JP6749197B2 - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体及びその製造方法に関する。
建物の内装材や家具等には、ホルムアルデヒドを含む接着剤やバインダーを用いて製造されたものがあり、製品としてホルムアルデヒドを含むものがある。このような製品からは、ホルムアルデヒドが放出されるため、放出されたホルムアルデヒドが室内で滞留し、人や動物に対して健康被害を及ぼすことが問題となっている。そこで、ホルムアルデヒドの除去効果を有する壁紙等の内装材の開発が進められている。
このような内装材としては、ホルムアルデヒドと物理的・化学的に反応して無害・無臭の状態に変化させる機能を有するホルムアルデヒド捕捉剤や、ホルムアルデヒド吸着剤を、樹脂層中に含有する壁紙が開示されている(特許文献1及び2参照)。
特開平10−100334号公報 特開2016−113722号公報
特許文献1及び2で開示されている壁紙はいずれも、ホルムアルデヒドの除去効果を有する内装材として有用なものである。
しかし、ホルムアルデヒドの除去効果を、さらに長期間維持できることが望まれており、そのような内装材を構成可能な新規の積層体の開発が強く望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ホルムアルデヒドの除去効果を長期間維持可能な積層体及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、基材の少なくとも一方の表面上に、薬剤含有層を備え、前記薬剤含有層が、マイクロカプセル化されたホルムアルデヒド反応剤と、マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤と、を含有し、前記マイクロカプセル化されたホルムアルデヒド反応剤が徐放性を有する、積層体を提供する。
本発明の積層体においては、前記マイクロカプセル中のホルムアルデヒド反応剤が、アミノ基及びアミノ基が塩を形成している基を有しないことが好ましい。
本発明の積層体においては、前記マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤が、アミノ基及びアミノ基が塩を形成している基のいずれか一方又は両方を有することが好ましい。
また、本発明は、前記積層体の製造方法であって、前記マイクロカプセル化されたホルムアルデヒド反応剤と、前記マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤と、が配合されてなる薬剤含有層形成用組成物を用いて、前記基材の少なくとも一方の表面上に前記薬剤含有層を形成する、積層体の製造方法を提供する。
本発明によれば、ホルムアルデヒドの除去効果を長期間維持可能な積層体及びその製造方法が提供される。
本発明の第1実施形態の積層体を模式的に示す断面図である。 本発明の第2実施形態の積層体を模式的に示す断面図である。 本発明の第3実施形態の積層体を模式的に示す断面図である。
<<積層体>>
本発明の積層体は、基材の少なくとも一方の表面上に、マイクロカプセル化されたホルムアルデヒド反応剤(本明細書においては「マイクロカプセル剤」と称することがある)と、マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤(本明細書においては「非マイクロカプセル剤」と称することがある)と、を含有する薬剤含有層を備えたものである。
本発明の積層体は、このように、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤をともに含有する薬剤含有層を備えていることにより、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤のいずれか一方を単独で含有する層を備えている場合よりも、ホルムアルデヒドの除去効果が顕著に優れ、際立って優れた相乗効果を示す。より具体的には、本発明の積層体は、ホルムアルデヒドの除去効果を際立って長期間維持可能である。
本発明の積層体におけるこのような、ホルムアルデヒドの除去効果が顕著に優れる薬剤含有層は、後述するように、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤が配合されてなる薬剤含有層形成用組成物を用いて形成できる。
本発明の積層体における前記薬剤含有層は、その形成当初において、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤をともに含有する。
本発明の積層体は、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤をともに含有する薬剤含有層以外に、その他の層を備えていてもよく、前記その他の層は目的に応じて任意に選択できる。例えば、本発明の積層体は、前記その他の層として、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤のいずれか一方を単独で含有する層を備えていてもよい。
本発明の積層体は、例えば、建物の内装材(例えば、壁紙等)や家具、又はこれら内装材や家具の構成材料等、ホルムアルデヒドの除去対象物に対して設けるのに好適である。
本発明の積層体は、ホルムアルデヒドの除去対象物に対して、接着剤を用いたり、取り付け用の治具を用いるなど、公知の方法で設けることができる。
本発明の積層体の形状は、目的に応じて任意に選択でき、例えば、シート状、プレート状(板状)、ブロック状等とすることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態の積層体を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
ここに示す積層体1は、基材11上に薬剤含有層12を備えてなる。
[基材]
基材11は、フィルム状又はシート状であることが好ましい。
基材11の材質としては、例えば、紙、樹脂等が挙げられる。
前記紙としては、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、レジンコート紙、合成紙等が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂等の合成樹脂;ポリブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレンゴム、プロピレンゴム、シリコンゴム等の合成ゴム等が挙げられる。
基材11は、ここでは1層であるものを示しているが、1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。基材11が複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
なお、本明細書においては、基材の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の材質及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
基材11の厚さは、特に限定されないが、40〜200μmであることが好ましい。
ここで、「基材11の厚さ」とは、基材11全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる基材11の厚さとは、基材11を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
基材11の坪量(表面積1mあたりの質量)は、特に限定されないが、20〜200g/mであることが好ましく、製造コスト及び機械的強度の観点では、70〜100g/mであることがより好ましい。
[薬剤含有層]
薬剤含有層12は、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤を含有し、ホルムアルデヒドの除去活性を有する。すなわち、積層体1は、薬剤含有層12を備えていることで、ホルムアルデヒド除去能を有する。
積層体1において、薬剤含有層12は、基材11の一方の表面(本明細書においては「第1面」と称することがある)11a上に設けられており、基材11の他方の表面(前記第1面とは反対側の面、本明細書においては「第2面」と称することがある)11b上に設けられていない。すなわち、積層体1は、基材11の両面のうち、第1面11a上のみに薬剤含有層12を備えている。
また、積層体1は、薬剤含有層12中、すなわち基材11の同一面上に、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤をともに有する。
薬剤含有層12は、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤を含有していればよく、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤のみを含有していてもよいし、これら以外の他の成分を含有していてもよい。なお、ここでは、薬剤含有層12を明確な表面を有する層として示しているが、例えば、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤のみを含有している薬剤含有層の場合、このような明確な表面を有していないこともある。
薬剤含有層12における前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤については、後ほど詳細に説明する。
薬剤含有層12における前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤は、いずれも、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
薬剤含有層12の、前記マイクロカプセル剤中のホルムアルデヒド反応剤と、非マイクロカプセル剤(マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤)と、の合計含有量は、特に限定されないが、6質量%以上であることが好ましく、8.5質量%以上であることがより好ましく、11質量%以上であることがさらに好ましく、13.5質量%以上であることが特に好ましい。
薬剤含有層12の、前記マイクロカプセル剤中のホルムアルデヒド反応剤と、非マイクロカプセル剤と、の合計含有量の上限値は、特に限定されず、例えば、24質量%、21質量%及び18質量%のいずれかであってもよい。
薬剤含有層12の、前記マイクロカプセル剤中のホルムアルデヒド反応剤と、非マイクロカプセル剤と、の合計含有量は、上述の好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、前記合計含有量の好ましい一例としては、6〜24質量%の範囲が挙げられる。
薬剤含有層12において、[マイクロカプセル剤中のホルムアルデヒド反応剤の含有量(質量部)]:[非マイクロカプセル剤(マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤)の含有量(質量部)]の比率(質量比)は、90:10〜10:90であることが好ましく、80:20〜20:80であることがより好ましく、70:30〜30:70であることが特に好ましく、例えば、65:35〜35:65、及び55:45〜45:55のいずれかであってもよい。薬剤含有層12における前記比率がこのような範囲であることで、積層体1のホルムアルデヒド除去能がより向上する。
薬剤含有層12における前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
薬剤含有層12における前記他の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
好ましい前記他の成分としては、例えば、樹脂等が挙げられる。
薬剤含有層12における樹脂としては、例えば、基材11における樹脂と同様のものが挙げられる。
薬剤含有層12の、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤の合計含有量は、特に限定されないが、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましく、例えば、90質量%以上、93質量%以上、95質量%以上及び97質量%以上のいずれかであってもよい。
薬剤含有層12の、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤の合計含有量の上限値は、特に限定されず、例えば、100質量%、99質量%及び98質量%のいずれかであってもよい。
薬剤含有層12の、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤の合計含有量は、上述の好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、前記合計含有量の好ましい一例としては、60〜100質量%の範囲が挙げられる。
薬剤含有層12は、ここでは1層であるものを示しているが、1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。薬剤含有層12が複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
薬剤含有層12の厚さは、特に限定されないが、200〜800μmであることが好ましい。
ここで、「薬剤含有層12の厚さ」とは、薬剤含有層12全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる薬剤含有層12の厚さとは、薬剤含有層12を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
なお、薬剤含有層12の表面の凹凸度が高い場合や、上述のように薬剤含有層12が明確な表面を有していない場合など、薬剤含有層12の状態が一様でない場合には、薬剤含有層12の基材11の第1面11aから最も高い部位の高さを、薬剤含有層12の厚さとすればよい。
薬剤含有層12の基材11上での形成量は、特に限定されないが、5〜60g/m・dryであることが好ましい。
本実施形態の積層体は、図1に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図1に示すものにおいて、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、図1に示す積層体1は、基材11上に薬剤含有層12のみを備えているが、薬剤含有層12以外の他の層を備えていてもよい。
前記他の層は特に限定されず、その種類及び厚さ等は、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、積層体1は、前記他の層として、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤のいずれか一方を単独で含有する層を備えていてもよい。
また、積層体1は、基材11の第2面11b上に、別途、他の層を備えていてもよい。前記第2面11b上の他の層としては、前記第1面11a上のいずれかの層と同様のものが挙げられる。
