JP7119741B2 - 化粧材用コーティング剤 - Google Patents

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Description

プラスチック基材に塗工した際の硬化性が良好で、表面硬さ、基材への密着性および耐スクラッチ性に優れる、化粧材用コーティング剤に関する。
従来、建築物に使用する化粧材で代表的なものは、プラスチックフィルムを基材として印刷インキ等により木目や石などの模様を形成して、更に表面塗工が施してある。化粧材の層構成としては様々なものがあるが、直接手に触れる部分は表面保護層である。表面保護層の下にプライマー層が用いられることもあり、様々な素材が使用されている。
化粧材に用いられる表面保護層は、床材、家具材や台所製品のキャビネット材などの使用形態で用いられるため硬度もさることながら、化粧材に用いられるプラスチック基材への密着性、耐摩擦性、表面硬度、二次加工のための適度な柔軟性、耐候性、耐熱性、耐水性等が求められる(特許文献1)。
なお、化粧材の表面保護層において、実用に耐える硬度を有することが最大の課題である。例えば、特許文献2に開示されている熱硬化性樹脂にセルロースナノファイバーを配合する方法では、架橋密度が高くないため、十分な硬度が得られないという問題があった。特許文献3に開示されているセルロースナノファイバー複合体を配合する方法では、セルロースナノファイバー複合体の性能を十分に発揮する材料の組み合わせではなく、十分な硬度が得られないという問題があった。
特開2010-047016号公報 特開2018-016817号公報 特開2015-007196号公報
プラスチック基材に塗工した際の硬化性が良好で、表面硬さ、基材への密着性および耐スクラッチ性に優れ、更に弾性と柔軟性を有する化粧材用コーティング剤を提供すること。
本発明者は前記課題に対して鋭意研究を重ねた結果、以下に記載の印刷方法を用いることで解決することを見出し、本発明を完成するにに至った。
すなわち本発明は、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエポキシアクリレートおよびアクリルアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種のアクリレート樹脂、並びにセルロースナノファイバーを含有する化粧材用コーティング剤に関する。
また、本発明は、前記セルロースナノファイバーは、短軸の数平均繊維径が3~40nmである前記化粧材用コーティング剤に関する。
また、前記アクリレート樹脂は、重量平均分子量が500~10000であり不飽和結合数が2~12であるウレタンアクリレートを含有する、前記化粧材用コーティング剤に関する。
また、本発明は、前記ウレタンアクリレートは、イソシアヌレート構造、ポリエーテル構造およびポリエステル構造より選ばれる少なくとも一種の構造を有する、前記化粧材用コーティング剤に関する。
更に、水酸基価が10~120mgKOH/gであるアクリルポリオールを含有する、前記化粧材用コーティング剤に関する。
プラスチック基材上に、前記化粧材用コート剤からなる硬化層を有する化粧材用積層体に関する。
プラスチック基材に塗工した際の硬化性が良好で、表面硬さ、基材への密着性および耐スクラッチ性に優れ、更に弾性と柔軟性を有する化粧材用コーティング剤を提供できた。
セルロースナノファイバーの透過型電子顕微鏡像図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその趣旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
以下の説明において、「化粧材用コーティング剤」は「コーティング剤」と略記することがある。
以下の説明において、「活性エネルギー線」とは、紫外線、可視光線、赤外線、電子線、及び放射線を含む、化学反応を生じさせるための活性化に必要なエネルギーを提供できる、広義のエネルギー線を意味する。特に限定するものではないが、本発明の一実施形態において、上記活性エネルギー線は、紫外線を含む光エネルギー線であることが好ましい。
以下の説明において、「官能基数」とは樹脂または化合物が1分子中に有する、アクリロイル基、メタクリロイル基その他の不飽和二重結合基の数をいう。
なお、本明細書では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、及び「(メタ)アクリロイルオキシ」とは、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、並びに「アクリロイルオキシ及び/又はメタクリロイルオキシ」を表すものとする。
本発明は、硬化性を有する化粧材用コーティング剤であって、
ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエポキシアクリレートおよびアクリルアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種のアクリレート樹脂、並びにセルロースナノファイバーを含有する、化粧材用コーティング剤であることを特徴とする。当該アクリレート樹脂は、架橋密度を向上させることにより、硬度を発現することに加え、セルロースナノファイバーの柔軟性および凝集力が組み合わされることにより、硬化収縮抑制、靱性付与の効果が生まれ、結果として化粧材に硬度および密着性を両立させ、更に弾性と柔軟性をもたらす。
以下、本発明の化粧材用コーティング剤を構成する各成分について詳述する。
<アクリレート樹脂>
アクリレート樹脂はウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエポキシアクリレートおよびアクリルアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂をいう。アクリレート樹脂は重量平均分子量が500~70000であることが好ましい。500~50000であることがより好ましく、500~10000であることが更に好ましい。官能基数(不飽和二重結合基数)は2~12であることが好ましく、1~10がより好ましい。
<ウレタンアクリレート>
本発明において、ウレタンアクリレートはポリイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとを反応させて得られるウレタンアクリレート、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られる末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとを反応させて得られるウレタンアクリレート、またはポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られる末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーへ、更にポリアミンを反応させて得られる末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとを反応させて得られるウレタンアクリレート等が好ましい。なお、構造中にポリアミンに由来するウレア結合単位を有していてもよい。
ウレタンアクリレートは重量平均分子量が500~10000であることが好ましく、1000~8000であることがより好ましい。なお官能基数が2~12であることが好ましく、2~10であることがより好ましい。本発明のコーティング剤からなる硬化膜において、表面硬度が良好となり、後述するセルロースナノファイバーとの併用で凝集力、更に弾性と柔軟性が向上するためである。
(ポリイソシアネート)
上記ポリイソシアネートとしては、単官能イソシアネート及び多官能イソシアネートが挙げられ、多官能イソシアネートの使用が好適であり、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
単官能イソシアネートとしては、より具体的に、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、オクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート等が挙げられる。
多官能イソシアネートとしては以下が好適であり、ジイソシアネート、トリイソシアネートおよびジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレートであることが好ましい。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(別名:4,4’-MDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(別名:2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、o-シリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、および2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライド等を好適に挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を好適に挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソホロンジイソシアネート「IPDI」)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を好適に挙げることができる。
