JP6377913B2 - マイクロカプセルの製造方法及びマイクロカプセル - Google Patents
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Description
また、特許文献1には、水溶性生理活性物質を含む溶液を内水相とし、疎水性生体内分解性ポリマーを含む溶液を油相とするW/O型乳化物を第3相目の水相に加え、W/O/W型乳化物を形成させた後、油相中の溶媒を蒸発させ、マイクロカプセルを調製する方法(いわゆる液中乾燥法)が記載されている。しかしながら、このような方法でも、W/O/W型の3相からなる乳化物を利用するため、小粒子径のマイクロカプセルを得ることは難しかった。
また、本発明は、SP値10以上の水溶性コア剤を内包し、平均粒子径が0.1〜100μmである本発明のマイクロカプセルの製造方法により製造されたマイクロカプセルである。
以下、本発明を詳述する。
上記重縮合性疎水性モノマーと重縮合可能な化合物は、重縮合性疎水性モノマーに合わせて適宜選択され、例えば、水性溶媒自体であってもよいし、重縮合性水溶性モノマーであってもよいし、これらの両方であってもよい。
また、この場合、上記水性溶液は、更に、水性溶媒を含有することが好ましい。上記水性溶媒は、0〜80℃程度において、重縮合性疎水性モノマーと重縮合可能な化合物と、水溶性コア剤とを溶解できれば特に限定されず、例えば、水、メタノール、水とメタノールとの混合溶媒等が挙げられる。
上記多官能ヒドロキシル化合物として、例えば、ヒドロキノン、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
なお、SP値とは、沖津俊直、「接着」、高分子刊行会、40巻8号(1996)p342−350に記載された、沖津による各種原子団のΔF、Δv値を用い、下記式(1)により算出した溶解性パラメーターδを意味する。また、混合物、共重合体の場合は、下記式(2)により算出した溶解性パラメーターδmixを意味する。
δ=ΣΔF/ΣΔv (1)
δmix=φ1δ1+φ2δ2+・・・φnδn (2)
式中、ΔF、Δvは、それぞれ、沖津による各種原子団のΔF、モル容積Δvを表す。φは、容積分率又はモル分率を表し、φ1+φ2+・・・φn=1である。
上記触媒は、水性溶媒に溶解できれば特に限定されず、重縮合性疎水性モノマーに合わせて適宜選択される。重縮合性疎水性モノマーが酸クロライドである場合、上記触媒として、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
上記非極性媒体は特に限定されず、水性溶媒に合わせて適宜選択される。上記水性溶媒と上記非極性媒体との関係としては、上記水性溶媒よりも非極性媒体の沸点が高く、上記水性溶媒の20℃での非極性媒体への溶解度が5重量%以下であることが好ましい。このような水性溶媒と非極性媒体とを用いることにより、安定な乳化液を調製することができるとともに、水性溶液からなる液滴の合一等を抑制することができるため、マイクロカプセルの粒子径の制御が可能となる。
なお、水性溶媒の20℃での非極性媒体への溶解度とは、20℃において、非極性媒体と水性溶媒とを混合して1日撹拌した後に、非極性媒体をガスクロマトグラフィーにより分析したときの、非極性媒体中に含まれる水性溶媒の量を意味する。
上記乳化剤は特に限定されず、例えば、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノラウレート等が挙げられる。上記分散安定剤は特に限定されず、例えば、ポリジメチルシロキサンや、ソルスパース8000、ソルスパース13650、ソルスパース13300、ソルスパース17000、ソルスパース21000(以上、日本ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
上記水性溶液と上記非極性媒体との配合比は特に限定されないが、水性溶液からなる液滴の合一及びマイクロカプセルの凝集を抑制する観点から、上記非極性媒体1000重量部に対する上記水性溶液の配合量の好ましい上限は500重量部である。
上記水性溶液からなる液滴の液滴径は、水性溶液からなる液滴の合一及びマイクロカプセルの凝集を抑制し、小粒子径のマイクロカプセルを製造する観点から、0.1〜100μmであることが好ましい。液滴径のより好ましい下限は1μm、より好ましい上限は10μmである。
