JP2015007192A - コート層組成物 - Google Patents

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Kenichi Nishikawa
健一 西川
中川 善夫
Yoshio Nakagawa
善夫 中川
栄一 井本
Eiichi Imoto
栄一 井本
康徳 山本
Yasunori Yamamoto
康徳 山本
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Abstract

【課題】コート層と基材との間の密着性が良好である粘着シート、および、この粘着シートを構成するコート層組成物を提供すること。【解決手段】コート層組成物は、分子量200以上で、かつ、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーと、多官能イソシアネートと、特定のフルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体とを有する。また、粘着シートは、コート層、基材および粘着剤層を有する粘着シートであり、このコート層はコート層組成物を用いて形成された層である。【選択図】なし

Description

本発明はコート層組成物、及び、該コート層組成物を用いてなるコート層を有する多層シートと粘着シートに関し、特に、特定のフルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体を有するコート層組成物、及び、多層シートと粘着シートに関する。
自動車等が走行する際に、粉塵、小石等がボディー塗装面に衝突することがあり、特に、道路状態の悪い路面や、寒冷地で除雪等のために岩塩、砂、砂利等が散布された路面等を走行する場合には塗装面が傷みやすく、塗装面の損傷部分から錆が発生するという問題がある。自動車業界においては、自動車ボディーの塗装面の損傷防止のために透明粘着テープが貼り付けられることがあり、この透明粘着テープの基材としてポリウレタン基材が使用されている(例えば、特開昭59−41376号公報、特開2005−272558号公報参照)。
また、耐候性などの観点から、基材にフッ素系樹脂からなるコート層を設けた塗膜保護用粘着シート(例えば、特開2009−299053号公報参照)も知られている。しかしながら、コート層と基材との間の密着性を十分に発揮させるためには、多くの工程を必要とするという問題があった。
特開昭59−41376号公報 特開2005−272558号公報 特開2009−299053号公報
すなわち、例えばコート層にアクリルモノマーを使用する場合、アクリルモノマーは揮発性が高いので、コート層と基材との間の密着性を十分に発揮させるためには長期間の事前準備工程が必要であった。このような事前準備工程は、作業性の負荷を生じ、また費用の増加にもつながった。本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、コート層と基材との間の密着性に優れた粘着シートを提供すること、および、該粘着シートに使用されるコート層組成物を提供することを目的とする。
本発明のコート層組成物は、分子量200以上で、かつ水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーと、多官能イソシアネートと、下記式(I)で表されるフルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体とを有することを特徴とする。
Figure 2015007192
(式中、Xはフッ素、塩素または臭素を表し、Rは水素またはC1〜C10のアルキル基を表し、RはC1〜C16のアルキル基を表し、RはC1〜C16のアルキレン基を表し、mおよびnは、それぞれ整数であり、フルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体の重量平均分子量が1,000〜2,000,000となる範囲で選択される。)
本発明において、コート層組成物は、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、リン系化合物およびフェノール系酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種類をさらに含有することが好ましい。
本発明の多層シートは、基材の少なくとも一方の面にコート層を有する多層シートであって、該コート層が上記いずれかのコート層組成物を用いてなり、かつ、基材が少なくとも(メタ)アクリルポリマーを含有することを特徴とする。
ここで、前記基材は、(メタ)アクリルポリマーとウレタンポリマーとを含有する複合フィルムであることが好ましい。
本発明において、多層シートを構成する前記基材は、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、リン系化合物およびフェノール系酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含有することが好ましい。
本発明の粘着シートは、上記いずれか1つの多層シートの少なくとも一方の面に、粘着剤層を有することを特徴とする。
ここで、前記粘着シートは、被着体の表面を保護するための保護シートとして使用されることが好ましい。
本発明によれば、長期間の事前準備工程を経なくても、コート層と基材との密着性が良好である粘着シートを実現することができる。また、この粘着シートに好適な多層シート及びコート層組成物を実現することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の多層シートは、少なくともコート層と基材とを有する積層シートであり、コート層はコート層組成物を用いて形成される。
本発明のコート層組成物は、少なくとも、分子量が200以上で、かつ、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーと、多官能イソシアネートと、フルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体とを用いてなる。但し、このフルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体は、フルオロエチレン単位とビニルエーテル単位とが交互に並んだフルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体であり、下記式(I)で表されるフルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体である。
Figure 2015007192
上記式(I)中、Xはフッ素、塩素または臭素を表し、Rは水素またはC1〜C10のアルキル基を表し、RはC1〜C16のアルキル基を表し、RはC1〜C16のアルキレン基を表し、mおよびnは、それぞれ整数であり、フルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体の重量平均分子量が1,000〜2,000,000となる範囲で選択される。
フルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体の重量平均分子量は、1,000〜2,000,000、好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは10,000〜500,000である。本発明において、上記式(I)中のmおよびnは、フルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体の重量平均分子量が1,000〜2,000,000となる範囲で選択される。
フルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体の重量平均分子量は、GPC法により測定することができる。GPC法の測定方法を以下に示す。すなわち、フルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体を、THF溶液を用いて2.0g/Lとなるように調整した後、12時間静置する。その後、この溶液を0.45μmメンブレンフィルターでろ過し、分析装置として東ソー(株)製の「HLC−8120GPC」を用い、下記測定条件の下、ろ液についてGPC測定を行う。
測定条件:
カラム TSKgel GMH−H(S)×2
カラムサイズ 7.8mmI.D.×300mm
溶離液 THF
流量 0.5mL/min
検出器 RI
カラム温度 40℃
注入量 100μL
本発明のコート層組成物を構成する(メタ)アクリルモノマーは、分子量が200以上であり、かつ、水酸基を含有する。この(メタ)アクリルモノマーの分子量は、350以上であることが好ましく、500以上であることが更に好ましい。この(メタ)アクリルモノマーの分子量の上限値は特に制限されるものではないが、約10,000以下であることが好ましい。また、相溶性の観点からは、(メタ)アクリルモノマーは粘度が30,000mPa・s以下であることが好ましく、更に好ましくは5,000mPa・s以下であり、特に好ましくは1,000mPa・s以下である。