(ポリオール)
上記ポリオールは特段限定されないが、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられ、中でもポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールが好ましい。ポリエステルポリオールは後述のポリエステルアクリレートの説明で使用するポリエステルポリオールと同様に定義されるものであり、ポリエーテルポリオールはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールおよびこれらの共重合体であることが好ましい。ポリオールの数平均分子量としては300~5000であることが好ましい。
ウレタンアクリレートは構造単位としてイソシアヌレート構造、ポリエーテル構造およびポリエステル構造より選ばれる少なくとも一種の構造を有することが好ましい。イソシアヌレート構造は、イソシアヌレート環に由来する構造単位を示し、ジイソシアネートの3量体化合物を原料とすることで導入することができる。なお、ポリイソシアネートと、トリメチロールプロパンその他の低分子ポリオールとのアダクト体に由来する構造単位を含有する場合も好ましく、更にはカルボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトンイミン基、水と反応したビュレット基、イソシアヌレート基のいずれかの基、又はこれらの基の2種以上を有する化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。なお、低分子ポリオールとはポリオールのうち分子量が300未満のものをいう。ポリエーテル構造、ポリエステル構造は、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールを原料として使用することで導入できる。
(ポリアミン)
また、ポリアミンとしては、モノアミン、ジアミンまたはトリアミンであることが好ましく、ジアミンであることが好ましい。以下に好ましい態様を示す。
ジアミンとしては例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン[別名:1,2-ジアミノプロパン又は1,2-プロパンジアミン]、トリメチレンジアミン[別名:1,3-ジアミノプロパン又は1,3-プロパンジアミン]、テトラメチレンジアミン[別名:1,4-ジアミノブタン]、2-メチル-1,3-プロパンジアミン、ペンタメチレンジアミン[別名:1,5-ジアミノペンタン]、ヘキサメチレンジアミン[別名:1,6-ジアミノヘキサン]、ジエチレントリアミン、トリアミノプロパン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ダイマージアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、フェニレンジアミン、、キシリレンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、2,4-トリレンジアミン、2,6-トリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン,3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ビス-(sec-ブチル)ジフェニルメタン、グルタミン、アスパラギン、リジン、ジアミノプロピオン酸、オルニチン、ジアミノ安息香酸、ジアミノベンゼンスルホン酸等二つの1級アミノ基有するジアミン類;
例えば、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、及びN,N’-ジ-tert-ブチルエチレンジアミン、ピペラジン等の二つの2級アミノ基有するジアミン類;
例えば、N-メチルエチレンジアミン[別名:メチルアミノエチルアミン]、N-エチルエチレンジアミン[別名:エチルアミノエチルアミン]、N-メチル-1,3-プロパンジアミン[別名:N-メチル-1,3-ジアミノプロパン又はメチルアミノプロピルアミン]、N,2-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-イソプロピルエチレンジアミン[別名:イソプロピルアミノエチルアミン]、N-イソプロピル-1,3-ジアミノプロパン[別名:N-イソプロピル-1,3-プロパンジアミン又はイソプロピルアミノプロピルアミン]、及びN-ラウリル-1,3-プロパンジアミン[別名:N-ラウリル-1,3-ジアミノプロパン又はラウリルアミノプロピルアミン]、トリエチルテトラミン、ジエチレントリアミン、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、(2-ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(ジ-2-ヒドロキシエチルエチレン)ジアミン、(ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(2-ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン、(ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン等の1級及び2級アミノ基を有するポリアミン類;
なお、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、ヘキサデカンジオヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、炭酸ジヒドラジド、カルボジヒドラジド、チオカルボジヒドラジド、オキサリルジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド等のヒドラジド類を使用してもよい。
(水酸基を有する(メタ)アクリレート)
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては以下のものが好適に挙げられる。例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
以上のうち、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートから選ばれる(メタ)アクリレートが好ましい。
<ポリエステルアクリレート>
本発明において、ポリエステルアクリレートは、水酸基を有するポリエステル(ポリエステルポリオールという)と、(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートとのエステル化によって得られるポリエステルアクリレートのほか、カルボキシル基を有するポリエステル(ポリエステルポリカルボン酸という)と(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルその他の水酸基を有する(メタ)アクリレートとのエステル化によって得られるポリエステルアクリレートなどが好ましい。
ポリエステルアクリレートは重量平均分子量が500~10000であることが好ましく、1000~8000であることがより好ましい。なお官能基数が2~12であることが好ましく、2~8であることがより好ましい。表面硬度が良好となり、後述するセルロースナノファイバーとの併用で凝集力が向上するためである。
ポリエステルポリオールは多塩基酸と多価アルコールの縮合物として得られるものが好ましい。ポリエステルポリオールの数平均分子量は200~5000であることが好ましい。一方、ポリエステルポリカルボン酸は、多塩基酸と多価アルコールの縮合物として得られるものが好ましい。両者においてポリエステルポリオールであるか、ポリエステルポリカルボン酸であるかは、その原料である多塩基酸のカルボキシル基と多価アルコールの水酸基との比率により決定される。なお、多価アルコールはジオールまたはトリオールであることが好ましい。
上記多塩基酸としては、脂肪族系、脂環族系、及び芳香族系が挙げられ、それぞれ特に制限が無く使用できる。中でも二塩基酸を含むことが好ましく、当該二塩基酸としては脂肪族系二塩基酸、脂環族系二塩基酸および芳香族系二塩基酸より選ばれる二塩基酸がより好ましく、以下にその具体的態様を示す。
脂肪族系二塩基酸としては、より具体的には、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、スベリン酸、マレイン酸、クロロマレイン酸、フマル酸、ドデカン二酸、ピメリン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらの脂肪族ジカルボン酸及びその無水物が利用できる。又、無水コハク酸の誘導体(メチル無水コハク酸物、2,2-ジメチル無水コハク酸、ブチル無水コハク酸、イソブチル無水コハク酸、ヘキシル無水コハク酸、オクチル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、フェニル無水コハク酸等)、無水グルタル酸の誘導体(無水グルタル酸、3-アリル無水グルタル酸、2,4-ジメチル無水グルタル酸、2,4-ジエチル無水グルタル酸、ブチル無水グルタル酸、ヘキシル無水グルタル酸等)、無水マレイン酸の誘導体(2-メチル無水マレイン酸、2,3-ジメチル無水マレイン酸、ブチル無水マレイン酸、ペンチル無水マレイン酸、ヘキシル無水マレイン酸、オクチル無水マレイン酸、デシル無水マレイン酸、ドデシル無水マレイン酸、2,3-ジクロロ無水マレイン酸、フェニル無水マレイン酸、2,3-ジフェニル無水マレイン酸等)等の無水物誘導体も利用できる。.
