JP2007056394A - 抗アレルゲン組成物 - Google Patents
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Abstract
【目的】抗アレルゲン組成物、特に繊維または繊維製品に加工できる、変色することのない抗アレルゲン組成物および抗アレルゲン性能を有する繊維または繊維製品をを提供することを目的とする。
【構成】一般式1
[一般式1]
{式中Rは水素原子または一般式2
[一般式2]
(式中nは0〜3の整数を示し、R1は水素原子またはアミノ基を示す)で示される化合物を表す。}に示す化合物またはその塩の少なくとも一種類を含有することを特徴とする抗アレルゲン組成物を環境中に処理することによってダニや花粉等のアレルゲンのアレルゲン性を除去することができ、またカーペット、畳、寝具類、カーテン、衣料品、ぬいぐるみ、マスク、フィルター材料、電気掃除機の集塵袋等の繊維または繊維製品に変色することなく抗アレルゲン性能を付与することができる。
【構成】一般式1
[一般式1]
{式中Rは水素原子または一般式2
[一般式2]
(式中nは0〜3の整数を示し、R1は水素原子またはアミノ基を示す)で示される化合物を表す。}に示す化合物またはその塩の少なくとも一種類を含有することを特徴とする抗アレルゲン組成物を環境中に処理することによってダニや花粉等のアレルゲンのアレルゲン性を除去することができ、またカーペット、畳、寝具類、カーテン、衣料品、ぬいぐるみ、マスク、フィルター材料、電気掃除機の集塵袋等の繊維または繊維製品に変色することなく抗アレルゲン性能を付与することができる。
Description
本発明は、ダニや花粉等のアレルゲンのアレルゲン性を低減化させる機能を付与するための抗アレルゲン組成物、これらの抗アレルゲン組成物を環境中に処理する環境中のアレルゲン除去方法、およびこれらの抗アレルゲン組成物を加工した繊維または繊維製品に関するものである。
喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患は、長年にわたり、多くの人が悩まされてきたものである。これらのアレルギー性疾患の原因として、屋内に棲息するダニやペットの毛、花粉、カビが代表的なものとして、良く知られている。現在、アレルギー患者の治療には主に薬物療法が適用されているが、一方では、アレルギーを引き起こす因子であるアレルゲンを患者自身の生活環境から除去することも直接、アレルゲンへの暴露から患者を守るという合理的な手段である。このようなアレルゲン除去による症状改善は、日本の他、ヨーロッパやアメリカにおいても報告がなされている。
畳、絨毯、寝具、カーテン等の家屋内にある繊維製品はダニの生育の温床となることが多く、ダニが繁殖するためにアレルギーを引き起こす原因となり問題になっている。ダニには、ツメダニ、コナダニ等の種類があり、それらの内コナヒョウヒダニ Dermatophagoides farinae 、ヤケヒョウヒダニ Dermatophagoides pteronyssinusはダニアレルギーを引き起こす原因として重要視されている。これらのダニは、虫体そのものがダニアレルゲンになるだけでなく、ダニの死骸や糞も非常に強いアレルゲンとなる。カビは湿度の高い場所に発生しやすく、肺に吸い込まれた場合にはアレルゲンとなる。植物アレルゲンとしては各種植物の花粉が挙げられ、花粉には、スギ、ヒノキ、ブタクサ、オオアワガエリ、ケヤキ、ヨモギ、ハルガヤ等のものがアレルギーの原因となることが知られている。
畳、絨毯、寝具、カーテン、ぬいぐるみ等の繊維でできた装飾品についてもダニの繁殖の可能性があるためアレルゲンの発生源となる問題がある。また、マスクはスギ等の花粉を吸入するのを防ぐために用いられているが、マスクに付着した花粉はアレルゲン性が消失するわけではないので、再び飛散することによって吸収してしまう危険性がある。電気掃除機はアレルゲン除去の方法として有効であるが、吸引したゴミに含まれる多量のアレルゲンは集塵袋に貯蔵されるだけであり、集塵袋の廃棄時にアレルゲンが再飛散する危険性が考えられる。
薬剤を使用しないアレルゲン除去の方法としては、電気掃除機による吸引、空気清浄機による除去や寝具の高密度カバーの使用などがあげられる。しかしながら、電気掃除機による吸引だけでは除去できるアレルゲン量に限界があり、空気清浄機では空中に舞うアレルゲンのみの除去になる。また、寝具の高密度カバーでは内側からのアレルゲン除去にはなるが外側からのアレルゲン除去にはならないなど、これらの方法は必ずしも満足できるものではなかった。
