JP6525622B2 - コアシェル構造のマイクロカプセル - Google Patents

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Description

本発明は、硬化性樹脂組成物に配合された場合に優れた貯蔵安定性、熱安定性及び速硬化性を発揮することができるせん断耐久性に優れたコアシェル構造のマイクロカプセルに関する。
エポキシ樹脂は、接着剤、シール剤、コーティング剤等の様々な用途に用いられている。一般に、エポキシ樹脂には、硬化反応を進行させるための成分として硬化剤が、また、硬化性を向上させるための成分として硬化促進剤が添加される。特に、硬化剤又は硬化促進剤とエポキシ樹脂とを安定な一液にするために、潜在性をもたせた硬化剤又は硬化促進剤が多用されている。このような潜在性硬化剤又は硬化促進剤には、配合されたエポキシ樹脂組成物の安定性を低下させることなく、硬化時には速やかに硬化を進行させることが求められている。
エポキシ樹脂に用いられる硬化剤又は硬化促進剤として、例えば、特許文献1には、平均粒径が0.1〜3μmであり、マイクロカプセル壁材膜の厚さが0.001〜0.3μmであるマイクロカプセル化イミダゾール誘導体エポキシ化合物が記載されている。
また、特許文献2には、特許文献1同様の方法で得られたマイクロカプセル化イミダゾール誘導体エポキシ化合物がエポキシ樹脂に分散している組成物を加熱処理して得られるマスターバッチ型硬化剤組成物が記載されている。
また、特許文献3には、水に対する溶解度が10重量パーセント以下であるアミン系硬化剤を含み、殻壁成分がラジカル重合性単量体を主重合成分にしてラジカル重合法により反応させて形成された重合体であるアミン系硬化剤のマイクロカプセルが記載されている。
しかしながら、特許文献1及び2記載の硬化剤又は硬化促進剤は、アミンにエポキシ樹脂等を反応させた付加体(アミンアダクト)を用いているため、硬化性が不充分であり、硬化反応に時間を要する。また、特許文献1及び2記載の硬化剤又は硬化促進剤は、アミンとエポキシ樹脂等との接触界面が硬化しているにすぎないため、せん断耐久性が低く、混練等のプロセス中に加わるせん断力によって破壊されやすい。このような理由から、特許文献1及び2記載の硬化剤又は硬化促進剤は、時間の経過とともに硬化反応が進行しやすく、充分な貯蔵安定性及び熱安定性が得られない。また、特許文献3記載のアミン系硬化剤のマイクロカプセルは、反応活性が低く硬化反応に時間を要する。
特開2004−352785号公報 特開2013−1875号公報 特開平3−182520号公報
本発明は、硬化性樹脂組成物に配合された場合に優れた貯蔵安定性、熱安定性及び速硬化性を発揮することができるせん断耐久性に優れたコアシェル構造のマイクロカプセルを提供することを目的としている。
本発明は、水への溶解度が5重量%以上であるエポキシ樹脂用硬化剤及び/又はエポキシ樹脂用硬化促進剤が、ポリマーで被覆されていて、前記ポリマーは、水素結合可能な極性官能基を有するポリマーを50重量%以上含有しており、破壊荷重が1mN以上、4mN以下であるコアシェル構造のマイクロカプセルである。
本発明のコアシェル構造のマイクロカプセルは、含水率が0.1重量%以下であることが好ましい。
以下、本発明を詳述する。
本発明のコアシェル構造のマイクロカプセル(以下、単に「マイクロカプセル」ともいう)は、エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤が、ポリマーで被覆されている。
上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤は、水への溶解度が5重量%以上である。即ち、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤は、水溶性であるといえる。
上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤を水溶性とすることにより、マイクロカプセルが硬化性樹脂組成物に配合された場合の硬化速度を高めることができる。また、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤は水溶性であり、エポキシ樹脂との相溶性が低いために、貯蔵中に上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤が漏出したとしても漏出したエポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤が拡散しづらく、貯蔵中に硬化反応が進行しづらい。従って、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤を水溶性とすることにより、マイクロカプセルが硬化性樹脂組成物に配合された場合の貯蔵安定性及び熱安定性を高めることができる。上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の水への溶解度の好ましい下限は10重量%、より好ましい下限は15重量%、更に好ましい下限は20重量%である。上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の水への溶解度の上限は特に限定されないが、入手容易性、均一硬化性等を考慮すると、好ましい上限は100重量%である。
