JP3876553B2 - 防黴性層状珪酸塩 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐水性、耐熱性、防黴効果の持続性および耐候性に優れた、防黴性層状珪酸塩に関するものであり、本発明の防黴性珪酸塩は、ゴム、プラスチック等の材料に配合して成形したり、成形体の表面に被覆したりすることにより、材料または成形体に防黴性を付与することができる防黴剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来から所望の材料に防黴性を付与するために種々の防黴剤が開発されており、有機系と無機系の防黴剤が知られている。
有機系の抗菌防黴剤として、塩化ベンザルコニウム等の第四アンモニウム塩系化合物、2,4−チアゾリルベンズイミダゾール等のイオウ含有ベンズイミダゾール系化合物、メチレンビスチオシアネート等のビスチオシアネート系化合物、8−キノリノール等のキノリノール系化合物、エタノール等のアルコール系化合物、ホルマリン等のアルデヒド系化合物、クレゾール等のフェノール系化合物、ソルビン酸等のカルボン酸系化合物等の防黴剤が知られている。
一方、無機系の抗菌防黴剤として、銀、銅、亜鉛等の抗菌性を示す金属イオンを活性炭、アパタイト、ゼオライト等に担持させたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の防黴剤は有機系と無機系の各々において一長一短があり、改善すべき問題点があった。
即ち、有機系防黴剤は一般に耐熱性に乏しいため、プラスチックや繊維等への練り込み加工に使用すると、変色、発泡等の問題を起こしたり、加工時に揮発、分解を生じ、十分な防黴効果を発揮できなかった。更に、有機系のものは耐薬品性にも劣っており、各種溶媒への溶解度が比較的高いため、使用時に溶出を起こし、防黴効果が低下したり、人体への悪影響が懸念され、利用できる用途が限定されるという問題がある。
又、無機系防黴剤は耐熱性や耐薬品性に優れているものの、細菌類に対する抗菌効果に比べて真菌類に対する防黴効果に劣るという問題がある。
上記の問題を解決する技術として、層状珪酸塩のイオン交換性金属イオンの少なくとも一部を抗菌抗黴性有機配位化合物で置換してなる抗菌抗黴性珪酸塩が知られている(特開平4−292410)。しかしながら、本発明者らは、この改善された技術により得られる層状珪酸塩においては、変色を起こしやすく、耐候性や耐熱性に劣るという問題があり、その原因が層状珪酸塩中のイオン交換性金属にあることを見出した。
本発明は、変色が起こり難く、耐候性、耐熱性に優れる防黴性層状珪酸塩を提供することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意検討した結果、イオン交換性イオンを、アルカリ土類金属とした層状珪酸塩を用いることが極めて有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、層状構造の層間に、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンまたは4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを担持し、イオン交換可能なイオンとして、アルカリ土類金属イオンを有することを特徴とする防黴性層状珪酸塩である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
○ 層状珪酸塩
本発明における層状珪酸塩はイオン交換性イオンとしてアルカリ土類金属イオンを有するものであり、後述する一般的なイオン交換法により容易に得ることができる。
【0006】
本発明における層状珪酸塩は、結晶層単位が互いに積み重なって層状構造をなしている珪酸塩であれば、特に制限されることなく使用でき、天然物と合成物のいずれであっても良い。
本発明における原料として好ましい層状珪酸塩に粘土鉱物があり、その具体例として、以下のものがある。
即ち、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト等のスメクタイト族、バームキュライト族、イライト、白雲母、金雲母、黒雲母等の雲母族、マーガライト、クリントナイト等の脆雲母族、スドーアイト等の緑泥石族、カオリナイト、ハロイサイト等のカオリン類、アンチゴライト等の蛇紋石族、パイロフィライト、タルク等である。
