JP2018168303A - 粘着シート用剥離フィルム - Google Patents

粘着シート用剥離フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2018168303A
JP2018168303A JP2017067503A JP2017067503A JP2018168303A JP 2018168303 A JP2018168303 A JP 2018168303A JP 2017067503 A JP2017067503 A JP 2017067503A JP 2017067503 A JP2017067503 A JP 2017067503A JP 2018168303 A JP2018168303 A JP 2018168303A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
release agent
release
mass
polyorganosiloxane
carbinol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017067503A
Other languages
English (en)
Inventor
矢野 宏和
Hirokazu Yano
矢野  宏和
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lintec Corp
Original Assignee
Lintec Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Lintec Corp filed Critical Lintec Corp
Priority to JP2017067503A priority Critical patent/JP2018168303A/ja
Publication of JP2018168303A publication Critical patent/JP2018168303A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)

Abstract

【課題】剥離剤層が比較的低温での硬化性に優れ、粘着剤層へのポリオルガノシロキサンの移行が生じ難いとともに、剥離力が小さく、さらには保管安定性に優れる粘着シート用剥離フィルムを提供する。【解決手段】基材と、前記基材の片側に設けられた剥離剤層とを備えた粘着シート用剥離フィルムであって、前記剥離剤層は、メラミン樹脂と、カルビノール変性ポリオルガノシロキサンとを含有する剥離剤組成物から形成されており、前記剥離剤組成物中における前記メラミン樹脂の配合量は、70質量%以上、99質量%以下であり、前記剥離剤組成物中における前記カルビノール変性ポリオルガノシロキサンの配合量は、1質量%以上、10質量%以下である粘着シート用剥離フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着シートに使用される剥離フィルムに関するものである。
粘着シートの粘着剤層における被着体と接触させる面(本明細書において「粘着面」という場合がある。)を保護するために、基材の表面に剥離剤層を設けた剥離フィルムが使用されることがある。このような剥離フィルムは、通常、基材と、当該基材の片面側に積層された剥離剤層とを備えており、剥離剤層における基材とは反対側の面(本明細書において「剥離面」という場合がある。)が、粘着シートの粘着面に積層される。
また、上記剥離フィルムは、粘着シートを製造する際にも使用されることがある。この場合、例えば、剥離フィルムの剥離面上に粘着剤組成物を塗工し、得られた塗膜を乾燥することにより、粘着剤層が形成される。続いて、当該粘着剤層における剥離フィルムとは反対側の面に、粘着シート用の基材を積層することで、剥離フィルム付きの粘着シートを製造することができる。製造後においては、上記剥離フィルムを粘着シートの粘着面の保護のために使用することもできる。
このような剥離フィルムでは、粘着シートと剥離フィルムとを分離する際の剥離力を低くする観点から、剥離剤層にポリオルガノシロキサンを含有させることがある。しかしながら、剥離剤層がポリオルガノシロキサンを含有する場合、剥離剤層から粘着剤層へのポリオルガノシロキサンの移行が生じ易い。
粘着シートは、ポリオルガノシロキサンや、ポリオルガノシロキサンを構成するケイ素原子が忌避成分とされる対象に対して貼付されることがある。そのため、このような粘着シートに対しては、上述したようなポリオルガノシロキサンの移行を抑制するために、剥離剤層中のポリオルガノシロキサンの含有量が比較的少ない剥離フィルムや、ポリオルガノシロキサンを含有しない剥離剤層を備える剥離フィルムが使用されることがある。
しかしながら、ポリオルガノシロキサンの含有量が比較的少ない剥離剤層またはポリオルガノシロキサンを含有しない剥離剤層を備える剥離フィルムでは、粘着シートと積層した状態で保管する場合に、時間の経過とともに剥離力が大きくなり易く、剥離不能となる可能性もあり、すなわち長期の保管安定性が良好でないという問題がある。
特許文献1には、上述したような、ポリオルガノシロキサンの移行を抑制することを課題として、アルキド樹脂(A)と、アミノ樹脂(B)と、両末端カルビノール変性水酸基含有ポリオルガノシロキサン(C)とを含有する剥離剤組成物を使用して剥離フィルムを製造することが開示されている。
特許第5328005号
しかしながら、特許文献1に開示される剥離フィルムは、剥離剤組成物を硬化させて剥離剤層を形成する際に150℃といった比較的高温の硬化温度が必要となるとともに、剥離力が比較的大きくなっている(特許文献1の段落0030および表1)。このように比較的高温での硬化を施す場合、剥離フィルムの基材として比較的厚さの薄いポリエチレンテレフタレートなどの樹脂フィルムが用いると、ウエブに歪みが発生するおそれがある。一方で、比較的低温での硬化を施すと剥離剤層の硬化が不十分となり、粘着剤層と貼り合せた後の剥離力が経時で増大するようになる。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、剥離剤層が比較的低温での硬化性に優れ、粘着剤層へのポリオルガノシロキサンの移行が生じ難いとともに、剥離力が小さく、さらには保管安定性に優れる粘着シート用剥離フィルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、前記基材の片側に設けられた剥離剤層とを備えた粘着シート用剥離フィルムであって、前記剥離剤層は、メラミン樹脂と、カルビノール変性ポリオルガノシロキサンとを含有する剥離剤組成物から形成されており、前記剥離剤組成物中における前記メラミン樹脂の配合量は、70質量%以上、99質量%以下であり、前記剥離剤組成物中における前記カルビノール変性ポリオルガノシロキサンの配合量は、1質量%以上、10質量%以下であることを特徴とする粘着シート用剥離フィルムを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)によれば、剥離剤層中のメラミン樹脂の配合量が上記範囲であることで比較的低温での塗膜の硬化性を有するものとなる。加えて、剥離剤組成物中におけるカルビノール変性ポリオルガノシロキサンの配合量が上記範囲であるとともに、剥離剤層中において、カルビノール変性ポリオルガノシロキサンとメラミン樹脂とが結合した構造を形成することにより、剥離剤層から粘着剤層へのポリオルガノシロキサンの移行が生じ難い。また、剥離剤層が、メラミン樹脂との相溶性の高いカルビノール変性ポリオルガノシロキサンを含有する剥離剤組成物から形成されていることにより、メラミン樹脂に対するカルビノール変性ポリオルガノシロキサンの配合比率の増減により、剥離剤組成物を基材上に塗工した際の塗工面状態が悪化することがなく、剥離剤層における基材とは反対側の面の表面自由エネルギーが低いものになることにより、剥離フィルムと粘着シートとを分離する際の剥離力が小さいものとなる。さらに、上記の通り剥離剤層における基材とは反対側の面の表面自由エネルギーが低いものとなる結果、粘着シートを積層して保管する際の保管安定性が優れたものとなる。
上記発明(発明1)において、前記カルビノール変性ポリオルガノシロキサンは、下記一般式(b1)で表される有機基
Figure 2018168303

