JP6870937B2 - マイクロカプセル及び液状組成物 - Google Patents

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本発明は、新規のマイクロカプセル及び液状組成物に関する。
建物の内装材や家具等には、ホルムアルデヒドを含む接着剤やバインダーを用いて製造されたものがあり、製品としてホルムアルデヒドを含むものがある。このような製品からは、ホルムアルデヒドが放出されるため、放出されたホルムアルデヒドが室内で滞留し、人や動物に対して健康被害を及ぼすことが問題となっている。そこで、ホルムアルデヒドを除去する除去剤の開発が進められている。
このような除去剤としては、例えば、ホルムアルデヒドと反応して、ホルムアルデヒドを別の化合物に変換することが可能なホルムアルデヒド反応剤を用いたものが知られている。このような除去剤で、対象となる製品を処理することにより、ホルムアルデヒドが除去可能であるとされている。そして、ホルムアルデヒド反応剤としては、ヒドラジド化合物(特許文献1参照)等が知られている。
特許第2913093号公報
しかし、特許文献1等で開示されているような、ホルムアルデヒド反応剤を用いた従来の除去剤では、ホルムアルデヒドの除去効果を長期に渡って持続させるという長期持続性の点において不十分なものであり、結果的にホルムアルデヒド反応剤の使用量が多量になってしまうという問題点があった。
一方、目的とする効果を示す有効成分を用いて、その使用量を大幅に増大させることなく、その効果を長期間持続させるために、この有効成分を膜形成成分によって形成されたマイクロカプセルに内包させて、マイクロカプセル化する手法が採用されることがある。有効成分はマイクロカプセルの内部に内包されることで、経時と共に徐々にマイクロカプセルの外部に放出される(徐放性を示す)ようになり、有効成分の効果が長期に渡って持続するようになる。このようなマイクロカプセルの技術は、特に医薬、農薬等の分野で盛んに検討されている。ホルムアルデヒド反応剤も、マイクロカプセルに内包させて、マイクロカプセル化することで、ホルムアルデヒドの除去効果が長期に渡って持続可能となることが期待される。しかし、ホルムアルデヒド反応剤を内包したマイクロカプセルは、これまで知られていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ホルムアルデヒド反応剤を内包した新規のマイクロカプセルを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、重縮合物を膜形成成分とし、ホルムアルデヒドとの反応性を有し、かつアミノ基及びアミノ基が塩を形成している基を有しないホルムアルデヒド反応剤を内包する、マイクロカプセルであって、前記ホルムアルデヒド反応剤が、置換基を有していてもよいヒダントイン及びその塩、置換基を有していてもよい2−イミダゾリジノン及びその塩、置換基を有していてもよい5−ピラゾロン及びその塩、置換基を有していてもよい3−ピラゾロン及びその塩、置換基を有していてもよい1,2,4−トリアゾール−3−オン及びその塩、置換基を有していてもよいフタルイミド及びその塩、置換基を有していてもよいグリコールウリル及びその塩、置換基を有していてもよいピラゾール及びその塩、置換基を有していてもよい1,2,3−トリアゾール及びその塩、置換基を有していてもよい1,2,4−トリアゾール及びその塩、1,2,3−ベンゾトリアゾール及びその塩、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール及びその塩、並びに5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール及びその塩からなる群から選択される1種又は2種以上であり、かつ、常温で固体である、マイクロカプセルを提供する。
本発明のマイクロカプセルは、さらに、SP値が12(cal/cm1/2以下である溶媒を内包するものが好ましい。
本発明のマイクロカプセルにおいては、前記重縮合物が、イソシアネート化合物を用いて得られたものであることが好ましい。
また、本発明は、前記マイクロカプセルを含有する液状組成物を提供する。
本発明によれば、ホルムアルデヒド反応剤を内包した新規のマイクロカプセルが提供される。
<マイクロカプセル>
本発明のマイクロカプセルは、重縮合物を膜形成成分とし、ホルムアルデヒドとの反応性を有し、かつアミノ基及びアミノ基が塩を形成している基(以下、「アミノ基塩形成基」と略記することがある)を有しないホルムアルデヒド反応剤(以下、単に「ホルムアルデヒド反応剤」と略記することがある)を内包する。
膜形成成分として重縮合物を用い、ホルムアルデヒド反応剤としてホルムアルデヒドとの反応性を有し、かつアミノ基及びアミノ基塩形成基を有しないものを用いることで、ホルムアルデヒド反応剤を内包するマイクロカプセルを安定して形成できる。
前記アミノ基塩形成基としては、例えば、アミノ基が1価のカチオン部となって、このカチオン部がアニオンとともに塩を形成している基が挙げられる。
ここで、前記カチオン部としては、例えば、アミノ基(−NH)の窒素原子に水素イオン(H)が配位結合したものが挙げられる。この場合の前記アニオンの価数は特に限定されず、1(1価)でもよいし2(2価)以上でもよい。前記アニオンが1価である場合、前記塩を形成している前記アニオンの個数と、前記カチオン部の個数は、共に1である。また、前記アニオンがn価(nは2以上の整数である)である場合、前記塩を形成している前記アニオンの個数は通常1であり、前記カチオン部の個数はn以下であり、通常はnである。この場合、複数個の前記カチオン部は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
前記アミノ基塩形成基における前記アニオンとしては、後述する、式「−NH−」で表される基が塩を形成している基(「−NH−」塩形成基)におけるアニオン部と同様のものが挙げられる。
[ホルムアルデヒド反応剤]
前記ホルムアルデヒド反応剤は、ホルムアルデヒドとの反応性を有し、かつアミノ基及びアミノ基塩形成基を有しないものである。本明細書において、「ホルムアルデヒドとの反応性を有する」とは、ホルムアルデヒドと反応して、ホルムアルデヒドを別の化合物に変換する能力を有することを意味する。すなわち、前記ホルムアルデヒド反応剤は、ホルムアルデヒドとの反応性を有する基を含む。本発明のマイクロカプセルを用いることにより、ホルムアルデヒドは、ホルムアルデヒド反応剤との反応によって、別の化合物への変換という形で除去される。
ホルムアルデヒド反応剤は、有機化合物であることが好ましく、このようなホルムアルデヒド反応剤としては、例えば、式「−NH−」で表される基(以下、「「−NH−」基」と略記することがある)及び式「−NH−」で表される基が塩を形成している基(以下、「「−NH−」塩形成基」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上を有する化合物が挙げられる。ホルムアルデヒド反応剤において、「−NH−」基は、ホルムアルデヒドとの反応性を示し、「−NH−」塩形成基はそれ自体が、又は「−NH−」基となってこの「−NH−」基が、ホルムアルデヒドとの反応性を示すと推測される。
ホルムアルデヒド反応剤は、アミノ基及びアミノ基塩形成基を有しないものであるため、ホルムアルデヒド反応剤は、「−NH−」基又は「−NH−」塩形成基を有する場合、これら基中の窒素原子は、既に共有結合している1個の水素原子以外に、さらに水素原子と共有結合することはない。
ホルムアルデヒド反応剤1分子中の、「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基の総数は、1個のみでもよいし、2個以上でもよく、2個以上である場合、これら2個以上の基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、これら2個以上の基は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。通常は、目的とするホルムアルデヒド反応剤の調製が容易であることから、これら2個以上の基は、すべて同一であること、すなわち、すべて「−NH−」基であるか、又はすべて同一の「−NH−」塩形成基であることが好ましい。
「−NH−」塩形成基としては、例えば、「−NH−」基が1価のカチオン部となって、このカチオン部がアニオンとともに塩を形成している基が挙げられる。
ここで、前記カチオン部としては、例えば、「−NH−」基の窒素原子に水素イオン(H)が配位結合したものが挙げられる。この場合の前記アニオンの価数は特に限定されず、1(1価)でもよいし2(2価)以上でもよい。前記アニオンが1価である場合、前記塩を形成している前記アニオンの個数と、前記カチオン部の個数は、共に1である。また、前記アニオンがm価(mは2以上の整数である)である場合、前記塩を形成している前記アニオンの個数は通常1であり、前記カチオン部の個数はm以下であり、mであることが好ましい。この場合、複数個の前記カチオン部は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
「−NH−」塩形成基における前記アニオンは、特に限定されず、無機アニオン及び有機アニオンのいずれでもよい。
好ましい前記無機アニオンとしては、例えば、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、ハロゲン化物イオン等が挙げられ、前記ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。
好ましい前記有機アニオンとしては、例えば、カルボン酸のアニオン、スルホン酸のアニオン等が挙げられる。