なお、エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の水への溶解度とは、20℃において100gの水へエポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤を加えたときに、溶液が不均一にも2相にもならないエポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の最大量を意味する。なお、溶液が不均一になったり2相になったりしている状態は、エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤が水に完全に溶けていない状態である。
上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤は、水への溶解度が5重量%以上であれば特に限定されない。水への溶解度が5重量%以上であるエポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤として、具体的に例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、エチレンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、トリエチレントリアミン等のアミン化合物、マロン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、2、4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が挙げられる。なかでも、水への溶解度が高いことから、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、エチレンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミンが好ましい。
本発明のマイクロカプセルは、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤が、ポリマーで被覆されている。
通常、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤をそのまま硬化性樹脂組成物に配合すると、上述したように上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤は水溶性であり、エポキシ樹脂との相溶性が低いために、エポキシ樹脂中に拡散しづらく、貯蔵中に硬化反応が進行しづらい(急激な粘度上昇は起きない)。しかしながら、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の界面から徐々に硬化反応が進行していくため、充分な貯蔵安定性及び熱安定性が得られない。
一方、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤をポリマーで被覆することにより、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤とエポキシ樹脂との接触を抑制して、マイクロカプセルが硬化性樹脂組成物に配合された場合の貯蔵安定性及び熱安定性を高めることができる。なお、ポリマーとは、分子量が1000以上程度である化合物を意味する。
上記ポリマーは、水素結合可能な極性官能基を有するポリマーを50重量%以上含有している。
上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤を、水素結合可能な極性官能基を有するポリマーを50重量%以上含有するポリマーで被覆することで、ポリマー同士が水素結合により緻密なシェルを構築するため、漏出させることなく上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤をシェルが保持できる。このため、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤とエポキシ樹脂との接触を更に抑制して、マイクロカプセルが硬化性樹脂組成物に配合された場合の貯蔵安定性及び熱安定性を高めることができる。また、水素結合によりシェルが硬くなるため、マイクロカプセルのせん断耐久性が向上し、プロセス中に加わる力でマイクロカプセルが破壊されることなく貯蔵安定性が更に向上する。加えて、上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーは高温で水素結合が切れることから、高温では上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤に上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーが溶解し、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤が放出することから速硬化性が向上する。上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーの含有量の上限は特に限定されず、100重量%であってもよい。
上記水素結合可能な極性官能基として、具体的に例えば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。なかでも、強い水素結合を形成できることから、カルボキシル基が好ましい。これら極性官能基を有するポリマーとして、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、アクリル酸−アクリルアミド共重合体、ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリルアミド−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリマレイン酸、メチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、ゼラチン、寒天、ペクチン、ジェランガム等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、分子量によりシェルの崩壊温度を調整することが可能であることから、ポリアクリル酸が好ましい。