(一般式(b1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基である。)
または下記一般式(b2)で表される有機基
Figure 2018168303

(一般式(b2)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基であり、Rは、炭素数2〜3のアルキレン基である。)
を両末端、片末端または側鎖に有するポリオルガノシロキサンであることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)において、前記剥離剤層における前記基材とは反対側の面の表面自由エネルギーは、25.0mJ/m未満であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)において、前記ポリオルガノシロキサンの質量平均分子量は、1000以上、10000以下であることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)において、前記メラミン樹脂は、下記一般式(a)
Figure 2018168303

(一般式(a)中、Xは、−H、−CH−OH、または−CH−O−Rを示し、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。少なくとも1個のXは、−CH−OH、または−CH−O−Rである。前記−CH−O−R中のRは、炭素数1〜8個のアルキル基を示し、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。)
で表される化合物を含有することが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1〜5)において、前記剥離剤組成物は、酸触媒を含有することが好ましい(発明6)。
本発明に係る粘着シート用剥離フィルムは、剥離剤層が比較的低温での硬化性に優れ、粘着剤層へのポリオルガノシロキサンの移行が生じ難いとともに、剥離力が小さく、さらには保管安定性に優れる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る粘着シート用剥離フィルム(以下単に「剥離フィルム」という場合がある。)は、基材と、基材の一方の面に積層された剥離剤層とを備えて構成される。
1.剥離剤層
本実施形態に係る剥離フィルムにおいて、剥離剤層は、メラミン樹脂と、カルビノール変性ポリオルガノシロキサンとを含有する剥離剤組成物から形成されたものである。当該剥離剤組成物中において、メラミン樹脂の配合量は、70質量%以上、99質量%以下であり、カルビノール変性ポリオルガノシロキサンの配合量は、1質量%以上、10質量%以下である。
なお、一般的に、「メラミン樹脂」とは、複数種のメラミン化合物および/または当該メラミン化合物が縮合してできる多核体を含む混合物を意味する。本明細書においては、「メラミン樹脂」という語句は、上記混合物または1種のメラミン化合物の集合物を意味するものとする。さらに、本明細書では、当該メラミン樹脂が硬化したものを「メラミン硬化物」というものとする。
本実施形態に係る剥離フィルムでは、剥離剤組成物を調製する際に、メラミン樹脂とカルビノール変性ポリオルガノシロキサンとが良好に混合する。この剥離剤組成物を基材上に塗工すると、塗工された剥離剤組成物の層においてカルビノール変性ポリオルガノシロキサンとメラミン樹脂とが厚み方向に分離する。続いて、メラミン樹脂における反応基同士が縮合反応することにより、メラミン硬化物の形成が進行する。さらに、この反応とともに、メラミン樹脂中の反応基(メチロール基またはアルコキシメチル基)とカルビノール変性ポリオルガノシロキサンが有する水酸基との反応も進行する。これにより、メラミン硬化物とカルビノール変性ポリオルガノシロキサンとが一体となった構造を有する剥離剤層が形成される。このようにして得られた剥離剤層では、基材側の面から、剥離剤層の剥離面に向かってカルビノール変性ポリオルガノシロキサン由来の成分が漸増する傾斜構造が形成されている。
剥離剤層が上記傾斜構造を有することで、剥離剤層の剥離面にカルビノール変性ポリオルガノシロキサン由来の成分が適度に存在するものとなり、剥離面における表面自由エネルギーが比較的低い値となる。また、剥離剤層が、メラミン樹脂の硬化によって形成されるメラミン硬化物を所定量含むことで、剥離剤層が、比較的低温で硬化する場合であっても十分な硬化性を奏することができる。これらの結果、粘着シートと剥離フィルムとを分離する際の剥離力が良好に低いものとなる。