アレルゲン物質のアレルギー性を低減あるいは除去するための薬剤に関しても、種々の提案が行われている。例えば、(特許文献1)にはタンニン酸をアレルゲンの不活性化剤として使用する方法、(特許文献2)には茶抽出物、ハイドロキシアパタイト、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、没食子酸及び没食子酸と炭素数1から4までのアルコールとのエステルをアレルゲンの不活性化剤として使用する方法が提案されている。(特許文献3)には、アルコール等の有機溶剤、タンニン酸等のポリフェノール類、ハイドロキシアパタイト、カチオン系界面活性剤から選ばれる成分を有効成分とするアレルゲン除去剤が提案されている。しかし、これらのアレルゲン低減化剤は、繊維や繊維製品に付着させた場合、着色あるいは経時的に変色を起こすという問題点があった。したがって、繊維や繊維製品に噴霧する用途に使用するのは困難であり、さらには繊維や繊維製品に加工する場合にも問題点となる。アレルゲン低減化繊維として、(特許文献4)には芳香族ヒドロキシ化合物を繊維に化学的に結合または固着させるものが提案されているが、低減化効果は十分なものではなかった。また(特許文献5)には種々の植物抽出油分を繊維に加工する方法が提案されているが、これらの植物抽出物は経時的に揮発するため効果の持続性に乏しく、また繊維に加工した場合には油分が酸化によって経時的に効力が低減し変色する恐れがあった。
ダニや花粉等のアレルゲンのアレルゲン性を低減化させる機能を付与するための、変色することのない抗アレルゲン組成物、これらの抗アレルゲン組成物を環境中に処理する環境中のアレルゲン除去方法およびこれらの抗アレルゲン組成物を加工した繊維または繊維製品を提供することが、本発明の課題である。
本発明者らは、このような課題を解決するため、鋭意研究の結果、一般式1
[一般式1]
{式中Rは水素原子または一般式2
[一般式2]
(式中nは0〜3の整数を示し、R1は水素原子またはアミノ基を示す)で示される化合物を表す。}に示す化合物ならびにその塩がアレルゲンと反応し抗アレルゲン性を有することを見出し、さらに繊維または繊維製品に付着または固着させることによって抗アレルゲン繊維または抗アレルゲン繊維製品を提供できることを見出し本発明に至った。すなわち本発明は、一般式1
[一般式1]
{式中Rは水素原子または一般式2
[一般式2]
(式中nは0〜3の整数を示し、R1は水素原子またはアミノ基を示す)で示される化合物を表す。}に示す化合物またはその塩の少なくとも一種類を含有することを特徴とする抗アレルゲン組成物、それらの組成物を環境中に処理することによるアレルゲン除去方法、およびこれらの抗アレルゲン組成物を付着または固着させた繊維または繊維製品に関する。
[一般式1]
{式中Rは水素原子または一般式2
[一般式2]
(式中nは0〜3の整数を示し、R1は水素原子またはアミノ基を示す)で示される化合物を表す。}に示す化合物ならびにその塩がアレルゲンと反応し抗アレルゲン性を有することを見出し、さらに繊維または繊維製品に付着または固着させることによって抗アレルゲン繊維または抗アレルゲン繊維製品を提供できることを見出し本発明に至った。すなわち本発明は、一般式1
[一般式1]
{式中Rは水素原子または一般式2
[一般式2]
(式中nは0〜3の整数を示し、R1は水素原子またはアミノ基を示す)で示される化合物を表す。}に示す化合物またはその塩の少なくとも一種類を含有することを特徴とする抗アレルゲン組成物、それらの組成物を環境中に処理することによるアレルゲン除去方法、およびこれらの抗アレルゲン組成物を付着または固着させた繊維または繊維製品に関する。
上記の組成物を用いることにより、ダニや花粉等のアレルゲンを低減・除去することができる。さらに繊維または繊維製品に加工することにより抗アレルゲン性を付与した繊維または繊維製品を提供することができる。
本発明は、一般式1
[一般式1]
{式中Rは水素原子または一般式2
[一般式2]
