JP2015024550A - 積層体及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材11、導電層12及びオーバーコート層13がこの順に積層されてなり、JIS K 5600−5−4に準拠した硬度試験によるオーバーコート層13の鉛筆硬度がHB以上であり、オーバーコート層13がセルロースナノファイバーを含有する積層体1を用い、その基材11を筐体として電子機器を構成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、基材、導電層及びオーバーコート層がこの順に積層されてなり、JIS K 5600−5−4に準拠した硬度試験による前記オーバーコート層の鉛筆硬度が、HB以上であり、前記オーバーコート層がセルロースナノファイバーを含有することを特徴とする積層体を提供する。
本発明の積層体においては、前記オーバーコート層がウレタンアクリレート樹脂及びエポキシアクリレート樹脂からなる群から選択される一種以上を用いて形成されたものであることが好ましい。
また、本発明は、上記本発明の積層体を用い、前記基材を筐体として備えたことを特徴とする電子機器を提供する。
本発明に係る積層体は、基材、導電層及びオーバーコート層がこの順に積層されてなり、JIS K 5600−5−4に準拠した硬度試験による前記オーバーコート層の鉛筆硬度が、HB以上であり、前記オーバーコート層がセルロースナノファイバー(以下、「CNF」と略記することがある)を含有することを特徴とする。
かかる積層体は、オーバーコート層が上記のような硬度(鉛筆硬度)を有することにより、導電層の保護作用が高く、また、オーバーコート層が繊維としてCNFを含有することにより、積層体全体の反りが顕著に抑制されたものである。
ここに示す積層体1は、基材11上に導電層12が積層され、導電層12上にオーバーコート層13が積層されたものである。導電層12は、基材11上においてオーバーコート層13により被覆されており、露出部位がないように構成されている。また、導電層12は、基材11上で所定の形状にパターニングされており、基材11の表面(一方の主面)11aのうち、導電層12が積層されていない部位には、オーバーコート層13がじかに接して積層されている。なお、ここでは、基材11の表面11a全面に導電層12又はオーバーコート層13が積層されたものを示しているが、積層体1においては、導電層12の露出部位がないように構成されていればよく、例えば、基材11の表面11aのうち、導電層12が積層されていない部位にはオーバーコート層13が積層されず、当該部位が露出していてもよい。
積層体1は、本発明に係る積層体の一例を示すものであり、本発明に係る積層体はこれに限定されるものではなく、例えば、導電層12は、基材11の表面11a全面に積層されていてもよい。
基材11は、目的に応じて任意の形状を選択できるが、プレート状、フィルム状又はシート状であることが好ましく、厚さが0.05〜5mmであることが好ましく、0.1〜3mmであることがより好ましい。
基材11の材質として具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリシクロオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)、ポリメタクリル酸ブチル(PBMA)、ポリアクリル酸メチル(PMA)、ポリアクリル酸エチル(PEA)、ポリアクリル酸ブチル(PBA)、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリアリレート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂が例示できる。
また、基材11の材質としては、上記以外にも、ガラス、シリコン等のセラミックス;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙類が例示できる。
また、基材11は、ガラスエポキシ樹脂、ポリマーアロイ等の、二種以上の材質を併用したものでもよい。
なお、基材11が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材11の厚さとなるようにするとよい。
導電層12の材質は、導電性を有するものであれば特に限定されないが、抵抗値が低い導電層を容易に形成できる点から、銀、銅等の単体金属、又は合金(以下、これらをまとめて「金属」と略記することがある)であることが好ましく、銀であることがより好ましく、後述する金属銀の形成材料を用いて形成されたものが特に好ましい。
オーバーコート層13は、JIS K 5600−5−4に準拠した硬度試験による鉛筆硬度がHB以上であり、十分な硬度を有し、導電層12の保護作用が高い。ここで、「導電層の保護作用」とは、導電層の変質や破損を抑制する作用を意味する。そして、「導電層の変質」とは、酸化、硫化等の、導電層がその機能を十分に発揮できなくなる程度の明確な導電層の材質の変化を意味する。また、「導電層の破損」とは、積層体の通常の取り扱い時に、外力によって生じる導電層の構造破壊を意味する。本発明に係る積層体は、オーバーコート層13が十分な硬度を有していることにより、導電層12の破損が抑制されるだけでなく、導電層12と変質原因物質(例えば、酸素、硫化水素、亜硫酸)との接触が高度に抑制されるため、導電層12の変質も抑制される
また、オーバーコート層13のCNF以外の材質は、一種のみでもよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に調節できる。
ここで、「マイグレーション」とは、導電層の構成成分が導電層表面から導電層外へ伸張して移動していく現象であり、導電層が銀層である場合には、金属銀が移動する。マイグレーションは、高湿度条件下で生じ易く、例えば、導電層のラインアンドスペースパターンでは、隣接するライン間で生じ易い。
密着層14は、基材11の表面11aの全面に積層され、導電層12は密着層14の表面14aの一部に積層されており、導電層12が積層されていない部位においては、密着層14にオーバーコート層13がじかに接して積層されている。なお、ここでは、基材11の表面11a全面に密着層14が積層されたものを示しているが、積層体2においては、導電層12の裏面(他方の主面)12bの全面が密着層14の表面14aと接触していることが好ましい。また、例えば密着層14は、基材11の表面11aの全面ではなく一部のみに積層されていてもよいし、その場合、密着層14はパターニングされていてもよく、基材11の表面11aのうち、密着層14が積層されていない部位には、オーバーコート層13がじかに接して積層されていてもよいし、何も積層されずに露出していてもよい。