また、前述の通り、剥離面における表面自由エネルギーが比較的低い値となる結果、当該剥離面に粘着シートの粘着面を積層して長期間保管した後でも剥離力が低く維持される。すなわち、本実施形態に係る剥離フィルムは、保管安定性に優れる。
さらに、前述の通り、剥離剤組成物中におけるカルビノール変性ポリオルガノシロキサンの配合量が10質量%以下であるとともに、剥離剤層中において、メラミン硬化物とカルビノール変性ポリオルガノシロキサンとが一体となった構造が形成されることにより、剥離剤層の剥離面に粘着シートの粘着剤層を積層した際に、剥離面から粘着剤層へのポリオルガノシロキサンの移行が抑制される。
(1)メラミン樹脂
メラミン樹脂は、メラミン硬化物を形成することができる限り、特に制限されない。特に、メラミン樹脂は、下記一般式(a)で示される化合物を含有することが好ましい。
Figure 2018168303
式(a)中、Xは、−H、−CH−OH、または−CH−O−Rを示す。これらの基は、メラミン化合物同士の縮合反応における反応基を構成する。具体的には、XがHとなることで形成される−NH基は、−N−CH−OH基および−N−CH−R基との間で縮合反応を行うことができる。また、Xが−CH−OHとなることで形成される−N−CH−OH基およびXが−CH−Rとなることで形成される−N−CH−R基は、ともに、−NH基、−N−CH−OH基および−N−CH−R基との間で縮合反応を行うことができる。また、−CH−OHおよび−CH−O−Rで示される基は、ポリオルガノシロキサンとメラミン化合物との間の縮合反応に寄与する反応基を構成する。メラミン化合物が当該反応基を有することで、前述した効果を発揮する剥離剤層が形成される。式(a)中、全てのXが−Hとならないことが好ましく、具体的には、少なくとも1個のXは、−CH−OH、または−CH−O−Rであることが好ましい。
上記−CH−O−Rで示される基において、Rは、炭素数1〜8個のアルキル基を示す。当該炭素数は、1〜4個であることが好ましく、特に1〜2個であることが好ましい。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
上記Xは、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、上記Rは、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。
縮合反応が効率よく生じるという観点から、式(a)中、−HとなるXの数は、2個以下であることが好ましく、特に1個以下であることが好ましく、さらには0個であることが好ましい。−HとなるXの数が0個となるメラミン化合物の例としては、全てのXが−CH−O−CHであるヘキサメトキシメチルメラミンが好ましく挙げられる。
剥離剤組成物中におけるメラミン樹脂の配合量は、70質量%以上であり、80質量%以上であることが好ましく、特に85質量%以上であることが好ましい。また、剥離剤組成物中におけるメラミン樹脂の配合量は、99質量%以下であり、97質量%以下であることが好ましく、特に95質量%以下であることが好ましい。メラミン樹脂の配合量が70質量%未満であると、剥離剤組成物中におけるカルビノール変性ポリオルガノシロキサンの配合量が相対的に多くなり、剥離剤層から粘着剤層へのポリオルガノシロキサンの移行が生じ易くなる。また、メラミン樹脂の配合量が99質量%を超えると、剥離剤組成物中におけるカルビノール変性ポリオルガノシロキサンの配合量が相対的に少なくなり、剥離面における表面自由エネルギーが十分に低いものとならない結果、剥離力が十分に小さいものとならず、また、優れた保管安定性も得ることができない。
(2)カルビノール変性ポリオルガノシロキサン
カルビノール変性ポリオルガノシロキサンとは、−CH−OHで表される有機基、または−CH−OHの構造を一部に有する有機基を分子中に有するポリオルガノシロキサンをいう。本実施形態に係る剥離フィルムでは、カルビノール変性ポリオルガノシロキサンは、剥離剤層を形成することが可能である限り特に限定されない。特に、カルビノール変性ポリオルガノシロキサンは、下記一般式(b1)で表される有機基
Figure 2018168303

