JPH1142746A - ソフトコートが施されたアクリル系樹脂成形体 - Google Patents

ソフトコートが施されたアクリル系樹脂成形体

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JPH1142746A
JPH1142746A JP9202706A JP20270697A JPH1142746A JP H1142746 A JPH1142746 A JP H1142746A JP 9202706 A JP9202706 A JP 9202706A JP 20270697 A JP20270697 A JP 20270697A JP H1142746 A JPH1142746 A JP H1142746A
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acrylic resin
acrylic
diisocyanate
polyol
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JP9202706A
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Yoichi Yokota
洋一 横田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 砂塵等の接触・衝撃に対する耐擦傷性、透明
性、密着性、耐候性、可とう性に優れた被膜を表面に有
するアクリル系樹脂成形体。 【解決手段】 特定の分子量のポリカプロラクトンポリ
オールと脂肪族または脂環族ジイソシアネートよりなる
プレポリマーと、特定のアクリルポリオールから成る二
液型ポリウレタン塗料を用いることにより、アクリル系
樹脂成形体の表面に伸展性、透明性、密着性、耐候性を
有する被膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐擦傷性に優れた
アクリル系樹脂成形体に関する。さらに詳しくは、伸展
性を有し、透明性、耐擦傷性、可とう性、耐候性、密着
性に優れた被膜が表面に形成されたアクリル系樹脂成形
体に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル系樹脂は、透明性、表面光沢、
耐候性などに優れ、ヘッドランプ,テールランプ,グレ
ージング等の車輌外装品、自動販売機の前面板、屋外看
板、店装ディスプレイ、装飾用のケース・カバー、鏡な
ど多くの分野でその用途開発が進められている。
【0003】しかし、アクリル系樹脂成形体はその表面
の耐擦傷性が不足しているため砂塵等の接触・衝撃によ
って表面が損傷を受け美観,機能が損なわれ、その商品
価値を著しく低下させたり、短期間で使用不能となるた
め表面の耐擦傷性を改良することが強く要求されてい
る。アクリル系樹脂成形体の表面に耐擦傷性を付与する
方法が従来より種々検討されてきた。即ち、 1.SiO2 などの無機物を真空蒸着等により被覆する
方法。 2.アルコキシシラン化合物を主成分とする塗料を塗布
し、加熱硬化するポリオルガノシラン系ハードコート膜
を設ける方法。 3.分子中に複数のアクリロイルオキシ基あるいはメタ
クリロイルオキシ基を有する化合物を主成分とする塗料
を塗布し、紫外線等の活性エネルギー線により硬化する
アクリル系ハードコート膜を設ける方法。
【0004】1.については、特開昭58−20403
1号公報に提案されているが、高硬度である反面、アク
リル系樹脂基材との密着性に大きな問題がある。2.に
関するものとしては、特開昭48−26822号公報、
同59−64671号公報に提案されている。しかしこ
の方法は架橋硬化被膜を形成させるのに高温で長時間加
熱する必要があり、特に、アクリル系樹脂のように耐熱
性が低い基材では、加熱硬化に2〜4時間を要するのが
現状である。そのために生産性が非常に悪く、製造コス
トが高く、工業的に不利である。
【0005】そこで、生産コストを低減化するため、硬
化触媒の添加量を増量したり、過塩素酸アンモニウムや
過塩素酸マグネシウムのようにかなり硬化性の高い触媒
を添加して硬化時間を短縮させるという提案が特公昭6
2−9265号公報、特開昭60−46502号公報に
記載されているが、これらの改善効果は十分とは言え
ず、しかもコーティング液のポットライフが短くなって
しまうという問題点を有している。
【0006】3.に関しては、特開昭53−10293
6号公報、同53−104638号公報、同54−97
633号公報に記載されている。この方法は、硬化液も
比較的安価で生産性にも優れているが、1,2の方法に
比べ該被覆成形体の耐擦傷性には限界があり、耐候性に
問題があるのが現状である。最近、上記2,3の欠点を
補うものとして、分子中に(メタ)アクリロイルオキシ
基を有するシロキサンを主成分とする紫外線硬化型ハー
ドコーティング技術が特開平7−207190号公報に
記載されており、硬化時間を短縮し生産性を著しく向上
させることができるが、耐擦傷性,耐候性に問題が残
る。
【0007】また、上記1,2,3により形成される硬
化被膜は可とう性がないため、該被覆アクリル系樹脂成
形体に真空成形等により折り曲げ加工等を施した場合、
硬化被膜にクラックを生じ剥離するという問題点を有す
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、透明性、主
として砂塵等の接触・衝撃に対する耐擦傷性、アクリル
系樹脂基材に対する密着性、耐候性、かつ可とう性を合
わせ持った塗膜によって被覆されたアクリル系樹脂成形
体を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、次のような
重要な発見に到達し、本発明を完成するに至った。即
ち、 1)従来の熱硬化型シリコンハードコート,活性エネル
ギー線硬化型アクリルハードコートのように塗膜自身が
硬いものと比較して、伸展性を有する塗膜を形成するこ
とにより砂塵等の接触・衝撃を受けてもその弾性回復力
によって、むしろその耐擦傷性において優れているこ
と。 2)伸度の大きい塗膜となるため可とう性があり、塗装
