JPH10114602A - 抗菌防黴性組成物 - Google Patents

抗菌防黴性組成物

Info

Publication number
JPH10114602A
JPH10114602A JP8291119A JP29111996A JPH10114602A JP H10114602 A JPH10114602 A JP H10114602A JP 8291119 A JP8291119 A JP 8291119A JP 29111996 A JP29111996 A JP 29111996A JP H10114602 A JPH10114602 A JP H10114602A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibacterial
ion
antifungal
fungiproofing
layered silicate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8291119A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuharu Ono
康晴 大野
Manabu Tanase
学 棚瀬
Koji Sugiura
晃治 杉浦
Hideki Kato
秀樹 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toagosei Co Ltd filed Critical Toagosei Co Ltd
Priority to JP8291119A priority Critical patent/JPH10114602A/ja
Publication of JPH10114602A publication Critical patent/JPH10114602A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】変色が起こり難く、抗菌性と防黴性が共に優れ
る抗菌防黴性層状珪酸塩組成物を提供する。 【解決手段】イオン交換性イオンが水素イオンである層
状珪酸塩の層間に防黴性有機化合物を担持させてなる防
黴性層状珪酸塩及び一般式1の抗菌性四価金属燐酸塩か
らなる。 Ag(PO・nHO 〔1〕 (Aはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、
アンモニウムイオン及び水素イオンから選ばれる1種以
上のイオンであり、Mは4価金属イオンであり、nは0
≦n≦6を満たす数であり、X及びYはX+mY=1を
満足する正数であり、mはAの価数である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は防黴性層状珪酸塩と
無機系抗菌剤を含有する抗菌防黴性組成物に関するもの
であり、耐水性、耐薬品性、耐熱性、耐候性及び防黴効
果の持続性と抗菌性に優れており、防黴性能、特に胞子
の発芽を阻止する能力を著しく増進させた抗菌防黴性組
成物に関する。本発明の組成物は、ゴム、プラスチック
等の材料に配合して成形したり、成形体の表面に被覆し
たりすることにより、材料又は成形体に抗菌防黴性を賦
与することできる抗菌防黴剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】従来から所望の材料に抗菌防黴性を付与
するために種々の抗菌防黴剤が開発されており、有機系
と無機系の抗菌防黴剤が知られている。有機系の抗菌防
黴剤として、塩化ベンザルコニウム等の第四アンモニウ
ム塩系化合物、2,4−チアゾリルベンズイミダゾール
等のイオウ含有ベンズイミダゾール系化合物、メチレン
ビスチオシアネート等のビスチオシアネート系化合物、
8−キノリノール等のキノリノール系化合物、エタノー
ル等のアルコール系化合物、ホルマリン等のアルデヒド
系化合物、クレゾール等のフェノール系化合物、ソルビ
ン酸等のカルボン酸系化合物等の防黴剤が知られてい
る。一方、無機系の抗菌防黴剤として、銀、銅、亜鉛等
の抗菌性を示す金属イオンを活性炭、アパタイト、ゼオ
ライト、四価金属燐酸塩等に担持させたものが知られて
