JP2006022013A - 抗菌防黴性組成物 - Google Patents

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JP2006022013A JP2004199007A JP2004199007A JP2006022013A JP 2006022013 A JP2006022013 A JP 2006022013A JP 2004199007 A JP2004199007 A JP 2004199007A JP 2004199007 A JP2004199007 A JP 2004199007A JP 2006022013 A JP2006022013 A JP 2006022013A
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Yoshio Igarashi
喜雄 五十嵐
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Abstract

【課題】 抗菌性と防黴性がともに優れ、特に真菌類に対する防黴性能に優れた抗菌防黴性組成物を提供すること。
【解決手段】 層状珪酸塩の層間に防黴性有機化合物を担持させてなる防黴性層状珪酸塩および無機系抗菌剤からなり、上記防黴性有機化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする抗菌防黴性組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、防黴性層状珪酸塩と無機系抗菌剤を含有する抗菌防黴性組成物に関し、耐水性、耐薬品性、耐熱性および防黴効果の持続性と抗菌性に優れており、特に胞子の発芽を阻止する防黴性能に優れた抗菌防黴性組成物に関する。
本発明の組成物は、ゴム、プラスチックなどの材料に配合して成形したり、成形体の表面に被覆したりすることにより、材料または成形体に抗菌防黴性を賦与することができる抗菌防黴剤として有用である。
従来から所望の材料に抗菌防黴性を付与するために種々の抗菌防黴剤が開発されており、有機系と無機系の抗菌防黴剤が知られている。有機系の抗菌防黴剤として、塩化ベンザルコニウムなどの第四アンモニウム塩系化合物、2,4−チアゾリルベンズイミダゾールなどのイオウ含有ベンズイミダゾール系化合物、メチレンビスチオシアネートなどのビスチオシアネート系化合物、8−キノリノールなどのキノリノール系化合物、エタノールなどのアルコール系化合物、ホルマリンなどのアルデヒド系化合物、クレゾールなどのフェノール系化合物、ソルビン酸などのカルボン酸系化合物などの防黴剤が知られている。一方、無機系の抗菌防黴剤として、銀、銅、亜鉛などの抗菌性を示す金属イオンを活性炭、アパタイト、ゼオライト、四価金属燐酸塩などに担持させたものが知られている。
しかしながら、従来の抗菌防黴剤は有機系と無機系の各々において一長一短があり、改善すべき問題点があった。すなわち、有機系抗菌防黴剤は一般に耐熱性に乏しいため、プラスチックや繊維などへの練り込み加工に使用すると、変色、発泡などの問題を起こしたり、加工時に揮発や分解を生じ、十分な防黴効果を発揮できなかった。さらに、有機系のものは耐薬品性にも劣っており、各種溶媒への溶解度が比較的高いため、使用時に溶出を起こし、防黴効果が低下したり、人体への悪影響が懸念され、利用できる用途が限定されるという問題がある。
また、無機系抗菌防黴剤は耐熱性や耐薬品性に優れているものの、細菌類に対する抗菌効果に比べて真菌類に対する防黴効果に劣るという問題がある。上記の問題を解決する技術として、層状珪酸塩のイオン交換性金属イオンの少なくとも一部を抗菌抗黴性有機配位化合物で置換してなる抗菌抗黴性珪酸塩が知られている(特許文献1)。
特開平4−292410号公報
しかしながら、有機系の抗菌防黴剤は無機系とは逆に真菌類に対する防黴効果に比べて細菌類に対する抗菌効果に劣る傾向にある。さらに、細菌類に対する抗菌効果を高めるために、層状化合物の層間に銀などの遷移金属と有機物とを錯塩として導入してなる抗菌防黴性層間化合物が知られているが、真菌類に対する防黴効果が十分でなく、また、遷移金属と有機物の組み合わせによっては錯塩が着色しているものが多く、用途が限定されるという問題がある。
従って本発明は、抗菌性と防黴性がともに優れ、特に真菌類に対する防黴性能に優れた抗菌防黴性組成物を提供することを目的とする。
そこで本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の防黴性有機化合物を層状珪酸塩に担持させた防黴性層状珪酸塩と無機系抗菌剤を共存させることによって、上記課題を解決することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、層状珪酸塩の層間に防黴性有機化合物を担持させてなる防黴性層状珪酸塩および無機系抗菌剤からなり、上記防黴性有機化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする抗菌防黴性組成物を提供する。
Figure 2006022013
(但し、上記一般式において、R1およびR4は、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐の同一または異なるアルキレン基であり、R2およびR5は、水素原子、同一または異なるハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基であり、R3は、炭素数2〜12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基であり、R6は、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはOSO27基(R7は、低級アルキル基若しくは置換或いは無置換のフェニル基である)である。)
上記本発明の抗菌防黴性組成物においては、前記一般式(1)において、R1およびR4は、ピリジン環の3または4位置に結合しているメチレン基であり、R2およびR5は、水素原子であり、R3は、テトラメチレン基であり、R6は、オクチル基、デシル基およびドデシル基から選ばれる基であり、Zが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはOSO27基(R7は、低級アルキル基若しくは置換或いは無置換のフェニル基である)であること;前記一般式(1)で表される化合物は、下記式(1)〜(4)で表される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
Figure 2006022013