(式中nは0〜3の整数を示し、R1は水素原子またはアミノ基を示す)で示される化合物を表す。}に示す化合物またはその塩の少なくとも一種類の化合物を含有することを特徴とする抗アレルゲン組成物に関する。本発明に用いられる化合物としては、例えばグアニジン(R:水素原子)、アルギニン(R:一般式2、n:3、R1:アミノ基)等が挙げられ、その塩としては硫酸塩、炭酸塩、りん酸塩、チオシアン酸塩等が挙げられる。また、Rが一般式2で示される化合物の場合には、不斉炭素に基づく光学異性体が存在するが、D体、L体、ラセミ体いずれを用いても良い。抗アレルゲン組成物中の、これらの成分の含有率は、散布剤として使用する場合0.01〜30重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましい。繊維または繊維製品への加工剤の場合には0.01〜70重量%が好ましく、0.1〜50重量%がより好ましい。一般式1で示される化合物またはその塩の抗アレルゲン性能を増強させるために、例えば特許文献1〜5に示すような他の公知の抗アレルゲン剤と混合して使用することができる。また、効果の増強や持続性を図るために、塩化カルシウム等の吸湿剤や、尿素等の保湿剤と併用することも効果的である。
[一般式1]
{式中Rは水素原子または一般式2
[一般式2]
(式中nは0〜3の整数を示し、R1は水素原子またはアミノ基を示す)で示される化合物を表す。}に示す化合物またはその塩の少なくとも一種類の化合物を含有することを特徴とする抗アレルゲン組成物に関する。本発明に用いられる化合物としては、例えばグアニジン(R:水素原子)、アルギニン(R:一般式2、n:3、R1:アミノ基)等が挙げられ、その塩としては硫酸塩、炭酸塩、りん酸塩、チオシアン酸塩等が挙げられる。また、Rが一般式2で示される化合物の場合には、不斉炭素に基づく光学異性体が存在するが、D体、L体、ラセミ体いずれを用いても良い。抗アレルゲン組成物中の、これらの成分の含有率は、散布剤として使用する場合0.01〜30重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましい。繊維または繊維製品への加工剤の場合には0.01〜70重量%が好ましく、0.1〜50重量%がより好ましい。一般式1で示される化合物またはその塩の抗アレルゲン性能を増強させるために、例えば特許文献1〜5に示すような他の公知の抗アレルゲン剤と混合して使用することができる。また、効果の増強や持続性を図るために、塩化カルシウム等の吸湿剤や、尿素等の保湿剤と併用することも効果的である。
本発明の抗アレルゲン組成物の剤型は、アレルゲンが存在する環境中に処理が可能、あるいは繊維および繊維製品への加工が可能であれば、液状、粉体状及びペースト状等、どのような剤型でも差し支えないが、液状とするのが扱いが容易で有効である。このような製剤を行うために、一般式1に示される化合物またはその塩を溶解または分散するのに適当な溶剤を単独、もしくは二種類以上の混合溶剤として使用できる。溶剤には特に限定されないが、例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、酢酸、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、スルホランなどの極性溶剤、ジメチルナフタレン、ドデシルベンゼン、流動パラフィン、イソホロン、灯油、アジピン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレンカーボネート、椰子油、菜種油、綿実油、ヒマシ油、大豆油などの非極性溶剤を適宜使用することができる。通常は、水、アルコール類、グリコールエーテル類等の極性溶剤が使用される。
本発明の抗アレルゲン組成物は、屋内塵性ダニのアレルゲン除去を目的に使用する場合、殺ダニ剤と同時に加工することにより、その抗アレルゲン効果をさらに持続させることも可能である。使用する殺ダニ剤は、屋内塵性ダニに対して致死効果や忌避効果のあるものであれば特に限定はなく、例えば、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、サリチル酸フェニル、シンナムアルデヒド、ヒソップ油、ニンジン種子油等を用いることができ、また天然ピレトリン、フェノトリン、ペルメトリン等のピレスロイド系化合物、フェニトロチオン、マラチオン、フェンチオン、ダイアジノン等の有機リン系化合物、ジコホル、クロルベンジレート、ヘキシチアゾクス、テブフェンピラド、ピリダベン等を用いることができる。
