JP2000143412A - 防黴性層状珪酸塩 - Google Patents

防黴性層状珪酸塩

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Abstract

(57)【要約】 【課題】変色が起こり難く、耐候性、耐熱性に優れる防
黴性層状珪酸塩を提供する。 【解決手段】イオン交換可能なイオンがアルカリ土類金
属である層状珪酸塩の層間に、イソチアゾリン系防黴性
有機化合物を担持させてなる防黴性層状珪酸塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐水性、耐熱性、防
黴効果の持続性および耐候性に優れた、防黴性層状珪酸
塩に関するものであり、本発明の防黴性珪酸塩は、ゴ
ム、プラスチック等の材料に配合して成形したり、成形
体の表面に被覆したりすることにより、材料または成形
体に防黴性を付与することができる防黴剤として有用で
ある。
【0002】
【従来の技術】従来から所望の材料に防黴性を付与する
ために種々の防黴剤が開発されており、有機系と無機系
の防黴剤が知られている。有機系の抗菌防黴剤として、
塩化ベンザルコニウム等の第四アンモニウム塩系化合
物、2,4−チアゾリルベンズイミダゾール等のイオウ
含有ベンズイミダゾール系化合物、メチレンビスチオシ
アネート等のビスチオシアネート系化合物、8−キノリ
ノール等のキノリノール系化合物、エタノール等のアル
コール系化合物、ホルマリン等のアルデヒド系化合物、
クレゾール等のフェノール系化合物、ソルビン酸等のカ
ルボン酸系化合物等の防黴剤が知られている。一方、無
機系の抗菌防黴剤として、銀、銅、亜鉛等の抗菌性を示
す金属イオンを活性炭、アパタイト、ゼオライト等に担
持させたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
防黴剤は有機系と無機系の各々において一長一短があ
り、改善すべき問題点があった。即ち、有機系防黴剤は
一般に耐熱性に乏しいため、プラスチックや繊維等への
練り込み加工に使用すると、変色、発泡等の問題を起こ
したり、加工時に揮発、分解を生じ、十分な防黴効果を
発揮できなかった。更に、有機系のものは耐薬品性にも
劣っており、各種溶媒への溶解度が比較的高いため、使
用時に溶出を起こし、防黴効果が低下したり、人体への
悪影響が懸念され、利用できる用途が限定されるという
問題がある。又、無機系防黴剤は耐熱性や耐薬品性に優
れているものの、細菌類に対する抗菌効果に比べて真菌
類に対する防黴効果に劣るという問題がある。上記の問
題を解決する技術として、層状珪酸塩のイオン交換性金
属イオンの少なくとも一部を抗菌抗黴性有機配位化合物
で置換してなる抗菌抗黴性珪酸塩が知られている(特開
平4−292410)。しかしながら、本発明者らは、
この改善された技術により得られる層状珪酸塩において
は、変色を起こしやすく、耐候性や耐熱性に劣るという
問題があり、その原因が層状珪酸塩中のイオン交換性金
属にあることを見出した。本発明は、変色が起こり難
く、耐候性、耐熱性に優れる防黴性層状珪酸塩を提供す
ることを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記の問題を解決するために鋭意検討した結果、イオン
交換性イオンをアルカリ土類金属とした層状珪酸塩を用
いることが極めて有効であることを見出し、本発明を完
成するに至った。即ち、本発明は、イオン交換性イオン
がアルカリ土類金属である層状珪酸塩の層間に防黴性有
機化合物を担持させてなることを特徴とする防黴性層状
珪酸塩である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 ○層状珪酸塩 本発明における層状珪酸塩はイオン交換性イオンとして
アルカリ土類金属を有するものであり、後述する一般的
なイオン交換法により容易に得ることができる。