Figure 2006022013
Figure 2006022013
Figure 2006022013
また、上記本発明の抗菌防黴性組成物においては、無機系抗菌剤は、下記一般式(2)で示される化合物であること
1 ab2(PO43・nH2O (2)
(M1は、銀、銅、亜鉛、錫、水銀、鉛、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、砒素、アンチモン、ビスマス、バリウム、カドミウムまたはクロムから選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、Aは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンまたは水素イオンから選ばれる少なくとも1種のイオンであり、M2は、4価金属であり、nは0≦n≦6を満たす数であり、aおよびbはla+mb=1を満たす正数である。但し、lはM1の価数であり、mはAの価数である。);および酸化亜鉛および二酸化チタンから選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含有することが好ましい。
本発明の抗菌防黴性組成物は、抗菌性と防黴性がともに優れ、特に真菌類に対する防黴性能に優れたものである。この特性によって本発明の抗菌防黴性組成物は、各種ゴム、プラスチックなどの材料およびそれらからなるフィルム、シートなどの成形品、並びに各種繊維、紙、皮革、塗料、接着剤、断熱材、コーキング材などに適用する抗菌防黴剤として有用である。
次に発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
本発明における防黴性有機化合物は、前記一般式(1)で表される化合物である。好ましい化合物は、前記一般式(1)において、R1およびR4が、ピリジン環の3または4位置に結合しているメチレン基であり、R2およびR5が、水素原子であり、R3が、テトラメチレン基であり、R6が、オクチル基、デシル基およびドデシル基から選ばれる基であり、Zが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはOSO27基(R7は、低級アルキル基若しくは置換或いは無置換のフェニル基である)である化合物であり、特に好ましい化合物は前記式(1)〜(4)の化合物である。前記一般式(1)で表される化合物は、単独でも混合物としても使用できる。
一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(a)
Figure 2006022013
で表されるピリジン化合物と、下記一般式(b)
Figure 2006022013
で表されるジオール類とを、強塩基の存在下に反応させることにより、下記一般式(c)
Figure 2006022013
で表されるピリジン化合物を製し、該化合物と下記一般式(d)
Figure 2006022013
で表されるピリジン化合物とを強塩基の存在下に反応させることにより下記一般式(e)
Figure 2006022013
で表されるピリジン化合物を製し、該化合物と下記一般式(f)
Figure 2006022013
で表されるハロゲン化合物若しくはスルホン酸エステル化合物とを反応させることによって得られる。
(但し、上記一般式(a)〜(f)において、AおよびBは塩基の作用により脱離基として機能し、アルキルカチオンを生成し得る置換基であり、XおよびYは無機、若しくは有機のプロトン酸の対アニオンであり、mおよびnは0〜1であり、R1〜R7、Zは前記と同意義である。)
本発明で使用する層状珪酸塩は、結晶層単位が互いに積み重なって層状構造をなしている珪酸塩であれば、特に制限されることなく使用でき、天然物と合成物のいずれでもよい。好ましい層状珪酸塩として、粘土鉱物があり、その具体例として、以下のものがある。すなわち、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイトなどのスメクタイト族、バームキュライト族、イライト、白雲母、金雲母、黒雲母などの雲母族、マーガライト、クリントナイトなどの脆雲母族、スドーアイトなどの緑泥石族、カオリナイト、ハロイサイトなどのカオリン類、アンチゴライトなどの蛇紋石族などである。その他の好ましい層状珪酸塩として以下のものがある。すなわち、マガディアイト、ケニヤアイト、カネマイト、マカタイト、アイラーアイトなどの層状ナトリウム珪酸塩、トバモライトなどの層状カルシウム珪酸塩、および水酸イオンなどの陰イオンをフッ素イオンで置換せしめた合成雲母などがある。
本発明における層状珪酸塩の粒径、含水量、陽イオン交換容量、色などは特に制限されないが、プラスチックやゴム或いは繊維などへの練り込み加工に使用する場合、平均粒径10μm以下の粉末が好ましく、より好ましくは平均粒径0.1〜7μmの粉末であり、さらに粒度分布が狭く、均一な粒径であることがより好ましい。また、防黴性層状珪酸塩とした場合に充分な防黴効果を発揮させるために、陽イオン交換容量が0.1meq/g以上であることが好ましい。これらの層状珪酸塩は1種類のみを用いてもよいが、徐放性のコントロールをするために2種類以上を併用することもできる。
上記層状珪酸塩は、含まれるイオン交換可能な金属イオンを一部または全て他の金属イオンと置換して用いてもよい。交換する金属イオンは、イオン交換可能な金属イオンであれば特に制限はないが、リチウム、カルシウム、ナトリウムなどが好ましい。
本発明における防黴性層状珪酸塩の層間に担持させた防黴性有機化合物の好ましい担持量の下限は、本発明における防黴性層状珪酸塩100質量部当たり0.1質量部であり、より好ましくは1質量部であり、特に好ましくは5質量部である。この担持量が少なすぎると防黴効果が低下する。なお、担持量の上限は層状珪酸塩と防黴性有機化合物の種類によって自ずから定り、不必要に多量に担持させた防黴性層状珪酸塩は、プラスチックなどに練り込み加工する場合に、変色を起こしたり、徐放性のコントロールが難しくなる畏れがあるので、予備試験によって担持量の好適な上限を設定すると良い。
また、層状珪酸塩への防黴性有機化合物の担持方法は、特に制限はなく、基本的には防黴性有機化合物と層状珪酸塩を接触させればよく、防黴性有機化合物が固相、液相、気相のいずれの状態であっても導入できる。例えば、防黴性有機化合物が液相である場合の担持では、防黴性有機化合物を層状珪酸塩と混合攪拌し、その後乾燥、粉砕を行うか、或いは防黴性有機化合物を溶解性の高い溶媒に溶解した溶液と層状珪酸塩を混合撹拌し、その後ろ過、洗浄を行い、さらに乾燥、粉砕することにより、防黴性有機化合物を層状珪酸塩に担持させた防黴性層状珪酸塩を得ることができる。なお、洗浄を行わず、そのまま乾燥、粉砕を行ってもよい。