いる。
【0003】しかしながら、従来の抗菌防黴剤は有機系
と無機系の各々において一長一短があり、改善すべき問
題点があった。即ち、有機系抗菌防黴剤は一般に耐熱性
に乏しいため、プラスチックや繊維等への練り込み加工
に使用すると、変色、発泡等の問題を起こしたり、加工
時に揮発、分解を生じ、十分な防黴効果を発揮できなか
った。更に、有機系のものは耐薬品性にも劣っており、
各種溶媒への溶解度が比較的高いため、使用時に溶出を
起こし、防黴効果が低下したり、人体への悪影響が懸念
され、利用できる用途が限定されるという問題がある。
又、無機系抗菌防黴剤は耐熱性や耐薬品性に優れている
ものの、細菌類に対する抗菌効果に比べて真菌類に対す
る防黴効果に劣るという問題がある。上記の問題を解決
する技術として、層状珪酸塩のイオン交換性金属イオン
の少なくとも一部を抗菌抗黴性有機配位化合物で置換し
てなる抗菌抗黴性珪酸塩が知られている(特開平4−2
92410)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機系
の抗菌防黴剤は無機系とは逆に真菌類に対する防黴効果
に比べて細菌類に対する抗菌効果に劣る傾向にある。さ
らに、細菌類に対する抗菌効果を高めるために、層状化
合物の層間に銀などの遷移金属と有機物とを錯塩として
導入してなる抗菌防黴性層間化合物が知られているが
(特開平1−221304)、遷移金属と有機物の組み
合わせによっては錯塩が着色しているものが多く、用途
が限定されるという問題がある。本発明は、層状珪酸塩
の層間に防黴性有機化合物を担持させた防黴性層状珪酸
塩と銀系無機抗菌剤を含有するものであって、変色が起
こり難く、抗菌性と防黴性が共に優れる抗菌防黴性層状
珪酸塩組成物を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
記の課題を解決するために鋭意検討した拮果、防黴性有
機化合物を層状珪酸塩に担持させた防黴性層状珪酸塩
と、下記一般式〔1〕で示される抗菌性燐酸塩を共存さ
せることによって、抗菌性、耐水性、耐薬品性、耐熱
性、耐侯性、及び持続性に優れた防黴性能、特に胞子の
発芽を阻止する能力を著しく増進させ得ることを見い出
し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、イオ
ン交換性イオンが水素イオンである層状珪酸塩の層間に
防黴性有機化合物を担持させてなる防黴性層状珪酸塩及
び下記一般式〔1〕で示される抗菌性燐酸塩からなるこ
とを特徴とする抗菌防黴性組成物である。 Agx y 2 (PO4 3 ・nH2 0 〔1〕 (但し、Aはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イ
オン、アンモニウムイオン及び水素イオンからなる群よ
り選ばれる少なくとも1種以上のイオンであり、Mは4
価金属イオンであり、nは0≦n≦6を満たす数であ
り、X及びYは、いずれもX+mY=1を満足する正数
である。但し、mはAの価数である。)
【0006】○防黴性有機化合物 本発明における防黴性有機化合物は、従来より知られて
いるものであり、特に制限はないが、水又は極性有機溶
媒に溶解するもの若しくは酸、アルカリに溶解するもの
が好ましい。好ましい具体例として、α−[2−(4−
クロロフェニル)エチル]−α−(1.1−ジメチル−
1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル−エタノー
ル等のトリアゾール系化合物、2−(4−チアゾリル)
ベンズイミダゾール、2−ベンズイミダゾールカルバミ
ン酸メチル、1−[オルト−クロロ−β−[(パラ−ク
ロロベンジル)オキシ]フェネチル]−イミダゾール1
硝酸塩等のイミダゾール系化合物、N−フルオロジクロ
ロメチルチオフタルイミド等のハロアルキルチオ系化合
物、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスル
ホニル)ピリジン等のピリジン系化合物、1,2−ベン
ズイソチアゾリン−3−オン、2−(4−チオシアノメ