この水酸基を含有する(メタ)アクリルモノマー(以下、「水酸基含有(メタ)アクリルモノマー」と称すこともある)とは、分子内に水酸基を1個以上有し、かつ、分子内に(メタ)アクリロイル基を1個以上有するものである。水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、1,4−シクロへキサンジメタノールモノアクリレート、1,4−シクロへキサンジメタノールモノメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールアクリレートなどが挙げられる。本発明においては、これらの水酸基含有(メタ)アクリルモノマーを単独で、または2種以上を併用することができる。なお、本発明においては、密着性向上の観点からは、(メタ)アクリロイル基同士の距離、あるいは、(メタ)アクリロイル基と水酸基との距離がある程度離れていることが好ましく、また骨格が長鎖で柔軟性を有する構造のものが好ましい。
本発明に用いられる分子量200以上、かつ、水酸基を含有する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、大阪有機化学工業株式会社製の商品名「V#802」、商品名「V#300」や、ダイセル化学工業株式会社製の商品名「FM2D」、「FA2D」や、共栄社化学株式会社製の商品名「200PA」、商品名「3002A」および商品名「3002M」などを商業的に入手することができる。
本発明では、分子量200以上の水酸基含有(メタ)アクリルモノマーを使用することにより、事前準備工程を省略してもコート層と基材との間の密着性に優れた粘着シートを実現することができる。分子量200以上の水酸基含有(メタ)アクリルモノマーは、熱硬化時における揮発性が低く、コート層と基材との間に高い密着性を発揮させうるからである。このように長期間の事前準備工程を省略することができれば、作業性やコストの面で非常に有利になる。
本発明のコート層組成物を構成する多官能イソシアネートとは、イソシアネート基を分子内に2個以上有するものである。本発明に用いられる多官能イソシアネートとしては、例えば、水添キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の2官能イソシアネート、デスモジュールN3200(住化バイエルウレタン(株)製)、コロネートL(日本ポリウレタン(株)製)、コロネートHL(日本ポリウレタン(株)製)、コロネートHX(日本ポリウレタン(株)製)、タケネートD−140N(三井化学ポリウレタン(株)製)、タケネートD−127(三井化学ポリウレタン(株)製)、タケネートD−110N(三井化学ポリウレタン(株)製)等の3官能イソシアネートなどが挙げられる。本発明においては、これらの多官能イソシアネートを単独で、または2種以上併用することができる。
水酸基含有(メタ)アクリルモノマーの水酸基のモル数[OH]と、多官能イソシアネートのイソシアネート基のモル数[NCO]との比率([OH]/[NCO])は、好ましくは0.05〜0.5、さらに好ましくは0.05〜0.4、特に好ましくは0.05〜0.3である。
密着性を向上させるためには、反応点増加の観点から、(メタ)アクリルモノマーのモル比を増やす手法が考えられる。本発明においては、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーのモル比は、主剤(ex.フルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体)に対して、好ましくは0.1以上であり、更に好ましくは0.2以上であり、特に好ましくは0.3以上である。ただし、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーのモル比は、伸び特性(破断伸度)の観点から0.5以下であることが好ましい。
本発明のコート層組成物は、更に、触媒を含有することができる。用いられる触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられ、東京ファインケミカル株式会社製の商品名「OL1」を商業的に入手することができる。
また、必要に応じて、溶媒を使用してコート層用塗布液を形成することができる。用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、ヘキサン等が挙げられ、また、2種類以上を併用してもよい。
本発明のコート層組成物は、更に、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、リン系化合物、フェノール系酸化防止剤などを含有することができる。なお、ここで用いられる紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、リン系化合物、フェノール系酸化防止剤は、後述する基材の説明において開示するものと同様のものを使用することができる。
本発明の多層シートは、基材およびコート層を有する積層シートであり、基材の少なくとも一方の面にコート層を有する。本発明の多層シートを構成する基材は、少なくとも(メタ)アクリルポリマーを含むものであり、好ましくは(メタ)アクリルポリマーとウレタンポリマーとを含有する複合フィルムである。
この複合フィルム中の(メタ)アクリルポリマーとウレタンポリマーとの重量比率は、(メタ)アクリルポリマー/ウレタンポリマー=1/99〜80/20の範囲内であることが好ましい。(メタ)アクリルポリマーの含有比率が1/99未満では、前駆体混合物の粘度が高くなり、作業性が悪化する場合があり、80/20を超えると、フィルムとしての柔軟性や強度が得られない場合がある。
なお、本発明において「フィルム」という場合には、シートを含み、「シート」という場合には、フィルムを含む概念とする。
本発明において、(メタ)アクリルポリマーは、少なくとも(メタ)アクリル酸モノマー、および、単官能(メタ)アクリルモノマーを含むアクリル成分を用いてなることが好ましく、また、特にホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以上の単官能(メタ)アクリルモノマーを用いることが好ましい。さらに、本発明においては、(メタ)アクリルポリマーは、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃未満の単官能(メタ)アクリルモノマーをさらに含むアクリル成分を用いてなることが好ましい。
本発明において(メタ)アクリル酸モノマーとは、カルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーであり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられる。これらの中では特にアクリル酸が好ましい。この(メタ)アクリル酸モノマーの含有量は、後述する複合フィルム前駆体中、1重量%以上、15重量%以下であり、2重量%以上、10重量%以下であることが好ましい。(メタ)アクリル酸モノマーの含有量が1重量%未満では、反応に長時間を要し、フィルム化することが非常に困難であり、また、フィルムの強度が十分でない問題が生じる場合がある。(メタ)アクリル酸モノマーの含有量が15重量%を超える場合には、フィルムの吸水率が大きくなり、耐水性に問題が生じる場合がある。本発明において(メタ)アクリル酸モノマーはウレタン成分、アクリル成分との相溶性に大きく影響するものであり、極めて重要な機能を有する必須構成要素である。
本発明において(メタ)アクリルポリマー、(メタ)アクリル酸モノマーのように、「(メタ)アクリル」と表示する場合には、メタアクリル、アクリルを総称する概念とする。また、「アクリル」と表示した場合でも、一般常識上問題がなければ、メタアクリルも含む概念とする。
本発明において、Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、t−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート等が挙げられる。これらは単独で、あるいは、2種以上を併用することができる。
本発明においては、Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリルモノマーとして、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、および、ジシクロペンタニルアクリレートからなる群のうち少なくとも1つを用いることが好ましく、アクリロイルモルホリン及び/又はイソボルニルアクリレート、あるいは、アクリロイルモルホリン及び/又はジシクロペンタニルアクリレートを用いることが更に好ましく、特にイソボルニルアクリレートを用いることが好ましい。
Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリルモノマーの含有量は、アクリル成分中、20重量%以上、99重量%以下であることが好ましく、30重量%以上、98重量%以下であることが更に好ましい。この単官能(メタ)アクリルモノマーの含有量が20重量%未満では、フィルムの強度が十分でないという問題が生じることがあり、99重量%を超えると、フィルムの剛性が高くなりすぎて脆くなる場合がある。