上記の防黴性組成物の調製条件は特に制限はなく、使用する防黴性有機化合物および層状珪酸塩の種類、防黴性有機化合物の担持量により適宜変化させることができる。具体的には、例えば、溶媒のpHは0.1〜13、撹拌時間は0.5〜72時間、撹拌温度は常温から、例えば、40℃〜60℃程度、撹拌数は10〜1000回/分であればよい。
本発明における無機系抗菌剤は、銀および銅などの抗菌性を有する金属イオンとして知られている抗菌性金属イオンを担持させた無機化合物であれば特に制限はなく、抗菌性金属イオンを担持させる無機化合物としては、例えば、以下のものがある。すなわち、活性炭、活性アルミナ、シリカゲルなどの無機系吸着剤、ゼオライト、ハイドロキシアパタイト、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、チタン酸カリウム、含水酸化ビスマス、含水酸化ジルコニウム、ハイドロタルサイト類化合物などの無機イオン交換体がある。これらの無機化合物に抗菌性金属イオンを担持させる方法には特に制限はなく、今までに知られた担持方法はいずれも採用でき、例えば、物理吸着または化学吸着により担持させる方法、イオン交換反応により、担持させる方法、結合材により担持させる方法、抗菌性金属化合物を無機化合物に打ち込むことにより担持させる方法、蒸着、溶解析出反応、スパッタなどの薄膜形成法により無機化合物の表面に抗菌性金属化合物の薄層を形成させることにより担持させる方法がある。
上記の無機化合物の中で、無機イオン交換体は抗菌性金属イオンを強固に担持できることから好ましく、特に下記一般式(3)で示される四価金属リン酸塩系イオン交換体は好ましい化合物であり、特に好ましい抗菌剤は下記一般式(2)で示される化合物である。
b2(PO43・nH2O (3)
(Aは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンまたは水素イオンから選ばれる少なくとも1種のイオンであり、M2は、4価金属であり、nは0≦n≦6を満たす数であり、bはmb=1を満たす正数である。但し、mはAの価数である。)
1 ab2(PO43・nH2O (2)
(M1は、銀、銅、亜鉛、錫、水銀、鉛、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、砒素、アンチモン、ビスマス、バリウム、カドミウムまたはクロムから選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、Aは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンまたは水素イオンから選ばれる少なくとも1種のイオンであり、M2は、4価金属であり、nは0≦n≦6を満たす数であり、aおよびbはla+mb=1を満たす正数である。但し、lはM1の価数であり、mはAの価数である。)
上記一般式(2)で示される化合物は、アモルファスまたは空間群R3cに属する結晶性化合物であり、各構成イオンが3次元網目状構造を作る化合物を表す。上記リン酸塩系抗菌剤は、日光に暴露したときの変色が少ないことから、3次元網目状構造を有する結晶性化合物が好ましい。上記一般式(2)におけるM1は、いずれも抗菌性を示す金属として知られたものであり、これらの中で銀は、安全性の他、防黴、抗菌性および防藻性を高めることができる金属として特に有効である。
上記一般式(2)におけるAは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンまたは水素イオンから選ばれる少なくとも1種のイオンであり、好ましい具体例には、リチウム、ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属イオン、マグネシウムまたはカルシウムなどのアルカリ土類金属イオンまたは水素イオンがあり、これらの中では、化合物の安定性および安価に入手できる点から、カリウム、リチウム、ナトリウム、アンモニウムイオンおよび水素イオンが好ましいイオンである。
上記一般式(2)におけるM2は、4価金属であり、好ましい具体例には、ジルコニウム、チタンまたは錫があり、化合物の安全性を考慮すると、ジルコニウムおよびチタンは、特に好ましい4価金属である。
上記一般式(2)のリン酸塩系抗菌剤の具体例として、以下のものがある。
Ag0.005Li0.995Zr2(PO43
Ag0.01(NH40.99Zr2(PO43
Ag0.05Na0.95Zr2(PO43
Ag0.20.8Ti2(PO43
Ag0.10.9Zr2(PO43
Ag0.5Na0.250.25Zr2(PO43
Ag0.9Na0.1Zr2(PO43
および上記化合物1モルあたりの銀イオンの電荷量と同じ電荷量になるようにしながら、上記各式におけるAgをZn、Mn、Ni、Pb、Hg、SnまたはCuと置換した化合物などがある。上記リン酸塩系抗菌剤を合成する方法には、焼成法、湿式法および水熱法などがあり、何れも公知の方法である。
本発明の組成物において、抗菌性を発揮させるには、一般式(2)におけるaの値は大きい方がよいが、aの値が0.001以上であれば、十分に抗菌性を発揮させることができる。しかし、aの値が0.001未満であると、抗菌性を長時間発揮させることが困難となる畏れがあるので、aの値を0.001以上の値とすることが好ましい。さらに、樹脂の成形性や製品強度を維持し、かつ十分な抗菌性を長時間発揮させるためにはaの値を0.03以上とし、一般式(2)で示される化合物の樹脂に対する添加量を少なくすることが好ましい。また、経済性を考慮すると、aの値は0.7以下が適当である。
上記リン酸塩系抗菌剤は熱および光の暴露に対して安定であり、500℃、場合によっては800℃〜1,100℃での加熱後であっても構造および組成が全く変化せず、紫外線の照射によっても何等変色を起こさない。また、上記リン酸塩系抗菌剤は、液体状態にある水と接触したり、酸性溶液中でも骨格構造の変化がみられない。従って、各種成形加工物を得る際の加工および保存、さらには従来の抗菌剤のように、使用時において、加熱温度或いは遮光条件などの制約を受けることがない。
本発明における無機系抗菌剤と下記に示す特定の金属酸化物とを併用することにより、本発明の抗菌効果をさらに高めることができる。上記金属酸化物は酸化亜鉛および二酸化チタンから選ばれる少なくとも1種の化合物である。酸化亜鉛は、天然物または合成物の何れでもよく、性状、製造方法において特に制限はない。一般に亜鉛華として顔料に用いられている酸化亜鉛の他、インキ、充填剤、紫外線吸収剤、セラミックス原料、化粧品、歯科原料、媒熔剤、感光体、医薬品、触媒、電子材料、蛍光体、電池として用いられているものなどを使用できる。