脂環族系二塩基酸としては、例えば、ダイマー酸、シクロプロパン-1α,2α-ジカルボン酸、シクロプロパン-1α,2β-ジカルボン酸、シクロプロパン-1β,2α-ジカルボン酸、シクロブタン-1,2-ジカルボン酸、シクロブタン-1α,2β-ジカルボン酸、シクロブタン-1α,3β-ジカルボン酸、シクロブタン-1α,3α-ジカルボン酸、(1R)-シクロペンタン-1β,2α-ジカルボン酸、trans-シクロペンタン-1,3-ジカルボン酸、(1β,2β)-シクロペンタン-1,3-ジカルボン酸、(1β,3β)-シクロペンタン-1,3-ジカルボン酸、(1S,2S)-1,2-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,1-シクロヘプタンジカルボン酸、クバン-1,4-ジカルボン酸、2,3-ノルボルナンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の飽和脂環属ジカルボン酸や、1-シクロブテン-1,2-ジカルボン酸、3-シクロブテン-1,2-ジカルボン酸、1-シクロペンテン-1,2-ジカルボン酸、4-シクロペンテン-1,3-ジカルボン酸、1-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、2-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,3-ジカルボン酸、2,5-ヘキサジエン-1α,4α-ジカルボン酸等の環内に不飽和二重結合が1もしくは2個有した不飽和脂環族ジカルボン酸が挙げられ、これらの脂環族ジカルボン酸及びその無水物等が利用できる。
芳香族系二塩基酸としては、例えば、o-フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、2,5-ジメチルテレフタル酸、2,2’-ビフェニルジカルボン酸、4,4-ビフェニルジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ジフェニルメタン-4,4´-ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、1,2-アズレンジカルボン酸、1,3-アズレンジカルボン酸、4,5-アズレンジカルボン酸、(-)-1,3-アセナフテンジカルボン酸、1,4-アントラセンジカルボン酸、1,5-アントラセンジカルボン酸、1,8-アントラセンジカルボン酸、2,3-アントラセンジカルボン酸、1,2-フェナントレンジカルボン酸、4,5-フェナントレンジカルボン酸、3,9-ペリレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸や、無水フタル酸、4-メチル無水フタル酸等の芳香族ジカルボン酸無水物が挙げられ、これらの芳香族ジカルボン酸及びその無水物等が利用できる。
(多価アルコール)
多価アルコールのうちトリオールとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびそのエチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパンおよびそのエチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物などが好適に挙げられる。
多価アルコールのうち、ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール(付加モル数10以下)、ポリオキシプロピレングリコール(付加モル数10以下)、プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール,トリシクロデカンジメタノール、シクロペンタジエンジメタノール、ダイマージオール等の脂肪族又は脂環族ジオール類が好適である。中でも分子量が50~1000であるジオールを含むことがが好ましい。分子量は50~500であることがなお好ましく、50~300であることが更に好ましい。
上記ジオールは、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4’-メチレンジフェノール、4,4’-(2-ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’-ジヒドロキシビフェノール、o-,m-及びp-ジヒドロキシベンゼン、4,4’-イソプロピリデンフェノール、ビスフェノールにアルキレンオキサイドを付加させた付加型ビスフェノール等の芳香族ジオール類等も使用することができる。
(カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート)
上記のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートとは、カルボキシル基を有する単官能または多官能の(メタ)アクリレートをいう。該当する化合物としては、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチルアクリレート、2-アクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸が挙げられ、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチルアクリレートが好ましい。
また、上記ジオール以外に、補助的に数平均分子量500~30,000のポリオール類を使用してもよい。当該ポリオールとしては以下に示すものが挙げられ、ポリエステルポリオール総質量中に10%以下で使用することができる。該当するポリオールとしては際限なく、例えばポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリラクトンポリオール等が挙げられる。
<ポリエポキシアクリレート>
本発明において、ポリエポキシアクリレートは、グリシジル基を有する化合物とカルボキシル基を有する化合物の反応物であり、不飽和二重結合基を有する化合物をいう。(ただし、下記アクリルアクリレートに該当する場合を除く)例えば、グリシジル基を有する化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、マレイン酸などの水酸基またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物の反応により得られるポリエポキシアクリレートが挙げられる。代表例としてビスフェノール型、エポキシ化油型、フェノールノボラック型、脂環型が挙げられる。ビスフェノール型ポリエポキシアクリレートとしては、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるビスフェノール型ジグリシジルエーテルと水酸基またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物とを反応して得られるものである。
エポキシ化油ポリエポキシアクリレートとしては、エポキシ化された大豆油等の油と水酸基またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応により得られるものを使用できる。ノボラック型ポリエポキシアクリレートとしては、ノボラック型エポキシ樹脂と水酸基またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応により得られるものを使用できる。脂環型ポリエポキシアクリレートとしては、脂環型エポキシ樹脂と水酸基またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応により合成されたものを使用できる。
ポリエポキシアクリレートは重量平均分子量が400~2000であることが好ましく、500~1500であることがより好ましい。なお官能基数が2~12であることが好ましく、2~8であることがより好ましい。
<アクリルアクリレート>
本発明において、アクリルアクリレートとは、主鎖がアクリル樹脂であり、側鎖あるいは末端に不飽和二重結合基を有する化合物をいう。主鎖がアクリル樹脂である点で上記ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートおよびポリエポキシアクリレートとは区別されるものである。例えば、側鎖にカルボキシル基を有するアクリル樹脂と、水酸基を有する(メタ)アクリレートとのエステル化反応により得られるアクリルアクリレート、側鎖にカルボキシル基を有するアクリル樹脂と、グリシジル基を有する(メタ)アクリレートとのエステル化反応により得られるアクリルアクリレートなどが好適に挙げられる。側鎖にカルボキシル基を有するアクリル樹脂は(メタ)アクリル酸や、マレイン酸その他の酸性モノマーとアクリルモノマーを重合させることで製造可能である。アクリルモノマーは単官能であることが好ましい。アクリルアクリレートの重量平均分子量は500~100000であることが好ましく、500~50000であることがより好ましい。官能基数としては2~20であることが好ましく、2~10であることがより好ましい。