チルチオ)ベンズチアゾール等のチアゾール系化合物、
塩化ベンザルコニウム等の第四アンモニウム系化合物等
がある。尚、本発明における防黴性有機化合物は、防黴
性に加え抗菌性を併せ持つものであっても良く、又1種
類であっても良く、2種類以上を併用してもよい。
【0007】○層状珪酸塩 本発明における層状珪酸塩はイオン交換性イオンとして
水素イオンを有するもの(以下、単に水素型層状珪酸塩
と略す)であり、通常、イオン交換性イオンとして金属
イオンを有するもの(以下、単に金属型層状珪酸塩と略
す)のイオン交換性金属イオンと水素イオンを置換する
処理を施すことにより容易に得ることができる。
【0008】金属型層状珪酸塩は、結晶層単位が互いに
積み重なって層状構造をなしている珪酸塩であれば、特
に制限されることなく使用でき、天然物と合成物のいず
れでも良い。好ましい金属型層状珪酸塩として、粘土鉱
物があり、その具体例として、以下のものがある。即
ち、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、
サポナイト等のスメクタイト族、バームキュライト族、
イライト、白雲母、金雲母、黒雲母等の雲母族、マーガ
ライト、クリントナイト等の脆雲母族、スドーアイト等
の緑泥石族、カオリナイト、ハロイサイト等のカオリン
類、アンチゴライト等の蛇紋石族等である。その他の好
ましい金属型層状珪酸塩として以下のものがある。即
ち、マガディアイト、ケニヤアイト、カネマイト、マカ
タイト、アイラーアイト等の層状ナトリウム珪酸塩、ト
バモライト等の層状カルシウム珪酸塩、及び水酸イオン
等の陰イオンをフッ素イオンで置換せしめた合成雲母等
がある。
【0009】金属型層状珪酸塩のイオン交換性金属イオ
ンを水素イオンと置換する方法には特に制限はなく、従
来より知られている如何なる方法も採用でき、例えば金
属型層状珪酸塩を酸と接触させて、イオン交換性金属イ
オンと水素イオンを置換する酸処理による方法や、金属
型層状珪酸塩におけるイオン交換性金属イオンを一旦ア
ンモニウムやアミンと置換した金属型層状珪酸塩を加熱
処理して、前記アンモニウムやアミンを分解させて水素
イオンとする方法等がある。金属型層状珪酸塩のイオン
交換性金属イオンを水素イオンと置換する際、金属型層
状珪酸塩のイオン交換容量を越える量で処理することが
好ましく、処理後は純水やエタノール等の溶媒で十分に
洗浄することがより好ましい。処理や、洗浄が十分でな
いとイオン交換性金属イオンが水素型層状珪酸塩の層間
に残り、優れた耐候性を発揮するという本発明の効果を
充分に発揮できなくなる恐れがある。
【0010】本発明における水素型層状珪酸塩の粒径、
含水量、陽イオン交換容量、色等は特に制限されない
が、プラスチックやゴムあるいは繊維等への練り込み加
工に使用する場合は、平均粒径10μm以下の粉末が好
ましく、より好ましくは平均粒径0.1〜7μmの粉末
であり、更に、粒度分布が狭く、均一な粒径であること
がより好ましい。また、防黴性層状珪酸塩とした場合に
充分な防黴効果を発揮させるために、陽イオン交換容量
が0.1meq/g以上であることが好ましい。これら
の水素型層状珪酸塩は1種類のみを用いてもよいが、徐
放性のコントロールをするために2種類以上を併用する
こともできる。
【0011】○抗菌性燐酸塩 本発明における抗菌性燐酸塩は、下記一般式〔1〕で示
される燐酸塩系抗菌剤(以下、単に無機抗菌剤と略称す
る)である。 Agx y 2 (PO4 3 ・nH2 0 〔1〕 (但し、Aはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イ
オン、アンモニウムイオン及び水素イオンからなる群よ
り選ばれる少なくとも1種以上のイオンであり、Mは4
価金属イオンであり、nは0≦n≦6を満たす数であ
り、X及びYは、いずれもX+mY=1を満足する正数
である。但し、mはAの価数である。)
【0012】上記抗菌性燐酸塩は、空間群R3cの属す
る結晶性化合物であり、各構成イオンが3次元網目状構
造を形成している。上記一般式〔1〕におけるAは、ア
ルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニ
