JP2013027998A - 保護フィルム付き自己修復性積層体およびその製造方法 - Google Patents

保護フィルム付き自己修復性積層体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
ブロッキングの発生が抑制された保護フィルム付き自己修復性積層体を提供する。
【解決手段】
基材フィルムおよび自己修復性を有する樹脂層を含む自己修復性積層体と、この積層体の樹脂層の上に積層された保護フィルムと、を有し、
前記保護フィルムは、樹脂フィルムと厚みが5μm未満の粘着剤層とを有しており、この粘着剤層を前記樹脂層側に向けて積層されている、保護フィルム付き自己修復性積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材フィルム上に自己修復性(自己治癒性)を有する樹脂層が積層された自己修復性積層体に、さらにこの樹脂層を保護するための保護フィルムが積層された保護フィルム付き自己修復性積層体に関する。また、本発明は、この保護フィルム付き自己修復性積層体の製造方法に関する。
携帯型パーソナルコンピュータ、モバイル機器、携帯電話、電子手帳などの電子機器筺体の外装用、あるいは自動車ボディの表面を保護するために、高硬度のハードコート層に代えて自己修復性(自己治癒性)を有する樹脂層を用いることが知られている。以下、この自己修復性を有する樹脂層を自己修復性樹脂層と言う。
電子機器筐体や自動車ボディ等に自己修復性樹脂層を適用する方法として、自己修復性樹脂層用塗料を電着塗装法やスプレー法により塗装するが方法が開示されている(特許文献1〜6)。
また、タッチパネルの表面保護材あるいは透明導電性フィルムに適用するために、自己修復性の軟質樹脂層を基材上に積層する技術が開示されている(特許文献7,8)。
特開2010−65168号公報 特開2010−65169号公報 特開2010−260979号公報 特開2005−150668号公報 特開2001−200017号公報 特開2000−342127号公報 特開2007−207091号公報 特開2009−302013号公報
しかしながら、特許文献1〜6に記載されているように電子機器筐体等に自己修復性樹脂層を形成するための塗料を電着塗装法やスプレー法により塗装すると、塗布ムラや厚みムラ等により良好な外観品質が得られないという問題がある。
この問題を解決するために、あらかじめ基材フィルム上に自己修復性樹脂層が積層された自己修復性積層体を用い、電子機器筐体等に自己修復樹脂層を形成する方法が考えられる。
上記の自己修復性積層体を生産効率よく製造するには、長尺ロール状の基材フィルム上に連続的に自己修復性樹脂層を塗工し、必要に応じて乾燥、硬化し、再度ロール状に巻き取る、いわゆる「ロール・ツー・ロール方式」の製造方法が好適である。
しかしながら、自己修復性積層体をロール・ツー・ロール方式で製造すると、自己修復性樹脂層は従来のハードコート層とは異なり一般に軟質樹脂で形成されているためタック性を僅かながら有しており、ロールに巻き取った状態で保管すると自己修復性樹脂層と基材フィルムとのくっつきによるブロッキングが発生するという問題がある。
特許文献7、8は、基材上に自己修復性樹脂層を積層し、さらに自己修復性樹脂層上に防眩層あるいは導電層を積層するものである。自己修復性樹脂層上に防眩層あるいは導電層を積層すると上記のブロッキングの問題は起こらないが、自己修復性樹脂層の自己修復性能が見かけ上低下してしまう。
従って、本発明は上記従来技術の問題に鑑み、ブロッキングの発生が抑制された自己修復性積層体、およびその製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
1)基材フィルムおよび自己修復性を有する樹脂層を含む自己修復性積層体と、この自己修復積層体の樹脂層の上に積層された保護フィルムと、を有し、
前記保護フィルムは、樹脂フィルムと厚みが5μm未満の粘着剤層とを有しており、この粘着剤層を前記樹脂層側に向けて積層されている、保護フィルム付き自己修復性積層体。
2)前記樹脂層の厚みが10〜60μmである、前記1)の保護フィルム付き自己修復性積層体。
3)前記樹脂層が、熱硬化性組成物が硬化して形成されたものである、前記1)または2)の保護フィルム付き自己修復性積層体
4)前記樹脂層が、熱硬化性組成物が130℃以上の温度で硬化して形成されたものである、前記3)の保護フィルム付き自己修復性。
5)長尺ロール状の基材フィルム上に、自己修復性を有する樹脂層を形成するための組成物を連続的に塗工し、硬化して自己修復性を有する樹脂層を形成する工程(A)と、前記自己修復性を有する樹脂層上に、樹脂フィルムと厚みが5μm未満の粘着剤層とを有する保護フィルムを、粘着剤層を樹脂層側に向けて連続的に積層して保護フィルム付き自己修復性積層体を得る工程(B)と、前記保護フィルム付き自己修復性積層体をロール状に巻き取る工程(C)と、をこの順に行う保護フィルム付き自己修復性積層体の製造方法。