または、下記一般式(b2)で表される有機基
Figure 2018168303

を両末端、片末端または側鎖に有するポリオルガノシロキサンであることが好ましい。特に、剥離剤層から粘着剤層へのポリオルガノシロキサンの移行を効果的に抑制する観点からは、カルビノール変性ポリオルガノシロキサンが、上記一般式(b1)または一般式(b2)で表される有機基を両末端または側鎖に有することが好ましく、また、より小さい剥離力およびより優れた保管安定性を達成する観点からは、カルビノール変性ポリオルガノシロキサンが、上記一般式(b1)または一般式(b2)で表される有機基を側鎖に有することが好ましい。
上記一般式(b1)において、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基である。なお、一般式(b1)で表される有機基が、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン一分子中に複数存在する場合には、複数存在するRは、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキレン基である。
上記一般式(b2)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基であり、Rは、炭素数2〜3のアルキレン基である。一般式(b2)で表される有機基が、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン一分子中に複数存在する場合には、複数存在するRは、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキレン基であり、複数存在するRは、それぞれ独立に、炭素数2〜3のアルキレン基である。
カルビノール変性ポリオルガノシロキサンが、上記一般式(b1)で表される有機基または上記一般式(b2)で表される有機基を有することにより、得られた剥離剤層の剥離面における表面自由エネルギーが効果的に低いものとなる。さらに、剥離剤組成物から剥離剤層を形成する際に、これらの有機基に存在する水酸基とメラミン樹脂中の反応基(メチロール基またはアルコキシメチル基)との反応が生じ、メラミン硬化物とカルビノール変性ポリオルガノシロキサンとが一体となった構造を形成し易くなる。これらの結果、粘着剤層へのポリオルガノシロキサンの移行を効果的に抑制できるとともに、小さな剥離力を達成し易くなり、さらに、より優れた保管安定性を得ることが可能となる。
また、上記カルビノール変性ポリオルガノシロキサンは、全体的な構造として、下記の一般式(b3)で示される構造を有することが好ましい。
Figure 2018168303
式(b3)中、nは1以上の整数である。また、式(b3)中、R〜R11の少なくとも1個は、前述した一般式(b1)で表される有機基または一般式(b2)で表される有機基であることが好ましい。
式(b3)中、R〜R11のうち、上述した基以外の基は、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
〜R11は同一であっても異なっていてもよい。また、Rが複数存在する場合、複数存在するRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、Rが複数存在する場合、複数存在するRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記カルビノール変性ポリオルガノシロキサンの質量平均分子量は、1000以上であることが好ましく、特に3000以上であることが好ましく、さらには5000以上であることが好ましい。また、上記カルビノール変性ポリオルガノシロキサンの質量平均分子量は、10000以下であることが好ましく、特に9000以下であることが好ましく、さらには8000以下であることが好ましい。カルビノール変性ポリオルガノシロキサンの質量平均分子量が上記範囲であることにより、剥離剤層の剥離面における表面自由エネルギーを低いものとし易くなり、小さな剥離力を達成し易くなるとともに、優れた保管安定性を達成し易くなる。なお、本明細書における質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
剥離剤組成物中におけるカルビノール変性ポリオルガノシロキサンの配合量は、1質量%以上であり、2質量%以上であることが好ましく、特に3質量%以上であることが好ましい。また、剥離剤組成物中におけるカルビノール変性ポリオルガノシロキサンの配合量は、10質量%以下であり、8質量%以下であることが好ましく、特に6質量%以下であることが好ましい。カルビノール変性ポリオルガノシロキサンの配合量が1質量%未満であると、剥離面における表面自由エネルギーが十分に低いものとならない結果、剥離力が十分に小さくならず、優れた保管安定性を達成することもできない。また、カルビノール変性ポリオルガノシロキサンの配合量が10質量%を超えると、剥離剤層が、カルビノール変性ポリオルガノシロキサンまたはカルビノール変性ポリオルガノシロキサン由来の成分を過剰に含有するものとなり、剥離剤層からの粘着剤層へのポリオルガノシロキサンの移行を十分に抑制することができない。
(3)酸触媒
剥離剤組成物は、酸触媒を含有することが好ましい。酸触媒の例としては、塩酸、p−トルエンスルホン酸等が好ましく、特にp−トルエンスルホン酸が好ましい。剥離剤組成物が酸触媒を含有することにより、上記メラミン樹脂における縮合反応が効率よく進行する。
本実施形態に係る剥離剤組成物中における酸触媒の含有量は、メラミン樹脂100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、特に2質量部以上であることが好ましく、さらには4質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、10質量部以下であることが好ましく、特に8質量部以下であることが好ましく、さらには6質量部以下であることが好ましい。
(4)その他の成分
本実施形態に係る剥離剤組成物は、上記成分の他、架橋剤、反応希釈剤、反応抑制剤等を含有していてもよい。反応希釈剤しては、エチレングリコール、プロパンジオールといったグリコール系化合物を使用してもよい。
(5)剥離剤層の物性等
