JP2023104203A - 剥離シートおよび剥離シートの製造方法 - Google Patents

剥離シートおよび剥離シートの製造方法 Download PDF

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泰紀 柄澤
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Abstract

【課題】剥離力が小さく、かつ、保管安定性に優れる剥離シート、およびそのような剥離シートの製造方法を提供する。【解決手段】基材と、基材の片面側に設けられた剥離剤層とを備えた剥離シートであって、剥離剤層が、メラミン樹脂(A)と、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)と、酸触媒(C)とを含有する剥離剤組成物から形成されており、上記剥離剤組成物中におけるメラミン樹脂(A)の配合量が、80質量%以上、98質量%以下であり、上記剥離剤組成物中におけるカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の配合量が、0.1質量%以上、1.0質量%未満である剥離シート。【選択図】なし

Description

本発明は、剥離シートおよび剥離シートの製造方法に関するものである。
粘着シートの粘着剤層における被着体と接触させる面(本明細書において「粘着面」という場合がある。)を保護するために、基材の表面に剥離剤層を設けた剥離シートが使用されることがある。このような剥離シートは、通常、基材と、当該基材の片面側に積層された剥離剤層とを備えており、剥離剤層における基材とは反対側の面(本明細書において「剥離面」という場合がある。)が、粘着シートの粘着面に積層される。
また、上記剥離シートは、粘着シートを製造する際にも使用されることがある。この場合、例えば、剥離シートの剥離面上に粘着剤組成物を塗工し、得られた塗膜を乾燥することにより、粘着剤層が形成される。続いて、当該粘着剤層における剥離シートとは反対側の面に、粘着シート用の基材を積層することで、剥離シート付きの粘着シートを製造することができる。製造後においては、上記剥離シートを粘着シートの粘着面の保護のために使用することもできる。
このような剥離シートでは、粘着シートの粘着剤層と剥離シートとを分離する際の剥離力を低くする観点から、剥離剤層にポリオルガノシロキサンを含有させることがある。しかしながら、剥離剤層がポリオルガノシロキサンを含有する場合、剥離剤層から粘着剤層へのポリオルガノシロキサンの移行が生じ易い。
粘着シートは、ポリオルガノシロキサンや、ポリオルガノシロキサンを構成するケイ素原子が忌避成分とされる対象に対して貼付されることがある。そのため、このような粘着シートに対しては、上述したようなポリオルガノシロキサンの移行を抑制するために、剥離剤層中のポリオルガノシロキサンの含有量が比較的少ない剥離シートや、ポリオルガノシロキサンを含有しない剥離剤層を備える剥離シートが使用されることがある。
しかしながら、ポリオルガノシロキサンの含有量が比較的少ない剥離剤層またはポリオルガノシロキサンを含有しない剥離剤層を備える剥離シートでは、粘着シートと積層した状態で保管すると、時間の経過とともに剥離力が大きくなり易く、剥離不能となる場合もあり、すなわち長期の保管安定性が良好でないという問題がある。
特許文献1には、上述したような、ポリオルガノシロキサンの移行を抑制することを課題として、メラミン樹脂と、カルビノール変性ポリオルガノシロキサンとを含有し、上記カルビノール変性ポリオルガノシロキサンの配合量を1質量%以上、10質量%以下とした剥離剤組成物によって、剥離剤層を形成した剥離フィルムが開示されている。
特開2018-168303号公報
しかしながら、特許文献1に開示された剥離フィルムにおいては、剥離剤組成物の塗布液や環境の条件によっては、剥離剤層の表面状態が悪くなることがあり、それが原因で剥離力が高くなってしまうことがあった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、剥離力が小さく、かつ、保管安定性に優れる剥離シート、およびそのような剥離シートの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、前記基材の片面側に設けられた剥離剤層とを備えた剥離シートであって、前記剥離剤層が、メラミン樹脂(A)と、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)と、酸触媒(C)とを含有する剥離剤組成物から形成されており、前記剥離剤組成物中における前記メラミン樹脂(A)の配合量が、80質量%以上、98質量%以下であり、前記剥離剤組成物中における前記カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の配合量が、0.1質量%以上、1.0質量%未満であることを特徴とする剥離シートを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)においては、剥離剤組成物がメラミン樹脂(A)を所定量含有するとともに、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の配合量が上記のように少ないことにより、剥離力が小さく、かつ、保管安定性に優れる。
上記発明(発明1)においては、前記カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)が、下記一般式(b1)で表される有機基
Figure 2023104203000001