本発明によれば、ブロッキングの発生が抑制された自己修復性積層体を提供することができる。
図1は、本発明の保護フィルム付き自己修復性積層体の一例の断面模式図である。 図2は、本発明の保護フィルム付き自己修復性積層体の製造工程の一例を示す模式図である。
本発明の保護フィルム付き自己修復性積層体は、基材フィルムおよび自己修復性を有する樹脂層を含む自己修復性積層体と、この自己修復積層体の樹脂層の上に積層された保護フィルムとを有するものである。そして、この保護フィルムが、樹脂フィルムと粘着剤層とを有し、この粘着剤層を自己修復積層体の樹脂層側に向けて積層されており、粘着剤層の厚みが5μm未満であることを特徴としている。
前述したように長尺基材フィルム上に自己修復性を有する樹脂層(以下、自己修復性樹脂層と言う)を積層して得られた自己修復性積層体を一旦ロール状に巻き取り、保管後、ロールを巻き出してシート状製品に切断加工する際に、ブロッキングを起こしてロールを容易に巻き出すことができないという問題がある。
自己修復性樹脂層は、自己修復機能を発現させるために通常軟質樹脂で構成されており、僅かながらタック性を有している。上記のロール状態におけるブロッキングを抑制するために自己修復樹脂層に離型フィルムを積層してロール状に巻き取る方法がある。しかし、離型フィルムを用いた場合は、離型フィルムは全く粘着性を有していないのでロールを巻き出してシート状製品に切断加工する際に離型フィルムが簡単に剥がれて切断加工工程の支障となる場合がある。
また、従来から反射防止フィルム、偏光板、ハードコートフィルム等の光学フィルムに一般的に用いられている保護フィルムを自己修復性樹脂に積層してロール状に巻き取る方法がある。しかし、このような保護フィルムを用いた場合は、ブロッキングが発生して保護フィルムが容易に剥離できないと言う問題、あるいは自己修復性樹脂層側に保護フィルムの粘着剤が残留する、いわゆる「糊残り」の問題が発生した。
本発明者らは、上記従来の保護フィルムを採用したときの問題は、保護フィルムを構成する粘着剤層の厚みに起因していることを見出した。つまり、従来の保護フィルムの粘着剤層の厚みは通常5μm以上と比較的大きいために、タック性を僅かながら残している自己修復性樹脂層との間で密着力が大きくなりすぎることが起因していることを見出し、本発明を成すに至った。
本発明の保護フィルム付き自己修復性積層体の一例の模式断面図を図1に示す。図1において、基材フィルム3上に自己修復性を有する樹脂層4が積層された自己修復性積層体1と、樹脂フィルム5に粘着剤層6が積層された保護フィルム2が、自己修復性樹脂層4と粘着剤層6が接するように積層されている。
本発明の保護フィルム付き自己修復性積層体において、保護フィルムは自己修復性積層体を各種用途に適用される際、最終的に剥離除去されるものである。
[自己修復性積層体]
本発明の自己修復性積層体は、基材フィルム上に自己修復性樹脂層が積層されたものである。
[基材フィルム]
本発明の自己修復性積層体を構成する基材フィルムとしては、各種プラスチックフィルムが好ましく用いられる。プラスチックフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アートン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂およびセルロース樹脂が好ましく、特にポリエステル樹脂が好ましく用いられ、更にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。また、基材フィルムは、上記の樹脂からなる層が2層以上積層された積層プラスチックフィルムであってもよい。
基材フィルムの厚みとしては、30〜300μmの範囲が適当であるが、強度や加工適性等の観点から50〜250μmの範囲が特に好ましい。
基材フィルムと自己修復性樹脂層との密着力を強化するために、易接着層を有する基材フィルムが好ましく用いられる。特に、基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる場合には、易接着層を有していることが好ましい。
易接着層は、自己修復性積層体の良好な見栄えを確保するという観点から、屈折率が1.52〜1.60の範囲であることが好ましい。特に易接着層の屈折率は、1.55〜1.60の範囲が好ましい。
易接着層は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂で形成することができるが、特にポリエステル樹脂を用いることが、密着力および屈折率の調整の観点から好ましい。