例えば、前記第2面11b上に、ホルムアルデヒド除去能を有する薬剤含有層を備える場合には、この薬剤含有層は、第1面11a上の薬剤含有層12と同様の形態とすることができ、第1面11a上の薬剤含有層12と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、図1に示す積層体1は、基材11の第2面11b上に、基材11とは別途にさらに他の基材を備えていてもよい。前記他の基材は、基材11と同様の形態とすることができ、基材11と同一であってもよいし、異なっていてもよい。そして、前記他の基材は、接着剤層を介して基材11上に積層されていてもよい。
また、積層体1は、少なくとも、基材11側とは反対側の最表層(例えば、薬剤含有層12)の表面が、エンボス面等の凹凸面となっていてもよい。このような凹凸面を有することにより、積層体1の意匠性がより向上する。
<第2実施形態>
図2は、本発明の第2実施形態の積層体を模式的に示す断面図である。
なお、図2以降の図において、図1に示すものと同じ構成要素には、図1の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図2に示す積層体2は、基材21上に樹脂層22を備え、樹脂層22上に印刷層23を備え、印刷層23上に被覆層24を備えてなる。すなわち、積層体2は、基材21上に、樹脂層22、印刷層23及び被覆層24がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなるものである。
さらに、積層体2において、樹脂層22、印刷層23及び被覆層24のいずれか一又は二以上は、積層体1における薬剤含有層12に相当する層、すなわち、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤を含有し、ホルムアルデヒドの除去活性を有する層(薬剤含有層)である。
積層体2も、薬剤含有層を備えていることで、ホルムアルデヒド除去能を有する。
積層体2においては、樹脂層22及び被覆層24のいずれか一方又は両方が、薬剤含有層であることが好ましい。
さらに、積層体2において、基材21は、第1基材211及び第2基材212が積層されてなる、2層構造を有する。
さらに、積層体2においては、被覆層24の一方の表面(本明細書においては「第1面」と称することがある)24aに開口部を有し、かつ、第2基材212の他方の表面(本明細書においては「第2面」と称することがある)212aに到達する貫通孔20が、一又は二以上設けられている。
積層体2は、図1に示す積層体1において、前記他の層を備え、基材上にさらに別途、他の基材を備え、さらに貫通孔を備えたものに相当する。
積層体2において、薬剤含有層は、基材21の一方の表面(本明細書においては「第1面」と称することがある)21a、換言すると、第1基材211の一方の表面(本明細書においては「第1面」と称することがある)211a上に設けられており、基材21の他方の表面(本明細書においては「第2面」と称することがある)21b、換言すると、第2基材212の一方の表面(本明細書においては「第2面」と称することがある)212b上に設けられていない。すなわち、積層体2は、基材21の両面のうち、第1面21a上のみに薬剤含有層を備えている。
また、積層体2は、薬剤含有層中、すなわち基材21の同一面上に、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤をともに有する。
[基材]
基材21、すなわち、第1基材211及び第2基材212はいずれも、フィルム状又はシート状であることが好ましい。
第1基材211及び第2基材212はいずれも、積層体1における基材11と同様のものとすることができる。
第2基材212は、第1基材211と同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
第2基材212を第1基材211とは異なる材質とすることで、積層体2の特性を調節できる。例えば、第2基材212を、ホルムアルデヒドの捕捉能を有するものとすることにより、積層体2のホルムアルデヒド除去能をより向上させることができる。ホルムアルデヒドの捕捉能を有する材質としては、例えば、石膏等が挙げられる。すなわち、本実施形態においては、第2基材212の材質として、積層体1における基材11の材質として挙げたもの以外に、さらに石膏等も挙げられる。
第2基材212が、石膏等の、ホルムアルデヒドの捕捉能を有する材質からなる場合、その厚さは、例えば、40〜12000μmであることが好ましい。
[樹脂層]
樹脂層22は、少なくとも樹脂を含有する層であればよいが、上述のように、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤を含有する薬剤含有層であることが好ましい。
樹脂層22における前記樹脂は、特に限定されず、好ましいものとしては、例えば、積層体1の基材11における樹脂と同様のものが挙げられる。
樹脂層22における前記樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
樹脂層22が薬剤含有層である場合、樹脂層22における前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤は、いずれも、積層体1におけるマイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤と同様のものである。
樹脂層22における前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤は、いずれも、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
樹脂層22が薬剤含有層である場合、樹脂層22の、前記マイクロカプセル剤中のホルムアルデヒド反応剤と、非マイクロカプセル剤(マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤)と、の合計含有量は、1.5質量%以上であることが好ましく、2.5質量%以上であることがより好ましく、3.5質量%以上であることがさらに好ましく、4.5質量%以上であることが特に好ましい。
一方、樹脂層22の、前記マイクロカプセル剤中のホルムアルデヒド反応剤と、非マイクロカプセル剤と、の合計含有量は、16.5質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、13.5質量%以下であることがさらに好ましく12質量%以下であることが特に好ましい。
樹脂層22の、前記マイクロカプセル剤中のホルムアルデヒド反応剤と、非マイクロカプセル剤と、の合計含有量は、上述の好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、前記合計含有量の好ましい一例としては、1.5〜16.5質量%の範囲が挙げられる。
樹脂層22が薬剤含有層である場合、樹脂層22において[マイクロカプセル剤中のホルムアルデヒド反応剤の含有量(質量部)]:[非マイクロカプセル剤(マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤)の含有量(質量部)]の比率(質量比)は、90:10〜10:90であることが好ましく、80:20〜20:80であることがより好ましく、70:30〜30:70であることが特に好ましく、例えば、65:35〜35:65、及び55:45〜45:55のいずれかであってもよい。樹脂層22における前記比率がこのような範囲であることで、積層体2のホルムアルデヒド除去能がより向上する。
樹脂層22は、前記樹脂、マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤のいずれにも該当しない、他の成分を含有していてもよい。
樹脂層22における前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
樹脂層22における前記他の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
樹脂層22の、前記樹脂、マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤の合計含有量は、特に限定されないが、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましく、例えば、90質量%以上、93質量%以上、95質量%以上及び97質量%以上のいずれかであってもよい。
樹脂層22の、前記樹脂、マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤の合計含有量の上限値は、特に限定されず、例えば、100質量%、99質量%及び98質量%のいずれかであってもよい。
樹脂層22の、前記樹脂、マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤の合計含有量は、上述の好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、前記合計含有量の好ましい一例としては、60〜100質量%の範囲が挙げられる。
樹脂層22は、例えば、発泡樹脂層であってもよいし、非発泡樹脂層であってもよい。
樹脂層22が発泡樹脂層である積層体2は、意匠性を向上させることができる。
また、樹脂層22が発泡樹脂層で、かつ薬剤含有層である積層体2は、ホルムアルデヒド除去能をより向上させることができる。
樹脂層22が発泡樹脂層で、かつ薬剤含有層である場合、樹脂層22は、前記樹脂、マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤以外に、さらに、天然ゼオライト、酸性白土、珪藻土、合成ゼオライト、人工ゼオライト、活性炭、酸化チタン及びリン酸塩からなる群から選択される1種又は2種以上の無機化合物を含有していてもよい。前記無機化合物は、それ自体がホルムアルデヒドを吸着可能であり、さらに、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤のホルムアルデヒドとの反応性を向上させることが可能な場合がある。したがって、このような樹脂層を備えた積層体2は、ホルムアルデヒド除去能がより向上する。
樹脂層22が前記無機化合物を含有する場合、樹脂層22の前記無機化合物の含有量は、特に限定されないが、0.1〜10質量%であることが好ましい。
樹脂層22は、基材21の第1面21a(第1基材211の第1面211a)の全面に設けられていてもよいし、一部の領域のみに設けられていてもよいが、全面に設けられていることが好ましい。
樹脂層22は、ここでは1層であるものを示しているが、1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。樹脂層22が複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
樹脂層22が複数層である場合、これら複数層の一部のみが薬剤含有層であってもよいし、すべてが薬剤含有層であってもよく、すべてが薬剤含有層でなくてもよい。
樹脂層22の厚さは、特に限定されないが、200〜800μmであることが好ましい。
ここで、「樹脂層22の厚さ」とは、樹脂層22全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる樹脂層22の厚さとは、樹脂層22を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
樹脂層22の厚さは、薬剤含有層12の場合と同様に特定すればよい。
[印刷層]
印刷層23は、積層体2に情報又は意匠性等を付与するためのものである。
印刷層23は、樹脂層22の一方の表面(本明細書においては「第1面」と称することがある)22aの全面に設けられていてもよいし、一部の領域のみに設けられていてもよく、一部の領域のみに設けられている場合、パターニングされていてもよいし、パターニングされていなくてもよい。印刷層23がパターニングされている場合、そのパターンは特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
印刷層23が薬剤含有層である場合、印刷層23の、前記マイクロカプセル剤中のホルムアルデヒド反応剤と、非マイクロカプセル剤(マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤)と、の合計含有量、及び、[マイクロカプセル剤中のホルムアルデヒド反応剤の含有量(質量部)]:[非マイクロカプセル剤(マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤)の含有量(質量部)]の比率(質量比)は、いずれも樹脂層22の場合と同様とすることができる。
印刷層23は、ここでは1層であるものを示しているが、1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。印刷層23が複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。また、印刷層23は、1層の中に色が互いに異なる領域を有していてもよい。
印刷層23が複数層である場合、これら複数層の一部のみが薬剤含有層であってもよいし、すべてが薬剤含有層であってもよく、すべてが薬剤含有層でなくてもよい。
印刷層23の厚さは、特に限定されないが、1〜10μmであることが好ましい。
ここで、「印刷層23の厚さ」とは、印刷層23全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる印刷層23の厚さとは、印刷層23を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
[被覆層]
被覆層24は、積層体2において、基材11の第1面11a側の最表層を被覆する層である。被覆層24は、積層体2の物理的な破損や、化学的な変質等を抑制して、積層体2の全体構造を保護する。
印刷層23が樹脂層22の第1面22aの全面に設けられている場合には、被覆層24は、印刷層23の一方の表面(本明細書においては「第1面」と称することがある)23aの全面を被覆する。また、印刷層23が樹脂層22の第1面22aの一部の領域のみに設けられている場合には、被覆層24は、印刷層23の第1面23aの全面と、印刷層23が設けられていない、基材21上のいずれかの層の露出面を被覆する。ここで、前記露出面としては、例えば、樹脂層22の第1面22a等が挙げられる。
被覆層24は、有色及び無色のいずれであってもよく、透明、半透明及び不透明のいずれであってもよい。ただし、印刷層23を備えている場合、印刷層23を認識可能とするために、被覆層24は透明又は半透明であることが好ましい。