(一般式(b1)中、Rは、炭素数1~6のアルキレン基である。)
または下記一般式(b2)で表される有機基
Figure 2023104203000002

(一般式(b2)中、Rは、炭素数1~6のアルキレン基であり、Rは、炭素数2~3のアルキレン基である。)
を両末端、片末端または側鎖に有するポリオルガノシロキサンであることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)においては、前記カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の数平均分子量が、300以上、10000以下であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1~3)においては、前記メラミン樹脂(A)が、下記一般式(a)
Figure 2023104203000003

(一般式(a)中、Xは、-H、-CH-OH、または-CH-O-Rを示し、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。少なくとも1個のXは、-CH-OH、または-CH-O-Rである。前記-CH-O-R中のRは、炭素数1~8個のアルキル基を示し、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。)
で表される化合物を含有することが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1~4)においては、23℃、50%RHの環境下での前記剥離シートに対する日東電工社製ポリエステル粘着テープNo.31Bの剥離力(P1)が、100mN/20mm以上、2000mN/20mm未満であることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明5)においては、40℃、80%RHの環境下で14日間保管した後、23℃、50%RHの環境下での前記剥離シートに対する日東電工社製ポリエステル粘着テープNo.31Bの剥離力(P2)が、100mN/20mm以上、2000mN/20mm未満であることが好ましい(発明6)。
上記発明(発明6)においては、下記式(1)により算出される前記剥離力(P1)に対する前記剥離力(P2)の剥離力上昇率が、0~+60%であることが好ましい(発明7)。
剥離力上昇率(%)={(剥離力(P2)/剥離力(P1))×100}-100 …(1)
第2に本発明は、基材と、前記基材の片面側に設けられた剥離剤層とを備えた剥離シートの製造方法であって、メラミン樹脂(A)と、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)と、酸触媒(C)とを含有する剥離剤組成物であって、前記剥離剤組成物中における前記メラミン樹脂(A)の配合量が80質量%以上、98質量%以下であり、前記剥離剤組成物中における前記カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の配合量が0.1質量%以上、1質量%未満である、前記剥離剤組成物と、有機溶剤とを含有する塗布液を調製し、前記塗布液を前記基材の片面側に塗布し、前記剥離剤層を形成することを特徴とする剥離シートの製造方法を提供する(発明8)。
上記発明(発明8)においては、前記有機溶剤中におけるアルコール成分の含有量が、10~50質量%であることが好ましい(発明9)。
本発明に係る剥離シートは、剥離力が小さく、かつ、保管安定性に優れる。また、本発明に係る剥離シートの製造方法によれば、剥離力が小さく、かつ、保管安定性に優れる剥離シートを製造することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る剥離シートは、基材と、当該基材の片面側に設けられた剥離剤層とを備えて構成される。
1.剥離剤層
本実施形態に係る剥離シートにおいて、剥離剤層は、メラミン樹脂(A)と、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)と、酸触媒(C)とを含有する剥離剤組成物から形成されたものである。当該剥離剤組成物中において、メラミン樹脂(A)の配合量は、80質量%以上、98質量%以下であり、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の配合量は、0.1質量%以上、1.0質量%未満である。
なお、一般的に、「メラミン樹脂」とは、複数種のメラミン化合物および/または当該メラミン化合物が縮合してできる多核体を含む混合物を意味する。本明細書においては、「メラミン樹脂」という語句は、上記混合物または1種のメラミン化合物の集合物を意味するものとする。さらに、本明細書では、当該メラミン樹脂が硬化したものを「メラミン硬化物」というものとする。
本実施形態に係る剥離シートでは、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の配合量が上記のように少ないことにより、剥離剤組成物の塗布液を調製する際に、メラミン樹脂(A)とカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)とが相分離することなく、良好に混合する。この剥離剤組成物の塗布液を基材上に塗布すると、その塗膜においてカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)とメラミン樹脂(A)とが厚み方向に分離する。続いて、メラミン樹脂(A)における反応基同士が縮合反応することにより、メラミン硬化物の形成が進行する。さらに、この反応とともに、メラミン樹脂中の反応基(メチロール基またはアルコキシメチル基)とカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)が有する水酸基との反応も進行する。これにより、メラミン硬化物とカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)とが一体となった構造を有する剥離剤層が形成される。
