JP5114692B2 - 抗アレルゲン組成物およびアレルゲン低減化方法 - Google Patents

抗アレルゲン組成物およびアレルゲン低減化方法 Download PDF

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Description

本発明は、ダニやスギ花粉等のアレルゲンのアレルゲン性を低減化させるため、あるいは繊維または繊維製品にアレルゲン性を低減化させる機能を付与するための抗アレルゲン組成物およびこれらの抗アレルゲン組成物を加工した繊維または繊維製品、もしくは環境中に直接散布することによってアレルゲンを除去するアレルゲン低減化方法に関するものである。
喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患は、長年にわたり、多くの人が悩まされてきたものである。これらのアレルギー性疾患の原因として、屋内に棲息するダニやペットの毛、花粉、カビが代表的なものとして、良く知られている。現在、アレルギー患者の治療には主に薬物療法が適用されているが、一方では、アレルギーを引き起こす因子であるアレルゲンを患者自身の生活環境から除去することも直接、アレルゲンへの暴露から患者を守るという合理的な手段である。このようなアレルゲン除去による症状改善は、日本の他、ヨーロッパやアメリカにおいても報告がなされている。
畳、絨毯、寝具、カーテン等の家屋内にある繊維製品はダニの生育の温床となることが多く、ダニが繁殖するためにアレルギーを引き起こす原因となり問題になっている。ダニには、ツメダニ、コナダニ等の種類があり、それらの内コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)はダニアレルギーを引き起こす原因として重要視されている。これらのダニは、虫体そのものがダニアレルゲンになるだけでなく、ダニの死骸や糞も非常に強いアレルゲンとなる。カビは湿度の高い場所に発生しやすく、肺に吸い込まれた場合にはアレルゲンとなる。植物アレルゲンとしては各種植物の花粉が挙げられ、花粉には、スギ、ヒノキ、ブタクサ、オオアワガエリ、ケヤキ、ヨモギ、ハルガヤ等のものがアレルギーの原因となることが知られている。
畳、絨毯、寝具、カーテン、ぬいぐるみ等の繊維でできた装飾品についてもダニの繁殖の可能性があるためアレルゲンの発生源となる問題がある。また、マスクはスギ等の花粉を吸入するのを防ぐために用いられているが、マスクに付着した花粉はアレルゲン性が消失するわけではないので、再び飛散することによって吸収してしまう危険性がある。電気掃除機はアレルゲン除去の方法として有効であるが、吸引したゴミに含まれる多量のアレルゲンは集塵袋に貯蔵されるだけであり、集塵袋の廃棄時にアレルゲンが再飛散する危険性が考えられる。
薬剤を使用しないアレルゲン除去の方法としては、電気掃除機による吸引、空気清浄機による除去や寝具の高密度カバーの使用などがあげられる。しかしながら、電気掃除機による吸引だけでは除去できるアレルゲン量に限界があり、空気清浄機では空中に舞うアレルゲンのみの除去になる。また、寝具の高密度カバーでは内側からのアレルゲン除去にはなるが外側からのアレルゲン除去にはならないなど、これらの方法は必ずしも満足できるものではなかった。
アレルゲン物質のアレルギー性を低減あるいは除去するための薬剤に関しても、種々の提案が行われている。例えば、(特許文献1)にはタンニン酸をアレルゲンの不活性化剤として使用する方法、(特許文献2)には茶抽出物、ハイドロキシアパタイト、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、没食子酸及び没食子酸と炭素数1から4までのアルコールとのエステルをアレルゲンの不活性化剤として使用する方法が提案されている。しかし、これらのアレルゲン低減化剤は、繊維または繊維製品に付着させた場合、着色あるいは経時的に変色を起こすという問題点があった。したがって、繊維または繊維製品に噴霧する用途に使用するのは困難であり、さらには繊維または繊維製品に加工する場合にも問題点となる。アレルゲン低減化繊維として、(特許文献3)には芳香族ヒドロキシ化合物を繊維に化学的に結合または固着させるものが提案されているが、低減化効果は十分なものではなかった。また(特許文献4)には種々の植物抽出油分を繊維に加工する方法が提案されているが、これらの植物抽出物は経時的に揮発するため効果の持続性に乏しく、また繊維に加工した場合には油分が酸化によって経時的に効力が低減する可能性と変色する恐れがあった。
特開昭61−44821号 特開平6−279273 特開2003−96670 特開平10−53532
ダニやスギ花粉等のアレルゲンのアレルゲン性を低減化させるため、あるいは繊維または繊維製品にアレルゲン性を低減化させる機能を付与するための、変色することのない抗アレルゲン組成物およびこれらの抗アレルゲン組成物を加工した繊維または繊維製品、もしくは環境中に直接散布することによってアレルゲンを除去するアレルゲン低減化方法を提供することが、本発明の課題である。