本実施形態に係る剥離フィルムでは、剥離剤層の剥離面の表面自由エネルギーが、25.0mJ/m未満であることが好ましく、特に24.0mJ/m以下であることが好ましく、さらには23.5mJ/m以下であることが好ましい。表面自由エネルギーが25.0mJ/m未満であることで、粘着シートと剥離フィルムとを分離する際の剥離力を小さくし易くなるとともに、粘着シートと剥離フィルムとを積層した状態で保管した際の保管安定性がより優れたものとなる。本実施形態に係る剥離フィルムでは、剥離剤層が、メラミン樹脂およびカルビノール変性ポリオルガノシロキサンをそれぞれ所定量含有する剥離剤組成物から形成されていることにより、25.0mJ/m未満という表面自由エネルギーを達成することができる。なお、上記表面自由エネルギーの下限値は、特に制限されないものの、20.0mJ/m以上であることが好ましく、特に21.0mJ/m以上であることが好ましく、さらには22.0mJ/m以上であることが好ましい。表面自由エネルギーの測定方法は、後述する試験例に示すとおりである。
剥離剤層の厚さは、0.01μm以上であることが好ましく、特に0.03μm以上であることが好ましく、さらには0.1μm以上であることが好ましい。また、剥離剤層の厚さは、3μm以下であることが好ましく、特に1μm以下であることが好ましく、さらには0.5μm以下であることが好ましい。剥離剤層の厚さが0.01μm以上であることで、剥離剤層としての機能を効果的に発揮することができる。また、剥離剤層の厚さが3μm以下であることで、剥離フィルムをロール状に巻き取った際に、ブロッキングが発生することを抑制することができる。
2.基材
本実施形態に係る剥離フィルムにおいて、基材は、剥離剤層を積層することができれば特に限定されない。かかる基材としては紙や樹脂フィルムが挙げられる。基材として用いられる紙としては、例えば、上質紙、グラシン紙、コート紙、ポリオレフィンラミネート紙などが挙げられ、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニルなどのプラスチックからなるフィルムが挙げられ、単層であってもよいし、同種又は異種の2層以上の多層であってもよい。これらの中でもポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、さらには二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、加工時、使用時等において、埃等が発生しにくいため、例えば、埃等による粘着シートの粘着面の汚染を効果的に抑制することができる。
基材においては、その表面に設けられる剥離剤層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶射処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は、基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にコロナ放電処理法が効果及び操作性の面から好ましく用いられる。
基材の厚さは、10μm以上であることが好ましく、特に15μm以上であることが好ましく、さらには20μm以上であることが好ましい。また、基材の厚さは、300μm以下であることが好ましく、特に100μm以下であることが好ましく、さらには50μm以下であることが好ましい。
3.粘着シート用剥離フィルムの物性
本実施形態に係る剥離フィルムでは、剥離剤層の剥離面に対して粘着テープ(日東電工社製,製品名「31Bテープ」)の粘着面を貼付し、30分後に粘着テープから剥離フィルムを剥がす際の剥離力が、300mN/20mm以下であることが好ましく、特に200mN/20mm以下であることが好ましく、さらには100mN/20mm以下であることが好ましい。本実施形態に係る剥離フィルムでは、剥離剤層が、メラミン樹脂およびカルビノール変性ポリオルガノシロキサンをそれぞれ所定量含有する剥離剤組成物から形成されていることにより、上述したような比較的小さい剥離力を達成することができる。なお、上述した30分後の剥離力の下限値は、粘着シートからの剥離フィルムの意図しない剥がれが生じ難いものである限り制限されず、10mN/20mm以上であることが好ましく、特に20mN/20mm以上であることが好ましい。また、上述した30分後の剥離力の測定方法は、後述する試験例に示すとおりである。
本実施形態に係る剥離フィルムでは、剥離剤層の剥離面に対して粘着テープ(日東電工社製,製品名「31Bテープ」)の粘着面を貼付し、30日後に粘着シートから剥離フィルムを剥がす際の剥離力が、500mN/20mm以下であることが好ましく、特に400mN/20mm以下であることが好ましく、さらには300mN/20mm以下であることが好ましい。本実施形態に係る剥離フィルムでは、剥離剤層が、メラミン樹脂およびカルビノール変性ポリオルガノシロキサンをそれぞれ所定量含有する剥離剤組成物から形成されていることにより、30日後においても上述したような比較的小さい剥離力を達成することができ、すなわち優れた保管安定性を達成できる。なお、上述した30日後の剥離力の下限値は、上述した30分後の剥離力の下限値と同様の範囲であることが好ましい。また、上述した30日後の剥離力の測定方法は、後述する試験例に示すとおりである。
本実施形態に係る剥離フィルムでは、剥離フィルムにおける剥離面に対して粘着テープ(日東電工社製,製品名「31Bテープ」)の粘着面を貼付した状態で24時間静置した後、剥離フィルムを剥がして露出した粘着テープの粘着面における、X線光電子分光分析法(XPS)によって測定されるケイ素原子比率が、1.0原子%以下であることが好ましく、特に0.5原子%以下であることが好ましく、さらには0.3原子%以下であることが好ましい。本実施形態に係る剥離フィルムでは、剥離剤層が、メラミン樹脂およびカルビノール変性ポリオルガノシロキサンをそれぞれ所定量含有する剥離剤組成物から形成されているとともに、剥離剤組成物中のカルビノール変性ポリオルガノシロキサンの配合量が前述した範囲であることにより、剥離剤層から粘着シートの粘着剤層へのポリオルガノシロキサンの移行が抑制される結果、上述したケイ素原子比率を達成することができる。なお、上述したケイ素原子比率の測定方法は、後述する試験例に示すとおりである。
4.粘着シート用剥離フィルムの製造方法
本実施形態に係る剥離フィルムの製造方法は、特に制限されず、例えば、基材の片面に、前述した剥離剤組成物及び所望により有機溶剤を含有する塗工液を塗工した後、乾燥し、硬化させて剥離剤層を形成することにより得ることができる。塗工方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法などが使用できる。