前記カルボン酸のアニオンは、モノカルボン酸(1価カルボン酸)のアニオンでもよいし、ジカルボン酸、トリカルボン酸等の多価カルボン酸のアニオンでもよい。
ホルムアルデヒド反応剤が有する前記アニオンは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
すなわち、1分子のホルムアルデヒド反応剤が2個以上の前記アニオンを有する場合、これら2個以上のアニオンは、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
ただし、ホルムアルデヒド反応剤は、分子全体として電気的に中性であること、すなわち、ホルムアルデヒド反応剤1分子中の前記カチオン部の価数の合計値とアニオンの価数の合計値とは、同じであることが好ましい。
ホルムアルデヒド反応剤1分子中の、「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基の総数は、1〜4個であることが好ましく、1〜3個であることがより好ましい。
ホルムアルデヒド反応剤の分子中における、「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基の位置は、特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド反応剤が鎖状構造である場合には、分子の末端部以外であれば、いずれの位置であってもよい。
ホルムアルデヒド反応剤は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、鎖状構造及び環状構造をともに有していてもよい。
ホルムアルデヒド反応剤が環状構造を有する場合、その環は、単環状及び多環状のいずれであってもよく、脂肪族環及び芳香族環のいずれであってもよく、脂肪族環及び芳香族環が縮環した多環状であってもよい。
ホルムアルデヒド反応剤が環状構造を有する場合、「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基は、前記環状構造の環骨格を形成していてもよいし、環骨格を形成せずに、環骨格を形成している基に結合していてもよい。
ホルムアルデヒド反応剤において、「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基の窒素原子は、窒素原子又はカルボニル基の炭素原子に結合していることが好ましい。
1個のカルボニル基にこのように結合している「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基の総数は、1個のみでもよいし、2個でもよい。
1個の窒素原子にこのように結合している「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基の総数は、1個のみでもよいし、2個でもよいが、1個であることが好ましい。
すなわち、好ましいホルムアルデヒド反応剤としては、例えば、式「−C(=O)−NH−」で表される基(アミド結合、以下、「「−C(=O)−NH−」基」と略記することがある)、式「−NH−C(=O)−NH−」で表される基(以下、「「−NH−C(=O)−NH−」基」と略記することがある)、式「−C(=O)−NH−」で表される基が塩を形成している基(以下、「「−C(=O)−NH−」塩形成基」と略記することがある)、式「−NH−C(=O)−NH−」で表される基が塩を形成している基(以下、「「−NH−C(=O)−NH−」塩形成基」と略記することがある)、式「=N−NH−」で表される基(以下、「「=N−NH−」基」と略記することがある)、式「−HN−N(−)−NH−」で表される基(以下、「「−HN−N(−)−NH−」基」と略記することがある)、式「=N−NH−」で表される基が塩を形成している基(以下、「「=N−NH−」塩形成基」と略記することがある)及び式「−HN−N(−)−NH−」で表される基が塩を形成している基(以下、「「−HN−N(−)−NH−」塩形成基」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上を有するもの、が挙げられる。ここで、例えば、「−HN−N(−)−NH−」基とは、1個の窒素原子に、2個の「−NH−」基の窒素原子と、さらにもう1個の基と、が単結合で結合しているものを意味する。
なお、「−NH−C(=O)−NH−」塩形成基及び「−HN−N(−)−NH−」塩形成基において、「−NH−」塩形成基の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
環状構造を有するホルムアルデヒド反応剤で好ましいものとしては、例えば、「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基からなる群から選択される1種又は2種以上が、環状構造の環骨格を形成しているものが挙げられ、「−C(=O)−NH−」基、「−NH−C(=O)−NH−」基、「−C(=O)−NH−」塩形成基、「−NH−C(=O)−NH−」塩形成基、「=N−NH−」基、「−HN−N(−)−NH−」基、「=N−NH−」塩形成基及び「−HN−N(−)−NH−」塩形成基からなる群から選択される1種又は2種以上が、環状構造の環骨格を形成しているホルムアルデヒド反応剤がより好ましい。
ホルムアルデヒド反応剤が環状構造を有する場合、その環骨格の環員数、すなわち、環骨格を形成している原子の数(個)は、単環状である場合には、好ましくは5〜7、より好ましくは5又は6であり、多環状である場合には、好ましくは8〜10である。
特に好ましいホルムアルデヒド反応剤としては、例えば、置換基を有していてもよいヒダントイン及びその塩、置換基を有していてもよい2−イミダゾリジノン及びその塩、置換基を有していてもよい5−ピラゾロン及びその塩、置換基を有していてもよい3−ピラゾロン及びその塩、置換基を有していてもよい1,2,4−トリアゾール−3−オン及びその塩、置換基を有していてもよいフタルイミド及びその塩、置換基を有していてもよいグリコールウリル及びその塩、置換基を有していてもよいピラゾール及びその塩、置換基を有していてもよい1,2,3−トリアゾール及びその塩、置換基を有していてもよい1,2,4−トリアゾール及びその塩、並びに置換基を有していてもよい1,2,3−ベンゾトリアゾール及びその塩等が挙げられる。
ヒダントイン、2−イミダゾリジノン、5−ピラゾロン、3−ピラゾロン、1,2,4−トリアゾール−3−オン、フタルイミド、グリコールウリル、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール及び1,2,3−ベンゾトリアゾールの構造を以下に示す。
ヒダントイン、2−イミダゾリジノン、5−ピラゾロン、3−ピラゾロン、1,2,4−トリアゾール−3−オン、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール及び1,2,4−トリアゾールはいずれも、環員数が5の化合物である。フタルイミド及び1,2,3−ベンゾトリアゾールはいずれも、環員数が9の化合物である。グリコールウリルは環員数が8の化合物である。
なお、ここに示す化合物は、ホルムアルデヒド反応剤のごく一例に過ぎない。
Figure 0006870937
ここで、ヒダントインの塩としては、例えば、ヒダントイン中の2個の「−NH−」基のいずれか一方又は両方が、「−NH−」塩形成基となったものが挙げられる。
また、2−イミダゾリジノンの塩としては、例えば、2−イミダゾリジノン中の2個の「−NH−」基のいずれか一方又は両方が、「−NH−」塩形成基となったものが挙げられる。
また、5−ピラゾロンの塩としては、例えば、5−ピラゾロン中の「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となったもの、水素原子と結合していない方の窒素原子が塩を形成したもの、及び、「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となり、かつ水素原子と結合していない方の窒素原子が塩を形成したもの、が挙げられる。
また、3−ピラゾロンの塩としては、例えば、3−ピラゾロン中の2個の「−NH−」基のいずれか一方又は両方が、「−NH−」塩形成基となったものが挙げられる。
また、1,2,4−トリアゾール−3−オンの塩としては、例えば、1,2,4−トリアゾール−3−オン中の2個の「−NH−」基のいずれか一方又は両方が、「−NH−」塩形成基となったものが挙げられる。
また、フタルイミドの塩としては、例えば、フタルイミド中の1個の「−NH−」基が、「−NH−」塩形成基となったものが挙げられる。
また、グリコールウリルの塩としては、例えば、グリコールウリル中の4個の「−NH−」基の少なくとも1個が、「−NH−」塩形成基となったものが挙げられる。
また、ピラゾールの塩としては、例えば、ピラゾール中の「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となったもの、水素原子と結合していない方の窒素原子が塩を形成したもの、及び、「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となり、かつ水素原子と結合していない方の窒素原子が塩を形成したもの、が挙げられる。
また、1,2,3−トリアゾールの塩としては、例えば、1,2,3−トリアゾール中の「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となったもの、水素原子と結合していない方の2個の窒素原子のいずれか一方又は両方が塩を形成したもの、及び、「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となり、かつ水素原子と結合していない方の2個の窒素原子のいずれか一方又は両方が塩を形成したもの、が挙げられる。