好ましくは、スメクタイト族層状珪酸塩、バーミキュライト族層状珪酸塩、合成マイカ、タルク及びこれらの層状珪酸塩における水酸基の一部又は全部をフッ素置換せしめた層状珪酸塩等である。
その他の好ましい層状珪酸塩として以下のものがある。
即ち、マガディアイト、ケニヤアイト、カネマイト、マカタイト、アイラーアイト等の層状ナトリウム珪酸塩、トバモライト等の層状カルシウム珪酸塩、及び合成フッ素雲母等がある。
【0007】
層状珪酸塩のイオン交換性イオンをアルカリ土類金属と置換する方法には特に制限はなく、従来より知られている如何なる方法も採用できる。
例えば、層状珪酸塩におけるカルシウム以外のイオン交換性イオンをカルシウムイオンに置換してカルシウム型層状珪酸塩とするには、塩化カルシウムなどの水溶性カルシウム塩と水分の存在下で接触させる方法や、炭酸カルシウムや硝酸カルシウムなどと混合した後加熱処理する方法等がある。
層状珪酸塩のイオン交換性イオンをアルカリ土類金属と置換する際、層状珪酸塩のイオン交換容量を越える量で処理することが好ましく、処理後は純水やエタノール等の溶媒で十分に洗浄することがより好ましい。処理や、洗浄が十分でないとカルシウムイオン以外のイオン交換性イオンが層状珪酸塩の層間に残り、優れた耐候性、耐熱性を発揮するという本発明の効果を充分に発揮できなくなる恐れがある。
【0008】
本発明における層状珪酸塩の粒径、含水量、陽イオン交換容量、色等は特に制限されない。プラスチックやゴムあるいは繊維等への練り込み加工に使用する場合は、平均粒径10μm以下の粉末が好ましく、より好ましくは平均粒径0.1〜7μmの粉末であり、更に、粒度分布が狭く、均一な粒径であることがより好ましい。また、防黴性層状珪酸塩とした場合に充分な防黴効果を発揮させるために、陽イオン交換容量が0.1meq/g以上であることが好ましい。
これらの層状珪酸塩は1種類のみを用いてもよいが、徐放性のコントロールをするために2種類以上を併用することもできる。
【0009】
○ 防黴性有機化合物
本発明の防黴性層状珪酸塩は、珪酸塩の層状構造の層間に、防黴性有機化合物を担持させたものであり、該防黴性有機化合物は、構造式中にイソチアゾリン基を有する化合物(以下、イソチアゾリン系防黴性有機化合物という。)であって、具体的には、以下の化合物ある(尚、〈〉内は慣用名を表す)。
すなわち、この発明において、イソチアゾリン系防黴性有機化合物として2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン〈OIT〉4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン〈COIT〉挙げられる。
また、本発明では、防黴性有機化合物として、これらをそれぞれ単独で用いても良く、これらを併用してもよい。
【0010】
本発明における防黴性層状珪酸塩に担持させたイソチアゾリン系防黴性有機化合物の好ましい担持量の下限は、防黴性層状珪酸塩100重量部(以下、単に部と略す)当たり0.1部であり、より好ましくは1部であり、特に好ましくは3部である。この担持量が少なすぎると防黴効果が低下する。尚、担持量の上限は層状珪酸塩と防黴性有機化合物の種類によって自ずから定まるが、不必要に多量に担持させた防黴性層状珪酸塩は、樹脂との混合時或いは成形時に、変色を起こしたり、徐放性のコントロールが難しくなる恐れがあるので、予備試験によって担持量の好適な上限を設定すると良い。
【0011】
また、層状珪酸塩へのイソチアゾリン系防黴性有機化合物の担持方法は、特に制限はなく、基本的には防黴性有機化合物と層状珪酸塩を接触させれば良く、防黴性有機化合物が固相、液相、気相のいずれの状態であっても導入できる。
例えば、防黴性有機化合物が液相である場合の担持では、防黴性有機化合物を層状珪酸塩と混合攪拌し、その後乾燥、粉砕を行うか、或いは防黴性有機化合物を溶解性の高い溶媒に溶解した溶液と層状珪酸塩を混合撹拌し、その後ろ過、洗浄を行い、更に乾燥、粉砕することにより、防黴性有機化合物を層状珪酸塩に担持させた防黴性層状珪酸塩を得ることができる。尚、洗浄を行わず、そのまま乾燥および/または粉砕を行ってもよい。
【0012】
上記の防黴性層状珪酸塩の調製条件は特に制限はなく、使用する防黴性有機化合物及び層状珪酸塩の種類、防黴性有機化合物の担持量により適宜変化させることができる。具体的には、例えば、溶媒のpHは0.1〜13、撹拌時間は0.1〜72時間、撹拌温度は常温から例えば40℃〜60℃程度、撹拌速度は10〜10000回/分であればよい。
【0013】
○用途
