JP2015104917A - 剥離フィルム、それを用いた粘着フィルム構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】剥離力を保持しながら移行性が低い剥離フィルム、それを用いた粘着フィルム構造体を提供する。【解決手段】基材と、前記基材表面に形成された剥離層とを有する剥離フィルムにおいて、前記剥離層が、(A)シリコーン変性ポリエステル樹脂及び(B)含窒素芳香族骨格を有する有機化合物を含有してなる剥離剤組成物を硬化してなるものである剥離フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、剥離剤組成物を塗工硬化してなる剥離フィルム、さらにはその剥離フィルムを用いた粘着フィルム構造体に関する。
近年、タッチパネルなどの表示装置分野で視認性向上を目的とした各部材の間、例えばタッチセンサーと前面ガラス板の間を樹脂で充填し、光散乱や乱反射を抑制することが行われている。充填する樹脂に関しては、紫外線硬化性樹脂組成物を部材の片方にディスペンス後、もう一方の基材を張り合わせた後、紫外線を照射硬化することが行われているが、未露光部を確実に硬化させることや、張り合わせ位置精度を管理することが難しい。一方、この問題を回避するため感圧型粘着フィルムを適当な大きさに打ち抜いたシート状のフィルムを各部材に張り合わせることは、生産性向上と張り合わせ精度を両立させるため、主流な技術になりつつある。
前記感圧型粘着材は主にシリコーン系の剥離材を光学特性の良いポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィルムと記載)に塗工硬化してなる剥離ライナーに、感圧型粘着材を塗布、それを電子線で硬化させることにより、両面テープとしての構造体となせるものが主流である。
前記シリコーン系剥離材は、ポリジメチルシロキサン誘導体をPETフィルムに塗工後、白金触媒により熱硬化、PETフィルム上にアンカリングさせることにより、剥離ライナーとすることが多い。しかしながらPETフィルム表面へのシリコーン系剥離材の濡れ性や本硬化反応がエージングを必要とするほど反応性が低く、PETフィルムへのアンカリング性が不十分なこともあり、前記感圧型粘着材製造時に当該剥離材が粘着材界面に移行し、その粘着材を被着体に張り合わせた後、一般的に気泡と呼ばれている点状のはがれが起き、表示装置として視認性を著しく損なうことが問題となっている。
特開2000−303018号公報 特開2000−095929号公報
上述のようにタッチパネルを含む表示装置や精密電子機器の分野では、それらに使用される部材表面への剥離層の移行が気泡やはがれ等の重大な問題を生じる。剥離力を保持しながら移行性が低い剥離フィルムを用いることで本問題を解決することは、有効な手法であると考えられる。
本発明の目的は、剥離力を保持しながら移行性が低い剥離フィルム、それを用いた粘着フィルム構造体を提供することである。
本発明は、剥離剤組成物を塗工および硬化してなる剥離フィルム、さらにはその剥離フィルムを用いたフィルム構造体に関するものである。
本発明は、基材(基材フィルムとも表す)と、前記基材表面に形成された剥離層とを有する剥離フィルムにおいて、前記剥離層が、(A)シリコーン変性ポリエステル樹脂及び(B)含窒素芳香族骨格を有する有機化合物を含有してなる剥離剤組成物を硬化してなるものである剥離フィルムに関する。
また、本発明は、成分(B)含窒素芳香族骨格を有する有機化合物が、反応性トリアゾール誘導体である前記の剥離フィルムに関する。
また、本発明は、剥離層厚みが、100〜3000nmである前記の剥離フィルムに関する。
また、本発明は、剥離層構成成分が、空気面、空気面から深さ5nm、空気面から深さ10nm、基材界面において、異なる成分比を示す、前記の剥離フィルムに関する。
また、本発明は、空気面、空気面から深さ5nm、空気面から深さ10nm、基材界面における、窒素/珪素元素質量存在比が、それぞれ1〜5%/6〜10%、3〜7%/1〜6%、3〜6%/0.5〜5%、3〜10%/0.5〜5%である前記の剥離フィルムに関する。
また、本発明は、剥離層の硬化方法が熱硬化である前記の剥離フィルムに関する。
また、本発明は、粘着フィルム向け剥離ライナーである前記の剥離フィルムに関する。
また、本発明は、電子線硬化型の粘着層と、前記粘着層が表面に形成された前記の剥離フィルムとを有する粘着フィルム構造体に関する。
本発明により、剥離力を保持しながら移行性が低い剥離フィルム、それを用いた粘着フィルム構造体を提供することが可能になる。
本発明は、(A)シリコーン変性ポリエステル樹脂を主剤とし、これに(B)含窒素芳香族骨格を有する化合物を加えることで、剥離層の剥離に寄与する(A)のシリコーン由来骨格成分を空気面に、基材密着性ならびに基材への塗工性改善に寄与する(B)含窒素芳香族骨格を有する化合物を基材面へ剥離層内に局在化させた後、硬化しその構成を維持することにより、上記剥離剤の基材塗工性および基材フィルムからの非移行性と軽剥離性を両立せしめるものである。
このことによりOCAに代表される粘着フィルム向けの剥離ライナーとして使用した場合、粘着層のタッチパネル構成部材からのはがれや気泡に関わる信頼性が向上する。