本発明者は、このような課題を解決するため、鋭意研究の結果、1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロミドがアレルゲン性を低減化させる効果を有することを見出し、さらに繊維または繊維製品に加工することによって抗アレルゲン繊維または抗アレルゲン繊維製品を提供できることを見出し本発明に至った。すなわち本発明は、(1)1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロミドを含有することを特徴とする抗アレルゲン組成物に関する。また、本発明は、(2)1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロミドを含有することを特徴とする抗アレルゲン組成物を加工した繊維または繊維製品に関する。また、本発明は、(3)1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロミドを含有することを特徴とする抗アレルゲン組成物を環境中に散布することによってアレルゲンを除去するアレルゲン低減化方法に関する。
上記の組成物を用いることにより、ダニやスギ花粉等のアレルゲンのアレルゲン性を低減化させることができる。さらに繊維または繊維製品に加工することによりアレルゲン性を低減化させる機能を付与した繊維または繊維製品を提供することができる。
発明を実施するための最良の方法
本発明の抗アレルゲン組成物は1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロミドを含有したものであり、さらに、溶媒として水の他、組成物の良好な安定性を有するように脂肪族や芳香族等の溶媒、界面活性剤、展着剤、帯電防止剤、柔軟加工剤、pH調整剤、キレート化剤、粘度調整剤、消泡剤、防錆剤、安定剤、防腐剤などの添加剤等を添加しても良い。
本発明の1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロミドは、例えばハイジェニア(タマ化学工業製)として市販されているものや特開2005−162731や特開2006−001889などの明細書に記載されている方法またはそれらに準じる方法によって製造することにより入手することができる。
本発明の組成物に配合できる脂肪族や芳香族等の溶媒としては、例えばエタノール、イソプロパノール等の一価アルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール系溶剤およびその誘導体、グリセリン、ジグリセリン等のグリセリン系溶剤およびその誘導体等、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトン、N−メチル−ピロリドン、ジメチルアセトアミドなどの極性溶剤、アルキルベンゼン、1−フェニル−1−キシリルエタン、モノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン、流動パラフィン、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、コハク酸エステル、ヤシ油、ヒマシ油、大豆油などの非極性溶剤を使用することができる。これらの溶媒は、単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用することも可能である。
本発明の抗アレルゲン組成物は、屋内塵性ダニのアレルゲン除去を目的に使用する場合、殺ダニ剤と同時に加工することにより、その抗アレルゲン効果をさらに持続させることも可能である。使用する殺ダニ剤は、屋内塵性ダニに対して致死効果や忌避効果のあるものであれば特に限定はなく、例えば、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、サリチル酸フェニル、シンナムアルデヒド、ヒソップ油、ニンジン種子油等を用いることができ、また天然ピレトリン、フェノトリン、ペルメトリン等のピレスロイド系化合物、フェニトロチオン、マラチオン、フェンチオン、ダイアジノン等の有機リン系化合物、ジノテフラン、クロチアニジン、チアメトキサム等のネオニコチノイド系化合物、ジコホル、クロルベンジレート、ヘキシチアゾクス、テブフェンピラド、ピリダベン等を用いることができる。
本発明の抗アレルゲン組成物は、カビや細菌などの増殖が懸念される場合がある。そのために防カビ剤または抗菌剤を同時に併用することが可能である。