更に、上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーは架橋されていてもよい。上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーがポリアクリル酸である場合、架橋剤として例えば、チタンアルコキシド、チタンアルコキシラート、チタンキレート、シランカップリング剤、イソシアネート、エポキシ樹脂等が挙げられる。上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーがゼラチンである場合、架橋剤として例えば、チタンアルコキシラート等が挙げられる。
上記架橋剤の含有量は特に限定されないが、後述するマイクロカプセルの破壊荷重を調整する観点から、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤と、上記ポリマーとの合計100重量部に対する好ましい下限が1重量部、好ましい上限が30重量部であり、より好ましい下限が5重量部、より好ましい上限が15重量部である。
上記ポリマーは、更に、上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマー以外のその他ポリマーを含有していてもよい。
上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマー以外のその他ポリマーとして、例えば、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のマイクロカプセルの破壊荷重の下限は1mNである。破壊荷重が1mNを下回ると、マイクロカプセルのせん断耐久性が低下し、プロセス中に加わるせん断力によってマイクロカプセルが破壊され、硬化性樹脂組成物に配合された場合の貯蔵安定性が低下する。破壊荷重の好ましい下限は1.5mNである。破壊荷重の上限は特に限定されないが、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性を考慮すると、好ましい上限は4mNである。
なお、マイクロカプセルの破壊荷重とは、微小圧縮試験機(例えば、フィッシャー社製のフィッシャースコープH−100)を用いて、円柱(直径100μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、圧縮速度0.3mN/秒、最大試験荷重20mNの条件下でマイクロカプセルを圧縮したときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定し、このとき、荷重値に対して圧縮変位が平均粒子径と同じになった点の荷重を意味する。
上記破壊荷重を上記範囲に調整する手法としては、マイクロカプセルの含水率を低くする手法が好ましい。また、シェル中に含まれる水素結合可能な極性官能基の数を多くするために、上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーの含有量を多くする手法、又は、上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマー1分子あたりに含まれる極性官能基数を増加させる手法も好ましい。また、上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーを架橋する手法、上記ポリマーにより構築されたシェル上を更に硬度の高い無機材で被覆する手法も好ましい。
本発明のマイクロカプセルの含水率の好ましい上限は、0.1重量%である。含水率が0.1重量%を超えると、マイクロカプセルのせん断耐久性が低下し、プロセス中に加わるせん断力によってマイクロカプセルが破壊され、硬化性樹脂組成物に配合された場合の貯蔵安定性が低下することがある。また、せん断力の加わらないプロセスにおいても、シェルの溶解により上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤が漏出することから貯蔵安定性が低下することがある。更に、水によりマイクロカプセルが凝集することで、硬化ムラの原因となることがある。含水率のより好ましい上限は0.05重量%である。含水率の下限は特に限定されず、0重量%に近いほど好ましい。
なお、含水率とは、赤外線水分計(例えば、FD−800、ケツト科学研究所社製)により測定した水分量を、測定に使用したマイクロカプセル量で割った値の百分率を意味する。
上記含水率を低くする手法としては、得られたマイクロカプセルを有機溶剤により繰り返し洗浄する手法、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥等により乾燥する手法、デシケーターで保存する手法等が挙げられる。
本発明のマイクロカプセルの平均粒子径は、好ましい下限が0.3μm、好ましい上限が20.0μmである。平均粒子径が0.3μm未満であると、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の保持性が低下し、マイクロカプセルが硬化性樹脂組成物に配合された場合の貯蔵安定性が低下することがある。平均粒子径が20.0μmを超えると、マイクロカプセルが硬化性樹脂組成物に配合された場合、硬化反応にムラが生じることがある。平均粒子径のより好ましい上限は10.0μmである。
