JP6794714B2 - 壁紙用原反、発泡壁紙及び発泡壁紙の製造方法 - Google Patents
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Description
これに対し、例えば、特許文献1、2に記載の技術では、化合合成物を添加した水系接着剤を用いるようになっている。また、例えば、実施例3に記載の技術では、壁紙への澱粉系の水系接着剤の付着を防止するための切断用下敷テープを用いるようになっている。
本発明は、上記のような点に着目したもので、澱粉に起因する変色を抑制可能な壁紙用原反、発泡壁紙及び発泡壁紙の製造方法を提供することを目的としている。
ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、及び構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1に示すように、本実施形態の壁紙用原反1は、基材2に、第1の非発泡層3(非発泡剤含有樹脂層)、発泡剤含有樹脂層4、第2の非発泡層5(非発泡剤含有樹脂層)、絵柄模様層6、及び変色防止機能層7がこの順に形成されている。なお、絵柄模様層6と変色防止機能層7との間、基材2と第1の非発泡層3との間等には、必要に応じて、他の層を形成してもよい。例えば、図2に示すように、絵柄模様層6と変色防止機能層7との間に、絵柄模様層6と変色防止機能層7との接着性を増すための中間層8を形成してもよい。また、第1の非発泡層3と第2の非発泡層5とのいずれかを省略してもよい。
基材2としては、特に限定されず、公知の繊維質シートを使用できる。繊維質シートとしては、例えば、パルプ主体のシートを既知のサイズ剤でサイズ処理した壁紙用一般紙、パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理した難燃紙、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙、上質紙、薄用紙等を使用できる。基材2の坪量は、例えば、50〜300g/m2程度が好ましく、50〜120g/m2がより好ましい。
第1の非発泡層3は、基材2と発泡剤含有樹脂層4との密着性を向上するための層である。第1の非発泡層3の樹脂成分としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体を使用できる。第1の非発泡層3には、樹脂成分以外に公知の添加剤を含んでもよいが、樹脂成分の含有量が70〜100重量%となるように配合することが好ましい。また、 第1の非発泡層3の厚さは、10〜50μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。
発泡剤含有樹脂層4は、発泡剤を含有し、加熱で発泡される樹脂層である。発泡剤含有樹脂層4は、発泡剤を含有する樹脂組成物を溶融押出して得られる。樹脂成分としては、例えば、塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂を使用できる。特に、耐久性の向上、エンボス賦型等を考慮すると、オレフィン系樹脂が好ましく、エチレン系樹脂がより好ましい。
エチレン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレンとエチレン以外の成分とをモノマーとするエチレン共重合体の少なくとも1種を含有することが好ましい。ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンを使用できる。特に、低密度ポリエチレンが好ましい。
第2の非発泡層5は、発泡剤含有樹脂層4を保護するための層である。第2の非発泡層5の樹脂成分としては、例えば、アクリル酸(CH2=CHCOOH)及びメタクリル酸(CH2=C(CH3)COOH)の少なくとも1種をモノマーとして得られる重合体を樹脂成分として含む樹脂組成物を使用できる。特に、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種のモノマーとエチレンとの組み合わせにより得られる共重合体が好ましい。
絵柄模様層6は、壁紙用原反1に絵柄模様を付加するための層である。絵柄模様としては、例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形がある。絵柄模様は、壁紙用原反1の種類に応じて適宜選択できる。
絵柄模様層6の形成方法としては、例えば、絵柄模様を印刷することで形成できる。なお、絵柄模様層6を形成する際には、必要に応じてあらかじめプライマー層を形成してもよい。印刷手法としては、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷が挙げられる。印刷インキとしては、例えば、着色剤、結着材樹脂、溶剤を含む印刷インキを使用できる。これらのインキは、公知のものを使用してもよい。