本発明において、Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソブチル、2−メトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルオロフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート等が挙げられる。これらは単独で、あるいは、2種以上を併用することができる。
本発明においては、Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリルモノマーとして、アクリル酸n−ブチルを用いることが特に好ましい。
Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリルモノマーは含有されていなくても良い(含有量が0重量%)が、含有されている場合の含有量は、アクリル成分中、0重量%より多く、50重量%以下であることが好ましく、0重量%より多く、45重量%以下であることが更に好ましい。この単官能(メタ)アクリルモノマーの含有量が50重量%を超える場合には、フィルムの強度が十分でない問題が生じることがある。
(メタ)アクリルモノマーは、ウレタンとの相溶性、放射線等の光硬化時の重合性や、得られる高分子量体の特性を考慮して、種類、組合せ、使用量等が適宜決定される。
本発明においては、上記(メタ)アクリルモノマーとともに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸のモノまたはジエステル、及びその誘導体、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、イミドアクリレート、N−ビニルピロリドン、オリゴエステルアクリレート、ε−カプロラクトンアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロドデカトリエンアクリレート、メトキシエチルアクリレート等のモノマーを共重合してもよい。なお、これら共重合されるモノマーの種類や使用量は、複合フィルムの特性等を考慮して適宜決定される。
また、特性を損なわない範囲内で他の多官能モノマーを添加することもできる。多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等を挙げることができ、特に好ましくは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートである。
多官能モノマーはアクリルモノマー100重量部に対して、1重量部以上、20重量部以下含まれることができる。多官能モノマーの含有量が1重量部以上であれば、複合フィルムの凝集力は十分であり、20重量部以下であれば、弾性率が高くなりすぎることがなく、被着体表面の凹凸に追従することができる。
ウレタンポリマーは、ジオールとジイソシアネートとを反応させて得られる。ジオールの水酸基とイソシアネートとの反応には、一般的には触媒が用いられるが、本発明によれば、ジブチルチンジラウレート、オクトエ酸錫のような環境負荷が生じる触媒を用いなくても反応を促進させることができる。
低分子量のジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の2価のアルコールが挙げられる。
また、高分子量のジオールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を付加重合して得られるポリエーテルポリオール、あるいは上述の2価のアルコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルコールとアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の2価の塩基酸との重縮合物からなるポリエステルポリオールや、アクリルポリオール、カーボネートポリオール、エポキシポリオール、カプロラクトンポリオール等が挙げられる。これらの中では、例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリアルキレンカーボネートジオール(PCD)等が好ましく使用される。
アクリルポリオールとしては水酸基を有するモノマーの共重合体の他、水酸基含有物と(メタ)アクリルモノマーとの共重合体等が挙げられる。エポキシポリオールとしてはアミン変性エポキシ樹脂等がある。
本発明において、ウレタンポリマーは架橋構造を含まない。ウレタンポリマーの形成に使用されるジオールは、線状(リニア)のジオールであることが好ましい。但し、ウレタンポリマーに架橋構造を形成させないという条件を満たす限りにおいて、ジオールは側鎖状のジオールまたは分岐構造を含むジオールであっても良い。すなわち、本発明の複合フィルムを構成するウレタンポリマーは架橋構造を含まないものであり、したがって、IPN構造とは構造的に全く異なるものである。
本発明においては、上記ジオールを、アクリルモノマーへの溶解性、イソシアネートとの反応性等を考慮して、単独あるいは併用して使用することができる。強度を必要とする場合には、低分子量ジオールによるウレタンハードセグメント量を増加させると効果的である。伸びを重視する場合には、分子量の大きなジオールを単独で使用することが好ましい。また、ポリエーテルポリオールは、一般的に、安価で耐水性が良好であり、ポリエステルポリオールは、強度が高い。本発明においては、用途や目的に応じて、ポリオールの種類や量を自由に選択することができ、また、塗布する基材等の特性、イソシアネートとの反応性、アクリルとの相溶性などの観点からもポリオールの種類、分子量や使用量を適宜選択することができる。
ジイソシアネートとしては芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネート、これらのジイソシアネートの二量体、三量体等が挙げられる。芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、フェニレンジイソシアネート(PPDI)、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(水素化TDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素化MDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(水素化PPDI)、ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(水素化XDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ブタンジイソシアネート、2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、これらの二量体、三量体や、ポリフェニルメタンジイソシアネートが用いられる。三量体としては、イソシアヌレート型、ビューレット型、アロファネート型等が挙げられ、適宜、使用することができる。
これらの中では、特に、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(水素化TDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素化MDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(水素化PPDI)、ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(水素化XDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ブタンジイソシアネート、2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族、脂環族系のジイソシアネートが好ましく使用される。ベンゼン環を含む芳香族系のジイソシアネートを使用すると、光反応によって共役構造を有する着色物質が生成しやすいため好ましくないからであり、本発明においては、ベンゼン環を含まない、難黄変型、無黄変型の脂肪族、脂環族系のジイソシアネートが好適に使用される。
これらのジイソシアネート類は単独あるいは併用で使用することができる。複合フィルムが適用される(塗布等される)支持体等の特性、アクリル系モノマーへの溶解性、水酸基との反応性などの観点から、ジイソシアネートの種類、組合せ等を適宜選択すればよい。
本発明においては、ウレタンポリマーが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水添トリレンジイソシアネート(HTDI)、水添4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、および、水添キシレンジイソシアネート(HXDI)からなる群から選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネートを用いて形成されることが好ましく、水添キシレンジイソシアネートが特に好ましい。