なお、液滴径とは、動的光散乱法(例えば、ピーエスエス社製のNICOMP 380ZLS等)により測定した体積平均液滴径を意味する。
なお、上記乳化液に重縮合性疎水性モノマーを添加するのではなく、予め上記非極性媒体に重縮合性疎水性モノマーを溶解させておいた場合には、例えば、重縮合性疎水性モノマーの不溶化が生じる、上記水性溶液が上記非極性媒体に充分に分散する前に重縮合反応が進行する等の問題が生じてしまう。
上記酸クロライドとして、例えば、テレフタロイルクロリド、イソフタロイルクロリド、フタロイルクロリド、セバコイルクロリド等が挙げられる。なかでも、緻密なシェルを形成することで高い耐水性が得られることから、セバコイルクロリドが好ましい。
上記活性エステルとして、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類が挙げられる。具体的には、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のフェニルエステル、チオフェニルエステル、ニトロフェニルエステル、ベンゾトリアゾールエステル等のエステルが挙げられる。
なお、重縮合性疎水性モノマーの20℃での水性溶媒への溶解度とは、20℃において、水性溶媒に重縮合性疎水性モノマーを加えたときに、溶液が不均一とならない重縮合性疎水性モノマーの最大量を意味する。
なお、シェル厚みとは、下記式(3)により算出される、カプセルの体積と内包体積比率から算出したシェルの体積を、カプセルの表面積で割ることで求められる値を意味する。シェル厚み={カプセルの体積−(カプセルの体積×内包体積比率)}/カプセルの表面積 (3)
なお、内包体積比率は、平均粒子径を用いて算出したカプセルの体積とガスクロマトグラフィーを用いて測定した水溶性コア剤の含有量から、下記式(4)により算出される値を意味する。
内包体積比率(%)=(水溶性コア剤の含有量(重量%)×水溶性コア剤の比重(g/cm3))/カプセルの体積(cm3) (4)
なお、平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡(例えば、日立ハイテクテクノロジーズ社製のS−3500N等)を用いて1視野に約100個のカプセルが観察できる倍率で観察し、任意に選択した50個のカプセルの最長径をノギスで測定した平均値を意味する。
本発明のマイクロカプセルの含水率の好ましい上限は、1重量%である。含水率のより好ましい上限は0.1重量%である。含水率の下限は特に限定されず、0重量%に近いほど好ましい。
このようなマイクロカプセルを得るためには、シェルを疎水性にすることが好ましく、特に重縮合性疎水性モノマーとしてイソシアネート化合物を用いることが好ましい。
なお、含水率とは、赤外線水分計(例えば、FD−720、ケツト科学研究所社製)により測定した水分量を、測定に使用したマイクロカプセル量で割った値の百分率を意味する。
水溶性コア剤としてマロン酸ジヒドラジド(SP値18.6)30重量部と、重縮合性水溶性モノマーとしてヘキサメチレンジアミン12重量部とを、水性溶媒として水525重量部とメタノール175重量部との混合溶媒に溶解させて、水性溶液を得た。この水性溶液を、非極性媒体としてのイソパラフィン系溶剤(アイソパーM、エクソンモービル社製)3390重量部(乳化剤としてソルビタンセスキオレエートを1重量%含む)に加え、ホモジナイザーを用いて5000rpmで攪拌して、水性溶液からなる液滴が分散した乳化液を調製した。
その後、重縮合性疎水性モノマーとしてヘキサメチレンジイソシアネート(20℃での水性溶媒への溶解度0.02重量%)58重量部をイソパラフィン系溶剤(アイソパーM、エクソンモービル社製)350重量部に溶解させた溶液を乳化液に加え、60℃で6時間加熱撹拌を行って重縮合反応を生じさせて、水溶性コア剤を内包するシェルを形成させ、非極性媒体中にマイクロカプセルが分散したマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルをシクロヘキサンで繰り返し洗浄し、真空乾燥により乾燥させた。