一般的に剥離ライナーと一般的に呼ばれている剥離フィルム(剥離ライナーとも表す)に塗工する粘着層が、柔らかく腰がない場合もしくは高い粘着力を示す場合には、剥離フィルムの粘着層に対する剥離力を非常に軽くする必要がある。
本件のような場合に用いられるポリエチレンテレフタレート(以下PET)フィルムにオルガノポリシロキサンを塗工および硬化させてなる剥離フィルムは、その軽剥離力を発現するためにポリジメチルシロキサンを主成分とした誘導体を白金等の触媒で熱硬化させ、PETフィルム基材に固着させる手法が用いられている。
しかしながら、粘着層に対する剥離力を満足させるためには、上記オルガノポリシロキサン誘導体濃度を高く、さらには低温で長時間かけ硬化およびPETフィルムへの固着をすることが必要である。しかし、未だ剥離層の粘着層の移行が問題となることが多い。
また、軽剥離力の剥離ライナー向けの剥離剤は基材フィルムへの塗工性が劣ることが多く、剥離ライナーの剥離層の空気面の剥離力を軽くすることと、基材面への濡れ性および密着性を両立することは、困難であった。
上記事実に鑑み、本発明者らは鋭意工夫を凝らすことで、基材フィルムへの剥離剤の基材塗工性および基材フィルムからの非移行性と粘着層の軽剥離化を実現した。
すなわちは、(A)シリコーン変性ポリエステル樹脂を主剤とし、これに(B)含窒素芳香族骨格を有する化合物を加えることで、剥離層の剥離に寄与する(A)のシリコーン由来骨格成分を空気面に、基材密着性ならびに基材への塗工性改善に寄与する(B)含窒素芳香族骨格を有する化合物を基材面へ剥離層内に局在化させた後、硬化しその構成を維持することにより、上記剥離剤の基材塗工性および基材フィルムからの非移行性と軽剥離性を両立せしめるものである(以後 本層内局在化現象を「層内局在化」と記述する)。
(A)成分の中で、ポリエステル樹脂にアルキド樹脂を用い、(B)含窒素芳香族骨格を有する化合物にアミノ樹脂を用いることを特徴とする方法は、特開2000−303018号公報(特許文献1)や特開2000−095929号公報(特許文献2)に記載されている方法として知られている。
しかし、本文献手法では、オルガノポリシロキサン誘導体で構成されている一般的なシリコーン系剥離ライナーの軽剥離力までに到達することが困難で、剥離フィルムに塗工する粘着層が、柔らかく腰がない場合もしくは高い粘着力を示す場合には、粘着層の剥離力が重く不十分であることが多い。
これは剥離剤層のシリコーン由来骨格成分を空気面に、基材密着性ならびに基材への塗工性改善に寄与する成分を基材面へ剥離層内に局在化させることが未だ不十分であることによるものと推察される。
上記層内局在化を助長させるには、(B)含窒素含有芳香族化合物が有効であるが、これは(A)と(B)の組み合わせによることは、いうまでもない。
前述参考公報の方法では、(B)含窒素含有芳香族化合物にアミノ樹脂を取り上げている。アミノ樹脂はアルキド樹脂との酸−アミノ硬化による硬化成分として使用されている。
本発明者らは、より剥離層内局在化を助長させる手法は何かを鋭意検討した結果、メチル化メラミン樹脂とベンゾトリアゾール誘導体の併用が層内局在化の助長に有効であることを見出した。
特にベンゾトリアゾール誘導体の添加は、他の含窒素化合物例えばシアヌレート環を有する多価イソシアネートやメラミン、ベンゾグアナミンに比べ、少量の添加で層内局在化に非常に有効な手法であることが確認された。
よりPETフィルム等の基材への剥離剤の濡れ性の観点でも、より濡れ性が向上し、塗工性が向上していることも確認された。
このメチル化メラミン樹脂とトリアゾール誘導体の併用において、トリアゾール誘導体は硬化反応時に反応性であることが望ましい。すなわち剥離ライナーの剥離層からの当該トリアゾール誘導体の染み出し(ブリードアウト)などが起こることで、剥離層の基材密着性の低下や粘着層への移行が懸念される。
本発明者らは、酸−アミノ硬化系での反応性を考慮した化合物を検討した結果、アリル基含有ベンゾトリアゾール誘導体が最も優れた特性を示すことも確認した。これは酸−アミノ硬化系でのアリル基の反応による層内局在化構造を強固に作ることに起因すると思われる。
このような化合物で構成された剥離剤を塗工硬化してなる剥離ライナーの剥離層の元素分布を、アルゴンプラズマ照射による空気面からのエッチングとその元素組成比をX線光電子分光装置(XPS: X−ray photoelectron spectroscopy)にて分析した結果、本発明者らの目論見どおり空気面近傍の炭素/珪素/窒素比率と層内部、基材界面の比率が大きく異なることが検出された。
特に空気面から10nmまでの元素組成比率の違いが大きく、これが剥離力の軽剥離化を実現したことを説明するものであると考える。
本手法にメチル化メラミン樹脂とアリル基含有ベンゾトリアゾール誘導体を併用する効果を最大限に発現するのは、パラトルエンスルホン酸を酸触媒としたアミノ硬化系が最も望ましい。これは酸によるアリル基の反応と速硬化(加熱30秒以内)が期待されるためであり、他の含窒素含有芳香族化合物を用いた場合は、塗工乾燥直後では硬化が完了せず、フィルムを塗工乾燥後に巻き取った際に、基材裏面への転写やまたそれを軽減させるために乾燥後に養生が必要になることが問題となることがあるためである。