上記有機溶剤としては特に制限はなく、様々なものを用いることができる。例えばトルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素化合物をはじめ、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びこれらの混合物等が用いられる。特に、イソプロピルアルコールとイソブチルアルコールとの混合液(質量比4:1)を使用することが好ましい。
上記のように塗工した剥離剤組成物は、熱硬化させることが好ましい。この場合の加熱温度は90℃以上、130℃以下であることが好ましく、加熱時間は30秒以上、120秒以下であることが好ましい。特に、120℃で1分間加熱することが好ましい。
5.粘着シート用剥離フィルムの使用方法
本実施形態に係る剥離フィルムは、粘着シートに使用することができる。例えば、本実施形態に係る剥離フィルムは、粘着シートの粘着剤層における粘着面を保護するために使用することができる。また、本実施形態に係る剥離フィルムは、粘着シートを製造するために使用することができる。
本実施形態に係る剥離フィルムを、予め製造された粘着シートの粘着面の保護のために使用する場合、例えば、粘着シートの粘着面に対して、本実施形態に係る剥離フィルムの剥離面が貼付、積層される。これにより、粘着シートの粘着面に対して埃等が付着することを抑制して、粘着面を保護することができる。
また、本実施形態に係る剥離フィルムを、粘着シートを製造するために使用する場合、剥離フィルムの剥離面上に、粘着シートの粘着剤層を形成するための粘着剤組成物及び所望により有機溶剤を含有する塗工液を塗工した後、得られた塗膜を乾燥することで粘着剤層を形成することができる。続いて、形成された粘着剤層における剥離フィルムとは反対側の面に、粘着シート用の基材の片面、または別の剥離フィルムの剥離面を貼付する。これにより、剥離フィルム付きの片面粘着シートまたは両面粘着シートを製造することができる。なお、上記別の剥離フィルムは、本実施形態に係る剥離フィルムであってもよく、本実施形態に係る剥離フィルム以外の剥離フィルムであってもよい。得られた剥離フィルム付きの粘着シートにおける剥離フィルムは、粘着シートを使用するまでの間、その粘着面を保護するために積層しておいてもよい。
本実施形態に係る剥離フィルムは、剥離剤層が、メラミン樹脂と、カルビノール変性ポリオルガノシロキサンとを前述した配合量で含有する剥離剤組成物から形成されていることにより、剥離剤層から粘着剤層へのポリオルガノシロキサンの移行が生じ難く、剥離フィルムと粘着シートとを分離する際の剥離力が小さいものとなり、さらには、粘着シートを積層して保管する際の保管安定性が優れたものとなる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、基材における剥離剤層の反対側の面や、基材と剥離剤層との間には、帯電防止層等の他の層が設けられてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
メチル化メラミン樹脂(日本カーバイド社製,製品名「MW−30」)90質量部(固形分換算,以下同じ)と、ポリオルガノシロキサンとしての両末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業製,製品名「KF−6000」,質量平均分子量:6000)5質量部と、酸触媒としてのp−トルエンスルホン酸5質量部とからなる剥離剤組成物を、イソプロピルアルコールとイソブチルアルコールとの混合溶剤(質量比率4:1)中にて混合し、固形分30質量%の塗布液を得た。
得られた塗布液を、基材としての二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:38μm)の片面上にバーコーターにより均一に塗布した。次いで、120℃で1分間加熱乾燥し、剥離剤組成物を硬化させ、基材上に厚さ1.0μmの剥離剤層が積層された剥離フィルムを得た。
〔実施例2〕
ポリオルガノシロキサンとして片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業製,製品名「X−22−170BX」,質量平均分子量:4800)を使用した以外は、実施例1と同様にして剥離フィルムを得た。
〔実施例3〕
ポリオルガノシロキサンとして側鎖カルビノール変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業製,製品名「X−22−4039」,質量平均分子量:5000)を使用した以外は、実施例1と同様にして剥離フィルムを得た。
〔比較例1〕
ポリオルガノシロキサンとして両末端水酸基変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業製,製品名「KF−9701」,質量平均分子量:2700)を使用した以外は、実施例1と同様にして剥離フィルムを得た。
〔比較例2〕
ポリオルガノシロキサンとして側鎖ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン社製,製品名「BYK−370」,質量平均分子量:4300)を使用した以外は、実施例1と同様にして剥離フィルムを得た。
〔比較例3〕
アルキッド樹脂(日立化成ポリマー社製,製品名「テスラック2052−60」)60質量部と、メチル化メラミン樹脂(日本カーバイド社製,製品名「MW−30」)30質量部と、ポリオルガノシロキサンとしての両末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業製,製品名「KF−6000」,質量平均分子量:6000)5質量部と、酸触媒としてのp−トルエンスルホン酸5質量部とからなる剥離剤組成物を使用した以外は、実施例1と同様にして剥離フィルムを得た。
〔比較例4〕
剥離剤組成物を硬化させる際の加熱乾燥条件を150℃30秒に変更した以外は、比較例3と同様にして剥離フィルムを得た。
〔比較例5〕
シリコーン系剥離剤(信越化学工業社製,製品名「KS−847H」)100質量部と、白金触媒(信越化学工業社製,製品名「CAT−PL−50T」)2質量部とからなる剥離剤組成物を使用した以外は、実施例1と同様にして剥離フィルムを得た。
〔試験例1〕(剥離剤層の硬化性の評価)