なお、平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡を用いて1視野に約100個のマイクロカプセルが観察できる倍率で観察し、任意に選択した50個のマイクロカプセルの最長径をノギスで測定した平均値を意味する。
本発明のマイクロカプセルの内包体積比率は、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の保持性及び放出性の観点から、好ましい下限が15体積%、好ましい上限が70体積%である。内包体積比率のより好ましい下限は25体積%、より好ましい上限は50体積%である。
本発明のマイクロカプセルのシェル厚みは、好ましい下限が0.05μm、好ましい上限が1.0μmである。シェル厚みが0.05μm未満であると、マイクロカプセルの強度、耐熱性又は耐溶剤性が低下し、マイクロカプセルが硬化性樹脂組成物に配合された場合の貯蔵安定性又は熱安定性が低下することがある。シェル厚みが1.0μmを超えると、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性が低下し、硬化反応に長時間を要したりマイクロカプセルを多量に配合する必要が生じたりすることがある。シェル厚みのより好ましい下限は0.08μm、より好ましい上限は0.5μmである。
なお、内包体積比率及びシェル厚みは、下記のようにして算出される。
平均粒子径Dを用いて下記式(1)によりマイクロカプセルの体積Vを算出する。
次いで、マイクロカプセル0.15mgを精秤し、熱分解装置(フロンティア・ラボ社製)を用いて熱分解後、ガスクロマトグラフィー装置(Q1000、日本電子社製)でエポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の含有量Cを定量する。得られた含有量Cを用いて下記式(2)によりマイクロカプセルの内包体積比率を算出する。
次いで、算出した内包体積比率を用いて下記式(3)によりコアの直径を算出する。更に、算出したコアの直径を用いて下記式(4)によりシェル厚みを算出する。
V(cm)=(4×π×(D/2))/3 (1)
内包体積比率(%)=(C(重量%)/G(g/cm))/V(cm) (2)
コアの直径=2×{(3×V×内包体積比率)/(4×π)}(1/3) (3)
シェル厚み=(D−コアの直径)/2 (4)
式(1)〜(4)中、Vはマイクロカプセルの体積を表し、Dはマイクロカプセルの平均粒子径を表し、Cは熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて定量したエポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の含有量を表し、Gはエポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の比重を表す。
本発明のマイクロカプセルは、コアシェル構造を有するものである。コアシェル構造とは、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤を、上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーを50重量%以上含有するポリマーが被覆した構造を意味する。
なお、コアシェル構造の確認方法としては、クロスセションポリッシャーによりマイクロカプセルの断面形状を露出した後、走査型電子顕微鏡により断面構造を観察する方法を用いることができる。
本発明のマイクロカプセルを製造する方法は特に限定されないが、水性溶媒に少なくとも上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤と上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーとを溶解させた水性溶液aを、非極性媒体に乳化剤又は分散剤を溶解させた非極性溶液bに分散させて乳化液とし、次いで、乳化液から加熱及び/又は減圧により水性溶媒を除去する方法が好ましい。
上記水性溶液aは、水性溶媒に少なくとも上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤と上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーとを溶解させることによって得られる。
上記水性溶媒は、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤と上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーとを溶解できれば特に限定されず、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤と上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーとに合わせて適宜選択されるが、例えば、水、メタノール、水とメタノールとの混合溶媒等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の配合量は特に限定されないが、マイクロカプセルの内包体積比率、並びに、エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性及び保持性の観点から、シェルを構成する原料100重量部に対する好ましい下限が20重量部、好ましい上限が150重量部である。配合量のより好ましい下限は40重量部、より好ましい上限は100重量部である。