密着層14の材質は、基材11及び導電層12の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されず、オーバーコート層13のCNF以外の材質と同様のものが例示できる。
密着層の材質は、一種のみでもよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に調節できる。
密着層14の材質が、例えば、樹脂である場合、かかる樹脂で好ましいものとしては、ウレタンアクリレート樹脂が例示でき、ポリカーボネート骨格を有するウレタンアクリレート樹脂(以下、「ポリカーボネート骨格含有ウレタンアクリレート樹脂」と記載することがある)であることがより好ましい。
本発明に係る積層体は、例えば、基材上に導電層を形成する工程と、前記導電層上にオーバーコート層を形成する工程と、を有する製造方法で製造できる。
図3は、図1に示す積層体1の製造方法を説明するための概略断面図である。
積層体1を製造するためには、まず、図3(b)に示すように、基材11の表面(一方の主面)11a上に導電層12を形成する。
導電層12の形成方法は、導電層12の材質に応じて適宜選択すればよい。
例えば、導電層12を形成するための組成物(以下、「導電層用組成物」と略記することがある)を調製し、これを基材11の表面11a上の所望の箇所に付着させ、必要に応じて乾燥処理や加熱(焼成)処理等の後処理を適宜選択して行うことで、導電層12を形成できる。加熱処理は、乾燥処理を兼ねて行ってもよい。
また、導電層用組成物を調製し、これを基材11の表面11a上の所定の箇所又は全面に付着させ、必要に応じて乾燥処理や加熱(焼成)処理等の後処理を適宜選択して行うことで導電層(パターニング前の導電層、図示略)を形成した後、エッチング等の公知の手法でこの導電層を所望の形状となるようにパターニングすることで、導電層12を形成できる。
また、導電箔等の所望の材質からなる導電膜(図示略)を、基材11の表面11a上に加熱融着させる方法や、接着剤を用いて表面11a上に接着させる方法で固定し、エッチング等の公知の手法でこの導電膜を所望の形状となるようにパターニングすることで、導電層12を形成できる。ここで、前記接着剤としては、例えば、ポリエステル系のものや、エポキシ樹脂を含有するポリウレタン等の公知のものが適宜使用できる。
次いで、図3(c)に示すように、導電層12上にオーバーコート層13を形成することで、積層体1が得られる。
オーバーコート層13の形成方法は、オーバーコート層13の材質に応じて適宜選択すればよい。
例えば、オーバーコート層13を形成するための組成物(以下、「コート用組成物」と略記することがある)を調製し、これを、導電層12を被覆するように基材11上の所望の箇所に付着させ、必要に応じて後処理を行うことにより、オーバーコート層13を形成できる。このときの後処理は、コート用組成物の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、CNF以外のオーバーコート層13の形成材料(以下、「コート材料」と略記することがある)として硬化性のモノマー、オリゴマー又はポリマー(ここで、オリゴマー及びポリマーは、上記の「ベース樹脂」に該当する)が配合されてなるものである場合には、紫外線照射処理や加熱処理を行えばよい。また、形成したオーバーコート層は、必要に応じてエッチング等の公知の手法で、さらにパターニングしてもよい。
まず、導電層12の形成方法について、より詳細に説明する。
導電層12の材質が金属である場合には、導電層用組成物として、金属の形成材料が配合されてなる金属インク組成物を調製し、これを基材11の表面11a上に付着させて、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の後処理を適宜選択して行うことで、導電層12を形成することが好ましい。
金属インク組成物中の金属の形成材料は、一種のみでもよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
金属の形成材料を用いることで、かかる材料から金属が生じ、この金属を含む導電層12が形成される。この場合の導電層12は、前記金属を主成分とするものであり、前記金属の比率が、見かけ上金属だけからなるとみなし得る程度に十分に高く、導電層12中の金属の比率は、好ましくは99質量%以上である。
前記金属銀の形成材料は、加熱等によって分解し、金属銀を形成するものである。
金属銀の形成材料としては、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀が例示できる。
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
なお、本明細書においては、単なる「カルボン酸銀」との記載は、特に断りの無い限り、「β−ケトカルボン酸銀(1)」及び「カルボン酸銀(4)」だけではなく、これらを包括する、「式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀」を意味するものとする。
Y1はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;R1は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;R2は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;R3は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R4及びR5はそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;R6は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
X1はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「R7O−」、「R7S−」、「R7−C(=O)−」若しくは「R7−C(=O)−O−」で表される基であり;
R7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
β−ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表される。
