JP5057809B2 - 樹脂基板の連続的製造方法 - Google Patents
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これらの用途においては、透明樹脂基板の平坦性と表面平滑性が非常に重要であり、デバイスの性能に大きく影響することになる。例えば、平坦性が低くうねりが生ずると、デバイスに変形が生じて耐久性が低下することになり、また、表面平滑性が低く表面が荒れていると、ディスプレイの精細性やフィルターの光学性能が低下することとなる。
更に、支持フィルムに用いる光硬化性組成物と、樹脂基板に用いる光硬化性組成物とを同種、特に同一の組成物を用いることにより、微量不純物の混入などが防止でき樹脂基板の高品質化が図られることとなる。
本発明の樹脂基板の連続的製造方法は、移送される下部支持フィルム上に光硬化性組成物[I]を供給する工程、その光硬化性組成物[I]上に下部支持フィルムと同一方向に移送される上部支持フィルムを積層する工程、及び、光硬化性組成物[I]に活性エネルギー線を照射して硬化させる工程を含む、樹脂基板の連続的製造方法であって、下部支持フィルム及び上部支持フィルムのうち少なくとも1つが、光硬化性組成物[II]を硬化して得られる樹脂フィルムである。
製造工程1は、下部支持フィルムと上部支持フィルムを製造する工程であり、光硬化性組成物[II]を硬化して得られるものであればよく、その製造方法は、通常、光硬化性組成物[II]を、平滑なPETフィルム間で活性エネルギー線により硬化して、支持フィルムが連続的に製造される。かかる支持フィルムはロール状であり、一旦製造されると、後述の製造工程2において繰り返し使用することができる。従って、高価な平滑PETフィルムについては、樹脂基板を製造する際のごく初期にしか使用されないこととなり、経済的価値は非常に大きいものとなる。
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,3,5−トリス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3,5−トリス((メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート系化合物が挙げられる。
具体的には、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−ジフェノキシジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロハシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系開始剤などが挙げられ、これらを併用することもできる。これらの光重合開始剤は、多官能(メタ)アクリレート系化合物(単官能(メタ)アクリレート系化合物を併用する場合は多官能(メタ)アクリレート系化合物と単官能(メタ)アクリレート系化合物の合計)100重量部に対して、通常0.1〜10重量部の割合で使用されることが好ましく、特に好ましくは1〜5重量部である。かかる光重合開始剤が少なすぎると硬化が充分に進まない傾向があり、多すぎると得られる支持フィルムの光線透過率と耐光性が低下する傾向がある。
すなわち、移送される平滑な第一のPETフィルム上に光硬化性組成物[II]を供給し、その上に同一方向に、好ましくは同速度で移送される第2のPETフィルムを積層した後、光硬化性組成物[II]に活性エネルギー線を照射して硬化させる連続的な製造方法が好ましく用いられる。
かくして得られた支持フィルムは、光線透過率や表面平滑性に優れ、耐熱性や耐光性を兼備するため、基板製造工程において繰り返し使用することができる。
ここで、表面のうねりとは、平坦な定盤上に支持フィルムを置いた時のうき量を意味するものであり、具体的には、フィルム周辺(端部)のうき量の最大値を測定するものである。
製造工程2は、上記で得られた支持フィルムを用いて、光硬化性組成物[I]を硬化して得られる樹脂基板を連続的に製造する工程である。
本発明で用いられる光硬化性組成物[I]としては、特に限定されないが、多官能(メタ)アクリレート系化合物と光重合開始剤を含有してなることが好ましい。
樹脂基板の製造方法は、上述した支持フィルムの製造と同様の手法で行われる。
即ち、移送される下部支持フィルム上に光硬化性組成物[I]を供給し、その上に下部支持フィルムと同一方向に、好ましくは同速度で移送される上部支持フィルムを積層した後、光硬化性組成物[I]に活性エネルギー線を照射して硬化させる連続的な製造方法である。支持フィルムの製造設備と樹脂基板の製造設備は、設備負荷を低減する点から、同一の設備であることが好ましい。
使用される支持フィルムの厚さ、幅、長さは、上記の通りである。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。各物性の測定方法は以下の通りである。
長さ50mm×幅50mmの試験片を凍結粉砕した後、BRUKER・BIOSPIN社製 「AVANCE DPX−400」で、固体NMRプローブを用いて測定した。観測核は13C、回転数は5000Hz、室温で測定した。重合していない(メタ)アクリロイル基中のカルボニル炭素は高磁場側(166ppm)に、重合したカルボニル炭素は低磁場側(176ppm)に検出される。これらのピーク面積比より反応率(%)を算出した。
日本電色社ヘイズメーター「NDH−2000」を用いて、全光線透過率(%)を測定した。
JIS B0601:2001に準じて、東京精密社製「サーフコム570A」を用いて、樹脂成形体両面のRa(nm)を測定した(カットオフ:0.8μm、測定長:4mm)。
30cm角の基板を切り出し、平坦な定盤上に置いて、端部のうき量の最大値(mm)を測定した。
<光硬化性組成物[II]の調製>