水溶性コア剤として1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(SP値15.9)30重量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして、マイクロカプセルを得た。
水溶性コア剤として2−メチルイミダゾール(SP値10.8)30重量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして、マイクロカプセルを得た。
重縮合性疎水性モノマーとして1,4−フェニレンジイソシアネート(20℃での水性溶媒への溶解度0.01重量%)58重量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして、マイクロカプセルを得た。
水溶性コア剤としてマロン酸ジヒドラジド(SP値18.6)30重量部と、重縮合性水溶性モノマーとしてヘキサメチレンジアミン29重量部と、触媒として炭酸ナトリウム60重量部とを、水性溶媒として水525重量部とメタノール175重量部との混合溶媒に溶解させて、水性溶液を得た。この水性溶液を、非極性媒体としてのイソパラフィン系溶剤(アイソパーM、エクソンモービル社製)3390重量部(乳化剤としてソルビタンセスキオレエートを1重量%含む)に加え、ホモジナイザーを用いて5000rpmで攪拌して、水性溶液からなる液滴が分散した乳化液を調製した。
その後、重縮合性疎水性モノマーとしてセバコイルクロリド(20℃での水性溶媒への溶解度1重量%)29重量部をイソパラフィン系溶剤(アイソパーM、エクソンモービル社製)350重量部に溶解させた溶液を乳化液に加え、60℃で6時間加熱撹拌を行って重縮合反応を生じさせて、水溶性コア剤を内包するシェルを形成させ、非極性媒体中にマイクロカプセルが分散したマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルをシクロヘキサンで繰り返し洗浄し、真空乾燥により乾燥させた。
水溶性コア剤としてマロン酸ジヒドラジド(SP値18.6)30重量部と、重縮合性水溶性モノマーとしてヘキサメチレンジアミン29重量部と、触媒として炭酸ナトリウム60重量部とを、水性溶媒として水525重量部とメタノール175重量部との混合溶媒に溶解させて、水性溶液を得た。この水性溶液を、非極性媒体としてのイソパラフィン系溶剤(アイソパーM、エクソンモービル社製)3390重量部(乳化剤としてソルビタンセスキオレエートを1重量%含む)に加え、ホモジナイザーを用いて5000rpmで攪拌して、水性溶液からなる液滴が分散した乳化液を調製した。
その後、重縮合性疎水性モノマーとしてテレフタル酸ビス(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)(20℃での水性溶媒への溶解度0.01重量%)29重量部をイソパラフィン系溶剤(アイソパーM、エクソンモービル社製)350重量部に溶解させた溶液を乳化液に加え、60℃で6時間加熱撹拌を行って重縮合反応を生じさせて、水溶性コア剤を内包するシェルを形成させ、非極性媒体中にマイクロカプセルが分散したマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルをシクロヘキサンで繰り返し洗浄し、真空乾燥により乾燥させた。
水溶性コア剤としてマロン酸ジヒドラジド(SP値18.6)30重量部と、重縮合性水溶性モノマーとしてグリセリン29重量部と、触媒として炭酸ナトリウム60重量部とを、水性溶媒として水525重量部とメタノール175重量部との混合溶媒に溶解させて、水性溶液を得た。この水性溶液を、非極性媒体としてのイソパラフィン系溶剤(アイソパーM、エクソンモービル社製)3390重量部(乳化剤としてソルビタンセスキオレエートを1重量%含む)に加え、ホモジナイザーを用いて5000rpmで攪拌して、水性溶液からなる液滴が分散した乳化液を調製した。
その後、重縮合性疎水性モノマーとしてセバコイルクロリド(20℃での水性溶媒への溶解度1重量%)29重量部をイソパラフィン系溶剤(アイソパーM、エクソンモービル社製)350重量部に溶解させた溶液を乳化液に加え、60℃で6時間加熱撹拌を行って重縮合反応を生じさせて、水溶性コア剤を内包するシェルを形成させ、非極性媒体中にマイクロカプセルが分散したマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルをシクロヘキサンで繰り返し洗浄し、真空乾燥により乾燥させた。