上記アクリルモノマーは例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基含有モノマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等を好適に挙げることができる。中でもフェノキシエチル(メタ)アクリレートを10質量%含むことが好ましい。
本発明においては、ウレタンアクリレートを含むことが好ましい。ウレタンアクリレートを使用した場合、ウレタン結合に基づき、セルロースナノファイバーとの併用で弾性と柔軟性をより良好に両立させることが可能となるためである。ただし本発明は本説明により限定されるものではない。
<セルロースナノファイバー>
セルロースナノファイバーとは、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーであるセルロースのことを示し、その調製方法については特に限定されない。通常、セルロースナノファイバーは、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状を取る。
本発明のセルロースナノファイバーの短軸の数平均繊維径は、3nm~100nmであることが好ましく、3nm~40nmであることがより好ましい。また、セルロースナノファイバーの長軸の数平均繊維径は0.05μm~50μmであることが望ましい。また、コーティング剤における固形分総質量中に0.1~3質量%含有することが好ましい。また、0.1~2質量%含有することがより好ましい。
セルロースナノファイバーの短軸の数平均繊維径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により10~100本の繊維の短軸径(最小径)を測定し、その平均値として求められる。一方、セルロースナノファイバーの長軸の数平均繊維径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により10~100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求められる。
セルロースナノファイバーの原料として用いることが出来る植物セルロースの種類も特に限定されず、例えば木材系天然セルロースに加えて、コットンリンター、竹、麻、バガス、ケナフを用いることができる。また、バクテリアセルロース、ホヤセルロース、バロニアセルロースといった非木材系天然セルロース、さらにはレーヨン繊維、キュプラ繊維に代表される再生セルロースを用いることもできる。
セルロースナノファイバーの製造方法は特に限定されないが、例えばグラインダーによる機械処理の他、酸化処理、希酸加水分解処理、酵素処理などを機械処理と併用して微細化する方法が知られている。また、バクテリアセルロースもセルロースナノファイバーとして用いることが出来る。さらには各種天然セルロースを各種セルロース溶剤に溶解させたのち、電解紡糸することによって得られる微細再生セルロースナノファイバーを用いてもよい。
安定な有機フリーラジカルであるTEMPO(2、2、6、6-tetramethylpiperidine1-oxyl)をはじめとするN-オキシル化合物を用いた酸化反応では、結晶表面のセルロース分子鎖が持つグルコピラノース単位の第6位の-CHOHが高い選択性で酸化され、アルデヒド基を経てカルボキシ基に変換される。このように結晶表面に導入されたカルボキシ基を有する微細セルロース繊維間には静電的な反発力が働くため、水性媒体中でミクロフィブリル単位にまで分散したセルロースシングルナノファイバー(CSNF)を得ることができる。
一般にセルロースナノファイバーは水に親和するものが多いが、その変性方法等によって有機溶剤に親和するものもある。本願発明においては有機溶剤に親和するセルロースナノファイバーの使用が好ましい。
<アクリルポリオール>
本発明のコーティング剤は、更にアクリルポリオールを含むことが好ましい。アクリルポリオールは、後述のイソシアネート化合物と架橋するために水酸基価5~120mgKOH/gであることが好ましく、プラスチック基材との密着性を向上させる効果を有し、かつ、上記アクリレート樹脂およびセルロースナノファイバーと親和するため被膜の性能をより向上させる。水酸基価は、7~100mgKOH/gが好ましく、水酸基価7~50mgKOH/gがより好ましい。
また、アクリルポリオールのガラス転移温度は、印刷塗工時の塗工適性(例えばガイドロール付着や耐ブロッキング性)およびプラスチック基材への密着性を保持させるために40~120℃であることが好ましく、60~110℃であることがより好ましい。なお、ここで示すガラス転移温度とは、構成されるモノマーのホモポリマーのガラス転移温度から計算した値を示すが、ホモポリマーのガラス転移温度が不明な場合は、アクリルポリオールのガラス転移温度を示差走査熱量測定(DSC)等の熱分析法などで測定した値であってもよい。
アクリルポリオールを構成するアクリルモノマーとしては特に限定は無く、上記水酸基価5~120mgKOH/gを満足するものであればよい。アクリルモノマーの例としては、水酸基含有モノ(メタ)アクリルモノマーと、水酸基を含有しないモノ(メタ)アクリルモノマーとの共重合体が好ましく用いられる。水酸基含有モノ(メタ)アクリルモノマーは、1分子中に1個の(メタ)アクリロイル基と1個以上の水酸基を含有するモノマーであればよい。
前記水酸基含有モノ(メタ)アクリルモノマーは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート(商品名4HBA、三菱ケミカル(株)製)、α-ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート、α-ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート(商品名プラクセルFシリーズ、ダイセル化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル等を挙げることができる。
水酸基を含有しないモノ(メタ)アクリルモノマーとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基含有モノマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。さらに、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有モノマーあるいはその無水物や、スチレン、酢酸ビニル等のアクリル系以外のビニルモノマーも使用することができる。
アクリルポリオールを構成するアクリルモノマーとして好ましくは、水酸基含有モノ(メタ)アクリルモノマーでは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートであり、水酸基を含有しないモノ(メタ)アクリルモノマーとしてはメチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が好ましい。
アクリルポリオールを構成するアクリルモノマーとしては、メチルメタクリレートと、ガラス転移温度が30℃以下のホモポリマーを形成可能なモノマーを含有することが好ましい。当該モノマーとしては例えばエチルアクリレート(-22℃)、イソプロピルアクリレート(-5℃)、n-ブチルアクリレート(-54℃)、n-ヘキシルメタクリレート(-5℃)、2-エチルヘキシルアクリレート(-85℃)、ステアリルアクリレート(30℃)、シクロヘキシルアクリレート(15℃)、2-エチルヘキシルメタクリレート(-10℃)、n-ラウリルアクリレート(-3℃)、n-ラウリルメタクリレート(-65℃)、n-ブチルメタクリレート(20℃)、イソオクチルアクリレート(-45℃)、フェノキシエチルアクリレート(-25℃)、トリデシルメタクリレート(-46℃)等が挙げられる。中でも好ましくはn-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレートである。括弧内の数値は該モノマーから得られたホモポリマーのガラス転移温度を示す。
前記メチルメタクリレートと、ガラス転移温度が30℃以下のホモポリマーを形成可能な上記モノマー、更に水酸基含有モノ(メタ)アクリルモノマーを任意に組み合わせて、水酸基価5~120mgKOH/g、かつガラス転移温度が60℃~110℃とする組み合わせが更に好ましく、特にオレフィン基材との密着性が上がるため、アクリルポリオール100重量%中、メチルメタクリレート単位を50重量%以上含むことが好ましい。メチルメタクリレート単位は50~95質量%で含むことが好ましい。
アクリルポリオールの分子量としては、印刷適性から、重量平均分子量が5,000~100,000が好ましく、30,000~80,000がより好ましい。
アクリルポリオールは、合成の際に有機溶剤を使用してもよい。有機溶剤としてはメタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、また、これらの混合物が挙げられる。アクリルポリオールが有機溶剤を含有する場合、好ましい固形分は10質量%~70質量%であり、さらに好ましくは20質量%~60質量%である。