変色防止機能層7は、最表層に配置され、絵柄模様層6を保護するための層である。変色防止機能層7の樹脂成分(以下、「マトリックス樹脂」とも呼ぶ)としては、例えば、塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂を使用できる。また、添加剤として、カウンターカチオンとしてプロトンを用いている添加剤を含有している。添加剤は、マトリックス樹脂100質量部に対して、1質量部以上25質量部以下とすることが好ましい。また、変色防止機能層7の厚さは、10〜50μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。
次に、発泡壁紙9の製造方法について説明する。
本実施形態の発泡壁紙9の製造方法は、上記の壁紙用原反1を加熱することにより、発泡剤含有樹脂層4を発泡させて発泡壁紙9を製造するものである。加熱温度は、180〜240℃が好ましく、210〜230℃がより好ましい。加熱時間は、20〜60秒が好ましく、25〜40秒がより好ましい。発泡倍率は、3倍以上、好ましくは4〜5倍とする。発泡倍率が低すぎると、優れた外観意匠を付与し難く、また、発泡倍率が高過ぎると、発泡剤含有樹脂層4が機械的に弱くなり、耐スクラッチ性が低下しやすいためである。
また、少なくとも変色防止機能層7(最表層)にエンボス加工を行うようにしてもよい。これにより、例えば、図3に示すように、発泡壁紙9の表面にエンボス10を設け、絵柄模様層6による意匠性に加え、エンボス10による意匠性を感じさせることができる。
(1)このように、本実施形態の壁紙用原反1では、基材2上に、発泡剤を含有する発泡剤含有樹脂層4と、最表層に配置されカウンターカチオンとしてプロトンを使用した添加剤を含有している変色防止機能層7とがこの順に積層されている構成とした。これにより、添加剤に含まれているプロトンが乖離することにより、発泡壁紙9の表面側に付着した水系接着剤のpHを酸性側に偏らせることができる。そのため、水系接着剤に含まれる澱粉を分解でき、水系接着剤に含まれる澱粉に起因する変色を抑制することができる。
ちなみに、例えば、カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン等は、プロトンに比べ、イオン半径(原子半径)が大きいため、添加剤(添加剤含有樹脂層4)から発泡壁紙9の表面側に移動し難い。そのため、発泡壁紙9の表面側に水系接着剤が付着した場合にも、水系接着剤に移動し難く、水系接着剤のpHを十分に酸性側に偏らせることができない。これにより、澱粉に起因する変色を適切に抑制することが困難となる。
(3)さらに、発泡剤含有樹脂層4が、化学架橋法または放射線照射により樹脂架橋がされている構成とした。そのため、発泡壁紙9の耐傷性を向上することができる。
(4)また、発泡剤含有樹脂層4が、その片面または両面に非発泡剤含有樹脂層を有している構成とした。そのため、表面を平滑にし、さらに、印刷適性を向上できる。
(6)また、発泡剤を、アゾ化合物、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、及び亜硝酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種とする構成とした。そのため、安全性や発泡性の制御性を向上できる。
(7)さらに、基材2を、繊維質シートとした。そのため、汎用的な壁紙用原反1として扱うことができる。
(9)さらに、少なくとも変色防止機能層7(最表層)にエンボス10が形成されている構成とした。そのため、エンボス10による高意匠性を有する発泡壁紙9を形成できる。
(10)また、本実施形態の発泡壁紙9の製造方法では、基材2と、発泡剤を含有する発泡剤含有樹脂層4と、最表層に配置されカウンターカチオンとしてプロトンを有する添加剤を含有する変色防止機能層7とが積層された壁紙用原反1を形成し、形成した壁紙用原反1の発泡剤含有樹脂層4を発泡させるようにした。これにより、発泡壁紙9の最表層に、カウンターカチオンとしてプロトンを有する添加剤を含有する変色防止機能層7を形成できる。
(実施例1)
実施例1では、公知のTダイ押出機を用いて、第1の非発泡層3、発泡剤含有樹脂層4、及び第2の非発泡層5をこの順に、各層の厚みが10μm、70μm、10μmになるように製膜して3層からなる積層体を得た。ここで、第1の非発泡層3、第2の非発泡層5の樹脂としては、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)、商品名:LJ802A)を100質量部としたものを用いた。また、発泡剤含有樹脂層4としては、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)、商品名:LJ802A)100質量部に対して、発泡剤(永和化成工業(株)製、商品名ADCA#3)8質量部、炭酸カルシウム(備北粉化(株)製、商品名:ソフトン1000)30質量部、二酸化チタン(顔料)(石原産業(株)製、商品名:TIPAQUE CR−60−2)20質量部、発泡助剤((株)ADEKA製、商品名:アデカスタブOF−101)8質量部としたものを用いた。