本発明で得られた剥離ライナーがもっとも望まれる用途は、タッチパネルの視認性向上と落下衝撃軽減に起用する透明エラストマー粘着フィルムである。本粘着フィルムは一般的に光学透明粘着フィルム(以下OCA: Optical Clear Adhesive)と呼ばれている。粘着フィルムに求められる特性の内、視認性に関わる透明性などの光学特性、額縁や配線を埋め込むための埋め込み性、使用中にはがれや気泡などが発生しない信頼性などが特に重要である。
上記課題の内、透明性と埋め込み性に関してはその樹脂組成等で改善をなしえることができるが、はがれや気泡問題の内、剥離ライナーからの剥離成分の粘着層への移行が原因となるものは、粘着層の改善だけでは解決することができない。
さらに埋め込み性改善のため、粘着層はより柔らかく低弾性の方向に改良が進んでいるため、粘着層から剥離ライナーを剥がす際の粘着層の反撥力が小さく、剥離ライナーが剥がせなくなる問題がより増えてきている。
剥離ライナーの剥離性はオルガノポリシロキサンで表面エネルギーを減じ対応することは可能であるが、剥離層の粘着層への移行により部分的に粘着層の粘着力が低下し、これがはがれや気泡の原因となることは解決することができていない。
本発明者らは、本技術を用いて作成した剥離ライナーを基材とし、これに電子線硬化型の透明粘着層を塗布、その後さらに軽剥離である本技術を用いた剥離ライナーをラミネートした3層構造のフィルムを作成、そこに電子線硬化を行うことで当該OCA構造体を形成した。
OCAフィルム構造体から軽剥離側の剥離ライナーを剥がし、偏光板にラミネートその後重剥離側の剥離ライナーを剥がし、段差付きガラスに積層し、評価用サンプルを作成した。
これを高温高湿下に放置し、OCAのはがれや気泡の発生数を測定した。またそれぞれの部材(偏光板、ガラス)とのOCAの密着力も併せて測定した。結果として、従来のシリコーン系剥離ライナーに比べ、気泡が発生せず、また各部材との密着力は2割程強かった。
また気泡発生部位周辺で、珪素が検出され、シリコーン系剥離ライナーの剥離成分の粘着層への移行が、上記信頼性の低下と密着力の低下をさせたことが示唆された。
本検討結果から、本発明で得られた剥離ライナーは、OCAなどの粘着フィルムの信頼性を向上させることが分かった。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の剥離フィルムは、(A)シリコーン変性ポリエステル樹脂、(B)含窒素芳香族骨格を有する有機化合物、の双方を含有してなる剥離剤組成物を、基材に、塗工および硬化してなる剥離フィルムである。
本発明における(A)シリコーン変性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂を反応性のシリコーン誘導体で変性した樹脂が好ましい。当該ポリエステル樹脂は多塩基酸と多価アルコールとの脱水縮合反応によって合成される樹脂をさす。
また反応性のシリコーン誘導体とはビニル基やグリシジル基のようなポリエステル樹脂末端のカルボン酸やアルコールと反応する誘導体でもよく、またアミノ基や水酸基のような活性水素をもっていて、無水多塩基酸や多官能イソシアネート等と反応し、上記ポリエステルと反応、変性することができるものでも良い。
さらには、本シリコーン変性成分の主鎖は、オルガノポリシロキサンが望ましく、特にポリジメチルシロキサン骨格やポリメチルフェニルシロキサン骨格がより望ましく、軽剥離化と層内局在化の誘起にはポリジメチルシロキサン骨格が最適であるが、それらに限定されるものではない。
本シリコーン変性に用いられる材料としては、片末端型変性ポリジメチルシロキサンや側鎖型変性ポリジメチルシロキサンが好適であり、例えば片末端型エポキシ変性ポリジメチルシロキサン(商品名 信越シリコーン株式会社製 X−22−173DX他)、片末端型カルビノール変性ポリジメチルシロキサン(商品名 X−22−170DX他)、片末端型ジオール変性ポリジメチルシロキサン(商品名 信越シリコーン株式会社製 X−22−176DX他)、片末端型カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン(商品名 信越シリコーン株式会社製 X−22−3710他)、側鎖型エポキシ変性ポリジメチルシロキサン(商品名 信越シリコーン株式会社製 KF−1001他)、側鎖型アミン変性ポリジメチルシロキサン(商品名 信越シリコーン株式会社製 KF−864他)、側鎖型カルビノール変性ポリジメチルシロキサン(商品名 信越シリコーン株式会社製 X−22−4015他)、側鎖型カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン(商品名 信越シリコーン株式会社製 X−22−3701E他)などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
本シリコーンのポリジメチルシロキサン鎖長は、数平均分子量として1000〜30000が望ましく、数平均分子量として3000〜15000が変性効率と剥離力の両立の観点で、より望ましい。
本発明における(B)含窒素芳香族骨格を有する化合物とは、アミノ樹脂、メラミン、ベンゾグアナミン、トリアゾール誘導体、シアヌレート環を有する多価イソシアネートなどがあげられる。
アミノ樹脂としては、アミノ基含有芳香族化合物をアルデヒドを用いて縮合させた樹脂をさし、メチル化メラミン樹脂やブチル化メラミン樹脂などが挙げられるが、それに限定するものではない。メチル化メラミン樹脂としては日立化成株式会社製メラン523などが、ブチル化メラミン樹脂としては日立化成株式会社製メラン2000などが入手可能である。