後曲げ加工等が可能であること。 の2つである。
【0010】即ち、本発明は、末端NCO基を有するプ
レポリマーとアクリルポリオールからなる二液型ポリウ
レタン塗料により、表面に伸展性を有する塗膜が形成さ
れたアクリル系樹脂成形体、に関するものである。以
下、本発明を更に詳しく説明する。本発明に用いられる
二液型ポリウレタン塗料を、特定の分子量のポリカプロ
ラクトンポリオールと脂肪族または脂環族ジイソシアネ
ートよりなるプレポリマーと、特定のアクリルポリオー
ルを組み合わせた組成物とすることにより、伸展性を有
し耐擦傷性、透明性、耐候性、密着性、かつ可とう性に
優れた塗膜をアクリル系樹脂成形体表面に形成すること
ができる。
【0011】即ち、本発明に用いられる二液型ポリウレ
タン塗料は、下記(A),(B)成分をNCO/OH当
量比0.5〜2.0の割合で配合することを特徴とする
組成物である。 (A9脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシア
ネートと数平均分子量500〜15000のポリカプロ
ラクトンジオール及び/またはトリオールとを反応させ
た後、未反応の脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジ
イソシアネートを実質的に除去して得られる2官能及び
/又は3官能の末端NCO基を有するプレポリマー (B)ガラス転移点が30〜100℃で、かつ樹脂基準
で、10〜150mgKOH/gの水酸基価を有するアク
リルポリオール 本発明における脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジ
イソシアネートとしては、例えばテトラメチレンジイソ
シアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレン
ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロ
ンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネー
ト、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、4,
4″−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を挙
げることができる。
【0012】また、本発明でプレポリマーの原料として
用いることができるポリオールは、特定の数平均分子量
をもつポリカプロラクトンポリオールである。両末端に
水酸基を有する長鎖のポリオールとしては、従来、ポリ
エステル系ポリオール及びポリエーテル系ポリオールと
が主として使用されている。ポリエステル系ポリオール
にはエチレングリコール、1,4−ブチレングリコール
又は1,6−ヘキサングリコール等とアジピン酸から合
成されるポリエステルポリオールが一般に使用されてい
る。ポリエステルポリオールと脂肪族または脂環族ジイ
ソシアネートから合成したプレポリマー(硬化剤)とア
クリルポリオール(主剤)から塗膜を形成しても、耐水
性、耐候性に欠点を有する。またポリエーテル系ポリオ
ールとしてはエチレンオキサイドや、プロピレンオキサ
イドの重合体あるいは共重合体、さらにテトラハイドロ
フランの重合体であるポリテトラメチレングリコールが
使用される。ポリエーテル系ポリオールと脂肪族または
脂環族ジイソシアネートから合成したプレポリマーを硬
化剤として塗膜を形成しても、エーテル結合のため酸化
劣化しやすく、耐候性、耐熱性が悪いという欠点があ
る。さらにその他のポリオールとして、ポリブタジエン
系ポリオール、ひまし油系ポリオール等があるが、これ
らのポリオールと脂肪族または脂環族ジイソシアネート
から合成したプレポリマーは、アクリルポリオールとの
相溶性が悪く、また耐候性にも欠点を有する。
【0013】一方、本発明に使用するポリカプロラクト
ンポリオールは、耐水性にすぐれるのみならず、ポリエ
ーテル系ポリオールでは得られない耐候性、耐熱性に極
めてすぐれているという特徴を有する。しかしながら、
数平均分子量が500〜1500という特定の分子量範
囲のポリカプロラクトンポリオールを使用しなければ本
発明の目的は達成されない。すなわち、数平均分子量が
500以下のポリカプロラクトンポリオールを用いてプ
レポリマー化したものを硬化剤として使用したアクリル
ポリオールとの塗料は、伸展性が十分でない。また、数
平均分子量1500以上のポリカプロラクトンポリオー
ルを用いてプレポリマー化した場合は、得られたプレポ
リマーは固体ないしはワックス状であり、NCO含有量
も低く、塗料溶剤への溶解性が悪く実用性に劣る。
【0014】また、アクリルポリオールとの相溶性が低
下して塗膜の透明性、平滑性が悪くなり易い傾向があ
る。本発明における数平均分子量とは、ポリカプロラク
トンの水酸基価を測定し、式(1)により求めた値であ
る。
【0015】
【数1】
【0016】 水酸基価:JIS K−1557の6.4に準じて測定した値 N :開始剤である多価アルコールの価数 本発明に用いるポリカプロラクトンポリオールは、ε−
カプロラクトンを2価あるいは3価以上のアルコールを
開始剤として、触媒の存在下に開環重合して得ることが
できる。開始剤としては、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペ
ンチルグリコール等の2価アルコールとトリメチロール
プロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール等の3価
以上のアルコールが用いられる。低粘度のプレポリマー
を得るという面からは分岐を有する多価アルコールが好
ましい。触媒としては、テトラブチルチタネート、テト
ラプロピルチタネート、テトラエチルチタネート等の有
機チタン系化合物、オクチル酸スズ、ジブチルスズオキ
シド、ジブチルスズジラウレート、塩化第1スズ、臭化
第1スズ等のスズ系化合物が用いられる。ε−カプロラ
クトンの開環重合はN2 ガス雰囲気で、ε−カプロラク
トン、上記の開始剤を所望の分子量になるようにモル比
を設定し、更にε−カプロラクトンに対して触媒を0.