二酸化チタンは、天然物または合成物の何れでもよく、非晶質または結晶質の何れであってもよく、性状、製造方法において特に制限はない。二酸化チタンは結晶構造によりアナタース、ルチルおよびブルッカイトに分類されるが、本発明において、何れの結晶構造のものを用いてもよい。工業的に容易に入手できることから、アナタースおよびルチルは好ましいものである。一般に顔料として用いられている二酸化チタンの他、インキ、化粧品、医薬品、釉薬、歯科材料、有機チタン原料、セラミックス原料、研磨剤、補強剤、触媒、電子材料として用いられているものなどを使用できる。
金属酸化物の粒子径、粒子の形状において特に制限はない。樹脂への分散性を考慮すると、好ましい平均粒子径は10μm以下であり、好ましい粒子の形状は立方体状、直方体状、球状、針状である。さらに、上記金属酸化物は分散性向上、表面活性低減のため、表面処理を施したものを使用することができる。表面処理方法は湿式または乾式の何れであってもよい。表面処理剤についての限定は無く、一般に用いられるアルミニウム、亜鉛、シリカなどの可溶性塩類を用いることができる。
本発明における無機系抗菌剤と上記金属酸化物を併用する場合、金属酸化物の好ましい配合割合は、無機系抗菌剤と金属酸化物の合計100質量部を基準として、金属酸化物が5〜90質量部である。金属酸化物の配合割合が5質量部より少ないと、金属酸化物と無機系抗菌剤の併用による抗菌効果の向上が困難となる畏れがあり、金属酸化物が90質量部より多いと、無機系抗菌剤による抗菌効果を発揮させることが困難となる畏れがある。また、十分な抗菌効果を発揮させるためには、無機系抗菌剤と金属酸化物からなる混合物における抗菌性金属イオンの含有率を0.5質量%以上とすることが好ましく、1質量%以上とすることがより好ましい。
本発明の組成物における防黴性層状珪酸塩と無機系抗菌剤の好ましい配合割合は、両者の合計l00質量部当たり、無機系抗菌剤が1〜90質量部であり、より好ましくはl0〜80質量部であり、特に好ましくは30〜70質量部である。無機系抗菌剤の割合が1質量部未満では十分な抗菌効果が得られず、また90質量部を超えると十分な防黴効果が得られない畏れがある。なお、無機系抗菌剤と金属酸化物を併用する場合は、両者の合計量を上記無機系抗菌剤の質量とする。防黴性層状珪酸塩および無機系抗菌剤の配合方法は、双方を均一に混合できる方法であれば特に制限はない。
本発明の抗菌防黴性組成物は、各種材料に配合して優れた抗菌防黴効果を付与する抗菌防黴剤として有用である。配合することができる材料として、例えば、シリコーン、アクリルなどのゴム;塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ABS、ポリスチレン、酢酸ビニル、ポリカーボネートなどのプラスチックなどがある。本発明の組成物は、材料に配合して成形したり、成形体の表面に被覆したりすることにより、成形体に抗菌防黴性を賦与することでき、成形体の形状は、公知の成形法により繊維、フィルム、シート、板或いはブロックなどの種々の形状とすることができる。
また、本発明の抗菌防黴性組成物は、水または有機溶剤などの液状媒体に懸濁させたものを、スプレーコーティング、コーターコーティング、ディッピング、刷毛塗り、ロールコーティングなどの通常の塗布手段によって、各種金属やプラスチックス、セラミックスなどの表面上に塗布し、皮膜を形成することもでき、そのようにして各種材質の物品における細菌および黴の発育を阻止することができる。本発明の組成物を各種材料に配合する好ましい割合は、抗菌防黴性を賦与しようとする材料100質量部当たり、0.1〜30質量部であり、より好ましくは0.5〜10質量部である。
本発明の組成物を配合した材料または成形体の具体的な用途として、タオル、カーペット、カーテン、衣類などの繊維製品;皮革;冷蔵庫、洗濯機、食器乾燥器、掃除機、空調機、テレビ、電話などの電化製品;壁紙、タイル、煉瓦、コンクリート、ネジ、目地などの建築材料;洗面器、歯ブラシ、ほうき、ホース、スリッパ、ごみ箱、たわしなどの日用雑貨品;まな板、三角コーナー、包丁などの台所用品;トイレタリー用品;各種コーティング材、塗料および接着剤などがある。
次に合成例、参考例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
合成例1(前記化合物(1)の合成)
[下記構造式で示される化合物(1−1)の合成]
Figure 2006022013
DMF(ジメチルホルムアミド)75mlに1,4−ブタンジオール8.24g(91.43mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド10.3g(91.79mmol)を添加し、室温で1.5時間撹拌した。このスラリー液に−8〜−3℃で3−クロロメチルピリジン塩酸塩1.0g(6.10mmol)およびカリウムtert−ブトキシド0.68g(6.06mmol)を交互に添加し、これを15回繰り返し、全量で3−クロロメチルピリジン塩酸塩15.0g(91.45mmol)およびカリウムtert−ブトキシド10.2g(90.9mmol)を添加した。
添加終了後、反応混合物をHPLC(条件1)で分析すると、3−クロロメチルピリジンのピークが確認されたので、3−クロロメチルピリジンのピークが消失するまで、カリウムtert−ブトキシドを5℃以下で添加した。追加したカリウムtert−ブトキシドは1.13g(10.07mmol)であった。反応混合物を固液分離し、ケークをDMF30mlで洗浄、ろ洗液からDMFを減圧下に留去して油状の粗生成物(化合物(1−1))17.1gを得た。得られたオイルをHPLC(条件1)で分析すると、前記化合物(1−1)の面積%は76.0%であった。
前記化合物(1−1)の粗生成物を水30mlに溶解し、トルエンで洗浄した。その後、水層に食塩6gを加え、ジクロロメタン20ml×2で抽出し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、溶媒を留去し、油状の前記化合物(1−1)9.21g(収率(1,4−ブタンジオールより):57.2%)を得た。得られたオイルをHPLC(条件1)で分析すると、面積%は99.4%であった。(1H−NMR(CDCl3):δ1.67−1.75(4H,m,−(C 22−)、δ2.35(1H,s,O)、δ3.52−3.56(2H,t,J=6.0Hz,C 2)、δ3.64−3.68(2H,t,J=6.0Hz,C 2 )、δ4.52(2H,s,C 2)、δ7.27−7.31(1H,m,arom)、δ7.66−7.70(1H,m,arom)、δ8.52−8.56(2H,m,arom ×2)、MS(APCl):m/z=182[M+H]+