メラミンとしては日産化学株式会社製のものなどが、ベンゾグアナミンとしては日本触媒株式会社製のものなどが入手可能である。
トリアゾール誘導体としては、ベンゾトリアゾールおよびその誘導体が入手のしやすさの見地から好ましい。ベンゾトリアゾール誘導体としては、1−[N,N − ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−4−メチルベンゾトリアゾールと1−[N,N − ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]− 5−メチルベンゾトリアゾールの混合物(商品名 大和化成株式会社製 OA386)、2−[2,4−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(商品名 大和化成株式会社製 T−0)、2−[2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(商品名 大和化成社株式会社製 T−7)、2−[4−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(商品名 大和化成株式会社製 T−8)、2−[4−エトキシ−2−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(商品名 大和化成株式会社製 T−52)、2−[4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(商品名 大和化成株式会社製 T−53)、2−[4−アリルオキシ−2−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(商品名 大和化成株式会社製 T−84)などが挙げられるが、トリアゾール骨格を持っている化合物であれば上記に限定するものではない。
シアヌレート環を有する多価イソシアネートとしては、ジイソシアナートのイソシアヌレート型三量体がその入手のし易さから望ましい。ヘキサメチレンジイソシアナートのイソシアヌレート型三量体(商品名 旭化成ケミカルズ株式会社製 デュラネートTPA−100他、「デュラネート」は登録商標)などが好適であるが、それらに限定されるものではない。
これらの含窒素化合物のうち、塗工時の速硬化性と剥離層内局在化の観点から、メチル化メラミン樹脂とアリル変性ベンゾトリアゾール誘導体の併用で、酸触媒存在化で酸−アミノ硬化をならしめることが最も望ましい。
また(B)含窒素芳香族骨格を有する有機化合物のうちその化合物がアミノ樹脂である成分と、(A)シリコーン変性ポリエステル樹脂との混合物は、市場より入手することが可能である。例として、日立化成ポリマー株式会社製テスファインシリーズおよびその周辺製品群は好適であり、テスファイン319、TA31−300A、TA31−209E(「テスファイン」は登録商標)などを用いることができる。この製品にアミノ樹脂以外の含窒素芳香族骨格を有する有機化合物を配合、塗工、硬化することで目的の剥離フィルムを得ることができる。
本発明のコンセプトは、剥離力と基材密着力(非移行性)の両立をならしめるため、剥離層内の成分の局在化であることは前述したが、この層内局在化をなしえるためにはその塗工される剥離層の厚みも重要である。剥離層厚みは100〜3000nmであることが好ましく、200〜1000nmがより好ましい。剥離層厚みが100nmより薄い場合は、基材フィルムに対する剥離層の固着力が粘着剤の粘着力より小さくなり、粘着層から剥離フィルムを剥がす際に、粘着層に剥離層が一部転着する不具合が生じることがある。また、剥離層厚みが3000nmより厚い場合には、層内局在化と硬化性のバランスが崩れ、重剥離化や基材からの剥離層の剥がれが生じることがある。
上記層内局在化現象の検証は、その剥離層の厚みが非常に薄いため難しかった。本発明者らは、剥離フィルムの空気面から、アルゴンプラズマにて剥離層をエッチングしていき、逐次そのエッチング深さでの元素存在比を、XPSを用いて追跡することで、この層内局在化現象を実証した。
本測定結果での剥離層内の元素存在比では、剥離層の空気面では珪素元素の存在比が高く、窒素元素の存在比が最も少ない、空気面から約5nmの深さでは珪素元素の存在比が急激に減少、窒素元素の存在比が最も高くなった。さらに深さ方向に対し元素存在比を観察すると、空気面から10nmの深さから深い部分では珪素元素の存在比がほぼ一定の低さになり飽和した。窒素元素存在比も10nmの深さから深い部分で珪素元素と同様の存在比挙動を示した。さらに深さ方向を観察すると、基材界面では再び窒素元素存在比が増えることがわかった。
この観察された現象は、層内局在化により空気面から数nmの範囲で剥離性を発現する成分(珪素元素を含む物質)が局在化し、深さ10nm程でその局在化を助長する含窒素芳香族骨格をもつ化合物の存在比率(窒素元素比率)が結果として層内存在比で最も高い存在比を示すことであると解釈できる。またこの各元素の存在比はアリル変性ベンゾトリアゾール誘導体がわずか数%添加されることで、大きな元素存在比率の違いを見せることからも、本物質が層内局在化を助長していることを容易に推察させるに足るものである。