1〜100ppm添加し、150〜200℃の温度で4
〜10時間反応させることによって得られる。ポリカプ
ロラクトンポリオールとして市販されているものには、
プラクセル303、プラクセル305、プラクセル30
8、プラクセル312AL、プラクセル205、プラク
セル21AL(いずれもダイセル化学工業株式会社製、
商品名)等がある。
【0017】ポリカプロラクトンポリオールと脂肪族ジ
イソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートの反応は
下記の如くにして行われる。反応温度は、常温〜200
℃の範囲、好ましくは80℃〜140℃の範囲で行われ
る。反応温度が低い場合は反応の完結に時間がかかりす
ぎ、逆に200℃を越える反応条件では望ましくない副
反応が起こってプレポリマー粘度が上昇したり、生成す
るプレポリマーに著しい着色が生じたりして実用的でな
い。反応の際には、無溶媒でも良いし、イソシアネート
基に不活性な任意の溶媒、例えば、トルエン、キシレ
ン、酢酸エチル、酢酸ブチル等を用いても良い。また必
要であればイソシアネート基と水酸基の反応促進のため
有機スズ化合物、3級アミン化合物等の触媒を用いても
良い。
【0018】反応に際して、ジイソシアネートとポリカ
プロラクトンポリオールの当量比は重要でNCO/OH
当量比で5〜40を選ぶ必要がある。この当量比が5より
小さい場合はジイソシアネートとポリカプロラクトンポ
リオール間に逐次付加重合が起こり、高分子量体が生成
するためプレポリマーの粘度が上昇し好ましくない。さ
らにNCO/OH当量比が5より小さい条件で反応した
プレポリマーは、塗料主剤であるアクリルポリオールと
の相溶性が良くない傾向を有するのみならず塗膜の伸展
性にも好ましくない影響を与える。また、NCO/OH
当量比が40より大きいと反応液中の未反応ジイソシアネ
ートが多くなり単位容積当たりの収量が少なくなる。従
って生産性の面からNCO/OH当量比が40より大きい
ことは好ましくない。
【0019】反応が終了したならば反応混合物中の未反
応のジイソシアネートを例えば掻取式薄膜蒸発装置もし
くは溶剤抽出等を用いて回収する。この未反応のジイソ
シアネートの回収はできるだけ完全に行い、プレポリマ
ー中に含まれる未反応ジイソシアネートの量はプレポリ
マーに対して0.7重量%以下にすることが望ましい。
これ以上のジイソシアネートを含有した場合は、プレポ
リマー中に含まれるジイソシアネートモノマーの蒸気に
起因する毒性、刺激性等が問題となるからである。
【0020】本発明に用いられるポリウレタン塗料の成
分であるアクリルポリオールは、従来、ポリイソシアネ
ート硬化剤型アクリルウレタン塗料に用いられていたも
のをそのまま転用することができる。すなわち、加熱装
置、攪拌機、モノマー注入装置などを備えたアクリル重
合体製造装置を用いて、適当な溶媒の存在下に溶液重合
法で製造される。
【0021】上記アクリルポリオールの製造に用いられ
る不飽和単量体の代表例を示せば次のとおりである。 1.水酸基含有アクリル系モノマー:2−ヒドロキシエ
チルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプ
ロピルアクリレートなど。 2.ラジカル重合性不飽和モノマー (a) アクリル酸又はメタクリル酸のエステル:例えば、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロ
ピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラ
ウリル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリ
ル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラ
ウリル、メタクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸又
はメタクリル酸のC1~18アルキル又はシクロアルキルエ
ステル;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メト
キシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸
メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタクリ
ル酸エトキシブチル等のアクリル酸又はメタクリル酸の
アルコキシアルキルエステル;グリシジルアクリレート
又はグリシジルメタクリレートとC3~18モノカルボン酸
化合物(例えば酢酸、プロピオン酸、オレイン酸、ステ
アリン酸、ラウリン酸、p−t−ブチル安息香酸等)と
の付加物、カージュラE−10とアクリル酸等の不飽和酸
との付加物など。
【0022】(b) ビニル芳香族化合物:例えば、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロル
スチレン、ビニルピリジンなど、 (c) α,1−エチレン性不飽和カルボン酸:例えば、ア
クリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マ
レイン酸、無水マレイン酸、フマル酸など (d) グリシジル基含有ビニル系単量体:例えば、グリシ
ジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリル
グリシジルエーテルなど、 (e) アクリル酸又はメタクリル酸のアミド:例えば、ア
クリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブ
トキシメチルアクリルアミドなど、 (f) アルコキシシラン基を有するエチレン性不飽和モノ
マー:例えば、1−メタクリロキシトリメトキシシラン
など、 (g) その他:アクリロニトリル、メタクリロニトリル。
【0023】これらのラジカル重合性不飽和単量体は所