HPLC(条件1)
・カラム:Inertsil ODS-3(GL Sciences)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.5%酢酸アンモニウム水溶液、B−アセトニトリル A:B=70:30(一定)
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:20μL
[下記構造式で示される化合物(1−2)の合成]
Figure 2006022013
DMF25mlに前記化合物(1−1)5.0g(27.59mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド3.1g(27.63mmol)を添加した。このスラリーに5〜6℃で3−クロロメチルピリジン塩酸塩0.5g(3.05mmol)およびカリウムtert−ブトキシド0.34g(3.03mmol)を交互に添加し、これを9回繰り返し、全量で3−クロロメチルピリジン塩酸塩4.5g(27.43mmol)およびカリウムtert−ブトキシド3.06g(27.27mmol)を添加した。添加終了後、反応混合物をHPLC(条件1)で分析すると、3−クロロメチルピリジンおよび前記化合物(1−1)のピークが確認されたので、3−クロロメチルピリジンのピークおよび前記化合物(1−1)のピークが消失するまで、カリウムtert−ブトキシドを5℃以下で添加した。追加したカリウムtert−ブトキシドは0.62g(5.53mmol)であった。
反応混合物を固液分離し、ケークをDMF30mlで洗浄、ろ洗液からDMFを減圧下に留去した。この濃縮残液にジクロロメタン20mlを添加し、溶解液を飽和食塩水で洗浄後、溶媒を留去し、油状物5.8gを得た。この粗生成物0.5gについてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム−メタノール)で精製を行い、油状の前記化合物(1−2)0.3gを得た。(1H−NMR:δ1.70−1.74(4H,m,−(C 22−)、δ3.50−3.54(4H,m,C 2×2)、δ4.51(4H,s,C 2×2)、δ7.25−7.29(2H,dd,J=4.9Hz,7.9Hz,arom×2)、δ7.65−7.69(2H,dt,J=1.7Hz,7.9Hz,arom ×2)、δ8.52−8.57(4H,dd,J=1.7Hz,4.9Hz,arom×4)、MS(APCl):m/z=273[M+H]+
[化合物(1)の合成]
Figure 2006022013
前記化合物(1−2)5.0g(18.36mmol)にオクチルブロマイド35.5g(183.8mmol)を加え、70〜80℃で20時間反応を行った。反応混合物をHPLC(条件2)で分析すると、前記化合物(1−2)のピークは消失していた。反応混合物より上層のオクチルブロマイド層を分離し、下層油状物をアセトニトリル−酢酸エチル=1:3(v/v)混液に注加した。混合物を冷却し、析出結晶を0℃でろ過、減圧乾燥を行い、灰白色結晶9.7g(粗収率(前記化合物(1−2)より):85%)を得た。
得られた結晶2gについてアセトニトリル−酢酸エチル=1:3(v/v)混液で再結晶を行い、微灰白色結晶の化合物(1)1.6gを得た。(融点:52〜53℃、1H−NMR(d6−DMSO):δ0.82−0.89(6H,t,J=5.3Hz,C 3×2)、δ1.25−1.34(20H,m,−(C 25−×2)、δ1.77−1.80(4H,m,−(C 22−×2)、δ2.04−2.09(4H,t,J=7.0Hz,C 2×2)、δ3.70−3.72(4H,t,J=5.9Hz,C 2×2)、δ4.67−4.71(4H,t,J=7.0Hz,C 2×2)、δ4.84(4H,s,C 2×2)、δ8.11−8.15(2H,dd,J=6.0Hz,8.0Hz,arom×2)、δ8.56−8.59(2H,d,J=8.0Hz,arom×2)、δ8.69−8.92(4H,dd,J=6.0Hz,13.1Hz,arom×4)、MS(ESI):m/z=579[M−Br]+)。
HPLC(条件2)
・カラム:Inertsil ODS-3(GL Sciences)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.5%酢酸アンモニウム水溶液、B−アセトニトリル A:70%(12min保持)→(10min)→A:50%(14min保持)→A:70%
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:20μL
合成例2(前記化合物(2)の合成)
[下記構造式で示される化合物(2−1)の合成:3−クロロメチルピリジン塩酸塩から4−クロロメチルピリジン塩酸塩に代え、反応条件を以下の通りにした他は合成例1と同様]
Figure 2006022013
DMF75mlに1,4−ブタンジオール8.24g(91.43mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド10.3g(91.79mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。このスラリーに−10〜−5℃で4−クロロメチルピリジン塩酸塩1.5g(9.14mmol)、カリウムtert−ブトキシド1.03g(9.18mmol)を交互に添加し、これを10回繰り返した。
添加終了後、反応混合物をHPLC(条件1)で分析すると、4−クロロメチルピリジンのピークが確認されたので、4−クロロメチルピリジンのピークが消失するまでカリウムtert−ブトキシドを10℃以下で添加した。追加したカリウムtert−ブトキシドは1.03g(9.18mmol)であった。反応混合物を固液分離し、ケークをDMF20mlで洗浄、ろ洗液からDMFを減圧下に留去し油状の粗生成物17.0gを得た。得られたオイルをHPLC(条件1)で分析すると、前記化合物(2−1)の面積%は63.0%であった。
粗生成物を水30mlに溶解し、トルエンで洗浄した。その後、水層に食塩6gを加え、ジクロロメタン20ml×2で抽出し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、溶媒を留去し、油状の前記化合物(2−1)9.21g(収率(1,4−ブタンジオールより):57.2%)を得た。得られたオイルをHPLC(条件1)で分析すると、面積%は99.4%であった。(1H−NMR(CDCl3):δ1.65−1.80(4H,m,−(C 2 2−)、δ2.4(1H,s,O)、δ3.54−3.58(2H,t,J=5.9Hz,C 2 )、δ3.66−3.70(2H,t,J=5.9Hz,C 2 )、δ4.53(2H,s,C 2 )、δ7.24−7.26(2H,dd,J=1.5Hz,4.5Hz,arom×2)、δ8.55−8.57(2H,dd,J=1.5Hz,4.5Hz,arom×2)、MS(APCl):m/z=182[M+H]+