ウムイオン又は水素イオンから選ばれる少なくとも1種
のイオンであり、好ましい具体例には、リチウム、ナト
リウム及びカリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシ
ウム又はカルシウム等のアルカリ土類金属イオン又は水
素イオンがあり、これらの中では、化合物の安定性及び
安価に入手できる点から、カリウム、リチウム、ナトリ
ウム、アンモニウムイオン及び水素イオンが好ましいイ
オンである。
【0013】上記一般式〔1〕におけるMは、4価金属
であり、好ましい具体例には、ジルコニウム、チタン又
は錫があり、化合物の安全性を考慮すると、ジルコニウ
ム及びチタンは、特に好ましい4価金属である。
【0014】上記一般式〔1〕のリン酸塩系化合物の具
体例として、以下のものがある。 Ag0.005 Li0.995 Zr2 (PO4 3 Ag0.01(NH4 0.99Zr2 (PO4 3 Ag0.05Na0.95Zr2 (PO4 3 Ag0.2 0.8 Ti2 (PO4 3 Ag0.1 0.9 Zr2 (PO4 3 Ag0.05Na0.900.05Zr2 (PO4 3 Ag0.05Na0.400.55Zr2 (PO4 3
【0015】本発明に用いる抗菌性燐酸塩を合成する方
法には、焼成法、湿式法および水熱法などがあり、これ
らの公知の方法により容易に得ることができる。
【0016】より高い抗菌性を発揮させるには、一般式
〔1〕におけるaの値は大きい方がよいが、aの値が
0. 001以上であれば、十分に抗菌性を発揮させるこ
とができる。aの値が0. 001未満であると、抗菌性
を長時間発揮させることが困難となる恐れがあるので、
aの値を0. 01以上の値とすることが好ましい。更
に、樹脂の成形性や製品強度を維持し、かつ十分な抗菌
性を長時間発揮させるためにはaの値を0. 03以上と
し、一般式〔1〕で示される化合物の樹脂に対する添加
量を少なくすることが好ましい。又、経済性を考慮する
と、aの値は0. 7以下が適当である。
【0017】抗菌性燐酸塩の化学的及び物理的安定性を
更に向上させ、熱及び光の暴露後の変色を高度に防止し
た本発明における好ましい抗菌性燐酸塩は、抗菌性燐酸
塩を、好ましくは500〜1300℃、より好ましくは
600〜1000℃、特に好ましくは700〜900℃
で焼成したものである。
【0018】また、抗菌性及び耐侯性が極めて優れた好
ましい抗菌剤は、本発明における抗菌性燐酸塩において
水素イオンを担持させたものである。抗菌性燐酸塩がア
ンモニウムイオンを有する場合、好ましくは600℃〜
ll00℃、約0.5〜2時間の条件で焼成してアンモ
ニウムイオンを熱分解することにより水素イオンを形成
させ水素イオンを担持したものとすることができる。
【0019】抗菌剤がアンモニウムイオンを有しないか
または極めて少量しか有しない場合、抗菌剤の原料とな
る燐酸塩系化合物を酸性溶液に浸漬させる方法により、
抗菌性燐酸塩に水素イオンを担持させることができる。
燐酸塩系化合物に水素イオンを担持させるために浸漬す
る酸性溶液の好ましい具体例として、塩酸、硫酸及び硝
酸などの水溶液があり、好ましい酸浪度は0.lN以上
であり、好ましい処理温度は40℃以上、より好ましく
は60℃以上かつ100℃以下の温度であり、好ましい
浸漬時間はl0分以上、より好ましくは60分以上であ
る。
【0020】○抗菌防黴性組成物における配合割合 本発明の組成物における防黴性層状珪酸塩と抗菌性燐酸
塩の好ましい配合割合は、本発明の組成物l00重量部
(以下、単に部と略す)当たり、抗菌性燐酸塩が1〜9
0部であり、より好ましくはl0〜80部であり、特に
好ましくは30〜70部である。抗菌性燐酸塩の割合が
1部未満では十分な抗菌効果が得られず、また90部を
超えると十分な防黴効果が得られない恐れがある。
【0021】防黴性層状珪酸塩及び抗菌性燐酸塩の配合
方法は、双方を均一に混合できる方法であれば特に制限
はない。
【0022】○用途 本発明の抗菌防黴性組成物は、各種材料に配合して優れ
た抗菌防黴効果を付与する抗菌防黴剤として有用であ