また、1,2,4−トリアゾールの塩としては、例えば、1,2,4−トリアゾール中の「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となったもの、水素原子と結合していない方の2個の窒素原子のいずれか一方又は両方が塩を形成したもの、及び、「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となり、かつ水素原子と結合していない方の2個の窒素原子のいずれか一方又は両方が塩を形成したもの、が挙げられる。
また、1,2,3−ベンゾトリアゾールの塩としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール中の「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となったもの、水素原子と結合していない方の2個の窒素原子のいずれか一方又は両方が塩を形成したもの、及び、「−NH−」基が「−NH−」塩形成基となり、かつ水素原子と結合していない方の2個の窒素原子のいずれか一方又は両方が塩を形成したもの、が挙げられる。
なお、本明細書において、「置換基を有する」とは、元の化合物の1個以上の水素原子(ただし、「−NH−」基及び「−NH−」塩形成基中の水素原子を除く)が水素原子以外の基(置換基)で置換されていることを意味する。
本明細書においては、置換基を有するヒダントインを「ヒダントイン誘導体」と称し、ヒダントイン及びヒダントイン誘導体を包括して「ヒダントイン系化合物」と称することがある。そして、置換基を有するヒダントインの塩、すなわち、ヒダントイン誘導体の塩とは、ヒダントイン誘導体が、ヒダントインの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよいヒダントイン及びその塩」とは、換言すると、ヒダントイン系化合物及びその塩のことである。
本明細書において「誘導体」とは、元の化合物の1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されているものを意味する。
ヒダントイン以外の化合物の場合も同様である。
すなわち、本明細書においては、置換基を有する2−イミダゾリジノンを「2−イミダゾリジノン誘導体」と称し、2−イミダゾリジノン及び2−イミダゾリジノン誘導体を包括して「2−イミダゾリジノン系化合物」と称することがある。そして、置換基を有する2−イミダゾリジノンの塩、すなわち、2−イミダゾリジノン誘導体の塩とは、2−イミダゾリジノン誘導体が、2−イミダゾリジノンの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよい2−イミダゾリジノン及びその塩」とは、換言すると、2−イミダゾリジノン系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有する5−ピラゾロンを「5−ピラゾロン誘導体」と称し、5−ピラゾロン及び5−ピラゾロン誘導体を包括して「5−ピラゾロン系化合物」と称することがある。そして、置換基を有する5−ピラゾロンの塩、すなわち、5−ピラゾロン誘導体の塩とは、5−ピラゾロン誘導体が、5−ピラゾロンの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよい5−ピラゾロン及びその塩」とは、換言すると、5−ピラゾロン系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有する3−ピラゾロンを「3−ピラゾロン誘導体」と称し、3−ピラゾロン及び3−ピラゾロン誘導体を包括して「3−ピラゾロン系化合物」と称することがある。そして、置換基を有する3−ピラゾロンの塩、すなわち、3−ピラゾロン誘導体の塩とは、3−ピラゾロン誘導体が、3−ピラゾロンの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよい3−ピラゾロン及びその塩」とは、換言すると、3−ピラゾロン系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有する1,2,4−トリアゾール−3−オンを「1,2,4−トリアゾール−3−オン誘導体」と称し、1,2,4−トリアゾール−3−オン及び1,2,4−トリアゾール−3−オン誘導体を包括して「1,2,4−トリアゾール−3−オン系化合物」と称することがある。そして、置換基を有する1,2,4−トリアゾール−3−オンの塩、すなわち、1,2,4−トリアゾール−3−オン誘導体の塩とは、1,2,4−トリアゾール−3−オン誘導体が、1,2,4−トリアゾール−3−オンの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよい1,2,4−トリアゾール−3−オン及びその塩」とは、換言すると、1,2,4−トリアゾール−3−オン系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有するフタルイミドを「フタルイミド誘導体」と称し、フタルイミド及びフタルイミド誘導体を包括して「フタルイミド系化合物」と称することがある。そして、置換基を有するフタルイミドの塩、すなわち、フタルイミド誘導体の塩とは、フタルイミド誘導体が、フタルイミドの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよいフタルイミド及びその塩」とは、換言すると、フタルイミド系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有するグリコールウリルを「グリコールウリル誘導体」と称し、グリコールウリル及びグリコールウリル誘導体を包括して「グリコールウリル系化合物」と称することがある。そして、置換基を有するグリコールウリルの塩、すなわち、グリコールウリル誘導体の塩とは、グリコールウリル誘導体が、グリコールウリルの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよいグリコールウリル及びその塩」とは、換言すると、グリコールウリル系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有するピラゾールを「ピラゾール誘導体」と称し、ピラゾール及びピラゾール誘導体を包括して「ピラゾール系化合物」と称することがある。そして、置換基を有するピラゾールの塩、すなわち、ピラゾール誘導体の塩とは、ピラゾール誘導体が、ピラゾールの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよいピラゾール及びその塩」とは、換言すると、ピラゾール系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有する1,2,3−トリアゾールを「1,2,3−トリアゾール誘導体」と称し、1,2,3−トリアゾール及び1,2,3−トリアゾール誘導体を包括して「1,2,3−トリアゾール系化合物」と称することがある。そして、置換基を有する1,2,3−トリアゾールの塩、すなわち、1,2,3−トリアゾール誘導体の塩とは、1,2,3−トリアゾール誘導体が、1,2,3−トリアゾールの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよい1,2,3−トリアゾール及びその塩」とは、換言すると、1,2,3−トリアゾール系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有する1,2,4−トリアゾールを「1,2,4−トリアゾール誘導体」と称し、1,2,4−トリアゾール及び1,2,4−トリアゾール誘導体を包括して「1,2,4−トリアゾール系化合物」と称することがある。そして、置換基を有する1,2,4−トリアゾールの塩、すなわち、1,2,4−トリアゾール誘導体の塩とは、1,2,4−トリアゾール誘導体が、1,2,4−トリアゾールの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよい1,2,4−トリアゾール及びその塩」とは、換言すると、1,2,4−トリアゾール系化合物及びその塩のことである。
本明細書においては、置換基を有する1,2,3−ベンゾトリアゾールを「1,2,3−ベンゾトリアゾール誘導体」と称し、1,2,3−ベンゾトリアゾール及び1,2,3−ベンゾトリアゾール誘導体を包括して「1,2,3−ベンゾトリアゾール系化合物」と称することがある。そして、置換基を有する1,2,3−ベンゾトリアゾールの塩、すなわち、1,2,3−ベンゾトリアゾール誘導体の塩とは、1,2,3−ベンゾトリアゾール誘導体が、1,2,3−ベンゾトリアゾールの場合と同様に、塩を形成したものである。「置換基を有していてもよい1,2,3−ベンゾトリアゾール及びその塩」とは、換言すると、1,2,3−ベンゾトリアゾール系化合物及びその塩のことである。
前記置換基は、特に限定されないが、好ましいものとしては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アリールアルキル基)、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基等が挙げられる。
前記置換基におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。
前記アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
