の
t−ブチルパーオキシベンゾエート1質量部、パラベン
ゾキノン10質量%のスチレン溶液0.05質量部、白
色系着色剤5質量部、離型剤のステアリン酸亜鉛4質量
部、増粘剤の酸化マグネシウム1質量部を配合し、さら
に、表3又は表4に示すビニロン繊維不織布及び木粉を
表3又は表4に示す量だけ配合した。このように配合し
て得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物を、表3又は
表4に示すように所定の有機繊維を所定含有量にて含浸
させ、SMCを作製した。この後、実施例1〜3と同様
に行った。ただし、成型品の充填性は、成型品のリブ・
ボス部分の状態を目視で観察し、正常に成形できた場合
を〇として、欠陥がある場合を×として評価した。試験
結果を表3及び表4に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【発明の効果】不飽和ポリエステル樹脂組成物に従来の
ガラス繊維に代えて有機繊維を含浸させたSMC及びそ
の成形品は、焼却不可能なガラス繊維を含まないために
焼却残分が少なく、したがって、セメント燃原料として
も熱効率が高く、又、残査も粉状であるため、廃棄処理
も容易である。また、ガラス繊維に代えて比重の低い有
機繊維を用いるために成形品の低比重化が図れ、製品の
軽量化にも有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67/06 C08L 67/06 97/02 97/02 101/00 101/00 // B29K 67:00 B29K 67:00 105:08 105:08 105:16 105:16

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和ポリエステル樹脂、重合性単量
    体、低収縮剤、硬化剤、増粘剤及び充填材を含有する不
    飽和ポリエステル組成物を有機繊維基材に含浸させてな
    るシートモールディングコンパウンドにおいて、上記充
    填材が有機物粉末であり、これが上記不飽和ポリエステ
    ル組成物中3〜50質量%含有され、シートモールディ
    ングコンパウンド中のの有機繊維基材の含有量が2〜4
    0質量%以上であることを特徴とするシートモールディ
    ングコンパウンド。
  2. 【請求項2】 有機繊維基材は繊維長が3〜150mm
    のものを主体とする不織布である請求項1に記載のシー
    トモールディングコンパウンド。
  3. 【請求項3】 有機物粉末の水分含有量が10質量%以
    下である請求項1又は2に記載のシートモールディング
    コンパウンド。
  4. 【請求項4】 有機繊維基材の有機繊維がビニロン繊維
    であり、有機物粉末が木粉である請求項1〜3のいずれ
    かに記載のシートモールディングコンパウンド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のシート
    モールディングコンパウンドを、加圧加熱成形したシー
    トモールディングコンパウンド成形品。
JP2000355989A 1999-11-26 2000-11-22 シートモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品 Pending JP2001213982A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000355989A JP2001213982A (ja) 1999-11-26 2000-11-22 シートモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33596899 1999-11-26
JP11-335968 1999-11-26
JP2000355989A JP2001213982A (ja) 1999-11-26 2000-11-22 シートモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001213982A true JP2001213982A (ja) 2001-08-07

Family

ID=26575319

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000355989A Pending JP2001213982A (ja) 1999-11-26 2000-11-22 シートモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001213982A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH10511124A (ja) 繊維強化複合材の製造方法およびその成形物
JP2001279077A (ja) シートモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品
JP2005139221A (ja) シートモールディングコンパウンド及び成形品
JP2005154457A (ja) シートモールディングコンパウンド
JP2001213982A (ja) シートモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品
JP2003049001A (ja) シートモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品
JP2002167453A (ja) シートモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品
JP2001213981A (ja) シートモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品
JP2001152001A (ja) バルクモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品
JP2001115000A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物、シートモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品
JP2001152002A (ja) バルクモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品
JP2001115001A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂材料、シートモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品
JP2003292648A (ja) シートモールディングコンパウンド
JP2002167448A (ja) シートモールディングコンパウンドを用いた成形品
JP2003192810A (ja) シートモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品
JP2001214046A (ja) 浴室用壁パネル
JP2005139257A (ja) 成形材料及び成形品
JP2004346151A (ja) リサイクルポリエチレンテレフタレートを原材料とした、高分子量不飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル樹脂組成物、この不飽和ポリエステル樹脂組成物を使用した成形材料、及びその製造方法
JP2002212408A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物
JPH0458365B2 (ja)
JP2001114999A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた成形品
JP2005139256A (ja) シートモールディングコンパウンド
JP2003105111A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂成形品の製造方法
JPH11148000A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物並びにこれを用いた繊維強化成形材料およびシート状成形材料
JP2005154458A (ja) シート・モールディング・コンパウンド