望の樹脂物性に応じて適宜選択され、それぞれ単独で用
いてもよく、或いは2種又はそれ以上組合わせて使用す
ることができる。上記の水酸基含有アクリル系モノマー
とラジカル重合性不飽和モノマーの共重合は、それ自体
公知の方法に従い、例えば溶液重合法で行うことができ
る。重合は一般に、上記2種またはそれ以上のモノマー
成分を適当な溶媒中で重合触媒の存在下に、通常40〜
170℃の反応温度において4〜10時間反応させるこ
とにより行うことができる。
【0024】また、重合触媒としては、例えばアゾ系化
合物、パーオキサイド系化合物、ジアゾ化合物、レドッ
クス系等の通常のラジカル重合用の開始剤を使用するこ
とができる。かくして得られるアクリルポリオールのガ
ラス転移点(Tg点)は、本発明の目的に適合せしめる
ため、30〜100℃の範囲とすることが望ましい。T
g点が100℃を越えるものを用いると低温特性(特に低
温時の耐衝撃性、耐屈曲性、機械強度)が良くないし、
また30℃未満のものは耐候性に問題がある。
【0025】ここでアクリルポリオールのTg点は、各
ホモポリマーのTg点(℃)より式(2)で計算したも
のである。主なホモポリマーのTg点は、POLYME
RHandbook(2nd Edition)(A
WILEY Interscience社刊)に掲載さ
れている。
【0026】
【数2】
【0027】WA ,WB ,・・・ :アクリルポリオ
ール中のモノマーA,モノマーB・・・の重量% TgA ,TgB ,・・・:モノマーA,モノマーB・・
・の各ホモポリマーのTg点(℃) Polymer HandbookにホモポリマーのT
g点が与えられていないモノマーを用いた場合のアクリ
ルポリオールのTg点は、デイラトメトリー法、示差走
査熱量計法等により実測して得られる。
【0028】本発明で用いるアクリルポリオールは、樹
脂基準で水酸基価が10〜150mgKOH/gのもので
ある。樹脂基準で水酸基価が10より低いポリオール
は、塗膜中の架橋密度が小さく耐溶剤性等に好ましくな
い影響がある。また水酸基価が150より大きいポリオ
ールを用いると塗膜の伸展性に好ましくない影響を与え
る。
【0029】なお、水酸基価はJIS K−1557の
6.4に準じて測定した値である。市販のアクリルポリ
オールとしては、アクリデイクA−801、アクリデイ
クA−802(大日本インキ化学株式会社製、商品
名)、ヒタロイド3008、ヒタロイド3083(日立
化成株式会社製、商品名)、コータツクスLH−60
1、コータツクスLH−603(東レ株式会社製、商品
名)等がある。
【0030】本発明における二液型ポリウレタン塗料
は、前記のポリウレタン塗料用プレポリマーと、同じく
前記のアクリルポリオールを配合し、両者の反応によっ
て形成される。NCO/OH(当量比)0.5〜2.0
の割合で混合して用いられる。NCO/OH(当量比)
が0.5未満の場合は耐候性や耐溶剤性の点において好
ましくない結果を与え、一方、2.0超えると乾燥性に
おいて満足しうる結果が得られない場合がある。その
際、必要に応じてトリエチルアミン、テトラ(2−エチ
ルヘキシル)チタネート、ジラウリル酸ジ−n−ブチル
スズ等の硬化促進触媒を加えることができる。
【0031】本発明のポリウレタン塗料組成物には、必
要に応じ前記成分以外に希釈溶剤として、例えば酢酸エ
チル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸セロソルブ等の
有機溶剤を加えても良い。また、本発明の塗料組成物
に、光劣化、酸化劣化防止のため、ヒンダードフェノー
ル系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系等の
安定剤を添加することもできる。ヒンダードフェノール
系安定剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス
〔3−(3,5−ジ−ターシャリブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート〕、2,2′−チオジエチ
ルビス−〔3−(3,5−ジ−ターシャリブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル
−3−83,5−ジ−ターシャリブチル−4−ヒドロキ
シフェニル9プロピオネート、1,3,5−トリス(4
−ターシャリブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチ
ル)イソシアヌル酸等、ベンゾトリアゾール系安定剤と
しては、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)
−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−
3,5−ジ−ターシャリブチルフェニル)−2H−ベン
ゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−
ターシャリアミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾー
ル等、ヒンダードアミン系安定剤としては、ビス(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバ
ケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジル9セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン等がある。これら
は、単独で用いても良いし、混合して用いても良い。特
にヒンダードアミンとヒンダードフェノールまたはヒン
ダードアミンとベンゾトリアゾールの組み合わせが好ま
しい。安定剤の添加量はプレポリマーに対して100〜
20000ppm好ましくは500〜5000ppmで
ある。
【0032】さらに、有機顔料、体質顔料、分散剤、消