本発明において、ウレタンポリマーを形成するためのジオール成分とジイソシアネート成分の使用量は、NCO/OH(当量比)が1.1以上、2.0以下であることが好ましく、1.12以上、1.60以下であることがさらに好ましく、1.15以上、1.40以下であることが特に好ましい。NCO/OH(当量比)が1.1未満では、ウレタンポリマーの分子量が大きくなりすぎて、複合フィルム前駆体(シロップ溶液)の粘度が大きくなり、後続のシート化工程で作業が困難になることがある。また、NCO/OH(当量比)が2.0を超えると、ウレタンポリマーの分子量が小さくなり、破断強度が低下しやすくなる。
本発明においては、複合フィルムを形成するアクリル成分とウレタン成分との比率は、重量比で、アクリル成分/ウレタン成分が0.25以上、4.00以下であり、好ましくは0.429以上、2.333以下であり、特に好ましくは0.538以上、1.857以下である。アクリル成分/ウレタン成分が0.25未満では、シロップ溶液の粘度が大きくなり、後続のシート化工程で作業が困難になることがある。また、アクリル成分/ウレタン成分が4.00を超えると、複合フィルム中のウレタンポリマー量が25%未満となり、引張の破断強度が低下し、実用に耐えないことがある。
上記ウレタンポリマーに対し、水酸基含有アクリルモノマーを添加してもよい。水酸基含有アクリルモノマーを添加することにより、ウレタンプレポリマーの分子末端に(メタ)アクリロイル基を導入することができ、(メタ)アクリルモノマーとの共重合性が付与され、ウレタン成分とアクリル成分との相溶性が高まり、破断強度などのS−S特性の向上を図ることもできる。ここで使用される水酸基含有アクリルモノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート等が用いられる。水酸基含有アクリルモノマーの使用量は、ウレタンポリマー100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、更に好ましくは1〜5重量部である。
本発明の粘着シートの各層には、すなわち、基材層、コート層、粘着剤層等には、必要に応じて、通常使用される添加剤、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、充填剤、顔料、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、光安定剤などを本発明の効果を阻害しない範囲内で添加することができる。これらの添加剤は、その種類に応じて通常の量で用いられる。これらの添加剤は、例えば複合フィルムの場合には、ジイソシアネートとジオールとの重合反応前にあらかじめ加えておいてもよいし、ウレタンポリマーとアクリルモノマーとをそれぞれ重合させる前に添加してもよい。
本発明に用いられる紫外線吸収剤(UVA)としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN PS」)、ベンゼンプロパン酸と3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ(C〜Cの側鎖および直鎖アルキル)とのエステル化合物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 384−2」)、オクチル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートとの混合物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 109」)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 900」)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 928」)、メチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物(例えば、チバ・ジャパン社製のTINUVIN 1130」)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN P」)、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール(例えば、チバ・ジャパン社製のTINUVIN 326」)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール(例えば、チバ・ジャパン社製のTINUVIN 328」)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(例えば、チバ・ジャパン社製のTINUVIN 329」)、2−2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](例えば、チバ・ジャパン社製のTINUVIN 360」)、メチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコール300との反応生成物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 213」)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 571」)、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(例えば、住友化学社製の「Sumisorb 250」)、2,2’−メチレンビス[6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール](例えば、ADEKA製の「ADKSTAB LA31」)等が挙げられる。
また、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルと[(C10〜C16、主としてC12〜C13のアルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 400」)、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルとの反応生成物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 405」)、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 460」)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 1577」)、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 479」)等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、例えば、チバ・ジャパン社製の「CHIMASSORB 81」等が挙げられる。また、ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 120」)等が挙げられる。
本発明においては、上記紫外線吸収剤を単独で、あるいは、2種類以上を併用して用いることができる。
紫外線吸収剤の総使用量は、フィルム前駆体100重量%に対して、0.1重量%以上、4.0重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上、2.0重量%以下であることが更に好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.1重量%以上であれば、劣化や着色を引き起こす紫外光の吸収が十分であり、4.0重量%以下であれば、紫外線吸収剤自体による着色を引き起こすことはない。
本発明に用いられる光安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)であることが好ましい。