本発明の防黴性層状珪酸塩は、各種材料に配合して優れた防黴効果を付与する防黴剤として有用である。
配合することができる材料として、例えばシリコーン、アクリル等のゴム;塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ABS、ポリスチレン、酢酸ビニル、ポリカーボネート等のプラスチック等がある。
【0014】
また、本発明の防黴性層状珪酸塩は、バインダー共存下に又は不存下に、水又は有機溶剤等の液状媒体に懸濁させたものを、スプレーコーティング、コーターコーティング、ディッピング、刷毛塗り、ロールコーティング等の通常の塗布手段によって、各種金属やプラスチックス、セラミックス等の表面上に塗布し、皮膜を形成することもでき、そのようにして各種材質の物品における黴の発育を阻止することができる。
【0015】
更にまた、本発明の防黴性層状珪酸塩を材料に配合して成形することができ、成形体の形状は、公知の成形法により、粒子、繊維、フィルム、シート、板或いはブロック等の種々の形状のいずれでもあり得る。
本発明の組成物を各種材料に配合するときの好ましい割合は、防黴性を賦与しようとする材料100部当たり、0.05〜30部であり、より好ましくは0.1〜10部である。
【0016】
本発明の防黴性層状珪酸塩を配合した材料又は成形体の具体的な用途として、タオル、カーペット、カーテン、衣類等の繊維製品;皮革;冷蔵庫、洗濯機、食器乾燥器、掃除機、空調機、テレビ、電話等の電化製品;壁紙、タイル、煉瓦、コンクリート、ネジ、目地等の建築材料;洗面器、歯ブラシ、ほうき、ホース、スリッパ、ごみ箱、たわし等の日曜雑貨品;まな板、三角コーナー、包丁等の台所用品;トイレタリー用品;各種コーティング材、塗料及び接着剤等がある。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0018】
【実施例】
(参考例1)カルシウム型層状珪酸塩の調製
0.1mol/lのCaCl2 水溶液1.0lに、層状珪酸塩であるナトリウム型フッ素置換合成ウンモ100.0gを加え、60℃で4時間撹拌(300rpm)を行い懸濁させ、層状珪酸塩のイオン交換性ナトリウムイオンをカルシウムイオンに置換した。得られた懸濁液をイオン交換水で濾液の電導度が100μS/cm以下となるまで洗浄し、ついで115℃で乾燥、粉砕して平均粒径5μmであるカルシウム型層状珪酸塩を得た。
【0019】
(実施例1)防黴剤Aの調製
イソチアゾリン系防かび性有機化合物として2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを45%溶解したプロピレングリコール溶液(以下OIT溶液)11gに、参考例1で得たカルシウム型層状珪酸塩を45gを加え、乳鉢で十分に混合した。混合後、再粉砕を行って白色の防黴性層状珪酸塩(防黴剤A)を得た。
【0020】
(比較例1)防黴剤Bの調製
イソチアゾリン系防かび性有機化合物としてOIT溶液11gに、ナトリウム型フッ素置換合成ウンモを45gを加え、乳鉢で十分に混合した。混合後、再粉砕を行って白色の防黴性層状珪酸塩(防黴剤B)を得た。
【0021】
(比較例2)防黴剤Cの調整
イソチアゾリン系以外の防黴性有機化合物である2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール(以下TBZ)の7.5gに、参考例1で得たカルシウム型層状珪酸塩を42.5g、純水50gを加え、乳鉢で十分に混合後、115℃で乾燥した。乾燥後、粉砕を行って白色の防黴性層状珪酸塩(防黴剤C)を得た。
【0022】
(使用例1)防かび性ポリプロピレン樹脂組成物の成形
防かび性層状珪酸塩Aをポリプロピレン樹脂(グランドポリマー製、J−707)に下記表1のように添加し、220℃にて金型押出し成形を行って、厚さ2mm、11cm四方の板状とした。さらに、3cm四方の大きさにそれぞれ切りとった。
【0023】
【表1】
Figure 0003876553
【0024】
(比較使用例1、2)
防かび性層状珪酸塩B、Cを配合した以外は、使用例1と同様にして試験片を作製した。
なお、防かび性層状珪酸塩B,Cを添加したものをそれぞれ比較使用例1、2とする。
【0025】
(比較使用例3、4)
防黴性有機化合物であるOIT溶液、TBZをそのまま配合した以外は、使用例1と同様にして試験片を作製した。
なお、防黴性有機化合物であるOIT溶液、TBZを添加したものをそれぞれ比較使用例3、4とする。
【0026】
(比較使用例5、6)