被覆層24が薬剤含有層である場合、前記マイクロカプセル剤中のホルムアルデヒド反応剤と、非マイクロカプセル剤(マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤)と、の合計含有量、及び、[マイクロカプセル剤中のホルムアルデヒド反応剤の含有量(質量部)]:[非マイクロカプセル剤(マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤)の含有量(質量部)]の比率(質量比)は、いずれも樹脂層22の場合と同様とすることができる。
被覆層24は、ここでは1層であるものを示しているが、1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。被覆層24が複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
被覆層24が複数層である場合、これら複数層の一部のみが薬剤含有層であってもよいし、すべてが薬剤含有層であってもよく、すべてが薬剤含有層でなくてもよい。
被覆層24の厚さは、特に限定されないが、1〜50μmであることが好ましい。
ここで、「被覆層24の厚さ」とは、被覆層24全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる被覆層24の厚さとは、被覆層24を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
上述のように、積層体2においては、被覆層24の第1面24aに開口部を有し、かつ、第2基材212の第2面212aに到達する貫通孔20が、一又は二以上設けられている。
積層体2は、貫通孔20を備えていなくてもよいが、備えていることにより、ホルムアルデヒドの除去能がより向上する。これは、除去対象のホルムアルデヒドが薬剤含有層にまで容易に到達するためである。また、第2基材212が石膏からなるもの等の、ホルムアルデヒドの捕捉能を有するものである場合には、このような第2基材212の作用によって、積層体2のホルムアルデヒドの除去能がさらに向上する。
貫通孔20の前記開口部とは反対側の端部(開口部)は、第2基材212の第2面212aと重なる部位で終了していてもよいし、前記第2面212aを通過して、第2基材212の内部にまで到達していてもよい。
貫通孔20の孔径は、特に限定されないが、10〜1000μmであることが好ましい。
なお、本明細書において、「貫通孔の孔径」とは、「貫通孔の長手方向に対して垂直な方向における断面での貫通孔の孔径」を意味する。
貫通孔20の数は、特に限定されないが、500〜10000個/mであることが好ましい。
なお、ここでは貫通孔20が、第2基材212の第2面212aと重なる部位にまで到達している例を示しているが、貫通孔20は、少なくとも薬剤含有層に到達していればよい。そして、貫通孔20の前記開口部とは反対側の端部(開口部)は、薬剤含有層の基材21から遠い方の表面と重なる部位で終了していてもよいし、前記表面を通過して、薬剤含有層の内部にまで到達していてもよい。
また、ここでは、貫通孔20の前記開口部から反対側の端部へ向けての距離が大きくなるに従って、貫通孔20の孔径が小さくなっている例を示しているが、貫通孔20の孔径は、前記距離が大きくなるに従って、大きくなっていてもよいし、前記距離が大きくなるに従って、規則的ではなく不規則的に変化してもよいし、前記距離によらず一定であってもよい。
本実施形態の積層体は、図2に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図2に示すものにおいて、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、図2に示す積層体2において、樹脂層22、印刷層23及び被覆層24のいずれか一又は二以上は、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤のいずれか一方を単独で含有する層であってもよい。
また、例えば、図2に示す積層体2は、基材21の第1面21a(第1基材211の第1面211a)上に、樹脂層22、印刷層23及び被覆層24以外に、さらに他の層を備えていてもよい。
前記他の層は特に限定されず、その種類及び厚さ等は、目的に応じて任意に選択できる。 例えば、積層体2は、前記他の層として、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤のいずれか一方を単独で含有する層を備えていてもよい。
積層体2において貫通孔20を設ける場合には、必要に応じて前記他の層にも貫通孔20を設ける。
また、積層体2は、基材21の第2面21b(第2基材212の第2面212b)上に、別途、他の層を備えていてもよい。前記第2面21b上の他の層としては、前記第1面21a上のいずれかの層と同様のものが挙げられる。
例えば、前記第2面21b上に、樹脂層、印刷層及び被覆層のいずれか一又は二以上を備える場合、これらの層は、前記第1面21a上の樹脂層22、印刷層23又は被覆層24と同様の形態とすることができ、樹脂層22、印刷層23又は被覆層24と同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、前記第2面21b上に、ホルムアルデヒド除去能を有する薬剤含有層を備える場合には、この薬剤含有層は、前記第1面21a上の薬剤含有層と同様の形態とすることができ、前記第1面11a上の薬剤含有層と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、積層体2は、少なくとも、基材21側とは反対側の最表層(例えば、被覆層24)の表面が、エンボス面等の凹凸面となっていてもよい。このような凹凸面を有することにより、積層体2の意匠性がより向上する。
<第3実施形態>
図3は、本発明の第3実施形態の積層体を模式的に示す断面図である。
図3に示す積層体3は、基材31上に樹脂層22を備え、樹脂層22上に密着層25を備え、密着層25上に印刷層23を備え、印刷層23上に被覆層24を備えてなる。すなわち、積層体3は、基材31上に、樹脂層22、密着層25、印刷層23及び被覆層24がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなるものである。
そして、基材31は、第1基材211、接着剤層310及び第2基材212がこの順に、これらの厚さ方向に積層されてなる、3層構造を有する。
さらに、積層体3において、樹脂層22、密着層25、印刷層23及び被覆層24のいずれか一又は二以上は、積層体1における薬剤含有層12に相当する層、すなわち、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤を含有し、ホルムアルデヒドの除去活性を有する層(薬剤含有層)である。
積層体3も、薬剤含有層を備えていることで、ホルムアルデヒド除去能を有する。
積層体3においては、樹脂層22及び被覆層24のいずれか一方又は両方が、薬剤含有層であることが好ましい。
さらに、積層体3においては、被覆層24の第1面24aに開口部を有し、かつ、第2基材212の第2面212aに到達する貫通孔30が、一又は二以上設けられている。
積層体3は、貫通孔30を備えていなくてもよいが、備えていることにより、積層体2の場合と同様に、ホルムアルデヒドの除去能がより向上する。
積層体3において、貫通孔30は、密着層25及び接着剤層310にも形成されている点以外は、積層体2における貫通孔20と同様に設けられている。
積層体3において、樹脂層22、密着層25、印刷層23及び被覆層24のいずれか一又は二以上は、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤のいずれか一方を単独で含有する層であってもよい。
積層体3は、密着層25及び接着剤層310を備え、これらの層にも貫通孔30が設けられている点以外は、図2に示す積層体2と同じものである。
積層体3において、薬剤含有層は、基材31の一方の表面(本明細書においては「第1面」と称することがある)31a、換言すると、第1基材211の第1面211a上に設けられており、基材31の他方の表面(本明細書においては「第2面」と称することがある)31b、換言すると、第2基材212の第2面212b上に設けられていない。すなわち、積層体3は、基材31の両面のうち、第1面31a上のみに薬剤含有層を備えている。
また、積層体3は、薬剤含有層中、すなわち基材31の同一面上に、前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤をともに有する。
積層体3において、第1基材211、第2基材212、樹脂層22、印刷層23及び被覆層24はそれぞれ、積層体2における第1基材211、第2基材212、樹脂層22、印刷層23及び被覆層24と同じものである。
基材31は、接着剤層310を備えている点以外は、積層体2における基材21と同じものである。
[接着剤層]
接着剤層310は、第1基材211及び第2基材212を接着して、積層体3の構造を安定化する。
接着剤層310は、公知の接着性樹脂を含有し、フィルム状又はシート状であることが好ましい。
接着剤層310の厚さは、特に限定されないが、1〜100μmであることが好ましい。
[密着層]
密着層25は、樹脂層22及び印刷層23を密着させて、積層体3の構造を安定化する。
密着層25としては、例えば、公知のカップリング剤又は接着性樹脂等を用いて形成されたものが挙げられる。
密着層25は、フィルム状又はシート状であることが好ましい。
密着層25の厚さは、特に限定されないが、1〜50μmであることが好ましい。
密着層25が薬剤含有層である場合、密着層25の、前記マイクロカプセル剤中のホルムアルデヒド反応剤と、非マイクロカプセル剤(マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤)と、の合計含有量、及び、[マイクロカプセル剤中のホルムアルデヒド反応剤の含有量(質量部)]:[非マイクロカプセル剤(マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤)の含有量(質量部)]の比率(質量比)は、いずれも樹脂層22の場合と同様とすることができる。
<<積層体の製造方法>>
本発明の積層体は、基材の少なくとも一方の表面上に、前記薬剤含有層を積層することで製造できる。
基材としては、市販品を用いてもよいし、その材質に応じて、公知の方法で成形して得られたものを用いてもよい。
薬剤含有層は、例えば、これを形成するための成分を含有する薬剤含有層形成用組成物を、薬剤含有層の形成対象面に塗工し、乾燥させることで形成できる。ここで、「薬剤含有層の形成対象面」としては、例えば、図1に示す積層体1においては、「基材11の第1面11a」や、後述する剥離フィルムの剥離処理面等が挙げられる。
薬剤含有層形成用組成物は、例えば、前記マイクロカプセル剤、非マイクロカプセル剤、及び必要に応じてこれら以外の他の成分を配合することで得られ、さらに溶媒を配合して得られたものが好ましい。
また、薬剤含有層形成用組成物は、例えば、前記マイクロカプセル剤を調製して得られた液状物(分散物)に、非マイクロカプセル剤、及び必要に応じて前記他の成分を配合することでも得られる。
薬剤含有層が、上述の樹脂層、密着層、印刷層及び被覆層のいずれか(例えば、図2又は3における樹脂層22、密着層25、印刷層23及び被覆層24のいずれか)である場合には、これらの層を構成するための必須成分をさらに配合したものを、薬剤含有層形成用組成物とすればよい。
薬剤含有層形成用組成物調製時の混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
薬剤含有層形成用組成物調製時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、例えば、5〜60℃とすることができるが、これは一例である。
薬剤含有層形成用組成物調製時の時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、例えば、10分〜24時間とすることができるが、これは一例である。
薬剤含有層形成用組成物の塗工方法は特に限定されず、液状物を塗工できる方法であれば、いずれでもよい。具体的な塗工方法としては、例えば、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター、グラビアオフセットコーター等の各種コーター;ワイヤーバーコーター等の装置、を使用する公知の方法が挙げられる。
本発明の積層体が、薬剤含有層ではない樹脂層、密着層、印刷層及び被覆層のいずれかを備える場合、これら各層も上述の薬剤含有層の場合と同様に、これら各層を形成するための成分を含有する組成物(樹脂層形成用組成物、密着層形成用組成物、印刷層形成用組成物、被覆層形成用組成物)を、これら各層の形成対象面に塗工し、乾燥させることで形成できる。
本発明の積層体を構成する基材以外の各層は、積層体において隣接するいずれかの形成済みの層に、上述のいずれかの組成物を直接塗工して形成することにより、積層してもよいし、剥離フィルムの剥離処理面に上述のいずれかの組成物を塗工して形成した層を、積層体において隣接するいずれかの形成済みの層に貼り合わせることで、積層してもよい。
例えば、図2又は図3に示すように、貫通孔を設ける場合には、積層体の該当箇所に、針状の部材を刺し込んで、貫通孔を形成すればよい。
次に、薬剤含有層が含有する前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤について、詳細に説明する。
<マイクロカプセル剤>
前記マイクロカプセル剤は、マイクロカプセル化されたホルムアルデヒド反応剤である。
マイクロカプセル剤は、重縮合物を膜形成成分とし、ホルムアルデヒドとの反応性を有するホルムアルデヒド反応剤を内包する。
[ホルムアルデヒド反応剤]
前記ホルムアルデヒド反応剤は、ホルムアルデヒドとの反応性を有するものであれば、特に限定されない。本明細書において、「ホルムアルデヒドとの反応性を有する」とは、ホルムアルデヒドと反応して、ホルムアルデヒドを別の化合物に変換する能力を有することを意味する。すなわち、前記ホルムアルデヒド反応剤は、ホルムアルデヒドとの反応性を有する基を含む。ホルムアルデヒドは、前記ホルムアルデヒド反応剤との反応によって、別の化合物への変換という形で除去される。
マイクロカプセルに内包されている(マイクロカプセル剤中の)ホルムアルデヒド反応剤は、アミノ基及びアミノ基が塩を形成している基(本明細書においては、「アミノ基塩形成基」と略記することがある)を有しないものが好ましい。
マイクロカプセル剤において、膜形成成分として重縮合物を用い、ホルムアルデヒド反応剤としてアミノ基及びアミノ基塩形成基を有しないものを用いることで、ホルムアルデヒド反応剤を内包するマイクロカプセル(マイクロカプセル剤)を安定して形成できる。
前記アミノ基塩形成基としては、例えば、アミノ基が1価のカチオン部となって、このカチオン部がアニオンとともに塩を形成している基が挙げられる。