アクリルポリオールの合成方法としては前記有機溶剤の存在下でのアニオン重合、リビングアニオン重合、カチオン重合、リビングカチオン重合、ラジカル重合、及びリビングラジカル重合等、公知の方法が使用できる。
ラジカル重合法の場合は、重合開始剤を使用するのが好ましい。重合開始剤としては例えば、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、または2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、またはジアセチルパーオキシド等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。反応温度は好ましくは40~150℃、より好ましくは50~120℃、反応時間は好ましくは3~30時間、より好ましくは5~20時間である。
<イソシアネート化合物>
次にイソシアネート化合物について説明する。イソシアネート化合物はアクリルポリオールと架橋してプラスチック基材との密着性を付与する役割であるため必須であるが、分子中にイソシアネート基を2つ以上有する化合物が好ましく、構造に関しては特に制限は無い。
イソシアネート化合物は、中でもイソシアヌレート化合物、ジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体化合物、およびジイソシアネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。特にイソシアネート化合物100質量%中、イソシアヌレート化合物を50%以上含むものがなお好ましい。これにより、架橋による各種基材への密着性が向上し、またウレタンアクリレートがイソシアヌレート構造を有している場合、当該イソシアヌレート構造同士の相互作用およびイソシアヌレート構造とセルロースナノファイバーの構造による相互作用により、接着性および硬度に加え、弾性と柔軟性が得られる。
イソシアヌレート化合物としては、脂肪族ジイソシアネートの3量体が挙げられ、該脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート[別名:イソホロンジイソシアネート]、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。中でもヘキサメチレンジイソシアネートあるいはイソホロンジイソシアネートの3量体が好ましい。
トリメチロールプロパンのアダクト体化合物は、トリメチロールプロパンとジイソシアネートの反応物でありイソシアネート基を3つ有するイソシアネート化合物である。ジイソシアネートとしては前記に示したジイソシアネートが使用可能であり、更に芳香族ジイソシアネートも使用可能である。芳香族ジイソシアネートとしては、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート、m‐キシリレンジイソシアネート、p‐キシリレンジイソシアネート、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。中でもトリレンジイソシアネートあるいはキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンのアダクト体が好ましい。
前記ジイソシアネート化合物としては、ウレタンアクリレートの説明の中で示したジイソシアネートと同様のものが挙げられ、中でもキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
基材との密着性が向上するため、アクリルポリオール固形分100に対してイソシアネート化合物は、アクリルポリオールの水酸基価に対するNCO価が1.0~3.0当量の範囲であることが好ましく、重量比としてはアクリルポリオール固形分/イソシアネート化合物(固形分)=95/5~75/25であることが好ましい。
アクリルポリオール以外にポリオールを併用する事も可能である。前記ポリオールは、例えば、エチレングリコールやトリメチロールプロパンなどの低分子ポリオール、またポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリエステルポリオールや、これらを単独、または2種類以上併用して有機イソシアネートと反応させたポリウレタンポリオールなどが挙げられ、密着性や印刷・加工性に悪影響が出ない程度で使用することができる。
<ラジカル重合性単量体>
本発明において、ラジカル重合性単量体(以下「単量体」と略記することがある)は、ラジカル重合可能な骨格を1個以上有する化合物の総称である。本発明の化粧材用コーティング剤の一実施形態において、化粧材用コーティング剤は、上記必須成分に加えて、単量体を含んでもよい。
単量体としては、ラジカル重合可能な骨格を1個以上有する化合物であれば、特に制限はなく使用できる。単量体の好ましい例としては、4-アクリロイルモルホリン、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ε-カプロラクトン変性トリ(メタ)アクリレート、1,3,5-トリ(メタ)アクリロイルヘキサヒドロ-s-トリアジン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステルテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)ホスフェート等が挙げられる。
本発明では、単量体として、上述の化合物を単独で、又は2種類以上組合せて使用することができる。単量体の配合割合は、反応性の観点から、コーティング剤の総量を100質量部として、好ましくは5~40質量部の範囲である。なお、補助的にオキセタニル基を有する単量体、エポキシ基含有単量体その他のカチオン重合性単量体を含有してもよい。
<活性エネルギー線重合開始剤>
本発明の化粧材用コーティング剤は、各種活性化エネルギー線の照射によって重合反応が進行し、硬化可能であり、コーティング剤には必要に応じて活性エネルギー線重合開始剤を含んでもよい。開始剤を使用することによって、コーティング剤の重合反応を促進することができる。本発明の一実施形態において、上記活性化エネルギーは紫外線であることが好ましく、紫外線の照射によって重合反応を進行させる場合、コーティング剤は、開始剤を含むことが好ましい。
開始剤としては、アルキルフェノン系開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系開始剤、オキシムエステル系開始剤等が挙げられ、アルキルフェノン系開始剤を含有することが好ましい。
本発明では、開始剤として、活性エネルギー線重合開始剤として公知の化合物から任意に選択した化合物を使用できる。
開始剤のうち、アルキルフェノン系開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントフルオレノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン、3-メチルアセトフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、4-チオキサントン、カンファーキノン、及び2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン等が挙げられる。
また、市販品としては、例えば、イルガキュアー184,907,651,1700,1800,819,369,及び261(BASF社製)、DAROCUR-TPO(BASF社製、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド)、ダロキュア-1173(メルク社製)、エザキュアーKIP150,及びTZT(日本シイベルヘグナー社製)、カヤキュアBMS,及びカヤキュアDMBI(日本化薬社製) 等が挙げられる。
また、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する光重合開始剤を使用することもできる。
本発明では、開始剤として、上述の化合物を単独で、又は2種類以上組合せて使用することができる。開始剤の配合割合は、反応性の観点から、コーティング剤総質量に対して、0.01~20質量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.5~10質量部の範囲である。