本発明の抗アレルゲン組成物は、カビあるいは菌の増殖が懸念される場合がある。そのために防カビ剤または抗菌剤を同時に併用することが可能である。防カビ剤または抗菌剤の種類は防カビまたは抗菌効果を有するものであれば特に限定されないが、例えば、5−クロロ−N−メチルイソチアゾロン、メチレンビスチオシアネート、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、グルタルアルデヒド、ヨードプロピニルブチルカーバメート、ピリジンチオール−N−オキシドの亜鉛塩、1,2−ベンゾイソチアゾロン、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、グルコン酸クロルヘキシジン、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、オルトフェニルフェノール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラクロロメタキシレノール、パラクロロメタクレゾール、ポリリジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、N−n−ブチルベンゾイソチアゾロン、N−オクチルイソチアゾロン、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−ベンズイミダゾリルカルバミン酸メチル、テトラクロロイソフタロニトリル、ジヨードメチルパラトリルスルホン、パラクロロフェニル−3−ヨードプロパギルホルマール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、脂肪酸グリセリンエステル、ヒノキチオール等を用いることができる。
本発明の抗アレルゲン組成物の使用形態としては、水性溶液、スプレー、エアゾール、ペースト、粉剤等、都合の良い形にできるが、特に限定されるものではない。また環境中で人が接触する可能性のある組成物、たとえば洗剤、石鹸、シャンプー、繊維用加工剤、柔軟剤、消臭剤、防カビ剤、除菌剤、殺虫剤、塗料、接着剤等に添加することによって環境中のアレルゲンを低減・除去・不活化させることも可能であり、環境中で人が接触する可能性のある材料、たとえば木材、コンクリート、金属、石、ガラス等の建材等、ゴム、紙、樹脂、プラスチックのよる成型品等に加工することによって環境中のアレルゲンを低減・除去・不活化させることも可能である。スプレーとして使用する場合には、乾燥後の粉立ちを防ぐために水溶性の樹脂を添加することが好ましい。このような水溶性樹脂は特に限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
本発明の抗アレルゲン組成物はバインダーを併用して繊維または繊維製品に加工することによって、より耐洗濯性を高めることができる。バインダーとして使用できる樹脂は非イオン性とカチオン性のものが適用できるが、カチオン性樹脂を併用するのが好ましい。カチオン性樹脂は特に制限されないが、例えば、側鎖にカチオン性第四級アンモニウム塩基を有するポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルあるいはこれらの共重合体、側鎖にアミノ基または第四級アンモニウム塩基を有する変性シリコン樹脂等が挙げられる。ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルあるいはこれらの共重合体に使用するカチオン性第四級アンモニウム塩基を有するメタクリル酸またはアクリル酸エステル単量体には、例えば塩化2−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、塩化2−メタクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウム、塩化2−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、塩化2−アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウム等を挙げることができ、これらの内2種類以上を混合して使用しても差し支えない。また共重合体を得るためのアクリル酸またはメタクリル酸アルキルエステル単量体には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート等を挙げることができ、これらの内2種類以上を混合して使用しても差し支えない。重合は過硫酸アンモニウム等を用いて行うことができ、分子量は20000以上であることが好ましい。側鎖にアミノ基を有する変性シリコン樹脂の例としては、アミノ変性シリコン樹脂が挙げられアミノ基は1〜3級のいずれでも差し支えない。抗アレルゲン組成物にこれらのバインダーを配合する場合、70重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。