本発明に用いられるヒンダードアミン光安定剤としては、例えば、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 622」)、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物とN,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンとの1対1の反応生成物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 119」)、ジブチルアミン・1,3−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 2020」)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]ヘキサメチレン{(2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ})(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 944」)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートとの混合物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 765」)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 770」)、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル(1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシド)とオクタンとの反応生成物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 123」)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 144」)、シクロヘキサンと過酸化N−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの反応生成物と2−アミノエタノールとの反応生成物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 152」)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートとの混合物(例えば、チバ・ジャパン社製「TINUVIN 292」)等が挙げられる。
一般に、ウレタンポリマーでは、暗所における耐熱性や耐湿熱性が問題であり、共役構造を示す着色物質や窒素含有の着色物質が生成することが知られている。特開平9−1307016号公報および特許2625508号公報には、そのような現象を防止する目的で、フェノール系やリン系化合物、あるいは、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが、単独、あるいは併用するなどして効果があることが知られている。
本発明に用いられるリン系化合物としては、特に限定はされないが、例えば、下記式で表される三置換ホスファイト化合物であることが望ましい。
Figure 2015007192
上記式中、R1、R2およびR3は同一でも異なっていても良く、炭素原子数が1〜18の、芳香族もしくは芳香族脂肪族基、または必要に応じてエーテル基を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族基を示すか、あるいは、R1およびR2はリン原子および2個の酸素原子と一緒になって5員もしくは6員の複素環を形成している。ただし置換基R1、R2およびR3の少なくとも1つは、炭素原子数が6〜18の芳香族基または炭素原子数が9〜18の直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族基を示す。
具体的には、例えば、トリフェニルホスファイトもしくはトリス(ノニルフェニル)ホスファイトのようなアリールホスファイト;ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジイソデシルフェニルホスファイト、ジイソオクチルオクチルフェニルホスファイト、フェニルネオペンチルグリコールホスファイトもしくは2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル−(2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール)ホスファイトのようなアルキル−アリールホスファイト;トリイソデシルホスファイト、トリラウリルホスファイトもしくはトリス(トリデシル)ホスファイトのようなアルキルホスファイト;ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトもしくはテトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイトのような芳香族もしくは脂肪族置換のジホスファイト、などが挙げられる。
これらの中では、黄変の抑制効果の点で、トリイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイトおよびジフェニルイソデシルホスファイトが好適であり、これらの混合物を用いることが特に好適である。なお、トリイソデシルホスファイトの構造、フェニルジイソデシルホスファイトの構造、ジフェニルイソデシルホスファイトの構造、トリフェニルホスファイトの構造を下記に示す。
Figure 2015007192
Figure 2015007192
Figure 2015007192
Figure 2015007192
本発明に用いられるフェノール系化合物としては、例えば、嵩高い置換基(例えばt−ブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基など)を持つフェノール骨格を有する化合物であり、例えば下記式で表される化合物や、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、 N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)、 ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、 ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシイソオクチルエステル、 ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォネート、 2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール(IRGANOX1520L)などを挙げることができる。
Figure 2015007192
上記フェノール系化合物は市販品として入手可能であり、例えばIrganox1010、Irganox1010FF、Irganox1035、Irganox1035FF、Irganox1076、Irganox1076FD、Irganox1076DWJ、Irganox1098、Irganox1135、Irganox1330、Irganox1726、Irganox1425WL、Irganox1520L、Irganox245、Irganox245FF、Irganox245DWJ、Irganox259、Irganox3114、Irganox5057、Irganox565、Irganox565DD、Irganox295、Irganox1222、Irganox1141(以上、チバ・ジャパン社製)などを挙げることができる。なお、上記式で表されるフェノール系化合物は、市販品として例えば「Irganox1135」(チバ・ジャパン社製)を入手することができる。
本発明においては、塗工の粘度調整のため少量の溶剤を加えてもよい。溶剤としては、通常使用される溶剤の中から適宜選択することができるが、例えば、酢酸エチル、トルエン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
本発明において複合フィルムは、例えば、アクリルモノマーを希釈剤として、このアクリルモノマー中でジオールとジイソシアネートとの反応を行ってウレタンポリマーを形成し、アクリルモノマーとウレタンポリマーとを主成分として含む混合物を支持体(必要に応じて剥離処理されている)等の上に塗布し、光重合開始剤の種類等に応じて、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線や紫外線等の放射線、可視光等を照射して硬化させ、その後、支持体等を剥離除去することにより、複合フィルムを形成することができる。あるいは、支持体等を剥離除去せずに、支持体等の上に複合フィルムが積層された形態で得ることもできる。
具体的には、ジオールをアクリルモノマーに溶解させた後、ジイソシアネート等を添加してジオールと反応させて粘度調整を行い、これを支持体等に、あるいは、必要に応じて支持体等の剥離処理面に塗工した後、低圧水銀ランプ等を用いて硬化させることにより、複合フィルムを得ることができる。この方法では、アクリルモノマーをウレタン合成中に一度に添加してもよいし、何回かに分割して添加してもよい。また、ジイソシアネートをアクリルモノマーに溶解させた後、ジオールを反応させてもよい。この方法によれば、分子量が限定されるということはなく、高分子量のポリウレタンを生成することもできるので、最終的に得られるウレタンの分子量を任意の大きさに設計することができる。
この際、酸素による重合阻害を避けるために、基板シート等の上に塗布した混合物の上に、剥離処理したシート(セパレータ等)をのせて酸素を遮断してもよいし、不活性ガスを充填した容器内に基材を入れて、酸素濃度を下げてもよい。
本発明において、放射線等の種類や照射に使用されるランプの種類等は適宜選択することができ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト、殺菌ランプ等の低圧ランプや、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等の高圧ランプ等を用いることができる。