本手法における元素質量存在比は、空気面、空気面から深さ5nm、空気面から深さ10nm、基材界面において、窒素/珪素元素質量存在比とした場合、空気面においては窒素/珪素=1〜5%/6〜10%、空気面から深さ5nmにおいては窒素/珪素=3〜7%/1〜6%、空気面から深さ10nmにおいては窒素/珪素=3〜6%/0.5〜5%、基材界面においては窒素/珪素=3〜10%/0.5〜5%が好ましい。
空気面の窒素存在比が5%より大きい場合および/または珪素存在比が6%より小さい場合は剥離力が重くなる。空気面から深さ5nmの部分で、窒素存在比が3%より小さい場合および/または珪素元素存在比が6%より大きい場合は剥離層の粘着層への移行が生じる場合がある。空気面から深さ10nmの部分で、窒素存在比が3%より小さいおよび/または珪素存在比が5%より大きい場合は、剥離層の粘着層への移行が生じる場合がある。基材界面において窒素存在比が3%より小さいおよび/または珪素存在比が5%より大きい場合は、剥離層の基材面からの脱落や浮き現象が生じることがある。
上記層内局在化に有効な硬化系は種々考えられるが、製造し易さや同時に複数の反応をさせるために、熱硬化が望ましい。また多価イソシアナートによるウレタン硬化に代表される反応やビニル基の基材への固着を期待した付加反応では、硬化反応に時間を要することから、酸触媒による酸−アミノ硬化系がさらに望ましい。この酸触媒にはパラトルエンスルホン酸、硫酸、塩酸等一般的に酸−アミノ硬化に使用される酸触媒を使用することができる。剥離層からの触媒の脱離、浮きがしにくいことから、パラトルエンスルホン酸が好適である。
本発明で得られた剥離フィルムを剥離ライナーとして使用する場合、軽剥離力と剥離成分の非移行性が最も効果を表すのは、粘着両面テープである。この粘着テープのなかでもOCAに代表されるディスプレイ向け光学部材向けに適用することは産業上最も効果的と考えられる。
現在主流のOCAはアクリル系樹脂を主材料にそこに電子線硬化型オリゴマー、電子線硬化型モノマーなどを配合してなる、無溶剤型アクリル系シロップを重剥離ライナーに塗工後、軽剥離ライナーをラミネートし、その後電子線照射をしてアクリル系シロップを重合させてなることを特徴とするものである。本電子線とは紫外線硬化を含み、現在の主流の効果方法は紫外線硬化である。
このアクリル系シロップは無溶剤ではあるが、そこに含まれる電子線硬化型オリゴマーやモノマーは、場合によっては溶剤以上に剥離層への染込み等が起こりやすく、また剥離層を劣化させることがある。この現象が、従来のシリコーン系剥離ライナーでは起こりやすく、剥離成分のOCA層への移行が起こりやすい。この剥離成分のOCAへの移行が、タッチパネルを組み立てた後の偏光板やタッチセンサー、カバーガラス等の部材とOCA界面でのはがれや気泡不具合の原因となることがある。
この分野に本発明で得られた剥離ライナーを用いたところ、はがれや気泡等の不具合が検出されず、さらには汎用シリコーン系剥離ライナーを用いた場合に比べ、各種部材との密着力が高くなった。また、汎用シリコーン系剥離ライナーの気泡付近のOCAをマニュピュレーターによりサクションし、これをX線にて元素分析を行った結果、汎用シリコーン系剥離ライナー使用のOCA層から珪素元素が検出された。上記の事実から、汎用シリコーン系剥離ライナーの剥離層からのOCA層への転着が起きたものと容易に考えることができる。
上記の事実からも、本発明で得られた剥離ライナーを用いたOCA構造体は、信頼性が高くまた各種部材への密着性も高いことが分かった。本発明は上記分野に対し特に信頼性向上に有用なものであると考えられる。
本発明の剥離フィルムは、粘着フィルム向け剥離ライナーとして有用である。
また、本発明の粘着フィルム構造体(3層構造粘着フィルムとも表す)は、電子線硬化型の粘着層と、前記粘着層が表面に形成された本発明の剥離フィルムとを有している。粘着層の形成方法としては、本発明の剥離フィルムの剥離層面に、粘着剤を塗工した後、電子線硬化により硬化してもよい。また、粘着テープ(フィルム)の粘着層面を、本発明の剥離フィルムの剥離層面に、ローラー等で圧着し、本発明の粘着フィルム構造体を作製してもよい。
以下、本発明の好適な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、「%」は「質量%」を表す。
(実施例1)
2−[4−アリルオキシ−2−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(以下 All−BTAと記載。大和化成株式会社製;商品名:Dainsorb T−84)5gを200mLの三角フラスコに量りいれ、トルエンにて100gとし、5%All−BTA溶液を調整した。熱硬化系剥離剤(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:TA31−300A)9.95g(固形分50%)に5%All−BTA溶液を0.5g添加し十分に攪拌し剥離剤溶液を得た。この剥離溶液を2gにトルエン4gとイソプロパノール4gを添加攪拌後、硬化触媒である50%パラトルエンスルホン酸トルエン溶液(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:ドライヤー#900)を0.05g添加攪拌し、塗工用剥離剤溶液を得た(All−BTA固形分比0.5%)。