【0006】本発明における層状珪酸塩は、結晶層単位
が互いに積み重なって層状構造をなしている珪酸塩であ
れば、特に制限されることなく使用でき、天然物と合成
物のいずれであっても良い。本発明における原料として
好ましい層状珪酸塩に粘土鉱物があり、その具体例とし
て、以下のものがある。即ち、モンモリロナイト、バイ
デライト、ヘクトライト、サポナイト等のスメクタイト
族、バームキュライト族、イライト、白雲母、金雲母、
黒雲母等の雲母族、マーガライト、クリントナイト等の
脆雲母族、スドーアイト等の緑泥石族、カオリナイト、
ハロイサイト等のカオリン類、アンチゴライト等の蛇紋
石族、パイロフィライト、タルク等である。好ましく
は、スメクタイト族層状珪酸塩、バーミキュライト族層
状珪酸塩、合成マイカ、タルク及びこれらの層状珪酸塩
における水酸基の一部又は全部をフッ素置換せしめた層
状珪酸塩等である。その他の好ましい層状珪酸塩として
以下のものがある。即ち、マガディアイト、ケニヤアイ
ト、カネマイト、マカタイト、アイラーアイト等の層状
ナトリウム珪酸塩、トバモライト等の層状カルシウム珪
酸塩、及び合成フッ素雲母等がある。
【0007】層状珪酸塩のイオン交換性イオンをアルカ
リ土類金属と置換する方法には特に制限はなく、従来よ
り知られている如何なる方法も採用できる。例えば、層
状珪酸塩におけるカルシウム以外のイオン交換性イオン
をカルシウムイオンに置換してカルシウム型層状珪酸塩
とするには、塩化カルシウムなどの水溶性カルシウム塩
と水分の存在下で接触させる方法や、炭酸カルシウムや
硝酸カルシウムなどと混合した後加熱処理する方法等が
ある。層状珪酸塩のイオン交換性イオンをアルカリ土類
金属と置換する際、層状珪酸塩のイオン交換容量を越え
る量で処理することが好ましく、処理後は純水やエタノ
ール等の溶媒で十分に洗浄することがより好ましい。処
理や、洗浄が十分でないとカルシウムイオン以外のイオ
ン交換性イオンが層状珪酸塩の層間に残り、優れた耐候
性、耐熱性を発揮するという本発明の効果を充分に発揮
できなくなる恐れがある。
【0008】本発明における層状珪酸塩の粒径、含水
量、陽イオン交換容量、色等は特に制限されない。プラ
スチックやゴムあるいは繊維等への練り込み加工に使用
する場合は、平均粒径10μm以下の粉末が好ましく、
より好ましくは平均粒径0.1〜7μmの粉末であり、
更に、粒度分布が狭く、均一な粒径であることがより好
ましい。また、防黴性層状珪酸塩とした場合に充分な防
黴効果を発揮させるために、陽イオン交換容量が0.1
meq/g以上であることが好ましい。これらの層状珪
酸塩は1種類のみを用いてもよいが、徐放性のコントロ
ールをするために2種類以上を併用することもできる。
【0009】○防黴性有機化合物 本発明における防黴性有機化合物は、イソチアゾリン系
防黴性有機化合物であり、好ましい具体例として以下の
化合物がある(尚、〈〉内は慣用名を表す)。即ち、イ
ソチアゾリン系化合物には2−n−オクチル−4−イソ
チアゾリン−3−オン〈OIT〉、1,2−ベンズイソ
チアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリ
ン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチア
ゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン
−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−
2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンなど
が挙げられる。また、本発明では、防黴性有機化合物と
して1種類のみを用いても良く、2種類以上を併用して
もよい。
【0010】本発明における防黴性層状珪酸塩に担持さ
せたイソチアゾリン系防黴性有機化合物の好ましい担持
量の下限は、防黴性層状珪酸塩100重量部(以下、単
