JP2021073114A - 多層粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な耐溶剤性、表面滑り性、及び、曲面追従性を有する粘着シートを提供すること。【解決手段】粘着シートは、表面保護層と基材層と粘着剤層とを含み、基材層が表面保護層と粘着剤層との間に位置する多層構造を有し、被着体の表面を保護するために使用される粘着シートであって、表面保護層の厚みが、2〜50μmであり、基材層の厚みが、50〜600μmであり、粘着剤層の厚みが、20〜100μmであり、表面保護層が、エステル系のウレタンポリマー、エーテル系のウレタンポリマー、及びエステル/アクリル系のウレタンポリマーからなる群より選択される少なくとも1種類のウレタン系ポリマーを主成分として含み、かつ、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)不溶分を含有する層であり、基材層が、1種類のポリオールと1種類のポリイソシアネートを反応させて得られるポリウレタン成分のみからなる重合体を含む層であり、粘着シートとして、0%を越えて10%伸張状態までにおける最大応力値が、0.5MPa以上、4.0MPa以下の範囲内である。【選択図】なし

Description

本発明は多層粘着シートに関し、特に、耐溶剤性、表面滑り性および曲面追従性に優れた多層粘着シートに関する。
例えば、自動車、航空機業界においては、自動車等のボディーの塗装面の損傷防止のために透明粘着シートが貼り付けられることがある。この粘着シートは、屋外で使用するため耐溶剤性を必要とし、また、この粘着シートは、スキージ等を用いて手作業で塗装面に直接貼り付けられるが、貼付作業時に位置ズレが生じたり、手の汚れが付着したり、または、特に三次元曲面が厳しい部位においてはきれいに貼りつけることができない等の問題があった。また、粘着シートの表面をスキージが滑らないため粘着シートにシワやキズが発生する等の問題もあった。さらにまた、表面の滑り性が良好なコーティング層を有する保護用粘着シートでは、三次元曲面の厳しい部位において追従性が悪化し、三次元曲面を持った被着体に追従させて貼りつけることが困難となる不具合が生じた。
また、IPNからなる基材にフッ素コート層を設けた粘着シートが知られているが(例えば、特表2001−520127号公報参照)、複雑な曲面を持った被着体に対し、曲面追従性が不十分であり、また、耐候性などの観点から、基材にフッ素系樹脂からなるコート層を設けた塗膜保護用粘着シート(例えば、特開2009−299053号公報参照)も知られているが、柔軟性が不十分であり、複雑な部位への適用が困難であった。
特表2001−520127号公報 特開2003−96140号公報 特開昭59−41376号公報 特開2005−272558号公報 特開2009−299053号公報 特開2011−100542号公報
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明は、耐溶剤性、表面滑り性および曲面追従性に優れた多層粘着シートを提供することを目的とする。
本発明の多層粘着シートは、少なくとも、表面保護層と基材層と粘着剤層とを有する多層粘着シートであって、該粘着剤層は該基材層の一方の面に設けられており、該表面保護層は該基材層の他方の面に設けられており、前記表面保護層はN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)不溶分を含有し、かつ、前記多層粘着シートの0%を越えて10%伸張状態における最大応力値が0.5MPa以上、4.0MPa以下の範囲内であることを特徴とする。
ここで、前記表面保護層は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)不溶分を50重量%以上含有することが好ましい。
本発明において、前記表面保護層は、ウレタン系ポリマーを主成分とすることが好ましい。
ここで、前記ウレタン系ポリマーは、水系ウレタンポリマーまたは溶剤系ウレタンポリマーであることが好ましい。
本発明において、前記表面保護層は、前記ウレタンポリマー100重量部に対し、架橋剤を5重量部以上、12重量部以下含有することが好ましい。
本発明において、前記基材層は、少なくともウレタン系ポリマーを含有することが好ましい。
ここで、前記基材層は、ウレタン系ポリマー、または、(メタ)アクリル系ポリマーとウレタン系ポリマーとを含有する複合フィルムであることが好ましい。
本発明において、前記多層粘着シートは、被着体の表面を保護するための保護シートとして使用されることが好ましい。
本発明によれば、耐溶剤性に優れており、また、曲面追従性を有していて三次元曲面が厳しい部位においてもきれいに貼り付けることができ、良好な表面滑り性も有する多層粘着シートを実現することができる。
静摩擦係数を測定する方法を説明するための概略図である。 貼付作業性の評価に関する三次元曲面部位の断面曲線を説明するための説明図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の多層粘着シートは、少なくとも粘着剤層と基材層と表面保護層とを有する積層シートである。但し、表面保護層は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)不溶分を含有する。なお、表面保護層は多層粘着シートの最表面に配置されていることが好ましい。
この表面保護層は、ウレタン系ポリマーを主成分とすることが好ましく、例えば表面保護層のベース樹脂がウレタン系ポリマーであることが好ましい。また、このウレタン系ポリマーは、水系ウレタンポリマーまたは溶剤系ウレタンポリマーであることが好ましい。ウレタンポリマーは加工等のために液状化する必要があるが、トルエン等の有機溶剤を用いて液状化されたウレタンを溶剤系ウレタンポリマーと言い、ウレタンポリマーの多くは有機溶剤系である。一方、水系ウレタンポリマーとは有機溶剤の代わりに水を使用して液状化されたウレタンであり、水系ウレタンポリマーは有機溶剤を使用せずに液状にすることができるので、環境にやさしい材料であると言える。
本発明に好ましく用いられる水系ウレタンポリマーとしては、例えば、カーボネート系のポリマー、ポリカーボネート系のポリマー、エステル系のポリマー、エーテル系のポリマー、エステル/アクリル系のポリマー等が挙げられる。
例えば、カーボネート系の水系ウレタンポリマーとしては、第一工業製薬株式会社製の商品名「F−8082D」(100%モジュラス 24N/mm)、商品名「スーパーフレックス420」(100モジュラス 17N/mm)、商品名「F−2954D」(100%モジュラス 5N/mm)、商品名「F−2954D−5」(100%モジュラス 12N/mm)、商品名「スーパーフレックス470」(100%モジュラス 2.5N/mm)、商品名「スーパーフレックス460」(100%モジュラス 0.9N/mm)、商品名「F−2968D」(100%モジュラス 1.5N/mm)などが商業的に入手可能なものとして挙げられ、エステル系の水系ウレタンポリマーとしては、株式会社ADEKA製の商品名「HUX 232」(100%モジュラス 25N/mm)、商品名「HUX−380」(100モジュラス 8.4N/mm)、商品名「HUX−210」(100%モジュラス 2.1N/mm)などが商業的に入手可能なものとして挙げられ、ポリカーボネート系の水系ウレタンポリマーとしては、株式会社ADEKA製の商品名「HUX−561」(100%モジュラス 5N/mm)、商品名「HUX−564」などが商業的に入手可能なものとして挙げられ、エーテル系の水系ウレタンポリマーとしては、株式会社ADEKA製の商品名「HUX−350」(100%モジュラス 25N/mm)、商品名「HUX−550」(100%モジュラス 27N/mm(10%))などが商業的に入手可能なものとして挙げられ、エステル/アクリル系の水系ウレタンポリマーとしては、株式会社ADEKA製の商品名「HUX 401」(100%モジュラス 19N/mm)などが商業的に入手可能なものとして挙げられる。本発明においては、これらの市販品の中から、表面保護層の静摩擦係数が本発明の範囲内のものを適宜選択して使用することができる。また、2種類以上の水系ポリウレタンを併用しても良い。
本発明の多層粘着シートを構成する表面保護層は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤の含有量は、表面保護層を構成するベース樹脂の100重量部に対し、5重量部以上、12重量部以下であることが好ましく、更に好ましくは、5重量部以上、11重量部以下であり、特に好ましくは、5重量部以上、9重量部以下である。架橋剤を5重量部以上、12重量部以下で含有すれば、適度なゲル分率を実現し易くすることができる。
表面保護層に好ましく用いられる架橋剤としては、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。