得られた剥離剤溶液を、バーコーターNo.4(第一理化株式会社製)で100μm厚みの透明PETフィルム(東レ株式会社製;商品名:ルミラーT60 #100、「ルミラー」は登録商標)に塗工し、直ちに120℃の循環式乾燥機に30秒投入、その後直ちに150℃の循環式乾燥機に30秒投入し、溶剤乾燥ならびに剥離層の硬化を行い、剥離フィルムを得た。
(剥離力)
得られた剥離フィルムの剥離力を粘着テープの剥離力として測定した。すなわち得られた剥離フィルムに、ポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製;商品名:No.31B)を2kgローラーにて1往復圧着したものを30分放置後、基材幅25mmの短冊状に切断し、引っ張り試験機を用い、300mm/分の速度で180゜剥離試験を行なった。
(残留接着率)
得られた剥離フィルムの残留接着率を測定した。前項で測定に供して剥離したNo.31Bテープ試験片を再度ステンレス板に2Kgローラーで一往復圧着し、前項と同様に300mm/分の速度で180°に引っ張り、その剥離力W(N/25mm)を測定した。一方、前項処理をしないNo.31Bテープをステンレス板に貼りつけ、これを同様の条件でステンレス板から剥離するのに要する力W(N/25mm)を測定し、このWに対するWの比(W/W)(百分率)を求めて残留接着率とした。
(粘着層剥離力)
重剥離フィルム(帝人デュポン株式会社製;商品名:ピューレックスA31、125μm厚み、「ピューレックス」は登録商標)上に250μmのPETフィルムスペーサーを両横脇に設け、さらにその上部に上記で得られた剥離フィルムを重ねるように構成を作った。その後、得られた剥離フィルムの上部奥部分にガラス棒を置き、ガラス棒を包むように奥に折り返して準備をした。この折り返し部手前のスペーサーの間に、紫外線硬化型アクリル系粘着剤(日立化成株式会社製;商品名:ヒタロイド7924−7、「ヒタロイド」は登録商標)を気泡が入らないようたらし、ガラス棒を剥離フィルム越しに手前方向に移動させることで、重剥離フィルム/250μmの粘着層/剥離フィルムの3層構造フィルムを作成した。このフィルムを重剥離フィルム側から、紫外線照射装置(GSユアサ株式会社製 メタルハライドランプ)にて積算光量1500mJ/cmを照射し、粘着層を硬化させた。
ここで得られた3層構造粘着フィルムを25mm幅に切断し、その剥離フィルムを、引っ張り試験機を用い、300mm/分の速度で90°に引っ張り、粘着層剥離力を測定した。
(粘着層粘着力)
上記で得られた3層構造粘着フィルムを25mm幅に切断し、この切断したフィルムの剥離フィルムを取り去り、同サイズのガラス板に500gローラーを一方向に動かし圧着させた。その後重剥離フィルムを取り去り、その上に25mm幅に切断した易接着PETフィルム(ユニチカ株式会社製:商品名;エンブレットS38、「エンブレット」は登録商標)を500gローラーを一方向に動かし圧着させた。その後、易接着フィルムをチャックにはさみ、300mm/分の速度で180°に引っ張り粘着層の粘着力を測定した。
(信頼性評価)
上記で得られた3層構造粘着フィルムを8×11mmに切断し、この切断したフィルムの剥離フィルムを取り去り、同サイズのガラス板に500gローラーを一方向に動かし圧着させた。その後重剥離フィルムを取り去り、その上に同サイズのガラス板もしくは額縁付き(幅3mm段差35μm)のガラス板を張り合わせ装置(台湾雷明社製 装置名 LAMIN Model No.MP94)にて貼り付けて、3層構造の構造体を作成した。
この構造体を65℃90%RHにて1000時間放置し、はがれや気泡の状態を確認した。
(元素存在比率)
上記で得られた剥離フィルムの元素存在比率をXPS(島津/Kratos社製走査X線光電子分光装置 AXIS−165 型)を用い測定した。この測定結果を空気面の元素存在比率とし、この表面にアルゴン銃を用いて、加速電圧3.5kV、電流値20mAで一定の速度で空気面から剥離層内面に向かって逐次エッチングを行い、それぞれの深さ方向の元素存在比率を測定した。基材(PET)界面のデータは、アルゴンエッチングを継続逐次元素存在比率データを取得し、未処理PETの元素存在比率と取得されたデータが同一になる前のデータを基材界面の元素存在比率とした。
(実施例2)
実施例1同様に、熱硬化系剥離剤(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:TA31−300A)9.90g(固形分50%)に5%All−BTA溶液を1.0g添加し十分に攪拌し剥離剤溶液を得た。この剥離溶液を2gにトルエン4gとイソプロパノール4gを添加攪拌後、硬化触媒である50%パラトルエンスルホン酸トルエン溶液(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:ドライヤー#900)を0.05g添加攪拌し、塗工用剥離剤溶液を得た(All−BTA固形分比1%)。
得られた剥離剤溶液を、バーコーターNo.4(第一理化株式会社製)で100μm厚みの透明PETフィルム(東レ株式会社製;商品名:ルミラーT60 #100)に塗工し、直ちに120℃の循環式乾燥機に30秒投入、その後直ちに150℃の循環式乾燥機に30秒投入し、溶剤乾燥ならびに剥離層の硬化を行い、剥離フィルムを得た。この剥離フィルムの特性を実施例1に従い取得した。
(実施例3)