紫外線などの照射量は、要求されるフィルムの特性に応じて、任意に設定することができる。一般的には、紫外線の照射量は、100〜5,000mJ/cm、好ましくは1,000〜4,000mJ/cm、更に好ましくは2,000〜3,000mJ/cmである。紫外線の照射量が100mJ/cmより少ないと、十分な重合率が得られないことがあり、5,000mJ/cmより多いと、劣化の原因となることがある。
また、紫外線等を照射する際の温度については特に限定があるわけではなく任意に設定することができるが、温度が高すぎると重合熱による停止反応が起こり易くなり、特性低下の原因となりやすいので、通常は70℃以下であり、好ましくは50℃以下であり、更に好ましくは30℃以下である。
ウレタンポリマーとアクリルモノマーとを主成分とする混合物には、光重合開始剤が含まれる。光重合開始剤としては、特に制限なく使用することができるが、例えば、ケタール系光重合開始剤、α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤、α−アミノケトン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、ベゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤等を用いることができる。
ケタール系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商業的に入手可能なものとしては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「イルガキュア651」等)等が挙げられる。
α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商業的に入手可能なものとしては、チバ・ジャパン社製の「イルガキュア184」等)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商業的に入手可能なものとしては、チバ・ジャパン社製の「ダロキュア1173」等)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商業的に入手可能なものとしては、チバ・ジャパン社製の「イルガキュア2959」等)等が挙げられる。
α−アミノケトン系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商業的に入手可能なものとしては、チバ・ジャパン社製の「イルガキュア907」等)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商業的に入手可能なものとしては、チバ・ジャパン社製の「イルガキュア369」等)等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(商業的に入手可能なものとしては、BASF社製の「ルシリンTPO」等)等が挙げられる。
ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノン等が挙げられる。
芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライド等が挙げられ、光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシム等が挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン等が挙げられ、ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が挙げられる。
本発明の多層シートを構成するコート層の厚みは、2〜50μmであることが好ましく、より好ましくは5〜40μmであり、更に好ましくは8〜30μmである。コート層の厚みが2μm未満では、ピンホールなど、コート層が形成されない欠陥部位が発生しやすく、またコート層の特性が充分に発揮できない場合がある。また50μmを超えると、コート層の物性が多層フィルムの物性を低下させてしまう場合がある。
本発明の多層シートを構成する基材の厚みは、目的等に応じて、例えば被覆保護する対象物の種類や箇所等に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、100μm以上であることが好ましく、150μm以上であることが更に好ましく、200μm以上であることが特に好ましい。また、厚みの上限値は1mm程度であることが好ましい。基材を構成する多層フィルムの厚みは、例えば、自動車のボディーを保護するために用いられるチッピング用途の場合には、50〜800μm程度であることが好ましく、更に好ましくは100〜600μm程度であることが好ましい。また、航空機用途の場合には、50〜1,000μm程度、更に好ましくは200〜800μm程度である。また、自動二輪用途の場合には、好ましくは50〜800μm程度、更に好ましくは100〜600μm程度である。
本発明においては、コート層組成物を溶剤等に溶解させて得られたコート層用塗布液を基材表面上に塗工した状態で熱硬化させ、皮膜形成してもよい。基材表面上で熱硬化させることにより、コート層は基材に対して優れた密着性を長期間保持し続けることができる。したがって、粘着シートの位置決めのためにアプリケーションシートが塗膜面上に貼付されたとしても、アプリケーションシートの剥離の際にコート層が剥がれたりすることがない。
本発明において多層シートは、本発明の効果を損なわない範囲内で、基材の片面(コート層を設けない側の面)に他のフィルムを積層することができる。他のフィルムを形成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂等のような熱可塑性樹脂のほか、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
本発明の粘着シートは、基材の一方の面にコート層を有し、他方の面に粘着剤層を有する構成であることが好ましい。
この粘着剤層を形成する粘着剤は、特に限定されず、アクリル系、ゴム系、シリコン系等、一般的なものを使用することができるが、低温での接着性や高温での保持性、コスト面等を考慮するとアクリル系の粘着剤が好ましい。
アクリル系粘着剤としては、アクリル酸エステルを主体とするモノマー成分に、カルボキシル基やヒドロキシル基等の官能基を有するモノマー成分を共重合したアクリル系共重合体(2種類以上であっても良い)を含むアクリル系粘着剤を用いることができる。
アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのアルキル(メタ)アクリレートは1種または2種以上を用いることができる。
上記アルキル(メタ)アクリレートに下記モノマー成分を共重合することができる。共重合可能なモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を含有するモノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシへキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有モノマー;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアノアクリレート系モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−モルホリノン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−1,3−オキサジン−2−オン、N−ビニル−3,5−モルホリンジオン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−アクリロイルピロリジン、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素モノマー、スチレンやスチレンの誘導体、酢酸ビニル等のモノマー等が挙げられる。これらのモノマーを必要に応じて、1種又は2種以上を、(メタ)アクリル酸エステルに共重合させて使用することができる。
本発明に用いられる粘着剤は、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびアクリル酸イソノニルからなる群から選ばれる少なくとも1種類と、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類のカルボキシル基含有モノマーとを含むことが好ましい。すなわち、本発明に用いられる粘着剤は、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル等を主モノマーとし、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマーを共重合した共重合体を使用することができる。
粘着剤層の厚みについては、特に限定があるわけではなく任意に設定することができるが、通常は20μm以上であることが好ましく、更に好ましくは30μm以上、特に好ましくは40μm以上である。但し、上限値は通常100μm程度であることが好ましい。