水溶性コア剤としてマロン酸ジヒドラジド(SP値18.6)30重量部を、水525重量部とメタノール175重量部との混合溶媒に溶解させて、水性溶液を得た。この水性溶液を、ポリ(dl−乳酸)(疎水性ポリマー)58重量部をジクロロメタンに溶解させた溶液(乳化剤としてソルビタンセスキオレエートを1重量%含む)に加え、ホモジナイザーを用いて7000rpmで攪拌して、水性溶液からなる液滴が分散した乳化液を調製した。
更に、この乳化液を、ポリビニルアルコール(GH−20、日本合成化学社製)を溶解させた水に加えて、ホモジナイザーを用いて2000rpmで撹拌して、W/O/W型エマルジョンを調製した。その後、得られたW/O/W型エマルジョンを減圧装置付反応器で室温及び30℃、0.09MPaの条件で加熱及び減圧し、水を除去した。
水溶性コア剤としてマロン酸ジヒドラジド(SP値18.6)30重量部と、重縮合性水溶性モノマーとしてヘキサメチレンジアミン12重量部とを、水性溶媒として水525重量部とメタノール175重量部との混合溶媒に溶解させて、水性溶液を得た。この水性溶液を、重縮合性疎水性モノマーとしてヘキサメチレンジイソシアネート58重量部を非極性媒体としてのイソパラフィン系溶剤(アイソパーM、エクソンモービル社製)3390重量部(乳化剤としてソルビタンセスキオレエートを1重量%含む)に混合した溶液に加え、ホモジナイザーを用いて5000rpmで攪拌していたところ、重縮合反応による急激な粘度上昇が起こり、乳化液を調製することができなかった。
水溶性コア剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(SP値9.8)30重量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして操作を行っていたところ、水性溶液からなる液滴が安定に分散した乳化液を調製することができず、凝集物が得られた。
実施例及び比較例で得られたマイクロカプセルについて以下の評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
走査型電子顕微鏡(S−3500N、日立ハイテクテクノロジーズ社製)を用いて1視野に約100個のマイクロカプセルが観察できる倍率でマイクロカプセルを観察し、任意に選択した50個のマイクロカプセルの最長径をノギスで測定し、その平均値を平均粒子径とした。
1週間、空気中にさらしたマイクロカプセルを5.0g計量し、赤外線水分計(FD−720、ケツト科学研究所社製)を用いて、マイクロカプセルの含水率を測定した。以下のように耐水性を評価した。
○:含水率0.01%以上〜0.1%未満
△:含水率0.1%以上〜1.0%未満
×:含水率1.0%以上
エポキシ樹脂(YL980、jER社製)0.58重量部中に実施例1、3、4、5、6、7及び比較例1で得られたマイクロカプセルを表2記載の重量部添加して、公転自転撹拌機で3000rpm、5分撹拌した後、得られたエポキシ樹脂組成物を200℃に熱したホットプレート上に置いたアルミカップに加えて硬化させた。
硬化後のエポキシ樹脂硬化物のボイドの有無を目視で判断した。
Claims (3)
- 重縮合性疎水性モノマーと重縮合可能な化合物と、SP値10以上の硬化剤及び/又は硬化促進剤とを含有する水性溶液からなる液滴が、非極性媒体中に分散している乳化液を調製する工程と、
前記乳化液に重縮合性疎水性モノマーを添加し、前記水性溶液からなる液滴の界面で重縮合反応を生じさせて、前記SP値10以上の硬化剤及び/又は硬化促進剤を内包するシェルを形成させる工程とを有するマイクロカプセルの製造方法により製造され、
前記SP値10以上の硬化剤及び/又は硬化促進剤を内包し、平均粒子径が0.1〜100μmである
ことを特徴とするマイクロカプセル。 - 重縮合性疎水性モノマーは、イソシアネート化合物であることを特徴とする請求項1記載のマイクロカプセル。
- 重縮合可能な化合物は、ジアミン化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロカプセル。
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