に部と略す)当たり0.1部であり、より好ましくは1
部であり、特に好ましくは3部である。この担持量が少
なすぎると防黴効果が低下する。尚、担持量の上限は層
状珪酸塩と防黴性有機化合物の種類によって自ずから定
まるが、不必要に多量に担持させた防黴性層状珪酸塩
は、樹脂との混合時或いは成形時に、変色を起こした
り、徐放性のコントロールが難しくなる恐れがあるの
で、予備試験によって担持量の好適な上限を設定すると
良い。
【0011】また、層状珪酸塩へのイソチアゾリン系防
黴性有機化合物の担持方法は、特に制限はなく、基本的
には防黴性有機化合物と層状珪酸塩を接触させれば良
く、防黴性有機化合物が固相、液相、気相のいずれの状
態であっても導入できる。例えば、防黴性有機化合物が
液相である場合の担持では、防黴性有機化合物を層状珪
酸塩と混合攪拌し、その後乾燥、粉砕を行うか、或いは
防黴性有機化合物を溶解性の高い溶媒に溶解した溶液と
層状珪酸塩を混合撹拌し、その後ろ過、洗浄を行い、更
に乾燥、粉砕することにより、防黴性有機化合物を層状
珪酸塩に担持させた防黴性層状珪酸塩を得ることができ
る。尚、洗浄を行わず、そのまま乾燥および/または粉
砕を行ってもよい。
【0012】上記の防黴性層状珪酸塩の調製条件は特に
制限はなく、使用する防黴性有機化合物及び層状珪酸塩
の種類、防黴性有機化合物の担持量により適宜変化させ
ることができる。具体的には、例えば、溶媒のpHは
0.1〜13、撹拌時間は0.1〜72時間、撹拌温度
は常温から例えば40℃〜60℃程度、撹拌速度は10
〜10000回/分であればよい。
【0013】○用途 本発明の防黴性層状珪酸塩は、各種材料に配合して優れ
た防黴効果を付与する防黴剤として有用である。配合す
ることができる材料として、例えばシリコーン、アクリ
ル等のゴム;塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタ
ン、ABS、ポリスチレン、酢酸ビニル、ポリカーボネ
ート等のプラスチック等がある。
【0014】また、本発明の防黴性層状珪酸塩は、バイ
ンダー共存下に又は不存下に、水又は有機溶剤等の液状
媒体に懸濁させたものを、スプレーコーティング、コー
ターコーティング、ディッピング、刷毛塗り、ロールコ
ーティング等の通常の塗布手段によって、各種金属やプ
ラスチックス、セラミックス等の表面上に塗布し、皮膜
を形成することもでき、そのようにして各種材質の物品
における黴の発育を阻止することができる。
【0015】更にまた、本発明の防黴性層状珪酸塩を材
料に配合して成形することができ、成形体の形状は、公
知の成形法により、粒子、繊維、フィルム、シート、板
或いはブロック等の種々の形状のいずれでもあり得る。
本発明の組成物を各種材料に配合するときの好ましい割
合は、防黴性を賦与しようとする材料100部当たり、
0.05〜30部であり、より好ましくは0.1〜10
部である。
【0016】本発明の防黴性層状珪酸塩を配合した材料
又は成形体の具体的な用途として、タオル、カーペッ
ト、カーテン、衣類等の繊維製品;皮革;冷蔵庫、洗濯
機、食器乾燥器、掃除機、空調機、テレビ、電話等の電
化製品;壁紙、タイル、煉瓦、コンクリート、ネジ、目
地等の建築材料;洗面器、歯ブラシ、ほうき、ホース、
スリッパ、ごみ箱、たわし等の日曜雑貨品;まな板、三
角コーナー、包丁等の台所用品;トイレタリー用品;各
種コーティング材、塗料及び接着剤等がある。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例によりさら
に具体的に説明する。
【0018】
【実施例】(参考例1)カルシウム型層状珪酸塩の調製 0.1mol/lのCaCl2 水溶液1.0lに、層状珪酸塩であ
るナトリウム型フッ素置換合成ウンモ100.0gを加え、6
0℃で4時間撹拌(300rpm)を行い懸濁させ、層状珪酸
塩のイオン交換性ナトリウムイオンをカルシウムイオン