例えば、オキサゾリン系架橋剤としては、商品名「(登録商標)エポクロス WS−700」(オキサゾリン基含有水溶性ポリマー、日本触媒株式会社製)、商品名「(登録商標)エポクロス WS−500」(オキサゾリン基含有水溶性ポリマー、日本触媒株式会社製)などが商業的に入手可能なものとして挙げられ、カルボジイミド系架橋剤としては、商品名「(登録商標)カルボジライトE−02」(カルボジイミド基含有水溶性ポリマー、日清紡績株式会社製)、商品名「(登録商標)カルボジライトE−01」(カルボジイミド基含有水溶性ポリマー、日清紡績株式会社製)などが商業的に入手可能なものとして挙げられ、また、エポキシ系架橋剤としては、商品名「(登録商標)GL−PEP」(エポキシ基含有水溶性ポリマー、四日市合成株式会社製)、商品名「(登録商標)デナコールEX−313」(エポキシ基含有水溶性ポリマー、ナガセケムテックス株式会社製)などが商業的に入手可能なものとして挙げられる。
表面保護層は、更に、はじき防止剤、増粘剤、光安定剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有することができる。はじき防止剤(レベリング剤)としては、例えば、ポリエーテル系変性シロキサン、パーフルオロアルケニルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエステル系変性シロキサン、アラルキル変性シロキサン等が挙げられ、光安定剤としては、例えば、水分散型ヒンダードアミン光安定剤等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、例えば、水分散型ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等が挙げられる。
表面保護層は、その表面の静摩擦係数が0.05〜1.50であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜1.00であり、特に好ましくは0.05〜0.5である。表面保護層の静摩擦係数が0.05以上、1.50以下であれば、良好な表面滑り性を実現することができる。
柔軟性(曲面追従性)という効果の点からは、表面保護層の0%を越えて100%伸長状態までにおける最大応力値が5.0MPa以上、24.0MPa以下であることが好ましく、更に好ましくは、10.0MPa以上、20.0MPa以下であり、特に好ましくは、12.5MPa以上、17.5MPa以下である。
ここで、最大応力値とは、表面保護層を引張速度200mm/min、チャック間距離30mm、20℃、厚み500μmで引張試験を行い、応力−歪み曲線を求め、表面保護層の0%〜100%伸長状態までの単位面積当たりの応力の最大値(最大応力値)を言う。
本発明の多層粘着シートを構成する基材層としては、多層粘着シートの0%を越えて、10%伸長状態までにおける最大応力値が0.5〜4.0MPaを満たすものであれば特に限定されることなく使用することができるが、例えば、少なくともウレタン系ポリマーを含むことが好ましく、ウレタン系ポリマーからなるフィルムまたは(メタ)アクリル系ポリマーとウレタンポリマーとを含む複合フィルムであることが好ましい。ここで、ウレタン系ポリマーとは、ウレタンの単独重合体、ウレタンとウレタン以外の他のポリマーとの共重合体等が挙げられる。
上記基材層は、基材層の0%を越えて、10%伸長状態までにおける最大応力値が0.5MPa以上、3.5MPa未満であることが好ましく、更に好ましくは、1.0MPa以上、3.0MPa以下、特に好ましくは、1.5MPa以上、2.0MPa以下である。
ここで、最大応力値とは、基材層(幅10mm、長さ160mm)を引張速度200mm/min、チャック間距離100mm、23℃で引張試験を行い、応力−歪み曲線を求め、基材層の0%〜10%伸長状態までの単位面積当たりの応力の最大値(最大応力値)を言う。
本発明において、基材層に用いられるウレタン系ポリマーとしては、上記応力値を満たすウレタン単独重合体や共重合体が好ましく使用され、ウレタン単独重合体は、例えば、ポリオールとポリイソシアネートを反応させて得ることができる。本発明に好ましく用いられるウレタン系ポリマーとしては、例えばアジペート・エステル系熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン、ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタン等が挙げられる。例えば、アジペート・エステル系熱可塑性ポリウレタンとして、日本マタイ株式会社製の製品を商業的に入手することができる。
また、本発明の多層粘着シートを構成する基材層は、(メタ)アクリル系ポリマーとウレタンポリマーとを含有する複合フィルムであることが好ましい。
この複合フィルム中の(メタ)アクリル系ポリマーとウレタンポリマーとの重量比率は、(メタ)アクリル系ポリマー/ウレタンポリマー=1/99〜80/20の範囲内であることが好ましい。(メタ)アクリル系ポリマーの含有比率が1/99未満では、前駆体混合物の粘度が高くなり、作業性が悪化する場合があり、80/20を超えると、フィルムとしての柔軟性や強度が得られない場合がある。
本発明において、(メタ)アクリル系ポリマーは、少なくとも(メタ)アクリル酸系モノマー、および、単官能(メタ)アクリル系モノマーを含むアクリル成分を用いてなることが好ましく、特に、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーを用いることが好ましい。さらに、本発明においては、(メタ)アクリル系ポリマーは、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーをさらに含むアクリル成分を用いてなることが好ましい。
本発明において(メタ)アクリル酸系モノマーとは、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーであり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられる。これらの中では特にアクリル酸が好ましい。この(メタ)アクリル酸系モノマーの含有量は、後述する複合フィルム前駆体中、1重量%以上、15重量%以下であり、2重量%以上、10重量%以下であることが好ましい。(メタ)アクリル酸系モノマーの含有量が1重量%未満では、反応に長時間を要し、フィルム化することが非常に困難であり、また、フィルムの強度が十分でない問題が生じる場合がある。(メタ)アクリル酸系モノマーの含有量が15重量%を超える場合には、フィルムの吸水率が大きくなり、耐水性に問題が生じる場合がある。基材として複合フィルムが使用される場合には、(メタ)アクリル酸系モノマーはウレタン成分、アクリル成分との相溶性に大きく影響するものであり、極めて重要な機能を有する必須構成要素である。
なお、本発明において「フィルム」という場合には、シートを含み、「シート」という場合には、フィルムを含む概念とする。また、本発明において(メタ)アクリル系ポリマー、(メタ)アクリル酸系モノマーのように、「(メタ)アクリル」と表示する場合には、メタアクリル、アクリルを総称する概念とする。また、「アクリル」と表示した場合でも、一般常識上問題がなければ、メタアクリルも含む概念とする。
本発明において「主成分として含む」という場合には、50重量%以上含有することを意味し、好ましくは90重量%以上含有することであり、また、100%含有する場合も該当する。
本発明において、Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、t−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート等が挙げられる。これらは単独で、あるいは、2種以上を併用することができる。
本発明においては、Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーとして、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、および、ジシクロペンタニルアクリレートからなる群のうち少なくとも1つを用いることが好ましく、アクリロイルモルホリン及び/又はイソボルニルアクリレート、あるいは、アクリロイルモルホリン及び/又はジシクロペンタニルアクリレートを用いることが更に好ましく、特にイソボルニルアクリレートを用いることが好ましい。
Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有量は、アクリル成分中、20重量%以上、99重量%以下であることが好ましく、30重量%以上、98重量%以下であることが更に好ましい。この単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有量が20重量%未満では、フィルムの強度が十分でないという問題が生じることがあり、99重量%を超えると、フィルムの剛性が高くなりすぎて脆くなる場合がある。