なお、シェルを構成する原料とは、水素結合可能な極性官能基を有するポリマーに、必要に応じてその他ポリマー、架橋剤等を合わせたものを意味する。
上記水性溶液aは、水性溶媒に少なくとも上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤と上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーとを溶解させたものであれば、更に、上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーを架橋する架橋剤を含有していてもよい。
上記非極性溶液bは、非極性媒体に乳化剤又は分散剤を溶解させることによって得られる。
上記非極性媒体は特に限定されず、水性溶媒に合わせて適宜選択される。
上記水性溶媒と上記非極性媒体との関係としては、上記水性溶媒よりも非極性媒体の沸点が高く、上記水性溶媒の20℃での非極性媒体への溶解度が5重量%以下であることが好ましい。このような水性溶媒と非極性媒体とを用いることにより、安定な乳化液を調製することができるとともに、水性溶媒を除去する際に液滴の合一等を抑制することができるため、マイクロカプセルの粒子径の制御が可能となる。
なお、水性溶媒の20℃での非極性媒体への溶解度とは、20℃において、非極性媒体と水性溶媒とを混合して1日撹拌した後に、非極性媒体をガスクロマトグラフィーにより分析したときの、非極性媒体中に含まれる水性溶媒の量を意味する。
上記水性溶媒が水(沸点100℃)である場合、上記非極性媒体として、例えば、ノルパー13、ノルパー15(以上、エクソンモービル社製)等のノルマルパラフィン系溶剤や、エクソールD30、エクソールD40(以上、エクソンモービル社製)等のナフテン系溶剤や、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM(以上、エクソンモービル社製)等のイソパラフィン系溶剤や、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、水への溶解度が低いことから、アイソパーH、アイソパーM等のイソパラフィン系溶剤が好ましい。
上記乳化剤は、非極性媒体に溶解できれば特に限定されないが、HLBが10以下であることが好ましい。HLBが10以下の乳化剤は、油中水滴型(w/o型)の乳化液を安定に調製でき、水中油滴型(o/w型)又は多層エマルション(w/o/w型)の形成を抑制することができる。
なお、HLBとは、乳化剤の親油性と親水性とのバランスを示す指標であり、親水基を持たない場合をHLB=0、親油基を持たず親水基のみをもつ場合をHLB=20としたものであり、水、油等の溶媒に対する乳化剤の親和性を意味する。HLBの算出方法としては、グリフィン法、デイビス法等の既知の手法を用いることができる。
上記乳化剤として、具体的には例えば、ソルビタンモノラウレート(HLB8.6)、ソルビタンモノパルミテート(HLB6.7)、ソルビタンモノステアレート(HLB4.7)、ソルビタンジステアレート(HLB4.4)、ソルビタンモノオレエート(HLB4.3)、ソルビタンセスキオレエート(HLB3.7)、ソルビタントリスステアレート(HLB2.1)、ソルビタントリオレエート(HLB1.8)等が挙げられる。
上記乳化剤の添加量は、非極性媒体100重量部に対する好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が5重量部である。上記乳化剤の添加量が0.05重量部以上であると、油中水滴型(w/o型)の乳化液を安定に調製できる。上記乳化剤の添加量が5重量部以下であると、乳化液中の水性溶液aからなる液滴のサイズが適切になり、適切なマイクロカプセルの粒子径を得ることができる。
上記分散剤は、非極性媒体に溶解できれば特に限定されないが、分子量が1000以上であることが好ましい。分子量が1000以上の分散剤は、乳化液中の水性溶液aからなる液滴を立体反発により安定化させることができる。
上記分散剤として、具体的には例えば、ポリジメチルシロキサンや、ソルスパース8000、ソルスパース13650、ソルスパース13300、ソルスパース17000、ソルスパース21000(以上、日本ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
上記分散剤の添加量は、非極性媒体100重量部に対する好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が10重量部である。上記分散剤の添加量が0.1重量部以上であれば、乳化液中の水性溶液aからなる液滴を立体反発により安定化させることができる。
上記非極性溶液bには、更に、上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーを架橋する架橋剤を添加してもよい。
上記非極性溶液bに添加される架橋剤は特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、油溶性シランカップリング剤、チタンアルコキシド、チタンアルコキシラート、イソシアネート含有ポリマー、イソシアネート含有オリゴマー、シリコンアルコキシオリゴマー等が挙げられる。