本発明にて使用するコーティング剤は、添加剤として公知のものを適宜含むことができ、必要に応じて公知の添加剤を使用できる。当該添加剤は、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、ワックス成分、シリカ粒子、マット剤、樹脂粒子、重合禁止剤、防腐剤、抗菌剤などを使用することができる。また更に、油、難燃剤、充填剤、安定剤、補強剤、艶消し剤、研削剤、有機微粒子、無機微粒子、高分子化合物(アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン(ウレア)樹脂、等)等を配合することも可能である。中でも紫外線吸収剤および光安定剤の少なくとも一方を含有することが好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明にて使用するコーティング剤は耐候性やコーティング剤の経時安定性を向上させるために紫外線吸収剤、光安定剤を含有することが特に好ましい。紫外線吸収剤とは、一般的に波長約200~400nmの紫外線を吸収して熱や赤外線などのエネルギーに変化させて放出させる効能を有する化合物である。紫外線吸収剤としては、例えば、無機系紫外線吸収剤として、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化タリウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物微粒子を用いることができる。また有機系紫外線吸収剤として、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤,トリアジン系紫外線吸収剤,ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤,ジフェニルメタノン系紫外線吸収剤,2-シアノプロペン酸エステル系紫外線吸収剤、アントラニレート系紫外線吸収剤、ケイヒ酸誘導体系紫外線吸収剤、カンファー誘導体系紫外線吸収剤、ベンザルマロネート誘導体系紫外線吸収剤、レゾルシノール系紫外線吸収剤、オキザリニド系紫外線吸収剤、クマリン誘導体系紫外線吸収剤等が使用できる。中でもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)-ベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス〔4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6[(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]〕、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-[5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール等を挙げることができる。中でも2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)-ベンゾトリアゾールが特に好ましい。
(光安定剤)
光安定剤とは、光劣化で発生するラジカルを捕捉する化合物をいい、例えば、チオール系、チオエーテル系、ヒンダードアミン系化合物等のラジカル捕捉剤、及びベンゾフェノン系、ベンゾエート系化合物等の紫外線吸収剤等を使用することができ、これらは単独又は2種以上を併用して使用してもよい。なかでも、相溶性及び耐光安定性をより向上できる観点から、ヒンダードアミン系化合物を使用することが好ましい。
上記ヒンダードアミン系としては、例えば、シクロヘキサンと過酸化N-ブチル2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミン-2,4,6-トリクロロ1,3,5-トリアジンとの反応生成物と2-アミノエタノールとの反応生成物(商品名:チヌビン152(BASF(株)製))、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル(商品名:チヌビン123(BASF(株)製))、1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、等のアミノエーテル基を有するヒンダードアミン化合物、N-アセチル-3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)ピロリジン-2,5-ジオン(商品名:Hostavin3058(クラリアントジャパン(株)製))等のN-アセチル系ヒンダードアミン化合物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート(商品名:サノールLS765(BASFジャパン(株)製))、ビス(1,2,2,6,6,-ペンタメチル-4-ピペリジル){[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル}ブチルマロネート商品名:Tinuvin(登録商標)144(BASFジャパン(株)製))、コハク酸ジメチルおよび4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールの重合物(商品名:Tinuvin(登録商標)622LD(BASFジャパン(株)製))、プロバンジオイックアシッド[{4-メトキシフェニル}メチレン]-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)エステル(商品名:Hostavin(登録商標)PR-31(クラリアントジャパン(株)製))のN-アルキル系ヒンダードアミン化合物ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、2,2’-チオビス(4-t-オクチルフェノレート)アルキルアミンニッケル、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミン・N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物等を挙げることができる。
(有機溶剤)
本発明にて使用するコーティング剤は、有機溶剤を含有することが好ましい。有機溶剤としてはメタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、また、これらの混合物が挙げられる。
<化粧材用コーティング剤の製造>
コーティング剤の製造方法としては、必要なそれぞれの原料をディスパーなどで30分~3時間程度撹拌することにより製造することができる。なお、混合しにくく、粘度等が不均一になりやすい場合はローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いてもよい。
<積層体>
本発明の実施態様の一例として、プラスチック基材上に表面保護層が積層された積層体が挙げられる。本コーティング剤は、各種プラスチック基材の表面保護層として有効に用いられるものであり、プラスチック基材、またはプライマーが塗布されたプラスチック基材に、本発明のコーティング剤を塗布・乾燥後、活性エネルギー線を照射することにより硬化される。なお、表面保護層の下にプライマー層が用いられていてもよい。
塗工方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スプレー、シャワー、ディッピング、フローコート、グラビア印刷、フレキソ印刷、ロール、スピン、ディスペンサー、インクジェット印刷、スクリーン印刷等のようなウェットコーティング法が挙げられるが、グラビア印刷による塗工方法がより好ましい。
本発明にて使用するコーティング剤の塗工時の好ましい粘度としてはザーンカップ#3で粘度が12秒~30秒/25℃、更に好ましくは18~25秒/25℃であり、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル系溶剤、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、あるいはそれらの混合溶剤にて前記粘度に希釈し使用することが好ましい。
<プラスチック基材>
本発明において使用するプラスチック基材とは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ乳酸などのポリエステル、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのポリスチレン系樹脂、ナイロン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セロハン、紙、アルミなど、もしくはこれらの複合材料からなるフィルム状もしくはシート状の基材を示し、更に各基材は、金属酸化物などを表面に蒸着コート処理および/またはポリビニルアルコールなどがコート処理されていてもよく、さらにコロナ処理などの表面処理が施されていてもよい。
活性エネルギー線のうち、紫外線照射により硬化させる方法としては、150~450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いて、30~5000mJ/cm、好ましくは100~1000mJ/cm照射すればよい。紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
硬化後の膜厚としては、通常3~25μmであることが好ましく、特には5~15μmであることが好ましい。この範囲であれば基材への密着性、硬さ、耐スクラッチ性を容易に両立できる。
本発明の積層体は、プラスチック基材上にコーティング剤を印刷・乾燥・紫外線硬化して積層体を形成することで作成できる。
本発明の積層体は、JIS-K5600に準ずるオレフィン基材に対する密着性が90/100~100/100であることが好ましく、前記複合層のマルテンス硬さが100N/mm以上250N/mm以下、弾性変形回復率が70%以上であることが好ましい。