上記剥離剤層においては、剥離剤層の剥離面にカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)由来の成分が適度に存在し、剥離面における表面自由エネルギーが比較的低い値となる。また、塗布した剥離剤組成物を比較的低温で硬化させる場合であっても、剥離剤組成物がメラミン樹脂(A)を所定量含むことで、十分な硬化性を得ることができる。さらには、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の配合量が上記のように少ないことにより、メラミン樹脂(A)とカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)とが平面方向に相分離しないため、表面が平滑な剥離剤層を形成することができる。これらの結果、本実施形態に係る剥離シートの剥離力、特に粘着シートと分離する際の剥離力が十分に低いものとなる。
また、剥離剤組成物がメラミン樹脂(A)およびカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)をそれぞれ所定量含むことで、本実施形態に係る剥離シートは、高温高湿環境下でも保管安定性に優れる。具体的には、本実施形態に係る剥離シートを40℃、80%RHの環境下で14日間保管した後であっても、剥離力上昇率が小さく、剥離力が低く維持される。
さらに、剥離剤組成物中におけるカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の配合量が上記のように少なく、また、剥離剤層中において、メラミン硬化物(A)とカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)とが一体となった構造が形成されることにより、本実施形態に係る剥離シートの剥離剤層の剥離面に粘着シートの粘着剤層を積層したときに、剥離剤層から粘着剤層へのポリオルガノシロキサンの移行が抑制される。
(1)メラミン樹脂
メラミン樹脂(A)は、メラミン硬化物を形成することができる限り、特に制限されない。特に、メラミン樹脂(A)は、下記一般式(a)で示される化合物を含有することが好ましい。
Figure 2023104203000004
式(a)中、Xは、-H、-CH-OH、または-CH-O-Rを示す。これらの基は、メラミン化合物同士の縮合反応における反応基を構成する。具体的には、XがHとなることで形成される-NH基は、-N-CH-OH基および-N-CH-O-R基との間で縮合反応を行うことができる。また、Xが-CH-OHとなることで形成される-N-CH-OH基およびXが-CH-O-Rとなることで形成される-N-CH-O-R基は、ともに、-NH基、-N-CH-OH基および-N-CH-O-R基との間で縮合反応を行うことができる。また、-CH-OHおよび-CH-O-Rで示される基は、ポリオルガノシロキサンとメラミン化合物との間の縮合反応に寄与する反応基を構成する。メラミン化合物が当該反応基を有することで、前述した効果を発揮する剥離剤層が形成される。式(a)中、全てのXが-Hとならないことが好ましく、具体的には、少なくとも1個のXは、-CH-OH、または-CH-O-Rであることが好ましい。
上記-CH-O-Rで示される基において、Rは、炭素数1~8個のアルキル基を示す。当該炭素数は、1~4個であることが好ましく、特に1~2個であることが好ましい。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
上記Xは、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、上記Rは、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。
縮合反応が効率よく生じるという観点から、式(a)中、-HとなるXの数は、2個以下であることが好ましく、特に1個以下であることが好ましく、さらには0個であることが好ましい。-HとなるXの数が0個となるメラミン化合物の例としては、全てのXが-CH-O-CHであるヘキサメトキシメチルメラミンが好ましく挙げられる。
剥離剤組成物中におけるメラミン樹脂(A)の配合量は、80質量%以上であり、85質量%以上であることが好ましく、特に90質量%以上であることが好ましい。また、剥離剤組成物中におけるメラミン樹脂(A)の配合量は、98質量%以下であり、97質量%以下であることが好ましい。メラミン樹脂(A)の配合量が80質量%未満であると、剥離剤組成物中におけるカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の配合量が相対的に多くなり、剥離剤組成物の塗布液や環境の条件によっては、塗布層の状態が悪くなり、それにより剥離力が高くなってしまうことがある。また、メラミン樹脂(A)の配合量が98質量%を超えると、剥離剤組成物中におけるカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)および酸触媒(C)の配合量が相対的に少なくなり、剥離力が十分に小さいものとならず、また、優れた保管安定性も得ることができない。
(2)カルビノール変性ポリオルガノシロキサン
カルビノール変性ポリオルガノシロキサンとは、-CH-OHで表される有機基、または-CH-OHの構造を一部に有する有機基を分子中に有するポリオルガノシロキサンをいう。本実施形態に係る剥離シートでは、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)は、剥離剤層を形成することが可能である限り特に限定されない。特に、本実施形態におけるカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)は、下記一般式(b1)で表される有機基
Figure 2023104203000005