易接着層は、更に架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤が挙げられる。これらの中でも、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤が好ましく用いられる。
易接着層は、更に易滑性向上のために、無機微粒子を含有することが好ましい。無機微粒子としては、コロイダルシリカが好ましく用いられる。
易接着層の厚みは、5〜300nmの範囲が好ましく、10〜250nmの範囲がより好ましく、特に15〜200nmの範囲が好ましい。
[自己修復性を有する樹脂層]
自己修復性は、一度生じた傷が時間経過によって消失する性質を意味する。従来から、一部の軟質合成樹脂は自己修復性を有していることが知られている。自己修復性の程度はスクラッチテスター(例えば新東科学(株)のHEIDON)を用いた方法で測定できることが知られている。
自己修復性樹脂層は、23℃、50%(相対湿度)雰囲気下で、先端径15μmのダイヤモンドチップを加傷体としてスクラッチテスターで測定した自己修復性が10g以上であることが好ましく、20g以上がより好ましく、特に30g以上が好ましい。
自己修復性樹脂層は、上記の測定法にて自己修復性樹脂層に付けられた傷が消失する時間は15秒以下が好ましく、10秒以下がより好ましく、特に5秒以下が好ましい。傷の消失時間の下限は、目視で傷が消失していることが認識できる程度の時間であり、例えば0.2〜0.5秒程度である。傷の消失時間が15秒を越えると、自己修復性積層体としての商品価値が低下するので好ましくない。
自己修復性樹脂層の厚みは、10〜60μmの範囲が好ましく、15〜50μmの範囲がより好ましく、特に20〜40μmの範囲が好ましい。
自己修復性樹脂層を形成するための樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、アクリル系透明ゴム状樹脂、シリコーン系ゴム状樹脂、オレフィン系やスチレン系のエラストマー等の軟質合成樹脂が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン系樹脂が好ましく用いられる。
本発明における自己修復性樹脂層は、熱硬化性組成物あるいは活性エネルギー線硬化性組成物を硬化せしめた樹脂層であることが好ましい。
[熱硬化性組成物]
熱硬化性組成物は、ポリカプロラクトンを含有する化合物とイソシアネート基を含有する化合物を少なくとも含むことが好ましい。このような組成物は、熱を与えることによってポリカプロラクトンを含有する化合物の水酸基とイソシアネート基を含有する化合物のイソシアネート基がウレタン結合を生起してポリウレタン系樹脂を生成する。
また、熱硬化性組成物として、ポリカプロラクトンとイソシアネート基を含有する樹脂を少なくとも含む組成物も好ましく用いられる。
[ポリカプロラクトンを含有する化合物]
ポリカプロラクトンは、下記化1で表される構造を有する。また、ポリカプロラクトンを含有する化合物は少なくとも1以上の水酸基を含有する必要がある。水酸基は、ポリカプロラクトンを含有する化合物の末端にあることが好ましい。
Figure 2013027998
上記化1の中でも、2〜4官能の水酸基を有するポリカプロラクトンが好ましく、特に2〜3官能の水酸基を有するポリカプロラクトンが好ましい。
上記2〜4官能の水酸基を有するポリカプロラクトンとしては、下記化2で表されるポリカプロラクトンジオール類、下記化3で表されるポリカプロラクトントリオール類、その他4官能のポリカプロラクトンポリオール類が挙げられる。
また、下記化4で表されるラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのラジカル重合性ポリカプロラクトンも好ましく用いられる。
Figure 2013027998
Figure 2013027998
Figure 2013027998
[イソシアネート基を含有する化合物]
イソシアネート基を含有する化合物としては、例えば、メチレンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンイソシアネートのビューレット体などのポリイソシアネート、および上記イソシアネートのブロック体などを挙げることができる。
[ポリカプロラクトンとイソシアネート基を含有する樹脂]
ポリカプロラクトンとイソシアネート基を含有する樹脂とは、一分子鎖内に上述したポリカプロラクトンとイソシアネート基を含有する樹脂であって、少なくとも1以上の水酸基を有する樹脂である。水酸基は、樹脂の末端にあることが好ましい。
イソシアネート基は水酸基と反応してウレタン結合を生起させるので、熱によってポリカプロラクトンとイソシアネート基を含有する樹脂の分子鎖内および/または分子鎖間を架橋させることができる。
熱硬化性組成物は、更にポリジメチルシロキサン系共重合体および/またはポリシロキサンを含むことが好ましい。これによって、更にブロッキングの抑制効果が向上する。