本発明において、Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソブチル、2−メトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルオロフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート等が挙げられる。これらは単独で、あるいは、2種以上を併用することができる。
本発明においては、Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーとして、アクリル酸n−ブチルを用いることが特に好ましい。
Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーは含有されていなくても良い(含有量が0重量%)が、含有されている場合の含有量は、アクリル成分中、0重量%より多く、50重量%以下であることが好ましく、0重量%より多く、45重量%以下であることが更に好ましい。この単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有量が50重量%を超える場合には、フィルムの強度が十分でない問題が生じることがある。
(メタ)アクリル系モノマーは、ウレタンとの相溶性、放射線等の光硬化時の重合性や、得られる高分子量体の特性を考慮して、種類、組合せ、使用量等が適宜決定される。
本発明においては、上記(メタ)アクリル系モノマーとともに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸のモノまたはジエステル、及びその誘導体、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、イミドアクリレート、N−ビニルピロリドン、オリゴエステルアクリレート、ε−カプロラクトンアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロドデカトリエンアクリレート、メトキシエチルアクリレート等のモノマーを共重合してもよい。なお、これら共重合されるモノマーの種類や使用量は、複合フィルムの特性等を考慮して適宜決定される。
また、特性を損なわない範囲内で他の多官能モノマーを添加することもできる。多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等を挙げることができ、特に好ましくは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートである。
多官能モノマーはアクリル系モノマー100重量部に対して、1重量部以上、20重量部以下含まれることができる。多官能モノマーの含有量が1重量部以上であれば、複合フィルムの凝集力は十分であり、20重量部以下であれば、弾性率が高くなりすぎることがなく、被着体表面の凹凸に追従することができる。
ウレタンポリマーは、ジオールとジイソシアネートとを反応させて得られる。ジオールの水酸基とイソシアネートとの反応には、一般的には触媒が用いられるが、本発明によれば、ジブチルチンジラウレート、オクトエ酸錫のような環境負荷が生じる触媒を用いなくても反応を促進させることができる。
低分子量のジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の2価のアルコールが挙げられる。
また、高分子量のジオールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を付加重合して得られるポリエーテルポリオール、あるいは上述の2価のアルコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルコールとアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の2価の塩基酸との重縮合物からなるポリエステルポリオールや、アクリルポリオール、カーボネートポリオール、エポキシポリオール、カプロラクトンポリオール等が挙げられる。これらの中では、例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリアルキレンカーボネートジオール(PCD)等が好ましく使用される。
アクリルポリオールとしては水酸基を有するモノマーの共重合体の他、水酸基含有物とアクリル系モノマーとの共重合体等が挙げられる。エポキシポリオールとしてはアミン変性エポキシ樹脂等がある。
本発明において、ウレタンポリマーは架橋構造を含まない。ウレタンポリマーの形成に使用されるジオールは、線状(リニア)のジオールであることが好ましい。但し、ウレタンポリマーに架橋構造を形成させないという条件を満たす限りにおいて、ジオールは側鎖状のジオールまたは分岐構造を含むジオールであっても良い。すなわち、本発明の複合フィルムを構成するウレタンポリマーは架橋構造を含まないものであり、したがって、IPN構造とは構造的に全く異なるものである。
本発明においては、上記ジオールを、アクリル系モノマーへの溶解性、イソシアネートとの反応性等を考慮して、単独あるいは併用して使用することができる。強度を必要とする場合には、低分子量ジオールによるウレタンハードセグメント量を増加させると効果的である。伸びを重視する場合には、分子量の大きなジオールを単独で使用することが好ましい。また、ポリエーテルポリオールは、一般的に、安価で耐水性が良好であり、ポリエステルポリオールは、強度が高い。本発明においては、用途や目的に応じて、ポリオールの種類や量を自由に選択することができ、また、塗布する基材等の特性、イソシアネートとの反応性、アクリルとの相溶性などの観点からもポリオールの種類、分子量や使用量を適宜選択することができる。
ジイソシアネートとしては芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネート、これらのジイソシアネートの二量体、三量体等が挙げられる。芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、フェニレンジイソシアネート(PPDI)、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(水素化TDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素化MDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(水素化PPDI)、ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(水素化XDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ブタンジイソシアネート、2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、これらの二量体、三量体や、ポリフェニルメタンジイソシアネートが用いられる。三量体としては、イソシアヌレート型、ビューレット型、アロファネート型等が挙げられ、適宜、使用することができる。
これらの中では、特に、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(水素化TDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素化MDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(水素化PPDI)、ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(水素化XDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ブタンジイソシアネート、2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族、脂環族系のジイソシアネートが好ましく使用される。ベンゼン環を含む芳香族系のジイソシアネートを使用すると、光反応によって共役構造を有する着色物質が生成しやすいため好ましくないからであり、本発明においては、ベンゼン環を含まない、難黄変型、無黄変型の脂肪族、脂環族系のジイソシアネートが好適に使用される。
これらのジイソシアネート類は単独あるいは併用で使用することができる。複合フィルムが適用される(塗布等される)支持体等の特性、アクリル系モノマーへの溶解性、水酸基との反応性などの観点から、ジイソシアネートの種類、組合せ等を適宜選択すればよい。
本発明においては、ウレタン系ポリマーが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水添トリレンジイソシアネート(HTDI)、水添4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、および、水添キシレンジイソシアネート(HXDI)からなる群から選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネートを用いて形成されることが好ましく、水添キシレンジイソシアネートが特に好ましい。