上記水性溶液aを上記非極性溶液bに分散させて乳化液を調製する際には、水性溶液aに非極性溶液bを添加してもよく、非極性溶液bに水性溶液aを添加してもよい。乳化方法として、例えば、ホモジナイザーを用いて攪拌する方法、超音波照射により乳化する方法、マイクロチャネル又はSPG膜を通過させて乳化する方法、スプレーで噴霧する方法、転相乳化法等が挙げられる。
上記乳化液から加熱及び/又は減圧により水性溶媒を除去する方法は特に限定されないが、上記乳化液を温度20〜100℃かつ圧力0.1〜0.001MPaで加熱及び/又は減圧することで上記水性溶媒を除去する方法が好ましい。
上記水性溶媒を除去することにより、上記エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤と上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーとを相分離させながら上記水素結合可能な極性官能基を有するポリマーを析出させ、コアシェル構造を形成することができる。
水性溶媒を除去する際には、温度及び圧力の条件を調整することにより、マイクロカプセルの含水率の制御が可能となる。含水率を低くすることより、マイクロカプセルのせん断耐久性を向上させ、せん断力のかかるプロセスにおいてもマイクロカプセルが破壊されることなく、硬化性樹脂組成物に配合された場合の貯蔵安定性をも改善できる。
得られたマイクロカプセルは、有機溶剤により繰り返し洗浄することが好ましい。なかでも、含水率を低くできることからシクロヘキサン、ノルマルヘキサン、トルエンで洗浄することが好ましい。
得られたマイクロカプセルは、既知の方法を用いて乾燥されてもよい。なかでも、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥は含水率を低くできることから好ましい。
得られたマイクロカプセルは、含水率を低くできることから、デシケーターで保存することが好ましい。
本発明によれば、硬化性樹脂組成物に配合された場合に優れた貯蔵安定性、熱安定性及び速硬化性を発揮することができるせん断耐久性に優れたコアシェル構造のマイクロカプセルを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
なお、以下の実施例、参考例、及び比較例で用いたポリマーの分子量とは、ポリマーの重量平均分子量(Mw)を意味する。ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、カラムとしてフナコシ社製カラムSB−806MHQを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行い、ポリエチレングリコール換算による重量平均分子量(Mw)を測定することにより求めた。
(実施例1)
水素結合可能な極性官能基を有するポリマーとしてアクリル酸−アクリルアミド共重合体(分子量4000)70重量部と、エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤として2−メチルイミダゾール(20℃での水への溶解度45重量%)30重量部とを、水(沸点100℃、20℃でのイソパラフィン系溶剤アイソパーMへの溶解度0.1重量%以下)2250重量部に溶解させて、水性溶液を得た。
一方、非極性媒体としてのイソパラフィン系溶剤(アイソパーM、エクソンモービル社製)に乳化剤としてソルビタンセスキオレエートを1重量%含む非極性溶液を調製した。
2350重量部の水性溶液を、11250重量部の非極性溶液に加え、ホモジナイザーを用いて5000rpmで攪拌して乳化分散させた。その後、得られた乳化液を減圧装置付反応器で70℃、0.1MPaの条件で加熱及び減圧して水を除去することにより、コアシェル構造を有するマイクロカプセルの分散液を得た。得られたマイクロカプセル分散液中のマイクロカプセルを、シクロヘキサンを用いて繰り返して洗浄した後、真空乾燥機を用いて50℃、3日乾燥した。
(実施例2)
水素結合可能な極性官能基を有するポリマーをポリアクリル酸(分子量5000)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、マイクロカプセルを得た。
(実施例3)
乳化液を減圧装置付反応器で40℃、0.1MPaの条件で加熱及び減圧したこと以外は実施例2と同様にして、マイクロカプセルを得た。
(実施例4)
水性溶液に架橋剤としてチタンアルコキシラート25%水溶液(和光純薬工業社製)60重量部を添加したこと以外は実施例2と同様にして、マイクロカプセルを得た。
参考例5)
水性溶液に架橋剤としてチタンアルコキシラート25%水溶液(和光純薬工業社製)120重量部を添加したこと以外は実施例2と同様にして、マイクロカプセルを得た。
(実施例6)
水素結合可能な極性官能基を有するポリマーをアクリル酸−メタクリル酸共重合体(分子量5000)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、マイクロカプセルを得た。
(実施例7)
水素結合可能な極性官能基を有するポリマー70重量部をゼラチン(和光純薬工業社製、分子量200000)70重量部に変え、架橋剤としてチタンアルコキシラート25%水溶液(和光純薬工業社製)30重量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、マイクロカプセルを得た。
(実施例8)
水素結合可能な極性官能基を有するポリマーをペクチン(分子量100000)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、マイクロカプセルを得た。
(実施例9)