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R1−CY1 2−」、「CY1 3−」、「R1−CHY1−」、「R2O−」、「R5R4N−」、「(R3O)2CY1−」若しくは「R6−C(=O)−CY1 2−」で表される基である。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基が例示できる。
Rにおける前記アルキニル基としては、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH2−C≡CH)等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基が例示できる。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR2は、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR3は、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR4及びR5は、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R4及びR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR6は、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり、R6における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
X1における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
X1におけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO2)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R7がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、X1において隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。
カルボン酸銀(4)は、前記一般式(4)で表される
式中、R8は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基(−COOH)又は式「−C(=O)−OAg」で表される基である。
R8における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。ただし、R8における前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
なお、本明細書において、「金属銀の形成材料に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物の製造時に配合された金属銀の形成材料中の銀を意味し、配合後に引き続き金属銀の形成材料を構成している銀と、配合後に金属銀の形成材料が分解して生じた分解物中の銀及び銀自体と、の両方を含む概念とする。
前記銀インク組成物は、特に金属銀の形成材料が前記カルボン酸銀である場合、金属銀の形成材料以外に、さらに、炭素数25以下のアミン化合物及び第4級アンモニウム塩、アンモニア、並びに前記アミン化合物又はアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩からなる群から選択される一種以上の含窒素化合物(以下、単に「含窒素化合物」と略記することがある)が配合されてなるものが好ましい。
以下、炭素数25以下のアミン化合物を「アミン化合物」、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩を「第4級アンモニウム塩」、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩を「アミン化合物由来のアンモニウム塩」、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩を「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある。
前記アミン化合物は、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH2)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミンが例示できる。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、フラニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、チエニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状のものとしては、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとしてはエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタンが例示できる。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミンが例示できる。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンが例示できる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19であることが好ましい。また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が例示できる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドが例示できる。
環状アミンであれば、好ましいものとして、ピリジンが例示できる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、2−ブロモベンジルアミンが例示できる。ここで、前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