本発明において、ウレタンポリマーを形成するためのジオール成分とジイソシアネート成分の使用量は、NCO/OH(当量比)が1.1以上、2.0以下であることが好ましく、1.12以上、1.60以下であることがさらに好ましく、1.15以上、1.40以下であることが特に好ましい。NCO/OH(当量比)が1.1未満では、ウレタンポリマーの分子量が大きくなりすぎて、複合フィルム前駆体(シロップ溶液)の粘度が大きくなり、後続のシート化工程で作業が困難になることがある。また、NCO/OH(当量比)が2.0を超えると、ウレタンポリマーの分子量が小さくなり、破断強度が低下しやすくなる。
本発明においては、複合フィルムを形成するアクリル成分とウレタン成分との比率は、重量比で、アクリル成分/ウレタン成分が0.25以上、4.00以下であり、好ましくは0.4以上、2.4以下であり、特に好ましくは0.5以上、1.9以下である。アクリル成分/ウレタン成分が0.25未満では、シロップ溶液の粘度が大きくなり、後続のシート化工程で作業が困難になることがある。また、アクリル成分/ウレタン成分が4.00を超えると、複合フィルム中のウレタンポリマー量が25%未満となり、引張の破断強度が低下し、実用に耐えないことがある。
上記ウレタンポリマーに対し、水酸基含有アクリルモノマーを添加してもよい。水酸基含有アクリルモノマーを添加することにより、ウレタンプレポリマーの分子末端に(メタ)アクリロイル基を導入することができ、(メタ)アクリル系モノマーとの共重合性が付与され、ウレタン成分とアクリル成分との相溶性が高まり、破断強度などのS−S特性の向上を図ることもできる。ここで使用される水酸基含有アクリルモノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート等が用いられる。水酸基含有アクリルモノマーの使用量は、ウレタンポリマー100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、更に好ましくは1〜5重量部である。
複合フィルムには、必要に応じて、通常使用される添加剤、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、充填剤、顔料、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、光安定剤などを本発明の効果を阻害しない範囲内で添加することができる。これらの添加剤は、その種類に応じて通常の量で用いられる。これらの添加剤は、ジイソシアネートとジオールとの重合反応前に、あらかじめ加えておいてもよいし、ウレタンポリマーとアクリル系モノマーとをそれぞれ重合させる前に添加してもよい。
本発明に用いられる紫外線吸収剤(UVA)としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN PS」)、ベンゼンプロパン酸と3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ(C〜Cの側鎖および直鎖アルキル)とのエステル化合物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 384−2」)、オクチル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートとの混合物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 109」)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 900」)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 928」)、メチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物(例えば、チバ・ジャパン社製のTINUVIN 1130」)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN P」)、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール(例えば、チバ・ジャパン社製のTINUVIN 326」)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール(例えば、チバ・ジャパン社製のTINUVIN 328」)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(例えば、チバ・ジャパン社製のTINUVIN 329」)、2−2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](例えば、チバ・ジャパン社製のTINUVIN 360」)、メチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコール300との反応生成物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 213」)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 571」)、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(例えば、住友化学社製の「Sumisorb 250」)、2,2’−メチレンビス[6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール](例えば、ADEKA製の「ADKSTAB LA31」)等が挙げられる。
また、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルと[(C10〜C16、主としてC12〜C13のアルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 400」)、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルとの反応生成物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 405」)、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 460」)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 1577」)、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 479」)等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、例えば、チバ・ジャパン社製の「CHIMASSORB 81」等が挙げられる。また、ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 120」)等が挙げられる。
本発明においては、上記紫外線吸収剤を単独で、あるいは、2種類以上を併用して用いることができる。
紫外線吸収剤の総使用量は、フィルム前駆体100重量%に対して、0.1重量%以上、4.0重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上、2.0重量%以下であることが更に好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.1重量%以上であれば、劣化や着色を引き起こす紫外光の吸収が十分であり、4.0重量%以下であれば、紫外線吸収剤自体による着色を引き起こすことはない。