本発明において、粘着剤層は、例えば、基材に、溶剤系、エマルジョン系の粘着剤を直接塗布し、乾燥する方法、これらの粘着剤を剥離紙に塗布し、予め粘着剤層を形成しておき、この粘着剤層を基材等に貼り合わせる方法等を適用することができる。放射線硬化型粘着剤を基材に塗布し、粘着剤層と、フィルムの両方に放射線を照射することにより、基材と粘着剤層を同時に硬化させて、形成する方法も適用することができる。
本発明の粘着シートは、破断伸びが150%以上であり、200%以上、1,000%以下であることが好ましく、更に好ましくは250%以上、800%以下であり、特に好ましくは300%以上、600%以下である。破断伸びが200%以上であれば、貼付時に粘着シートが十分に伸びるので貼り付け作業が低下することがない。また、破断伸びが1,000%以下であれば、貼付時に粘着シートが伸びすぎて貼り付け作業が低下することがない。
ここで破断伸びとは、粘着シート(幅1cm、長さ13cm)を引張速度200mm/min、チャック間距離50mm、室温(23℃)で引張試験を行い、粘着シートが破断した時の伸びをチャック間距離(50mm)で除した値を言う。
本発明の粘着シートは、被着体の塗装面の色等をそのまま外観に反映させるためには透明であることが要求されるが、顔料等を使用して塗装面の色と同じ色で着色したり、別の色に着色したりして、塗装代替粘着シートとして使用してもよい。
本発明の粘着シートは、粘着シートの貼り付け作業を向上させるために、例えば貼付位置決め等のために、アプリケーションシートを使用することができる。
本発明の粘着シートの製造方法について以下に述べる。例えば、まず、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(仮支持体1)の剥離処理面にコート層用の塗布液を塗布してコート層を形成した後、その上に基材(例えば複合フィルム)用の塗布液を塗布し、その上に透明のセパレータ等をのせて、その上から紫外線等を照射して基材(ex. 複合フィルム)を形成し、その後、セパレータを除去する。別途、剥離処理されたポリエステルフィルム(仮支持体2)の剥離処理面に粘着剤層用の塗布液を塗布して粘着剤層を形成する。その後、この粘着剤層を、基材(複合フィルム)面に重ねて、粘着シートを得ることができる。なお、ここでは、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(仮支持体1)/コート層/基材(複合フィルム)/粘着剤層/剥離処理されたポリエステルフィルム(仮支持体2)の層構成となっているが、この仮支持体1および仮支持体2は、使用時に、すなわち粘着シートが貼付適用される際に剥離除去されるものであるので、本発明の粘着シートの構成には特に含めてはいない。ただし、これらの仮支持体1、仮支持体2等を、必要に応じて適宜設けることは可能であるし、これらの構成は本発明の技術的範囲に属するものである。
本発明の粘着シートは、曲面に対する柔軟性に優れている。また、本発明の粘着シートは、コート層が基材に強固に接着しており、例えば貼付作業時にコート層が剥がれたりすることがない。したがって輸送機械、例えば、自動二輪、自転車、鉄道車両、船舶、スノーモービル、ゴンドラ、リフト、エスカレーター、自動車、航空機等、特に自動車、航空機、自動二輪等の塗装面を保護するための保護用の多層シート、携帯電話の導光フィルム、電極基板の封止材料、エスカレーターの手すりの装飾用フィルム、透明ガラスと組み合わせて用いる透明フィルム等の用途に好適である。
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりがない限り、部は重量部を意味し、%は重量%を意味する。また、以下の実施例において使用された測定方法および評価方法を下記に示す。
(測定方法および評価方法)
(1)密着性の評価
粘着シートを、30mm×30mmのサイズに切断し、この粘着シートをステンレス板(SUS304板)にハンドローラーを用いて貼り合わせた。専用治具(コーテック株式会社製、CCJ)を用いて、SUS304板に達する深さの傷となるように、2mm間隔で縦横それぞれに11本の傷をつけ、100枡の碁盤目状を形成した。JIS Z1522に準拠して、この粘着シートにセロハンテープ(24mm幅)をハンドローラーを用いて圧着した後、貼り付けたセロハンテープ表面を指で擦って十分に圧着した。その後、高速剥離試験機(工研株式会社製)を用いて、セロハンテープ背面から30度の角度で、70m/minの引張速度でセロハンテープを剥がして、コート層の剥がれ状態を評価した。すなわち、この剥離したセロハンテープの粘着面全面に小麦粉等の粉末を付着させて、粉末が一枡の面積の50%を超える面積で付着している枡目の数を数え、下記の評価基準に従って密着性の評価を行った。

評価基準
3点(優) 100枡すべてに粉末が付着している。
2点(良) 1枡以上、99枡以下の範囲の個数で粉末が付着している。
1点(劣) 粉末の付着が認められない。
(2)揮発性の評価
市販のアルミカップに(メタ)アクリルモノマーを入れて、(メタ)アクリルモノマーの重量を測定した。その後、これを140℃の乾燥機に入れて3分間乾燥させた後、再び重量を測定して乾燥後の(メタ)アクリルモノマーの重量を測定した。このときの乾燥前後の重量減少量より、140℃における(メタ)アクリルモノマーの重量残存率を算出した。算出した重量残存率より、(メタ)アクリルモノマーの揮発性を評価した。
(実施例1)
《コート層用塗布液の作製》
フルオロエチレンビニルエーテルのキシレンおよびトルエンによる50%濃度溶解液(旭硝子(株)製の「ルミフロンLF600」)を100部に、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン(株)製の「コロネートHX」)を11.10部と、水酸基含有(メタ)アクリルモノマー(ダイセル化学工業(株)製の「プラクセルFM2D」)を1.86部と、触媒として0.35部のジブチル錫ラウリン酸(東京ファインケミカル株式会社製の「OL1」)のキシレン希釈液(固形分濃度が0.1重量%)と、希釈溶媒として、20.86部のトルエン、20.86部のヘキサン及び41.72部のメチルエチルケトンとから成るコート層用塗布液を作製した。
《複合フィルム用塗布液の作製》
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸(AA)を5部、イソボルニルアクリレーと(IBXA)を35部、アクリル酸n−ブチル(BA)を10部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)(数平均分子量650、三菱化学(株)製)を36.4部とを投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)の13.6部を滴下し、65℃で10時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物(複合フィルム前駆体)を得た。
その後、得られたウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物の100部に対して、光重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の「IRGACURE819」)を0.159部、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)を3.0部、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤として、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の「TINUVIN 400」を1.25部と、ヒンダードアミン系光安定剤として、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の「TINUVIN 123」を1.25部添加し、充分に攪拌して添加剤等を完全に溶解させ、ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物(複合フィルム用塗布液)を得た。但し、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.25であった。
《コート層の作製》
得られたコート層用塗布液を、仮支持体1として剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ75μm)の上に硬化後の厚みが10μmとなるように塗布し、温度140℃で3分間乾燥および硬化させてコート層を形成した。
《多層シートの作成》
形成したコート層の上に、作製した複合フィルム用塗布液を、硬化後の厚みが290μm(コート層の厚みも含めると300μm)となるように塗布し、この上にセパレータとして剥離処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを重ねた。このPETフィルム面に、メタルハライドランプを用いて紫外線(照度210mW/cm、光量4,000mJ/cm)を照射して硬化させて、仮支持体1の上にコート層および複合フィルムを有する多層シート(セパレータを備えている)を形成した。