る。配合することができる材料として、例えばシリコー
ン、アクリル等のゴム;塩化ビニル、ポリオレフィン、
ポリウレタン、ABS、ポリスチレン、酢酸ビニル、ポ
リカーボネート等のプラスチック等がある。本発明の組
成物は、材料に配合して成形したり、成形体の表面に被
覆したりすることにより、成形体に抗菌防黴性を賦与す
ることでき、成形体の形状は、公知の成形法により繊
維、フィルム、シート、板或いはブロック等の種々の形
状とすることができる。
【0023】また、本発明の抗菌防黴性組成物は、水又
は有機溶剤等の液状媒体に懸濁させたものを、スプレー
コーティング、コーターコーティング、ディッピング、
刷毛塗り、ロールコーティング等の通常の塗布手段によ
って、各種金属やプラスチックス、セラミックス等の表
面上に塗布し、皮膜を形成することもでき、そのように
して各種材質の物品における細菌及び黴の発育を阻止す
ることができる。本発明の組成物を各種材料に配合する
好ましい割合は、抗菌防黴性を賦与しようとする材料1
00部当たり、0.1〜30部であり、より好ましくは
0.5〜10部である。本発明の組成物を配合した材料
又は成形体の具体的な用途として、タオル、カーペッ
ト、カーテン、衣類等の繊維製品;皮革;冷蔵庫、洗濯
機、食器乾燥器、掃除機、空調機、テレビ、電話等の電
化製品;壁紙、タイル、煉瓦、コンクリート、ネジ、目
地等の建築材料;洗面器、歯ブラシ、ほうき、ホース、
スリッパ、ごみ箱、たわし等の日曜雑貨品;まな板、三
角コーナー、包丁等の台所用品;トイレタリー用品;各
種コーティング材、塗料及び接着剤等がある。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 (参考例1)水素型層状珪酸塩の調製 0.05mol/l のHCl水溶液2.4l に、金属型層状
珪酸塩であるNa型フッ素置換合成ウンモ100.0g
を加え、室温で24時間撹拌(400rpm )を行い懸濁
させた。懸濁液を濾過した後、濾過物をイオン交換水で
洗浄し、洗浄液中のNaイオンが1ppm 以下になったこ
とを確認して洗浄を完了し、ついで100℃で乾燥し、
軽く粉砕して平均粒径が5μmである水素型層状珪酸塩
を得た。
【0025】(実施例1)抗菌防黴性組成物の調製 等容量のエタノールと水からなる溶液(以下、エタノー
ル/水50%溶液と略す)500mlに、防黴性有機化合
物として1−[オルトークロローβ一[パラ−クロロベ
ンジル)オキシ]フェネチル]−イミダゾール1硝酸塩
を20.5g加え、完全に溶解させた。そこへ参考例1
で得た水素型層状珪酸塩50.0g加え、60℃で24
時間攪拌(400rpm )を行った。生成物を濾過した
後、濾過物をエタノール/水50%溶液で洗浄し、洗浄
液の電導度が50μS/cm以下になるまで洗浄を行っ
た。次いでl00℃で乾燥後、軽く粉砕して平均粒径5
μmである白色の防黴性層状珪酸塩Aを得た。上記のよ
うにして得た防黴性層状珪酸塩Aと下式〔2〕で表され
る抗菌性燐酸塩Dを、小型へンシェルミキサーを用いて
等重量比で均一に混合し、抗菌防黴性組成物イを得た。 Ag0.53Na0.170.30Zr2 (PO4 3 〔2〕
【0026】(実施例2)抗菌防黴性組成物の調製 防黴性有機化合物の種類と添加量を、各々α−[2−
(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1.1−ジメ
チル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル−エ
タノールと5.0gに変更し、又水素型層状珪酸塩の添
加量を45.0gに変更した以外は実施例1と同様にし
て平均粒径5μmである白色の防黴性層状珪酸塩Bを
得、これと上式〔2〕で表される抗菌性燐酸塩Dを実施
例1と同様にして混合し、抗菌防黴性組成物ロを得た。
【0027】(実施例3)抗菌防黴性組成物の調製 70vol %のアセトンと30vol %の水からなる溶液5
00mlに、防黴性有機化合物として2,3,5,6−テ
トラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジンを5.