実施例1同様に、熱硬化系剥離剤(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:TA31−300A)9.80g(固形分50%)に5%All−BTA溶液を2.0g添加し十分に攪拌し剥離剤溶液を得た。この剥離溶液を2gにトルエン4gとイソプロパノール4gを添加攪拌後、硬化触媒である50%パラトルエンスルホン酸トルエン溶液(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:ドライヤー#900)を0.05g添加攪拌し、塗工用剥離剤溶液を得た(All−BTA固形分比2%)。
得られた剥離剤溶液を、バーコーターNo.4(第一理化株式会社製)で100μm厚みの透明PETフィルム(東レ株式会社製;商品名:ルミラーT60 #100)に塗工し、直ちに120℃の循環式乾燥機に30秒投入、その後直ちに150℃の循環式乾燥機に30秒投入し、溶剤乾燥ならびに剥離層の硬化を行い、剥離フィルムを得た。この剥離フィルムの特性を実施例1に従い取得した。
(実施例4)
実施例1同様に、熱硬化系剥離剤(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:TA31−300A)9.70g(固形分50%)に5%All−BTA溶液を3.0g添加し十分に攪拌し剥離剤溶液を得た。この剥離溶液を2gにトルエン4gとイソプロパノール4gを添加攪拌後、硬化触媒である50%パラトルエンスルホン酸トルエン溶液(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:ドライヤー#900)を0.05g添加攪拌し、塗工用剥離剤溶液を得た(All−BTA固形分比3%)。
得られた剥離剤溶液を、バーコーターNo.4(第一理化株式会社製)で100μm厚みの透明PETフィルム(東レ株式会社製;商品名:ルミラーT60 #100)に塗工し、直ちに120℃の循環式乾燥機に30秒投入、その後直ちに150℃の循環式乾燥機に30秒投入し、溶剤乾燥ならびに剥離層の硬化を行い、剥離フィルムを得た。この剥離フィルムの特性を実施例1に従い取得した。
(実施例5)
実施例1同様に、熱硬化系剥離剤(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:TA31−209E)9.95g(固形分50%)に5%All−BTA溶液を0.5g添加し十分に攪拌し剥離剤溶液を得た。この剥離溶液を2gにトルエン4gとイソプロパノール4gを添加攪拌後、硬化触媒である50%パラトルエンスルホン酸トルエン溶液(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:ドライヤー#900)を0.05g添加攪拌し、塗工用剥離剤溶液を得た(All−BTA固形分比0.5%)。
得られた剥離剤溶液を、バーコーターNo.4(第一理化株式会社製)で100μm厚みの透明PETフィルム(東レ株式会社製;商品名:ルミラーT60 #100)に塗工し、直ちに120℃の循環式乾燥機に30秒投入、その後直ちに150℃の循環式乾燥機に30秒投入し、溶剤乾燥ならびに剥離層の硬化を行い、剥離フィルムを得た。この剥離フィルムの特性を実施例1に従い取得した。
(実施例6)
実施例1同様に、熱硬化系剥離剤(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:TA31−209E)9.90g(固形分50%)に5%All−BTA溶液を1.0g添加し十分に攪拌し剥離剤溶液を得た。この剥離溶液を2gにトルエン4gとイソプロパノール4gを添加攪拌後、硬化触媒である50%パラトルエンスルホン酸トルエン溶液(日立化成ポリマー社製;商品名:ドライヤー#900)を0.05g添加攪拌し、塗工用剥離剤溶液を得た(All−BTA固形分比1%)。
得られた剥離剤溶液を、バーコーターNo.4(第一理化社製)で100μm厚みの透明PETフィルム(東レ株式会社製;商品名:ルミラーT60 #100)に塗工し、直ちに120℃の循環式乾燥機に30秒投入、その後直ちに150℃の循環式乾燥機に30秒投入し、溶剤乾燥ならびに剥離層の硬化を行い、剥離フィルムを得た。この剥離フィルムの特性を実施例1に従い取得した。
(実施例7)
実施例1同様に、熱硬化系剥離剤(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:TA31−209E)9.80g(固形分50%)に5%All−BTA溶液を2.0g添加し十分に攪拌し剥離剤溶液を得た。この剥離溶液を2gにトルエン4gとイソプロパノール4gを添加攪拌後、硬化触媒である50%パラトルエンスルホン酸トルエン溶液(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:ドライヤー#900)を0.05g添加攪拌し、塗工用剥離剤溶液を得た(All−BTA固形分比2%)。
得られた剥離剤溶液を、バーコーターNo.4(第一理化株式会社製)で100μm厚みの透明PETフィルム(東レ株式会社製;商品名:ルミラーT60 #100)に塗工し、直ちに120℃の循環式乾燥機に30秒投入、その後直ちに150℃の循環式乾燥機に30秒投入し、溶剤乾燥ならびに剥離層の硬化を行い、剥離フィルムを得た。この剥離フィルムの特性を実施例1に従い取得した。
(実施例8)