《粘着剤層の作製》
モノマー成分として、2−エチルヘキシルアクリレート90部およびアクリル酸10部を混合した混合物に、光重合開始剤として、商品名「イルガキュア 651」(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を0.05部と、商品名「イルガキュア 184」(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を0.05部とを配合した後、粘度が約15Pa・s(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)になるまで紫外線を照射して、一部が重合したアクリル組成物(UVシロップ)を作製した。
得られたUVシロップの100部に対して、ヘキサンジオールジアクリレートを0.08部、ヒンダードフェノール型酸化防止剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の商品名「イルガノックス1010」)を1部添加して粘着剤組成物を作製した。
この粘着剤組成物を、仮支持体2として厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面に、最終製品としての厚みが50μmになるように塗布した。
この上に、セパレータとして剥離処理したPETフィルムを重ねて被覆し、次いで、PETフィルム面にメタルハライドランプを用いて紫外線(照度290mW/cm、光量4,600mJ/cm)を照射して硬化させて、仮支持体2の上に粘着剤層を形成した。その後、140℃で3分間乾燥させて、未反応の残存アクリル系モノマーを乾燥させ、粘着剤層を作製した。
《粘着シートの作製》
セパレータを除去し、得られた多層シートのコート層側の面とは反対側の面(すなわち基材面)に、粘着剤層が重なるように貼り合わせて粘着シート(仮支持体1/コート層/複合フィルム/粘着剤層/仮支持体2の層構成)を作製した。
《測定および評価》
上記に示す評価方法に従い、得られた粘着シートについて密着性(碁盤目試験)の評価を行い、また、コート層用塗布液の作製に使用した(メタ)アクリルモノマーについて揮発性(140℃3分間での重量残存率)の評価を行った。その結果を表2に示す。
(実施例2〜7、比較例1〜2)
コート層用塗布液の種類および配合量を表1に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして、コート層、多層シートおよび粘着シートを作製した。実施例1と同様にして、上記に示す評価方法に従い、得られた粘着シートについて密着性(碁盤目試験)の評価を行い、また、コート層用塗布液の作製に使用した(メタ)アクリルモノマーについて揮発性(140℃3分間での重量残存率)の評価を行った。その結果を表2に示す。なお、実施例および比較例で使用したアクリルモノマーについては25℃の粘度(カタログ値)も表2に表示してある。
Figure 2015007192
Figure 2015007192
(表1中の注記)
A:フッ素樹脂
・フルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体 「LF600」
(旭硝子(株)製)
B:架橋剤
・イソシアネート系架橋剤「コロネートHX」(日本ポリウレタン工業(株)製)“C/HX”と表示
C:水酸基含有(メタ)アクリルモノマー
・「4HBA」(4−ヒドロキシブチルアクリレート、大阪有機化学工業(株)製)
・「プラクセルFM2D」(カプロラクトン変性メタクリル酸エステル、ダイセル化学工業(株)製)
・「プラクセルFA2D」(カプロラクトン変性アクリル酸エステル、ダイセル化学工業(株)製)
Figure 2015007192
・「V#802」(水酸基含有多官能アクリルモノマー、大阪有機化学工業(株)製)
Figure 2015007192
・「V#300」(水酸基含有三官能アクリルモノマー、大阪有機化学工業(株)製)
Figure 2015007192
・「200PA」(二官能アクリルジオール、共栄社化学(株)製)
Figure 2015007192
・「3002A」(二官能アクリルジオール、共栄社化学(株)製)
・「3002M」(二官能メタクリルジオール、共栄社化学(株)製)
Figure 2015007192
D:触媒
・ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(「OL1」、東京ファインケミカル(株)製)、但し、キシレン希釈液(ラウリン酸ジブチル錫の濃度0.1重量%)を使用
表2から明らかなように、本発明の粘着シートである実施例1〜7は、比較例1〜2の粘着シートと比べて、コート層と基材との間の密着性に優れていることが分かった。中でも、実施例1〜2の粘着シートは、密着性の評価において、全くはがれが認められず(碁盤目残存個数が100個)、非常に優れた密着性を有することが分かった。
表2より、4HBAは140℃における揮発性が高いことが分かる。したがって、4HBAは、イソシアネート系架橋剤と反応する前に揮発してしまうことが考えられる。本発明の効果を実現するためには、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーが140℃では揮発し難いことが必要である。そこで、本発明者らは、(メタ)アクリルモノマーは分子量が増加すると揮発し難くなるため、4HBAの分子量よりも大きい分子量の(メタ)アクリルモノマーを用いること、すなわち、分子量が200以上の(メタ)アクリルモノマーを用いることを見出した。分子量が200以上の(メタ)アクリルモノマーを使用することにより、140℃でも十分にイソシアネート系架橋剤と反応させることが出来る。
また、(メタ)アクリルモノマーの粘度および構造を検討したところ、粘度が低く、かつ、二つの官能基である水酸基と(メタ)アクリロイル基とが離れている構造を有する(メタ)アクリルモノマーが好ましいことが推測される。この理由は、(メタ)アクリルモノマーの粘度が高い場合には、相溶性に乏しくなり易く、また、二つの官能基が隣接していると立体障害を生じ易くなり、反応性に乏しくなるためであると考えられる。
本発明の粘着シートは、コート層と基材との間の密着性に優れているので、防汚性に優れており、例えば、屋外の天候、溶剤、ほこり、油脂および海洋環境などを含む有害環境にさらされる塗膜表面を保護するための粘着シートあるいは装飾用の粘着シートや多層シートとして使用することができる。また、自動車のボディー等の塗膜を保護するためのチッピングテープ、ボディープロテクションフィルム用の粘着シートや多層シートとしても好適である。

Claims (7)

  1. 分子量200以上で、かつ、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーと、多官能イソシアネートと、下記式(I)で表されるフルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体とを有することを特徴とするコート層組成物。
    Figure 2015007192

    (式中、Xはフッ素、塩素または臭素を表し、Rは水素またはC1〜C10のアルキル基を表し、RはC1〜C16のアルキル基を表し、RはC1〜C16のアルキレン基を表し、mおよびnは、それぞれ整数であり、フルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体の重量平均分子量が1,000〜2,000,000となる範囲で選択される。)
  2. 前記コート層組成物が、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、リン系化合物およびフェノール系酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種類をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載のコート層組成物。
  3. 基材の少なくとも一方の面にコート層を有する多層シートであって、該コート層が請求項1または2に記載のコート層組成物を用いてなり、かつ、基材が少なくとも(メタ)アクリルポリマーを含有することを特徴とする多層シート。
  4. 前記基材が、(メタ)アクリルポリマーとウレタンポリマーとを含有する複合フィルムであることを特徴とする請求項3に記載の多層シート。
  5. 前記基材が、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、リン系化合物およびフェノール系酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含有することを特徴とする請求項3または4に記載の多層シート。
  6. 請求項3から5のいずれか1項に記載の多層フィルムの少なくとも一方の面に、粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
  7. 前記粘着シートが被着体の表面を保護するための保護シートとして使用されることを特徴とする請求項6に記載の粘着シート。
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