に置換した。得られた懸濁液をイオン交換水で濾液の電
導度が100μS/cm以下となるまで洗浄し、ついで115
℃で乾燥、粉砕して平均粒径5μmであるカルシウム型
層状珪酸塩を得た。
【0019】(実施例1)防黴剤Aの調製 イソチアゾリン系防かび性有機化合物として2−n−オ
クチル−4−イソチアゾリン−3−オンを45%溶解し
たプロピレングリコール溶液(以下OIT溶液)11g
に、参考例1で得たカルシウム型層状珪酸塩を45gを
加え、乳鉢で十分に混合した。混合後、再粉砕を行って
白色の防黴性層状珪酸塩(防黴剤A)を得た。
【0020】(比較例1)防黴剤Bの調製 イソチアゾリン系防かび性有機化合物としてOIT溶液
11gに、ナトリウム型フッ素置換合成ウンモを45g
を加え、乳鉢で十分に混合した。混合後、再粉砕を行っ
て白色の防黴性層状珪酸塩(防黴剤B)を得た。
【0021】(比較例2)防黴剤Cの調整 イソチアゾリン系以外の防黴性有機化合物である2−
(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール(以下TBZ)
の7.5gに、参考例1で得たカルシウム型層状珪酸塩を4
2.5g、純水50gを加え、乳鉢で十分に混合後、115℃で
乾燥した。乾燥後、粉砕を行って白色の防黴性層状珪酸
塩(防黴剤C)を得た。
【0022】(使用例1)防かび性ポリプロピレン樹脂
組成物の成形 防かび性層状珪酸塩Aをポリプロピレン樹脂(グランド
ポリマー製、J−707)に下記表1のように添加し、
220℃にて金型押出し成形を行って、厚さ2mm、1
1cm四方の板状とした。さらに、3cm四方の大きさ
にそれぞれ切りとった。
【0023】
【表1】
【0024】(比較使用例1、2)防かび性層状珪酸塩
B、Cを配合した以外は、使用例1と同様にして試験片
を作製した。なお、防かび性層状珪酸塩B,Cを添加し
たものをそれぞれ比較使用例1、2とする。
【0025】(比較使用例3、4)防黴性有機化合物で
あるOIT溶液、TBZをそのまま配合した以外は、使
用例1と同様にして試験片を作製した。なお、防黴性有
機化合物であるOIT溶液、TBZを添加したものをそ
れぞれ比較使用例3、4とする。
【0026】(比較使用例5、6)カルシウム型層状珪
酸塩、ナトリウム型フッ素置換合成ウンモに防黴性有機
化合物を担持させた防黴性層状珪酸塩に代えて防黴性有
機化合物を全く担持させていない、カルシウム型層状珪
酸塩、ナトリウム型フッ素置換合成ウンモをそれぞれ配
合した以外は、使用例1と同様にして試験片を作製し
た。なお、カルシウム型層状珪酸塩、ナトリウム型フッ
素置換合成ウンモを添加したものをそれぞれ比較使用例
5、6とする。
【0027】(防黴効果の持続性評価試験)使用例1、
2及び比較使用例1〜6で作製したプレートから切り出
したそれぞれの試験片について、50℃の温水中に静置
し、1日後及び7日後に取り出したプレートの防黴効果
の経時変化を以下のように評価した。黴には黒麹黴(As
pergills niger)、けたまかび(Chaetomium globosu
m)、青かび(Penicillium funiculosum)、黒かび(Cl
adosporium cladospolioides)、及びクモノスかび(Rh
izopus oryase)の胞子混合懸濁液を用い、下記表2の
組成の液に胞子を添加し、それぞれの胞子数を105個/m
l前後となるように調整し、胞子混合懸濁液を0.5ml一様
に試験片に接種し25℃で2週間培養した。上記のように
して評価した黴の発育具合を下記表3に示した。但し、
評価結果を以下のようにして表示した。
【0028】(黴の発育具合の評価) 0:顕微鏡で見ても全く菌が発育していない 1:肉眼では菌の発育が認められないが、顕微鏡で認め
られる 2:菌の発育が肉眼でもよくわかるが、試料表面積の2
5%未満である 3:菌の発育が肉眼でもよくわかり、試料表面積の25
%以上である