または、下記一般式(b2)で表される有機基
Figure 2023104203000006

を両末端、片末端または側鎖に有するポリオルガノシロキサンであることが好ましい。特に、剥離剤層から粘着剤層へのポリオルガノシロキサンの移行を効果的に抑制する観点からは、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)が、上記一般式(b1)または一般式(b2)で表される有機基を両末端または側鎖に有することが好ましく、また、より小さい剥離力およびより優れた保管安定性を達成する観点からは、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)が、上記一般式(b1)または一般式(b2)で表される有機基を側鎖に有することが好ましい。
上記一般式(b1)において、Rは、炭素数1~6のアルキレン基である。なお、一般式(b1)で表される有機基が、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)一分子中に複数存在する場合には、複数存在するRは、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキレン基である。
上記一般式(b2)中、Rは、炭素数1~6のアルキレン基であり、Rは、炭素数2~3のアルキレン基である。一般式(b2)で表される有機基が、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)一分子中に複数存在する場合には、複数存在するRは、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキレン基であり、複数存在するRは、それぞれ独立に、炭素数2~3のアルキレン基である。
カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)が、上記一般式(b1)で表される有機基または上記一般式(b2)で表される有機基を有することにより、得られた剥離剤層の剥離面における表面自由エネルギーが効果的に低いものとなる。さらに、剥離剤組成物から剥離剤層を形成する際に、これらの有機基に存在する水酸基とメラミン樹脂中の反応基(メチロール基またはアルコキシメチル基)との反応が生じ、メラミン硬化物とカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)とが一体となった構造を形成し易くなる。これらの結果、粘着剤層へのポリオルガノシロキサンの移行を効果的に抑制できるとともに、小さな剥離力を達成し易くなり、さらに、より優れた保管安定性を得ることが可能となる。
また、上記カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)は、全体的な構造として、下記の一般式(b3)で示される構造を有することが好ましい。
Figure 2023104203000007
式(b3)中、nは1以上の整数である。また、式(b3)中、R~R11の少なくとも1個は、前述した一般式(b1)で表される有機基または一般式(b2)で表される有機基であることが好ましい。
式(b3)中、R~R11のうち、上述した基以外の基は、炭素数1~8のアルキル基であることが好ましい。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
~R11は同一であっても異なっていてもよい。また、Rが複数存在する場合、複数存在するRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、Rが複数存在する場合、複数存在するRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の数平均分子量は、300以上であることが好ましく、特に500以上であることが好ましい。また、上記カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の数平均分子量は、10000以下であることが好ましく、特に7500以下であることが好ましく、さらには5000以下であることが好ましい。カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の数平均分子量が上記範囲であることにより、小さな剥離力を達成し易くなるとともに、優れた保管安定性を達成し易くなる。なお、本明細書における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
剥離剤組成物中におけるカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の配合量は、0.1質量%以上であり、0.2質量%以上であることが好ましい。また、剥離剤組成物中におけるカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の配合量は、1.0質量%未満であり、0.8質量%以下であることが好ましい。カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の配合量が0.1質量%未満であると、剥離力が十分に小さくならず、優れた保管安定性を達成することもできない。また、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の配合量が1.0質量%以上になると、剥離剤組成物の塗布液の条件によっては、メラミン樹脂(A)とカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)とが平面方向に相分離して、形成される剥離剤層の表面が粗くなり、それにより剥離力が高くなってしまうことがある。
(3)酸触媒
本実施形態では、剥離剤組成物が酸触媒(C)を含有することにより、上記メラミン樹脂(A)における縮合反応が効率よく進行する。酸触媒(C)の例としては、塩酸、p-トルエンスルホン酸等が好ましく、特にp-トルエンスルホン酸が好ましい。
本実施形態における剥離剤組成物中における酸触媒(C)の含有量は、メラミン樹脂100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、特に2質量部以上であることが好ましく、さらには4質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、10質量部以下であることが好ましく、特に8質量部以下であることが好ましく、さらには6質量部以下であることが好ましい。
