JP7087466B2 - 樹脂積層体及び樹脂積層体の製造方法 - Google Patents

樹脂積層体及び樹脂積層体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂積層体及び樹脂積層体の製造方法に関する。
従来、CRT表示装置、液晶テレビ、携帯電話等の各種ディスプレーの表面を保護するために、ディスプレー全面板として透明性を有するガラス板や樹脂板が使用されている。特に、最近は、インパネやグレージングといった車載用途材料の分野において透明性に優れ、ガラス板よりも軽量で加工性に優れたアクリル樹脂板がより一層注力されている。
しかしながら、アクリル樹脂板は、高い透明性を有するものの、ガラス板と比較すると、人や物との接触により製品に傷が付くことがあるため、耐擦傷性が求められている。
最近では、鉛筆硬度3Hの鉛筆を用いて付けた樹脂板表面の傷が経時的に回復するような、所謂自己修復性が、アクリル樹脂板に要求されている。
また、最近では製品デザインの多様化の観点から、アクリル樹脂板には、小さな曲率半径で曲げて加工できることや、複雑な形状に加工できること、すなわち延伸加工性が求められている。
さらに、最近では自己修復性と延伸加工性を同時に満たすために硬化被膜に高い破断伸度と機械的強度が求められている。
これらの課題を解決する方法として、例えば、特許文献1には、特定の多官能性単量体を含有する被覆材組成物を硬化させてなる硬化被膜を有する樹脂積層体が提案されており、硬化被膜が架橋構造を有することにより鉛筆硬度9Hを達成している。
特許文献2には、イソシアヌル骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートを含む硬化性組成物を硬化させてなる硬化被膜を有するハードコートフィルムが提案されており、前記硬化被膜は表面傷に対して自己修復性を有している。
特許文献3には、ポリカーボネート系ポリマーを構成成分とするウレタンアクリレートを含有する活性エネルギー線硬化樹脂組成物を硬化させてなる硬化被膜を有する積層体が提案されており、前記積層体は硬化被膜の表面傷に対する自己修復性と3次元加工性を有している。
WO2014/184983号公報 WO2012/086551号公報 特開2014―196430号公報
しかしながら、特許文献1の樹脂積層体は、曲率半径R40mmで曲げた場合、硬化被膜が変形に追随できないのでクラックが発生する。すなわち延伸加工性が不十分であった。
また、特許文献2のハードコートフィルムは、鉛筆硬度3Hの鉛筆を用いて付けた傷について自己修復性を有するが、架橋密度が高すぎるために、硬化被膜が3次元加工の変形に追随できない、すなわち延伸加工性が不十分であった。
また、特許文献3の積層体は、耐擦傷性と延伸加工性は優れているものの、鉛筆硬度3Hの鉛筆を用いて付けた傷の自己修復性は不十分であった。
本発明はこれらの問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、優れた耐擦傷性と、鉛筆硬度3Hの鉛筆を用いて形成した引掻き傷に対して自己修復性とを有し、且つ、高い延伸加工性を有する樹脂積層体を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、本発明の樹脂積層体が、前記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下を要旨とする。
すなわち、本発明の第一の要旨は、(メタ)アクリル系樹脂からなる樹脂基材(A)の少なくとも一方の面に硬化被膜(B)を備えた樹脂積層体であって、前記硬化被膜(B)の引張弾性率が100MPa以上1000MPa以下であり、JIS K5600-5-4に準拠した方法(荷重750±10g、速度30~60mm/min)で、鉛筆濃度3Hの鉛筆を用いて、前記硬化被膜(B)の表面に少なくとも7mmで10本の引掻き傷を形成して、温度23±2℃、湿度(50±5)%の環境下で、24時間経過した後の引掻き傷の本数が2本以下である、樹脂積層体に関する。
本発明の第二の要旨は、下記工程(1)~(3)を順次行うことを含む樹脂積層体の製造方法に関する。
工程(1):ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)95.0~99.99質量%と表面スリップ剤(B2)0.01~5.0質量%を含む混合物100質量部、及び、液状有機化合物(B3)50~1000質量部を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、(メタ)アクリル系樹脂からなる樹脂基材(A)の少なくとも一方の面に塗布する。
工程(2):工程(1)の後、前記樹脂基材(A)に塗布された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中に含まれる液状有機化合物(B3)が、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の総質量100質量%に対して、10質量%以下となるまで加熱する。
工程(3):工程(2)の後、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して、硬化処理して、硬化被膜を形成し、前記樹脂基材(A)の表面に前記硬化被膜が形成された樹脂積層体を得る。
なお、前記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)は、ポリイソシアネート(b―1)由来の構造単位、ポリカーボネートポリオール(b―2)由来の構造単位、及び、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b―3)由来の構造単位を含有し、かつ、前記(b―1)由来の構造単位、前記(b―2)由来の構造単位及び前記(b―3)由来の構造単位の合計量100モル%に対して、(b―1)由来の構造単位30~50モル%、(b―2)由来の構造単位10~50モル%、及び、(b―3)由来の構造単位3~30モル%を含有する。
本発明により、硬化被膜の機械的強度に優れ、優れた耐擦傷性と自己修復性を有し、高い延伸加工性を有する樹脂積層体を提供することができる。
本発明の樹脂積層体は、優れた耐擦傷性と、鉛筆硬度3Hの鉛筆を用いて付けた傷に対する自己修復性とを有し、且つ、3次元加工時の変形に追随可能な高い延伸加工性を有し、硬化被膜の機械的強度に優れているので、携帯電話、携帯型ゲ―ム機器等の携帯型情報端末装置のディスプレー表面を保護するためのディスプレー前面板だけでなく、曲面ディスプレーの全面板、インパネ、サニタリー、看板などの複雑な形状を有する製品にも好適である。
以下、本発明を詳細に説明する
本発明において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも1種を意味し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」から選ばれる少なくとも1種を意味する。(メタ)アクリロイル、(メタ)アクリルについても同様である。
本発明において、「単量体」は未重合の化合物を意味し、「繰り返し単位」は単量体が重合することによって形成された前記単量体に由来する単位を意味する。繰り返し単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
本発明において、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる特定の成分の含有量を示す。
特に断らない限り、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる特定の成分の含有率を示す。
特に断らない限り、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A~B」は、A以上B以下であることを意味する。
<樹脂積層体>
本発明の樹脂積層体は、(メタ)アクリル系樹脂からなる樹脂基材(A)の少なくとも一方の面に、後述する硬化被膜(B)を備えた樹脂積層体である。
本発明の樹脂積層体は、樹脂基材(A)が(メタ)アクリル系樹脂からなるので、樹脂基材(A)と硬化被膜(B)の密着性に優れている。また、本発明の樹脂積層体は、前記硬化被膜(B)の、後述する方法で測定した引張弾性率が100MPa以上1000MPa以下であるので、JIS K5600-5-4に準拠した方法で、鉛筆硬度3Hの鉛筆を用いて、前記硬化被膜(B)の表面に引掻き傷を形成して、24時間経過した後の引掻き傷が2本以下という優れた自己修復性を有している。
また、計算網目架橋点間分子量を制御して、樹脂積層体を3次元加工する時の変形に対する硬化被膜(B)の追随性(成形加工性)を良好にできる。
すなわち、本発明の樹脂積層体は、優れた自己修復性と高い延伸加工性を有しているので、携帯電話、携帯型ゲ―ム機器等の携帯型情報端末装置のディスプレー表面を保護するためのディスプレー前面板だけでなく、曲面ディスプレーの全面板、インパネ、サニタリー、看板などの複雑な形状を有する製品に好適である。
<樹脂基材(A)>
樹脂基材(A)は、本発明の樹脂積層体の構成成分の1つである。
本発明における樹脂基材(A)は(メタ)アクリル樹脂からなる。前記(メタ)アクリル樹脂とは、メチルメタクリレート(以下、「MMA」と略する。)由来の繰り返し単位100質量%からなる単独重合体、又は、該(メタ)アクリル樹脂の総重量100質量%に対して、MMA由来の繰り返し単位50質量%以上100質量%未満及びMMAと共重合可能な単量体(以下、「他の単量体」と略する。)由来の繰り返し単位0質量%を超えて50質量%以下を含有する重合体のことをいう。
前記他の単量体は、特に限定されるものではなく、例えば以下のa1)~a16)が挙げられる。
a1)エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;
a2)メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸エステル;
a3)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;
a4)無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;
a5)N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド;
a6)2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ基含有ビニル単量体;
a7)酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル;
a8)塩化ビニル、塩化ビニリデン及びそれらの誘導体;
a9)メタクリルアミド、アクリロニトリル等の窒素含有ビニル単量体;
a10)グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有単量体;
a11)スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体
また、メチルメタクリレート単位と共重合可能な単量体としては、上記の単量体以外に、例えば、以下のa12)~a16)が挙げられる。
a12)エチレングリコールジ(メタ) アクリレート、1,2-プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;
a13)ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;
a14)ジビニルベンゼン等の分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するビニル単量体;
a15)エチレン性不飽和ポリカルボン酸を含む少なくとも1種の多価カルボン酸と少なくとも1種のジオールから得られる不飽和ポリエステルプレポリマー;
a16)エポキシ基の末端をアクリル変性することにより得られるビニルエステルプレポリマー
これらの他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記(メタ)アクリル樹脂は、ラジカル重合性単量体の混合物(以下、「樹脂基材形成用組成物」と略する。)を重合することにより得られる。前記樹脂基材形成用組成物は、総質量100質量%に対して、MMA50質量%以上100質量%以下と前記他の単量体0質量%以上50質量%以下を含有する単量体混合物である。また、樹脂基材形成用組成物には、必要に応じて、着色剤、離型剤、酸化防止剤、安定剤、難燃剤、耐衝撃改質剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、連鎖移動剤等の各種添加剤を添加することができる。
樹脂基材形成用組成物の重合方法としては、特に限定されないが、例えば、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法及び懸濁重合法が挙げられる。(メタ)アクリル樹脂組成物の製造コスト、溶剤使用等による環境負荷、(メタ)アクリル樹脂積層体の生産性、透明性の観点から、塊状重合法が好ましい。