ここで、前記カチオン部としては、例えば、アミノ基(−NH)の窒素原子に水素イオン(H)が配位結合したものが挙げられる。この場合の前記アニオンの価数は特に限定されず、1(1価)でもよいし2(2価)以上でもよい。前記アニオンが1価である場合、前記塩を形成している前記アニオンの個数と、前記カチオン部の個数は、共に1である。また、前記アニオンがn価(nは2以上の整数である)である場合、前記塩を形成している前記アニオンの個数は通常1であり、前記カチオン部の個数はn以下であり、通常はnである。この場合、複数個の前記カチオン部は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
前記アミノ基塩形成基における前記アニオンとしては、後述する、式「−NH−」で表される基が塩を形成している基(「−NH−」塩形成基)におけるアニオン部と同様のものが挙げられる。
ホルムアルデヒド反応剤は、有機化合物であることが好ましく、このようなホルムアルデヒド反応剤としては、例えば、式「−NH−」で表される基(以下、「「−NH−」基」と略記することがある)及び式「−NH−」で表される基が塩を形成している基(以下、「「−NH−」塩形成基」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上を有する化合物が挙げられる。ホルムアルデヒド反応剤において、「−NH−」基は、ホルムアルデヒドとの反応性を示し、「−NH−」塩形成基はそれ自体が、又は「−NH−」基となってこの「−NH−」基が、ホルムアルデヒドとの反応性を示すと推測される。
ホルムアルデヒド反応剤は、「−NH−」基又は「−NH−」塩形成基を有する場合、これら基中の窒素原子は、既に共有結合している1個の水素原子以外に、さらに水素原子と共有結合することはない。
ホルムアルデヒド反応剤1分子中の、「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基の総数は、1個のみでもよいし、2個以上でもよく、2個以上である場合、これら2個以上の基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、これら2個以上の基は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。通常は、目的とするホルムアルデヒド反応剤の調製が容易であることから、これら2個以上の基は、すべて同一であること、すなわち、すべて「−NH−」基であるか、又はすべて同一の「−NH−」塩形成基であることが好ましい。
「−NH−」塩形成基としては、例えば、「−NH−」基が1価のカチオン部となって、このカチオン部がアニオンとともに塩を形成している基が挙げられる。
ここで、前記カチオン部としては、例えば、「−NH−」基の窒素原子に水素イオン(H)が配位結合したものが挙げられる。この場合の前記アニオンの価数は特に限定されず、1(1価)でもよいし2(2価)以上でもよい。前記アニオンが1価である場合、前記塩を形成している前記アニオンの個数と、前記カチオン部の個数は、共に1である。また、前記アニオンがm価(mは2以上の整数である)である場合、前記塩を形成している前記アニオンの個数は通常1であり、前記カチオン部の個数はm以下であり、mであることが好ましい。この場合、複数個の前記カチオン部は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
「−NH−」塩形成基における前記アニオンは、特に限定されず、無機アニオン及び有機アニオンのいずれでもよい。
好ましい前記無機アニオンとしては、例えば、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、ハロゲン化物イオン等が挙げられ、前記ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。
好ましい前記有機アニオンとしては、例えば、カルボン酸のアニオン、スルホン酸のアニオン等が挙げられる。
前記カルボン酸のアニオンは、モノカルボン酸(1価カルボン酸)のアニオンでもよいし、ジカルボン酸、トリカルボン酸等の多価カルボン酸のアニオンでもよい。
ホルムアルデヒド反応剤が有する前記アニオンは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
すなわち、1分子のホルムアルデヒド反応剤が2個以上の前記アニオンを有する場合、これら2個以上のアニオンは、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
ただし、ホルムアルデヒド反応剤は、分子全体として電気的に中性であること、すなわち、ホルムアルデヒド反応剤1分子中の前記カチオン部の価数の合計値とアニオンの価数の合計値とは、同じであることが好ましい。
ホルムアルデヒド反応剤1分子中の、「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基の総数は、1〜4個であることが好ましく、1〜3個であることがより好ましい。
ホルムアルデヒド反応剤の分子中における、「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基の位置は、特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド反応剤が鎖状構造である場合には、分子の末端部以外であれば、いずれの位置であってもよい。
ホルムアルデヒド反応剤は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、鎖状構造及び環状構造をともに有していてもよい。
ホルムアルデヒド反応剤が環状構造を有する場合、その環は、単環状及び多環状のいずれであってもよく、脂肪族環及び芳香族環のいずれであってもよく、脂肪族環及び芳香族環が縮環した多環状であってもよい。
ホルムアルデヒド反応剤が環状構造を有する場合、「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基は、前記環状構造の環骨格を形成していてもよいし、環骨格を形成せずに、環骨格を形成している基に結合していてもよい。
ホルムアルデヒド反応剤において、「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基の窒素原子は、窒素原子又はカルボニル基の炭素原子に結合していることが好ましい。
1個のカルボニル基にこのように結合している「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基の総数は、1個のみでもよいし、2個でもよい。
1個の窒素原子にこのように結合している「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基の総数は、1個のみでもよいし、2個でもよいが、1個であることが好ましい。
すなわち、好ましいホルムアルデヒド反応剤としては、例えば、式「−C(=O)−NH−」で表される基(アミド結合、以下、「「−C(=O)−NH−」基」と略記することがある)、式「−NH−C(=O)−NH−」で表される基(以下、「「−NH−C(=O)−NH−」基」と略記することがある)、式「−C(=O)−NH−」で表される基が塩を形成している基(以下、「「−C(=O)−NH−」塩形成基」と略記することがある)、式「−NH−C(=O)−NH−」で表される基が塩を形成している基(以下、「「−NH−C(=O)−NH−」塩形成基」と略記することがある)、式「=N−NH−」で表される基(以下、「「=N−NH−」基」と略記することがある)、式「−HN−N(−)−NH−」で表される基(以下、「「−HN−N(−)−NH−」基」と略記することがある)、式「=N−NH−」で表される基が塩を形成している基(以下、「「=N−NH−」塩形成基」と略記することがある)及び式「−HN−N(−)−NH−」で表される基が塩を形成している基(以下、「「−HN−N(−)−NH−」塩形成基」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上を有するもの、が挙げられる。ここで、例えば、「−HN−N(−)−NH−」基とは、1個の窒素原子に、2個の「−NH−」基の窒素原子と、さらにもう1個の基と、が単結合で結合しているものを意味する。
なお、「−NH−C(=O)−NH−」塩形成基及び「−HN−N(−)−NH−」塩形成基において、「−NH−」塩形成基の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
環状構造を有するホルムアルデヒド反応剤で好ましいものとしては、例えば、「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基からなる群から選択される1種又は2種以上が、環状構造の環骨格を形成しているものが挙げられ、「−C(=O)−NH−」基、「−NH−C(=O)−NH−」基、「−C(=O)−NH−」塩形成基、「−NH−C(=O)−NH−」塩形成基、「=N−NH−」基、「−HN−N(−)−NH−」基、「=N−NH−」塩形成基及び「−HN−N(−)−NH−」塩形成基からなる群から選択される1種又は2種以上が、環状構造の環骨格を形成しているホルムアルデヒド反応剤がより好ましい。
ホルムアルデヒド反応剤が環状構造を有する場合、その環骨格の環員数、すなわち、環骨格を形成している原子の数(個)は、単環状である場合には、好ましくは5〜7、より好ましくは5又は6であり、多環状である場合には、好ましくは8〜10である。
特に好ましいホルムアルデヒド反応剤としては、例えば、置換基を有していてもよいヒダントイン及びその塩、置換基を有していてもよい2−イミダゾリジノン及びその塩、置換基を有していてもよい5−ピラゾロン及びその塩、置換基を有していてもよい3−ピラゾロン及びその塩、置換基を有していてもよい1,2,4−トリアゾール−3−オン及びその塩、置換基を有していてもよいフタルイミド及びその塩、置換基を有していてもよいグリコールウリル及びその塩、置換基を有していてもよいピラゾール及びその塩、置換基を有していてもよい1,2,3−トリアゾール及びその塩、置換基を有していてもよい1,2,4−トリアゾール及びその塩、並びに置換基を有していてもよい1,2,3−ベンゾトリアゾール及びその塩等が挙げられる。
ヒダントイン、2−イミダゾリジノン、5−ピラゾロン、3−ピラゾロン、1,2,4−トリアゾール−3−オン、フタルイミド、グリコールウリル、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール及び1,2,3−ベンゾトリアゾールの構造を以下に示す。
ヒダントイン、2−イミダゾリジノン、5−ピラゾロン、3−ピラゾロン、1,2,4−トリアゾール−3−オン、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール及び1,2,4−トリアゾールはいずれも、環員数が5の化合物である。フタルイミド及び1,2,3−ベンゾトリアゾールはいずれも、環員数が9の化合物である。グリコールウリルは環員数が8の化合物である。
なお、ここに示す化合物は、ホルムアルデヒド反応剤のごく一例に過ぎない。
Figure 0006749197
ここで、ヒダントインの塩としては、例えば、ヒダントイン中の2個の「−NH−」基のいずれか一方又は両方が、「−NH−」塩形成基となったものが挙げられる。
また、2−イミダゾリジノンの塩としては、例えば、2−イミダゾリジノン中の2個の「−NH−」基のいずれか一方又は両方が、「−NH−」塩形成基となったものが挙げられる。
また、5−ピラゾロンの塩としては、例えば、5−ピラゾロン中の「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となったもの、水素原子と結合していない方の窒素原子が塩を形成したもの、及び、「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となり、かつ水素原子と結合していない方の窒素原子が塩を形成したもの、が挙げられる。
また、3−ピラゾロンの塩としては、例えば、3−ピラゾロン中の2個の「−NH−」基のいずれか一方又は両方が、「−NH−」塩形成基となったものが挙げられる。
また、1,2,4−トリアゾール−3−オンの塩としては、例えば、1,2,4−トリアゾール−3−オン中の2個の「−NH−」基のいずれか一方又は両方が、「−NH−」塩形成基となったものが挙げられる。
また、フタルイミドの塩としては、例えば、フタルイミド中の1個の「−NH−」基が、「−NH−」塩形成基となったものが挙げられる。
また、グリコールウリルの塩としては、例えば、グリコールウリル中の4個の「−NH−」基の少なくとも1個が、「−NH−」塩形成基となったものが挙げられる。
また、ピラゾールの塩としては、例えば、ピラゾール中の「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となったもの、水素原子と結合していない方の窒素原子が塩を形成したもの、及び、「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となり、かつ水素原子と結合していない方の窒素原子が塩を形成したもの、が挙げられる。
また、1,2,3−トリアゾールの塩としては、例えば、1,2,3−トリアゾール中の「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となったもの、水素原子と結合していない方の2個の窒素原子のいずれか一方又は両方が塩を形成したもの、及び、「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となり、かつ水素原子と結合していない方の2個の窒素原子のいずれか一方又は両方が塩を形成したもの、が挙げられる。
また、1,2,4−トリアゾールの塩としては、例えば、1,2,4−トリアゾール中の「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となったもの、水素原子と結合していない方の2個の窒素原子のいずれか一方又は両方が塩を形成したもの、及び、「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となり、かつ水素原子と結合していない方の2個の窒素原子のいずれか一方又は両方が塩を形成したもの、が挙げられる。
また、1,2,3−ベンゾトリアゾールの塩としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール中の「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となったもの、水素原子と結合していない方の2個の窒素原子のいずれか一方又は両方が塩を形成したもの、及び、「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となり、かつ水素原子と結合していない方の2個の窒素原子のいずれか一方又は両方が塩を形成したもの、が挙げられる。
なお、本明細書において、「置換基を有する」とは、元の化合物の1個以上の水素原子(ただし、「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基中の水素原子を除く)が水素原子以外の基(置換基)で置換されていることを意味する。