[下記構造式で示される化合物(2−2)の合成:3−クロロメチルピリジン塩酸塩から4−クロロメチルピリジン塩酸塩に代え、反応条件を以下の通りにした他は合成例1と同様]
Figure 2006022013
DMF49mlに1,4−ブタンジオール2.7g(30.0mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド3.4g(30.0mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。このスラリーに−5〜−3℃で4−クロロメチルピリジン塩酸塩0.98g(6mmol)、カリウムtert−ブトキシド0.68g(6mmol)を交互に添加し、これを5回繰り返した。これ以降の添加は、−5〜−2℃で4−クロロメチルピリジン塩酸塩0.98g(6mmol)、カリウムtert−ブトキシド1.36g(12mmol)を交互に添加し、これを5回繰り返し、全量で4−クロロメチルピリジン塩酸塩9.8g(60mmol)、カリウムtert−ブトキシド10.2g(90mmol)を添加した。
添加終了後、反応混合物をHPLC(条件1)で分析すると、4−クロロメチルピリジンおよび前記化合物(2−1)のピークが確認されたので、4−クロロメチルピリジンのピークおよび前記化合物(2−1)のピークが消失するまで、4−クロロメチルピリジン塩酸塩とカリウムtert−ブトキシドを10℃以下で添加した。追加した4−クロロメチルピリジン塩酸塩は2.0g(12mmol)、カリウムtert−ブトキシドは2.6g(24mmol)であった。反応混合物を固液分離し、ケークをDMF20mlで洗浄、ろ洗液からDMFを減圧下に留去した。
この濃縮残液に酢酸エチル50mlを添加し、溶解液を水で洗浄後、溶媒を留去し、黄色結晶の前記化合物(2−2)を得た。該化合物の結晶をHPLC(条件1)で分析すると、前記化合物(2−2)の面積%は70.5%であった。得られた粗生成物5g(18mmol)をイソプロピルアルコール23.3gで再結晶を行い、白色結晶の前記化合物(2−2)2.7gを得た。(融点:98.6〜100.2℃、1H−NMR(CDCl3):δ1.75−1.79(4H,m,−(C 22−)、δ3.53−3.57(4H,m,C 2×2)、δ4.52(4H,s,C 2×2)、δ7.23−7.27(4H,dd,J=0.8Hz,6.0Hz,arom×4)、δ8.55−8.57(4H,dd,J=1.6Hz,6.0Hz,arom×4)、MS(APCl):m/z=273[M+H]+
[下記構造式の化合物(2)の合成:前記化合物(2−2)を4−クロロメチルピリジン塩酸塩から誘導したものに代え、反応条件を以下の通りにした他は合成例1と同様]
Figure 2006022013
前記化合物(2−2)2.0g(7.34mmol)にオクチルブロマイド21.3g(110.3mmol)を加え、70〜80℃で53時間反応を行った。反応混合物をHPLC(条件2)で分析すると、前記化合物(2−2)のピークは消失していた。反応混合物からオクチルブロマイドを減圧下で留去し、油状の前記化合物(2)5.2g(粗収率:107.7%)を得た。得られたオイルをHPLC(条件2)で分析すると、化合物(2)のピークの面積%は81.3%であった。
合成例3(前記化合物(3)の合成)
Figure 2006022013
前記化合物(1−2)5.0g(18.36mmol)にデシルブロマイド40.6g(183.8mmol)を加え、70〜80℃で20時間反応を行った。
反応混合物をHPLC(条件3)で分析すると、前記化合物(1−2)のピークは消失していた。反応混合物より上層のデシルブロマイド層を分離し、下層油状物をアセトニトリル−酢酸エチル=1:3(v/v)混液に注加した。混合物を冷却し、析出結晶を0℃でろ過、減圧乾燥を行い、灰白色結晶11.6g(粗収率(前記化合物(1−2)より):88.5%)を得た。該化合物の結晶をHPLC(条件1)で分析すると、前記化合物(3)の面積%は98.4%であった。融点およびNMR分析値は以下の通りであった。
(融点:76.8〜79.2℃、1H−NMR(CD3OD):δ0.9(6H、t、C 3×2)、δ1.29〜1.40(28H、m、(C 27×2)、δ1.77〜1.84(4H、m、C 2×2)、δ2.00〜2.05(4H、t、C 2×2)、δ3.69〜3.70(4H、t、C 2×2)、δ4.64〜4.68(4H、t、C 2×2)、δ4.77(4H、s、C 2×2)、δ8.07〜8.11(2H、dd、J=、arom×2)、δ8.55〜8.57(2H、d、arom×2)、δ8.93〜8.94(2H、d、arom×2)、δ9.02(2H、s、arom×2)
HPLC(条件3)
・カラム:Inertsil ODS-3(GL Sciences)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.5%酢酸アンモニウム水溶液、B−アセトニトリル A:60%(5min保持)→(10min)→A:30%(30min保持)→A:60%
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:10μL
合成例4(前記化合物(4)の合成)
合成例3におけるデシルブロマイドに代えて当モル量のドデシルブロマイドを用いた以外は合成例3と同様にして下記構造式で表される化合物(4)13.0g(粗収率:91.5%)を得た。得られた化合物(4)をHPLC(条件4)で分析すると、化合物(4)のピークの面積%は97.5%であった。また、融点およびNMR分析値は以下の通りであった。
Figure 2006022013
(融点:90.0〜91.4℃、1H−NMR(CD3OD):δ0.89(6H、t、C 3×2)、δ1.26〜1.39(36H、m、(C 29×2)、δ1.79〜1.82(4H、m、C 2×2)、δ1.84〜2.05(4H、m、C 2×2)、δ3.67〜3.70(4H、t、C 2×2)、δ4.65〜4.68(4H、t、C 2×2)、δ4.77(4H、s、C 2×2)、δ8.07〜8.11(2H、dd、arom ×2)、δ8.55〜8.57(2H、d、arom ×2)、δ8.93〜8.94(2H、d、arom ×2)、δ9.02(2H、s、arom ×2)
HPLC(条件4)