本発明の抗アレルゲン組成物を加工することができる繊維には種々のものがあるが、たとえばナイロン、綿、ポリエステル、羊毛等が挙げられ、これらの繊維を2種類以上使用した複合繊維であっても差し支えない。本発明の抗アレルゲン組成物の繊維または繊維製品への加工方法は特に限定されるものではないが、浸漬処理、スプレー処理、吸尽加工等を行うことが可能である。使用濃度は製剤の0.1〜5.0%o.w.fであることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜2.0%o.w.fである。
本発明の抗アレルゲン組成物の製剤化に際しては、前述の溶剤、防ダニ剤、抗菌剤、バインダー等の他に、必要に応じてキレート剤、防錆剤、増粘剤、香料、スケール防止剤、界面活性剤、pH調節剤、消泡剤、帯電防止剤、柔軟加工剤等を添加することも可能である。
本発明の抗アレルゲン組成物の使用方法としては、アレルゲンで汚染されたカーペット、畳、寝具類、カーテン等の環境中の対象物に処理するための散布剤、これらの対象物に抗アレルゲン機能を持たせるための加工剤が考えられる。また衣料品、ぬいぐるみ、マスク、フィルター材料、電気掃除機の集塵袋等の繊維製品に加工することによって抗アレルゲン性能を有する繊維および繊維製品を得ることも可能である。本発明の環境とはカーペット、畳、床面、床カバー、布団などの寝具類、ソファー、ぬいぐるみ、衣類、カーテン等の直接人と接触するもの、あるいはタンス、押し入れなどの直接人と接触するものを収納している場所の空間、あるいは家屋内の居住空間などが挙げられる。本発明の散布または加工によって対象物の着色が起こりにくい長所がある。
本発明の抗アレルゲン組成物、および本発明の抗アレルゲン繊維または繊維製品の使用により、ハウスダスト中のダニ由来のアレルゲン、イヌやネコなどのペットの毛や上皮、ゴキブリ、羽毛、カビ由来のアレルゲン、及び植物アレルゲンを低減化することができ、多種のアレルゲンを実質的になくすことができる。本発明は、環境中のアレルゲンがハウスダスト中のダニアレルゲンや植物アレルゲンの場合に特に効果的に作用するものである。
本発明を実施例、試験例により更に詳しく説明するが、本発明がこれらによって限定されるものではない。
(抗アレルゲン組成物実施例)
下記、表1に示す化合物またはその塩を用いて、抗アレルゲン組成物を調整した。すなわち、表2に示す組成のものを、充分混合攪拌することにより、均一な溶液を得た。なお、表に示した配合比率はすべて重量%である。
(抗アレルゲン組成物実施例)
下記、表1に示す化合物またはその塩を用いて、抗アレルゲン組成物を調整した。すなわち、表2に示す組成のものを、充分混合攪拌することにより、均一な溶液を得た。なお、表に示した配合比率はすべて重量%である。
(試験例1)抗アレルゲン組成物によるダニアレルゲンの低減化効果の測定
標準ハウスダストに含まれるダニアレルゲン Derf2 約1μg/1mL{リン酸緩衝液(pH7.2)}に対し、実施例1〜5を0.5mL反応させた。これらの試料について Derf2酵素免疫測定法(ELISA法)のサンドイッチ法にてダニアレルゲン低減化効果の測定を行った。まず、リン酸緩衝液(pH7.4、0.1重量%NaN3含有)で2μg/mLに希釈したDerf2 モノクローナル抗体15E11(アサヒビール株式会社製)を、F16 MAXISORP NUNC−IMMUNO MODULEプレート(NUNC社製)の1ウェルあたり100μLずつ添加し、4℃にて1日以上感作させた。感作後、液を捨て、ブロッキング試薬{1重量%牛血清アルブミン+リン酸緩衝液(pH7.2、0.1重量%NaN3含有)}を1ウェルあたり100μLずつ添加し、30℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}にてプレートを洗浄した。