カルシウム型層状珪酸塩、ナトリウム型フッ素置換合成ウンモに防黴性有機化合物を担持させた防黴性層状珪酸塩に代えて防黴性有機化合物を全く担持させていない、カルシウム型層状珪酸塩、ナトリウム型フッ素置換合成ウンモをそれぞれ配合した以外は、使用例1と同様にして試験片を作製した。
なお、カルシウム型層状珪酸塩、ナトリウム型フッ素置換合成ウンモを添加したものをそれぞれ比較使用例5、6とする。
【0027】
(防黴効果の持続性評価試験)
使用例1、2及び比較使用例1〜6で作製したプレートから切り出したそれぞれの試験片について、50℃の温水中に静置し、1日後及び7日後に取り出したプレートの防黴効果の経時変化を以下のように評価した。
黴には黒麹黴(Aspergills niger)、けたまかび(Chaetomium globosum)、青かび(Penicillium funiculosum)、黒かび(Cladosporium cladospolioides )、及びクモノスかび(Rhizopus oryase)の胞子混合懸濁液を用い、下記表2の組成の液に胞子を添加し、それぞれの胞子数を105個/ml前後となるように調整し、胞子混合懸濁液を0.5ml一様に試験片に接種し25℃で2週間培養した。
上記のようにして評価した黴の発育具合を下記表3に示した。
但し、評価結果を以下のようにして表示した。
【0028】
(黴の発育具合の評価)
0:顕微鏡で見ても全く菌が発育していない
1:肉眼では菌の発育が認められないが、顕微鏡で認められる
2:菌の発育が肉眼でもよくわかるが、試料表面積の25%未満である
3:菌の発育が肉眼でもよくわかり、試料表面積の25%以上である
【0029】
【表2】
Figure 0003876553
【0030】
【表3】
Figure 0003876553
【0031】
(耐候性の評価試験)
使用例1および比較使用例1〜6で作製した試験片を耐候性試験機(ATLAS社製UVCON)を用いて評価した。
耐候性試験機の試験条件は、1サイクルが8時間であり、60℃で350nm以下の紫外線を照射する4時間の工程と、40℃で湿度95%以上の雰囲気に放置する4時間の工程からなる。
色差計(日本電色工業株式会社製色彩色差計SZ−Σ80)を用いて、耐候性試験の0サイクル後の色彩(L1,a1,b1)及び3サイクル後の色彩(L2,a2 ,b2)を測定し、これらの測定値から下式〔1〕により色差(ΔE)を算出した。
ΔE=〔((L1-L2)2+(a1-a2)2+(b1-b2)2 )〕1/2 〔1〕
【0032】
上記のようにして得られた耐候性試験の結果を上記表3に示す。
但し、評価結果を以下のようにして表示した。
(成形時の着色の評価)
○:成形時の着色は認められない
△:わずかに成形時の着色が認められる
×:明らかに成形時の着色が認められる
【0033】
(総合評価の表示)
○:総合評価として優れている。
×:総合評価として劣っている。
【0034】
上記表3から以下のことがわかる。
・使用例1及び比較使用例1、2は、何れも0〜7日間経過後も防黴性を持続しているが、比較使用例3、4は、1日後に既に防黴性が低下している。
・使用例1、比較使用例3は成形時の耐変色性、耐候性ともに優れているが、比較使用例1は成形直後および耐候性試験後に顕著な変色を示している。また、比較使用例2、4は成形時の加熱には耐えうるが、耐候性に劣っている。
【0035】
以上の結果から、本発明の防黴性層状珪酸塩は、防黴性有機化合物を直接配合した場合(比較使用例3,4)に比べて、防黴性の持続性及び耐水性に格段に優れている。
また、本発明の防黴性層状珪酸塩は、防黴性有機化合物の担持体である層状珪酸塩中の交換可能なイオンをアルカリ土類金属に置換しない場合(比較使用例1)に比べて、変色を起こし難く、耐候性に優れている。
また、イソチアゾリン系防黴性有機化合物ではない防黴性有機化合物を担持させた場合(比較使用例2)と比べて、耐候性に優れている。
上記表3から、本発明の防黴性層状珪酸塩は、防黴効果の持続性、耐変色性及び耐侯性が総合的に極めて優れていることがわかる。
【0036】
(使用例3)防黴性粉体塗料組成物の調製及び塗膜の形成
ポリエチレン樹脂パウダー100部に、参考例にて調製した防黴剤Aを1.0部 混合したものを、押し出し成型後、粉砕することにより、防黴性粉体塗料組成物を調製した。
この組成物を用いて、流動浸漬法により200 ℃に予熱したステンレス板(7cm ×15cm)の上に200 〜300 μmの膜厚を有する塗膜を形成し、防黴性プレート(プレート1)をそれぞれ作製した。また、防黴剤を含有しないポリエチレン樹脂パウダーのみについても同様に流動浸漬法により塗装し、プレート(ブランク1)を作製した。