JIS-K5600に準ずる密着性評価方法とはサンプルの塗工物表面を鋭利なカッターナイフの刃先で約1mm角の碁盤目状の切れ込みを入れる。碁盤目は10×10のマス目とし、そこにニチバン(株)社製セロテープ(登録商標)を貼り合わせた後、強制的に引き剥がし、その時の表面状態を観察する。評価は、10×10=100マスのうち塗膜が剥がれずに残存したマス数で評価を行う。
マルテンス硬さとは、圧子を測定対象に押込み、一定の深さの凹みに作るのに要した「荷重」で硬さの度合いを示した指標である。なお、用いる圧子の形状はピラミッド形状(対面角90度)である。測定方法としては微小押込み硬さ試験機でマルテンス硬さを測定できる。
弾性変形回復率とは微小押込み硬さ試験機で一定荷重で一定の距離を圧子で押込み、荷重を0にしたとき凹みが「弾性」によりどれだけ回復するかを示す数値である。
硬化した積層体としては、オレフィン基材に対する密着性は90/100~100/100が好ましく、この範囲であれば他のプラスチック基材に対しても同様の密着性を保つことができる。マルテンス硬さが上記範囲にあるとき細かなキズ(例えばテーブル用化粧材としたときの陶器を滑らせることによる傷)が付かないことを示し、弾性変形回復率が上記範囲の場合には弾性回復の効果により耐スクラッチ性・大きな傷(例えば窓枠用化粧材としたときの重い植木鉢の引きずりなどによる傷)を避けることができる。なお、マルテンス硬さのより好ましい範囲は120N/mm以上200N/mm以下であり、弾性変形回復率のより好ましい範囲は80%以上である。
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されない。また、特に断りのない限り、実施例および比較例中、「部」および「%」は、それぞれ「質量部」および「質量%」を表す。
実施例中の重量平均分子量は、昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「ShodexGPCSystem-21」を用いた。GPCは溶媒に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、溶媒としてはテトロヒドロフラン、重量平均分子量の決定はポリスチレン換算で行った。
またマルテンス硬さおよび弾性変形回復率は微小押込み硬さ試験機(フィッシャースコープHM・2000:フィッシャー・インストルメンツ社製)にて測定を行った。
[合成例1](ウレタンアクリレートUA1組成物の合成)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、乾燥空気吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソシアヌレート構造を有するヘキサメチレンジイソシアネートの3量体を29.3部(0.05モル)、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(水酸基価122mgKOH/g)を70.7部(0.15モル)、重合禁止剤としてp‐メトキシフェノール0.08部、反応触媒として2-エチルヘキサン酸スズ0.02部を仕込み、80℃で5時間反応させウレタンアクリレートUA1(重量平均分子量は10,000)70部と、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(以下「PET4A」)30部の混合物を得た。
[合成例2](ウレタンアクリレートUB1の合成)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート44.4部(0.2モル)、分子量1000のポリテトラメチレングリコール100部(0.1モル)、反応触媒として2-エチルヘキサン酸スズ0.02部を仕込み、80℃で反応させた。残存イソシアネート基が5.2%となった時点で、2-ヒドロキシエチルアクリレート20.7g(0.18モル)、重合禁止剤としてp-メトキシフェノール0.04gをさらに仕込み、80℃で3時間反応させ、ウレタンアクリレートUB1(重量平均分子量2,700)を得た。
[製造例1](セルロースナノファイバーCNF1の製造)
リグノセルロース試料として、針葉樹由来のサーモメカニカルパルプ(以下「TMP」という)を使用した。TMPは、針葉樹木材チップを熱水中で機械的に解繊することによって得られる繊維である。元の針葉樹のセルロース、ヘミセルロース、リグニン含有量比率とTMPの含有比率は、サーモメカニカルパルプ製造中に変化していない。まず、TEMPO(0.0625g)、NaBr(0.625g)をイオン交換水(375mL)中に溶かし、その中に、絶乾重量で5gの未乾燥TMPを分散させた。リグニン量によっても上下するが、市販の約12%NaClO水溶液を、NaClO分として100mmol~130mmolになるように測り取り、TMP、TEMPO、NaBrを含む常温の水分散液中に、スターラーで攪拌している状態で添加した。pHスタット(東亜電波社製:pHを一定に保つようにアルカリや酸を常に添加する装置)を用いて、反応中は反応液がpH10を保つように、0.5M NaOH水溶液を添加するようにセットした。酸化反応が進むとセルロースミクロフィブリル表面にカルボキシル基(R-COOH)が生成するために、pHが下がってくる。これを0.5M NaOH水溶液で中和してpHを10に保つことになる。酸化反応の終点をNaOH水溶液の消費が止まった時点とすると、酸化反応は2~3時間で終了した。反応後に反応液中に残存している繊維状固形分(TEMPO酸化物)を、G3のガラスフィルター上で蒸留水によって十分に濾過洗浄を行った。
<TEMPO酸化物中のカルボキシル基量>
上記TEMPO酸化物0.3gを精秤し、pH3に調製後、0.05M NaOH水溶液を定速注入し、伝導度測定(東亜DKK社製伝導度装置pH/ion/EC/DO meter MN-60Rを用いて常温で測定)を行い、伝導度の変化の無い範囲をカルボキシル基の量とした。この伝導度滴定により、TMPのTEMPO触媒酸化反応で固形分として回収されたセルロース部分に導入されたカルボキシル基量が、ナノファイバー化するのに十分な量(1mmol/g以上)であることを確認した。
<CNF1分散体>
上記TEMPO酸化物をエタノールで分散させ、固形分濃度5.0%にした分散液を超音波ホモジナイザーで3分ほど処理すると、完全に透明な分散液が得られた。親水化処理したカーボングリッドに上記分散液をキャストし、酢酸ウラニルによって染色したものを透過型電子顕微鏡で観察したところ、TMPの短軸の数平均繊維径が約4nmのナノファイバーに変化していることを確認し、CNF1を得た。透過型電子顕微鏡像を図1に示す。
[製造例2~3]<セルロースナノファイバーCNF2~3分散体の製造>
製造例1と同様に製造し、TMPの短軸の数平均繊維径が約1nmのナノファイバーをCNF2、TMPの短軸の数平均繊維径が約50nmのナノファイバーをCNF3とした。
[合成例3](アクリルポリオールAP1の合成)
反応容器にメチルメタクリレート(以下「MMA」)90部、n‐ブチルアクリレート(以下「BA」)7部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(以下「2HEA」)3部、酢酸エチル150部、イソプロピルアルコール100部、及び1.2部のアゾビスイソブチロニトリルを加えて混合し、窒素ガス雰囲気下、70℃で8時間重合し、水酸基を有するアクリルポリオールAP1を得た。得られた樹脂溶液の固形分は40重量%、重量平均分子量は54,000、ガラス転移温度は101.7℃、水酸基価は14.5mgKOH/gであった。
[合成例4~6](アクリルポリオールAP2~AP4の合成)
表1に記載の原料および仕込み比にて、合成例3と同様の操作で、固形分は40重量%のアクリルポリオール(AP2~AP4)を得た。なお、原料の略称は以下に表されるものである。
IBXA:イソボニルアクリレート
2EHA:2‐エチルヘキシルアクリレート
4HBA:4‐ヒドロキシブチルアクリレート
CHA:シクロヘキシルアクリレート
なお、表1におけるガラス転移温度(Tg)は、各モノマーの、ホモポリマーにおけるガラス転移温度から算出した計算値であり、水酸基価(OH価)は4HBAあるいは2HEAのモル数から算出した計算値である。
なお、各モノマーから算出したガラス転移温度(Tg)は下記(式1)から算出した。
(式1)1/Tg(P)=W/Tg+W/Tg+W/Tg
Tg(P):共重合体のガラス転移温度(ケルビン)
Tg1,2,3:配合した各モノマーのホモポリマーにおけるガラス転移温度(ケルビン)
1,2,3:配合した各モノマーの重量分率(W+W+W=1)
[実施例1](化粧用コーティング剤S1の調整)
酸素濃度が10%以下に置換された遮光されたガラス容器に、アクリルポリオールAP1を5.5部、イソシアネート化合物NCO1(ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレート硬化剤 固形分100%)を0.5部、ウレタンアクリレートUA1組成物(PET4Aとの混合物)を37部、ウレタンアクリレートUB1を8部 セルロースナノファイバーCNF1の分散体を5部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(「DPHA」)を5部、アルキルフェノン系開始剤として2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(「1173」)を3部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である2-(2H-ベンゾトリアゾル-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノル(「571」)1部を攪拌機にて十分に攪拌を行い、充分に脱泡を行った後、化粧用コーティング剤S1を得た。