本発明に用いられる光安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)であることが好ましい。本発明に用いられるヒンダードアミン光安定剤としては、例えば、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 622」)、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物とN,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンとの1対1の反応生成物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 119」)、ジブチルアミン・1,3−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 2020」)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]ヘキサメチレン{(2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ})(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 944」)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートとの混合物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 765」)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 770」)、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル(1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシド)とオクタンとの反応生成物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 123」)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 144」)、シクロヘキサンと過酸化N−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの反応生成物と2−アミノエタノールとの反応生成物(例えば、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 152」)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートとの混合物(例えば、チバ・ジャパン社製「TINUVIN 292」)等が挙げられる。
本発明においては、塗工の粘度調整のため少量の溶剤を加えてもよい。溶剤としては、通常使用される溶剤の中から適宜選択することができるが、例えば、酢酸エチル、トルエン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
本発明において複合フィルムは、例えば、アクリル系モノマーを希釈剤として、このアクリル系モノマー中でジオールとジイソシアネートとの反応を行ってウレタンポリマーを形成し、アクリル系モノマーとウレタンポリマーとを主成分として含む混合物を支持体(必要に応じて剥離処理されている)等の上に塗布し、光重合開始剤の種類等に応じて、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線や紫外線等の放射線、可視光等を照射して硬化させ、その後、支持体等を剥離除去することにより、複合フィルムを形成することができる。あるいは、支持体等を剥離除去せずに、支持体等の上に複合フィルムが積層された形態で得ることもできる。
具体的には、ジオールをアクリル系モノマーに溶解させた後、ジイソシアネート等を添加してジオールと反応させて粘度調整を行い、これを支持体等に、あるいは、必要に応じて支持体等の剥離処理面に塗工した後、低圧水銀ランプ等を用いて硬化させることにより、複合フィルムを得ることができる。この方法では、アクリル系モノマーをウレタン合成中に一度に添加してもよいし、何回かに分割して添加してもよい。また、ジイソシアネートをアクリル系モノマーに溶解させた後、ジオールを反応させてもよい。この方法によれば、分子量が限定されるということはなく、高分子量のポリウレタンを生成することもできるので、最終的に得られるウレタンの分子量を任意の大きさに設計することができる。
この際、酸素による重合阻害を避けるために、基板シート等の上に塗布した混合物の上に、剥離処理したシート(セパレータ等)をのせて酸素を遮断してもよいし、不活性ガスを充填した容器内に基材を入れて、酸素濃度を下げてもよい。
本発明において、放射線等の種類や照射に使用されるランプの種類等は適宜選択することができ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト、殺菌ランプ等の低圧ランプや、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等の高圧ランプ等を用いることができる。
紫外線などの照射量は、要求されるフィルムの特性に応じて、任意に設定することができる。一般的には、紫外線の照射量は、100〜5,000mJ/cm、好ましくは1,000〜4,000mJ/cm、更に好ましくは2,000〜3,000mJ/cmである。紫外線の照射量が100mJ/cmより少ないと、十分な重合率が得られないことがあり、5,000mJ/cmより多いと、劣化の原因となることがある。
また、紫外線等を照射する際の温度については特に限定があるわけではなく任意に設定することができるが、温度が高すぎると重合熱による停止反応が起こり易くなり、特性低下の原因となりやすいので、通常は70℃以下であり、好ましくは50℃以下であり、更に好ましくは30℃以下である。
ウレタンポリマーとアクリル系モノマーとを主成分とする混合物には、光重合開始剤が含まれる。光重合開始剤としては、特に制限なく使用することができるが、例えば、ケタール系光重合開始剤、α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤、α−アミノケトン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、ベゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤等を用いることができる。
ケタール系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商業的に入手可能なものとしては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「イルガキュア651」等)等が挙げられる。
α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商業的に入手可能なものとしては、チバ・ジャパン社製の「イルガキュア184」等)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商業的に入手可能なものとしては、チバ・ジャパン社製の「ダロキュア1173」等)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商業的に入手可能なものとしては、チバ・ジャパン社製の「イルガキュア2959」等)等が挙げられる。
α−アミノケトン系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商業的に入手可能なものとしては、チバ・ジャパン社製の「イルガキュア907」等)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商業的に入手可能なものとしては、チバ・ジャパン社製の「イルガキュア369」等)等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(商業的に入手可能なものとしては、BASF社製の「ルシリンTPO」等)等が挙げられる。
ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノン等が挙げられる。
芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライド等が挙げられ、光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシム等が挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン等が挙げられ、ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が挙げられる。
本発明の多層粘着シートを構成する表面保護層の厚みは、2〜50μmであることが好ましく、より好ましくは5〜40μmであり、更に好ましくは8〜30μmである。表面保護層の厚みが2μm未満では、ピンホールなど、表面保護層が形成されない欠陥部位が発生しやすく、また表面保護層の特性が充分に発揮できない場合がある。また50μmを超えると、表面保護層の物性が基材層の物性を低下させてしまう場合がある。
本発明の多層粘着シートを構成する基材層の厚みは、目的等に応じて、例えば被覆保護する対象物の種類や箇所等に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、100μm以上であることが好ましく、140μm以上であることが更に好ましい。また、厚みの上限値は1mm程度であることが好ましい。基材層の厚みは、例えば、自動車のボディーを保護するために用いられるチッピング用途の場合には、50〜800μm程度であることが好ましく、更に好ましくは100〜600μm程度であることが好ましい。また、航空機用途の場合には、50〜1,000μm程度、更に好ましくは200〜800μm程度である。また、自動二輪用途の場合には、好ましくは50〜800μm程度、更に好ましくは100〜600μm程度である。