また、前記(メタ)アクリル樹脂を樹脂基材(A)として成形する方法としては、上記の重合方法により得られたペレット状の(メタ)アクリル樹脂を公知の押出成形法を用いて所望の形状に成形する方法や、前記樹脂基材形成用組成物若しくは前記樹脂基材形成用組成物の一部を重合したシラップを、公知のセルキャスト法に上記の重合方法を用いて重合することで、板状の樹脂基材とする方法が挙げられる。
<硬化被膜(B)>
硬化被膜(B)は、本発明の樹脂積層体の構成成分の1つである。
硬化被膜(B)は、後述する架橋構造を有する樹脂(B1)と表面スリップ剤(B2)とを含む硬化被膜である。
また、本発明における硬化被膜(B)は、後述する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化被膜である。
前記硬化被膜(B)は、表面スリップ剤(B2)を、該硬化被膜(B)の総質量100質量%に対して、0.095質量%以上5.0質量%以下の範囲で含有することが好ましい。表面スリップ剤(B2)の含有量の下限は、樹脂積層体の自己修復性が良好となり、さらに、硬化被膜(B)の摩擦抵抗が低減して、樹脂積層体の耐擦傷性が良好となる観点から、0.0095質量%以上が好ましい。0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。表面スリップ剤(B2)の含有量の上限は、硬化被膜(B)の密着性を良好に維持でき、樹脂積層体の耐擦傷性と自己修復性が良好となる観点から、該硬化被膜(B)の総質量100質量%に対して、5.0質量%以下が好ましい。2.0質量%以下がより好ましく、0.75質量%以下がさらに好ましい。
前記硬化被膜(B)は、架橋構造を有する樹脂(B1)を、該硬化被膜(B)の総質量100質量%に対して、95.0質量%以上99.9905質量%以下の範囲で含有することが好ましい。樹脂(B1)の含有量の下限は、樹脂積層体の耐擦傷性が良好となる観点から、95.0質量%以上が好ましい。98.0質量%以上がより好ましく、99.25質量%以上がさらに好ましい。樹脂(B1)の含有量の上限は、樹脂積層体の延伸加工性と自己修復性が良好となる観点から、該硬化被膜(B)の総質量100質量%に対して、99.9905質量%以下が好ましい。99.95質量%以下がより好ましく、99.90質量%以下がさらに好ましい。
前記硬化被膜(B)は、後述する方法で測定した引張弾性率が100MPa以上1000MPa以下である。前記引張弾性率の下限は、鉛筆硬度3Hの鉛筆を用いて硬化被膜(B)の表面に引掻き傷を形成した時に、硬化被膜の破断を抑制する観点から、100MPa以上が好ましく、110MPa以上がより好ましい。前記引張弾性率の上限は、鉛筆硬度3Hの鉛筆を用いて硬化被膜(B)の表面に形成した引掻き傷の自己修復性が良好となる観点から、1000MPa以下が好ましく、500MPa以下がより好ましい。
硬化被膜(B)の引張弾性率は、例えばウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の含有量や、後述する任意成分の種類や、その配合割合等によって調整することができる。なお、硬化被膜(B)の引張弾性率とは、後述する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、後述する方法で、硬化してなる硬化膜の引張弾性率として測定できる。
前記硬化被膜(B)は、樹脂積層体の延伸加工性が良好となる観点から、後述する方法で測定した破断伸度が、50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、100%以上であることがさらに好ましく、125%以上であるであることが特に好ましい。
硬化被膜(B)の破断伸度は、例えばウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の含有量や、後述する任意成分の種類や、その配合割合等によって調整することができる。なお、硬化被膜(B)の破断伸度とは、後述する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、後述する方法で、硬化してなる硬化膜の破断伸度として測定できる。
<活性エネルギー線硬化性樹脂組成物>
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、硬化被膜(B)の原料である。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、後述するウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)と、後述する表面スリップ剤(B2)とを含む樹脂組成物を用いることができる。
<架橋構造を有する樹脂(B1)>
架橋構造を有する樹脂(B1)は、硬化被膜(B)の構成成分の1つである。
架橋構造を有する樹脂(B1)は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)に、活性エネルギー線を照射して硬化してなる樹脂である。
架橋構造を有する樹脂(B1)が、前記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)由来の構造単位を、該樹脂(B1)の総質量100質量%に対して40質量%以上含み、
架橋構造を有する樹脂(B1)は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)由来の構造単位を含むことにより、得られた硬化被膜(B)の延伸加工性が向上する傾向にあるため好ましい。
架橋構造を有する樹脂(B1)は、計算網目架橋点間分子量が1000以上15000以下である架橋構造を有する樹脂である。計算網目架橋点間分子量を算出する方法は後述する。
架橋構造を有する樹脂(B1)において、前記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)由来の構造単位は、架橋構造を有する樹脂(B1)の耐擦傷性、自己修復性、延伸加工性、機械的強度が良好となる観点から、ポリイソシアネート(b―1)由来の構造単位、ポリカーボネートポリオール(b―2)由来の構造単位、及び、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b―3)由来の構造単位を含むことが好ましい。
架橋構造を有する樹脂(B1)において、前記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)由来の構造単位は、樹脂積層体の機械的特性が良好となる観点から、前記(b―1)由来の構造単位30~50モル%、前記(b―2)由来の構造単位10~50モル%、及び、前記(b―3)由来の構造単位3~30モル%を含むことが好ましい。
前記計算網目架橋点間分子量の下限は、樹脂積層体の延伸加工性が良好となる観点から、1000以上が好ましく、3000以上がより好ましい。前記計算網目架橋点間分子量の上限は、樹脂積層体の耐擦傷性が良好となる観点から、15000以下が好ましく、12000以下がより好ましい。
<表面スリップ剤(B2)>
表面スリップ剤(B2)は、硬化被膜(B)の構成成分の1つである。
表面スリップ剤(B2)は、特に制限されるものではなく、シロキサン結合単位を有する化合物(以下、「シロキサン結合含有化合物」と略する。)やフッ素系樹脂やフッ素含有ワックス類を使用できる。
前記シロキサン結合含有化合物としては、反応性基を有する官能基を有する反応性シロキサン結合含有化合物、または、反応性基を有さない官能基を有する非反応性シロキサン結合含有化合物が挙げられる。反応性シロキサン結合含有化合物の反応性基としては、例えば、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、もしくはフェノール基等の、片末端反応性基、異種官能基等が挙げられる。非反応性シロキサン結合含有化合物としては、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸含有、もしくはフッ素変性の化合物が使用できる。
前記フッ素系樹脂としては、公知のものが使用できるが、中でも、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基を有する化合物は、樹脂積層体の耐擦傷性、及び、自己修復性が良好となる観点から好ましい。
さらに、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基を有する化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物は、樹脂積層体の耐擦傷性、及び、自己修復性が良好となる観点からより好ましい。
Figure 0007087466000001
[式(1)中、Rfはパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基を表す。]
市販品としては、オプツールDAC(商品名、ダイキン工業社製)を使用できる。
<ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)>
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の構成成分の1つである。
本発明におけるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)としては、分子内に1個以上のラジカル重合性(メタ)アクリロイル基と、少なくとも2個のウレタン結合とを有する化合物を用いることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)を含む樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射して得られた硬化物は、引張伸度と引張弾性率のバランスに優れているので、得られた樹脂積層体の延伸加工性と自己修復性のバランスが良好となる。
さらに、本発明におけるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)は、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、アクリル(メタ)アクリレート系オリゴマー 等の活性エネルギー線硬化性オリゴマーと比較して、活性エネルギー線を照射したときの硬化性が優れるので、得られた樹脂積層体はタック(べたつき性)を抑制できるので好適である。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)は、後述するポリイソシアネート(b―1)由来の構造単位、後述するポリカーボネートポリオール(b―2)由来の構造単位、及び、後述するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b―3)由来の構造単位を含むオリゴマーを用いることができる。
前記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)は、後述するポリイソシアネート(b―1)、後述するポリカーボネートポリオール(b―2)、及び、後述するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b―3)を含む原料の反応生成物を用いることができる。
さらに、前記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)は、樹脂積層体の機械的特性が良好となる観点から、ポリイソシアネート(b―1)由来の構造単位30~50モル%、ポリカーボネートポリオール(b―2)由来の構造単位10~50モル%、及び、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b―3)由来の構造単位3~30モル%を含む原料の反応生成物であることが、より好ましい。
以下、ポリイソシアネート(b―1)、ポリカーボネートポリオール(b―2)、及び、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b―3)について、詳細に説明する。
<ポリイソシアネート(b―1)>
ポリイソシアネート(b―1)は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の構成成分の1つである。
ポリイソシアネート(b―1)は、イソシアネート基及びイソシアネート基を含む置換基から選ばれる少なくとも1種(以下、「イソシアネート基類」という。)を、1分子中に2個以上有する化合物である。ポリイソシアネート(b―1)は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また1種のポリイソシアネートにおいて、イソシアネート基類は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
イソシアネート基を含む置換基としては、例えば1個以上のイソシアネート基を含む、炭素数1~5の、アルキル基、アルケニル基、又はアルコキシル基が挙げられる。イソシアネート基を含む置換基としての前記アルキル基等の炭素数は、1~3であることがより好ましい。
ポリイソシアネート(b―1)の数平均分子量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物としての強度と弾性率とのバランスの観点から、数平均分子量の下限が100以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましく、また、数平均分子量の上限が1000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましい。