実施例および比較例にて製造した直後における剥離フィルムについて、メチルエチルケトンを含ませたウエス(小津産業社製,製品名「BEMCOT AP−2」)によって、剥離剤層の表面を荷重1kg/cmで往復10回研磨した。その後、剥離剤層の表面を目視で観察し、以下の判断基準により剥離剤層の硬化性を評価した。結果を表1に示す。
〇…剥離剤層の溶解・脱落がなかった。
×…剥離剤層の一部溶解が見られたか、または、剥離剤層が完全に溶解し、基材から脱落した。
〔試験例2〕(表面自由エネルギーの測定)
実施例および比較例で得られた剥離フィルムについて、剥離剤層の剥離面に対する各種液滴の接触角を測定し、その値をもとに北崎・畑理論により、表面自由エネルギー(mJ/m)を求めた。接触角は、接触角計(協和界面科学社製,製品名「DM−701」)を使用し、静滴法によってJIS R3257に準じて測定した。液滴については、「分散成分」としてジヨードメタン、「双極子成分」として1−ブロモナフタレン、「水素結合成分」として蒸留水を使用した。結果を表1に示す。
〔試験例3〕(剥離力の測定)
実施例および比較例にて製造した剥離フィルムにおける剥離面に対し、アクリル粘着テープ(日東電工社製,製品名「31Bテープ」)の粘着面を貼付することで、試験サンプルを得た。
上記試験サンプルを、室温23度、湿度50%の雰囲気下に30分間静置した後、20mm幅に裁断した。裁断後の試験サンプルにおける粘着テープ側の面を剛板に固定し、引張試験機を用いて180°の剥離角度、100mm/分の剥離速度で粘着テープから剥離フィルムを剥離し、剥離するのに必要な力(mN/20mm)を測定した。この測定結果を、貼り合わせ30分後の剥離力(mN/20mm)として表1に示す。
また、上記の通り得られた試験サンプルを、室温23度、湿度50%の雰囲気下に30日間静置した後、20mm幅に裁断した。裁断後の試験サンプルにおける粘着テープ側の面を剛板に固定し、引張試験機を用いて180°の剥離角度、100mm/分の剥離速度で粘着テープから剥離フィルムを剥離し、剥離するのに必要な力(mN/20mm)を測定した。この測定結果を、貼り合わせ30日後の剥離力(mN/20mm)として表1に示す。
〔試験例4〕(ポリオルガノシロキサンの移行抑制の評価)
実施例および比較例にて製造した剥離フィルムにおける剥離面に対し、アクリル粘着テープ(日東電工社製,製品名「31Bテープ」)の粘着面を貼付した後、室温23度、湿度50%の雰囲気下に24時間静置した。
その後、剥離フィルムを剥離して露出した粘着テープの粘着面について、X線光電子分光分析法(XPS)によって測定されるケイ素原子(Si)、炭素原子(C)及び酸素原子(O)の量(XPSカウント数)に基づき、下記の式によりケイ素原子比率(原子%)を算出した。結果を表1に示す。
ケイ素原子比率(原子%)=[(Si元素量)/{(C元素量)+(O元素量)+(Si元素量)}]×100
さらに、得られたケイ素原子比率に基づいて、以下の基準でポリオルガノシロキサンの移行抑制について評価した。結果を表1に示す。
○…ケイ素原子比率が1.00原子%未満
×…ケイ素原子比率が1.00原子%以上
表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
・両末端カルビノール変性PDMS:両末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業製,製品名「KF−6000」,質量平均分子量:6000)
・片末端カルビノール変性PDMS:片末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業製,製品名「X−22−170BX」,質量平均分子量:4800)
・側鎖カルビノール変性PDMS:側鎖カルビノール変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業製,製品名「X−22−4039」,質量平均分子量:5000)
・両末端水酸基変性PDMS:両末端水酸基変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業製,製品名「KF−9701」,質量平均分子量:2300)
・側鎖ポリエステル変性PDMS:側鎖ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン社製,製品名「BYK−370」,質量平均分子量:4800)
・シリコーン系剥離剤:シリコーン系剥離剤(信越化学工業社製,製品名「KS−847H」)
Figure 2018168303
表1から明らかなように、実施例で得られた剥離フィルムは、貼り合わせ30分後および30日後の剥離力の値がともに小さかった。また、実施例で得られた剥離フィルムは、30分後の剥離力に対する30日後の剥離力の上昇量が少なく、保管安定性に優れていた。さらに、実施例で得られた剥離フィルムは、ポリオルガノシロキサンの移行も抑制されていた。
また、比較例3および4に係る剥離剤組成物は同一の組成を有するものの、比較的低温の加熱乾燥条件にて剥離剤組成物を硬化させてなる比較例3の剥離フィルムでは、製造直後における剥離剤層の硬化が不十分であったのに対し、高温の加熱乾燥条件にて剥離剤組成物を硬化させてなる比較例4の剥離フィルムでは、製造直後において剥離剤層が十分に硬化していた。そして、比較例3の剥離フィルムでは、比較例4の剥離フィルムと比較して、貼り合わせ30日後の剥離力が大きくなった。このことは、比較例3の剥離剤組成物の当初の硬化が不十分であり、粘着シートに貼り合わせた後の時間の経過に伴って剥離剤層の硬化が進んだことに起因すると予想される。また、比較例4の剥離フィルムでは、加熱乾燥条件が高温であったため、長尺のサイズに微妙な歪みが生じ、粘着面に高平滑性が求められる用途には適していなかった。
これに対し、実施例に係る剥離フィルムでは、製造直後において剥離剤層が良好に硬化しており、また、比較例3と同様に比較的低温の加熱乾燥条件にて剥離剤組成物を硬化させたにもかかわらず、比較例3および4と比較して、貼り合わせ30日後の剥離力が小さい結果となった。このことから、実施例では、比較例3のような、時間の経過に伴う剥離剤層の硬化が殆ど生じていないことが予想される。すなわち、実施例に係る剥離フィルムでは、剥離剤層が比較的低温での硬化性に優れることがわかった。さらに、加熱乾燥条件が比較例4よりも低温であったため、比較例4で生じた微妙な歪みが現れず、粘着面に高平滑性が求められる用途にも適用が可能であった。
本発明の粘着シート用剥離フィルムは、ポリオルガノシロキサンや、ポリオルガノシロキサンを構成するケイ素原子が忌避成分とされる対象に対して貼付される粘着シートへの使用に好適である。