被覆ポリマーを水素結合可能な極性官能基を有するポリマーであるポリアクリル酸(和光純薬工業社製)35重量部及びその他ポリマーであるポリエチレンオキシド(和光純薬工業社製、分子量6000)35重量部に変えたこと以外は実施例1と同様にして、マイクロカプセルを得た。
(実施例10)
エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤をヘキサメチレンジアミン(20℃での水への溶解度33重量%)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、マイクロカプセルを得た。
(実施例11)
エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤をトリエチレンジアミン(20℃での水への溶解度45重量%)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、マイクロカプセルを得た。
(実施例12)
エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤をマロン酸ジヒドラジド(20℃での水への溶解度45重量%)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、マイクロカプセルを得た。
(比較例1)
水素結合可能な極性官能基を有するポリマーとしてメチルセルロース(SM−100、信越化学工業社製、分子量100000)70重量部と、エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤として2−メチルイミダゾール(20℃での水への溶解度45重量%)30重量部とを、水(沸点100℃、20℃でのイソパラフィン系溶剤アイソパーMへの溶解度0.1重量%以下)2250重量部に溶解させて、水性溶液を得た。
一方、非極性媒体としてのイソパラフィン系溶剤(アイソパーM、エクソンモービル社製)に乳化剤としてソルビタンセスキオレエートを1重量%含む非極性溶液を調製した。
2350重量部の水性溶液を、11250重量部の非極性溶液に加え、ホモジナイザーを用いて5000rpmで攪拌して乳化分散させた。その後、得られた乳化液を減圧装置付反応器で60℃、0.1MPaの条件で加熱及び減圧して水を除去することにより、コアシェル構造を有するマイクロカプセルの分散液を得た。得られたマイクロカプセル分散液中のマイクロカプセルを、シクロヘキサンを用いて繰り返して洗浄した後、送風乾燥機を用いて40℃、1日乾燥した。
(比較例2)
エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤として2−メチルイミダゾール30重量部を、水525重量部に溶解させて、水性溶液を得た。この水性溶液を、ポリスチレン(分子量35000)70重量部をジクロロメタンに溶解させた溶液(乳化剤としてソルビタンセスキオレエートを1重量%含む)に加え、ホモジナイザーを用いて7000rpmで攪拌して、水性溶液からなる液滴が分散した乳化液を調製した。
更に、この乳化液を、ポリビニルアルコール(GH−20、日本合成化学社製)を溶解させた水に加えて、ホモジナイザーを用いて2000rpmで撹拌して、w/o/w型エマルションを調製した。その後、得られたw/o/w型エマルションを減圧装置付反応器で室温及び30℃、0.09MPaの条件で加熱及び減圧し、ジクロロメタンを除去した。
(比較例3)
被覆ポリマーを水素結合可能な極性官能基を有するポリマーであるポリアクリル酸(和光純薬工業社製)28重量部及びその他ポリマーであるポリエチレンオキシド(和光純薬工業社製)52重量部に変えたこと以外は実施例1と同様にして、マイクロカプセルを得た。
(比較例4)
エポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール(20℃での水への溶解度0重量%)30重量部を、酢酸エチル525重量部に溶解させて、油性溶液を得た。この油性溶液を、ポリアクリル酸70重量部を水に溶解させた溶液(乳化剤としてソルビタンセスキオレエートを1重量%含む)に加え、ホモジナイザーを用いて7000rpmで攪拌して、油性溶液からなる液滴が分散した乳化液を調製した。
更に、この乳化液を、ソルスパース17000を溶解させたイソパラフィン系溶剤(アイソパーM、エクソンモービル社製)に加えて、ホモジナイザーを用いて2000rpmで撹拌して、o/w/o型エマルションを調製した。その後、得られたw/o/w型エマルションを減圧装置付反応器で室温及び55℃、0.09MPaの条件で加熱及び減圧し、酢酸エチル及び水を除去した。
<評価1>
実施例、参考例、及び比較例で得られたマイクロカプセルについて以下の評価を行った。結果を表1及び2に示した。
(1)平均粒子径の測定
走査型電子顕微鏡を用いて1視野に約100個のマイクロカプセルが観察できる倍率でマイクロカプセルを観察し、任意に選択した50個のマイクロカプセルの最長径をノギスで測定し、その平均値を平均粒子径とした。
(2)シェル厚みの算出
平均粒子径Dを用いて下記式(1)によりマイクロカプセルの体積Vを算出した。
次いで、マイクロカプセル0.15mgを精秤し、熱分解装置(フロンティア・ラボ社製)を用いて熱分解後、ガスクロマトグラフィー装置(Q1000、日本電子社製)でエポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の含有量Cを定量した。得られた含有量Cを用いて下記式(2)によりマイクロカプセルの内包体積比率を算出した。
次いで、算出した内包体積比率を用いて下記式(3)によりコアの直径を算出した。更に、算出したコアの直径を用いて下記式(4)によりシェル厚みを算出した。