また、後述するように、二酸化炭素を供給して銀インク組成物を調製する場合には、二酸化炭素供給時において、銀インク組成物(第二の混合物)中の成分がより均一に分散して、品質が安定することから、前記アミン化合物は分岐鎖状のアルキル基を有するものが好ましい。
本発明において、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩であり、前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が例示できるが、これらに限定されない。
本発明において、前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩であり、ここで酸としては、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じものが例示できる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、塩化アンモニウム等が例示できるが、これに限定されない。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記含窒素化合物の配合量を上記のように規定することで、銀インク組成物は安定性がより向上し、導電層(導電体、金属銀)の品質がより向上する。さらに、高温による加熱処理を行わなくても、より安定して導電層を形成できる。
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらに還元剤が配合されてなるものが好ましい。還元剤を配合することで、前記銀インク組成物は、金属銀をより形成し易くなり、例えば、低温での加熱処理でも十分な導電性を有する導電層(導電体、金属銀)を形成できる。
H−C(=O)−R21 ・・・・(5)
(式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。)
前記還元性化合物は、シュウ酸(HOOC−COOH)、ヒドラジン(H2N−NH2)及び前記一般式(5)で表される化合物(化合物(5))からなる群から選択される一種以上のものである。すなわち、配合される還元性化合物は、一種のみでよいし、二種以上でもよく、二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
R21における炭素数20以下のアルキル基は、炭素数が1〜20であり、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
窒素原子に結合している前記アルキル基は、それぞれ直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、炭素数が1〜19である点以外は、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらにアルコールが配合されてなるものでもよい。
アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表される。
式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
銀インク組成物における前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されず、好ましいものとしては、アルコール以外の溶媒が例示でき、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。
銀インク組成物における前記その他の成分は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
銀インク組成物において、配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。ただし、本発明においては、還元剤は滴下により配合することが好ましく、さらに滴下速度の変動を抑制することで、金属銀の表面粗さをより低減できる傾向にある。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法、ミキサーを使用して混合する方法、超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
また、配合時間(混合時間)も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、5分〜5時間であることが好ましい。
銀インク組成物は、さらに二酸化炭素が供給されてなるものでもよい。このような銀インク組成物は高粘度となり、例えば、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等の、インクを厚盛りすることが必要な印刷法への適用に好適である。
そして、本発明においては、例えば、前記金属銀の形成材料及び含窒素化合物が配合されてなる第一の混合物に、二酸化炭素を供給して第二の混合物とし、必要に応じて前記第二の混合物に、さらに、前記還元剤を配合して、銀インク組成物を製造することが好ましい。また、前記アルコール又はその他の成分を配合する場合、これらは、第一の混合物及び第二の混合物のいずれか一方又は両方の製造時に配合でき、目的に応じて任意に選択できる。
そして、二酸化炭素ガスの供給時間は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量や、流量を考慮して適宜調節すればよい
この時の撹拌方法は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時における前記混合方法の場合と同様でよい。
ドライアイスの使用量は、上記の二酸化炭素ガスの供給量を考慮して調節すればよい。
ドライアイスの添加中及び添加後は、第一の混合物を撹拌することが好ましく、例えば、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時と同様の方法で撹拌することが好ましい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
撹拌時の温度は、二酸化炭素ガス供給時と同様でよい。また、撹拌時間は、撹拌温度に応じて適宜調節すればよい。
このときの銀インク組成物は、配合成分が異なる点以外は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物と同様の方法で製造できる。そして、得られた銀インク組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