環状の前記アルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられ、さらに、これら環状のアルキル基の1個以上の水素原子が、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基で置換されたものが挙げられる。ここで、水素原子を置換する直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基としては、上述のホルムアルデヒド反応剤が有する置換基として挙げたアルキル基と同じものが挙げられる。
前記アルキル基の炭素数は1〜8であることが好ましく、1〜6であることがより好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
前記置換基におけるアルケニル基としては、例えば、前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換されてなる基が挙げられ、例えば、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
前記アルケニル基の炭素数は、2〜10であることが好ましく、2〜8であることがより好ましく、2〜6であることが特に好ましい。
前記置換基におけるアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基(ジメチルフェニル基)等が挙げられ、これらアリール基の1個以上の水素原子が、さらにこれらアリール基や、上述のホルムアルデヒド反応剤が有する置換基として挙げたアルキル基で置換されたものも挙げられる。これら置換基を有するアリール基は、置換基も含めて炭素数が6〜15であることが好ましい。
前記アリール基の炭素数は6〜10であることがより好ましい。
前記置換基におけるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基(フェニルメチル基)、フェネチル基(フェニルエチル基)等、前記アルキル基の1個の水素原子が前記アリール基で置換されてなる1価の基が挙げられる。
前記アラルキル基の炭素数は、7〜20であることが好ましく、7〜11であることがより好ましい。
前記置換基におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロポキシ基等、前記アルキル基が酸素原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
前記アルコキシ基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
前記置換基におけるアルケニルオキシ基としては、例えば、エテニルオキシ基(ビニルオキシ基)、2−プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)、シクロヘキセニルオキシ基等、前記アルケニル基が酸素原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
前記アルケニルオキシ基の炭素数は、2〜10であることが好ましく、2〜8であることがより好ましく、2〜6であることが特に好ましい。
前記置換基におけるアリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基等、前記アリール基が酸素原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
前記アリールオキシ基の炭素数は、6〜10であることが好ましい。
前記置換基におけるアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基(フェニルメチルオキシ基)、フェネチルオキシ基(フェニルエチルオキシ基)等、前記アラルキル基が酸素原子に結合してなる1価の基が挙げられる。
前記アラルキルオキシ基の炭素数は、7〜20であることが好ましく、7〜11であることがより好ましい。
1分子のホルムアルデヒド反応剤が有する前記置換基は、1個のみでもよいし、2個以上でもよく、2個以上である場合、これら置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、2個以上の置換基は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
通常、1分子のホルムアルデヒド反応剤が有する前記置換基は、1〜4個であることが好ましく、1〜3個であることがより好ましい。
ホルムアルデヒド反応剤の分子中における、前記置換基の位置は、特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド反応剤が鎖状構造である場合には、分子の末端部であってもよいし、末端部以外の部位であってもよい。
ホルムアルデヒド反応剤が2個以上の前記置換基を有する場合、これら置換基の結合位置は、すべて同じであってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同じであってもよい。
上述の特に好ましいホルムアルデヒド反応剤のうち、前記置換基を有するものとしては、ヒダントイン誘導体である5,5−ジメチルヒダントイン;5−ピラゾロン誘導体である3−メチル−5−ピラゾロン;ピラゾール誘導体である3,5−ジメチルピラゾール;1,2,4−トリアゾール誘導体である3−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジ−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール;1,2,3−ベンゾトリアゾール誘導体である4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
5,5−ジメチルヒダントイン、3−メチル−5−ピラゾロン、3,5−ジメチルピラゾール、3−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジ−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール及び3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールはいずれも、環員数が5の化合物である。4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール及び5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールはいずれも、環員数が9の化合物である。
なお、ここに示す化合物は、前記置換基を有するホルムアルデヒド反応剤のごく一例に過ぎない。
ホルムアルデヒド反応剤は、常温で固体であるものが好ましい。そして、常温で固体であるホルムアルデヒド反応剤を用いる場合、後述する溶媒を併用することが好ましい。なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
ホルムアルデヒド反応剤で特に好ましいものとしては、例えば、ヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、2−イミダゾリジノン、5−ピラゾロン、3−メチル−5−ピラゾロン、3−ピラゾロン、3,5−ジメチルピラゾール、フタルイミド、グリコールウリル、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジ−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール−3−オン、1,2,3−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
本発明のマイクロカプセルが内包するホルムアルデヒド反応剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
本発明のマイクロカプセルが内包するホルムアルデヒド反応剤の量(含有量)は、特に限定されず、目的に応じて適宜調節できる。
本発明のマイクロカプセルが内包するホルムアルデヒド反応剤の量(含有量)は、例えば、後述するマイクロカプセルの製造条件によって調節できる。
[膜形成成分]
本発明のマイクロカプセルは、重縮合物を膜形成成分とする。本発明において、「膜形成成分」とは、有効成分であるホルムアルデヒド反応剤を包み込む外殻の膜を形成する成分である。
前記重縮合物は、オリゴマー又はポリマーであり、膜形成能を有する有機化合物であれば特に限定されないが、界面重縮合法で得られた界面重縮合物が好ましい。界面重縮合物を用いることにより、より優れた品質のマイクロカプセルが得られる。
好ましい前記重縮合物としては、例えば、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアミド等が挙げられる。
ここで、「ポリウレア」とは、式「−NH−C(=O)−NH−」で表される結合(ウレア結合)を有するオリゴマー又はポリマーを意味し、例えば、原料化合物として、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と、2個以上のアミノ基を有するアミン化合物と、を重縮合反応させることにより得られる。
また、「ポリウレタン」とは、式「−NH−C(=O)−O−」で表される結合(ウレタン結合)を有するオリゴマー又はポリマーを意味し、例えば、原料化合物として、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と、2個以上の水酸基(−OH)を有するヒドロキシ化合物と、を重縮合反応させることにより得られる。