泡剤、レベリング剤、揺変剤等を、必要に応じて添加し
ても良い。本発明の塗料組成物のアクリル系樹脂成形体
に対する塗布方法としては、刷毛塗り、流し塗り、スプ
レー塗布、回転塗布あるいは浸漬塗布などの方法が採用
される。それぞれの方法には一長一短があるので、使用
用途によって適宜その塗布方法も選択する必要がある。
例えば、アクリル系樹脂成形体の一部分のみに耐擦傷性
を付与したい場合には、刷毛塗り、あるいは流し塗りが
適しており、成形体の形状が複雑な場合には、スプレー
塗布、成形体が平坦で対称的な場合には、回転塗布、成
形体の形状がロッドあるいはシート状の場合には、浸漬
塗布がそれぞれ適している。
【0033】本発明の塗料組成物による塗膜をアクリル
系樹脂成形体の表面に形成した後、常温で硬化させても
良いし加熱硬化させてもよい。加熱硬化させる場合は、
室温以上80℃以下の温度範囲、好ましくは40〜70
℃の温度範囲が通常選択される。本発明においてアクリ
ル系樹脂成形体の製造に用いられるアクリル系樹脂とし
ては、メチルメタクリレート単位50〜重量%、および
これと共重合可能な他の単量体単位1〜50重量%から
なるものが好ましい。共重合可能な他の単量体として
は、アルキル基の炭素数が2〜18のアルキルメタクリ
レート、アルキル基の炭素数が1〜18のアルキルアク
リレートのほか、アクリル酸やメタクリル酸等のα,β
−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不
飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチ
レン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、無水マ
レイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド等が挙げら
れ、これらは単独で使用しても良く、また2種類以上を
併用しても良い。また、メチルメタクリレートとメタク
リル酸あるいはアクリル酸との共重合体には、それを熱
処理して脱アルコール反応あるいは脱水反応を行い六員
環酸無水物単位を生成した重合体、およびアンモニアや
アミンとイミド化反応させ、六員環イミド単位を生成し
た重合体も含まれる。これらのなかでも、共重合体の耐
候性、耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレー
ト、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく用い
られ、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−
ブチルアクリレートが特に好ましい。
【0034】このようなアクリル系樹脂の製造方法とし
ては特に制限は無く、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、
あるいは溶液重合等の公知の方法のいずれを用いても良
い。重合開始剤としては、通常のパーオキサイド系やア
ゾ系のラジカル重合開始剤を用いることができ、これと
還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤として実施
しても良い。アルキルリチウムなどを用いたアニオン重
合法、有機金属錯体を用いた配位重合法、グループトラ
ンスファー重合法などを用いて得られたアクリル系樹脂
を使用してもさしつかえない。重合温度は、懸濁重合ま
たは乳化重合では30〜100℃、塊状または溶液重合
では80〜170℃で実施するのが一般的である。該ア
クリル系樹脂の還元粘度を制御するために、アルキルメ
ルカプタン等を連鎖移動剤として用いて実施しても良
い。その他、多層構造アクリルゴムなどで耐衝撃性を付
与したアクリル系樹脂組成物も使用できる。
【0035】前記した本発明に使用されるアクリル系樹
脂成形体は、そのままでも使用することができるが、必
要があればエッチング、グロー放電、コロナ放電、活性
エネルギー線の照射などの前処理を施したものも使用で
きる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下に実施例と比較例を用いて本
発明の実施の形態をさらに具体的に説明するが、本発明
はこれによって何ら制限されるものではない。なお、用
いた評価および試験方法を以下に示す。 1.落砂摩耗性 摩耗試験はASTM D673−70に準じて、400
gのNo.80炭化珪素質研削剤を被膜面に落下させ、
試験後の曇価値(ASTM D1003−61に準じて
測定)で耐擦傷性を表す。数値が小さいほど耐擦傷性が
良い。 2.曲げ加工性 厚さ3mmのアクリル樹脂シート状成形体の表面に硬化被
膜を形成させ、これから巾10cm,長さ10cmの試
験片を切り出し、110℃で180秒間加熱した後、こ
れを直径100mmの円筒型の丸棒(木製)に沿って折
り曲げてそのときのクラックの発生を観察した。これに
より、塗膜の可とう性を評価する。 3.耐候性 JIS A1415−1977に準じサンシャインウェ
ザオメーター(WS形;スガ試験機株式会社製)にて促
進暴露、温度63±3℃、降雨18分/120分。 4.密着性 JIS K5400−1979中のゴバン目テストに準
じて行った。
【0037】
【参考例1】エチルトリメトキシシラン21重量部、メ
チルトリメトキシシラン42重量部、下記に示した有機
けい素化合物18重量部および酢酸1.6重量部とを混
合し、水浴で冷却したのち、攪拌しながら0〜10℃に
保持し、これにコロイダルシリカ(スノーラツクス;日
産化学株式会社製、商品名、平均粒径5〜10μm)1
00重量部を徐々に滴下し、滴下終了後温度を10℃に
保持して4.5時間攪拌を行い、ついでこれにイソプロ
パノール100重量部、酢酸2.3重量部およびポリオ
キシエチレングリコール・ジメチルシロキサン共重合体
KR−341(信越化学工業株式会社製,商品名)0.