(4)その他の成分
本実施形態に係る剥離剤組成物は、上記成分の他、架橋剤、反応希釈剤、反応抑制剤等を含有してもよい。ただし、本実施形態に係る剥離剤組成物は、ジオールおよびトリオールを含有しないことが好ましい。これらの成分を含有すると、剥離剤組成物の段階で反応が進行し易くなり、ポットライフが短くなる傾向にある。なお、「含有しない」とは、実質的に含有しないという意味であり、僅かな量、例えば、0.1質量%程度以下の量を含有することは許容される。
(5)剥離剤層の厚さ
剥離剤層の厚さは、0.01μm以上であることが好ましく、特に0.03μm以上であることが好ましく、さらには0.1μm以上であることが好ましい。これにより、剥離剤層としての機能を効果的に発揮することができる。また、剥離剤層の厚さは、3μm以下であることが好ましく、特に1μm以下であることが好ましい。これにより、剥離シートをロール状に巻き取った際に、ブロッキングが発生することを抑制することができる。
2.基材
本実施形態に係る剥離シートにおいて、基材は、剥離剤層を積層することができれば特に限定されない。かかる基材としては紙や樹脂フィルムが挙げられる。基材として用いられる紙としては、例えば、上質紙、グラシン紙、コート紙、ポリオレフィンラミネート紙などが挙げられ、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニルなどのプラスチックからなるフィルムが挙げられ、単層であってもよいし、同種又は異種の2層以上の多層であってもよい。これらの中でもポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、さらには二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、加工時、使用時等において、埃等が発生しにくいため、例えば、埃等による粘着シートの粘着面の汚染を効果的に抑制することができる。
基材においては、その表面に設けられる剥離剤層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶射処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は、基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にコロナ放電処理法が効果及び操作性の面から好ましく用いられる。
基材の厚さは、10μm以上であることが好ましく、特に15μm以上であることが好ましく、さらには20μm以上であることが好ましい。また、基材の厚さは、300μm以下であることが好ましく、特に100μm以下であることが好ましく、さらには50μm以下であることが好ましい。
3.剥離シートの物性
本実施形態に係る剥離シートにおいては、23℃、50%RHの環境下で、剥離剤層の剥離面に対してポリエステル粘着テープ(日東電工社製,製品名「No.31B」)の粘着面を貼付し、30分後に粘着テープから180°方向に剥離シートを剥がす際の剥離力(初期の剥離力(P1))が、2000mN/20mm以下であることが好ましい。本実施形態に係る剥離シートでは、剥離剤層が、メラミン樹脂(A)およびカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)をそれぞれ所定量含有する剥離剤組成物から形成されていることにより、上記のように比較的小さい剥離力を達成することができる。上記剥離力(P1)の下限値は、粘着シートからの剥離シートの意図しない剥がれが生じ難いものである限り制限されず、100mN/20mm以上であることが好ましい。なお、本実施形態に係る剥離シートの剥離力のより好ましい範囲は、当該剥離シートが使用される用途の環境により変化する。本実施形態における剥離力の具体的な測定方法は、後述する試験例に示すとおりである。
本実施形態に係る剥離シートにおいては、40℃、80%RHの環境下で14日間保管した後、23℃、50%RHに調温調湿し、当該環境下で剥離剤層の剥離面に対してポリエステル粘着テープ(日東電工社製,製品名「No.31B」)の粘着面を貼付し、30分後に粘着テープから剥離シートを180°方向に剥がす際の剥離力(高温高湿条件後の剥離力(P2))が、2000mN/20mm以下であることが好ましい。本実施形態に係る剥離シートでは、剥離剤層が、メラミン樹脂(A)およびカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)をそれぞれ所定量含有する剥離剤組成物から形成されていることにより、上記のような高温高湿環境下で長期間保管した後でも、上記のように比較的小さい剥離力を達成することができ、すなわち優れた保管安定性を達成することができる。上記剥離力(P2)の下限値は、粘着シートからの剥離シートの意図しない剥がれが生じ難いものである限り制限されず、100mN/20mm以上であることが好ましい。
本実施形態に係る剥離シートにおいては、下記式(1)により算出される上記剥離力(P1)に対する上記剥離力(P2)の剥離力上昇率が、0~+60%であることが好ましく、特に0~+50%であることが好ましく、さらには0~+40%であることが好ましい。
剥離力上昇率(%)={(剥離力(P2)/剥離力(P1))×100}-100 …(1)
剥離力上昇率が上記のように小さいことにより、高温高湿環境下で長期間保管した後でも剥離力の上昇が抑制され、保管安定性に優れているということができる。本実施形態に係る剥離シートでは、剥離剤層が、メラミン樹脂(A)およびカルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)をそれぞれ所定量含有する剥離剤組成物から形成されていることにより、剥離力上昇率を上記のように小さく抑えることができる。
4.剥離シートの製造方法
本実施形態に係る剥離シートの好ましい製造方法は、基材の片面側に、前述した剥離剤組成物および有機溶剤を含有する塗布液を塗布した後、乾燥および硬化させて剥離剤層を形成する。
上記有機溶剤としては、様々なものを用いることができる。例えば、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素化合物をはじめ、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、またはこれらの混合物等を用いることができる。