また、「ポリアミド」とは、式「−NH−C(=O)−」で表される結合(アミド結合)を有するオリゴマー又はポリマーを意味し、例えば、原料化合物として、2個以上のカルボキシ基(−C(=O)−OH)を有するカルボン酸、又はその1個又は2個以上のカルボキシ基がクロロカルボニル基(−C(=O)−Cl)で置換されてなるカルボン酸クロライドと、2個以上のアミノ基を有するアミン化合物と、を重縮合反応させることにより得られる。
ポリウレア及びポリウレタンを製造するための前記イソシアネート化合物は、アミノ基又は水酸基を有しないものが好ましく、アミノ基及び水酸基をともに有しないものがより好ましい。
前記イソシアネート化合物がその1分子中に有するイソシアネート基の数は、2個以上であれば特に限定されないが、2〜6個であることが好ましく、2〜5個であることがより好ましく、2〜4個であることがさらに好ましく、2又は3個であることが特に好ましい。
前記イソシアネート化合物としては、例えば、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート等の有機多価イソシアネート化合物;前記有機多価イソシアネート化合物の誘導体(ただし、イソシアネート基は置換されないものとする);前記有機多価イソシアネート化合物のトリメチロールプロパン付加体;前記有機多価イソシアネート化合物の誘導体(ただし、イソシアネート基は置換されないものとする)のトリメチロールプロパン付加体等が挙げられる。なお、本明細書において、トリメチロールプロパン付加体は、トリメチロールプロパンアダクト体と称することもある。
前記イソシアネート化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
ポリウレアを製造するための前記アミン化合物は、イソシアネート基又は水酸基を有しないものが好ましく、イソシアネート基及び水酸基をともに有しないものがより好ましい。
前記アミン化合物がその1分子中に有するアミノ基の数は、2個以上であれば特に限定されないが、2〜6個であることが好ましく、2〜5個であることがより好ましく、2〜4個であることがさらに好ましく、2又は3個であることが特に好ましい。
前記アミン化合物としては、例えば、メラミン、尿素、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の有機多価アミン化合物等が挙げられる。
前記アミン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
ポリウレアを製造するための前記ヒドロキシ化合物は、イソシアネート基又はアミノ基を有しないものが好ましく、イソシアネート基及びアミノ基をともに有しないものがより好ましい。
前記ヒドロキシ化合物が、その1分子中に有する水酸基の数は、2個以上であれば特に限定されないが、2〜6個であることが好ましく、2〜5個であることがより好ましく、2〜4個であることがさらに好ましく、2又は3個であることが特に好ましい。
前記ヒドロキシ化合物としては、例えば、有機多価ヒドロキシ化合物等が挙げられ、前記有機多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のアルキレングリコール等が挙げられる。
前記ヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
ポリアミドを製造するための前記アミン化合物としては、例えば、カルボキシ基を有しない点以外は、上述のポリウレアを形成するための前記アミン化合物と同じものが挙げられる。
また、ポリアミドを製造するための前記アミン化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、メチルペンタジアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族多価アミン化合物等も挙げられる。
ポリアミドを製造するための前記アミン化合物がその1分子中に有するアミノ基の数は、2個以上であれば特に限定されないが、2〜6個であることが好ましく、2〜5個であることがより好ましく、2〜4個であることがさらに好ましく、2又は3個であることが特に好ましい。
ポリアミドを製造するための前記アミン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
ポリアミドを製造するための前記カルボン酸は、アミノ基を有しないものである。
前記カルボン酸がその1分子中に有するカルボキシ基の数は、2個以上であれば特に限定されないが、2〜6個であることが好ましく、2〜5個であることがより好ましく、2〜4個であることがさらに好ましく、2又は3個であることが特に好ましい。
前記カルボン酸としては、例えば、アジピン酸(ヘキサン二酸)、セバシン酸(デカン二酸)、テレフタル酸(ベンゼン−1,4−ジカルボン酸)、イソフタル酸(ベンゼン−1,3−ジカルボン酸)等の有機多価カルボン酸(脂肪族多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸)等が挙げられる。
ポリアミドを製造するための前記カルボン酸クロライドは、前記カルボン酸の1個又は2個以上のカルボキシ基がクロロカルボニル基で置換されてなるものであり、前記カルボン酸のすべてのカルボキシ基がクロロカルボニル基で置換されてなるものでもよい。
ポリアミドを製造するための前記カルボン酸及びカルボン酸クロライドは、いずれも1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
上記の中でも、前記重縮合物は、イソシアネート化合物を用いて得られたものが好ましく、より好ましいものとしては、ポリウレア、ポリウレタンが挙げられる。
前記重縮合は公知の方法で行えばよく、その条件は用いる原料化合物の種類等を考慮して、適宜選択すればよい。
例えば、界面重縮合を行う場合には、内包させるホルムアルデヒド反応剤の共存下で、原料化合物を重縮合させることにより、ホルムアルデヒド反応剤を内包するマイクロカプセルが一気に得られる。以下、このように界面重縮合により、膜形成成分を形成するとともに本発明のマイクロカプセルを製造する方法について、説明する。
重縮合させる必須の2群の原料化合物の使用量は、重縮合の方法及び原料化合物の種類に応じて適宜調節すればよい。ここで、「重縮合させる必須の2群の原料化合物」とは、膜形成成分である重縮合物の主骨格を構成するのに必須の成分を意味し、重縮合物がポリウレアである場合には前記イソシアネート化合物及びアミン化合物を意味し、重縮合物がポリウレタンである場合には前記イソシアネート化合物及びヒドロキシ化合物を意味し、重縮合物がポリアミドである場合には前記カルボン酸又はカルボン酸クロライド及びアミン化合物を意味する。
例えば、前記イソシアネート化合物及びアミン化合物を用いて、界面重縮合によりポリウレアを得る場合には、前記イソシアネート化合物及びアミン化合物の使用量は、[アミン化合物中のアミノ基のモル数]:[イソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数]のモル比が、10:90〜60:40となる量であることが好ましく、20:80〜40:60となる量であることがより好ましい。アミン化合物中のアミノ基のモル数が、イソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数よりも少なくなる様に設定すると、より高品質なマイクロカプセルが得られる。
例えば、前記イソシアネート化合物及びヒドロキシ化合物を用いて、界面重縮合によりポリウレタンを得る場合には、前記イソシアネート化合物及びヒドロキシ化合物の使用量は、[ヒドロキシ化合物中の水酸基のモル数]:[イソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数]のモル比が、10:90〜60:40となる量であることが好ましく、20:80〜40:60となる量であることがより好ましい。ヒドロキシ化合物中の水酸基のモル数が、イソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数よりも少なくなる様に設定すると、より高品質なマイクロカプセルが得られる。
ここまでは、前記重縮合物として、前記イソシアネート化合物、アミン化合物、ヒドロキシ化合物、カルボン酸及びカルボン酸クロライドのいずれかを重縮合して得られたものについて説明したが、前記重縮合物は、前記イソシアネート化合物、アミン化合物、ヒドロキシ化合物、カルボン酸及びカルボン酸クロライドのいずれにも該当しない他の化合物を重縮合して得られたものであってもよい。
前記他の化合物は、重縮合可能なものであれば、特に限定されない。
前記他の化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
例えば、ポリウレアが、前記イソシアネート化合物及びアミン化合物以外に、前記他の化合物を重縮合して得られたものである場合、前記他の化合物の使用量は、前記イソシアネート化合物及びアミン化合物の総使用量(モル数)に対して、5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが特に好ましい。
同様に、ポリウレタンが、前記イソシアネート化合物及びヒドロキシ化合物以外に、前記他の化合物を重縮合して得られたものである場合、前記他の化合物の使用量は、前記イソシアネート化合物及びヒドロキシ化合物の総使用量(モル数)に対して、5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが特に好ましい。
同様に、ポリアミドが、前記カルボン酸、カルボン酸クロライド及びアミン化合物以外に、前記他の化合物を重縮合して得られたものである場合、前記他の化合物の使用量は、前記カルボン酸、カルボン酸クロライド及びアミン化合物の総使用量(モル数)に対して、5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが特に好ましい。