本発明においては、例えば、水系ウレタンポリマー又は溶剤系ウレタンポリマーからなる表面保護層用塗布液を用いて表面保護層を形成することができる。例えば、基材層の上に表面保護層用塗布液を塗布し、乾燥、硬化させて表面保護層を形成することにより、積層体(多層シート)を得ることができる。
あるいは、例えば、表面保護層用塗布液を剥離処理されたPETフィルムの上に塗布し、乾燥させて表面保護層を形成する。この表面保護層の上に、アクリル系モノマーおよびウレタンポリマーを含有する複合フィルム用塗布液を塗布し、紫外線等を照射して硬化させることにより、積層体(多層シート)を得ることができる。
本発明において多層シートは、本発明の効果を損なわない範囲内で、基材層に他のフィルムを積層することができる。他のフィルムを形成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等のような熱可塑性樹脂のほか、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
本発明の多層粘着シートは、基材層の一方の面に最表面層として表面保護層を有し、他方の面に粘着剤層を有する構成であることが好ましい。
この粘着剤層を形成する粘着剤は、特に限定されず、アクリル系、ゴム系、シリコン系等、一般的なものを使用することができるが、低温での接着性や高温での保持性、コスト面等を考慮するとアクリル系の粘着剤が好ましい。
アクリル系粘着剤としては、アクリル酸エステルを主体とするモノマー成分に、カルボキシル基やヒドロキシル基等の官能基を有するモノマー成分を共重合したアクリル系共重合体(2種類以上であっても良い)を含むアクリル系粘着剤を用いることができる。
アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのアルキル(メタ)アクリレートは1種または2種以上を用いることができる。
上記アルキル(メタ)アクリレートに下記モノマー成分を共重合することができる。共重合可能なモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を含有するモノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシへキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有モノマー;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアノアクリレート系モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−モルホリノン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−1,3−オキサジン−2−オン、N−ビニル−3,5−モルホリンジオン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−アクリロイルピロリジン、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素モノマー、スチレンやスチレンの誘導体、酢酸ビニル等のモノマー等が挙げられる。これらのモノマーを必要に応じて、1種又は2種以上を、(メタ)アクリル酸エステルに共重合させて使用することができる。
本発明に用いられる粘着剤は、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびアクリル酸イソノニルからなる群から選ばれる少なくとも1種類と、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類のカルボキシル基含有モノマーとを含むことが好ましい。すなわち、本発明に用いられる粘着剤は、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル等を主モノマーとし、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマーを共重合した共重合体を使用することができる。
粘着剤層の厚みについては、特に限定があるわけではなく任意に設定することができるが、通常は20μm以上であることが好ましく、更に好ましくは30μm以上、特に好ましくは40μm以上である。但し、上限値は通常100μm程度であることが好ましい。
本発明において、粘着剤層は、例えば、基材層に、溶剤系、エマルジョン系の粘着剤を直接塗布し、乾燥する方法、これらの粘着剤を剥離紙に塗布し、予め粘着剤層を形成しておき、この粘着剤層を基材層等に貼り合わせる方法等を適用することができる。放射線硬化型粘着剤を基材層に塗布し、粘着剤層と、フィルムの両方に放射線を照射することにより、基材層と粘着剤層を同時に硬化させて、形成する方法も適用することができる。
本発明において、多層粘着シートの静摩擦係数は、JISK7125に準じて最表面層の静摩擦係数を測定することにより求める。すなわち、所定サイズの多層粘着シートを標準試験板の上に固定し、多層粘着シートの上に滑り片を載せ、法線力(均一な圧力分布)をかけつつ滑り片を引っ張り、最大荷重を測定し、下記算出式を用いて静摩擦係数を求める。
μ=Fs/Fp
(μ:静摩擦係数、Fs:静摩擦力(N)、Fp:法線力)
本発明の多層粘着シートは、多層粘着シートの0%を越えて10%伸長状態までにおける最大応力値は0.5〜4.0MPaであることが必要であり、好ましくは1.0MPa以上、3.0MPa以下であり、特に好ましくは1.5MPa以上、2.0MPa以下である。多層粘着シートの0%を越えて、10%伸長状態までにおける最大応力値が0.5〜4.0MPaであれば、良好な曲面追従性を達成できる。また、この最大応力値が低すぎると(例えば、0.5MPa未満)、大面積の被着物へ貼付する際のハンドリング性(テープの扱い易さ)が低下する。
ここで最大応力値とは、多層粘着シート(幅10mm、長さ160mm)を引張速度200mm/min、チャック間距離100mm、23℃で引張試験を行い、応力−歪み曲線を求め、多層粘着シートの1%〜10%伸長状態までの単位面積当たりの応力の最大値(最大応力値)を言う。
本発明の多層粘着シートは、被着体の塗装面の色等をそのまま外観に反映させるためには透明であることが要求されるが、顔料等を使用して塗装面の色と同じ色で着色したり、別の色に着色したりして、塗装代替粘着シートとして使用してもよい。
本発明の多層粘着シートは、粘着シートの貼り付け作業を向上させるために、例えば貼付位置決め等のために、アプリケーションシートを使用することができる。
本発明の多層粘着シートは、曲面に対する追従性に優れており、三次元曲面が厳しい被着物に対しても好適に使用することができる。また、本発明の多層粘着シートは、耐溶剤性に優れており、例えば、屋外の天候、溶剤、ほこり、油脂および海洋環境などに関する有害環境にさらされる被着物の表面保護および装飾用のフィルムとして使用することができる。また、輸送機械、例えば、自動二輪、自転車、鉄道車両、船舶、スノーモービル、ゴンドラ、リフト、エスカレーター、自動車、航空機等、特に自動車、航空機、自動二輪等のボディー塗装面を保護するための保護用の多層粘着シート、ボディープロテクションフィルム等としても好適である。
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりがない限り、部は重量部を意味し、%は重量%を意味する。また、以下の実施例において使用された測定方法および評価方法を下記に示す。
(測定方法および評価方法)
(1)最大応力値の測定
多層粘着シートを、幅10mm×長さ160mmに切断し、引張速度200mm/min、チャック間距離100mm、23℃で引張試験を実施し、応力−歪み曲線を求めた。多層粘着シートの0%〜10%伸長時における単位面積当たりの応力の最大値(最大応力値)を求めた。
(2)静摩擦係数の測定
多層粘着シートを、幅80mm×長さ100mmのサイズに切断し、この多層粘着シートを標準試験板(JISG3141:日本テストパネル株式会社製)の上に貼着し、この粘着シートの上に滑り片を載せ、JISK7125に準じて最表面層(ex. 表面保護層)の静摩擦係数を測定した。なお、滑り片の接触面積は63mm×63mm、滑り片の全質量を200g(1.96N)とし、滑り片の粘着シート表面との接触面にはスキージークロスを貼り付け、滑り速度100mm/minの条件で滑り片を引っ張って測定を行った。静摩擦係数は、JISK7125に準ずる下記算出式を用いて求めた。
μ=Fs/Fp
(μ:静摩擦係数、Fs:静摩擦力(N)、Fp:滑り片の質量によって生じる法線力(=9.8N/kg×0.2kg))