[ポリジメチルシロキサン系共重合体]
ポリジメチルシロキサン系共重合体は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体のいずれであってもよいが、ブロック共重合体、グラフト共重合体が好ましい。
ポリジメチルシロキサン系共重合体は、リビング重合法、高分子開始剤法、高分子連鎖移動法などに製造することができるが、生産性を考慮すると高分子開始剤法、高分子連鎖移動法を用いるのが好ましい。
高分子開始剤法を用いる場合には、下記の化5で表される高分子アゾ系ラジカル重合開始剤を用いて他のビニルモノマーと共重合させることにより、効率よくブロック共重合体を合成することができる。
またペルオキシモノマーと不飽和基を有するポリジメチルシロキサンとを低温で共重合させて過酸化物基を側鎖に導入したプレポリマーを合成し、該プレポリマーをビニルモノマーと共重合させる二段階の重合を行うこともできる。
高分子連鎖移動法を用いる場合は、例えば、下記の化6に示すようなシリコーンオイルにHS−CHCOOHやHS−CHCHCOOH等を付加してSH基を有する化合物とした後、該SH基の連鎖移動を利用して該シリコーン化合物とビニルモノマーとを共重合させることでブロック共重合体を合成することができる。
更にポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体を合成するには、例えば、下記の化7に示す化合物、すなわちポリジメチルシロキサンのメタクリルエステルなどとビニルモノマーを共重合させることにより容易にグラフト共重合体を得ることができる。
Figure 2013027998
Figure 2013027998
Figure 2013027998
ポリジメチルシロキサンとの共重合体に用いられるビニルモノマーとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート,n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジアセチトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコールなどを挙げることができる。
ポリジメチルシロキサン系共重合体は、通常溶液重合によって製造される。このような溶液重合では、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤などが単独または混合溶剤として用いられる。
また、必要に応じてベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチルニトリルなどの重合開始剤を併用する。重合反応は50〜150℃で3〜12時間行うのが好ましい。
[ポリシロキサン]
ポリシロキサンとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトキエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するシラン化合物の部分加水分解物や、有機溶媒中に無水ケイ酸の微粒子を安定に分散させたオルガノシリカゾル、または該オルガノシリカゾルにラジカル重合性を有する上記シラン化合物を付加させたもの等を使用することができる。
[活性エネルギー線硬化性組成物]
活性エネルギー線硬化性組成物は、紫外線や電子線を照射することにより硬化する組成物であり、例えばウレタン(メタ)アクリレートを含む組成物が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば下記の化合物が挙げられる。
a)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネートとポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレートとを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート、
b)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート、
c)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネートとポリカーボネートジオールおよびヒドロキシ変性(メタ)アクリレートとを反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレート、
d)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネートと、ヒドロキシ変性(メタ)アクリレートおよびポリカプロラクトン含有多官能アルコールとを反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレート、