重縮合時のホルムアルデヒド反応剤の使用量は、特に限定されないが、上述の重縮合させる必須の2群の原料化合物の総使用量100質量部に対して、2〜65質量部であることが好ましく、2〜61質量部であることがより好ましく、2〜57質量部であることがさらに好ましく、例えば、2〜50質量部、4〜30質量部及び6〜15質量部のいずれかであってもよい。
(溶媒)
本発明のマイクロカプセルは、ホルムアルデヒド反応剤を溶解させるために、溶媒を内包していてもよい。この場合、界面重縮合は、水と疎水性溶媒(可塑剤)との混合溶媒中で反応液を乳化させて行うことが好ましい。このように、内包させるホルムアルデヒド反応剤と、疎水性溶媒と、の共存下で、原料化合物を重縮合させることにより、ホルムアルデヒド反応剤及び疎水性溶媒を内包するマイクロカプセルが一気に得られる。
また、反応液を乳化させる場合には、後述する乳化剤を併用してもよい。
前記疎水性溶媒としては、例えば、アルコール、アミド、ニトリル、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、フェノール類(フェノール性水酸基を有する化合物)、硫化炭素、カルボン酸等が挙げられる。
前記疎水性溶媒は、SP値(溶解パラメータ)が12(cal/cm1/2以下であるものが好ましい。このような溶媒を用いることにより、界面重縮合時の反応液が、水の中に油性成分が分散している状態の水中油滴型(O/W型)の分散液となり易く、膜形成成分とマイクロカプセルの形成がより容易となる。
すなわち、SP値が12(cal/cm1/2以下である溶媒を内包するマイクロカプセルは、本発明のマイクロカプセルの中でも、特に好ましいものである。
前記疎水性溶媒のSP値の下限値は、特に限定されないが、6.5(cal/cm1/2であることが好ましい。このようなSP値の疎水性溶媒は入手が容易である。
SP値が12(cal/cm1/2以下の溶媒としては、例えば、
1−プロパノール(11.9)、2−プロパノール(11.5)、1−ブタノール(11.4)、シクロヘキサノール(11.4)、2−メトキシエタノール(10.8)、1−ヘキサノール(10.7)、2−メチル−2−プロパノール(10.6)、1−ブトキシ−2−プロパノール(10.4)、2−エチルヘキサノール(9.5)等のアルコール;
ジメチルホルムアミド(12.0)等のアミド;
アセトニトリル(11.8)等のニトリル;
アセトン(10.0)、メチルエチルケトン(9.3)、メチルプロピルケトン(8.7)、メチルイソプロピルケトン(8.5)等のケトン;
フタル酸ジn−ブチル(9.4)、酢酸エチル(9.1)、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)(8.7)、酢酸n−ブチル(8.5)、酢酸イソプロピル(8.4)、酢酸イソブチル(8.3)等のエステル(カルボン酸エステル);
ジオキサン(9.9)、テトラヒドロフラン(9.1)、ジエチルエーテル(7.4)、イソプロピルエーテル(6.9)等の鎖状及び環状のエーテル;
ベンゼン(9.2)、トルエン(8.9)、キシレン(8.8)、エチルベンゼン(8.8)、シクロヘキサン(8.2)、n−オクタン(7.6)、n−ヘキサン(7.3)、n−ペンタン(7.0)等の芳香族及び脂肪族炭化水素;
塩化メチレン(9.7)、クロロホルム(9.3)、トリクロロエチレン(9.2)、四塩化炭素(8.6)等のハロゲン化炭化水素(ハロゲン化脂肪族炭化水素);
二硫化炭素(10.0)等の硫化炭素;
フェノール(11.5)等のフェノール類;
酢酸(10.1)等のカルボン酸
等が挙げられる。溶媒名と並記したカッコ内の数値はSP値((cal/cm1/2)を意味する。
前記溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常は、ホルムアルデヒド反応剤の使用量100質量部に対して、200〜5000質量部であることが好ましく、300〜4000質量部であることがより好ましく、400〜3000質量部であることが特に好ましい。
(乳化剤)
前記乳化剤は、公知のものでよく、特に限定されない。
好ましい乳化剤としては、例えば、ポリビニルアルコール(本明細書においては「PVA」と略記することがある)、カルボキシメチルセルロース(本明細書においては「CMC」と略記することがある)、エチルセルロース、メチルセルロース、カイゼン、アラビアゴム、ゼラチン、ロート油、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレン硫酸塩、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。
前記乳化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記乳化剤の使用量は、特に限定されず、その種類に応じて適宜調節すればよい。
本発明においては、通常、界面重縮合の温度は、60〜110℃であることが好ましく、65〜100℃であることがより好ましく、70〜90℃であることが特に好ましい。
また、界面重縮合の時間は、0.5〜5時間であることが好ましく、1〜4時間であることがより好ましく、1.5〜3時間であることが特に好ましい。
重縮合後は、例えば、本発明のマイクロカプセルが水分散体として得られる。
得られたマイクロカプセルは、そのまま目的とする用途で用いてもよいし、必要に応じて公知の後処理、精製等を行ってから、目的とする用途で用いてもよく、分散媒を除去してから目的とする用途で用いてもよい。
本発明のマイクロカプセルは、例えば、ポリウレア、ポリウレタン及びポリアミドからなる群から選択される1種又は2種以上を膜形成成分とする場合、本発明の効果を損なわない範囲内において、ポリウレア、ポリウレタン及びポリアミドのいずれにも該当しない、他のオリゴマー及びポリマーのいずれか一方又は両方を、さらに膜形成成分としていてもよい。
前記他のオリゴマー及びポリマーは、いずれも1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
本発明のマイクロカプセルにおいて、膜形成成分の総含有量に対する、前記他のオリゴマー及びポリマーの合計含有量の割合は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
すなわち、本発明のマイクロカプセルにおいて、膜形成成分の総含有量に対する、ポリウレア、ポリウレタン及びポリアミドの合計含有量の割合は、95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。
本発明のマイクロカプセルの平均粒子径は、特に限定されないが、0.5〜20μmであることが好ましく、0.5〜16μmであることがより好ましく、0.5〜13μmであることがさらに好ましく、例えば、0.5〜10μm、1〜7μm及び1.5〜4μmのいずれかであってもよい。
なお、本明細書において「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、コールターカウンターを用いる方法で測定された、体積累積分布の中央値D50を意味する。
本発明のマイクロカプセルにおいて、ホルムアルデヒド反応剤を包み込んでいる外殻の膜の厚さは、30〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがより好ましい。
本発明のマイクロカプセルは、その製造方法を反映して、ホルムアルデヒド反応剤及び溶媒以外に、他の成分を内包していてもよい。
本発明のマイクロカプセルは、ホルムアルデヒド反応剤を内包するものとして、はじめて得られたものである。本発明のマイクロカプセルがホルムアルデヒド反応剤を内包できるのは、重縮合物である膜形成成分に対して、内包するホルムアルデヒド反応剤として、アミノ基及びアミノ基塩形成基を有しないものを選択したことによる。アミノ基又はアミノ基塩形成基を有するホルムアルデヒド反応剤を用いた場合には、マイクロカプセルの製造時において、重縮合物である膜形成成分を形成する際に、重縮合させる必須の原料化合物(例えば、前記イソシアネート化合物、カルボン酸、カルボン酸クロライド等)と、アミノ基又はアミノ基塩形成基を有するホルムアルデヒド反応剤とが反応してしまい、マイクロカプセルの形成が阻害されると推測される。これに対して、本発明のマイクロカプセルの製造時には、アミノ基及びアミノ基塩形成基を有しないホルムアルデヒド反応剤を用いることにより、このようなマイクロカプセルの形成阻害が抑制されるのではないかと推測される。
本発明のマイクロカプセルは、重縮合物を膜形成成分とし、アミノ基及びアミノ基塩形成基を有しないホルムアルデヒド反応剤を内包することにより、経時と共に、内包されたホルムアルデヒド反応剤を徐々に外部に放出する徐放性を有する。したがって、本発明のマイクロカプセルは、ホルムアルデヒドの除去効果を長期に渡って持続させることができ、例えば、室内で滞留しがちなホルムアルデヒドを除去する除去剤の成分として好適である。
本発明のマイクロカプセルは、その構成材料として特定範囲のものを選択することで、水に対する強度(本明細書においては「耐水性」と称することがある)を向上させることが可能である。耐水性が高いマイクロカプセルは、水と共存させたときのホルムアルデヒド反応剤の徐放性を、より長期間維持できる点で有利である。例えば、後述する液状組成物に相当する、マイクロカプセルが水中に分散してなる水分散体においては、マイクロカプセルの耐水性が高いことにより、マイクロカプセル内から水中へのホルムアルデヒド反応剤の放出がより高度に抑制される。したがって、この水分散体を目的とする用途で用いた場合に、ホルムアルデヒド反応剤の徐放性をより長期間維持できることにより、ホルムアルデヒドの除去効果がより長期間継続して得られる。