ただし、本実施形態で使用する有機溶剤は、アルコール成分の含有量が、50質量%以下であることが好ましく、特に40質量%以下であることが好ましい。有機溶剤中のアルコール成分の含有量が多いと、環境条件(季節等)によっては、当該アルコール成分が湿気(水分)を呼び込み、それに起因して、塗膜乾燥後の剥離剤層の表面が粗くなったり白化したりする問題が生じる。これに対して、上記のようにアルコール成分の含有量を少なくすることにより、上記のような環境条件による表面状態の問題が解消される。
その一方で、有機溶剤中のアルコール成分の含有量が上記のように少ない場合に、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の含有量が比較的多いと、メラミン樹脂(A)との相溶性が悪化して平面方向に相分離し、それにより剥離剤層の表面が粗くなるという問題が生じる。ところが本実施形態に係る剥離シートでは、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の含有量が0.1質量%以上、1質量%未満と少なく抑えられているため、上記のような平面方向の相分離が生じず、平滑な剥離剤層が得られる。
本実施形態で使用する有機溶剤におけるアルコール成分の含有量の下限値は、各成分の溶解性の観点から、10質量%以上であることが好ましく、特に20質量%以上であることが好ましい。
本実施形態で使用する有機溶剤は、トルエン、メチルエチルケトンおよびイソプロピルアルコールの混合溶剤であることが特に好ましい。
塗布液の塗工方法としては、特に限定されず、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法などが使用できる。
上記のように塗布した剥離剤組成物は、加熱により乾燥および熱硬化させることが好ましい。この場合の加熱温度は、90℃以上、130℃以下であることが好ましく、加熱時間は、30秒以上、120秒以下であることが好ましい。
5.剥離シートの使用方法
本実施形態に係る剥離シートは、一例として、粘着シートに使用することができるが、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態に係る剥離シートは、粘着シートの粘着剤層における粘着面を保護するために使用することができる。また、本実施形態に係る剥離シートは、粘着シートを製造するために使用することもできる。
本実施形態に係る剥離シートを、予め製造された粘着シートの粘着面の保護のために使用する場合、例えば、粘着シートの粘着面に対して、本実施形態に係る剥離シートの剥離面が貼付、積層される。これにより、粘着シートの粘着面に対して埃等が付着することを抑制して、粘着面を保護することができる。
また、本実施形態に係る剥離シートを、粘着シートを製造するために使用する場合、剥離シートの剥離面上に、粘着シートの粘着剤層を形成するための粘着剤組成物および所望により有機溶剤を含有する塗工液を塗工した後、得られた塗膜を乾燥することで粘着剤層を形成することができる。続いて、形成された粘着剤層における剥離シートとは反対側の面に、粘着シート用の基材の片面、または別の剥離シートの剥離面を貼付する。これにより、剥離シート付きの片面粘着シートまたは両面粘着シートを製造することができる。なお、上記別の剥離シートは、本実施形態に係る剥離シートであってもよく、本実施形態に係る剥離シート以外の剥離シートであってもよい。得られた剥離シート付きの粘着シートにおける剥離シートは、粘着シートを使用するまでの間、その粘着面を保護するために積層しておいてもよい。
本実施形態に係る剥離シートは、剥離剤層が、メラミン樹脂(A)と、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)とを前述した配合量で含有する剥離剤組成物から形成されていることにより、剥離力、特に粘着剤層に対する剥離力が小さいものとなり、かつ、高温高湿環境下でも保管安定性に優れる。さらには、剥離剤層から粘着剤層等へのポリオルガノシロキサンの移行が生じ難いものとなっている。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、基材における剥離剤層の反対側の面や、基材と剥離剤層との間には、帯電防止層等の他の層が設けられてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
メチル化メラミン樹脂(A1;日本カーバイド工業社製,製品名「MW-30」)94.5質量部(固形分換算,以下同じ)と、ポリオルガノシロキサンとしての両末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン(B1;信越化学工業製,製品名「KF-6000」,数平均分子量:900)0.5質量部と、酸触媒としてのp-トルエンスルホン酸5.0質量部とからなる剥離剤組成物を、トルエン、メチルエチルケトンおよびイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比率35:35:30)中にて混合し、固形分13質量%の塗布液を得た。
得られた塗布液を、基材としての二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:38μm)の片面上にバーコーターにより均一に塗布した。次いで、120℃で30秒間加熱乾燥し、剥離剤組成物を硬化させ、基材上に厚さ0.45μmの剥離剤層が形成された剥離シートを得た。
〔実施例2〕
ポリオルガノシロキサンとして、両末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン(B2;信越化学工業製,製品名「KF-6001」,数平均分子量:1800)を使用した以外は、実施例1と同様にして剥離シートを製造した。
〔実施例3〕
ポリオルガノシロキサンとして、両末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン(B3;信越化学工業製,製品名「KF-6002」,数平均分子量:3200)を使用した以外は、実施例1と同様にして剥離シートを製造した。
〔実施例4〕
メチル化メラミン樹脂(A2;ダイセル・オルネクス社製,製品名「サイメル300」)94.5質量部と、ポリオルガノシロキサンとしての両末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン(B1;信越化学工業製,製品名「KF-6000」,数平均分子量:900)0.5質量部と、酸触媒としてのp-トルエンスルホン酸5.0質量部とからなる剥離剤組成物を、トルエン、メチルエチルケトンおよびイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比率35:35:30)中にて混合し、固形分13質量%の塗布液を得た。