図1の(a)および(b)は、静摩擦係数の測定方法を説明するための概略図である。図1の(a)に示すように、試料1(ex. 多層粘着シート)の測定面が上を向くように、試料1を相手材2に固定し、すなわち、例えば多層粘着シートの粘着剤層を相手材2(ex. 標準試験板)の上に貼着して固定し、試料1の測定面の上に滑り片(接触面積63mm×63mm)を配置し、滑り片を試験速度100mm/minで引っ張る。法線力は滑り片によって生じさせるので、均一な圧力分布をかけるために、滑り片の底面を弾力性のある材料(フェルト等)で覆う。なお、試料1は直接相手材2に固定してもよいが、支持体等の補助板に取り付けて固定してもよい。また、滑り片はスプリングを介してロードセルに接続しても良い。図1の(b)に示すように、力は直線的に増加して摩擦を与え、最大荷重に達する。このピークが静摩擦力(Fs)を表す。静摩擦係数は、上記算出式(μ=Fs/Fp)から求められる。
(3)耐溶剤性の評価
得られた多層粘着シート(幅30mm、長さ50mm)を、黒パネル(KINO−1210TW:関西ペイント株式会社製)に貼り付け、エタノールを含浸させたウエスで多層粘着シート表面を20往復擦り、その後、多層粘着シートを二段階で評価した。なお、評価は、下記に示す評価基準に基づいて行った。

(評価基準)
○ 多層粘着シートの白濁(溶解)が確認されない。
× 多層粘着シートの白濁(溶解)が確認される。
(4)ゲル分率の測定
得られた表面保護層(幅100mm、長さ100mm)を#100 SUSメッシュで包み、DMFに3日間浸漬した。その後、表面保護層を包んだSUSメッシュを130℃で1時間乾燥させ、SUSメッシュの重量を測定した。表面保護層のゲル分率を下記式に基づいて算出した。
(算出式)
ゲル分率(%)={(浸漬・乾燥後の表面保護層の重量)/(浸漬・乾燥前の表面保護層の重量)}×100
(5)貼付作業性の評価
三次元曲面部位(大きさ:縦300mm×横210mm、曲率:最大凸部曲率(R=43.3)、最大凹部曲率(R=34.6)からなる断面曲線(図2参照)を含む曲面を有する部位)に対し、多層粘着シートを貼り付けるという貼付作業を行って貼付作業性の評価を行った。すなわち、「表面滑り性」および「曲面追従性」のそれぞれについて、点数(1〜4点)で評価し、両者の合計点数を求めた。但し、試験に参加した貼付作業者は3名である。また、「表面滑り性」および「曲面追従性」の点数付けの基準は、非常に良いレベルを4点、問題ないレベルを3点、少し改善が必要なレベルを2点、改善が必要なレベルを1点とし、作業者3名の平均値で示した。
貼付作業性の合計点数から、下記評価基準に基づいて貼付作業性の評価を行った。なお、ここでいう貼付作業性の合計点数とは、曲面追従性の点数+表面滑り性の点数を意味する。

(評価基準):
「優」 貼付作業性の合計点数が5点以上
「良」 貼付作業性の合計点数が4.5点より大きく、5点未満
「劣」 貼付作業性の合計点数が4.5点以下
上記評価基準において「良」と示された場合には、曲面追従性が悪いと、スキージで強く押し付ける作業や、何度もスキージで擦る作業が多くなり、作業効率がやや低下する。また、曲面追従性が悪いと、引っ張る作業や、繰り返し作業、すなわち、一度貼った箇所を剥がして再度貼付する作業が多くなり、作業効率がやや低下する。また、滑り性が悪いと、貼り付ける際にスキージのスジや傷が入り易く、慎重に作業する必要があるため、作業効率が低下する。
上記評価基準が「劣」と示された場合には、表面滑り性が悪いと、スキージがスムーズに滑らず、残った気泡や水泡を抜く作業が困難となる。また、表面滑り性が悪いと、貼りつける際にスキージが食い込んでしまい、スジや傷が入り易く不具合が生じやすくなる。また、曲面追従性が悪いと、気泡や水泡が残りやすく、不具合が生じ易くなる。また、曲面追従性が悪いと、材料余り(曲面になじまない部分)が多くなる。
(実施例1)
《表面保護層用塗布液の作製》
表面保護層用塗布液として、水系ウレタンポリマー(第一工業薬品株式会社製のカーボネート系ポリウレタンエマルジョン(主剤)、商品名「F−2954D−5」)を55.88部、水系ウレタンポリマー(第一工業薬品株式会社製のカーボネート系ポリウレタンエマルジョン(主剤)、商品名「スーパーフレックス460」)を44.12部、オキサゾリン系架橋剤として商品名「エポクロスWS−700」(日本触媒株式会社製)を5.81部、レベリング剤として、ポリエーテル系変性シロキサン(商品名「BYK−349」、ビックケミー−ジャパン株式会社製)を0.1部とパーフルオロアルケニルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名「フタージェント100」(1%希釈溶媒)、株式会社ネオス製)を1.00部、増粘剤として商品名「レオレート216」(エレメンティスジャパン株式会社製)を1.00部、水分散型光安定剤として商品名「UC−606」(株式会社ADEKA製)を0.80部、および、水分散型ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として商品名「UC−3140」(株式会社ADEKA製)を0.20部の割合で混合した。次いで、ディスパーを用いて回転速度2000rpmで10分間攪拌した後、脱泡装置(2000rpm、10min)を用いて脱泡し、表面保護層用塗布液を作製した。なお、この塗布液を用いてなる表面保護層の0%〜100%伸長状態までにおける最大応力値は6.45MPa(計算値)であり、表1に記載した。
《表面保護層の形成》
基材層として、厚み140μmのアジペート・エステル系熱可塑性ポリウレタンフィルム(日本マタイ株式会社製、硬度86A)を使用した。このアジペート系熱可塑性ポリウレタンフィルム(アジペート系TPUフィルム」の上に、作製した表面保護層用塗布液を硬化後の厚みが10μmとなるように塗布し、温度140℃で3分間、乾燥および硬化させて、基材層の一方の面に表面保護層を形成した。
《粘着剤層の作製》
モノマー成分として、2−エチルヘキシルアクリレート94部およびアクリル酸6部を混合した混合物に、光重合開始剤として、商品名「イルガキュア 651」(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を0.07部と、商品名「イルガキュア 184」(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を0.07部とを配合した後、粘度が約15Pa・s(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)になるまで紫外線を照射して、一部が重合したアクリル組成物(UVシロップ)を作製した。
得られたUVシロップの100部に対して、ヘキサンジオールジアクリレートを0.3部添加して粘着剤組成物を作製した。
この粘着剤組成物を、剥離ライナーとして厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の剥離処理面に、最終製品としての厚みが50μmになるように塗布した。
この上に、セパレータとして剥離処理したPETフィルムを重ねて被覆し、次いで、PETフィルム面にメタルハライドランプを用いて紫外線(照度290mW/cm、光量4,600mJ/cm)を照射して硬化させて、剥離ライナーの上に粘着剤層を形成した。その後、140℃で3分間乾燥させて、未反応の残存アクリル系モノマーを乾燥させ、粘着剤層を作製した。
《粘着シートの作製》
セパレータを除去し、得られた多層シートの表面保護層側の面とは反対側の面(すなわち基材層面)に、ハンドローラーを用いて粘着剤層が重なるように貼り合わせて厚みが200μmの多層粘着シート(表面保護層/基材層/粘着剤層)を作製した。なお、この多層粘着シートには、粘着剤層の上に剥離ライナーが設けられている。
《測定および評価》
得られた多層粘着シートについて、上記に示す評価方法に従い、0%を越えて10%伸長状態までにおける最大応力値を求め、また、耐溶剤性の評価を行い、貼付作業性の評価を行った。さらにまた、得られた表面保護層について静摩擦係数およびゲル分率を測定した。その結果を表2に示す。
(実施例2)
表面保護層用塗布液の配合量を表1に示すように、商品名「F−2954D−5」を45.78部、商品名「スーパーフレックス460」を54.22部、商品名「エポクロスWS−700」を5.81部、商品名「BKY−349」を0.1部、商品名「フタージェント100(1%希釈溶媒)」を1.00部、商品名「レオレート216」を1.00部、商品名「UC−606」を0.80部、商品名「UC−3140」を0.20部の混合割合に変更した以外は実施例1と同様にして、基材層の一方の面に表面保護層を有し、他方の面に粘着剤層を有する、多層粘着シートを作製した。得られた多層粘着シートおよび表面保護層について、実施例1と同様にして、上記に示す評価方法に従い、静摩擦係数の測定、最大応力値の測定、ゲル分率の測定、耐溶剤性の評価、貼付作業性の評価を行った。その結果を表2に示す。
(比較例1)