本明細書においては、置換基を有するヒダントインを「ヒダントイン誘導体」と称し、ヒダントイン及びヒダントイン誘導体を包括して「ヒダントイン系化合物」と称することがある。そして、置換基を有するヒダントインの塩、すなわち、ヒダントイン誘導体の塩とは、ヒダントイン誘導体が、ヒダントインの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよいヒダントイン及びその塩」とは、換言すると、ヒダントイン系化合物及びその塩のことである。
本明細書において「誘導体」とは、元の化合物の1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されているものを意味する。
ヒダントイン以外の化合物の場合も同様である。
すなわち、本明細書においては、置換基を有する2−イミダゾリジノンを「2−イミダゾリジノン誘導体」と称し、2−イミダゾリジノン及び2−イミダゾリジノン誘導体を包括して「2−イミダゾリジノン系化合物」と称することがある。そして、置換基を有する2−イミダゾリジノンの塩、すなわち、2−イミダゾリジノン誘導体の塩とは、2−イミダゾリジノン誘導体が、2−イミダゾリジノンの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよい2−イミダゾリジノン及びその塩」とは、換言すると、2−イミダゾリジノン系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有する5−ピラゾロンを「5−ピラゾロン誘導体」と称し、5−ピラゾロン及び5−ピラゾロン誘導体を包括して「5−ピラゾロン系化合物」と称することがある。そして、置換基を有する5−ピラゾロンの塩、すなわち、5−ピラゾロン誘導体の塩とは、5−ピラゾロン誘導体が、5−ピラゾロンの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよい5−ピラゾロン及びその塩」とは、換言すると、5−ピラゾロン系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有する3−ピラゾロンを「3−ピラゾロン誘導体」と称し、3−ピラゾロン及び3−ピラゾロン誘導体を包括して「3−ピラゾロン系化合物」と称することがある。そして、置換基を有する3−ピラゾロンの塩、すなわち、3−ピラゾロン誘導体の塩とは、3−ピラゾロン誘導体が、3−ピラゾロンの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよい3−ピラゾロン及びその塩」とは、換言すると、3−ピラゾロン系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有する1,2,4−トリアゾール−3−オンを「1,2,4−トリアゾール−3−オン誘導体」と称し、1,2,4−トリアゾール−3−オン及び1,2,4−トリアゾール−3−オン誘導体を包括して「1,2,4−トリアゾール−3−オン系化合物」と称することがある。そして、置換基を有する1,2,4−トリアゾール−3−オンの塩、すなわち、1,2,4−トリアゾール−3−オン誘導体の塩とは、1,2,4−トリアゾール−3−オン誘導体が、1,2,4−トリアゾール−3−オンの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよい1,2,4−トリアゾール−3−オン及びその塩」とは、換言すると、1,2,4−トリアゾール−3−オン系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有するフタルイミドを「フタルイミド誘導体」と称し、フタルイミド及びフタルイミド誘導体を包括して「フタルイミド系化合物」と称することがある。そして、置換基を有するフタルイミドの塩、すなわち、フタルイミド誘導体の塩とは、フタルイミド誘導体が、フタルイミドの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよいフタルイミド及びその塩」とは、換言すると、フタルイミド系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有するグリコールウリルを「グリコールウリル誘導体」と称し、グリコールウリル及びグリコールウリル誘導体を包括して「グリコールウリル系化合物」と称することがある。そして、置換基を有するグリコールウリルの塩、すなわち、グリコールウリル誘導体の塩とは、グリコールウリル誘導体が、グリコールウリルの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよいグリコールウリル及びその塩」とは、換言すると、グリコールウリル系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有するピラゾールを「ピラゾール誘導体」と称し、ピラゾール及びピラゾール誘導体を包括して「ピラゾール系化合物」と称することがある。そして、置換基を有するピラゾールの塩、すなわち、ピラゾール誘導体の塩とは、ピラゾール誘導体が、ピラゾールの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよいピラゾール及びその塩」とは、換言すると、ピラゾール系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有する1,2,3−トリアゾールを「1,2,3−トリアゾール誘導体」と称し、1,2,3−トリアゾール及び1,2,3−トリアゾール誘導体を包括して「1,2,3−トリアゾール系化合物」と称することがある。そして、置換基を有する1,2,3−トリアゾールの塩、すなわち、1,2,3−トリアゾール誘導体の塩とは、1,2,3−トリアゾール誘導体が、1,2,3−トリアゾールの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよい1,2,3−トリアゾール及びその塩」とは、換言すると、1,2,3−トリアゾール系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有する1,2,4−トリアゾールを「1,2,4−トリアゾール誘導体」と称し、1,2,4−トリアゾール及び1,2,4−トリアゾール誘導体を包括して「1,2,4−トリアゾール系化合物」と称することがある。そして、置換基を有する1,2,4−トリアゾールの塩、すなわち、1,2,4−トリアゾール誘導体の塩とは、1,2,4−トリアゾール誘導体が、1,2,4−トリアゾールの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよい1,2,4−トリアゾール及びその塩」とは、換言すると、1,2,4−トリアゾール系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有する1,2,3−ベンゾトリアゾールを「1,2,3−ベンゾトリアゾール誘導体」と称し、1,2,3−ベンゾトリアゾール及び1,2,3−ベンゾトリアゾール誘導体を包括して「1,2,3−ベンゾトリアゾール系化合物」と称することがある。そして、置換基を有する1,2,3−ベンゾトリアゾールの塩、すなわち、1,2,3−ベンゾトリアゾール誘導体の塩とは、1,2,3−ベンゾトリアゾール誘導体が、1,2,3−ベンゾトリアゾールの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよい1,2,3−ベンゾトリアゾール及びその塩」とは、換言すると、1,2,3−ベンゾトリアゾール系化合物及びその塩のことである。
前記置換基は、特に限定されないが、好ましいものとしては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アリールアルキル基)、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基等が挙げられる。
前記置換基におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。
前記アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
環状の前記アルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられ、さらに、これら環状のアルキル基の1個以上の水素原子が、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基で置換されたものが挙げられる。ここで、水素原子を置換する直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基としては、上述のホルムアルデヒド反応剤が有する置換基として挙げたアルキル基と同じものが挙げられる。
前記アルキル基の炭素数は1〜8であることが好ましく、1〜6であることがより好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
前記置換基におけるアルケニル基としては、例えば、前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換されてなる基が挙げられ、例えば、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
前記アルケニル基の炭素数は、2〜10であることが好ましく、2〜8であることがより好ましく、2〜6であることが特に好ましい。
前記置換基におけるアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基(ジメチルフェニル基)等が挙げられ、これらアリール基の1個以上の水素原子が、さらにこれらアリール基や、上述のホルムアルデヒド反応剤が有する置換基として挙げたアルキル基で置換されたものも挙げられる。これら置換基を有するアリール基は、置換基も含めて炭素数が6〜15であることが好ましい。
前記アリール基の炭素数は6〜10であることがより好ましい。
前記置換基におけるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基(フェニルメチル基)、フェネチル基(フェニルエチル基)等、前記アルキル基の1個の水素原子が前記アリール基で置換されてなる1価の基が挙げられる。
前記アラルキル基の炭素数は、7〜20であることが好ましく、7〜11であることがより好ましい。
前記置換基におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロポキシ基等、前記アルキル基が酸素原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
前記アルコキシ基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
前記置換基におけるアルケニルオキシ基としては、例えば、エテニルオキシ基(ビニルオキシ基)、2−プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)、シクロヘキセニルオキシ基等、前記アルケニル基が酸素原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
前記アルケニルオキシ基の炭素数は、2〜10であることが好ましく、2〜8であることがより好ましく、2〜6であることが特に好ましい。
前記置換基におけるアリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基等、前記アリール基が酸素原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
前記アリールオキシ基の炭素数は、6〜10であることが好ましい。
前記置換基におけるアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基(フェニルメチルオキシ基)、フェネチルオキシ基(フェニルエチルオキシ基)等、前記アラルキル基が酸素原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
前記アラルキルオキシ基の炭素数は、7〜20であることが好ましく、7〜11であることがより好ましい。
1分子のホルムアルデヒド反応剤が有する前記置換基は、1個のみでもよいし、2個以上でもよく、2個以上である場合、これら置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、2個以上の置換基は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
通常、1分子のホルムアルデヒド反応剤が有する前記置換基は、1〜4個であることが好ましく、1〜3個であることがより好ましい。
ホルムアルデヒド反応剤の分子中における、前記置換基の位置は、特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド反応剤が鎖状構造である場合には、分子の末端部であってもよいし、末端部以外の部位であってもよい。
ホルムアルデヒド反応剤が2個以上の前記置換基を有する場合、これら置換基の結合位置は、すべて同じであってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同じであってもよい。
上述の特に好ましいホルムアルデヒド反応剤のうち、前記置換基を有するものとしては、ヒダントイン誘導体である5,5−ジメチルヒダントイン;5−ピラゾロン誘導体である3−メチル−5−ピラゾロン;ピラゾール誘導体である3,5−ジメチルピラゾール;1,2,4−トリアゾール誘導体である3−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジ−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール;1,2,3−ベンゾトリアゾール誘導体である4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
5,5−ジメチルヒダントイン、3−メチル−5−ピラゾロン、3,5−ジメチルピラゾール、3−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジ−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール及び3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールはいずれも、環員数が5の化合物である。4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール及び5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールはいずれも、環員数が9の化合物である。
なお、ここに示す化合物は、前記置換基を有するホルムアルデヒド反応剤のごく一例に過ぎない。