ポリイソシアネート(b―1)の数平均分子量は、単独の単量体からなるポリイソシアネートの場合には化学式からの計算値、2種以上の単量体からなるポリイソシアネートの場合にはNCO%からの計算値によって求めることができる。
前記ポリイソシアネート(b―1)の種類としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式炭化水素基を有するポリイソシアネート、及び、芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートは、脂肪族構造とそれに結合する二以上のイソシアネート基類とを有する化合物である。脂肪族ポリイソシアネートは、硬化被膜(B)の耐候性を高め、かつ柔軟性を付与する観点から好ましい。脂肪族ポリイソシアネートにおける脂肪族構造は、特に限定されないが、炭素数1~6の直鎖又は分岐のアルキレン基であることが好ましい。このような脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、及び、トリス(イソシアネートヘキシル)イソシアヌレート等の脂肪族トリイソシアネートが挙げられる。
脂環式炭化水素基を有するポリイソシアネートは、脂環式炭化水素基とそれに結合する二以上のイソシアネート基類とを有する化合物である。脂環式炭化水素基を有するポリイソシアネートは、硬化被膜(B)の機械的強度又は耐候性が良好となる観点から好ましい。脂環式炭化水素基を有するポリイソシアネートにおける脂環式炭化水素基は、特に限定されないが、炭素数5~15であることが好ましく、炭素数6以上であることがさらに好ましく、炭素数7以上であることが特に好ましい。また、炭素数14以下であることがさらに好ましく、炭素数13以下であることが特に好ましい。さらに、脂環式炭化水素基としては、シクロアルキレン基であることが好ましい。脂環式炭化水素基を有するポリイソシアネートとしては、例えば、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等の脂環式炭化水素基を有するジイソシアネート、及び、トリス(イソシアネートイソホロン)イソシアヌレート等の脂環式炭化水素基を有するトリイソシアネートが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートは、芳香族構造とそれに結合する二以上のイソシアネート基類とを有する化合物である。芳香族ポリイソシアネートは、硬化被膜(B)の機械的強度を高める観点から好ましい。芳香族ポリイソシアネートにおける芳香族構造は、特に限定されないが、炭素数6~13の二価の芳香族基であることが好ましい。このような芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
<ポリカーボネートポリオール(b―2)>
ポリカーボネートポリオール(b―2)は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の構成成分の1つである。
ポリカーボネートポリオール(b―2)は、樹脂積層体の自己修復性の向上、延伸加工性の向上に有効な成分である。
本発明に係るポリカーボネートポリオール(b―2)は、1,4-ブタンジオール由来の構造単位(X)を含むことが望ましい。さらに、前記ポリカーボネートポリオール(b―2)は、1,4-ブタンジオール由来の構造単位(X)及び1,6-ヘキサンジオール由来の構造単位(Y)を含んでもよい。
即ち、本発明で用いるポリカーボネートポリオール(b―2)は、1,4-ブタンジオール由来の構造単位(X)を含むポリカーボネートジオール、又は1,4-ブタンジオール由来の構造単位(X)と1,6-ヘキサンジオール由来の構造単位(X)とを含むポリカーボネートジオールである。1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールは、後述の効果に優れるが、工業的な入手の容易さや、原料のハンドリング性の観点からも好ましい。
ポリカーボネートポリオール(b―2)としては、例えば、下記一般式(2)で表されるポリカーボネートジオールが挙げられる。
HO―[―R―O―COO―]―R―OH (2)
[前記式(2)式中、Rは脂肪族炭化水素基又は脂環族炭化水素基であり、nは2以上の整数であり、複数あるRは同一であってもよく、異なるものであってもよい。]
上記一般式(2)で表されるポリカーボネートジオール(b―2)は、例えば、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、及びジアルキルカーボネートからなる群から選ばれる1種又は2種以上のカーボネート化合物と、1,4-ブタンジオールを必須成分とするジオール類及び/又はポリエーテルポリオール類とを反応させて得られる。
前記アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、1,2-プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート等が挙げられる。
前記ジアリールカーボネートとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、フェニル-ナフチルカーボネート、ジナフチルカーボネート、4-メチルジフェニルカーボネート、4-エチルジフェニルカーボネート、4-プロピルジフェニルカーボネート、4,4’-ジメチル-ジフェニルカーボネート、4,4’-ジエチル-ジフェニルカーボネート、4,4’-ジプロピル-ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
前記ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-n-プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ-n-ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジ-t-ブチルカーボネート、ジ-n-アミルカーボネート、ジイソアミルカーボネート等が挙げられる。
上記一般式(2)で表されるポリカーボネートポリオール(b―2)は、さらに、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオール以外のジオール類(以下、「その他のジオール類」という。)及び/又はポリエーテルポリオール類(以下、「その他のポリエーテルポリオール類」という。)を、樹脂積層体の性能を損なわない添加量の範囲内で、更に用いて反応させたものであってもよい。
前記のその他のジオール類としては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,12-ドデカンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリブタジエンジオールなどが挙げられる。
前記のその他のポリエーテルポリオール類としては、例えば、テトラヒドロフランの開環重合により得られるポリテトラメチレングリコールや、ジオール系化合物のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
前記ジオール系化合物として、例えばエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、異性体ペンタンジオール類、異性体ヘキサンジオール類又はオクタンジオール類、例えば2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,2-ビス(ヒドロキシメチル)-シクロヘキサノン、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-シクロヘキサノン、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)-シクロヘキサノン、トリメチロールプロパン、グリセリン等を挙げることができ、アルキレンオキサイドの例として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド、1,3-ブチレンオキサイド、2,3-ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等が挙げられ、これらは1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記のジオール類、ポリエーテルポリオール類のうち、樹脂積層体が自己修復性に優れる観点から、1,4-ブタンジオール由来の構造単位(X)としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,12-ドデカンジオール等の直鎖型脂肪族ジオール類に由来する構造単位が好ましく、中でも、1,5-ペンタンジオールに由来する構造単位が好ましい。
本発明の樹脂積層体において、前記ポリカーボネートジオール(b―2)由来の構造単位は、硬化被膜(B)の機械的強度が良好となる観点から、1,4-ブタンジオール由来の構造単位(X)を必須成分として含むことが好ましい。さらに、前記ポリカーボネートジオール(b―2)由来の構造単位は、硬化被膜(B)の機械的強度、及び、樹脂積層体の自己修復性、延伸加工性、耐擦傷性が良好となる観点から、1,4-ブタンジオール由来の構造単位(X)に加えて、1,6-ヘキサンジオール由来の構造単位(Y)を含むことが好ましい。
本発明の樹脂積層体において、ポリカーボネートポリオール(b―2)由来の構造単位は、少なくとも1,4-ブタンジオール由来の構造単位(X)を含み、1,4-ブタンジオール由来の構造単位(X)の含有量と、1,6-ヘキサンジオール由来の構造単位(Y)の含有量が、
0.7≦〔(X)/[(X)+(Y)]〕≦1.0
を満足することが好ましい。
〔(X)/[(X)+(Y)]〕の値の下限は、特に限定されるものではないが、硬化被膜(B)の自己修復性、延伸加工性、耐擦傷性、機械的強度が良好となる観点から、0.7以上が好ましい。一方、〔(X)/[(X)+(Y)]〕の値の上限は、特に限定されるものではないが、当該値が大きいほど硬化被膜(B)の機械的強度が良好となる傾向があり、上限値は1.0である。
本発明で用いるポリカーボネートポリオール(b―2)の数平均分子量の下限は、特に限定されるものではないが、硬化被膜(B)の機械的強度が良好となる観点から、500以上が好ましい。より好ましくは800以上である。ポリカーボネートポリオール(b―2)の数平均分子量の上限は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の粘度が著しく増加することなく作業性が良好となる観点から10000以下であることが好ましい。5000以下であることがより好ましく、2000以下であることが更に好ましい。
ポリカーボネートポリオール(b―2)としては市販品を用いることもでき、例えば、デュラノールT4671(商品名、旭化成株式会社製、1,4-ブタンジオール/1,6-ヘキサンジオール=7/3(質量比)、数平均分子量=1000)、T4691(商品名、旭化成株式会社製、1,4-ブタンジオール/1,6-ヘキサンジオール=9/1(質量比)、数平均分子量=1000)が好ましい。
<ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b-3)>
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b-3)は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の構成成分の1つである。
前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b―3)は、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリロイル基と水酸基との間に炭素数1~30のアルキレン基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、(メタ)アクリロイル基と水酸基との間に炭素数2~4のアルキレン基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b-3)としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加反応物、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加反応物、グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応物、グリコールのモノ(メタ)アクリレート体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b-3)は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記した中でも、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の、(メタ)アクリロイル基と水酸基との間に炭素数が2~4のアルキレン基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが、得られる硬化被膜(B)の機械的強度が良好となる観点から特に好ましい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b-3)の分子量は、40以上、更には80以上であるのが好ましく、また、得られる硬化膜の機械的強度の観点から800以下、更には400以下であるのが好ましい。なお、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b-3)が前記の付加反応体や重合体である場合には、前記分子量は数平均分子量である。