6官能のウレタンアクリレート(日本合成化学工業株式会社製、「UV7600B」)100部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー株式会社製、「Irgacure184」)5部、剥離剤としてシリコーン系界面活性剤(GE東芝シリコーン株式会社製、「SILWET L7604」)1部、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系UV吸収剤(共同薬品株式会社製、「viosorb 130」)0.5部、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製、「Irganox1010」)0.5部を、60℃にて均一になるまで撹拌し、光硬化性組成物[II]を得た。
厚さ100μm、幅330mm、長さ1020mのPETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、「O300」)を1m/分で移送し、フィルム上にダイコーターから上記光硬化性組成物[II]を供給した後、上部から厚さ100μm、幅330mm、長さ1020mのPETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、「O300」)を積層した。次いで、上下両面から照度100mw/cm2の紫外線を1分間照射(照射量6000mJ/cm2)して連続的に光硬化を行った。最後に、上下両面のPETフィルムを剥離しながら、成形されたフィルムをロールに巻き取り、厚さ100μm、幅320mm、長さ1010mの支持フィルムを得た。同様にして、支持フィルムのロールを更に1本製造した。
得られた支持フィルムの全光線透過率は92%、Raは10nm、うき量は0.1mmであり、優れた透明性、表面平滑性、及び平坦性を有していた。
6官能のウレタンアクリレート(日本合成化学工業株式会社製、「UV7600B」)40部、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート60部(新中村化学工業株式会社製、「DCP」)、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー株式会社製、「Irgacure184」)1部を、60℃にて均一になるまで撹拌し、光硬化性組成物[I]を得た。
上記で得られた支持フィルムを下部支持フィルム及び上部支持フィルムとして用いて、下部支持フィルムを1m/分で移送し、フィルム上にダイコーターから光硬化性組成物[I]を供給した後、上部から上部支持フィルムを積層した。次いで、上下両面から照度100mw/cm2の紫外線を1分間照射(照射量6000mJ/cm2)して光硬化を行った。最後に、上下両面の支持フィルムを剥離し、成形されたフィルムをロールに巻き取り、厚さ100μm、幅300mm、長さ1000mの透明な樹脂基板を得た。
得られた樹脂基板の反応率は89%、全光線透過率は92%、Raは12nm、うき量は0.2mmであり、優れた透明性、表面平滑性、及び平坦性を有していた。
上記製造1において使用後の支持フィルムを繰り返し用いて、製造1と同様にして、繰り返し樹脂基板を製造した。得られた樹脂基板の反応率、全光線透過率、Ra、及びうき量は表1に示すとおりである。繰り返し使用された支持フィルムの各製造ごとの物性の変化も記載した。
<透明樹脂基板の製造1>
支持フィルムとして、表1に記載の物性を有するPETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、「O300」)を1m/分で移送し、フィルム上にダイコーターから実施例1と同様の光硬化性組成物[I]を供給した後、上部から、支持フィルムとして上記と同じ物性を有するPETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、「O300」)を積層した。次いで、上下両面から照度100mw/cm2の紫外線を1分間照射(照射量6000mJ/cm2)して光硬化を行った。最後に、上下両面のPETフィルムを剥離し、成形されたフィルムをロールに巻き取り、厚さ100μm、幅300mm、長さ1000mの樹脂基板を得た。
得られた樹脂基板の反応率は89%、全光線透過率は92%、Raは11nm、うき量は0.2mmである。
なお、剥離したPETフィルムの全光線透過率は85%、Raは11nm、うき量は4mmであった。
比較例1の上記製造1において使用後のPETフィルムを用いて、当該製造1と同様にして、樹脂基板を製造した。得られた樹脂基板の反応率、全光線透過率、Ra、及びうき量は表1に示すとおりである。なお、製造2の後に剥離したPETフィルムは、黄変しており、うねりが大きくロールに巻き取ることができなかった。
Claims (4)
- 移送される下部支持フィルム上に光硬化性組成物[I]を供給する工程、
その光硬化性組成物[I]上に、下部支持フィルムと同一方向に移送される上部支持フィルムを積層する工程、及び
光硬化性組成物[I]に活性エネルギー線を照射して硬化させる工程を含む、樹脂基板の連続的製造方法であって、下部支持フィルム及び上部支持フィルムのうち少なくとも1つが、光硬化性組成物[II]を硬化して得られることを特徴とする樹脂基板の連続的製造方法。 - 下部支持フィルム及び上部支持フィルムのうち少なくとも1つが、同一方向に移送される上下2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム間で、光硬化性組成物[II]を連続的に光硬化して得られることを特徴とする請求項1に記載の樹脂基板の連続的製造方法。
- 光硬化性組成物[I]が、多官能(メタ)アクリレート系化合物と光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂基板の連続的製造方法。
- 光硬化性組成物[II]が、多官能(メタ)アクリレート系化合物と光重合開始剤を含有し、更に離型剤、紫外線吸収剤及び酸化防止剤より選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の樹脂基板の連続的製造方法。
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