(化粧用積層体)
ポリプロピレンフィルム(厚さ60μm、フタムラ化学株式会社製、品名FOS)のコロナ処理面に、化粧用コーティング剤S1を溶剤(酢酸エチル)にてザーンカップ#4で粘度10秒となるようにに希釈し、その硬化膜の膜厚が6μmになるようにグラビア印刷方式で印刷し、60℃で乾燥した。その後、120W/cmの高圧水銀ランプ1灯、照射距離15cm、積算光量300mJ/cmで照射して紫外線硬化させた。その後、温度25℃にて48時間保持して、化粧用コーティング剤S1を用いた積層体を得た。
[実施例2~16および比較例1~2]
(化粧用コーティング剤S2~S16およびT1~T2の製造)
表2に示した原料および配合組成を用いた以外は実施例1と同様の手順で化粧用コーティング剤S2~S16およびT1~T2およびそれらの積層体を得た。なお、表2において、空欄は、配合なしを表す。なお、表2における略称は以下を示す。
UA1:ウレタンアクリレートUA1組成物(PET4Aとの混合物)
NCO2:キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクトであるイソシアヌレート硬化剤 固形分100%
NCO3:イソホロンジイソシアネートであるイソシアヌレート硬化剤 固形分100%
810:ダイセル・オルネクス(株)社製 ポリエステルアクリレート「EBECRYL810」(官能基数:4、重量平均分子量:1000、硬化物のガラス転移温度(Tg):31℃)
600:ダイセル・オルネクス社製 ポリエポキシアクリレート「EBECRYL600」(官能基数:2、重量平均分子量:500、硬化物のTg:67℃)
616:ダイセル・オルネクス社製 アクリルアクリレート「IRR616」(官能基数:3、重量平均分子量:900)
ETAC:酢酸エチル
<コーティング剤の評価>
化粧用コーティング剤S1~S16およびT1~T2の積層体について、以下の方法で鉛筆硬度、JIS-K5600での密着性、微小押込み硬さ試験機によるマルテンス硬さ、微小押込み硬さ試験機による弾性変形回復率、スチールウールによる硬度、耐スクラッチ性、及び耐溶剤性を測定し、結果を表3に示す。
<鉛筆硬度>
化粧用コーティング剤S1~S16およびT1~T2を用いた積層体についてJIS-K-5600に準拠し、鉛筆硬度試験機(HEIDON社製Scratching Tester HEIDON-14)を用い、鉛筆の芯の硬さを種々変えて、荷重500gにて5回試験をした。5回中、1回も傷がつかない、もしくは1回のみ傷が付く時の芯の硬さを、その塗工物の鉛筆硬度とした。実用的な要求物性は鉛筆硬度が2H以上のものである。
<JIS-K5600での密着性>
化粧用コーティング剤S1~S16およびT1~T2を用いた積層体についてJIS K5400のクロスカットテープ法で、テープ剥離後の硬化層の残存マス数を目視で評価を行なった。評価「△」、「△×」、「×」以外であれば、実際の使用時に特に問題ない。
○・・・・・・・100マス/100マス。
○△・・・・・・90マス/100マス。
△・・・・・・・50~80マス/100マス。
△×・・・・・・30~50マス/100マス。
×・・・・・・・0~30マス/100マス。
<微小押込み硬さ試験機によるマルテンス硬さ>
化粧用コーティング剤S1~S16およびT1~T2を用いた積層体について、マルテンス硬さを微小押込み硬さ試験機にて測定を行った。実用的な要求物性は数値が100~250N/mmである。
(測定条件)
装置:微小硬度計フィッシャースコープHM2000(フィッシャーインスツルメンツ製)
圧子:ビッカース圧子(四面ダイヤモンド錐体)
試験雰囲気:温度23℃、湿度50%
測定プログラム:層の表面に、ビッカース圧子に0.5mN/秒の条件で徐々に荷重を増加させながら荷重を加え、10mNに達した後10秒保持し、保持後0.5mN/秒の条件で荷重を減少させながら荷重を除荷した。
ISO14577の規格に基づいて算出されるマルテンス硬さ(N/mm)を測定値とした。
<微小押込み硬さ試験機による弾性変形回復率>
化粧用コーティング剤S1~S16およびT1~T2を用いた積層体について、弾性変形回復率を微小押込み硬さ試験機にて測定を行った。実用的な要求物性は50%以上のものであり、70%以上であれば良好である。(測定条件)装置:微小硬度計フィッシャースコープHM2000(フィッシャーインスツルメンツ製)
圧子:ビッカース圧子(四面ダイヤモンド錐体)
試験雰囲気:温度23℃、湿度50%
測定プログラム:層の表面に、前記ビッカース圧子に0.5mN/秒の条件で徐々に荷重を増加させながら荷重を加え、10mNに達した後10秒保持し、保持後0.5mN/秒の条件で荷重を減少させながら荷重を除荷し、除荷後、更に10秒間保持を行う。ここで、弾性変形回復率は上記測定条件で測定され、以下の式にて得られる。
弾性変形回復率=[(hmax-hmim)/hmax ]×100
hmax:10mNで10秒保持した後の最も深く圧子が押し込まれた際の押込み深さ
hmim:除荷後、更に10秒間保持した後の押込み深さ
<スチールウールによる硬度>
化粧用コーティング剤S1~S16およびT1~T2を用いた積層体について、学振試験機にセットし、スチールウールのNo.0000を用いて、荷重500gおよび1000gで10回学振させた。取り出した塗工物について、キズの付き具合を以下の5段階の目視で判断した。評価「△」、「△×」、「×」以外であれば、実際の使用時に特に問題ない。
○・・・・・・・キズが全くない。
○△・・・・・・僅かにキズが付いている。
△・・・・・・・キズは付いているが、基材は見えていない。
△×・・・・・・キズが付き、一部塗工物が剥がれている。
×・・・・・・・塗工物が剥がれてしまい、基材が剥き出しの状態。
<耐スクラッチ性>
化粧用コーティング剤S1~S16およびT1~T2を用いた積層体について、ガードナー社製のHofmannスクラッチ試験機にて、荷重を変化させて塗工物表面に傷がつかない最大荷重を測定した。評価「△」、「×」以外であれば、実際の使用時に特に問題ない。
○・・・・・・・荷重1000g以上で傷つきなし。
△・・・・・・・荷重500~1000gで傷つきなし。
×・・・・・・・荷重500gで傷つきあり。
<耐溶剤性>
化粧用コーティング剤S1~S16およびT1~T2を用いた積層体について、硬化層表面を酢酸エチル、あるいはイソプロピルアルコールを十分に含ませたウエスで塗工表面擦り、その外観変化とウエスの着色程度で評価した。評価「△」、「△×」、「×」以外であれば、実際の使用時に特に問題ない。
○・・・・・・・溶剤で擦った跡が残らない。
○△・・・・・・溶剤で擦った跡が僅かに残るが、ウエスは着色しない。
△・・・・・・・溶剤で擦った跡が残り、ウエスがやや着色する。
△×・・・・・・溶剤で擦った跡が大きく残るか、もしくはウエスが著しく着色する。
×・・・・・・・溶剤で擦った跡が大きく残り、かつウエスが著しく着色する。
評価結果から、プラスチック基材に塗工した際の硬化性が良好で、硬さ、基材への密着性および耐スクラッチ性に優れる、化粧材用コーティング剤を提供することができた。本発明以外のコーティング剤を使用した場合は、鉛筆硬度、密着性、微小押込み硬さ、硬度、耐スクラッチ性、耐溶剤性のいずれかに難があり、使用困難であることがわかる。
Figure 0007119741000001
Figure 0007119741000002
Figure 0007119741000003

Claims (5)

  1. ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエポキシアクリレートおよびアクリルアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種のアクリレート樹脂、水酸基価が10~120mgKOH/gであるアクリルポリオール、並びにセルロースナノファイバーを含有する化粧材用コーティング剤。
  2. 前記セルロースナノファイバーは、短軸の数平均繊維径が3~40nmである請求項1に記載の化粧材用コーティング剤。
  3. 前記アクリレート樹脂は、重量平均分子量が500~10000であり不飽和結合数が2~12であるウレタンアクリレートを含有する、請求項1または2に記載の化粧材用コーティング剤。
  4. 前記ウレタンアクリレートは、イソシアヌレート構造、ポリエーテル構造およびポリエステル構造より選ばれる少なくとも一種の構造を有する、請求項1~3いずれかに記載の化粧材用コーティング剤。
  5. プラスチック基材上に、請求項1~いずれかに記載の化粧材用コート剤からなる硬化層を有する化粧材用積層体。
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