<その他の原料化合物>
本発明におけるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)を製造するための原料化合物には、本発明の効果が得られる範囲において、他の成分をさらに含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば、後述する分子量500未満の低分子量ポリオール(b-4)、後述するその他の高分子量ポリオール(b―5)(但し、前記高分子量のポリカーボネートポリオール(b―2)を除く)が挙げられる。
<低分子量ポリオール(b-4)>
低分子量ポリオール(b-4)は、分子量が500未満の、2個以上の水酸基を有する化合物である。低分子量ポリオールは、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
このような低分子量ポリオールとしては、例えば、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,5-ペンタンジオール、2,3,5-トリメチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール等の脂肪族ジオール;
シクロプロパンジオール、シクロプロパンジメタノール、シクロプロパンジエタノール、シクロプロパンジプロパノール、シクロプロパンジブタノール、シクロペンタンジオール、シクロペンタンジメタノール、シクロペンタンジエタノール、シクロペンタンジプロパノール、シクロペンタンジブタノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、シクロヘキサンジプロパノール、シクロヘキサンジブタノール、シクロヘキセンジオール、シクロヘキセンジメタノール、シクロヘキセンジエタノール、シクロヘキセンジプロパノール、シクロヘキセンジブタノール、シクロヘキサジエンジオール、シクロヘキサジエンジメタノール、シクロヘキサジエンジエタノール、シクロヘキサジエンジプロパノール、シクロヘキサジエンジブタノール、水添ビスフェノールA、トリシクロデカンジオール、アダマンチルジオール等の脂環式ジオール;
ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、ビスフェノールA等の芳香族系ジオール;
N―メチルジエタノールアミン等のジアルカノールアミン;
ペンタエリスリトール;
ソルビトール;
マンニトール;
グリセリン;及び、
トリメチロールプロパン
などが挙げられる。
上記の中でも、得られる硬化膜の耐候性の観点から、脂肪族ジオールや脂環式ジオールであることが好ましい。また、特に硬化物の機械的強度が求められる用途では、例えば、
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール等の水酸基間の炭素数が1~4の脂肪族ジオール;
1,4-シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等の、2つの水酸基が脂環式炭化水素基を挟んで対称な位置に存在している脂環式ジオール
などが挙げられる。
低分子量ポリオール(b-4)の分子量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物としての伸度と弾性率とのバランスの観点から、50以上であることが好ましく、一方、250以下であることが好ましく、150以下であることがより好ましい。
<その他の高分子量ポリオール(b―5)>
前記その他の高分子量ポリオール(b―5)は、数平均分子量が500以上の、2個以上の水酸基を有するポリカーボネートジオール以外の化合物である(但し、前記高分子量のポリカーボネートポリオール(b―2)を除く)。
その他の高分子量ポリオール(b―5)の数平均分子量の上限には特に制限はないが、通常10000以下である。
前記その他の高分子量ポリオール(b―5)は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
このような、その他の高分子量ポリオール(b―5)としては、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリオレフィンポリオール、及びシリコーンポリオール等が挙げられるが、得られる硬化膜に柔軟性を付与し、自己修復性を向上させる観点からポリエーテルジオールが特に好ましい。
前記ポリエーテルジオールとしては、環状エーテルを開環重合して得られる化合物が挙げられ、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記ポリエステルジオールとしては、ジカルボン酸又はその無水物と低分子量ジオールとの重縮合によって得られる化合物が挙げられ、例えばポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、及びポリブチレンセバケート等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また、前記ポリエステルジオールとしては、ラクトンの低分子量ジオールとの開環重合によって得られる化合物が挙げられ、例えばポリカプロラクトン、及びポリメチルバレロラクトン等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
なお、前記ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イソフタル酸、及びフタル酸が挙げられ、ジカルボン酸の無水物としては、例えばこれらの無水物が挙げられる。また、前記低分子量ジオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサングリコール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、及びビスヒドロキシエトキシベンゼンが挙げられる。
前記ポリエーテルエステルジオールとしては、前記ポリエステルジオールに環状エ-テルを開環重合した化合物や、前記ポリエーテルジオールと前記ジカルボン酸とを重縮合した化合物が挙げられ、例えばポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記ポリオレフィンポリオールは、2個以上の水酸基を有するポレオレフィンであって、例えば、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、及びポリイソプレンポリオール等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記シリコーンポリオールは、2個以上の水酸基を有するシリコーンであり、前記シリコーンポリオールとしては、例えばポリジメチルシロキサンポリオール等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
<ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の製造方法>
次に、上述の原料化合物から得られる本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の製造方法について説明する。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)は、前記ポリイソシアネート(b―1)に、前記ポリカーボネートポリオール(b―2)と前記高分子量ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b-3)を付加反応させることにより製造することができる。その他の原料化合物である前記低分子量ポリオール(b-4)、その他の高分子量ポリオール(b―5)等を併用する場合は、本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)は、前記ポリイソシアネート(b―1)に、更にこれらのその他の原料化合物も付加反応させることにより製造することができる。
また、その際の各原料化合物の仕込み比は、目的とするウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の組成と実質的に同等、ないしは同一とする。
これらの付加反応は、公知の何れの方法でも行うことができる。このような方法としては、例えば、以下の(a)~(c)の方法が挙げられる。
(a)前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート以外の成分を、イソシアネート基が過剰となるような条件下でポリイソシアネートと反応させたイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得て、次いで該イソシアネート末端ウレタンプレポリマート前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させるプレポリマー法。
(b)全原料化合物を同時に一括添加して反応させるワンショット法。
(c)前記ポリイソシアネートと前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを先に反応させ、分子中に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを同時に有するウレタン(メタ)アクリレートプレポリマーを合成した後、得られたプレポリマーに、それら以外の原料化合物を反応させる方法。
これらのうち、(a)の方法によれば、前記ウレタンプレポリマーが前記ポリイソシアネートと前記ポリカーボネートジオールとをウレタン化反応させてなり、得られるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)は、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマート前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとウレタン化反応させてなる構造を有するため、分子量が制御可能で両末端にアクリロイル基が導入可能である観点から、(a)の方法が好ましい。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)における全イソシアネート基の量と水酸基及びアミノ基等のイソシアネート基と反応する全官能基の量は、通常、理論的に当モルである。
すなわち、本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)を製造する際の前記ポリイソシアネート(b―1)、高分子量ポリカーボネートポリオール(b―2)、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b-3)、及びその他の原料化合物の使用量は、本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)における全イソシアネート基の量とそれと反応する全官能基の量とが当モル、又はイソシアネート基に対する当該全官能基のモル%で50~200モル%になる量である。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)を製造する際は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b-3)の使用量を、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b-3)、高分子量ポリカーボネートポリオール(b―2)、並びに必要に応じて用いられるその他の原料化合物である低分子量ポリオール(b-4)、その他の高分子量ポリオール(b―5)等のイソシアネートと反応する官能基を含む化合物の総使用量に対して、通常3モル%以上、好ましくは5モル%以上、また、通常70モル%以下、好ましくは50モル%以下、更に好ましくは30モル%以下とする。この割合に応じて、得られるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の分子量を制御することができる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの割合が多いと、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の分子量は小さくなる傾向となり、割合が少ないと分子量は大きくなる傾向となる。