0g添加した以外は実施例2と同様にして平均粒径5μ
mである自色の防黴性層状珪酸塩Cを得、これと上式
〔2〕で表される抗菌性燐酸塩Dを実施例1と同様にし
て混合し、抗菌防黴性組成物ハを得た。
【0028】(比較例1)防黴性層状珪酸塩の調製 上式〔2〕で表される抗菌性燐酸塩Dを配合しないこと
以外は実施例1と同様にして防黴性層状珪酸塩イを調製
した。
【0029】(比較例2)防黴性層状珪酸塩の調製 上式〔2〕で表される抗菌性燐酸塩Dを配合しないこと
以外は実施例2と同様にして防黴性層状珪酸塩ロを調製
した。
【0030】(比較例3)防黴性層状珪酸塩の調製 上式〔2〕で表される抗菌性燐酸塩Dを配合しないこと
以外は実施例3と同様にして防黴性層状珪酸塩ハを調製
した。
【0031】○防かび性の評価(1)〔最小発育阻止濃
度(MIC)の測定〕 実施例1〜3及び比較例1〜3で調製した抗菌防黴性組
成物又は防黴性層状珪酸塩を8mlのポテトデキストロー
ス培地中に500、250、125、67.5ppm の割
合で混入させ、その上に黴の胞子を塗布し、1週間後の
黴の発育具合で判断した。黴には黒麹かび(Asperhills
niger)及び黒かび(Cladosporium cladosporioides)
の2種類を用いた。黒麹かびに関する測定拮果を下記表
1に示し、黒かびに関する測定拮果を下記表2に示す。
尚、下記表1と表2における記号の意味は以下の通りで
ある。 ○:黴の発育を阻止できた。 ×:黴の発育を阻止でき
なかった。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】(実施例4〜6)実施例1〜3で作成した
抗菌防黴性組成物を各々別個に下記表3の組成物14
5.5gに4.5g添加し、加熱ロールにて150℃で
均一に5分間混練り後、プレス(170℃、100Kg
/cm2 )により厚さ2mm、縦12cm、横10cm
の板状に成形し、さらに2cm四方の大きさに切り取
り、3種の試験片を作製した。尚、抗菌防黴性組成物の
種類に応じて試験片の記号を以下のように付した。 抗菌防黴性組成物イ : 試験片( イKB ) 抗菌防黴性組成物ロ : 試験片( ロKB ) 抗菌防黴性組成物ハ : 試験片( ハKB )
【0035】
【表3】
【0036】 注)*1 (東亞合成株式会社製、TSll00) *2 (東邦理化工業株式会社製、D.O.P) *3 (ダイセル化学工業株式会社製、300K) *4 (旭竈化工業株式会社、アデカスタプ87) *5 (旭電化工業株式会社、アデカスタプ102)
【0037】(比較例4〜6)実施例1〜3で調製した
抗菌防黴性組成物に代えて比較例1〜3で調製した防黴
性層状珪酸塩を用いた以外は実施例4〜6と同様にして
3種の試験片を作製した。尚、防黴性層状珪酸塩の種類
に応じて試験片の記号を以下のように付した。 防黴性層状珪酸塩イ : 試験片( イB ) 防黴性層状珪酸塩ロ : 試験片( ロB ) 防黴性層状珪酸塩ハ : 試験片( ハB )
【0038】(比較例7〜9)実施例1〜3において用
いた防黴性有機化合物を、水素型層状珪酸塩に担持させ
ないで、各々別個に0.45gを上記表3の組成物の1
49.6gに直接配合した以外は実施例4〜6と同様に
して3種の試験片を作製した。尚、防黴性有機化合物の
種類に応じて試験片の記号を以下のように付した。 実施例1で用いたもの: 試験片( A ) 実施例2で用いたもの: 試験片( B ) 実施例3で用いたもの: 試験片( C )
【0039】(比較例10)抗菌性燐酸塩Dを上記表3
の組成物145.5gに4.5g添加した以外は実施例
4〜6における方法と同様にして試験片を作製した。
尚、上記のようにして作製した試験片を試験片( D )
とした。
【0040】○防黴性の評価(2)〔ラップ法による胞
子数の測定〕 実施例4〜6、比較例4〜10で作製した試験片上に麦
芽エキス(0.05%)含有胞子懸濁液を50μl 滴下
し、1.5cm四方のラップにより密着させ、25℃、
湿度90%で48時間保持する処理を行い、前記処理の
前と後の胞子数の変化を測定した。黴には黒麹かび(As
pergills niger)を用いた。防黴性試験の結果を下記表
4に示す。尚、初発胞子数は4.5 ×104 である。
【0041】○防黴性の評価(3)〔ハロー法による防
黴性の評価〕 実施例4〜6及び比較例4〜10で作製した試験片を5
0℃の温水中に7日間静置し、1日後及び7日後に防黴
性の測定を行い、防黴効果の経時変化を評価した。防黴
性の評価方法は、試験片をポテトデキストロース寒天培