次に、ダニアレルゲンと上記組成物を反応させて得られた抽出液を1ウェルあたり100μLずつ滴下し、30℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}にてプレートを洗浄した。ペルオキシダーゼ標識したDerf2モノクローナル抗体(アサヒビール株式会社製)を蒸留水で200μg/mLに溶解し、それをリン酸緩衝液{pH7.2、1重量%牛血清アルブミン及び0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}で1200倍希釈した液を、1ウェルあたり100μLずつ添加した。30℃、60分間反応させた後、先ずリン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}でプレートを洗浄した。0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH6.2)13mLにオルト−フェニレンジアミンジヒドロクロライド(26mg Tablet、SIGMA CHEMICAL CO.製)と過酸化水素水13μLを加えたものを1ウェルあたり100μLずつ添加し、30℃、5分間反応させた。その後直ちに、2mol/L H2SO4を50μLずつ入れて反応を停止させ、マイクロプレート用分光光度計(Bio−Rad Laboratories Inc.製)で吸光度(OD490nm)を測定した。結果を表3に示した。
標準ハウスダストに含まれるダニアレルゲン Derf2 約1μg/1mL{リン酸緩衝液(pH7.2)}に対し、実施例1〜5を0.5mL反応させた。これらの試料について Derf2酵素免疫測定法(ELISA法)のサンドイッチ法にてダニアレルゲン低減化効果の測定を行った。まず、リン酸緩衝液(pH7.4、0.1重量%NaN3含有)で2μg/mLに希釈したDerf2 モノクローナル抗体15E11(アサヒビール株式会社製)を、F16 MAXISORP NUNC−IMMUNO MODULEプレート(NUNC社製)の1ウェルあたり100μLずつ添加し、4℃にて1日以上感作させた。感作後、液を捨て、ブロッキング試薬{1重量%牛血清アルブミン+リン酸緩衝液(pH7.2、0.1重量%NaN3含有)}を1ウェルあたり100μLずつ添加し、30℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}にてプレートを洗浄した。次に、ダニアレルゲンと上記組成物を反応させて得られた抽出液を1ウェルあたり100μLずつ滴下し、30℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}にてプレートを洗浄した。ペルオキシダーゼ標識したDerf2モノクローナル抗体(アサヒビール株式会社製)を蒸留水で200μg/mLに溶解し、それをリン酸緩衝液{pH7.2、1重量%牛血清アルブミン及び0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}で1200倍希釈した液を、1ウェルあたり100μLずつ添加した。30℃、60分間反応させた後、先ずリン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}でプレートを洗浄した。0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH6.2)13mLにオルト−フェニレンジアミンジヒドロクロライド(26mg Tablet、SIGMA CHEMICAL CO.製)と過酸化水素水13μLを加えたものを1ウェルあたり100μLずつ添加し、30℃、5分間反応させた。その後直ちに、2mol/L H2SO4を50μLずつ入れて反応を停止させ、マイクロプレート用分光光度計(Bio−Rad Laboratories Inc.製)で吸光度(OD490nm)を測定した。結果を表3に示した。
(試験例2)抗アレルゲン組成物によるスギ花粉アレルゲンCryj1の低減化効果の測定