高分子量ポリカーボネートポリオール(b―2)とその他の高分子量ポリオール(b―5)との総使用量に対して、高分子量ポリカーボネートポリオール(b―2)の使用量を25モル%以上とすることが好ましく、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは70モル%以上である。高分子量ポリカーボネートポリオール(b―2)の使用量が前記の下限値より大きいと、得られる硬化物の自己修復性、耐擦傷性、耐擦傷性が良好となる傾向があり好ましい。
また、高分子量ポリカーボネートポリオール(b―2)とその他の高分子量ポリオール(b―5)との総使用量に対して、高分子量ポリカーボネートポリオール(b―2)の使用量は、10質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。高分子量ポリカーボネートポリオール(b―2)の使用量が前記の下限値より大きいと、得られる硬化物の自己修復性、耐擦傷性、耐擦傷性が向上する傾向になり好ましい。
更に、高分子量ポリカーボネートポリオール(b―2)とその他の高分子量ポリオール(b―5)と低分子量ポリオール(b-4)との総使用量に対して、高分子量ポリカーボネートポリオール(b―2)の使用量は、25モル%以上とすることが好ましく、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは70モル%以上である。高分子量ポリカーボネートポリオール(b―2)の使用量が前記の下限値より大きいと、得られる硬化物の自己修復性、耐擦傷性、延伸加工性が向上する傾向になり好ましい。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の製造時において、生成するウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)及びその原料化合物の総含有量は、反応系の総量に対して20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。なお、この総含有量の上限は100質量%である。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)及びその原料化合物の総含有量が20質量%以上であると、反応速度が高くなり、製造効率が向上する傾向にあるために好ましい。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の製造に際しては付加反応触媒を用いることができる。この付加反応触媒としては、本発明の効果が得られる範囲から選ぶことができ、例えばジブチルスズラウレート、ジブチルスズジオクトエート、ジオクチルスズジラウレート、及びジオクチルスズジオクトエート等が挙げられる。付加反応触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。付加反応触媒は、これらのうち、ジオクチルスズジラウレートであることが、環境適応性及び触媒活性、保存安定性の観点から好ましい。
付加反応触媒は、生成するウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)及びその原料化合物の総含有量に対して、上限が通常1000質量ppm以下、好ましくは500質量ppm以下であり、下限が通常10質量ppm以上、好ましくは30質量ppm以上で用いられる。
また、本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の製造時に、反応系に(メタ)アクリロイル基を含む場合には、重合禁止剤を併用することができる。このような重合禁止剤としては、本発明の効果が得られる範囲から選ぶことができ、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノエチルエーテル、ジブチルヒドロキシトルエン等のフェノール類、フェノチアジン、ジフェニルアミン等のアミン類、ジブチルジチオカルバミン酸銅等の銅塩、酢酸マンガン等のマンガン塩、ニトロ化合物、ニトロソ化合物等が挙げられる。重合禁止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。重合禁止剤は、これらのうち、フェノール類が好ましい。
重合禁止剤は、生成するウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)及びその原料化合物の総含有量に対して、上限が通常3000質量ppm以下、好ましくは1000質量ppm以下であり、特に好ましくは500質量ppm以下であり、下限が通常50質量ppm以上、好ましくは100質量ppm以上で用いられる。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の製造時において、反応温度は通常20℃以上であり、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。反応温度が20℃以上であると、反応速度が高くなり、製造効率が向上する傾向にあるために好ましい。また、反応温度は通常120℃以下であり、100℃以下であることが好ましい。反応温度が120℃以下であると、アロハナート化反応等の副反応が起きにくくなるために好ましい。また、反応系に溶剤を含む場合には、反応温度はその溶剤の沸点以下であることが好ましく、(メタ)アクリレートが入っている場合には(メタ)アクリロイル基の反応防止の観点から70℃以下であることが好ましい。反応時間は通常5~20時間程度である。
このようにして得られるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の数平均分子量の下限は、樹脂積層体の延伸加工性が良好となり、延伸加工性と自己修復性、耐擦傷性とのバランスに優れる観点から、500以上が好ましい。数平均分子量の下限は、1000以上がより好ましく、3000以上がさらに好ましい。一方、数平均分子量の上限は、樹脂積層体の耐擦傷性が良好となり、延伸加工性と自己修復性、耐擦傷性とのバランスに優れる観点から、15000以下が好ましい。数平均分子量の上限は、12000以下がより好ましく、5000以下がさらに好ましい。これは、延伸加工性が網目構造における架橋点間の距離に依存しており、この距離が長くなると柔軟で伸びやすい構造となり延伸加工性に優れ、この距離が短くなると網目構造が強固な構造となり耐擦傷性に優れるからであると推定される。
本発明の架橋構造を有する樹脂(B1)の計算網目架橋点間分子量は、1000以上15000以下であることが好ましい。
<計算網目架橋点間分子量>
本明細書において、硬化被膜(B)を構成する架橋構造を有する樹脂(B1)の計算網目架橋点間分子量は、前記樹脂(B1)の全組成物中の網目構造を形成する活性エネルギー線反応基(以下、「架橋点」と称する場合がある)の間の分子量の平均値を表す。この計算網目架橋点間分子量は、網目構造形成時の網目面積と相関があり、計算網目架橋点間分子量が大きいほど架橋密度が小さくなる。活性エネルギー線硬化による反応では、活性エネルギー線反応基を1個のみ有する化合物(以下、「単官能化合物」と称する場合がある)が反応した場合には線状高分子になり、一方で活性エネルギー線反応基を2個以上有する化合物(以下、「多官能化合物」と称する場合がある)が反応した場合に網目構造を形成する。
よって、ここで多官能化合物が有する活性エネルギー線反応基が架橋点であって、計算網目架橋点間分子量の算出は架橋点を有する多官能化合物が中心となり、単官能化合物は多官能化合物が有する架橋点間の分子量を伸長する効果があるものとして扱い、計算網目架橋点間分子量の算出を行う。また、計算網目架橋点間分子量の算出は、全ての活性エネルギー線反応基が同じ反応性を有し、且つ活性エネルギー線照射により全ての活性エネルギー線反応基が反応するものと仮定した上で行う。
1種の多官能化合物のみが反応するような多官能化合物単一系組成物では、多官能化合物が有する活性エネルギー線反応基1個当りの平均分子量の2倍が計算網目架橋点間分子量となる。例えば、分子量1000の2官能性化合物では(1000/2)×2=1000、分子量300の3官能性化合物では(300/3)×2=200となる。
複数種の多官能化合物が反応するような多官能化合物混合系組成物では、組成物中に含まれる全活性エネルギー線反応基数に対する上記単一系の各々の計算網目架橋点間分子量の平均値が組成物の計算網目架橋点間分子量となる。例えば、分子量1000の2官能性化合物4モルと分子量300の3官能性化合物4モルとの混合物からなる組成物では、組成物中の全活性エネルギー線反応基数は2×4+3×4=20個となり、組成物の計算網目架橋点間分子量は{(1000/2)×8+(300/3)×12}×2/20=520となる。
組成物中に単官能化合物を含む場合は、計算上、多官能化合物の活性エネルギー線反応基(つまり架橋点)にそれぞれ当モルずつ、且つ架橋点に単官能化合物が連結して形成された分子鎖の中央に位置するように反応すると仮定すると、1個の架橋点における単官能化合物による分子鎖の伸長分は、単官能化合物の総分子量を組成物中の多官能化合物の全活性エネルギー線反応基数で除した値の半分となる。ここで、計算網目架橋点間分子量は架橋点1個当り平均分子量の2倍であると考える為、多官能化合物において算出した計算網目架橋点間分子量に対して単官能化合物により伸長された分は、単官能化合物の総分子量を組成物中の多官能化合物の全活性エネルギー線反応基数で除した値となる。
例えば、分子量100の単官能化合物40モルと分子量1000の2官能性化合物4モルとの混合物からなる組成物では、多官能化合物の活性エネルギー線反応基数は2×4=8個となるので、計算網目架橋点間分子量中の単官能化合物による伸長分は100×40/8=500となる。すなわち組成物の計算網目架橋間分子量は1000+500=1500となる。
上記のことから、分子量Wの単官能性化合物Mモルと、分子量Wのf官能性化合物MBモルと、分子量Wのf官能性化合物Mモルとの混合物では、組成物の計算網目架橋点間分子量は下記式で表せる。
Figure 0007087466000002
このようにして算出される本発明の前記架橋構造を有する樹脂(B1)の計算網目架橋点間分子量は、1000以上であることが好ましく、3000以上であることがさらに好ましく、15000以下であることがより好ましく、12000以下であることが特に好ましい。
計算網目架橋点間分子量が15000以下であると、得られた樹脂積層体の硬化被膜(B)の表面の耐擦傷性が良好となり、延伸加工性と自己修復性、耐擦傷性とのバランスに優れる傾向となるため好ましい。また、計算網目架橋点間分子量が1000以上であると、得られる硬化膜の延伸加工性が良好となり、延伸加工性と自己修復性、耐擦傷性とのバランスに優れる傾向となり好ましい。これは、延伸加工性と耐擦傷性が網目構造における架橋点間の距離に依存しており、この距離が長くなると柔軟で伸びやすい構造となり延伸加工性に優れ、この距離が短くなると網目構造が強固な構造となり耐擦傷性に優れるからであると推定される。
また、計算網目架橋点間分子量が1000以上15000以下の範囲であると、後述の弾性率を満足し得る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とすることができ易く、自己修復性に優れた硬化膜とすることができる。
計算網目架橋点間分子量を調節する方法としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の数平均分子量を低くしたり、多官能アクリレートを添加したりすることにより、低くできる。
<活性エネルギー線硬化性樹脂組成物>