e)1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネートと長鎖アルキルアルコールおよびポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート、
f)1分子中に2以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネートと、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート。
これらのウレタン(メタ)アクリレートは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、特開2002−256053号公報、特開2004−35599号公報、特開2004−244426号公報、特開2005−162908号公報等に記載されており、これらを参照して合成することができる。
活性エネルギー線硬化性組成物には、更に重合性モノマーあるいは重合性オリゴマーを含むことが好ましい。
重合性モノマーとしては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の単官能性のもの、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート等の二官能性のもの、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの3モルプロピレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの6モルエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能性のものが挙げられる。
重合性オリゴマーとしては、不飽和ポリエステル、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物には、更に光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、o−ベンゾイルメチルベンゾエート、アセトフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、エチルアントラキノン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、メチルベンジルホルメートなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物には、更に上述のポリジメチルシロキサン系共重合体および/またはポリシロキサンを含むことが好ましい。これによって、更にブロッキングの抑制効果が向上する。
[他の機能層]
本発明の自己修復性積層体において、自己修復性樹脂層上に他の機能層を積層することができる。例えば、反射防止層、防眩層、防汚層、防指紋層等の機能層を積層することができる。ただし、これらの機能層を自己修復性樹脂層上に積層すると、自己修復性樹脂層の本来の傷修復性機能が見かけ上低下し商品価値が下がるので、傷修復機能にあまり影響を与えない程度の厚みとすることが好ましい。例えば、他の機能層の厚みは0.15μm未満が好ましく、0.1μm未満がより好ましく、特に0.08μm未満が好ましい。本発明においては、上記他の機能層は設けないことが最も好ましい。
[保護フィルム]
本発明における保護フィルムは、樹脂フィルム上に粘着剤層が積層されたものである。
[樹脂フィルム]
保護フィルムを構成する樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリエーテルイミド樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂フィルム、ポリオレフィン樹脂フィルムが好ましく、更に、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルムが好ましい。
樹脂フィルムの厚みは、10〜100μmの範囲が好ましく、15〜80μmの範囲がより好ましく、特に20〜60μmの範囲が好ましい。
[粘着剤層]
本発明における保護フィルムを構成する粘着剤層の厚みは、5μm未満であることが重要である。粘着剤層の厚みが5μm以上の場合は、自己修復性を有する樹脂層との密着力が大きくなり、ブロッキングが発生して自己修復性積層体から保護フィルムを剥離するときに簡単に剥離できないという問題、剥離後に自己修復性を有する樹脂層側に粘着剤層の一部が残留する、いわゆる「糊残り」の問題が発生することがある。
上記問題をより効果的に抑制するという観点から、粘着剤層の厚みは更に4μm未満が好まし、3μm未満がより好ましく、特に2μm未満が好ましい。