精製スギ花粉アレルゲンCryj1(株式会社林原生物化学研究所製)を約12.5ng/1mL{リン酸緩衝液(pH7.2)}に対し、実施例1、3、5を0.5mL反応させた。これらの試料についてCryj1酵素免疫測定法(ELISA法)のサンドイッチ法にてスギ花粉アレルゲン低減化効果の測定を行った。まず、リン酸緩衝液(pH7.4、0.1重量%NaN3含有)で2μg/mLに希釈した抗Cryj1モノクローナル抗体013(株式会社林原生物化学研究所製)を、F16 MAXISORP NUNC−IMMUNO MODULEプレート(NUNC社製)の1ウェルあたり100μLずつ添加し、4℃にて1日以上感作させた。感作後、液を捨て、ブロッキング試薬{1重量%牛血清アルブミン+リン酸緩衝液(pH7.2、0.1重量%NaN3含有)}を1ウェルあたり100μLずつ添加し、30℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}にてプレートを洗浄した。次に、スギ花粉アレルゲンと上記組成物を反応させて得られた抽出液を1ウェルあたり100μLずつ滴下し、30℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}にてプレートを洗浄した。ペルオキシダーゼ標識したCryj1モノクローナル抗体053(株式会社林原生物化学研究所製)を蒸留水で200μg/mLに溶解し、それをリン酸緩衝液{pH7.2、1重量%牛血清アルブミン及び0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}で1200倍希釈した液を、1ウェルあたり100μLずつ添加した。30℃、60分間反応させた後、先ずリン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}でプレートを洗浄した。0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH6.2)13mLにオルト−フェニレンジアミンジヒドロクロライド(26mg Tablet、SIGMA CHEMICAL CO.製)と過酸化水素水13μLを加えたものを1ウェルあたり100μLずつ添加し、30℃、5分間反応させた。その後直ちに、2mol/L H2SO4を50μLずつ入れて反応を停止させ、マイクロプレート用分光光度計(Bio−Rad Laboratories Inc.製)で吸光度(OD490nm)を測定した。結果を表4に示した。
精製スギ花粉アレルゲンCryj1(株式会社林原生物化学研究所製)を約12.5ng/1mL{リン酸緩衝液(pH7.2)}に対し、実施例1、3、5を0.5mL反応させた。これらの試料についてCryj1酵素免疫測定法(ELISA法)のサンドイッチ法にてスギ花粉アレルゲン低減化効果の測定を行った。まず、リン酸緩衝液(pH7.4、0.1重量%NaN3含有)で2μg/mLに希釈した抗Cryj1モノクローナル抗体013(株式会社林原生物化学研究所製)を、F16 MAXISORP NUNC−IMMUNO MODULEプレート(NUNC社製)の1ウェルあたり100μLずつ添加し、4℃にて1日以上感作させた。感作後、液を捨て、ブロッキング試薬{1重量%牛血清アルブミン+リン酸緩衝液(pH7.2、0.1重量%NaN3含有)}を1ウェルあたり100μLずつ添加し、30℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}にてプレートを洗浄した。次に、スギ花粉アレルゲンと上記組成物を反応させて得られた抽出液を1ウェルあたり100μLずつ滴下し、30℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}にてプレートを洗浄した。ペルオキシダーゼ標識したCryj1モノクローナル抗体053(株式会社林原生物化学研究所製)を蒸留水で200μg/mLに溶解し、それをリン酸緩衝液{pH7.2、1重量%牛血清アルブミン及び0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}で1200倍希釈した液を、1ウェルあたり100μLずつ添加した。30℃、60分間反応させた後、先ずリン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}でプレートを洗浄した。0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH6.2)13mLにオルト−フェニレンジアミンジヒドロクロライド(26mg Tablet、SIGMA CHEMICAL CO.製)と過酸化水素水13μLを加えたものを1ウェルあたり100μLずつ添加し、30℃、5分間反応させた。その後直ちに、2mol/L H2SO4を50μLずつ入れて反応を停止させ、マイクロプレート用分光光度計(Bio−Rad Laboratories Inc.製)で吸光度(OD490nm)を測定した。結果を表4に示した。