以下に、上述のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)と表面スリップ剤(B2)、液状有機化合物(B3)を含有する本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物について説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、本発明の効果が得られる範囲において、本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)以外の他の成分をさらに含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば、活性エネルギー線反応性モノマー、活性エネルギー線硬化性オリゴマー、重合開始剤、光増感剤、エポキシ化合物、添加剤、及び溶剤が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物において、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の含有量の下限は、樹脂積層体の耐擦傷性が良好となる観点から、該活性エネルギー線反応性成分の総質量100%に対して、95.0質量%以上が好ましい。98.0質量%以上がより好ましく、99.25質量%以上がさらに好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の含有量の上限は、樹脂積層体の延伸加工性と自己修復性が良好となる観点から、該活性エネルギー線反応性成分の総質量100%に対して、99.9905質量%以下が好ましい。99.95質量%以下がより好ましく、99.90質量%以下がさらに好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物において、表面スリップ剤(B2)の含有量の下限は、樹脂積層体の自己修復性が良好となり、さらに、硬化被膜(B)の摩擦抵抗が低減して、樹脂積層体の耐擦傷性が良好となる観点から、該活性エネルギー線反応性成分の総質量100%に対して、0.0095質量%以上が好ましい。0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。表面スリップ剤(B2)の含有量の上限は、硬化被膜(B)の密着性を維持でき、樹脂積層体の耐擦傷性と自己修復性を良好に維持できる観点から、5.0質量%以下が好ましい。2.0質量%以下がより好ましく、0.75質量%以下がさらに好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、顔料、染料、シランカップリング剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光剤、又は連鎖移動剤等の各種添加剤を含有することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度は、該組成物の用途や使用態様等に応じて適宜調節し得るが、取り扱い性、塗工性、成形性、立体造形性等の観点から、E型粘度計(ローター1°34’×R24)における25℃での粘度が、10mPa・s以上10000mPa・s以下であることがより好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度は、例えば本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の含有量や、前記の任意成分の種類や、その配合割合等によって調整することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、後述する方法で測定された引張弾性率が100MPa以上1000MPa以下とすることができる。引張弾性率が100MPa以上1000MPa以下であると良好な自己修復性を得ることができる。引張弾性率が100MPa未満では柔らかすぎて硬化膜表面がベタつき、摩擦係数が上昇することから、硬化膜表面への荷重が大きくなり、傷を修復することができない場合がある。また、1000MPaを超えると硬化膜が硬過ぎるため、弾性によって荷重を分散させることができなくなり、傷を修復することが出来ない。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の引張弾性率は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の製造に用いる原料化合物の種類や使用量比を調整することにより制御できる。
例えば、低分子量ポリオールの使用で弾性率を高めることができる。この弾性率の調整において、高分子量ポリカーボネートポリオール(b―2)と低分子量ポリオールは低分子量ポリオール/高分子量ポリカーボネートポリオール(b―2)50/50~0/100(質量比)の範囲で用いることが好ましい。また、その他の高分子量ポリオール(b―5)であるポリエーテルポリオールの使用及び/又は活性エネルギー線反応性モノマーであるポリエーテル(メタ)アクリレート類の併用で弾性率を下げることができる。
<重合開始剤>
重合開始剤は、硬化性組成物を硬化させるための成分であり、例えば、熱重合開始剤及び光重合開始剤が挙げられる。重合開始剤としては、光によりラジカルを発生する性質を有する化合物である光ラジカル重合開始剤が一般的であり、例えば、ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエート、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、2-エチルアントラキノン、t-ブチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾイルホルメート、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルホリノプロパン-1-オン、2,6-ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、及び2-ヒドロキシ-1-〔4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル〕-2-メチル-プロパン-1-オン等が挙げられる。光ラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
更に、光ラジカル重合開始剤と光増感剤とを併用してもよい。光増感剤としては、公知の光増感剤を使用することができ、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸アミル、及び4-ジメチルアミノアセトフェノン等が挙げられる。光増感剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<樹脂積層体の製造方法>
本発明の樹脂積層体は、例えば、下記の方法1及び方法2が挙げられる。
(方法1)樹脂基材の表面に硬化性組成物を塗布した後に、該硬化性組成物を硬化処理して、硬化被膜を形成し、樹脂積層体を得る方法。
(方法2)硬化性組成物を硬化処理して形成した硬化被膜の表面に、樹脂基材を形成するための樹脂基材形成用組成物を塗布した後に、該樹脂基材形成用組成物を注型重合して、樹脂基材の層を形成し、樹脂積層体を得る方法。
上記方法においては、樹脂積層体の硬化被膜の表面硬度と、該硬化被膜の耐クラック性とのバランスに優れる観点から、方法1が好ましい。
前記方法1の方法は、例えば、以下の方法(B-1)が挙げられる。
<方法(B-1)>
本発明の樹脂積層体の製造方法は、下記工程(1)~(3)を順次行うことを含む樹脂積層体の製造方法。
工程(1):ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)95.0~99.99質量%と表面スリップ剤(B2)0.01~5.0質量%を含む混合物100質量部、及び、液状有機化合物(B3)50~1000質量部を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、(メタ)アクリル系樹脂からなる樹脂基材(A)の少なくとも一方の面に塗布する。
工程(2):工程(1)の後、前記樹脂基材(A)に塗布された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中に含まれる液状有機化合物(B3)が、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の総質量に対して、10質量%以下となるまで加熱する。
工程(3):工程(2)の後、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して、硬化処理して、硬化被膜(B)を形成し、前記樹脂基材(A)の表面に前記硬化被膜(B)が形成された樹脂積層体を得る。
なお、前記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)は、ポリイソシアネート(b―1)由来の構造単位、ポリカーボネートポリオール(b―2)由来の構造単位、及び、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b―3)由来の構造単位を含有し、かつ、前記(b―1)由来の構造単位、前記(b―2)由来の構造単位及び前記(b―3)由来の構造単位の合計量100モル%に対して、(b―1)由来の構造単位30~50モル%、(b―2)由来の構造単位10~50モル%、及び、(b―3)由来の構造単位3~30モル%を含有する。
前記工程(1)における、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)、及び、表面スリップ剤(B2)は、上述したウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)、及び、表面スリップ剤(B2)と同様のものを使用できる。液状有機化合物(B3)については、後述する。樹脂基材(A)の少なくとも一方の面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布する方法は、特に制限されるものではなく、例えば、流延法、ローラーコート法、バーコート法、噴霧コート法及びエアーナイフコート法等の公知の塗工方法を用いることができる。
前記工程(2)において、活性エネルギー線により硬化させる際に、硬化性、硬化後に得られる硬化被膜(B)の機械的強度が良好となる観点から、塗布された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中に含まれる液状有機化合物(B3)の含有量を、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の総質量100質量%に対して、10質量%以下となるまで、加熱して、除去しておくことが好ましい。
工程(2)の加熱方法は、特に制限されるものではなく、例えば、蒸気乾燥機などを用いて、50~100℃の条件で熱処理する等の公知の方法を用いることができる。
前記工程(3)において、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射することにより硬化被膜(B)とすることができる。活性エネルギー線としては、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等が挙げられるが、装置コストや生産性の観点から紫外線又は電子線を利用できる。紫外線又は電子線の光源としては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、電子線照射装置、Arレーザー、He-Cdレーザー、固体レーザー、キセノンランプ、高周波誘導水銀ランプ、太陽光等が挙げられる。
活性エネルギー線の照射量(積算光量)は、活性エネルギー線の種類に応じて適宜に選ぶことができ、例えば、メタルハライドランプ照射で硬化する場合は、50~1000mJ/cmであることが好ましい。電子線照射で硬化する場合には、その照射量は1~10Mradであることが好ましい。また、硬化処理は、空気、窒素やアルゴン等の不活性ガスに露出された前記硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射してもよい。また、フィルム又はガラスと、金属金型との間の密閉空間に封入された硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射してもよい。
最終的に得られる硬化被膜(B)の膜厚は、目的とされる用途に応じて適宜決められるが、下限は好ましくは1μm、更に好ましくは3μm、特に好ましくは5μmである。また、同上限は好ましくは200μm 、更に好ましくは100μm、特に好ましくは50μmである。膜厚が1μm以上であると延伸加工後の意匠性や機能性の発現が良好となり、また、一方、200μm以下であると内部硬化性、延伸加工性が良好であるため好ましい。また、工業上での使用の際には、下限は好ましくは1μmであり、更に好ましくは5μm、特に好ましくは10μmである。上限は好ましくは100μm、更に好ましくは50μmである。
<液状有機化合物(B3)>
本発明において、液状有機化合物(B3)は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の構成成分の1つである。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に液状有機化合物(B3)を添加することで、該硬化性樹脂組成物の粘度を調整して、塗工性を良好にできる。
前記液状有機化合物(B3)の種類としては、公知の液状有機化合物を使用できる。具体的には、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノール、イソブタノール、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等の公知の有機溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記液状有機化合物(B3)の種類としては、特に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物への溶解性や、前記工程(2)における加熱除去の容易さ、安全性等の観点から、アルコール、エステル、エーテル、ケトンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソプロパノールから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
液状有機化合物(B3)の添加量は、特に制限されるものではなく、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成の塗工方法に応じて、添加すればよい。一般的には、液状有機化合物(B3)を、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の固形分100質量部に対して、50質量部以上1000質量部以下の範囲となるように添加することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