前記印刷法としては、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が例示できる。
前記塗布法としては、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法が例示できる。
オーバーコート層13は、上記のコート材料及びCNFが配合されてなるコート用組成物を調製し、これを先に説明したように、導電層12を被覆するように基材11上の所望の箇所に付着させ(導電層12上に積層し)、必要に応じて後処理を行うことで、オーバーコート層13を形成することが好ましい。
コート用組成物中のコート材料及びCNFは、それぞれ一種のみでもよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記開始剤は、樹脂の形成材料の種類に応じて、公知のものから適宜選択すればよく、特に限定されない。
前記溶媒は、重合反応を阻害しないものであればよく、シクロヘキサノン、トルエン、エタノール、2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(イソホロン)、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(ジアセトンアルコール)等、公知のものから適宜選択すればよい。
前記植物は特に限定されず、好ましいものとしては、木、麦、稲、とうもろこし、綿、サトウキビ、葦、竹、じゃがいも、キャッサバ等が例示できる。
CNFの平均繊維長は、0.8μm以上であることが好ましく、0.8〜8μmであることがより好ましい。CNFの平均繊維長が前記下限値以上であることで、積層体の反りを抑制する効果がより高くなる。また、CNFの平均繊維長が前記上限値以下であることで、後述する方法によってCNFが容易に得られる。
なお、CNFの平均繊維幅及び平均繊維長は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)でのCNFの撮像データにおいて、任意に選択した30本のCNFについて、繊維幅及び繊維長の平均値を算出することで求められる。
また、コート用組成物において、溶媒(分散溶媒を用いる場合にはそれも含む)の配合量は、20〜60質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましい。
コート用組成物における前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
コート用組成物における前記その他の成分は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
コート用組成物において、配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。そして、配合成分が異なる点以外は、コート用組成物における各成分の配合方法及び配合条件は、銀インク組成物の場合と同様とすることができる。
CNF分散液は、公知の手法によってCNFを分散溶媒(分散媒)中に分散させて得られたものでもよいし、例えば、上記のCNFの製造方法で解繊工程によって得られた液体をそのまま、又は必要に応じて後処理したものをCNF分散液として用いてもよい。
CNF分散液の分散溶媒は、重合反応を阻害しないものであればよく、先に開始剤と併用する溶媒として挙げたものが例示できる。
密着層は、例えば、密着層を形成するための組成物(以下、「密着層用組成物」と略記することがある)を調製し、これを基材上に付着させ、必要に応じて後処理を行うことにより形成できる。
密着層形成時の前記後処理は、密着層用組成物の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、密着層の形成材料として、オーバーコート層形成時の前記樹脂の形成材料と同様のものを用いる場合には、紫外線照射処理や加熱処理を行えばよい。
基材上に密着層を形成する工程の後は、例えば、図3に示す基材11のような、密着層が形成されていない基材に代えて、密着層が形成された基材を用いること以外は、図3を参照して説明した、基材上に導電層を形成する工程と同様の方法で、密着層上に導電層を形成できる。
そして、図3に示すような、密着層が形成されておらず、導電層が形成された基材に代えて、密着層及び導電層が形成された基材を用いること以外は、図3を参照して説明した、導電層上にオーバーコート層を形成する工程と同様の方法で、導電層上にオーバーコート層を形成できる。
本発明に係る電子機器は、前記積層体を用い、前記基材を筐体として備えたことを特徴とし、例えば、前記積層体中の基材で筐体の少なくとも一部を構成したこと以外は、公知の電子機器と同様の構成とすることができる。例えば、前記積層体を回路基板として用いることができ、また、前記積層体に加え、音声入力部、音声出力部、操作スイッチ、表示部等を組み合わせることにより、携帯電話機を構成できる。また、導電層を低温で形成することも可能であり、基材等の材質を幅広く選択できるので、設計の自由度が飛躍的に向上し、より合理的な構造とすることも可能である。
なお、例えば、図1に示す積層体においては、導電層が基材上においてオーバーコート層により、露出部位がないように被覆されている例を示しているが、電子機器においては、この積層体中の導電層が、他の部品との接続のために、オーバーコート層により被覆されずに、露出された部位を有する場合がある。
本発明に係る電子機器は、長期に渡って安定した性能を維持することが可能である。
<積層体の製造>
(銀インク組成物の製造)
液温が50℃以下となるように、2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1倍モル量)に2−メチルアセト酢酸銀を添加して、15分間撹拌することにより、液状物を得た。この液状物に、反応液の温度が50℃以下となるように、ギ酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.8倍モル量)を30分間かけて滴下した。ギ酸の滴下終了後、25℃にて反応液をさらに1.5時間撹拌することにより、銀インク組成物を得た。各成分の配合比を表1に示す。表1中、「含窒素化合物(モル比)」とは、カルボン酸銀の配合量1モルあたりの含窒素化合物の配合量(モル数)([含窒素化合物のモル数]/[カルボン酸銀のモル数])を意味する。「還元剤(モル比)」も同様に、カルボン酸銀の配合量1モルあたりの還元剤の配合量(モル数)([還元剤のモル数]/[カルボン酸銀のモル数])を意味する。