ホルムアルデヒド反応剤は、常温で固体であるものが好ましい。そして、常温で固体であるホルムアルデヒド反応剤を用いる場合、後述する溶媒を併用することが好ましい。なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
ホルムアルデヒド反応剤で特に好ましいものとしては、例えば、ヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、2−イミダゾリジノン、5−ピラゾロン、3−メチル−5−ピラゾロン、3−ピラゾロン、3,5−ジメチルピラゾール、フタルイミド、グリコールウリル、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジ−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール−3−オン、1,2,3−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
マイクロカプセルが内包するホルムアルデヒド反応剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
マイクロカプセルが内包するホルムアルデヒド反応剤の量(含有量)は、特に限定されず、目的に応じて適宜調節できる。
マイクロカプセルが内包するホルムアルデヒド反応剤の量(含有量)は、例えば、後述するマイクロカプセルの製造条件によって調節できる。
[膜形成成分]
前記マイクロカプセルは、重縮合物を膜形成成分とする。本発明において、「膜形成成分」とは、有効成分であるホルムアルデヒド反応剤を包み込む外殻の膜を形成する成分である。
前記重縮合物は、オリゴマー又はポリマーであり、膜形成能を有する有機化合物であれば特に限定されないが、界面重縮合法で得られた界面重縮合物が好ましい。界面重縮合物を用いることにより、より優れた品質のマイクロカプセルが得られる。
好ましい前記重縮合物としては、例えば、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアミド等が挙げられる。
ここで、「ポリウレア」とは、式「−NH−C(=O)−NH−」で表される結合(ウレア結合)を有するオリゴマー又はポリマーを意味し、例えば、原料化合物として、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と、2個以上のアミノ基を有するアミン化合物と、を重縮合反応させることにより得られる。
また、「ポリウレタン」とは、式「−NH−C(=O)−O−」で表される結合(ウレタン結合)を有するオリゴマー又はポリマーを意味し、例えば、原料化合物として、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と、2個以上の水酸基(−OH)を有するヒドロキシ化合物と、を重縮合反応させることにより得られる。
また、「ポリアミド」とは、式「−NH−C(=O)−」で表される結合(アミド結合)を有するオリゴマー又はポリマーを意味し、例えば、原料化合物として、2個以上のカルボキシ基(−C(=O)−OH)を有するカルボン酸、又はその1個又は2個以上のカルボキシ基がクロロカルボニル基(−C(=O)−Cl)で置換されてなるカルボン酸クロライドと、2個以上のアミノ基を有するアミン化合物と、を重縮合反応させることにより得られる。
ポリウレア及びポリウレタンを製造するための前記イソシアネート化合物は、アミノ基又は水酸基を有しないものが好ましく、アミノ基及び水酸基をともに有しないものがより好ましい。
前記イソシアネート化合物がその1分子中に有するイソシアネート基の数は、2個以上であれば特に限定されないが、2〜6個であることが好ましく、2〜5個であることがより好ましく、2〜4個であることがさらに好ましく、2又は3個であることが特に好ましい。
前記イソシアネート化合物としては、例えば、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート等の有機多価イソシアネート化合物;前記有機多価イソシアネート化合物の誘導体(ただし、イソシアネート基は置換されないものとする);前記有機多価イソシアネート化合物のトリメチロールプロパン付加体;前記有機多価イソシアネート化合物の誘導体(ただし、イソシアネート基は置換されないものとする)のトリメチロールプロパン付加体等が挙げられる。なお、本明細書において、トリメチロールプロパン付加体は、トリメチロールプロパンアダクト体と称することもある。
前記イソシアネート化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
ポリウレアを製造するための前記アミン化合物は、イソシアネート基又は水酸基を有しないものが好ましく、イソシアネート基及び水酸基をともに有しないものがより好ましい。
前記アミン化合物がその1分子中に有するアミノ基の数は、2個以上であれば特に限定されないが、2〜6個であることが好ましく、2〜5個であることがより好ましく、2〜4個であることがさらに好ましく、2又は3個であることが特に好ましい。
前記アミン化合物としては、例えば、メラミン、尿素、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の有機多価アミン化合物等が挙げられる。
前記アミン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
ポリウレアを製造するための前記ヒドロキシ化合物は、イソシアネート基又はアミノ基を有しないものが好ましく、イソシアネート基及びアミノ基をともに有しないものがより好ましい。
前記ヒドロキシ化合物が、その1分子中に有する水酸基の数は、2個以上であれば特に限定されないが、2〜6個であることが好ましく、2〜5個であることがより好ましく、2〜4個であることがさらに好ましく、2又は3個であることが特に好ましい。
前記ヒドロキシ化合物としては、例えば、有機多価ヒドロキシ化合物等が挙げられ、前記有機多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のアルキレングリコール等が挙げられる。
前記ヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
ポリアミドを製造するための前記アミン化合物としては、例えば、カルボキシ基を有しない点以外は、上述のポリウレアを形成するための前記アミン化合物と同じものが挙げられる。
また、ポリアミドを製造するための前記アミン化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、メチルペンタジアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族多価アミン化合物等も挙げられる。
ポリアミドを製造するための前記アミン化合物がその1分子中に有するアミノ基の数は、2個以上であれば特に限定されないが、2〜6個であることが好ましく、2〜5個であることがより好ましく、2〜4個であることがさらに好ましく、2又は3個であることが特に好ましい。
ポリアミドを製造するための前記アミン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
ポリアミドを製造するための前記カルボン酸は、アミノ基を有しないものである。
前記カルボン酸がその1分子中に有するカルボキシ基の数は、2個以上であれば特に限定されないが、2〜6個であることが好ましく、2〜5個であることがより好ましく、2〜4個であることがさらに好ましく、2又は3個であることが特に好ましい。
前記カルボン酸としては、例えば、アジピン酸(ヘキサン二酸)、セバシン酸(デカン二酸)、テレフタル酸(ベンゼン−1,4−ジカルボン酸)、イソフタル酸(ベンゼン−1,3−ジカルボン酸)等の有機多価カルボン酸(脂肪族多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸)等が挙げられる。
ポリアミドを製造するための前記カルボン酸クロライドは、前記カルボン酸の1個又は2個以上のカルボキシ基がクロロカルボニル基で置換されてなるものであり、前記カルボン酸のすべてのカルボキシ基がクロロカルボニル基で置換されてなるものでもよい。
ポリアミドを製造するための前記カルボン酸及びカルボン酸クロライドは、いずれも1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
上記の中でも、前記重縮合物は、イソシアネート化合物を用いて得られたものが好ましく、より好ましいものとしては、ポリウレア、ポリウレタンが挙げられる。
前記重縮合は公知の方法で行えばよく、その条件は用いる原料化合物の種類等を考慮して、適宜選択すればよい。
例えば、界面重縮合を行う場合には、内包させるホルムアルデヒド反応剤の共存下で、原料化合物を重縮合させることにより、ホルムアルデヒド反応剤を内包するマイクロカプセルが一気に得られる。以下、このように界面重縮合により、膜形成成分を形成するとともに前記マイクロカプセル剤を製造する方法について、説明する。
重縮合させる必須の2群の原料化合物の使用量は、重縮合の方法及び原料化合物の種類に応じて適宜調節すればよい。ここで、「重縮合させる必須の2群の原料化合物」とは、膜形成成分である重縮合物の主骨格を構成するのに必須の成分を意味し、重縮合物がポリウレアである場合には前記イソシアネート化合物及びアミン化合物を意味し、重縮合物がポリウレタンである場合には前記イソシアネート化合物及びヒドロキシ化合物を意味し、重縮合物がポリアミドである場合には前記カルボン酸又はカルボン酸クロライド及びアミン化合物を意味する。
例えば、前記イソシアネート化合物及びアミン化合物を用いて、界面重縮合によりポリウレアを得る場合には、前記イソシアネート化合物及びアミン化合物の使用量は、[アミン化合物中のアミノ基のモル数]:[イソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数]のモル比が、10:90〜60:40となる量であることが好ましく、20:80〜40:60となる量であることがより好ましい。アミン化合物中のアミノ基のモル数が、イソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数よりも少なくなる様に設定すると、より高品質なマイクロカプセルが得られる。
例えば、前記イソシアネート化合物及びヒドロキシ化合物を用いて、界面重縮合によりポリウレタンを得る場合には、前記イソシアネート化合物及びヒドロキシ化合物の使用量は、[ヒドロキシ化合物中の水酸基のモル数]:[イソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数]のモル比が、10:90〜60:40となる量であることが好ましく、20:80〜40:60となる量であることがより好ましい。ヒドロキシ化合物中の水酸基のモル数が、イソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数よりも少なくなる様に設定すると、より高品質なマイクロカプセルが得られる。
ここまでは、前記重縮合物として、前記イソシアネート化合物、アミン化合物、ヒドロキシ化合物、カルボン酸及びカルボン酸クロライドのいずれかを重縮合して得られたものについて説明したが、前記重縮合物は、前記イソシアネート化合物、アミン化合物、ヒドロキシ化合物、カルボン酸及びカルボン酸クロライドのいずれにも該当しない他の化合物を重縮合して得られたものであってもよい。
前記他の化合物は、重縮合可能なものであれば、特に限定されない。
前記他の化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
例えば、ポリウレアが、前記イソシアネート化合物及びアミン化合物以外に、前記他の化合物を重縮合して得られたものである場合、前記他の化合物の使用量は、前記イソシアネート化合物及びアミン化合物の総使用量(モル数)に対して、5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが特に好ましい。
同様に、ポリウレタンが、前記イソシアネート化合物及びヒドロキシ化合物以外に、前記他の化合物を重縮合して得られたものである場合、前記他の化合物の使用量は、前記イソシアネート化合物及びヒドロキシ化合物の総使用量(モル数)に対して、5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが特に好ましい。
同様に、ポリアミドが、前記カルボン酸、カルボン酸クロライド及びアミン化合物以外に、前記他の化合物を重縮合して得られたものである場合、前記他の化合物の使用量は、前記カルボン酸、カルボン酸クロライド及びアミン化合物の総使用量(モル数)に対して、5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが特に好ましい。
重縮合時のホルムアルデヒド反応剤の使用量は、特に限定されないが、上述の重縮合させる必須の2群の原料化合物の総使用量100質量部に対して、2〜65質量部であることが好ましく、2〜61質量部であることがより好ましく、2〜57質量部であることがさらに好ましく、例えば、2〜50質量部、4〜30質量部及び6〜15質量部のいずれかであってもよい。
(溶媒)
前記マイクロカプセルは、ホルムアルデヒド反応剤を溶解させるために、溶媒を内包していてもよい。この場合、界面重縮合は、水と疎水性溶媒(可塑剤)との混合溶媒中で反応液を乳化させて行うことが好ましい。このように、内包させるホルムアルデヒド反応剤と、疎水性溶媒と、の共存下で、原料化合物を重縮合させることにより、ホルムアルデヒド反応剤及び疎水性溶媒を内包するマイクロカプセルが一気に得られる。
また、反応液を乳化させる場合には、後述する乳化剤を併用してもよい。
前記疎水性溶媒としては、例えば、アルコール、アミド、ニトリル、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、フェノール類(フェノール性水酸基を有する化合物)、硫化炭素、カルボン酸等が挙げられる。
前記疎水性溶媒は、SP値(溶解パラメータ)が12(cal/cm1/2以下であるものが好ましい。このような溶媒を用いることにより、界面重縮合時の反応液が、水の中に油性成分が分散している状態の水中油滴型(O/W型)の分散液となり易く、膜形成成分とマイクロカプセルの形成がより容易となる。
すなわち、SP値が12(cal/cm1/2以下である溶媒を内包するマイクロカプセルは、本発明におけるマイクロカプセルの中でも、特に好ましいものである。
前記疎水性溶媒のSP値の下限値は、特に限定されないが、6.5(cal/cm1/2であることが好ましい。このようなSP値の疎水性溶媒は入手が容易である。
SP値が12(cal/cm1/2以下の溶媒としては、例えば、
1−プロパノール(11.9)、2−プロパノール(11.5)、1−ブタノール(11.4)、シクロヘキサノール(11.4)、2−メトキシエタノール(10.8)、1−ヘキサノール(10.7)、2−メチル−2−プロパノール(10.6)、1−ブトキシ−2−プロパノール(10.4)、2−エチルヘキサノール(9.5)等のアルコール;