<数平均分子量(1)>
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の、理論上の数平均分子量を、下記の方法に従って算出した。
実施例及び比較例のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)は、ポリイソシアネート由来の構造単位、ポリカーボネートジオール由来の構造単位、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を構成単位として含んでいる。これらの構成単位は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)において、各成分の分子量が保たれたまま形成されていることから、本実施例及び比較例では、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)を生成するまでの各成分のモル比(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは2で計算)と各成分の分子量との積の合計によってウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の数平均分子量を算出し、これを数平均分子量(1)とした。
<数平均分子量(2)>
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて得られる数平均分子量を、下記の方法に従って測定した。
高速ゲル浸透クロマトグラフィー装置(装置名:HLC-8120GPC、東ソー―社製)で、溶媒にTHF、標準サンプルにポリスチレン、カラムにTSKgel superH1000、H2000及びH3000を使用して、送液速度0.5mL/分、カラムオ-ブン温度40℃にて、数平均分子量を測定し、これを数平均分子量(2)とした。
<計算網目架橋点間分子量>
架橋構造を有する樹脂(B1)の計算網目架橋点間分子量を、下記の方法に従って算出した。
各実施例及び比較例における架橋構造を有する樹脂(B1)は、先に挙げた(a)プレポリマー法で作成したウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)を硬化させたものであるため、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の一分子内に存在する(メタ)アクリロイル基が、前記樹脂(B1)中の架橋点となることから、計算網目架橋点間分子量を下記式(2)から求めた。
Figure 0007087466000003
<引張強度、破断伸度、引張弾性率>
樹脂積層体の延伸加工性の指標として、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化被膜の破断伸度を、また、樹脂積層体の自己修復性と耐擦傷性の指標として、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化被膜の引張強度、引張弾性率を、以下の方法で測定した。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡A4100フィルム100μm)の非易接着面側に、バーコーターを用いて、硬化後の硬化膜の膜厚が20μmとなるように製膜した後、70℃で5分間乾燥させた。次いで、メタルハライドランプ(出力120W/cm)の紫外線を500mJ/cmの条件で、乾燥後の塗膜に照射した後、更に23℃で1日静置して硬化膜を形成した。その後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから硬化膜を剥離して、最終的に膜厚20μmの硬化膜を得た。
次いで、得られた硬化膜を10mm幅に切断し、オートグラフ精密万能試験機(装置名:AGS-X、島津製作所社製)を用いて、温度23℃ 、相対湿度55%RH、引張速度50mm/分、チャック間距離50mmの条件で引張試験を行って、破断伸度、引張強度、引張弾性率を測定した。
引張弾性率については、得られた応力-ひずみ曲線(SSカ-ブ)の0%伸び時と0.5%伸び時の応力とを結んだ直線(SSカーブの原点における接線)を延長し、100%伸び時に換算した応力を引張弾性率とした。
<自己修復性:鉛筆引掻き試験>
樹脂積層体の自己修復性は、後述する鉛筆引掻き試験により評価した。JIS K5600-5-4に準拠した方法(荷重750±10g, 速度30~60mm/min)で、鉛筆濃度3Hの鉛筆を用いて、樹脂積層体の硬化被膜(B)の表面に、少なくとも7mmで10本の引掻き傷を形成し、温度23±2℃、湿度(50±5)%の環境下で、24時間経過した後に目視にて引掻き試験を行った部分を観察し、残っている引掻き傷の本数を記録した。以下の判定基準で判定した。
○:残っている引掻き傷の本数が2本以下
×:残っている引掻き傷の本数が3本以上
また、鉛筆濃度2Hの鉛筆、及び4Hの鉛筆を用いて、上と同様に引掻き試験を行い、24時間経過した後に残っている引掻き傷の本数を記録した。
<耐擦傷性:耐スチーウール摩耗性>
樹脂積層体の耐擦傷性は、後述する耐スチーウール摩耗性試験により評価した。樹脂積層体についてスチールウール摩耗試験前に測定したヘーズ値をH1とする。一方、23℃、55%RHの雰囲気下、日本スチールウール(株)製スチールウール(#0000)に250gf(面積4cmあたり)の錘を載せ、上記硬化膜表面側を10往復擦り、直後に測定したヘーズ値をH2とした。
H2とH1との差:ΔH(ΔH=H2-H1)を求めた。
なお、上記においてヘーズ値はヘーズメーター(装置名:NDH2000、日本電色工業社製)を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。なおΔHの値が小さいほど樹脂積層体は耐擦傷性に優れている。
<碁盤目剥離試験>
樹脂積層体のおける硬化被膜(B)の密着性は、JIS K5600-5-4に準拠して碁盤目剥離試験を行い、下記判定基準にしたがって評価した。
〇:25マスのうち25マスすべてで硬化被膜(B)の剥離が見られなかった。
△:25マスのうち1マス~5マスで硬化被膜(B)の剥離が見られた。
×:25マスのうち6マス以上で硬化被膜(B)の剥離が見られた。
<原材料>
実施例及び比較例で使用した化合物の略号は以下の通りである。
<基材>
アクリル系基材:アクリル樹脂板(製品名:アクリライトL#001、板厚み3mm、三菱ケミカル株式会社製)
PET系基材:ポリエステルフィルム(製品名:A4100、厚み100μm、東洋紡株式会社製)
<ポリイソシアネート(b―1)>
IPDI:イソホロンジイソシアネート(製品名:VES TANAT IPDI、エボニック デグサ ジャパン社製)
<ポリカーボネートポリオール(b―2)>
T4691:数平均分子量1000のポリカーボネートポリオール(製品名:デュラノール T4691、旭化成社製、1,4-ブタンジオール/1,6-ヘキサンジオール=9/1(質量比))
<ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b―3)>
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機工業社製)
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名:A-TTM-3、新中村化学工業社製)
<低分子量ポリオール(b-4)>
1,12-DD:1,12-ドデカンジオール(宇部興産社製)
CHDM:1,4-シクロヘキサンジメタノール(新日本理化社製)
<その他の高分子量ポリオール(b―5)>
PCL210:数平均分子量1000のポリカプロクラトンポリオール(製品名:プラクセル210、ダイセル化学工業社製)
PTMG1000:数平均分子量1000のポリエーテルポリオール(製品名:PTMG1000、三菱ケミカル社製)
<表面スリップ剤(B2)>
スリップ剤1:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(製品名:BYK-378、ビッグケミージャパン社製)
スリップ剤2:アクリル基を有する変性ポリジメチルシロキサン(製品名:BYK-3505、ビックケミージャパン社製)
スリップ剤3:下記一般式(1)で表される系化合物(製品名:オプツールDAC、ダイキン工業社製)
Figure 0007087466000004
<液状有機化合物(B3)>
MEK:メチルエチルケトン(三協化学社製)
PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル(三協化学社製)
IPA:イソプロパノール(三協化学社製)
<UV開始剤>
UV開始剤1:(1-ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルメタノン(製品名:Irgacure184、BASFジャパン社製)
[製造例1]
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、ポリイソシアネート(b-1)としてIPDIを11.6gと、ポリカーボネートポリオール(b-2)としてT4691を21.6g入れ、低分子量ポリオール(b-4)として1、12-DDを53g入れ、更に液状有機化合物(B3)としてMEK560g、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.02gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら9時間反応させた。反応終了後60℃まで冷却した後、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.1g、メチルハイドロキノン0.2g、液状有機化合物(B3)としてMEK40gを加え、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b-3)としてPETA25gを滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでイソシアネート(NCO)基に由来したピ―クの強度変化により反応の進行を確認し、イソシアネート(NCO)基に由来したピ―クが消失したときを反応終結時として、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)としてオリゴマー(C1)を得た。GPCにより求めたオリゴマー(C1)の数平均分子量(2)は11000であった。
[製造例2~4]
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の製造条件を表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の条件で、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)を得た。
GPCにより求めたウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の数平均分子量(2)を表1に記載した。
[実施例1]
表2に記載の配合量で、前記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)に、表面スリップ剤(B2)としてスリップ剤1、液状有機化合物(B3)としてMEK、及び、UV開始剤としてUV開始剤1を添加、混合して、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物1とした。
このウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)の製造に用いた原料化合物の組成比はポリイソシアネート(b-1)/ポリカーボネートポリオール(b-2)/ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b-3)=12.3/5.1/2.04(モル比)であり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の固形分含有量は40質量%である。
得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物について、上述した評価方法に従って、引張強度、破断伸度、引張弾性率を測定した結果を表3に記載した。
得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、樹脂基材(A)としてアクリル系基材の一方の面に塗布した。
次いで、塗布された樹脂積層体を、70℃で5分間加熱することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中に含まれるMEKが、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の総質量100質量%に対して、10質量%以下となるまで、加熱した。