V(cm)=(4×π×(D/2))/3 (1)
内包体積比率(%)=(C(重量%)/G(g/cm))/V(cm) (2)
コアの直径=2×{(3×V×内包体積比率)/(4×π)}(1/3) (3)
シェル厚み=(D−コアの直径)/2 (4)
式(1)〜(4)中、Vはマイクロカプセルの体積を表し、Dはマイクロカプセルの平均粒子径を表し、Cは熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて定量したエポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の含有量を表し、Gはエポキシ樹脂用硬化剤及び/又は硬化促進剤の比重を表す。
(3)含水率の測定
乾燥後のマイクロカプセルを0.5g量り取り、赤外線水分計(FD−800、株式会社ケツト科学研究所社製)により水分量を測定した。測定した水分量をマイクロカプセル量で割ることで含水率(重量%)を算出した。
(4)破壊荷重の測定
微小圧縮試験機(フィッシャー社製、フィッシャースコープH−100)を用いて、円柱(直径100μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、圧縮速度0.3mN/秒、最大試験荷重20mNの条件下でマイクロカプセルを圧縮した。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定した。このとき、荷重値に対して圧縮変位が平均粒子径と同じになった点を破壊荷重とした。
(5)せん断耐久性の評価
得られたマイクロカプセル0.13重量部をエポキシ樹脂(YL980、jER社製)0.58重量部中に添加して、公転自転撹拌機で3000rpm、5分撹拌した後、得られたエポキシ樹脂組成物を酢酸エチルにより洗浄及びろ過し、マイクロカプセルを回収した。回収したマイクロカプセルを走査型電子顕微鏡を用いて1視野に約100個のマイクロカプセルが観察できる倍率で5回観察し、破壊されたマイクロカプセルの個数を評価した。なお、せん断耐久性については下記の基準で評価した。
○:破壊されたマイクロカプセルが観察されなかった。
△:破壊されたマイクロカプセルが1〜3個観察された。
×:破壊されたマイクロカプセルが4個以上観察された。
<評価2>
実施例、参考例、及び比較例で得られたマイクロカプセルを配合したエポキシ樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1及び2に示した。
(6)速硬化性(硬化速度の測定)
実施例1〜4、6〜、参考例5、及び比較例1〜4で得られたマイクロカプセル0.13重量部をエポキシ樹脂(YL980、jER社製)0.58重量部中に添加して、公転自転撹拌機で3000rpm、5分撹拌した後、得られたエポキシ樹脂組成物を200℃に熱したホットプレート上に置いたスライドガラスの上に滴下して、エポキシ樹脂組成物が硬化するまでの時間を測定した。
また、実施例10〜12で得られたマイクロカプセル0.32重量部をエポキシ樹脂(YL980、jER社製)0.58重量部中に添加して、公転自転撹拌機で3000rpm、5分撹拌した後、得られたエポキシ樹脂組成物を200℃に熱したホットプレート上に置いたスライドガラスの上に滴下して、エポキシ樹脂組成物が硬化するまでの時間を測定した。
(7)熱安定性
実施例1〜4、6〜、参考例5、及び比較例1〜4で得られたマイクロカプセル0.13重量部をエポキシ樹脂(YL980、jER社製)0.58重量部中に添加して、公転自転撹拌機で3000rpm、5分撹拌した後、得られたエポキシ樹脂組成物を100℃のオーブンにおいて、粘度が初期粘度の2倍になる時間を測定した。
また、実施例10〜12で得られたマイクロカプセル0.32重量部をエポキシ樹脂(YL980、jER社製)0.58重量部中に添加して、公転自転撹拌機で3000rpm、5分撹拌した後、得られたエポキシ樹脂組成物を100℃のオーブンにおいて、粘度が初期粘度の2倍になる時間を測定した。
(8)常温安定性(貯蔵安定性)
実施例1〜4、6〜、参考例5、及び比較例1〜4で得られたマイクロカプセル0.13重量部をエポキシ樹脂(YL980、jER社製)0.58重量部中に添加して、公転自転撹拌機で3000rpm、5分撹拌した後、得られたエポキシ樹脂組成物を40℃のオーブンにおいて、粘度が初期粘度の2倍になる時間を測定した。
また、実施例10〜12で得られたマイクロカプセル0.32重量部をエポキシ樹脂(YL980、jER社製)0.58重量部中に添加して、公転自転撹拌機で3000rpm、5分撹拌した後、得られたエポキシ樹脂組成物を40℃のオーブンにおいて、粘度が初期粘度の2倍になる時間を測定した。
Figure 0006525622
Figure 0006525622
本発明によれば、硬化性樹脂組成物に配合された場合に優れた貯蔵安定性、熱安定性及び速硬化性を発揮することができるせん断耐久性に優れたコアシェル構造のマイクロカプセルを提供することができる。

Claims (2)

  1. 水への溶解度が5重量%以上であるエポキシ樹脂用硬化剤及び/又はエポキシ樹脂用硬化促進剤が、ポリマーで被覆されていて、
    前記ポリマーは、水素結合可能な極性官能基を有するポリマーを50重量%以上含有しており、
    破壊荷重が1mN以上、4mN以下である
    ことを特徴とするコアシェル構造のマイクロカプセル。
  2. 含水率が0.1重量%以下であることを特徴とする請求項1記載のコアシェル構造のマイクロカプセル。
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