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】(耐候性の評価試験)使用例1および比較
使用例1〜6で作製した試験片を耐候性試験機(ATL
AS社製UVCON)を用いて評価した。耐候性試験機
の試験条件は、1サイクルが8時間であり、60℃で3
50nm以下の紫外線を照射する4時間の工程と、40
℃で湿度95%以上の雰囲気に放置する4時間の工程か
らなる。色差計(日本電色工業株式会社製色彩色差計S
Z−Σ80)を用いて、耐候性試験の0サイクル後の色彩
(L1,a1,b1)及び3サイクル後の色彩(L2,a2
b2)を測定し、これらの測定値から下式〔1〕により色
差(ΔE)を算出した。 ΔE=〔((L1-L2)2+(a1-a2)2+(b1-b2)2 )〕1/2 〔1〕
【0032】上記のようにして得られた耐候性試験の結
果を上記表3に示す。但し、評価結果を以下のようにし
て表示した。 (成形時の着色の評価) ○:成形時の着色は認められない △:わずかに成形時の着色が認められる ×:明らかに成形時の着色が認められる
【0033】(総合評価の表示) ○:総合評価として優れている。 ×:総合評価として劣っている。
【0034】上記表3から以下のことがわかる。 ・使用例1及び比較使用例1、2は、何れも0〜7日間
経過後も防黴性を持続しているが、比較使用例3、4
は、1日後に既に防黴性が低下している。 ・使用例1、比較使用例3は成形時の耐変色性、耐候性
ともに優れているが、比較使用例1は成形直後および耐
候性試験後に顕著な変色を示している。また、比較使用
例2、4は成形時の加熱には耐えうるが、耐候性に劣っ
ている。
【0035】以上の結果から、本発明の防黴性層状珪酸
塩は、防黴性有機化合物を直接配合した場合(比較使用
例3,4)に比べて、防黴性の持続性及び耐水性に格段
に優れている。また、本発明の防黴性層状珪酸塩は、防
黴性有機化合物の担持体である層状珪酸塩中の交換可能
なイオンをアルカリ土類金属に置換しない場合(比較使
用例1)に比べて、変色を起こし難く、耐候性に優れて
いる。また、イソチアゾリン系防黴性有機化合物ではな
い防黴性有機化合物を担持させた場合(比較使用例2)
と比べて、耐候性に優れている。上記表3から、本発明
の防黴性層状珪酸塩は、防黴効果の持続性、耐変色性及
び耐侯性が総合的に極めて優れていることがわかる。
【0036】(使用例3)防黴性粉体塗料組成物の調製
及び塗膜の形成 ポリエチレン樹脂パウダー100部に、参考例にて調製
した防黴剤Aを1.0部混合したものを、押し出し成型
後、粉砕することにより、防黴性粉体塗料組成物を調製
した。この組成物を用いて、流動浸漬法により200 ℃に
予熱したステンレス板(7cm×15cm)の上に200 〜300
μmの膜厚を有する塗膜を形成し、防黴性プレート(プ
レート1)をそれぞれ作製した。また、防黴剤を含有し
ないポリエチレン樹脂パウダーのみについても同様に流
動浸漬法により塗装し、プレート(ブランク1)を作製
した。
【0037】(比較使用例7、8)防黴性粉体塗料組成
物の調製及び塗膜の形成 ポリエチレン樹脂パウダー100 部に、参考例にて調製し
た防黴剤B、Cをそれぞれ1.0部混合したものを、押し
出し成型後、粉砕することにより、防黴性粉体塗料組成
物を調製した。この組成物を用いて、使用例3と同様に
してステンレス板の上に塗膜を形成し、防黴性プレート
(プレート2、3)を作製した。
【0038】(比較使用例9、10)防黴性粉体塗料組
成物の調製及び塗膜の形成 ポリエチレン樹脂パウダー100 部に、有機系防黴剤であ
るOIT又はTBZをそのままそれぞれ1.0部混合した
ものを、押し出し成型後、粉砕することにより、防黴性
粉体塗料組成物を調製した。これらの組成物を用いて、
使用例3と同様にしてステンレス板の上に塗膜を形成
し、防黴性プレート(プレート4,5)を作製した。
【0039】(防黴効果の持続性評価試験)使用例3及
び比較使用例7〜10で作製したプレートから切り出し