得られた塗布液を、基材としての二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:38μm)の片面上にバーコーターにより均一に塗布した。次いで、100℃で30秒間加熱乾燥し、剥離剤組成物を硬化させ、基材上に厚さ0.45μmの剥離剤層が形成された剥離シートを得た。
〔実施例5〕
ポリオルガノシロキサンとして、両末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン(B2;信越化学工業製,製品名「KF-6001」,数平均分子量:1800)を使用した以外は、実施例4と同様にして剥離シートを製造した。
〔実施例6〕
ポリオルガノシロキサンとして、両末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン(B3;信越化学工業製,製品名「KF-6002」,数平均分子量:3200)を使用した以外は、実施例4と同様にして剥離シートを製造した。
〔比較例1〕
メチル化メラミン樹脂(A1;日本カーバイド工業社製,製品名「MW-30」)95.0質量部と、酸触媒としてのp-トルエンスルホン酸5.0質量部とからなる剥離剤組成物を、トルエン、メチルエチルケトンおよびイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比率35:35:30)中にて混合し、固形分13質量%の塗布液を得た。得られた塗布液を使用して、実施例1と同様にして剥離シートを製造した。
〔比較例2〕
メチル化メラミン樹脂(A1;日本カーバイド工業社製,製品名「MW-30」)90.0質量部と、ポリオルガノシロキサンとしての両末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン(B1;信越化学工業製,製品名「KF-6000」,数平均分子量:900)5.0質量部と、酸触媒としてのp-トルエンスルホン酸5.0質量部とからなる剥離剤組成物を、トルエン、メチルエチルケトンおよびイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比率35:35:30)中にて混合し、固形分13質量%の塗布液を得た。得られた塗布液を使用して、実施例1と同様にして剥離シートを製造した。
〔比較例3〕
メチル化メラミン樹脂(A2;ダイセル・オルネクス社製,製品名「サイメル300」)95.0質量部と、酸触媒としてのp-トルエンスルホン酸5.0質量部とからなる剥離剤組成物を、トルエン、メチルエチルケトンおよびイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比率35:35:30)中にて混合し、固形分13質量%の塗布液を得た。
得られた塗布液を、基材としての二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:38μm)の片面上にバーコーターにより均一に塗布した。次いで、100℃で30秒間加熱乾燥し、剥離剤組成物を硬化させ、基材上に厚さ0.45μmの剥離剤層が形成された剥離シートを得た。
〔比較例4〕
シリコーン変性アルキド樹脂(昭和電工マテリアルズ社製,製品名「テスファイン309」,シリコーン変性アルキド樹脂/メラミン架橋剤(質量比)=65/35)94.7質量部と、酸触媒としてのp-トルエンスルホン酸5.3質量部とからなる剥離剤組成物を、トルエン、メチルエチルケトンおよびイソプロピルアルコールの混合溶剤(質量比率35:35:30)中にて混合し、固形分13質量%の塗布液を得た。なお、シリコーン変性アルキド樹脂が剥離剤組成物に占めるシリコーン変性率は、1.9質量%であった。
得られた塗布液を、基材としての二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:38μm)の片面上にバーコーターにより均一に塗布した。次いで、150℃で30秒間加熱乾燥し、剥離剤組成物を硬化させ、基材上に厚さ0.45μmの剥離剤層が形成された剥離シートを得た。
〔試験例1〕(剥離剤層の状態の評価)
実施例および比較例で製造した剥離シートにおける剥離剤組成物の塗膜および剥離剤層を目視により確認し、以下の基準に基づいて剥離剤層の状態を評価した。結果を表1に示す。
〇…塗膜にハジキやムラが生じず、剥離剤層が良好に形成された。
×…剥離剤組成物の塗膜にハジキが生じたか、剥離剤組成物の相分離により塗膜にムラが生じ、剥離剤層の表面状態が悪かった。
〔試験例2〕(剥離力の測定)
実施例および比較例で製造した剥離シートを、23℃、50%RHの環境下で1日保管した。この剥離シートにおける剥離面に対し、幅20mmのポリエステル粘着テープ(日東電工社製,製品名「No.31B」)の粘着面を貼付し、2kgのローラーを1往復して密着させた。その後、23℃、50%RHの環境下で30分静置し、これをサンプルとした。
上記サンプルを万能引張試験機(島津製作所製,製品名「オートグラフAGS-20NX」)に固定し、JIS Z0237:2009に準拠して、180°方向に引張速度300mm/分の剥離速度で剥離剤層から粘着テープを剥離し、剥離するのに必要な力である剥離力(初期の剥離力(P1);mN/20mm)を測定した。結果を表1に示す。
また、実施例および比較例で製造した剥離シートを、40℃、80%RHの環境下で14日間保管した。この剥離シートについて、上記と同様にして剥離力(高温高湿条件後の剥離力(P2);mN/20mm)を測定した。結果を表1に示す。
さらに、下記式(1)に基づいて、上記剥離力(P1)に対する上記剥離力(P2)の剥離力上昇率(%)を算出した。結果を表1に示す。
剥離力上昇率(%)={(剥離力(P2)/剥離力(P1))×100}-100 …(1)
なお、比較例2については、剥離剤組成物の相分離による塗膜ムラによって剥離剤層が良好に形成されなかったため、剥離力の測定ができなかった。
Figure 2023104203000008
表1から明らかなように、実施例で製造した剥離シートは、初期の剥離力(P1)および高温高湿条件後の剥離力(P2)のいずれもが小さい値であった。また、剥離力上昇率(%)も小さい値であり、高温高湿環境下での保管安定性に優れていた。
本発明の剥離シートは、ポリオルガノシロキサンや、ポリオルガノシロキサンを構成するケイ素原子が忌避成分とされる対象に対して貼付される粘着シートへの使用に好適である。