防カビ剤または抗菌剤の種類は防カビまたは抗菌効果を有するものであれば特に限定されないが、例えば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾロン、メチレンビスチオシアネート、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、グルタルアルデヒド、ヨードプロピニルブチルカーバメート、ピリジンチオール−N−オキシドの亜鉛塩、1,2−ベンゾイソチアゾロン、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、グルコン酸クロルヘキシジン、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、オルトフェニルフェノール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラクロロメタキシレノール、パラクロロメタクレゾール、ポリリジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、N−n−ブチルベンゾイソチアゾロン、2−オクチル−4−イソチアゾロン、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−ベンズイミダゾリルカルバミン酸メチル、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、ジヨードメチルパラトリルスルホン、パラクロロフェニル−3−ヨードプロパギルホルマール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、脂肪酸グリセリンエステル、ヒノキチオール等を用いることができる。
本発明の抗アレルゲン組成物の使用形態としては、水性溶液、スプレー、エアゾール、ペースト、粉剤等、都合の良い形にできるが、特に限定されるものではない。また環境中で人が接触する可能性のある組成物、たとえば洗剤、石鹸、シャンプー、繊維用加工剤、柔軟剤、消臭剤、防カビ剤、除菌剤、殺虫剤、塗料、接着剤等に添加することによって環境中のアレルゲンを低減化させることも可能であり、環境中で人が接触する可能性のある材料、たとえば木材、コンクリート、金属、石、ガラス等の建材等、ゴム、紙、樹脂、プラスチックのよる成型品等に加工することによって環境中のアレルゲンを低減化させることも可能である。スプレーとして使用する場合には、乾燥後の粉立ちを防ぐために水溶性の樹脂を添加することが好ましい。このような水溶性樹脂は特に限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
本発明の抗アレルゲン組成物は展着剤を併用して繊維または繊維製品に加工することによって、より耐洗濯性を高めることができる。展着剤として使用できる樹脂は非イオン性とカチオン性のものが適用できるが、カチオン性樹脂を併用するのが好ましい。カチオン性樹脂は特に制限されないが、例えば、側鎖にカチオン性第四級アンモニウム塩基を有するポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルあるいはこれらの共重合体、側鎖にアミノ基または第四級アンモニウム塩基を有する変性シリコン樹脂等が挙げられる。ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルあるいはこれらの共重合体に使用するカチオン性第四級アンモニウム塩基を有するメタクリル酸またはアクリル酸エステル単量体には、例えば塩化2−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、塩化2−メタクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウム、塩化2−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、塩化2−アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウム等を挙げることができ、これらの内2種類以上を混合して使用しても差し支えない。また共重合体を得るためのアクリル酸またはメタクリル酸アルキルエステル単量体には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート等を挙げることができ、これらの内2種類以上を混合して使用しても差し支えない。重合は過硫酸アンモニウム等を用いて行うことができ、分子量は20000以上であることが好ましい。側鎖にアミノ基を有する変性シリコン樹脂の例としては、アミノ変性シリコン樹脂が挙げられアミノ基は1〜3級のいずれでも差し支えない。抗アレルゲン組成物にこれらの展着剤を配合する場合、70重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。
本発明の抗アレルゲン組成物を加工することができる繊維には種々のものがあるが、たとえばナイロン、綿、ポリエステル、羊毛等が挙げられ、これらの繊維を2種類以上使用した複合繊維であっても差し支えない。本発明の抗アレルゲン組成物の繊維または繊維製品への加工方法は特に限定されるものではないが、浸漬処理、スプレー処理、吸尽加工等を行うことが可能である。使用濃度は製剤の0.1〜5.0%o.w.fであることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜2.0%o.w.fである。