(試験例3)
繊維加工品によるダニアレルゲンの低減化効果の測定
綿ブロード布(白色)に実施例2または比較例としてタンニン酸の5%水溶液(特開昭61−44821号該当品)を2.0%o.w.fで25℃において20分間浸漬し、しぼり率100%で処理後、105℃で乾燥させた。これらの生地についてアレルゲン低減化試験を行った。それぞれの生地(5cm×5cm)に標準ハウスダスト0.005gを付着させ、1時間後にチャック付きポリ袋に投入し、スキムミルク含有リン酸緩衝液(pH7.2)10mLを用いて抽出した。遠心分離後のこれら試料について、試験例1に準じてDerf2酵素免疫測定法(ELISA)のサンドイッチ法にてダニアレルゲン低減化効果の測定を行った。その結果、実施例を2処理した綿ブロード布、比較例(タンニン酸)を処理した綿ブロード布ともにアレルゲン低減化効果を示した。また、実施例2を処理した綿ブロード布は全く着色が認められなかったのに対し、比較例(タンニン酸)を処理した綿ブロード布では黄褐色に着色した。
繊維加工品によるダニアレルゲンの低減化効果の測定
綿ブロード布(白色)に実施例2または比較例としてタンニン酸の5%水溶液(特開昭61−44821号該当品)を2.0%o.w.fで25℃において20分間浸漬し、しぼり率100%で処理後、105℃で乾燥させた。これらの生地についてアレルゲン低減化試験を行った。それぞれの生地(5cm×5cm)に標準ハウスダスト0.005gを付着させ、1時間後にチャック付きポリ袋に投入し、スキムミルク含有リン酸緩衝液(pH7.2)10mLを用いて抽出した。遠心分離後のこれら試料について、試験例1に準じてDerf2酵素免疫測定法(ELISA)のサンドイッチ法にてダニアレルゲン低減化効果の測定を行った。その結果、実施例を2処理した綿ブロード布、比較例(タンニン酸)を処理した綿ブロード布ともにアレルゲン低減化効果を示した。また、実施例2を処理した綿ブロード布は全く着色が認められなかったのに対し、比較例(タンニン酸)を処理した綿ブロード布では黄褐色に着色した。
本発明により、ダニや花粉等のアレルゲンのアレルゲン性を低減化させる機能を付与するための、変色することのない抗アレルゲン組成物、および抗アレルゲン性能を有する繊維または繊維製品を提供することができる。
Claims (6)
- 一般式1において、Rが水素原子であることを特徴とする請求項1に記載の抗アレルゲン組成物。
- 一般式1において、Rが一般式2で示され、R1がアミノ基、nが3であることを特徴とする請求項1に記載の抗アレルゲン組成物。
- 一般式1に示される化合物またはその塩の配合率が、0.01重量%以上30重量%以下であることを特徴とする請求項1〜3に記載の抗アレルゲン組成物。
- 請求項1〜4に記載の抗アレルゲン組成物を環境中に処理することを特徴とするアレルゲン除去方法。
- 請求項1〜4に記載の抗アレルゲン組成物を付着または固着させたことを特徴とする繊維または繊維製品。
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JP2005242226A JP2007056394A (ja) | 2005-08-24 | 2005-08-24 | 抗アレルゲン組成物 |
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Cited By (2)
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JP2014188762A (ja) * | 2013-03-26 | 2014-10-06 | Dainippon Printing Co Ltd | 積層シート及び発泡積層シート |
JP2019006898A (ja) * | 2017-06-26 | 2019-01-17 | 理研香料ホールディングス株式会社 | アレルゲン低減化剤 |
-
2005
- 2005-08-24 JP JP2005242226A patent/JP2007056394A/ja active Pending
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