マイクロカプセルの耐水性は、例えば、マイクロカプセルの水分散体、又は前記水分散体をさらに水に添加した混合物を調製し、一定時間経過後に、前記水分散体又は混合物において、マイクロカプセルの内部から放出(抽出)され、水中に存在するホルムアルデヒド反応剤の量を定量することで確認できる。水中でのホルムアルデヒド反応剤の量が少ないほど、マイクロカプセルの耐水性が高いといえる。
マイクロカプセルの耐水性を向上させる点において、好ましいホルムアルデヒド反応剤としては、例えば、前記1,2,3−トリアゾール系化合物及びその塩、前記1,2,4−トリアゾール系化合物及びその塩、並びに前記1,2,3−ベンゾトリアゾール系化合物及びその塩等の、トリアゾール骨格を有する化合物が挙げられる。
前記1,2,3−トリアゾール系化合物は、1,2,3−トリアゾールであることが好ましい。
前記1,2,4−トリアゾール系化合物は、1,2,4−トリアゾール、3−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジ−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、又は3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールであることが好ましい。
前記1,2,3−ベンゾトリアゾール系化合物は、1,2,3−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、又は5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールであることが好ましい。
マイクロカプセルの耐水性を向上させる点において、好ましい前記溶媒としては、例えば、SP値が6.5(cal/cm1/2以上10.4(cal/cm1/2未満であるものが挙げられ、より具体的には、
2−エチルヘキサノール(9.5)等のアルコール;
アセトン(10.0)、メチルエチルケトン(9.3)、メチルプロピルケトン(8.7)、メチルイソプロピルケトン(8.5)等のケトン;
フタル酸ジn−ブチル(9.4)、酢酸エチル(9.1)、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)(8.7)、酢酸n−ブチル(8.5)、酢酸イソプロピル(8.4)、酢酸イソブチル(8.3)等のエステル(カルボン酸エステル);
ジオキサン(9.9)、テトラヒドロフラン(9.1)、ジエチルエーテル(7.4)、イソプロピルエーテル(6.9)等の鎖状及び環状のエーテル;
ベンゼン(9.2)、トルエン(8.9)、キシレン(8.8)、エチルベンゼン(8.8)、シクロヘキサン(8.2)、n−オクタン(7.6)、n−ヘキサン(7.3)、n−ペンタン(7.0)等の芳香族及び脂肪族炭化水素;
塩化メチレン(9.7)、クロロホルム(9.3)、トリクロロエチレン(9.2)、四塩化炭素(8.6)等のハロゲン化炭化水素(ハロゲン化脂肪族炭化水素);
二硫化炭素(10.0)等の硫化炭素;
酢酸(10.1)等のカルボン酸
等が挙げられる。
これらの中でも、前記溶媒は、SP値が6.5〜9.5(cal/cm1/2であるものがより好ましい。
マイクロカプセルの耐水性を向上させる点において、好ましい膜形成成分としては、例えば、ポリウレアが挙げられる。
前記ポリウレアは、原料化合物である前記イソシアネート化合物として、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの誘導体(ただし、イソシアネート基は置換されないものとする)、及びイソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体からなる群から選択される1種又は2種以上を用いて得られたものが好ましい。
マイクロカプセルの耐水性を向上させる点において、好ましい前記乳化剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースが挙げられる。
<マイクロカプセルの使用方法>
[樹脂組成物]
本発明のマイクロカプセルは、例えば、樹脂組成物の含有成分として好適である。このような樹脂組成物は、本発明のマイクロカプセルと樹脂を含有していれば、特に限定されず、任意の形態とすることができる。
前記樹脂組成物で好ましいものとしては、前記マイクロカプセルを含有する樹脂成形品用のものが挙げられる。
前記樹脂としては、目的に応じて任意に選択でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等の合成樹脂等が挙げられる。
また、前記樹脂としては、例えば、ポリブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレンゴム、プロピレンゴム、シリコンゴム等の合成ゴム等も挙げられる。
前記樹脂成型品としては、例えば、建物の内装材や家具等の構成材料が挙げられる。
前記樹脂成型品の形状は、目的に応じて任意に選択でき、例えば、シート状、プレート状(板状)、ブロック状等とすることができる。
ただし、ここに挙げた樹脂組成物は、本発明のマイクロカプセルを用いたもののごく一例に過ぎず、本発明のマイクロカプセルを用いた樹脂組成物はこれらに限定されない。
前記樹脂組成物は、例えば、本発明のマイクロカプセルと、樹脂と、必要に応じて硬化剤、溶媒等の他の成分とを配合することで製造できる。そして、得られた樹脂組成物は、その配合成分や目的に応じて適した公知の方法で成形すればよい。
[液状組成物]
本発明のマイクロカプセルは、例えば、液状組成物の含有成分として好適である。このような液状組成物は、本発明のマイクロカプセルと溶媒(分散媒)を含有していれば、特に限定されず、溶液であってもよいし、分散液であってもよく、任意の形態とすることができる。
前記液状組成物で好ましいものとしては、例えば、前記マイクロカプセルを含有する塗料が挙げられる。このような塗料は、建物の内装材(例えば、壁紙等)や家具、又はこれら内装材や家具の構成材料等、ホルムアルデヒドの除去対象物に付着させるのに用いることができる。
ここでマイクロカプセルを含有する塗料は、公知のものでよく、例えば、油性塗料、酒精塗料、セルロース塗料、合成樹脂塗料、水性塗料、漆系塗料、ゴム系塗料等が挙げられ、マイクロカプセルが水中に分散してなる水分散体であってもよく、目的に応じて適宜選択すればよい。
ただし、ここに挙げた液状組成物は、本発明のマイクロカプセルを用いたもののごく一例に過ぎず、本発明のマイクロカプセルを用いた液状組成物はこれらに限定されない。
前記液状組成物は、例えば、前記マイクロカプセルと、溶媒(分散媒)等の液状媒体と、必要に応じて他の成分とを配合することで製造できる。そして、得られた液状組成物は、その配合成分や目的に応じて適した公知の方法で使用すればよい。
前記液状組成物は、例えば、印刷法、塗布法、浸漬法等の公知の方法で、目的とする対象物に付着させることができる。
前記印刷法としては、例えば、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が挙げられる。
前記塗布法としては、例えば、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法が挙げられる。
付着させた前記液状組成物は、必要に応じて乾燥させればよい。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<マイクロカプセルの製造>
1−ブトキシ−2−プロパノール(関東化学社製、50g)と、濃度が75質量%であるトリレン−2,4−ジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体の酢酸エチル溶液(三井化学社製「タケネートD−103H」、25g、固形分18.75g)と、の混合物に、5,5−ジメチルヒダントイン(東京化成工業社製、2g)を添加し、溶解させた。次いで、得られた混合物を、濃度が5質量%であるポリビニルアルコール水溶液(150g、固形分7.5g)に添加し、乳化機(プライミクス社製)を用いて、回転数12000rpm、時間10分の条件で乳化させた。メラミン(東京化成工業社製、2.44g)を蒸留水(30g)に溶解させた後、このメラミン水溶液の全量を、上記で得られた乳化液に添加し、80℃で2時間攪拌することで、界面重縮合を行った。
以上により、メラミンと、トリレン−2,4−ジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体(以下、「TDI−TMP付加体」と略記することがある)と、の重縮合物を膜形成成分とし、ホルムアルデヒド反応剤として5,5−ジメチルヒダントインと、溶媒として1−ブトキシ−2−プロパノール(SP値:10.4(cal/cm1/2)及び酢酸エチル(SP値:9.1(cal/cm1/2)と、をそれぞれ内包したマイクロカプセルを、水分散体として得た。
上記で得られたマイクロカプセル水分散体を、上質紙上にバーコーターを用いて塗工し、105℃で90秒乾燥させ、次いで、電子顕微鏡(日本電子社製)を用いて、5000倍の倍率で塗工及び乾燥部位を観察し、目的とするマイクロカプセルが得られたことを確認した。コールターカウンター(ベックマン・コールター社製)を用いて、得られたマイクロカプセルの平均粒子径を測定したところ、2.3μmであった。これらの結果を表2に示す。
[実施例2]
表1に示すように、5,5−ジメチルヒダントイン(2g)に代えて、2−イミダゾリジノン(東京化成工業社製、2g)を用いた点以外は、実施例1と同じ方法でマイクロカプセルを製造した。