Claims (9)

  1. 基材と、前記基材の片面側に設けられた剥離剤層とを備えた剥離シートであって、
    前記剥離剤層が、メラミン樹脂(A)と、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)と、酸触媒(C)とを含有する剥離剤組成物から形成されており、
    前記剥離剤組成物中における前記メラミン樹脂(A)の配合量が、80質量%以上、98質量%以下であり、
    前記剥離剤組成物中における前記カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の配合量が、0.1質量%以上、1.0質量%未満である
    ことを特徴とする剥離シート。
  2. 前記カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)が、下記一般式(b1)で表される有機基
    Figure 2023104203000009

    (一般式(b1)中、Rは、炭素数1~6のアルキレン基である。)
    または下記一般式(b2)で表される有機基
    Figure 2023104203000010

    (一般式(b2)中、Rは、炭素数1~6のアルキレン基であり、Rは、炭素数2~3のアルキレン基である。)
    を両末端、片末端または側鎖に有するポリオルガノシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の剥離シート。
  3. 前記カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の数平均分子量が、300以上、10000以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の剥離シート。
  4. 前記メラミン樹脂(A)が、下記一般式(a)
    Figure 2023104203000011

    (一般式(a)中、Xは、-H、-CH-OH、または-CH-O-Rを示し、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。少なくとも1個のXは、-CH-OH、または-CH-O-Rである。前記-CH-O-R中のRは、炭素数1~8個のアルキル基を示し、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。)
    で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の剥離シート。
  5. 23℃、50%RHの環境下での前記剥離シートに対する日東電工社製ポリエステル粘着テープNo.31Bの剥離力(P1)が、100mN/20mm以上、2000mN/20mm未満であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の剥離シート。
  6. 40℃、80%RHの環境下で14日間保管した後、23℃、50%RHの環境下での前記剥離シートに対する日東電工社製ポリエステル粘着テープNo.31Bの剥離力(P2)が、100mN/20mm以上、2000mN/20mm未満であることを特徴とする請求項5に記載の剥離シート。
  7. 下記式(1)により算出される前記剥離力(P1)に対する前記剥離力(P2)の剥離力上昇率が、0~+60%であることを特徴とする請求項6に記載の剥離シート。
    剥離力上昇率(%)={(剥離力(P2)/剥離力(P1))×100}-100 …(1)
  8. 基材と、前記基材の片面側に設けられた剥離剤層とを備えた剥離シートの製造方法であって、
    メラミン樹脂(A)と、カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)と、酸触媒(C)とを含有する剥離剤組成物であって、前記剥離剤組成物中における前記メラミン樹脂(A)の配合量が80質量%以上、98質量%以下であり、前記剥離剤組成物中における前記カルビノール変性ポリオルガノシロキサン(B)の配合量が0.1質量%以上、1質量%未満である、前記剥離剤組成物と、有機溶剤とを含有する塗布液を調製し、
    前記塗布液を前記基材の片面側に塗布し、前記剥離剤層を形成する
    ことを特徴とする剥離シートの製造方法。
  9. 前記有機溶剤中におけるアルコール成分の含有量が、10~50質量%であることを特徴とする請求項8に記載の剥離シートの製造方法。
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