たそれぞれの試験片(3cm×3cm)について、50℃の温
水中に静置し、1日後及び7日後に取り出したプレート
の防黴効果の経時変化を以下のように評価した。黴には
黒麹黴(Aspergills niger)、黒かび(Cladosporium c
ladospolioides)、及び青かび(Penicillium funiculo
sum)の胞子混合懸濁液を用い、下記表4の組成の液に
胞子を添加し、それぞれの胞子数を105個/ml前後とな
るように調整し、胞子混合懸濁液を0.2ml一様に試験片
に接種し25℃で2週間培養した。上記のようにして評価
した黴の発育具合を表5に示した。なお、表5における
評価結果の表示方法は表3と同じである。
【0040】
【表4】
【0041】(耐候性の評価試験)使用例1,比較使用
例1〜6に対して行った方法と全く同様にして、使用例
3および比較使用例7〜10で作製した試験片について
評価した。
【0042】
【表5】
【0043】上記表5から以下のことがわかる。 ・プレート1及びプレート3は、何れも0〜7日間経過
後も防黴性を持続しているが、プレート2、プレート4
及びプレート5は、1日後に既に防黴性が低下してい
る。プレート2が防黴性に劣るのは、防黴剤Bにおける
層状珪酸塩は層間に防黴性有機化合物を保持する能力が
乏しいため、防黴剤Bを配合した粉体塗料組成物で塗膜
を形成する際、加熱により防黴性有機化合物が飛散して
しまうことや温水中に防黴性有機化合物が溶出してしま
うことに起因している。 ・プレート1は耐熱性に優れているが、プレート3は耐
候性試験後に顕著な変色を示し、耐候性に劣る。 以上の結果から、本発明の防黴性粉体塗料組成物を塗装
したプレート1は、防黴性有機化合物を直接配合した場
合(プレート4,5)に比べて、防黴性の持続性及び耐
水性に格段に優れており、又イソチアゾリン系防黴性有
機化合物ではない防黴性有機化合物を担持させた場合
(プレート3)と比べて、耐候性に優れている。また、
カルシウム型でない珪酸塩の層内に防黴剤を導入した場
合(プレート2)に比べて、耐熱性、持続性に優れてい
る。上記表5から、本発明の防黴性層状珪酸塩は、防黴
性の持続性、耐水性、耐熱性及び耐侯性が総合的に極め
て優れていることがわかる。
【0044】
【発明の効果】本発明の防黴性層状珪酸塩は、従来の有
機系防黴剤に比べて耐水性、耐熱性、防黴効果の持続性
に優れており、変色が少なく、耐候性に優れている。こ
れらの性能によって本発明の防黴性層状珪酸塩は各種ゴ
ム、プラスチック等およびそれらからなるフィルム、シ
ート等の成形品、並びに各種繊維、紙、皮革、塗料、接
着剤、断熱材、コーキング材等に防黴性を付与すること
が出来る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン交換可能なイオンがアルカリ土類金
    属である層状珪酸塩の層間に、イソチアゾリン系防黴性
    有機化合物を担持させてなることを特徴とする防黴性層
    状珪酸塩。
  2. 【請求項2】イオン交換可能なイオンがカルシウムイオ
    ンであることを特徴とする請求項1記載の防黴性層状珪
    酸塩。
JP32885798A 1998-11-04 1998-11-04 防黴性層状珪酸塩 Expired - Lifetime JP3876553B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005281263A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 生理活性機能をもつ粘土鉱物系複合材料の製造方法
JP2007291097A (ja) * 2006-03-31 2007-11-08 Nagasaki Prefecture 粘土鉱物系複合材料とその製造方法

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