また、自己修復性積層体をロールに巻き取る際に、保護フィルムが自己修復性積層体から剥がれないようにする程度に、粘着剤層と自己修復性樹脂層との密着力を持たせる観点で、粘着剤層の厚みの下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましい。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、従来から知られている粘着剤を用いることができる。例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられ、これらの中でもアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
[保護フィルム付き自己修復性積層体の製造]
本発明の保護フィルム付き自己修復性積層体は、長尺ロール状の基材フィルム上に自己修復性樹脂層を形成するための組成物(以下、自己修復性樹脂層用組成物と言う)を連続的に塗工し、必要に応じて乾燥し、次いで加熱あるいは紫外線照射により硬化して自己修復性樹脂層を形成し、次に自己修復性樹脂層上に保護フィルムを連続的に積層することにより得られた保護フィルム付き自己修復性積層体を再度ロール状に巻き取る、いわゆる「ロール・ツー・ロール方式」で製造することが好ましい。
つまり、本発明の好ましい製造方法は、長尺ロール状の基材フィルム上に自己修復性樹脂層用組成物を連続的に塗工し、硬化して自己修復性樹脂層を形成する工程(A)と、自己修復性樹脂層上に、樹脂フィルムと厚みが5μm未満の粘着剤層とを有する保護フィルムを、粘着剤層を樹脂層側に向けて連続的に積層して保護フィルム付き自己修復性積層体を得る工程(B)と、保護フィルム付き自己修復性積層体をロール状に巻き取る工程(C)と、をこの順に行うことを特徴とする。
上記工程(A)において、塗工工程と硬化工程の間に必要に応じて乾燥工程を設けることができる。自己修復性樹脂層用組成物が有機溶剤を含む場合は乾燥工程を設けることが好ましく、自己修復性樹脂層用組成物が有機溶剤を含まない無溶剤型の場合は乾燥工程の設置を省略することができる。
以下、図面を用いて上記製造方法を詳細に説明する。図2は、本発明の保護フィルム付き自己修復性積層体の製造工程の一例を示す模式図である。
長尺ロール状の基材フィルム11は、巻き出し軸12に支持されながら巻き出され、搬送ローラにより連続的に搬送され、塗布装置13で自己修復性樹脂層用組成物(図示せず)が連続的に塗工される。ここで塗布装置13としては、例えば、スリットダイコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、バーコーター、ロールコーター等公知の塗布装置を用いることができる。これらの塗布装置の中でも、スリットダイコーターが好ましく用いられる。
基材フィルム11上に塗工された自己修復性樹脂層用組成物は、必要に応じて乾燥装置14で乾燥され、硬化装置15で硬化されて基材フィルム11上に自己修復性樹脂層(図示せず)が形成されて自己修復性積層体101が製造される。ここで硬化装置15は、自己修復性樹脂層が熱硬化性樹脂層の場合は加熱装置が用いられ、活性エネルギー線硬化性樹脂層の場合は活性エネルギー線照射装置が用いられる。
加熱装置としては、例えば、熱風吹き付け装置(熱風乾燥装置)、赤外線照射装置、マイクロ波発生装置、加熱ロール等が挙げられる。上記加熱装置は、乾燥装置14を兼ねることができる。
活性エネルギー線照射装置としては、例えば、紫外線照射装置、電子線照射装置が挙げられる。
次に、自己修復性積層体101の自己修復性樹脂層側に保護フィルム16が積層される。保護フィルム16は長尺ロール状態で巻き出し軸17に支持されながら巻き出されて自己修復性積層体101に連続的に積層されて、保護フィルム付き自己修復性積層体102が製造される。
ここで、自己修復性積層体101と保護フィルム16との貼合(積層)はニップロール対18でニップされながら行われるが、このニップロール対18の少なくとも一方のロールを加熱ロールとすることが好ましい。特に、ニップロール対18の少なくとも自己修復性積層体101側のロールを加熱ロールとすることが好ましい。加熱ロールはその表面温度が50℃以上となるように加熱することが好ましい。これによって、貼合時のたるみ等が抑制されて均一に貼合することができる。加熱ロールの表面温度は60℃以上がより好ましく、特に70℃以上が好ましい。上限は150℃程度である。ニップロール対18は、その両方のロールを加熱ロールとしてもよい。
上記のようにして得られた保護フィルム付き自己修復性積層体102は、連続搬送されながら巻き取り軸19でロール状に巻き取られる。
ロールの巻き長さは、50〜2000m程度が適当であり、100〜1500mの範囲が好ましく、200〜1000mの範囲がより好ましい。