地に置き、培養後阻止帯形成幅を測定することにより防
黴性を評価した。黴には黒麹かび(Aspergills niger)
を用いた。防黴性試験の拮果を下記表4に示す。尚、ブ
ランク試験の結果、1日と7日のいずれにおいても発育
阻止帯は形成されなかったことを確認済である。
【0042】○耐侯性の評価 実施例4〜6及び比較例4〜10で作製した試験片を耐
侯性試験機(ATLAS社製商品名UVCON)を用い
て評価した。耐侯性試験機の試験条件は、1サイクルが
8時間であり、60℃で850nm以下の紫外線を照射
する4時間の工程と、40℃で湿度95%以上の雰囲気
に放置する4時間の工程からなる。色彩色差計(日本電
色工業株式会社製商品名SZ−Σ80)を用いて、耐侯性試
験の0サイクル後の色彩(L1,a1,b1)及び8サ
イクル後の色彩(L2,a2,b2)を測定し、これら
の測定値を用いて下式〔3〕により色差(△E)を算出
した。上記のようにして得た耐侯性試験の結果を下記表
4に示す。尚、ブランク値は0.8 である。 △E=〔(L1−L2)2 +(a1−a2)2 +(b1−b2)2 1/2 〔3〕
【0043】○抗菌性の評価 実施例4〜6、比較例4〜10で作製した試験片の抗菌
性を以下の方法により評価した。被検菌には大腸菌を用
い、菌数が約105 となるように希釈液を調製した。次
いで試験片(2cm四方)に100μl の希釈液を滴下
し1.5cm四方のラップにより密着させ、37℃で保
存した。保存開始から0時間(初発菌数)及び6時間保
存した後に、菌数測定用培地(SCDLP液体培地)で
試験片上の生残菌を洗い出し、この洗液を試験液とし
た。この試験液について、菌数測定用培地を用いる混釈
平板培養法(37℃2日間)により生菌数を測定して、
lm1当たりの生菌数に換纂した。尚、初発菌数は2.6
×105 であり、対照菌数は8.3 ×104であり、ブランク
菌数は4.1 ×104 である。抗菌性試験の結果を下記表4
に示す。
【0044】
【表4】
【0045】注)表中の記号は以下のことを意味する。 〔胞子数の欄〕−:48時間後の洗い出し時に菌糸の成
長が認められ、胞子数の測定が不可能であった。 〔ハロー法の欄〕○:発育阻止帯の形成あり。×:発育
阻止帯の形成なし。 〔総合評価の欄〕A:特に優れている。B:優れてい
る。C:抗菌力と防黴性のどちらかが劣っている。D:
劣っている。
【0046】表4から以下のことがわかる。 (従来の技術について) ・本発明における抗菌性燐酸塩のみを配合した場合、防
黴性が劣る(試験片D)。 ・防黴性有機化合物を層状珪酸塩に担持させないで直接
樹脂に配合した場合、防黴性が持続しない(試験片A〜
C)。 ・本発明における防黴性珪酸塩のみを配合した場合、抗
菌性が劣る(試験片 イB〜 ハB )。 (本発明について) ・本発明における防黴性珪酸塩と抗菌性燐酸塩を併用し
た場合、防黴性と抗菌性が共に優れ、防黴性において相
乗効果が発揮され、又耐侯性に優れる(試験片 イKB〜 ハ
KB)。
【0047】
【発明の効果】本発明の抗菌防黴性組成物は、耐水性、
耐薬品性、耐熱性、防黴効果の持続性に優れていると同
時に抗菌性を有するものであり、特に胞子の発芽を阻止
する防黴性に優れている。これらの特性によって本発明
の抗菌防黴性組成物は、各種ゴム、プラスチック等の材
料及びそれらからなるフィルム、シート等の成形品、並
びに各種繊維、紙、皮革、塗料、接着剤、断熱材、コー
キング材等に適用する抗菌防黴剤として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 秀樹 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社名古屋総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン交換性イオンが水素イオンである層
    状珪酸塩の層間に防黴性有機化合物を担持させてなる防
    黴性層状珪酸塩及び下記一般式〔1〕で示される抗菌性
    燐酸塩からなることを特徴とする抗菌防黴性組成物。 Agx y 2 (PO4 3 ・nH2 0 〔1〕 (但し、Aはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イ
    オン、アンモニウムイオン及び水素イオンからなる群よ
    り選ばれる少なくとも1種以上のイオンであり、Mは4
    価金属イオンであり、nは0≦n≦6を満たす数であ
    り、X及びYは、いずれもX+mY=1を満足する正数