・カラム:CAPCELL PAK C18 SG120(資生堂)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.1Mリン酸二水素カリウム(0.05%燐酸)水溶液、B−80%アセトニトリル水溶液 A:B=30:70
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:20μL
参考例1(Ca型層状珪酸塩の調製)
0.1mol/LのCaCl2水溶液1.0Lに、層状珪酸塩であるNa型フッ素置換合成ウンモ100.0gを加え、60℃で4時間撹拌(300rpm)を行った。得られた懸濁液をイオン交換水で濾液の電導度が100μS/cm以下となるまで洗浄し、ついで100℃で乾燥、粉砕してCa型層状珪酸塩を得た。
参考例2(防黴性層状珪酸塩Aの調製)
防黴性有機化合物として前記化合物(1)と前記化合物(2)との等量混合物を0.75gと、参考例1で得たCa型層状珪酸塩を42.5g加え、乳鉢で十分に撹拌後、120℃でそのまま加熱した。得られた複合体前駆体を純水で洗浄し、100℃にて真空乾燥を行い熟成を行った。乾燥後、粉砕を行って白色の防黴性層状珪酸塩Aを得た。
参考例3(防黴性層状珪酸塩Bの調製)
アセトン/水70%溶液500mlに、防黴性有機化合物として前記化合物(3)を0.5g加え、完全に溶解させた。そこへ参考例1で得たCa型層状珪酸塩を45.0g加え、室温で1時間撹拌後、電気炉でそのまま乾燥し、粉砕を行って白色の防黴性層状珪酸塩Bを得た。
参考例4(防黴性層状珪酸塩Cの調製)
アセトン/水70%溶液500mlに、防黴性有機化合物として前記化合物(4)を0.5g加え、完全に溶解させた。そこへ参考例1で得たCa型層状珪酸塩を45.0g加え、室温で1時間撹拌後、電気炉でそのまま乾燥し、粉砕を行って白色の防黴性層状珪酸塩Cを得た。
実施例1(抗菌防黴性組成物Aの調製)
参考例2で得た防黴性層状珪酸塩Aと下記式(5)で表される無機系抗菌剤Xを等質量比で小型ヘンシェルミキサーを用いて均一に混合し、抗菌防黴性組成物Aを得た。
Ag0.53Na0.170.30Zr2(PO43 (5)
実施例2(抗菌防黴性組成物Bの調製)
防黴性層状珪酸塩Aに代えて参考例3で得た防黴性層状珪酸塩Bを用いた以外は実施例1と同様にして抗菌防黴性組成物Bを得た。
実施例3(抗菌防黴性組成物Cの調製)
防黴性層状珪酸塩Aに代えて参考例4で得た防黴性層状珪酸塩Cを用いた以外は実施例1と同様にして抗菌防黴性組成物Cを得た。
実施例4(抗菌防黴性組成物Dの調製)
上記式(5)で表される無機系抗菌剤Xと酸化亜鉛を、前者が9に対して後者を1の質量比で均一に混合したものを、参考例2で得た防黴性層状珪酸塩Aの質量に対して0.7倍の比で均一に混合し、抗菌防黴性組成物Dを得た。
比較例1
実施例1において、防黴性層状珪酸塩Aに代えて参考例2で得た防黴性層状珪酸塩Aのみを用いた場合を比較例1とする。
比較例2
実施例1において、防黴性層状珪酸塩Aに代えて参考例3で得た防黴性層状珪酸塩Bのみを用いた場合を比較例2とする。
比較例3
実施例1において、防黴性層状珪酸塩Aに代えて参考例4で得た防黴性層状珪酸塩Cのみを用いた場合を比較例3とする。
防黴性の評価1(最小発育阻止濃度(MIC)の測定)
実施例1〜4および比較例1〜3で調製した抗菌防黴性組成物を8mlのポテトデキストロース培地中に500、250、125、67.5ppmの割合で混入させ、その上に黴の胞子を塗布し、1週間後の黴の発育具合で判断した。黴には黒麹黴(Aspergillsniger)および黒黴(Cladosporiumcladospolies)の2種類を用いた。黒麹黴を用いた場合のMICの測定結果を表1に示し、黒黴を用いた場合のMICの測定結果を表2に示す。また、各表において、参考データとして、抗菌防黴性組成物に代えて無機系抗菌剤Xを用いた場合の評価結果も合わせて示した。なお、各表における記号の意味は以下の通りである。
○:黴の発育が阻止されている。
×:黴の発育が見られる。
Figure 2006022013
Figure 2006022013
使用例1〜4
実施例1〜4で調製した抗菌防黴性組成物を下記表3の組成物147.5gにそれぞれ2.5g添加し、加熱ロールにて150℃で均一に5分間混練り後、プレス(170℃、100Kg/cm2)により厚さ2mm、縦12cm、横10cmの板状に成形し、さらに3cm四方の大きさに切り取り、試験片を作製した。なお、使用例番号と各使用例で用いた抗菌防黴性組成物の種類との対応は、以下の通りである。
Figure 2006022013
Figure 2006022013
*1:TS1100(東亞合成株式会社製)
*2:東邦理化工業株式会社製
*3:300K(ダイセル化学工業社株式会社製)
*4:アデカスタブ37(旭電化工業株式会社製商品名)
*5:アデカスタブ102(旭電化工業株式会社製商品名)
比較使用例1〜3
抗菌防黴性組成物に代えて、比較例1〜3で調製した防黴性層状珪酸塩を用いた以外は使用例1と同様にして試験片を作製した。なお、比較使用例番号と各比較使用例で用いた防黴性層状珪酸塩の種類との対応は、以下の通りである。
Figure 2006022013
比較使用例4〜6
抗菌防黴性組成物に代えて、下記(a)、(b)または(c)の防黴性有機化合物を、上記表3の組成物149.75gに各々0.25g添加した以外は使用例1と同様にして試験片を作製した。
(a)α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル−エタノール
(b)2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン
(c)N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド
なお、比較使用例番号と各比較使用例で用いた防黴性有機化合物の種類との対応は、以下の通りである。
Figure 2006022013
比較使用例7
抗菌防黴性組成物に代えて、上記式(5)で表される無機系抗菌剤Xを用いた以外は使用例1と同様にして試験片を作製した。
防黴性の評価2(ラップ法による胞子数の測定)
使用例1〜4、比較使用例1〜7で作製した試験片上に麦芽エキス(0.05%)含有胞子懸濁液(胞子数濃度:4.5×104/ml)を100μl滴下し、2.5cm四方のラップにより密着させ、25℃、湿度90%で48時間保持し、前後の胞子数の変化を測定した。評価用黴として黒麹黴(Aspergillsniger)を用いた。上記のようにして得られた防黴性試験の結果を下記表4に示す。
防黴性の評価3(ハロー法による防黴性の評価)