本発明の抗アレルゲン組成物の使用方法としては、アレルゲンで汚染されたカーペット、畳、寝具類、カーテン等の環境中の対象物に処理するための散布剤、これらの対象物に抗アレルゲン機能を持たせるための加工剤などが考えられる。また衣料品、ぬいぐるみ、マスク、フィルター材料、電気掃除機の集塵袋等の繊維製品に加工することによって環境中のアレルゲンを低減化させる繊維および繊維製品を得ることも可能である。本発明の環境とはカーペット、畳、床面、床カバー、布団などの寝具類、ソファー、ぬいぐるみ、衣類、カーテン等の直接人と接触するもの、あるいはタンス、押し入れなどの直接人と接触するものを収納している場所の空間、あるいは家屋内の居住空間などが挙げられる。本発明の散布または加工による対象物の着色は起こりにくい長所がある。
本発明組成物、および本発明の繊維または繊維製品の使用により、ハウスダスト中のダニ由来のアレルゲン、イヌやネコなどのペットの毛や上皮、ゴキブリ、羽毛、カビ由来のアレルゲン、及び植物アレルゲンを低減化することができ、多種のアレルゲンを実質的になくすことができる。よって本発明は、環境中のアレルゲンがハウスダスト中のダニアレルゲンや植物アレルゲンの場合に特に効果的に作用するものである。
本発明を実施例、試験例により更に詳しく説明するが、本発明がこれらによって限定されるものではない。
(抗アレルゲン組成物実施例)
下記、表1に示す組成のものを、充分攪拌することにより、均一な溶液を得た。なお、表に示した配合比率はすべて重量%である。
Figure 0005114692
(試験例1)抗アレルゲン組成物によるダニアレルゲンの低減化効果の測定
標準ハウスダストに含まれるダニアレルゲン Derf2 約1μg/1mL{リン酸緩衝液(pH7.2)}に対し、実施例1〜3と対照として蒸留水をそれぞれ200μL反応させた。これら試料について Derf2酵素免疫測定法(ELISA)のサンドイッチ法にてダニアレルゲン低減化効果の測定を行った。まず、リン酸緩衝液(pH7.4)で1.25μg/mLに希釈した抗Derf2 モノクローナル抗体15E11を、F16 MAXISORP NUNC−IMMUNO MODULEプレート(NUNC社製)の1ウェルあたり100μLずつ添加し、4℃にて3日以上感作させた。感作後、液を捨て、ブロッキング試薬{1重量%牛血清アルブミン+リン酸緩衝液(pH7.2)}を1ウェルあたり200μLずつ添加し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液(pH7.2)にてプレートを洗浄した。次に、ダニアレルゲンと上記組成物を反応させて得られた抽出液を1ウェルあたり100μLずつ滴下し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液(pH7.2)にてプレートを洗浄した。ペルオキシダーゼ標識した抗Derf2モノクローナル抗体をリン酸緩衝液{pH7.2、1重量%牛血清アルブミン及び0.05重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}で200μg/mLに溶解し、それをリン酸緩衝液(pH7.2、1重量%牛血清アルブミン及び0.05重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}で1200倍希釈した液を、1ウェルあたり100μLずつ添加した。37℃、60分間反応させた後、先ずリン酸緩衝液(pH7.2)でプレートを洗浄した。0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH6.2)6.5mLにオルト−フェニレンジアミンジヒドロクロライド(13mg Tablet、和光純薬工業株式会社製)一錠と30%過酸化水素水6.5μLを加えたものを1ウェルあたり100μLずつ添加し、37℃、3分間反応させた。その後直ちに、1mol/L HSOを50μLずつ入れて反応を停止させ、マイクロプレート用分光光度計(Bio−Rad Laboratories Inc.製)で吸光度(OD490nm)を測定した。結果を表2に示した。
Figure 0005114692
(試験例2)抗アレルゲン組成物によるスギアレルゲンの低減化効果の測定
標準スギ花粉アレルゲン Cryj1(株式会社林原生物化学研究所製) 約20ng/1mL{リン酸緩衝液(pH7.2)}に対し、実施例1または3を200μL反応させた。これら試料について Cryj1酵素免疫測定法(ELISA)のサンドイッチ法にてスギ花粉に対する抗アレルゲン効果の測定を行った。まず、リン酸緩衝液(pH7.4)で2μg/mLに希釈した抗Cryj1モノクローナル抗体013を、F16 MAXISORP NUNC−IMMUNO MODULEプレート(NUNC社製)の1ウェルあたり100μLずつ添加し、4℃にて3日以上感作させた。感作後、液を捨て、ブロッキング試薬{1重量%牛血清アルブミン+リン酸緩衝液(pH7.2)を1ウェルあたり200μLずつ添加し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液(pH7.2)にてプレートを洗浄した。次に、スギ花粉アレルゲンと上記組成物を反応させて得られた抽出液を1ウェルあたり100μLずつ滴下し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液(pH7.2)にてプレートを洗浄した。