    である。但し、mはAの価数である。)
JP8291119A 1996-10-14 1996-10-14 抗菌防黴性組成物 Pending JPH10114602A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8291119A JPH10114602A (ja) 1996-10-14 1996-10-14 抗菌防黴性組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8291119A JPH10114602A (ja) 1996-10-14 1996-10-14 抗菌防黴性組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10114602A true JPH10114602A (ja) 1998-05-06

Family

ID=17764709

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8291119A Pending JPH10114602A (ja) 1996-10-14 1996-10-14 抗菌防黴性組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10114602A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006000755A3 (en) * 2004-06-25 2006-06-22 Dupont Teijin Films Us Ltd Antimicrobial polymeric film

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006000755A3 (en) * 2004-06-25 2006-06-22 Dupont Teijin Films Us Ltd Antimicrobial polymeric film
US7705078B2 (en) 2004-06-25 2010-04-27 Dupont Teijin Films U.S. Limited Partnership Antimicrobial polymeric film

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100270819B1 (ko) 항균 조성물
JP4807821B2 (ja) 抗菌組成物ならびにその製造および使用方法
EP1779727A1 (en) Antibacterial composition, antibacterial molding, solution containing antibacterial composition, detergent, surface of tatami mat and tatami mat
US20110144079A1 (en) Antimicrobial system
US5876738A (en) Antifungal phyllosilicate
CN102206393A (zh) 抗菌聚合物乳液和涂料组合物
JP5027452B2 (ja) 抗菌性ゼオライト粒子及び抗菌性樹脂組成物
JP2005281299A (ja) 抗菌・防カビ剤及びそれを用いた塗料組成物
JP2007211238A (ja) 水分散体、表面被覆処理剤、木材処理剤、床ワックス、風路表面処理剤、繊維処理剤、および、塗料
JP2007223917A (ja) 抗菌剤
JP2004217501A (ja) 第四アンモニウム塩化合物を担持させた抗菌性層状珪酸塩
JPH06256689A (ja) 防カビ性塗膜防水材
JP3780589B2 (ja) 抗菌防黴性組成物
JP2004262700A (ja) 抗菌性層状珪酸塩
JP3245840B2 (ja) 抗菌性被覆組成物
JPH10114602A (ja) 抗菌防黴性組成物
JPH10120414A (ja) 防黴性層状珪酸塩
JPH10130015A (ja) 防黴性層状珪酸塩
JP3876553B2 (ja) 防黴性層状珪酸塩
JPH0625561A (ja) 抗菌性粉体塗料組成物
JPS63250325A (ja) 抗菌性スプレ−用組成物
JP2802712B2 (ja) 防カビ性シーラント
JP2006022013A (ja) 抗菌防黴性組成物
JP2004262795A (ja) 抗菌性層状珪酸塩
JPH08193013A (ja) 防黴性層状ケイ酸塩組成物