ジメチルホルムアミド(12.0)等のアミド;
アセトニトリル(11.8)等のニトリル;
アセトン(10.0)、メチルエチルケトン(9.3)、メチルプロピルケトン(8.7)、メチルイソプロピルケトン(8.5)等のケトン;
フタル酸ジn−ブチル(9.4)、酢酸エチル(9.1)、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)(8.7)、酢酸n−ブチル(8.5)、酢酸イソプロピル(8.4)、酢酸イソブチル(8.3)等のエステル(カルボン酸エステル);
ジオキサン(9.9)、テトラヒドロフラン(9.1)、ジエチルエーテル(7.4)、イソプロピルエーテル(6.9)等の鎖状及び環状のエーテル;
ベンゼン(9.2)、トルエン(8.9)、キシレン(8.8)、エチルベンゼン(8.8)、シクロヘキサン(8.2)、n−オクタン(7.6)、n−ヘキサン(7.3)、n−ペンタン(7.0)等の芳香族及び脂肪族炭化水素;
塩化メチレン(9.7)、クロロホルム(9.3)、トリクロロエチレン(9.2)、四塩化炭素(8.6)等のハロゲン化炭化水素(ハロゲン化脂肪族炭化水素);
二硫化炭素(10.0)等の硫化炭素;
フェノール(11.5)等のフェノール類;
酢酸(10.1)等のカルボン酸
等が挙げられる。溶媒名と並記したカッコ内の数値はSP値((cal/cm1/2)を意味する。
前記溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常は、ホルムアルデヒド反応剤の使用量100質量部に対して、200〜5000質量部であることが好ましく、300〜4000質量部であることがより好ましく、400〜3000質量部であることが特に好ましい。
(乳化剤)
前記乳化剤は、公知のものでよく、特に限定されない。
好ましい乳化剤としては、例えば、ポリビニルアルコール(本明細書においては「PVA」と略記することがある)、カルボキシメチルセルロース(本明細書においては「CMC」と略記することがある)、エチルセルロース、メチルセルロース、カイゼン、アラビアゴム、ゼラチン、ロート油、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレン硫酸塩、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。
前記乳化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記乳化剤の使用量は、特に限定されず、その種類に応じて適宜調節すればよい。
本発明においては、通常、界面重縮合の温度は、60〜110℃であることが好ましく、65〜100℃であることがより好ましく、70〜90℃であることが特に好ましい。
また、界面重縮合の時間は、0.5〜5時間であることが好ましく、1〜4時間であることがより好ましく、1.5〜3時間であることが特に好ましい。
重縮合後は、例えば、前記マイクロカプセルが水分散体として得られる。
得られたマイクロカプセルは、そのまま目的とする用途で用いてもよいし、必要に応じて公知の後処理、精製等を行ってから、目的とする用途で用いてもよく、分散媒を除去してから目的とする用途で用いてもよい。
前記マイクロカプセルは、例えば、ポリウレア、ポリウレタン及びポリアミドからなる群から選択される1種又は2種以上を膜形成成分とする場合、本発明の効果を損なわない範囲内において、ポリウレア、ポリウレタン及びポリアミドのいずれにも該当しない、他のオリゴマー及びポリマーのいずれか一方又は両方を、さらに膜形成成分としていてもよい。
前記他のオリゴマー及びポリマーは、いずれも1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記マイクロカプセルにおいて、膜形成成分の総含有量に対する、前記他のオリゴマー及びポリマーの合計含有量の割合は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
すなわち、前記マイクロカプセルにおいて、膜形成成分の総含有量に対する、ポリウレア、ポリウレタン及びポリアミドの合計含有量の割合は、95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。
前記マイクロカプセルの平均粒子径は、特に限定されないが、0.5〜20μmであることが好ましく、0.5〜16μmであることがより好ましく、0.5〜13μmであることがさらに好ましい。
なお、本明細書において「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、コールターカウンターを用いる方法で測定された、体積累積分布の中央値D50を意味する。
前記マイクロカプセルにおいて、ホルムアルデヒド反応剤を包み込んでいる外殻の膜の厚さは、30〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがより好ましい。
前記マイクロカプセル(マイクロカプセル剤)は、その製造方法を反映して、ホルムアルデヒド反応剤及び溶媒以外に、他の成分を内包していてもよい。
ホルムアルデヒド反応剤として、アミノ基及びアミノ基塩形成基を有しないものを選択することにより、膜形成成分が重縮合物であっても、ホルムアルデヒド反応剤を内包する前記マイクロカプセル(マイクロカプセル剤)が容易に得られる。
アミノ基又はアミノ基塩形成基を有するホルムアルデヒド反応剤を用いた場合には、マイクロカプセルの製造時において、重縮合物である膜形成成分を形成する際に、重縮合させる必須の原料化合物(例えば、前記イソシアネート化合物、カルボン酸、カルボン酸クロライド等)と、アミノ基又はアミノ基塩形成基を有するホルムアルデヒド反応剤とが反応してしまい、マイクロカプセルの形成が阻害されると推測される。これに対して、アミノ基及びアミノ基塩形成基を有しないホルムアルデヒド反応剤を用いることにより、このようなマイクロカプセルの形成阻害が抑制されるのではないかと推測される。
前記マイクロカプセル剤は、それ自体が経時と共に、内包されたホルムアルデヒド反応剤を徐々に外部に放出する徐放性を有する。したがって、前記マイクロカプセル剤は、ホルムアルデヒドの除去効果を長期に渡って持続させることができ、例えば、室内で滞留しがちなホルムアルデヒドを除去する除去剤の成分として好適である。
前記マイクロカプセル剤は、その構成材料として特定範囲のものを選択することで、水に対する強度(本明細書においては「耐水性」と称することがある)を向上させることが可能である。耐水性が高いマイクロカプセル剤は、水と共存させたときのホルムアルデヒド反応剤の徐放性を、より長期間維持できる点で有利である。例えば、先に説明した薬剤含有層形成用組成物に相当する、前記マイクロカプセル剤が水中に分散してなる水分散体においては、前記マイクロカプセル剤の耐水性が高いことにより、マイクロカプセル内から水中へのホルムアルデヒド反応剤の放出がより高度に抑制される。したがって、この水分散体を目的とする用途で用いた場合に、ホルムアルデヒド反応剤の徐放性をより長期間維持できることにより、ホルムアルデヒドの除去効果がより長期間継続して得られる。
前記マイクロカプセル剤の耐水性は、例えば、前記マイクロカプセル剤の水分散体、又は前記水分散体をさらに水に添加した混合物を調製し、一定時間経過後に、前記水分散体又は混合物において、マイクロカプセルの内部から放出(抽出)され、水中に存在するホルムアルデヒド反応剤の量を定量することで確認できる。水中でのホルムアルデヒド反応剤の量が少ないほど、マイクロカプセルの耐水性が高いといえる。
前記マイクロカプセル剤の耐水性を向上させる点において、好ましいホルムアルデヒド反応剤としては、例えば、前記1,2,3−トリアゾール系化合物及びその塩、前記1,2,4−トリアゾール系化合物及びその塩、並びに前記1,2,3−ベンゾトリアゾール系化合物及びその塩等の、トリアゾール骨格を有する化合物が挙げられる。
前記1,2,3−トリアゾール系化合物は、1,2,3−トリアゾールであることが好ましい。
前記1,2,4−トリアゾール系化合物は、1,2,4−トリアゾール、3−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジ−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、又は3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールであることが好ましい。
前記1,2,3−ベンゾトリアゾール系化合物は、1,2,3−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、又は5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールであることが好ましい。
前記マイクロカプセル剤の耐水性を向上させる点において、好ましい前記溶媒としては、例えば、SP値が6.5(cal/cm1/2以上10.4(cal/cm1/2未満であるものが挙げられ、より具体的には、
2−エチルヘキサノール(9.5)等のアルコール;
アセトン(10.0)、メチルエチルケトン(9.3)、メチルプロピルケトン(8.7)、メチルイソプロピルケトン(8.5)等のケトン;
フタル酸ジn−ブチル(9.4)、酢酸エチル(9.1)、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)(8.7)、酢酸n−ブチル(8.5)、酢酸イソプロピル(8.4)、酢酸イソブチル(8.3)等のエステル(カルボン酸エステル);
ジオキサン(9.9)、テトラヒドロフラン(9.1)、ジエチルエーテル(7.4)、イソプロピルエーテル(6.9)等の鎖状及び環状のエーテル;
ベンゼン(9.2)、トルエン(8.9)、キシレン(8.8)、エチルベンゼン(8.8)、シクロヘキサン(8.2)、n−オクタン(7.6)、n−ヘキサン(7.3)、n−ペンタン(7.0)等の芳香族及び脂肪族炭化水素;
塩化メチレン(9.7)、クロロホルム(9.3)、トリクロロエチレン(9.2)、四塩化炭素(8.6)等のハロゲン化炭化水素(ハロゲン化脂肪族炭化水素);
二硫化炭素(10.0)等の硫化炭素;
酢酸(10.1)等のカルボン酸
等が挙げられる。
これらの中でも、前記溶媒は、SP値が6.5〜9.5(cal/cm1/2であるものがより好ましい。
前記マイクロカプセル剤の耐水性を向上させる点において、好ましい膜形成成分としては、例えば、ポリウレアが挙げられる。
前記ポリウレアは、原料化合物である前記イソシアネート化合物として、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの誘導体(ただし、イソシアネート基は置換されないものとする)、及びイソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体からなる群から選択される1種又は2種以上を用いて得られたものが好ましい。
前記マイクロカプセル剤の耐水性を向上させる点において、好ましい前記乳化剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースが挙げられる。
<非マイクロカプセル剤>
前記非マイクロカプセル剤は、マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤であり、薬剤含有層には、その形成当初から含有される。
前記非マイクロカプセル剤(ホルムアルデヒド反応剤)としては、「−NH−」基又は「−NH−」塩形成基を有するもの等、前記マイクロカプセル剤が内包するホルムアルデヒド反応剤と同様のものが挙げられる。
ただし、前記非マイクロカプセル剤は、マイクロカプセルに内包されたものではないため、アミノ基(−NH)又はアミノ基塩形成基を有するものも好ましい。ここで、「アミノ基塩形成基」とは、前記マイクロカプセル剤のところで説明したとおりである。アミノ基塩形成基はそれ自体が、又はアミノ基となってこのアミノ基が、ホルムアルデヒドとの反応性を示すと推測される。
アミノ基又はアミノ基塩形成基を有する前記非マイクロカプセル剤は、有機化合物であることが好ましい。
また、アミノ基又はアミノ基塩形成基を有する前記非マイクロカプセル剤は、「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基のいずれか一方又は両方を有していてもよいし、有していなくてもよい。
アミノ基又はアミノ基塩形成基を有する非マイクロカプセル剤1分子中の、アミノ基及びアミノ基塩形成基の総数は、1個のみでもよいし、2個以上でもよく、2個以上である場合、これら2個以上の基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、これら2個以上の基は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。通常は、目的とする非マイクロカプセル剤の調製が容易であることから、これら2個以上の基は、すべて同一であること、すなわち、すべてアミノ基であるか、又はすべて同一のアミノ基塩形成基であることが好ましい。
アミノ基又はアミノ基塩形成基を有する非マイクロカプセル剤が、「−NH−」基又は「−NH−」塩形成基を有する場合、「−NH−」基又は「−NH−」塩形成基の種類、数、結合位置等は、前記マイクロカプセル剤の場合と同様でよい。
非マイクロカプセル剤は、分子全体として電気的に中性であること、すなわち、非マイクロカプセル剤1分子中のカチオン部の価数の合計値とアニオンの価数の合計値とは、同じであることが好ましい。
非マイクロカプセル剤1分子中の、アミノ基又はアミノ基塩形成基の総数は、1〜4個であることが好ましく、1〜3個であることがより好ましい。
非マイクロカプセル剤の分子中における、アミノ基又はアミノ基塩形成基の位置は、特に限定されず、例えば、非マイクロカプセル剤が鎖状構造である場合には、分子の末端部であってもよいし、分子の末端部以外であってもよい。
非マイクロカプセル剤は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、鎖状構造及び環状構造をともに有していてもよい。
非マイクロカプセル剤が環状構造を有する場合、その環は、単環状及び多環状のいずれであってもよく、脂肪族環及び芳香族環のいずれであってもよく、脂肪族環及び芳香族環が縮環した多環状であってもよい。
非マイクロカプセル剤において、アミノ基及びアミノ基塩形成基の窒素原子は、窒素原子又は炭化水素基の炭素原子に結合していることが好ましい。
炭化水素基の1個の炭素原子にこのように結合しているアミノ基及びアミノ基塩形成基の総数は、1〜3個のいずれでもよい。
1個の窒素原子にこのように結合しているアミノ基及びアミノ基塩形成基の総数は、1個のみでもよいし、2個でもよいが、1個であることが好ましい。
好ましい非マイクロカプセル剤としては、例えば、置換基を有していてもよいカルボン酸ヒドラジド及びその塩、並びに置換基を有していてもよいアルキルアミン及びその塩等が挙げられる。
より好ましい非マイクロカプセル剤としては、例えば、置換基を有していてもよいアジピン酸ジヒドラジド及びその塩、並びに置換基を有していてもよい1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及びその塩等が挙げられる。