Claims (6)

  1. 基材と、前記基材の片側に設けられた剥離剤層とを備えた粘着シート用剥離フィルムであって、
    前記剥離剤層は、メラミン樹脂と、カルビノール変性ポリオルガノシロキサンとを含有する剥離剤組成物から形成されており、
    前記剥離剤組成物中における前記メラミン樹脂の配合量は、70質量%以上、99質量%以下であり、前記剥離剤組成物中における前記カルビノール変性ポリオルガノシロキサンの配合量は、1質量%以上、10質量%以下である
    ことを特徴とする粘着シート用剥離フィルム。
  2. 前記カルビノール変性ポリオルガノシロキサンは、下記一般式(b1)で表される有機基
    Figure 2018168303

    (一般式(b1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基である。)
    または下記一般式(b2)で表される有機基
    Figure 2018168303

    (一般式(b2)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基であり、Rは、炭素数2〜3のアルキレン基である。)
    を両末端、片末端または側鎖に有するポリオルガノシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の粘着シート用剥離フィルム。
  3. 前記剥離剤層における前記基材とは反対側の面の表面自由エネルギーは、25.0mJ/m未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着シート用剥離フィルム。
  4. 前記ポリオルガノシロキサンの質量平均分子量は、1000以上、10000以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着シート用剥離フィルム。
  5. 前記メラミン樹脂は、下記一般式(a)
    Figure 2018168303

    (一般式(a)中、Xは、−H、−CH−OH、または−CH−O−Rを示し、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。少なくとも1個のXは、−CH−OH、または−CH−O−Rである。前記−CH−O−R中のRは、炭素数1〜8個のアルキル基を示し、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。)
    で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着シート用剥離フィルム。
  6. 前記剥離剤組成物は、酸触媒を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着シート用剥離フィルム。
JP2017067503A 2017-03-30 2017-03-30 粘着シート用剥離フィルム Pending JP2018168303A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017067503A JP2018168303A (ja) 2017-03-30 2017-03-30 粘着シート用剥離フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017067503A JP2018168303A (ja) 2017-03-30 2017-03-30 粘着シート用剥離フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018168303A true JP2018168303A (ja) 2018-11-01

Family

ID=64020015

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017067503A Pending JP2018168303A (ja) 2017-03-30 2017-03-30 粘着シート用剥離フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018168303A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019166706A (ja) * 2018-03-23 2019-10-03 リンテック株式会社 セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11300894A (ja) * 1998-04-16 1999-11-02 Shin Etsu Chem Co Ltd 工程用離型フィルム
JP2008156499A (ja) * 2006-12-25 2008-07-10 Hitachi Kasei Polymer Co Ltd 粘着テープ用剥離剤組成物及び剥離ライナー
JP2015104917A (ja) * 2013-12-03 2015-06-08 日立化成株式会社 剥離フィルム、それを用いた粘着フィルム構造体
JP2016135592A (ja) * 2015-01-16 2016-07-28 日東電工株式会社 表面保護フィルム、及び、光学部材
JP2018104661A (ja) * 2016-03-07 2018-07-05 荒川化学工業株式会社 熱硬化離型コーティング剤組成物及び離型フィルム

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11300894A (ja) * 1998-04-16 1999-11-02 Shin Etsu Chem Co Ltd 工程用離型フィルム
JP2008156499A (ja) * 2006-12-25 2008-07-10 Hitachi Kasei Polymer Co Ltd 粘着テープ用剥離剤組成物及び剥離ライナー
JP2015104917A (ja) * 2013-12-03 2015-06-08 日立化成株式会社 剥離フィルム、それを用いた粘着フィルム構造体
JP2016135592A (ja) * 2015-01-16 2016-07-28 日東電工株式会社 表面保護フィルム、及び、光学部材
JP2018104661A (ja) * 2016-03-07 2018-07-05 荒川化学工業株式会社 熱硬化離型コーティング剤組成物及び離型フィルム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019166706A (ja) * 2018-03-23 2019-10-03 リンテック株式会社 セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム
JP7082890B2 (ja) 2018-03-23 2022-06-09 リンテック株式会社 セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102491714B1 (ko) 세라믹 그린 시트 제조 공정용 박리 필름
JP6646424B2 (ja) セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム
JP5328005B2 (ja) 粘着テープ用剥離剤組成物及び剥離ライナー
JP6474327B2 (ja) セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム
JP6714387B2 (ja) 剥離シート
WO2016208469A1 (ja) セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム
JPWO2017078026A1 (ja) 剥離剤組成物、剥離シート及び粘着体
JP6285778B2 (ja) 剥離シート及び剥離シートの製造方法
KR102603841B1 (ko) 점착 시트
JP2009154457A (ja) 離型フィルム
TW200902669A (en) Adhesive tape for protecting photo-mask
JP4448897B2 (ja) フォトマスク保護用粘着テープ
WO2020196222A1 (ja) 剥離シート
JP2008156498A (ja) 粘着テープ用剥離剤組成物及び剥離ライナー
JP2018168303A (ja) 粘着シート用剥離フィルム
JP6639712B1 (ja) 熱硬化性離型塗料および熱硬化性離型塗料キット
JP6204132B2 (ja) 剥離シートおよび粘着シート
JP7111301B2 (ja) 剥離シート
JP2023104203A (ja) 剥離シートおよび剥離シートの製造方法
JP6967432B2 (ja) セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムおよびその製造方法
JP7458374B2 (ja) 剥離シート
TWI837331B (zh) 剝離片
WO2022209547A1 (ja) セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム
JP5990487B2 (ja) セパレータの製造方法、セパレータ及びセパレータ付き粘着テープ
JP2023089432A (ja) 剥離シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200106

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201016

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201110

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210106

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210622

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220201