実施例1と同じ方法で、目的とするマイクロカプセルが得られたことを確認し、このマイクロカプセルの平均粒子径を測定したところ、2.1μmであった。結果を表2に示す。
[実施例3]
表1に示すように、5,5−ジメチルヒダントイン(2g)に代えて、3−メチル−5−ピラゾロン(東京化成工業社製、2g)を用いた点以外は、実施例1と同じ方法でマイクロカプセルを製造した。
実施例1と同じ方法で、目的とするマイクロカプセルが得られたことを確認し、このマイクロカプセルの平均粒子径を測定したところ、2.3μmであった。結果を表2に示す。
[実施例4]
表1に示すように、メラミン(2.44g)に代えて、同じモル数の尿素を用いた点以外は、実施例1と同じ方法でマイクロカプセルを製造した。
得られたマイクロカプセルは、メラミンとTDI−TMP付加体との重縮合物を膜形成成分とし、ホルムアルデヒド反応剤として5,5−ジメチルヒダントインと、溶媒として1−ブトキシ−2−プロパノール及び酢酸エチルと、をそれぞれ内包した、水分散体である。
実施例1と同じ方法で、目的とするマイクロカプセルが得られたことを確認し、このマイクロカプセルの平均粒子径を測定したところ、2.4μmであった。結果を表2に示す。
[実施例5]
表1に示すように、メラミン(2.44g)に代えて、同じモル数の1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(東京化成工業社製、2.75g)を用い、濃度が75質量%であるTDI−TMP付加体の酢酸エチル溶液(三井化学社製「タケネートD−103H」、25g、固形分18.75g)に代えて、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体の酢酸エチル溶液(三井化学社製「タケネートD−140N」、21g、固形分15.75g)を用いた点以外は、実施例1と同じ方法でマイクロカプセルを製造した。イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体(以下、「IPDI−TMP付加体」と略記することがある)のモル数は、実施例1におけるTDI−TMP付加体のモル数と同じとした。
得られたマイクロカプセルは、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと、IPDI−TMP付加体と、の重縮合物を膜形成成分とし、ホルムアルデヒド反応剤として5,5−ジメチルヒダントインと、溶媒として1−ブトキシ−2−プロパノール及び酢酸エチルと、をそれぞれ内包した、水分散体である。
実施例1と同じ方法で、目的とするマイクロカプセルが得られたことを確認し、このマイクロカプセルの平均粒子径を測定したところ、2.4μmであった。結果を表2に示す。
[実施例6]
セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)(豊国製油社製、50g)と、濃度が75質量%であるIPDI−TMP付加体の酢酸エチル溶液(三井化学社製「タケネートD−140N」、21g、固形分15.75g)と、の混合物に、1,2,3−ベンゾトリアゾール(東京化成工業社製、10g)を添加し、溶解させた。次いで、得られた混合物を、濃度が7質量%であるカルボキシメチルセルロース水溶液(300g、固形分21.0g)に添加し、乳化機(プライミクス社製)を用いて、回転数12000rpm、時間10分の条件で乳化させた。1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(東京化成工業社製、2.75g)を蒸留水(30g)に溶解させた後、この1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン水溶液の全量を、上記で得られた乳化液に添加し、80℃で2時間攪拌することで、界面重縮合を行った。
以上により、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと、IPDI−TMP付加体と、の重縮合物を膜形成成分とし、ホルムアルデヒド反応剤として1,2,3−ベンゾトリアゾールと、溶媒としてセバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)(SP値:8.7(cal/cm1/2)及び酢酸エチルと、をそれぞれ内包したマイクロカプセルを、水分散体として得た。
実施例1と同じ方法で、目的とするマイクロカプセルが得られたことを確認し、このマイクロカプセルの平均粒子径を測定したところ、11.4μmであった。結果を表2に示す。
[実施例7]
表1に示すように、1,2,3−ベンゾトリアゾール(10g)に代えて、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール(東京化成工業社製、2g)を用いた点以外は、実施例6と同じ方法でマイクロカプセルを製造した。
実施例1と同じ方法で、目的とするマイクロカプセルが得られたことを確認し、このマイクロカプセルの平均粒子径を測定したところ、12.0μmであった。結果を表2に示す。
[比較例1]
表1に示すように、5,5−ジメチルヒダントイン(2g)に代えて、アジピン酸ジヒドラジド(東京化成工業社製、2g)を用いた点以外は、実施例1と同じ方法でマイクロカプセルの製造を試みた。
しかし、実施例1と同じ方法で、反応後の液体を観察したところ、目的とするマイクロカプセルが得られなかったことが確認された。結果を表2に示す。
[比較例2]
表1に示すように、5,5−ジメチルヒダントイン(2g)に代えて、セバシン酸ジヒドラジド(東京化成工業社製、2g)を用いた点以外は、実施例1と同じ方法でマイクロカプセルの製造を試みた。
しかし、実施例1と同じ方法で、反応後の液体を観察したところ、目的とするマイクロカプセルが得られなかったことが確認された。結果を表2に示す。
[比較例3]
表1に示すように、5,5−ジメチルヒダントイン(2g)に代えて、アミノエチルエタノール(東京化成工業社製、2g)を用いた点以外は、実施例1と同じ方法でマイクロカプセルの製造を試みた。
しかし、実施例1と同じ方法で、反応後の液体を観察したところ、目的とするマイクロカプセルが得られなかったことが確認された。結果を表2に示す。
<マイクロカプセルの耐水性の評価>
上記の各実施例で得られたマイクロカプセルの耐水性を、下記方法により評価した。
すなわち、上記で得られたマイクロカプセル水分散体(0.4g)を蒸留水(200g)に添加して、得られた混合物を常温下で静置し、前記マイクロカプセル水分散体を添加してから(前記混合物を調製してから)24時間後の液中、換言すると、前記マイクロカプセル水分散体中の水と、前記蒸留水と、の混合液中に、マイクロカプセル内から抽出されたホルムアルデヒド反応剤の量を、高速液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」と略記する)によって定量し、下記式により、ホルムアルデヒド反応剤の抽出率を算出した。なお、HPLCは、島津製作所社製の装置を用いて行った。
[ホルムアルデヒド反応剤の抽出率(%)]=[液中にマイクロカプセル内から抽出されたホルムアルデヒド反応剤の量]/[マイクロカプセル製造時のホルムアルデヒド反応剤の添加量]×100
そして、算出したホルムアルデヒド反応剤の抽出率から、下記評価基準により、マイクロカプセルの耐水性を評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
◎:ホルムアルデヒド反応剤の抽出率が10%未満である。
○:ホルムアルデヒド反応剤の抽出率が10%以上30%未満である。
Figure 0006870937
Figure 0006870937
上記結果から明らかなように、実施例1〜7では、重縮合物を膜形成成分とし、アミノ基及びアミノ基塩形成基を有しないホルムアルデヒド反応剤を用いたことにより、このホルムアルデヒド反応剤を内包するマイクロカプセルを問題なく形成できた。実施例1〜7のマイクロカプセルは、いずれもSP値が12(cal/cm1/2以下である溶媒を内包していた。
さらに、実施例6〜7のマイクロカプセルは、特定範囲の構成材料を用いたことにより、実施例1〜5のマイクロカプセルよりも、耐水性に優れていた。
これに対して、比較例1〜3では、重縮合物を膜形成成分となるようにしたものの、アミノ基又はアミノ基塩形成基を有するホルムアルデヒド反応剤を用いたことにより、このホルムアルデヒド反応剤を内包するマイクロカプセルを形成できかった。
本発明は、ホルムアルデヒドの除去剤の用途に利用可能である。

Claims (2)

  1. ポリウレアを膜形成成分とし、
    ホルムアルデヒドとの反応性を有し、かつアミノ基及びアミノ基が塩を形成している基を有しないホルムアルデヒド反応剤を内包する、マイクロカプセルであって、
    前記ホルムアルデヒド反応剤が、置換基を有していてもよい1,2,3−トリアゾール及びその塩、置換基を有していてもよい1,2,4−トリアゾール及びその塩、1,2,3−ベンゾトリアゾール及びその塩、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール及びその塩、並びに5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール及びその塩からなる群から選択される1種又は2種以上であり、かつ、常温で固体であり、
    前記マイクロカプセルが、さらに、SP値が6.5(cal/cm 1/2 以上10.4(cal/cm 1/2 未満である溶媒を内包する、マイクロカプセル。
  2. 請求項に記載のマイクロカプセルを含有する液状組成物。
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