アジピン酸ジヒドラジド及び1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの構造を以下に示す。
なお、ここに示す化合物は、非マイクロカプセル剤のごく一例に過ぎない。
Figure 0006749197
前記非マイクロカプセル剤は、ホルムアルデヒドとの反応性がより高い点から、アミノ基及びアミノ基塩形成基のいずれか一方又は両方を有するものが好ましい。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<積層体の製造>
(マイクロカプセルの製造)
セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)(豊国製油社製、20.0g)と、濃度が75質量%であるイソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体(IPDI−TMP付加体)の酢酸エチル溶液(三井化学社製「タケネートD−140N」、25.0g、固形分18.8g)と、の混合物に、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール(和光純薬社製、10.0g)を添加し、溶解させた。次いで、得られた混合物を、濃度が7質量%であるカルボキシメチルセルロース水溶液(300g、固形分21.0g)に添加し、乳化機(プライミクス社製)を用いて、回転数12000rpm、時間5分の条件で乳化させた。1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(東京化成工業社製、2.7g)を、上記で得られた乳化液に添加し、80℃で2時間攪拌することで、界面重縮合を行った。
以上により、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと、IPDI−TMP付加体と、の重縮合物を膜形成成分とし、ホルムアルデヒド反応剤として5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールと、溶媒としてセバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)及び酢酸エチルと、をそれぞれ内包したマイクロカプセルを、水分散体として得た。
上記で得られたマイクロカプセル水分散体を、上質紙上にバーコーターを用いて塗工し、105℃で90秒乾燥させ、次いで、電子顕微鏡(日本電子社製)を用いて、500倍の倍率で塗工及び乾燥部位を観察し、目的とするマイクロカプセルが得られたことを確認した。コールターカウンター(ベックマン・コールター社製)を用いて、得られたマイクロカプセルの平均粒子径を測定したところ、12.0μmであった。
(薬剤含有層形成用組成物の製造)
上記で得られたマイクロカプセル水分散体に、ホルムアルデヒド反応剤であるアジピン酸ジヒドラジドを、常温で添加して撹拌することにより、薬剤含有層形成用組成物を得た。この薬剤含有層形成用組成物において、溶媒以外の成分の合計含有量に対する、マイクロカプセルに内包された5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールの含有量の割合は5質量%とし、マイクロカプセル化されていないアジピン酸ジヒドラジドの含有量の割合は10質量%とした。
(積層体の製造)
大きさが15cm×15cmの上質紙の一方の表面に、上記で得られた薬剤含有層形成用組成物を塗工し、乾燥させることで、上質紙上に薬剤含有層を形成し、図1に示すものと同じ構成の、本発明の積層体を得た。上質紙上での薬剤含有層の形成量は10g/mであった。
<積層体の評価>
容積1.6L、内径24cmのデシケータ内で、底面よりも上部に、デシケータ内の空間を仕切る素焼き板を、前記底面に対してほぼ平行に固定した。
次いで、デシケータ内の底面上で、前記素焼き板よりも下部に、蒸留水(300mL)を入れたガラス製容器を載置した。
次いで、大気下において、濃度が5ppmのホルムアルデヒド水溶液を入れたポリエチレン製容器と、上記で得られた積層体とを、前記素焼き板の上面に並べて載置し、直ちにデシケータを密封した。そして、この状態のまま、前記積層体をデシケータ内で保管した。
以降、保管開始から1日後、4日後、7日後及び11日後に、それぞれ、デシケータ内のガラス製容器に入っている蒸留水の一部を試料として採取し、JIS A 6921に準拠して、前記試料のホルムアルデヒドの濃度を測定した。
別途、前記積層体の製造に用いたものと同じ上質紙上に、水性インキ(ハイドリックエクステンダー/主成分アクリル系樹脂、大日本精化社製)を塗工し、乾燥させることで、上質紙上にホルムアルデヒドを含有しない印刷層を形成し、標準積層体を得た。
次いで、前記積層体の場合と同じ方法で、この標準積層体をデシケータ内で保管し、以降、保管開始から1日後、4日後、7日後及び11日後に、それぞれ、デシケータ内のガラス製容器に入っている蒸留水の一部を標準試料として採取し、JIS A 6921に準拠して、前記標準試料のホルムアルデヒドの濃度を測定した。
上記で得られたそれぞれの測定値から、下記式(i)に従って、前記積層体のホルムアルデヒド除去率(%)を算出した。
そして、保管開始から7日後のホルムアルデヒド除去率が、10%以上である場合を、積層体のホルムアルデヒド除去能が合格(○)であると判定し、10%未満である場合を、積層体のホルムアルデヒド除去能が不合格(×)であると判定した。結果を表1に示す。
1−[試料のホルムアルデヒドの濃度]/[標準試料のホルムアルデヒドの濃度]×100 ・・・・(i)
<積層体の製造及び評価>
[実施例2〜4、比較例1]
薬剤含有層形成用組成物における、ホルムアルデヒド反応剤の種類と、溶媒以外の成分の合計含有量に対する、ホルムアルデヒド反応剤の含有量の割合と、のいずれか一方又は両方を、表1に示すとおりとした点以外は、実施例1と同じ方法で積層体を製造及び評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1で用いたものと同じ水性インキ(ハイドリックエクステンダー/主成分アクリル系樹脂、大日本精化社製)に、ホルムアルデヒド反応剤であるアジピン酸ジヒドラジド及び1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを、常温で添加して撹拌することにより、比較用の薬剤含有層形成用組成物を得た。この比較用の薬剤含有層形成用組成物において、溶媒以外の成分の合計含有量に対する、アジピン酸ジヒドラジド及び1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの含有量の割合は、いずれも15質量%とした。
そして、先に説明した薬剤含有層形成用組成物に代えて、この比較用の薬剤含有層形成用組成物を用いた点以外は、実施例1と同じ方法で積層体を製造及び評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1で用いたものと同じ水性インキ(ハイドリックエクステンダー/主成分アクリル系樹脂、大日本精化社製)に、ホルムアルデヒド反応剤である5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール及びアジピン酸ジヒドラジドを、常温で添加して撹拌することにより、比較用の薬剤含有層形成用組成物を得た。この比較用の薬剤含有層形成用組成物において、溶媒以外の成分の合計含有量に対する、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール及びアジピン酸ジヒドラジドの含有量の割合は、いずれも7.5質量%とした。
そして、先に説明した薬剤含有層形成用組成物に代えて、この比較用の薬剤含有層形成用組成物を用いた点以外は、実施例1と同じ方法で積層体を製造及び評価した。結果を表1に示す。
なお、表1中、「MC化」とは「マイクロカプセル化」を意味する。また、ホルムアルデヒド反応剤の各略号は、それぞれ以下のものを意味する。
5−MBTZ:5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール
ADH:アジピン酸ジヒドラジド
1,3−BAC:1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン
表1中、薬剤含有層形成用組成物の欄の「−」との記載は、その成分が未配合であることを意味する。
評価結果の欄の「−」との記載は、その項目が未評価であることを意味する。
Figure 0006749197
上記結果から明らかなように、実施例1〜4の積層体は、薬剤含有層が前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤をともに含有していることにより、ホルムアルデヒド除去能が高かった。
これに対して、比較例1〜3の積層体は、比較用の薬剤含有層が前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤のいずれか一方を含有していないことにより、ホルムアルデヒド除去能が低かった。
実施例1〜4と比較例1〜3とを比較すると、マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤を併用することにより、マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤のいずれか一方を単独で用いた場合よりも、際立って優れた相乗効果を示したことが明らかである。
[実施例5]
<積層体の製造>
図2に示すものと同じ構成の、本発明の積層体を製造した。
第1基材は、壁紙用裏打紙(KJ特殊紙社製「WK665」、厚さ105μm)上に、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂系の発泡樹脂層が積層されたものとした。
第2基材は、の石膏シート(厚さ9.5mm)とした。
樹脂層は、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂系の発泡樹脂層(厚さ220μm)で、かつ、マイクロカプセルに内包された5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールの含有量が1質量%であり、マイクロカプセル化されていないアジピン酸ジヒドラジドの含有量が5質量%であるものとした。樹脂層形成用組成物の塗工時の厚さは250μmとした。
印刷層は、水性インキ層(厚さ2μm)とした。
被覆層は、アクリル系樹脂層(厚さ50μm)で、かつ、マイクロカプセル化されていないアジピン酸ジヒドラジドの含有量が5質量%であるものとした。被覆層形成用組成物の塗工時の厚さは50μmとした。
貫通孔は、被覆層の第1面から第2基材の第2面に到達させ、その孔径は50μmとした。
樹脂層及び被覆層が含有する、ホルムアルデヒド反応剤の種類とその含有量とを、表2に示す。
<積層体の評価>
JIS A 1905−1に準拠して、2つの小型チャンバーを用い、ホルムアルデヒド発生源としてMDF材(ホルムアルデヒド発生量167mL/min)を用い、上記で得られた積層体について、空気中のホルムアルデヒド濃度を測定して換気量換算値(m/m・h)を算出した。換気量換算値は、測定開始から1日後、4日後、7日後、14日後及び21日後にそれぞれ算出し、21日後の換気量換算値が、0.5以上である場合を、積層体のホルムアルデヒド除去能が合格(○)であると判定し、0.5未満である場合を、積層体のホルムアルデヒド除去能が不合格(×)であると判定した。結果を表3に示す。
<積層体の製造及び評価>
[実施例6、比較例4]
樹脂層及び被覆層のいずれか一方又は両方において、ホルムアルデヒド反応剤の種類とその含有量とのいずれか一方又は両方を、表2に示すとおりとした点以外は、実施例5と同じ方法で積層体を製造及び評価した。結果を表3に示す。
表2中、樹脂層及び被覆層の欄の「−」との記載は、該当する層がその成分を含有しないことを意味する。
表3中、評価結果の欄の「−」との記載は、その項目が未評価であることを意味する。
Figure 0006749197
Figure 0006749197
上記結果から明らかなように、実施例5の積層体は、樹脂層が薬剤含有層であり、実施例6の積層体は、樹脂層及び被覆層が薬剤含有層であって、これら薬剤含有層が前記マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤をともに含有していることにより、ホルムアルデヒド除去能が高かった。そして、薬剤含有層を2層備えた実施例6の積層体の方が、薬剤含有層を1層のみ備えた実施例5の積層体よりも、ホルムアルデヒド除去能が高かった。
これに対して、比較例4の積層体は、樹脂層及び被覆層がいずれも比較用の薬剤含有層であり、前記マイクロカプセル剤を含有していないことにより、ホルムアルデヒド除去能が低かった。
実施例5〜6と比較例4とを比較すると、マイクロカプセル剤及び非マイクロカプセル剤を併用することにより、非マイクロカプセル剤を単独で用いた場合よりも、際立って優れた相乗効果を示したことが明らかである。
本発明は、壁紙等、ホルムアルデヒドの除去材として利用可能である。
1,2,3・・・積層体、11,21,31・・・基材、21a・・・基材の第1面、21b・・・基材の第2面、211・・・第1基材、211a・・・第1基材の第1面、212・・・第2基材、212a・・・第2基材の第2面、212b・・・第2基材の第2面、12・・・薬剤含有層、22・・・樹脂層、22a・・・樹脂層の第1面、23・・・印刷層、23a・・・印刷層の第1面、24・・・被覆層、24a・・・被覆層の第1面、25・・・密着層、310・・・接着剤層、20,30・・・貫通孔

Claims (4)

  1. 基材の少なくとも一方の表面上に、薬剤含有層を備え、
    前記薬剤含有層が、マイクロカプセル化されたホルムアルデヒド反応剤と、マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤と、を含有し、
    前記マイクロカプセル化されたホルムアルデヒド反応剤が徐放性を有する、積層体。
  2. 前記マイクロカプセル中のホルムアルデヒド反応剤が、アミノ基及びアミノ基が塩を形成している基を有しない、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤が、アミノ基及びアミノ基が塩を形成している基のいずれか一方又は両方を有する、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体の製造方法であって、
    前記マイクロカプセル化されたホルムアルデヒド反応剤と、前記マイクロカプセル化されていないホルムアルデヒド反応剤と、が配合されてなる薬剤含有層形成用組成物を用いて、前記基材の少なくとも一方の表面上に前記薬剤含有層を形成する、積層体の製造方法。
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