08重量部を添加してから、これを室温下に7日間放置
し熟成して、被覆用組成物を作成した。
【0038】
【化1】
【0039】上記で得た被覆用組成物をアクリル樹脂シ
ート(デラグラスA;旭化成工業株式会社、商品名)の
表面に浸漬法により塗布したのち、80℃で120分間
加熱してこれを硬化させた。得られた塗膜は透明で充分
な密着性を有していた。上記により得られた被覆アクリ
ル樹脂シートの落砂摩耗性は3.4(Haze%)で、
曲げ加工を施すと塗膜の剥離が見られた。
【0040】
【参考例2】ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレ
ット体(デュラネート24A;旭化成工業株式会社製,
商品名)100gとペンタエリスリトールトリアクリレ
ート(NKエステルTMM−3L;新中村化学工業株式
会社、商品名、含有率55%)280gをトルエン30
0gに溶解してからジブチル錫ジラウレート300pp
mを添加し、65℃で4時間反応を行ってウレタンポリ
アクリレートを得た。
【0041】このウレタンポリアクリレート130部、
テトラヒドロフルフリルアクリレート5部、イソボロニ
ルアクリレート20部、トルエン100部、イソプロピ
ルアルコール160部から成る混合物100重量部に対
してベンジルジメチルケタール(イルガキュア651;
チバガイギー社製,商品名)0.5重量部を加えた後、
よく混合して被覆用組成物を得た。 上記で得た被覆用
組成物をアクリル樹脂シート(デラグラスA;旭化成工
業株式会社製、商品名)の表面に浸漬法により塗布した
後、80℃のオーブンで約5分間乾燥してから2kwの
低圧水銀灯で距離20cm、時間20秒の条件で照射し
硬化した。得られた塗膜は透明で充分な密着性を有して
いた。
【0042】上記により得られた被覆アクリル樹脂シー
トの落砂摩耗性は5.2(Haze%)で、曲げ加工を
施すと小さいクラックが多数発生した。また、サンシャ
インウェザオメーター3000時間暴露後、塗膜が黄変
し、落砂摩耗性の低下が見られ、塗膜が剥離した。
【0043】
【実施例1】温度計、冷却器、攪拌器付の2Lのフラス
コに、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)8
89.4gとポリカプロラクトンポリオール「プラクセ
ル308」(ダイセル化学工業株式会社製,商品名,数
平均分子量850、水酸基価195mgKOH/g)20
0gとを仕込み、攪拌下100℃で1時間反応させた。
【0044】得られた反応液を160℃、0.2mgH
gで薄膜蒸留し、未反応のHMDIを除去した。缶底液
として、NCO濃度9.2重量%、25℃における粘度
4900cp、ガスクロマトグラフィーにより分析した遊
離HMDIモノマーが0.1重量%以下の淡黄色透明な
ポリイソシアネートプレポリマー309.8gを得た。
上記により合成したプラクセル系プレポリマー10.2
重量部、アクリデイクA−801(大日本インキ化学株
式会社製アクリルポリオール,水酸基価50mgKOH
/g,Tg点=70℃)25.0重量部、希釈溶剤(酢酸
エチル:酢酸ブチル:トルエン:キシレン:酢酸セロソ
ルブ=20:30:30:15:5重量%)40.5重
量部を混合し本発明の塗料組成物を得た(NCO/OH
当量比=1.0)。この塗料組成物に濁りはなく、アク
リルポリオールとの相溶性は良好であった。
【0045】得られた塗料組成物をアクリル樹脂シート
(デラグラスA;旭化成工業株式会社製、商品名)上に
膜厚40μmでスプレー塗装し、温度70℃で30分間
乾燥した。得られた塗膜は透明で充分な密着性を有し、
かつ柔軟性に富んでいた。上記により得られた被覆アク
リル樹脂シートの落砂摩耗性は2.0(Haze%)
で、曲げ加工を施してもクラックの発生は見られなかっ
た。また、サンシャインウェザオメーター3000時間
暴露後も、着色は少なく、落砂摩耗性の低下はほとんど
無く、塗膜の剥離も見られなかった。
【0046】
【実施例2】温度計、冷却器、攪拌器付の2Lのフラス
コにヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)63
1.1gと、2種類のポリカプロラクトンポリオール
「プラクセル305」(ダイセル化学工業株式会社製、
商品名、数平均分子量550,水酸基価305mgKO
H/g)と「プラクセル205」(ダイセル化学工業株式
会社製、商品名、数平均分子量550、水酸基価205
mgKOH/g)の等重量混合物110.0gとを仕込
み、攪拌下100℃で1時間反応させた。
【0047】かくして得られた反応液を160℃、0.