次いで、メタルハライドランプ(出力120W/cm)の紫外線を500mJ/cmの条件で、加熱後の塗膜に照射することで、樹脂基材(A)の表面に前記硬化被膜が形成された樹脂積層体を得た。
得られた樹脂積層体について、硬化被膜(B)を構成する、架橋構造を有する樹脂(B1)の計算網目架橋点間分子量は3200であった。
得られた樹脂積層体について、上述した評価方法に従って、自己修復性、耐擦傷性(ΔH)、密着性(碁盤目剥離試験)を評価した。評価結果を表4に示す。
[比較例1]
表面スリップ剤(B2)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の条件で、樹脂積層体を製造した。
得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と樹脂積層体の評価結果を、表4に示す。
[実施例2~18、比較例2~7]
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)又は活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の製造条件を表1~3に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の条件で、樹脂積層体を製造した。
得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と樹脂積層体の評価結果を、表4又は表5に示す。
[比較例8]
アクリル系基材に、硬化被膜(B)の層を形成せずに、アクリル系基材単体の自己修復性、耐擦傷性(ΔH)を、上述した評価方法に従って評価した結果を、表5に示す。
[比較例9~12]
樹脂基材(A)をPET系基材に変更した以外は、比較例9は実施例3と同様の条件で、比較例10は実施例5と同様の条件で、比較例11は実施例7同様の条件で、比較例12は比較例3同様の条件で、樹脂積層体を製造した。
なお、自己修復性、耐擦傷性、碁盤目剥離試験では、PET系基材の易接着面側に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布して、硬化被膜(B)の層を形成した。
得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と樹脂積層体の評価結果を、表4又は表5に示す。
[参考例1]
PET系基材に、硬化被膜(B)の層を形成せずに、PET系基材単体(非易接着面)の、自己修復性、耐擦傷性(ΔH)を、上述した評価方法に従って評価した結果を、表3に示す。
比較例1、2、4は、表面スリップ剤(B2)の含有量が少ないため、樹脂積層体の自己修復性と耐擦傷性が不十分であった。
比較例3、5は、表面スリップ剤(B2)の含有量が多いため、硬化被膜(B)の密着性が不十分となり、樹脂積層体の自己修復性が不十分であった。
比較例6は、硬化被膜(B)の引張弾性率が高いため、樹脂積層体の自己修復性と耐擦傷性が不十分であった。また、硬化被膜(B)の破断伸度が低く、樹脂成形体の成形加工性が不十分であった。
比較例7は、硬化被膜(B)の引張弾性率が低いため、樹脂積層体の自己修復性と耐擦傷性が不十分であった。
比較例8は、硬化被膜(B)の層を形成していないので、樹脂積層体の自己修復性と耐擦傷性が不十分であった。
比較例9~12は、樹脂基材(A)が(メタ)アクリル系樹脂からなる樹脂基材ではないため、樹脂積層体の自己修復性が不十分であった。
Figure 0007087466000005
Figure 0007087466000006
Figure 0007087466000007
Figure 0007087466000008
Figure 0007087466000009

Claims (13)

  1. (メタ)アクリル系樹脂からなる樹脂基材(A)の少なくとも一方の面に硬化被膜(B)を備えた樹脂積層体であって、
    前記硬化被膜(B)が、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)と表面スリップ剤(B2)を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化してなる、架橋構造を有する樹脂(B1)と表面スリップ剤(B2)とを含む硬化被膜であり、
    前記樹脂(B1)の計算網目架橋点間分子量が1500以上3200以下であり、
    前記架橋構造を有する樹脂(B1)が、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)由来の構造単位を、該樹脂(B1)の総質量100質量%に対して40質量%以上含み、且つ、
    前記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)由来の構造単位が、ポリイソシアネート(b-1)由来の構造単位、ポリカーボネートポリオール(b-2)由来の構造単位、及び、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b-3)由来の構造単位を含み、
    表面スリップ剤(B2)が、分子内中にシロキサン結合単位を有する化合物、及び、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基を有する化合物から選ばれる少なくとも1種を含み、
    前記硬化被膜(B)が、前記表面スリップ剤(B2)を、該硬化被膜(B)の総質量100質量%に対して、0.0095質量%以上5.0質量%以下含む、樹脂積層体。
  2. (メタ)アクリル系樹脂からなる樹脂基材(A)の少なくとも一方の面に硬化被膜(B)を備えた樹脂積層体であって、
    前記硬化被膜(B)が、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)と表面スリップ剤(B2)を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化してなる、架橋構造を有する樹脂(B1)と表面スリップ剤(B2)とを含む硬化被膜であり、
    前記樹脂(B1)の計算網目架橋点間分子量が1000以上15000以下であり、
    前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化被膜の引張弾性率が100MPa以上1000MPa以下であり、
    表面スリップ剤(B2)が、分子内中にシロキサン結合単位を有する化合物、及び、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基を有する化合物から選ばれる少なくとも1種を含み、
    前記硬化被膜(B)が、前記表面スリップ剤(B2)を、該硬化被膜(B)の総質量100質量%に対して、0.0095質量%以上5.0質量%以下含む、樹脂積層体。
  3. 前記架橋構造を有する樹脂(B1)が、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)由来の構造単位を、該樹脂(B1)の総質量100質量%に対して40質量%以上含み、且つ、
    前記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)由来の構造単位が、ポリイソシアネート(b-1)由来の構造単位、ポリカーボネートポリオール(b-2)由来の構造単位、及び、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b-3)由来の構造単位を含む、請求項に記載の樹脂積層体。
  4. 前記(b-2)由来の構造単位が、1,4-ブタンジオール由来の構造単位(X)を含む、請求項1又は3に記載の樹脂積層体。
  5. 前記(b-1)由来の構造単位が、炭素数5~15の脂環式炭化水素基を有するポリイソシアネート由来の構造単位である、請求項1、3、4のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
  6. 前記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)由来の構造単位は、前記(b-1)由来の構造単位30~50モル%、前記(b-2)由来の構造単位10~50モル%、及び、前記(b-3)由来の構造単位3~30モル%を含む、請求項1、3のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
  7. 前記(b-2)由来の構造単位が、少なくとも1,4-ブタンジオール由来の構造単位(X)を含み、
    1,4-ブタンジオール由来の構造単位(X)の含有量と、1,6-ヘキサンジオール由来の構造単位(Y)の含有量が、
    0.7≦〔(X)/[(X)+(Y)]〕≦1.0
    を満足する、請求項1、3のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
  8. 前記(b-3)由来の構造単位が、(メタ)アクリロイル基と水酸基との間に炭素数2~4のアルキレン基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位である、請求項1、3のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
  9. 前記(b-3)由来の構造単位が、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加反応物由来の構造単位、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加反応物由来の構造単位、グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応物由来の構造単位、グリコールのモノ(メタ)アクリレート体由来の構造単位、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位、及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1、3のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
  10. 前記硬化被膜(B)が、前記表面スリップ剤(B2)を、該硬化被膜(B)の総質量100質量%に対して、0.1質量%以上0.75質量%以下含む、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
  11. 表面スリップ剤(B2)が、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項1~10のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
    Figure 0007087466000010
    [式(1)中、Rfはパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基を表す。]
  12. 樹脂積層体の製造方法であって、
    下記工程(1)~(3)を順次行うことを含む樹脂積層体の製造方法。
    工程(1):ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)95.0~99.99質量%と表面スリップ剤(B2)0.01~5.0質量%を含む混合物100質量部、及び、液状有機化合物(B3)50~1000質量部を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、(メタ)アクリル系樹脂からなる樹脂基材(A)の少なくとも一方の面に塗布する。
    工程(2):工程(1)の後、前記樹脂基材(A)に塗布された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中に含まれる液状有機化合物(B3)が、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の総質量100質量%に対して、10質量%以下となるまで加熱する。
    工程(3):工程(2)の後、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して、硬化処理して、硬化被膜を形成し、前記樹脂基材(A)の表面に前記硬化被膜が形成された樹脂積層体を得る。
    なお、前記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(C)は、ポリイソシアネート(b-1)由来の構造単位、ポリカーボネートポリオール(b-2)由来の構造単位、及び、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b-3)由来の構造単位を含有し、かつ、前記(b-1)由来の構造単位、前記(b-2)由来の構造単位及び前記(b-3)由来の構造単位の合計量100モル%に対して、(b-1)由来の構造単位30~50モル%、(b-2)由来の構造単位10~50モル%、及び、(b-3)由来の構造単位3~30モル%を含有する。
  13. 前記液状有機化合物(B3)が、アルコール、エステル、エーテル、ケトンから選ばれる少なくとも1種である、請求項12に記載の樹脂積層体の製造方法。
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