本発明の保護フィルム付き自己修復性積層体は、自己修復性樹脂層として熱硬化性組成物を硬化して形成した樹脂層を用いたときにより高い効果が発現される。
熱硬化性組成物を硬化して形成した樹脂層は、硬化工程で架橋反応が完全に終了することはなく、ロール状に巻き取った後も徐々に架橋が進む。このロール状に巻き取った後の架橋(後硬化)の程度が比較的大きい場合は、ブロッキングが進行することがある。
本発明の保護フィルム付き自己修復性積層体は、後硬化の程度が比較的大きい場合であっても、ブロッキングを効果的に抑制することができる。
しかしながら、後硬化はできるだけ小さくすることがブロッキングを抑制するという観点から好ましい。従って、自己修復性樹脂層として熱硬化性組成物を硬化して形成した樹脂層を用いる場合は、硬化工程で架橋反応をある程度促進しておくことが好ましい。具体的には、硬化工程の加熱温度を130℃以上とすることが好ましく、140℃以上とすることがより好ましく、150℃以上とすることが好ましい。上限の温度は、基材フィルムの熱収縮によるしわの発生などを考慮して180℃以下であることが好ましい。
また、硬化時間(加熱時間)は、60秒間以上が好ましく、90秒間以上がより好ましい。上限は、生産性、基材フィルムの寸法安定性、透明性の維持の点で、300秒間以下とすることが好ましい。
上記のようにして製造された保護フィルム付き自己修復性積層体のロールは、20〜50℃の雰囲気下で24時間以上保管することが好ましい。これによって自己修復性樹脂層の硬化度が安定する。保護フィルム付き自己修復性積層体のロールは、好ましくは20〜50℃の雰囲気下で48時間以上保管することであり、更に好ましくは20〜50℃の雰囲気下で72時間以上保管することである。
[二次加工]
本発明の保護フィルム付き自己修復性積層体はロール状で供給された後、切断加工、印刷加工、他の機能性フィルムとの貼合加工、粘着剤層積層加工等の二次加工が施される。二次加工後、電子機器筐体等へ適用される最終加工が施される。
保護フィルム付き自己修復性積層体の保護フィルムは、上記の二次加工の前後、あるいは最終加工の前後に剥離除去される。
保護フィルムは、自己修復性積層体に積層されてから剥離除去されるまでの間、自己修復性樹脂層にごみや汚れが付着するのを防止する役目も有する。
[用途]
本発明の自己修復性積層体は、ディスプレイの画面保護や成型分野に好ましく適用される。特にパソコンや携帯電話などの筐体に適用される加飾成型分野に好適であり、その成型方法は特に限定するものでは無く、種々の成型方法に適用することができる。具体的には射出成型、圧空成型、真空成型、熱成型、プレス成形などに適用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、本実施例における測定方法と評価方法を以下に示す。
[実施例1]
<ポリシロキサンの合成>
攪拌機、温度計、コンデンサおよび窒素ガス導入管を備えた500ml容量のフラスコにエタノール106質量部、テトラエトキシシラン320質量部、脱イオン水21質量部、および1質量%塩酸1質量部を仕込み、85℃で2時間保持した後、昇温しながらエタノールを回収し、80℃で3時間保持した。その後、冷却し、粘調なポリシロキサンを得た。
<ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体の合成>
上記のポリシロキサンの合成と同様の装置を用い、トルエン50質量部、およびメチルイソブチルケトン50質量部、ポリジメチルシロキサン系高分子重合開始剤(和光純薬株式会社製 VPS−0501)20質量部、メタクリル酸メチル30質量部、メタクリル酸ブチル26質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート23質量部、メタクリル酸1質量部および1−チオグリセリン0.5質量部を仕込み、80℃で8時間反応させてポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体を得た。
<熱硬化性組成物の調製>
上記のポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体75質量部、上記のポリシロキサン10質量部および水酸基を有するポリカプロラクトントリオール(ダイセル化学工業(株)製 プラクセル308)15質量部を配合(混合)した組成物100質量部に対し、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(武田薬品工業(株)製、タケネートD−170N)を25質量部添加し、さらにメチルエチルケトンを用いて希釈し、固形分濃度40質量%の熱硬化性組成物を調製した。
<基材フィルム>