2mmHgで薄膜蒸留し、未反応のHMDIを除去し
た。缶底液として、NCO濃度10.1%、25℃にお
ける粘度が2800cp、ガスクロマトグラフィーによ
り分析した遊離HMDIモノマーが0.1重量%以下の
淡黄色透明なポリイソシアネートプレポリマー185.
4gを得た。
【0048】上記により合成したプラクセル系プレポリ
マー9.3重量部、アクリデイクA−801(大日本イ
ンキ化学株式会社製アクリルポリオール,水酸基価50
mgKOH/g,Tg点=70℃)25.0重量部、希釈
溶剤(酢酸エチル:酢酸ブチル:トルエン:キシレン:
酢酸セロソルブ=20:30:30:15:5重量%)
38.4重量部を混合し本発明の塗料組成物を得た(N
CO/OH当量比=1.0)。この塗料組成物に濁りは
なく、アクリルポリオールとの相溶性は良好であった。
【0049】得られた塗料組成物をアクリル樹脂シート
(デラグラスA;旭化成工業株式会社製,商品名)上に
膜厚35μmでスプレー塗装し、70℃で30分乾燥し
た。得られた塗膜は透明で充分な密着性を有し、かつ柔
軟性に富んでいた。上記により得られた被覆アクリル樹
脂シートの落砂摩耗性は2.4(Haze%)で、曲げ
加工を施してもクラックの発生は見られなかった。ま
た、サンシャインウェザオメーター3000時間暴露後
も、着色は少なく、落砂摩耗性の低下はほとんど無く、
塗膜の剥離も見られなかった。
【0050】
【実施例3】温度計、冷却器、攪拌器付の2Lのフラス
コに、イソホロンジイソシアネート(IPDI)333
gとポリカプロラクロンポリオール「プラクセル30
5」(ダイセル化学工業株式会社製、商品名、数平均分
子量550、水酸基価305mgKOH/g)50gを仕
込み、攪拌下120℃で2時間反応させた。
【0051】かくして得られた反応液を180℃、0.
2mmHgで薄膜蒸留して未反応のIPDIモノマーを
除去した。得られたプレポリマー101gを酢酸エチル
と混合し固形分75重量%の溶液とした。プレポリマー
の酢酸エチル溶液は、NCO濃度7.3重量%、25℃
における粘度が280cp、ガスクロマトグラフィーにより
分析した遊離IPDIモノマーが0.5重量%の淡黄色
透明な液体であった。
【0052】上記により合成したIPDIとプラクセル
305系のプレポリマーの75%酢酸エチル溶液10重量
部、アクリデイクA−801(大日本インキ化学株式会
社製アクリルポリオール,水酸基価50mgKOH/g,
Tg点=70℃)19.5重量部、希釈溶剤(酢酸エチ
ル:酢酸ブチル:トルエン:キシレン:酢酸セロソルブ
=20:30:30:15:5重量%)28重量部を混
合し、NCO/OH=1.0(当量比)の塗料組成物を
得た。この塗料組成物に濁りはなく、アクリルポリオー
ルとの相溶性は良好であった。
【0053】得られた塗料組成物をアクリル樹脂シート
(デラグラスA;旭化成工業株式会社製,商品名)の表
面に膜厚30μmでスプレー塗装し、温度70℃で30
分乾燥した。得られた塗膜は透明で充分な密着性を有
し、かつ柔軟性に富んでいた。上記により得られた被覆
アクリル樹脂シートの落砂摩耗性は2.2(Haze
%)で、曲げ加工を施してもクラックの発生は見られな
かった。また、サンシャインウェザオメーター3000
時間暴露後も、着色は少なく、落砂摩耗性の低下はほと
んど無く、塗膜の剥離も見られなかった。
【0054】
【比較例1】温度計、冷却器、攪拌器付の2Lフラスコ
に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)15
12.0gとポリカプロラクトンポリオール「プラクセ
ル303」(ダイセル化学工業株式会社製,商品名,数
平均分子量350,水酸基価540mgKOH/g)12
0.0gとを仕込み、攪拌下100℃で1時間反応させ
た。 得られた反応液を160℃、0.2mmHgで薄
膜蒸留し、未反応のHMDIを除去した。缶底液とし
て、NCO濃度14.7重量%、25℃における粘度7
700cp、ガスクロマトグラフィーにより分析した遊
離HMDIモノマーが0.1重量%以下のポリイソシア
ネートプレポリマー296.2gを得た。このプレポリ
マーは、少し濁っていた。
【0055】上記により合成したプラクセル系プレポリ
マー6.4重量部、アクリデイクA−801(大日本イ
ンキ化学株式会社製アクリルポリオール,水酸基価50
mgKOH/g,Tg点=70℃)25.0重量部、希釈