使用例1〜4、比較使用例1〜7で作製した試験片を50℃の温水中に7日間静置し、1日後および7日後に防黴性の測定を行い、防黴効果の経時変化を評価した。防黴性の評価方法は、試験片をポテトデキストロース寒天培地に置き、14日間培養後の阻止帯形成幅を測定することにより防黴性を評価した。なお、評価用黴として黒麹黴(Aspergillsniger)を用いた。上記のようにして得られた防黴性試験の結果を下記表4に示す。
抗菌性試験
使用例1〜4、比較使用例1〜7で作製した試験片の抗菌力を以下の方法により評価した。被検菌には大腸菌を用い、菌数が105前後となるように希釈液を調製した。次いで試験片(3cm四方)に100μlの希釈液を滴下し1.5cm四方のラップにより密着させ、37℃で保存した。保存開始から0時間(初発菌数:2.6×105/ml)および6時間保存した後に、菌数測定用培地(SCDLP液体培地)で試験片上の生残菌を洗い出し、この洗液を試験液とした。この試験液について、菌数測定用培地を用いる混釈平板培養法(37℃2日間)により生菌数を測定して、1ml当たりの生菌数に換算した。なお、対象菌数は8.3×104/mlであり、ブランク菌数は4.1×104/mlであった。上記のようにして得られた抗菌性試験の結果を下記表4に示す。
Figure 2006022013
注)表中の記号は以下のことを意味する。
「胞子数の欄」
−:48時間後の洗い出し時に菌糸の成長が認められ、胞子数の測定が不可能であった。
「ハロー法の欄」
○:発育阻止帯の形成あり。
×:発育阻止帯の形成なし。
「総合評価の欄」
A:抗菌性と防黴性がともに優れている。
B:抗菌性と防黴性の少なくとも一方がやや劣っている。
C:抗菌性と防黴性の少なくとも一方が劣っている。
表4からわかるように、本発明の抗菌防黴性組成物は、抗菌性と防黴性がともに優れ、防黴剤を有する有機化合物を直接配合した場合に比べて、長時間洗浄を行っても防黴性が失われることはなく、防黴効果の持続性に優れている。また、特に真菌類に属する胞子の発芽を阻止する防黴能力に優れている。
本発明の抗菌防黴性組成物は、抗菌性と防黴性がともに優れ、特に真菌類に対する防黴性能に優れたものである。この特性によって本発明の抗菌防黴性組成物は、各種ゴム、プラスチックなどの材料およびそれらからなるフィルム、シートなどの成形品、並びに各種繊維、紙、皮革、塗料、接着剤、断熱材、コーキング材などに適用する抗菌防黴剤として有用である。

Claims (5)

  1. 層状珪酸塩の層間に防黴性有機化合物を担持させてなる防黴性層状珪酸塩および無機系抗菌剤からなり、上記防黴性有機化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする抗菌防黴性組成物。
    Figure 2006022013
    (但し、上記一般式において、R1およびR4は、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐の同一または異なるアルキレン基であり、R2およびR5は、水素原子、同一または異なるハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基であり、R3は、炭素数2〜12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基であり、R6は、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはOSO27基(R7は、低級アルキル基若しくは置換或いは無置換のフェニル基である)である。)
  2. 前記一般式(1)において、R1およびR4は、ピリジン環の3または4位置に結合しているメチレン基であり、R2およびR5は、水素原子であり、R3は、テトラメチレン基であり、R6は、オクチル基、デシル基およびドデシル基から選ばれる基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはOSO27基(R7は、低級アルキル基若しくは置換或いは無置換のフェニル基である)である請求項1に記載の抗菌防黴性組成物。
  3. 前記一般式(1)で表される化合物は、下記式(1)〜(4)で表される少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の抗菌防黴性組成物。
    Figure 2006022013
    Figure 2006022013
    Figure 2006022013
    Figure 2006022013
  4. 無機系抗菌剤は、下記一般式(2)で示される化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗菌防黴性組成物。
    1 ab2(PO43・nH2O (2)
    (M1は、銀、銅、亜鉛、錫、水銀、鉛、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、砒素、アンチモン、ビスマス、バリウム、カドミウムまたはクロムから選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、Aは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンまたは水素イオンから選ばれる少なくとも1種のイオンであり、M2は、4価金属であり、nは0≦n≦6を満たす数であり、aおよびbはla+mb=1を満たす正数である。但し、lはM1の価数であり、mはAの価数である。)
  5. 酸化亜鉛および二酸化チタンから選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗菌防黴性組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007246560A (ja) * 2006-03-13 2007-09-27 Tama Kagaku Kogyo Kk 抗菌性樹脂成形体およびその製造方法
JP2008297335A (ja) * 2007-05-29 2008-12-11 Sumika Enviro-Science Co Ltd 抗アレルゲン組成物およびアレルゲン低減化方法
JP2011148754A (ja) * 2010-01-25 2011-08-04 Tama Kagaku Kogyo Kk 抗菌性・抗黴性ケイ酸アルミニウムおよびその製造方法
JP2011231431A (ja) * 2010-04-28 2011-11-17 Dainippon Jochugiku Co Ltd 繊維製品の抗菌・抗ウイルス処理方法

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