実施例1同様に、熱硬化系剥離剤(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:TA31−209E)9.70g(固形分50%)に5%All−BTA溶液を3.0g添加し十分に攪拌し剥離剤溶液を得た。この剥離溶液を2gにトルエン4gとイソプロパノール4gを添加攪拌後、硬化触媒である50%パラトルエンスルホン酸トルエン溶液(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:ドライヤー#900)を0.05g添加攪拌し、塗工用剥離剤溶液を得た(All−BTA固形分比3%)。
得られた剥離剤溶液を、バーコーターNo.4(第一理化株式会社製)で100μm厚みの透明PETフィルム(東レ株式会社製;商品名:ルミラーT60 #100)に塗工し、直ちに120℃の循環式乾燥機に30秒投入、その後直ちに150℃の循環式乾燥機に30秒投入し、溶剤乾燥ならびに剥離層の硬化を行い、剥離フィルムを得た。この剥離フィルムの特性を実施例1に従い取得した。
(比較例1)
熱硬化系剥離剤(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:TA31−300A)2g(固形分50%)にトルエン4gとイソプロパノール4gを添加攪拌後、硬化触媒である50%パラトルエンスルホン酸トルエン溶液(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:ドライヤー#900)を0.05g添加攪拌し、塗工用剥離剤溶液を得た。
得られた剥離剤溶液を、バーコーターNo.4(第一理化株式会社製)で100μm厚みの透明PETフィルム(東レ株式会社製;商品名:ルミラーT60 #100)に塗工し、直ちに120℃の循環式乾燥機に30秒投入、その後直ちに150℃の循環式乾燥機に30秒投入し、溶剤乾燥ならびに剥離層の硬化を行い、剥離フィルムを得た。この剥離フィルムの特性を実施例1に従い取得した。
(比較例2)
熱硬化系剥離剤(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:TA31−209E)2g(固形分50%)にトルエン4gとイソプロパノール4gを添加攪拌後、硬化触媒である50%パラトルエンスルホン酸トルエン溶液(日立化成ポリマー株式会社製;商品名:ドライヤー#900)を0.05g添加攪拌し、塗工用剥離剤溶液を得た。
得られた剥離剤溶液を、バーコーターNo.4(第一理化株式会社製)で100μm厚みの透明PETフィルム(東レ株式会社製;商品名:ルミラーT60 #100)に塗工し、直ちに120℃の循環式乾燥機に30秒投入、その後直ちに150℃の循環式乾燥機に30秒投入し、溶剤乾燥ならびに剥離層の硬化を行い、剥離フィルムを得た。この剥離フィルムの特性を実施例1に従い取得した。
(比較例3)
市場で入手できるシリコーン系剥離フィルム(藤森工業株式会社製;商品名:フィルムバイナBD−50)の特性を実施例1に従い取得した。
(比較例4)
市場で入手できるシリコーン系剥離フィルム(ニッパ株式会社製;商品名:PET100X1−KX8)の特性を実施例1に従い取得した。
上記実施例1〜8、比較例1〜4の評価結果を表1に示した。
Figure 2015104917
実施例1〜8は比較例1〜4と比較し、剥離力の軽剥離化を実現するとともに、残留接着力がほとんど変化なく、また本実施例で作製された3層構造粘着フィルムのガラスに対する粘着力は2〜3割ほど向上した。また、はがれや気泡などの信頼性も実施例1〜8は比較例3〜4と比較し、改善しており、本発明の有効性が実証されたといえる。
実施例1〜4は比較例1と比較し、XPSの結果から層内局在化が進んでいること、表1に示すように特性向上が認められたことからも、本発明は、添加した含窒素芳香族骨格を有する有機化合物、とりわけ反応性トリアゾール誘導体が効果を表したものと考えられる。

Claims (8)

  1. 基材と、前記基材表面に形成された剥離層とを有する剥離フィルムにおいて、前記剥離層が、(A)シリコーン変性ポリエステル樹脂及び(B)含窒素芳香族骨格を有する有機化合物を含有してなる剥離剤組成物を硬化してなるものである剥離フィルム。
  2. 成分(B)含窒素芳香族骨格を有する有機化合物が、反応性トリアゾール誘導体である請求項1記載の剥離フィルム。
  3. 剥離層厚みが、100〜3000nmである請求項1又は2に記載の剥離フィルム。
  4. 剥離層構成成分が、空気面、空気面から深さ5nm、空気面から深さ10nm、基材界面において、異なる成分比を示す、請求項1〜3いずれかに記載の剥離フィルム。
  5. 空気面、空気面から深さ5nm、空気面から深さ10nm、基材界面における、窒素/珪素元素質量存在比が、それぞれ1〜5%/6〜10%、3〜7%/1〜6%、3〜6%/0.5〜5%、3〜10%/0.5〜5%である請求項4記載の剥離フィルム。
  6. 剥離層の硬化方法が熱硬化である請求項1〜5いずれかに記載の剥離フィルム。
  7. 粘着フィルム向け剥離ライナーである請求項1〜6いずれかに記載の剥離フィルム。
  8. 電子線硬化型の粘着層と、前記粘着層が表面に形成された請求項1〜6いずれかに記載の剥離フィルムとを有する粘着フィルム構造体。
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