【0037】
(比較使用例7、8)防黴性粉体塗料組成物の調製及び塗膜の形成
ポリエチレン樹脂パウダー100 部に、参考例にて調製した防黴剤B、Cをそれぞれ1.0部混合したものを、押し出し成型後、粉砕することにより、防黴性粉体塗料組成物を調製した。
この組成物を用いて、使用例3と同様にしてステンレス板の上に塗膜を形成し、防黴性プレート(プレート2、3)を作製した。
【0038】
(比較使用例9、10)防黴性粉体塗料組成物の調製及び塗膜の形成
ポリエチレン樹脂パウダー100 部に、有機系防黴剤であるOIT又はTBZをそのままそれぞれ1.0部混合したものを、押し出し成型後、粉砕することにより、防黴性粉体塗料組成物を調製した。
これらの組成物を用いて、使用例3と同様にしてステンレス板の上に塗膜を形成し、防黴性プレート(プレート4,5)を作製した。
【0039】
(防黴効果の持続性評価試験)
使用例3及び比較使用例7〜10で作製したプレートから切り出したそれぞれの試験片(3cm×3cm)について、50℃の温水中に静置し、1日後及び7日後に取り出したプレートの防黴効果の経時変化を以下のように評価した。
黴には黒麹黴(Aspergills niger)、黒かび(Cladosporium cladospolioides)、及び青かび(Penicillium funiculosum)の胞子混合懸濁液を用い、下記表4の組成の液に胞子を添加し、それぞれの胞子数を105個/ml前後となるように調整し、胞子混合懸濁液を0.2ml一様に試験片に接種し25℃で2週間培養した。
上記のようにして評価した黴の発育具合を表5に示した。なお、表5における評価結果の表示方法は表3と同じである。
【0040】
【表4】
Figure 0003876553
【0041】
(耐候性の評価試験)
使用例1,比較使用例1〜6に対して行った方法と全く同様にして、使用例3および比較使用例7〜10で作製した試験片について評価した。
【0042】
【表5】
Figure 0003876553
【0043】
上記表5から以下のことがわかる。
・プレート1及びプレート3は、何れも0〜7日間経過後も防黴性を持続しているが、プレート2、プレート4及びプレート5は、1日後に既に防黴性が低下している。プレート2が防黴性に劣るのは、防黴剤Bにおける層状珪酸塩は層間に防黴性有機化合物を保持する能力が乏しいため、防黴剤Bを配合した粉体塗料組成物で塗膜を形成する際、加熱により防黴性有機化合物が飛散してしまうことや温水中に防黴性有機化合物が溶出してしまうことに起因している。
・プレート1は耐熱性に優れているが、プレート3は耐候性試験後に顕著な変 色を示し、耐候性に劣る。
以上の結果から、本発明の防黴性粉体塗料組成物を塗装したプレート1は、防黴性有機化合物を直接配合した場合(プレート4,5)に比べて、防黴性の持続性及び耐水性に格段に優れており、又イソチアゾリン系防黴性有機化合物ではない防黴性有機化合物を担持させた場合(プレート3)と比べて、耐候性に優れている。また、カルシウム型でない珪酸塩の層内に防黴剤を導入した場合(プレート2)に比べて、耐熱性、持続性に優れている。
上記表5から、本発明の防黴性層状珪酸塩は、防黴性の持続性、耐水性、耐熱性及び耐侯性が総合的に極めて優れていることがわかる。
【0044】
【発明の効果】
本発明の防黴性層状珪酸塩は、従来の有機系防黴剤に比べて耐水性、耐熱性、防黴効果の持続性に優れており、変色が少なく、耐候性に優れている。
これらの性能によって本発明の防黴性層状珪酸塩は各種ゴム、プラスチック等およびそれらからなるフィルム、シート等の成形品、並びに各種繊維、紙、皮革、塗料、接着剤、断熱材、コーキング材等に防黴性を付与することが出来る。

Claims (2)

  1. 層状構造の層間に、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンまたは4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを担持し、
    イオン交換可能なイオンとして、アルカリ土類金属イオンを有すること
    を特徴とする防黴性層状珪酸塩。
  2. 前記イオン交換可能なイオンが、
    カルシウムイオンであること
    を特徴とする請求項1記載の防黴性層状珪酸塩。
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