実施例2では、変色防止機能層7の添加剤の添加量を、マトリックス樹脂100質量部に対して、1質量部とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(実施例3)
実施例3では、変色防止機能層7の添加剤の添加量を、マトリックス樹脂100質量部に対して、25質量部とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
比較例1では、変色防止機能層7の添加剤が含有するカウンターカチオンとして、カリウムイオンを有する合成ゼオライト(ユニオン昭和(株)製、商品名:モレキュラーシーブ 3A)を用いるとともに、その添加剤の添加量を、マトリックス樹脂100質量部に対して10質量部とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(比較例2)
比較例2では、変色防止機能層7の添加剤が含有するカウンターカチオンとして、ナトリウムイオンを有する合成ゼオライト(ユニオン昭和(株)製、商品名:モレキュラーシーブ 3A)を用いるとともに、その添加剤の添加量を、マトリックス樹脂100質量部に対して10質量部とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
比較例3では、変色防止機能層7の添加剤が含有するカウンターカチオンとして、カルシウムイオンを有する合成ゼオライト(ユニオン昭和(株)製、商品名:モレキュラーシーブ 5A)を用いるとともに、その添加剤の添加量を、マトリックス樹脂100質量部に対して10質量部とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(評価)
実施例1〜3及び比較例1〜3について、発泡壁紙9の変色状態の評価を実施した。
具体的には、発泡壁紙9の変色防止機能層7上に澱粉系着剤を薄く塗布した後、紫外線を予め定めた所定時間照射して、塗布した澱粉系の水系接着剤の変色状態を目視で評価した。そして、変色がない場合を合格「○」、変色がある場合を不合格「×」と判定した。
評価結果を表1に示す。
Claims (10)
- 基材上に、発泡剤を含有する発泡剤含有樹脂層と、最表層に配置されカウンターカチオンとしてプロトンを使用した添加剤を含有する変色防止機能層とがこの順に積層され、
前記発泡剤含有樹脂層は、前記発泡剤の含有量が樹脂成分100質量部に対して1質量部〜20質量部であり、厚さが10μm〜20μmであり、
前記変色防止機能層は、前記添加剤の含有量がマトリックス樹脂100質量部に対して1質量部〜25質量部であり、厚さが10μm〜50μmであることを特徴とする壁紙用原反。 - 前記変色防止機能層の厚さは、10μm〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載の壁紙用原反。
- 前記発泡剤含有樹脂層は、化学架橋法または放射線照射により樹脂架橋されていることを特徴とする請求項1または2に記載の壁紙用原反。
- 前記発泡剤含有樹脂層は、その片面または両面に非発泡層を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の壁紙用原反。
- 前記変色防止機能層のマトリックス樹脂は、アクリル樹脂であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の壁紙用原反。
- 前記発泡剤は、アゾ化合物、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、及び亜硝酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の壁紙用原反。
- 前記基材は、繊維質シートであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の壁紙用原反。
- 請求項1から7のいずれか1項に記載の壁紙用原反の発泡剤含有樹脂層が発泡して形成されている発泡壁紙。
- 少なくとも変色防止機能層にエンボスが形成されていることを特徴とする請求項8に記載の発泡壁紙。
- 基材と、発泡剤を含有する発泡剤含有樹脂層と、最表層に配置されカウンターカチオンとしてプロトンを使用した添加剤を含有する変色防止機能層とが積層された壁紙用原反を形成した後、前記壁紙用原反の前記発泡剤含有樹脂層を発泡させて発泡壁紙を製造し、
前記発泡剤含有樹脂層は、前記発泡剤の含有量が樹脂成分100質量部に対して1質量部〜20質量部であり、厚さが10μm〜20μmであり、
前記変色防止機能層は、前記添加剤の含有量がマトリックス樹脂100質量部に対して1質量部〜25質量部であり、厚さが10μm〜50μmであることを特徴とする発泡壁紙の製造方法。
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