溶剤(酢酸エチル:酢酸ブチル:トルエン:キシレン:
酢酸セロソルブ=20:30:30:15:5重量%)
31.6重量部を混合し塗料組成物を得た(NCO/O
H当量比=1.0)。この塗料組成物に濁りはなく、ア
クリルポリオールとの相溶性も良好であった。
【0056】得られた塗料組成物をアクリル樹脂シート
(デラグラスA;旭化成工業株式会社製,商品名)上に
膜厚40μmでスプレー塗装し、温度70℃で30分間
乾燥した。得られた塗膜は透明で充分な密着性を有して
いるが、柔軟性がないものであった。上記により得られ
た被覆アクリル樹脂シートの落砂摩耗性は7.8(Ha
ze%)で、曲げ加工を施すと小さいクラックが多数発
生した。
【0057】
【比較例2】温度計、冷却器、攪拌器付の2Lのフラス
コに、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)1
16.2gとポリカプロラクトンポリオール「プラクセ
ル240」(ダイセル化学工業株式会社製,商品名,数
平均分子量4000,水酸基価28mgKOH/g)18
4.5gとを仕込み、攪拌下120℃で1時間反応させ
た。
【0058】得られた反応液を、n−ヘキサン抽出法に
より未反応のHMDIを除去した後、NCO濃度3.0
重量%、25℃における粘度1200cp(75酢酸エ
チル溶液,測定温度50℃)、ガスクロマトグラフィー
により分析した遊離HMDIモノマーが2.2重量%の
固体のポリイソシアネートプレポリマー195.1gを
得た。
【0059】上記により合成したプラクセル系プレポリ
マー12.5重量部、アクリデイクA−801(大日本
インキ化学株式会社製アクリルポリオール,水酸基価5
0mgKOH/g,Tg点=70℃)10.0重量部、希
釈溶剤(酢酸エチル:酢酸ブチル:トルエン:キシレ
ン:酢酸セロソルブ=20:30:30:15:5重量
%)35.8重量部を混合し塗料組成物を得た(NCO
/OH当量比=1.0)。この塗料は白濁しており、ア
クリルポリオールとの相溶性が全く不良で、実用に供せ
ないものであり、アクリル樹脂シート(デラグラスA;
旭化成工業株式会社製,商品名)表面に塗布し、温度7
0℃で30分間乾燥しても、塗膜の透明性、平滑性が得
られなかった。
【0060】
【発明の効果】本発明の被覆アクリル系樹脂成形体は、
その塗膜の伸展性・弾性回復力により、砂塵等の接触・
衝撃に対する耐擦傷性に優れたものである。また、その
塗膜が透明であり、アクリル系樹脂基材に対する密着
性、耐候性に優れており、かつ可とう性を有しているた
め、塗装後曲げ加工等が可能な被覆アクリル系樹脂成形
体を生産性良く製造することができる。従って、本発明
の被覆アクリル系樹脂成形体は、ヘッドランプ,テール
ランプ,グレージング等の車輌外装品、屋外看板、店装
ディスプレイ、装飾用のケース・カバー等の用途に好適
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08G 18/42 C08G 18/42 Z 18/62 18/62

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 末端NCO基を有するプレポリマーとア
    クリルポリオールからなる二液型ポリウレタン塗料によ
    り、表面に伸展性を有する塗膜が形成されたアクリル系
    樹脂成形体。
  2. 【請求項2】 二液型ポリウレタン塗料が、下記
    (A)、(B)成分をNCO/OH当量比0.5〜2.
    0の割合で配合することを特徴とする組成物である特許
    請求第1項記載のアクリル系樹脂成形体。 (A)脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシア
    ネートと数平均分子量500〜1500のポリカプロラ
    クトンジオール及び/またはトリオールとを反応させた
    後、未反応の脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイ
    ソシアネートを実質的に除去して得られる2官能及び/
    又は3官能の末端NCO基を有するプレポリマー (B)ガラス転移点が30〜100℃で、かつ樹脂基準
    で、10〜150mgKOH/gの水酸基価を有するアク
    リルポリオール
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