表2に示す配合量となるように、紫外線硬化性のポリカーボネート骨格含有ウレタンアクリレート樹脂(日本合成社性「UV3310B」)、シクロヘキサノン(和光純薬社製)、及び光開始剤(BASF社製「イルガキュア127」)を添加し、室温(25℃)で10分間撹拌して、密着層用組成物を調製した。なお、表2中において質量%単位で表示している配合量は、配合成分の総量に対する各配合成分の割合を意味する。
文献「Masaya Nogi et al,Nanoscale,2013,5,4395−4399」に記載の方法を参考に、以下の方法でCNFを製造した。
撹拌機(Vita Mix社製「ABS−BU」)を用いて、2質量%の濃度で広葉樹のサルファイトパルプが懸濁した状態のスラッシュパルプ(日本製紙ケミカル社製)を、3700rpmで5分間撹拌した。
次いで、得られた撹拌物(懸濁液)を、パルプの濃度が0.5質量%となるように水で希釈し、超高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製「HJP−25005E」)を用いて、この希釈した懸濁液を直径0.15mmのノズルから245MPaの圧力で、セラミックボールに衝突させ、この操作を50回繰り返した。
次いで、得られた懸濁液を吸引ろ過し、得られた固形分をエタノールで洗浄することで、CNFを得た。
得られたCNFの物性等の特性を表4に示す。なお、表4中のCNFの物性等は、以下の方法で測定した。
SEMを用いて先に述べた方法で求めた。
上記のCNF製造時の吸引ろ過の際に、ろ紙の上に残ったCNFをそのまま常温で24時間放置した後、ろ紙から引き剥がすことにより、CNFシートを得た。そして、熱機械測定装置(TA Instruments社製「TMA Q400」)を用い、JIS K7197「プラスチックの熱機械分析による線膨張率試験方法」に準拠して、得られたCNFシートの50〜150℃における線膨張係数を測定した。
動的粘弾性測定装置(TA Instruments社製「DMA Q800」)を用い、上記のCNFシートのヤング率を測定した。
ホットディスク法熱物性測定装置(京都電子工業社製「TPS2500 S」)を用い、ISO/CD 22007−2に準拠してホットディスク法により、上記のCNFシートの熱伝達係数を測定した。
表3に示す配合量となるように、CNF及びエタノールを混合し、CNFを十分に分散させた。次いで、得られた分散液の全量に対して、表3に示す配合量となるように、脂環状イソシアネート骨格含有ウレタンアクリレート樹脂(新中村化学社製「U−6LPA」)、シクロヘキサノン(和光純薬社製)、及び光開始剤(BASF社製「イルガキュア127」)を添加し、室温(25℃)で10分間撹拌して、コート用組成物を製造した。なお、表3中において質量%単位で表示している配合量は、配合成分の総量に対する各配合成分の割合を意味する。また、用いた樹脂の物性等の特性を表5に示す。表5中、「粘度」は、アントンパール社製レオメータ「MCR301」を用いて測定した値である。
バーコーター(#01)を用いて、上記で得られた密着層用組成物をポリカーボネート/ABS樹脂アロイからなる基材(厚さ2mm)の一方の主面(表面)上に塗布し、オーブン内で80℃、5分間の条件で乾燥させた後、オゾンレス高圧水銀ランプを用いて乾燥させた塗膜に対して、100mJ/cm2の線量で紫外線を照射し、基材表面の全面に密着層(厚さ1μm)を形成した。
(積層体の反り、オーバーコート層の硬度の評価)
得られた積層体について、JIS X 6305−01に準拠して反りの大きさを測定し、オーバーコート層について、JIS K 5600−5−4に準拠して硬度(鉛筆硬度)を測定した。結果を表6に示す。
<積層体の製造及び評価>
表3に示すように、脂環状イソシアネート骨格含有ウレタンアクリレート樹脂に代えて、ビスフェノールAタイプエポキシアクリレート樹脂(ダイセル化学社製「EB3700」)を用い、オーバーコート層形成時の紫外線照射線量を800mJ/cm2(すなわち、推奨照射量)としたこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を製造し、評価した。結果を表6に示す。また、用いた樹脂の物性等の特性を表5に示す。
<積層体の製造及び評価>
表3に示すように、CNF及びエタノールを用いず、脂環状イソシアネート骨格含有ウレタンアクリレート樹脂、シクロヘキサノン及び光開始剤の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を製造し、評価した。結果を表6に示す。
<積層体の製造及び評価>
表3に示すように、CNF及びエタノールを用いず、ビスフェノールAタイプエポキシアクリレート樹脂、シクロヘキサノン及び光開始剤の配合量を変更したこと以外は、実施例2と同じ方法で積層体を製造し、評価した。結果を表6に示す。
<積層体の製造及び評価>
表3に示すように、繊維としてCNFに代えてガラス繊維を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を製造し、評価した。結果を表6に示す。また、用いたガラス繊維の物性等の特性を表4に示す。なお、表4中のガラス繊維の物性等は、CNFの場合と同じ方法で測定した。
<積層体の製造及び評価>
表3に示すように、CNFに代えてガラス繊維を用いたこと以外は、実施例2と同じ方法で積層体を製造し、評価した。結果を表6に示す。ガラス繊維は比較例3と同じものを用いた。
また、繊維としてガラス繊維を用いた比較例3〜4では、積層体の反りが軽度に抑制されていたが、オーバーコート層の硬度が低かった。これは、ガラス繊維の透明度が低く、また、ガラス繊維とベース樹脂との屈折率差が大きいことにより、紫外線を照射してコート用組成物を硬化させたときに、照射された紫外線が組成物中で均一に広がらず、硬化にむらが生じたからであると推測される。
Claims (3)
- 基材、導電層及びオーバーコート層がこの順に積層されてなり、
JIS K 5600−5−4に準拠した硬度試験による前記オーバーコート層の鉛筆硬度が、HB以上であり、
前記オーバーコート層がセルロースナノファイバーを含有することを特徴とする積層体。 - 前記オーバーコート層がウレタンアクリレート樹脂及びエポキシアクリレート樹脂からなる群から選択される一種以上を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 請求項1又は2に記載の積層体を用い、前記基材を筐体として備えたことを特徴とする電子機器。
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