表面保護層用塗布液の配合量を表1に示すように、商品名「F−2954D−5」を55.88部、商品名「スーパーフレックス460」を44.12部、商品名「BKY−349」を0.1部、商品名「フタージェント100(1%希釈溶媒)」を1.00部、商品名「レオレート216」を1.00部、商品名「UC−606」を0.80部、商品名「UC−3140」を0.20部の混合割合に変更した以外は実施例1と同様にして、基材層の一方の面に表面保護層を有し、他方の面に粘着剤層を有する、多層粘着シートを作製した。得られた多層粘着シートおよび表面保護層について、実施例1と同様にして、上記に示す評価方法に従い、静摩擦係数の測定、最大応力値の測定、ゲル分率の測定、耐溶剤性の評価、貼付作業性の評価を行った。その結果を表2に示す。
(比較例2)
表面保護層用塗布液の配合量を表1に示すように、商品名「F−2954D−5」を45.78部、商品名「スーパーフレックス460」を54.22部、商品名「BKY−349」を0.1部、商品名「フタージェント100(1%希釈溶媒)」を1.00部、商品名「レオレート216」を1.00部、商品名「UC−606」を0.80部、商品名「UC−3140」を0.20部の混合割合に変更した以外は実施例1と同様にして、基材層の一方の面に表面保護層を有し、他方の面に粘着剤層を有する、多層粘着シートを作製した。得られた多層粘着シートおよび表面保護層について、実施例1と同様にして、上記に示す評価方法に従い、静摩擦係数の測定、最大応力値の測定、ゲル分率の測定、耐溶剤性の評価、貼付作業性の評価を行った。その結果を表2に示す。
(比較例3)
表面保護層用塗布液の種類を表2に示すようにフッ素系塗布液に変更した以外は実施例1と同様にして、多層粘着シートを作製した。すなわち、フルオロエチレンビニルエーテルのキシレンおよびトルエンによる50%濃度溶解液(旭硝子株式会社製の商品名「ルミフロンLF600」を100.00部と、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製の商品名「コロネートHX」)を9.49部と、触媒としてジブチル錫ラウリン酸(東京ファインケミカル株式会社製の商品名「OL1」)のキシレン希釈液(固形分濃度が0.1%)を0.35部と、希釈溶媒としてトルエン76.41部の割合で混合してフッ素系塗布液を作製した。このフッ素系塗布液を使用して、実施例1と同様にして基材層の一方の面にフッ素系表面保護層を形成し、他方の面に粘着剤層を形成して、多層粘着シートを作製した。得られた多層粘着シートおよび表面保護層について、実施例1と同様にして、上記に示す評価方法に従い、静摩擦係数の測定、最大応力値の測定、ゲル分率の測定、耐溶剤性の評価、貼付作業性の評価を行った。その結果を表2に示す。
(比較例4)
表面保護層を設けなかった以外は実施例1と同様にして、基材層の一方の面に粘着剤層を有する粘着シートを作製した。得られた多層粘着シートについて、実施例1と同様にして、上記に示す評価方法に従い、静摩擦係数の測定、最大応力値の測定、耐溶剤性の評価、貼付作業性の評価を行った。その結果を表2に示す。
(比較例5)
基材層をカプロラクトン系ポリウレタン(日本マタイ株式会社製)に変更し、また表面保護層を設けなかった以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製し、また、実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2021073114
(表1及び表2の注)
F−2954D−5: カーボネート系ポリウレタンエマルジョン(主剤)(第一工業製薬株式会社製)
スーパーフレックス460: カーボネート系ポリウレタンエマルジョン(主剤)(第一工業製薬株式会社製)
エポクロスWS−700: オキサゾリン系架橋剤(株式会社日本触媒製)
BYK−349: レベリング剤、ポリエーテル系変性シロキサン(ビックケミー−ジャパン株式会社製)
フタージェント100: レベリング剤、パーフルオロアルケニルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオス株式会社製)
レオレート216: 増粘剤(エレメンティスジャパン株式会社製)
UC−606: 水分散型光安定剤(株式会社ADEKA製)
UC−3140: 水分散型光安定剤(株式会社ADEKA製)
LF600: フルオロエチレンビニルエーテル交互共重合体(旭硝子株式会社製)
「コロネートHX」: イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製)
Figure 2021073114
表1および表2から明らかなように、本発明の実施例1〜2の多層粘着シートは、架橋剤を添加していない比較例1および比較例2の粘着シートと比べて、耐溶剤性に優れていることが分かった。これは、架橋剤の添加により耐溶剤性が向上することによるものと考えられる。本発明のかかる効果を実現するためには、表面保護層が架橋剤を含有することが必要であり、例えば、架橋剤を、表面保護層のベース樹脂100重量部に対し、5重量部以上、12重量部以下含有することが好ましく、更に好ましくは5重量部以上、11重量部以下含有することであり、特に好ましくは、5重量部以上、9重量部以下含有することである。
また、実施例1〜2の多層粘着シートは、フッ素系の表面保護層を有する比較例3の多層粘着シートと比べて、0%〜10%伸長状態までにおける最大応力値が小さくなり、柔軟性に優れていることが分かった。
さらにまた、実施例1〜2の多層粘着シートは、表面保護層を設けなかった比較例4と比べて、静摩擦係数が小さく、滑り性に優れていることが分かった。
すなわち、実施例1〜2の多層粘着シートは、表面保護層を設けずに基材層および粘着剤層のみからなる粘着シートの比較例4と同様の柔軟性を保持し、かつ、耐溶剤性および滑り性に優れているものであることが分かった。
したがって、本発明により、柔軟性、滑り性、耐溶剤性の全てにおいて優れた多層粘着シートを実現することができた。
本発明の多層粘着シートは、曲面等への柔軟性が要求される多層粘着シートとして好適に使用することができ、特に、厳しい三次元曲面を有する被着体に対しても好適に使用することができる。例えば、屋外の天候、溶剤、ほこり、油脂および海洋環境などを含む有害環境にさらされる塗膜表面を保護するための粘着シートあるいは装飾用の粘着シートとして使用することができる。また、自動車のボディー等の塗膜を保護するためのチッピングテープ、ボディープロテクションフィルム用の粘着シートや多層シートとしても好適である。

Claims (6)

  1. 表面保護層と基材層と粘着剤層とを含み、前記基材層が前記表面保護層と前記粘着剤層との間に位置する多層構造を有し、被着体の表面を保護するために使用される粘着シートであって、
    前記表面保護層の厚みが、2〜50μmであり、
    前記基材層の厚みが、50〜600μmであり、
    前記粘着剤層の厚みが、20〜100μmであり、
    前記表面保護層が、エステル系のウレタンポリマー、エーテル系のウレタンポリマー、及びエステル/アクリル系のウレタンポリマーからなる群より選択される少なくとも1種類のウレタン系ポリマーを主成分として含み、かつ、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)不溶分を含有する層であり、
    前記基材層が、1種類のポリオールと1種類のポリイソシアネートを反応させて得られるポリウレタン成分のみからなる重合体を含む層であり、
    前記粘着シートとして、0%を越えて10%伸張状態までにおける最大応力値が、0.5MPa以上、4.0MPa以下の範囲内であることを特徴とする、粘着シート。
  2. 前記最大応力値が、0.5MPa以上、3.0MPa以下の範囲内である、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、及びシリコン系粘着剤からなる群より選択される少なくとも1種類の粘着剤を主成分として含む層である、請求項1または2に記載の粘着シート。
  4. 前記ポリウレタン成分のみからなる重合体を構成するポリウレタンが、アジペート・エステル系熱可塑性ポリウレタン、ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン、及びポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンからなる群より選択される少なくとも1種類である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着シート。
  5. 前記表面保護層における前記ウレタン系ポリマーが、水系ウレタンポリマーまたは溶剤系ウレタンポリマーである、請求項1〜4に記載の粘着シート。
  6. 前記表面保護層が、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)不溶分を50重量%以上含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着シート。
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