ペルオキシダーゼ標識した抗Cryj1モノクローナル抗体053をリン酸緩衝液{pH7.2、1重量%牛血清アルブミン及び0.05重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}で100μg/mLに溶解し、それをリン酸緩衝液{pH7.2、1重量%牛血清アルブミン及び0.05重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}で1200倍希釈した液を、1ウェルあたり100μLずつ添加した。37℃、60分間反応させた後、先ずリン酸緩衝液(pH7.2)でプレートを洗浄した。0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH6.2)6.5mLにオルト−フェニレンジアミンジヒドロクロライド(13mg Tablet、和光純薬工業株式会社製)一錠と30%過酸化水素水6.5μLを加えたものを1ウェルあたり100μLずつ添加し、37℃、7分間反応させた。その後直ちに、1mol/L HSOを50μLずつ入れて反応を停止させ、マイクロプレート用分光光度計(Bio−Rad Laboratories Inc.製)で吸光度(OD490nm)を測定した。結果を表3に示した。
Figure 0005114692
(試験例3)繊維加工品によるダニアレルゲンの低減化効果の測定
綿ブロード布(白色)またはナイロン布(白色)に実施例4または比較例としてタンニン酸の3%水溶液(特開昭61−44821号該当品)を2.0%o.w.fで25℃において20分間浸漬し、しぼり率100%で処理後、105℃で乾燥させた。これらの生地について抗アレルゲン試験を行った。
生地(5cm×5cm)に標準ハウスダスト0.005gを付着させ、1時間後にチャック付きポリ袋に投入し、リン酸緩衝液{pH7.2、1重量%牛血清アルブミン及び0.05重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}10mLを用いて抽出した。遠心分離後のこれら試料について Derf2酵素免疫測定法(ELISA)のサンドイッチ法にてダニアレルゲン低減化効果の測定を行った。まず、リン酸緩衝液(pH7.4)で1.25μg/mLに希釈した抗Derf2 モノクローナル抗体15E11を、F16 MAXISORP NUNC−IMMUNO MODULEプレート(NUNC社製)の1ウェルあたり100μLずつ添加し、4℃にて3日以上感作させた。感作後、液を捨て、ブロッキング試薬{1重量%牛血清アルブミン+リン酸緩衝液(pH7.2)}を1ウェルあたり200μLずつ添加し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液(pH7.2)にてプレートを洗浄した。次に、ダニアレルゲンと上記組成物を反応させて得られた抽出液を1ウェルあたり100μLずつ滴下し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液(pH7.2)にてプレートを洗浄した。ペルオキシダーゼ標識した抗Derf2モノクローナル抗体を蒸留水で200μg/mLに溶解し、それをリン酸緩衝液{pH7.2、1重量%牛血清アルブミン及び0.05重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}で1200倍希釈した液を、1ウェルあたり100μLずつ添加した。37℃、60分間反応させた後、先ずリン酸緩衝液(pH7.2)でプレートを洗浄した。0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH6.2)6.5mLにオルト−フェニレンジアミンジヒドロクロライド(13mg Tablet、和光純薬工業株式会社製)一錠と30%過酸化水素水6.5μLを加えたものを1ウェルあたり100μLずつ添加し、37℃、3分間反応させた。その後直ちに、1mol/L HSOを50μLずつ入れて反応を停止させ、マイクロプレート用分光光度計(Bio−Rad Laboratories Inc.製)で吸光度(OD490nm)を測定した。また外観を観察し、変色の有無を確認した。結果を表4に示した。
Figure 0005114692
本発明により、ダニやスギ花粉等のアレルゲンのアレルゲン性を低減化させることができ、あるいは繊維または繊維製品にアレルゲン性を低減化させる機能を付与するための抗アレルゲン組成物およびこれらの繊維または繊維製品、もしくは環境中に直接散布することによってアレルゲンを除去するアレルゲン低減化方法を提供することができる。

Claims (2)

  1. 1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロミドを含有することを特徴とする抗アレルゲン組成物。
  2. 請求項1に記載の抗アレルゲン組成物を環境中に散布することによってアレルゲンを除去するアレルゲン低減化方法。
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