易接着層が積層された厚みが100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)である。易接着層は、ポリエステル樹脂、メラミン系架橋剤、およびコロイダルシリカを含有し、厚み100nmで、屈折率は1.58である。
<保護フィルム付き自己修復性積層体の製造>
図2に示す製造工程にて、上記で作製した熱硬化性組成物を上記基材フィルムの易接着層面にスリットダイコーターを用いて厚み(硬化後の厚み)が30μmとなるように塗工した。塗工後、熱風装置にて90℃で120秒間乾燥し、次いで160℃で120秒間加熱して、PETフィルム上に自己修復性樹脂層を形成した。その後、下記の保護フィルムAを自己修復性樹脂層上に積層して保護フィルム付き自己修復性積層体とし、ロール状に巻き取った。
<保護フィルムA>
厚み25μmのPETフィルムに厚みが0.5μmのアクリル系粘着剤層が積層された保護フィルム。
<ブロッキングおよび糊残りの評価>
上記のようにして製造された保護フィルム付き自己修復性積層体のロールを、25℃、55%(相対湿度)の雰囲気下で7日間保管した後、保護フィルムを剥離したところ、ブロッキングおよび糊残りは全くなかった。
<自己修復性および傷消失時間の評価>
23℃、50%(相対湿度)の雰囲気下で先端径15μmのダイヤモンドチップを加傷体としてHEIDONスクラッチテスター(新東科学(株)製)で測定した、自己修復性樹脂層の自己修復性は30g以上であり、傷の消失時間(目視)は約1秒であった。
[実施例2]
保護フィルムを下記の保護フィルムBに変更する以外は実施例1と同様にして保護フィルム付き自己修復性積層体を製造した。実施例1と同様にしてブロッキングおよび糊残りを評価した。その結果、実施例1に比べて保護フィルムの剥離に大きな力を要したが、ブロッキングおよび糊残りは全くなかった。
<保護フィルムB>
厚み25μmのPETフィルムに厚みが1.5μmのアクリル系粘着剤層が積層された保護フィルム。
[実施例3]
保護フィルムを下記の保護フィルムBに変更する以外は実施例1と同様にして保護フィルム付き自己修復性積層体を製造した。実施例1と同様にしてブロッキングおよび糊残りを評価した。その結果、実施例2に比べて保護フィルムの剥離に大きな力を要したが、ブロッキングおよび糊残りは全くなかった。
<保護フィルムC>
厚み25μmのPETフィルムに厚みが3.5μmのアクリル系粘着剤層が積層された保護フィルム。
[比較例1]
保護フィルムを積層しないこと以外は、実施例1と同様にして自己修復性積層体を製造した。実施例1と同様にしてブロッキングを評価した。その結果、ブロッキングが発生した。
[比較例2]
保護フィルムを下記の保護フィルムDに変更する以外は実施例1と同様にして保護フィルム付き自己修復性積層体を製造した。実施例1と同様にしてブロッキングおよび糊残りを評価した。その結果、ブロッキングが発生し、糊残りもあった。
<保護フィルムD>
厚み25μmのPETフィルムに厚みが7μmのアクリル系粘着剤層が積層された保護フィルム。
1 自己修復性積層体
2 保護フィルム
3 基材フィルム
4 自己修復性樹脂層
5 樹脂フィルム
6 粘着剤層
11 基材フィルム
12 巻き出し軸
13 塗工装置
14 乾燥装置
15 硬化装置
16 保護フィルム
17 巻き出し軸
18 ニップロール対
19 巻き取り軸
101 自己修復性積層体
102 保護フィルム付き自己修復性積層体

Claims (5)

  1. 基材フィルムおよび自己修復性を有する樹脂層を含む自己修復性積層体と、この自己修復積層体の樹脂層の上に積層された保護フィルムと、を有し、
    前記保護フィルムは、樹脂フィルムと厚みが5μm未満の粘着剤層とを有しており、この粘着剤層を前記樹脂層側に向けて積層されている、保護フィルム付き自己修復性積層体。
  2. 前記樹脂層の厚みが10〜60μmである、請求項1の保護フィルム付き自己修復性積層体。
  3. 前記樹脂層が、熱硬化性組成物が硬化して形成されたものである、請求項1または2の保護フィルム付き自己修復性積層体。
  4. 前記樹脂層が、熱硬化性組成物が130℃以上の温度で硬化して形成されたものである、請求項3の保護フィルム付き自己修復性積層体。
  5. 長尺ロール状の基材フィルム上に、自己修復性を有する樹脂層を形成するための組成物を連続的に塗工し、硬化して自己修復性を有する樹脂層を形成する工程(A)と、前記自己修復性を有する樹脂層上に、樹脂フィルムと厚みが5μm未満の粘着剤層とを有する保護フィルムを、粘着剤層を樹脂層側に向けて連続的に積層して保護フィルム付き自己修復性積層体を得る工程(B)と、前記保護フィルム付き自己修復性積層体をロール状に巻き取る工程(C)と、をこの順に行う保護フィルム付き自己修復性積層体の製造方法。
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