JP2005060332A - 抗菌剤として有効なホスホニウム塩化合物 - Google Patents

抗菌剤として有効なホスホニウム塩化合物 Download PDF

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茂之 柴田
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Abstract

【課題】
本発明は、高い抗菌活性を示し且つ高い耐熱性を有する抗菌剤を提供することを課題とするものである。
【解決手段】
1分子中に2つのホスホニウム塩を含む化合物が上記課題を解決できることを見出し、発明を完成するに至った。更に、本発明は、下記(1)式で表わされるホスホニウム塩化合物を有効成分とする抗菌剤である。
【化1】
Figure 2005060332

式(1)中、R1〜R6は炭素数1〜12の分岐を有しても良いアルキル基またはフェニル基であり、それぞれ同じであっても異なっていても良く、Yは存在しないか、1〜4個のメチル基を有しても良いフェニル基、1〜8個のメチル基を有しても良いビフェニル基、1〜8個のメチル基を有しても良いアントラセン基、エーテル結合を有しても良い炭素数2〜12のアルキレン基、またはエーテル結合を有しても良い炭素数2〜12のアルケニレン基である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、分子内に2つのホスホニウム塩を持つ化合物を有効成分とする抗菌剤に関するものである。そして、従来の有機抗菌剤が使用されてきた用途はもちろん、プラスチック・ゴムなど並びにそれらからなるフィルムおよびシートなどの成形品や粉体塗料などに配合した抗菌性樹脂に関する。
抗菌活性を有する有機系の抗菌剤として、塩化ベンザルコニウムなどの第四アンモニウム塩系、エタノールなどのアルコール系、ホルマリンなどのアルデヒド系、クレゾールなどのフェノール系、安息香酸などのカルボン酸系、およびクロルヘキシジンなどのビグアナイド系などが知られている。
しかし、上記のような有機抗菌剤は一般に耐熱性に乏しいため、プラスチックや繊維等への練り込み加工にこれらを使用すると、変色や発泡等の問題を起こしたり、加工時に揮発または分解を生じ、十分な抗菌効果を発揮できなかった。この問題を解決する技術として、層状珪酸塩や層状リン酸塩などの層状化合物に塩化ベンザルコニウムなどの第四アンモニウム塩や2−ピリジンチオールオキサイド金属塩化合物を含有させてなる無機性抗菌剤が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。しかし、このような物は、有効成分である有機抗菌剤の量が層状化合物により希釈されてしまうため抗菌力が充分ではなく更なる改良が待たれていた。
また、ある種のホスホニウム塩化合物は、種々の含窒素化合物と同様に、細菌類などに対して広い活性スペクトルをもっていることが知られている(例えば、特許文献3〜6参照。)。
一方、ビスホスホニウム塩化合物はWittig反応の原料として使用されることはあった(非特許文献1参照)が、抗菌活性を有する化合物として使用することは何ら開示または示唆されていなかった。
特開平5−124806号公報(特許請求の範囲) 特開平10−7514号公報(特許請求の範囲) 特開昭57−204286号公報(特許請求の範囲) 特開昭62−114903号公報(特許請求の範囲) 特開平1−93596公報(特許請求の範囲) 特開平2−240090号公報(特許請求の範囲) M.Marky,Helv.Chim.Acta,1981年,64巻,No4,p.957−975
本発明は、高い抗菌活性を示し且つ高い耐熱性を有する抗菌剤を提供することを課題とするものである。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、1分子中に2つのホスホニウム塩を含む化合物が上記課題を解決できることを見出し、発明を完成するに至った。更に、本発明は、下記(1)式で表わされるホスホニウム塩化合物を有効成分とする抗菌剤である。
Figure 2005060332
式(1)中、R1〜R6は炭素数1〜12の分岐を有しても良いアルキル基またはフェニル基であり、それぞれ同じであっても異なっていても良く、Yは存在しないか、1〜4個のメチル基を有しても良いフェニル基、1〜8個のメチル基を有しても良いビフェニル基、1〜8個のメチル基を有しても良いアントラセン基、エーテル結合を有しても良い炭素数2〜12のアルキレン基、またはエーテル結合を有しても良い炭素数2〜12のアルケニレン基であり、Xn-は無機性または有機性のアニオン基であり、nはアニオン基Xの価数であって、mとnの積が2である。
また本発明は、1分子中に2つのホスホニウム塩を含む化合物と金属酸化物とを含有した抗菌性組成物である。
更に本発明は、1分子中に2つのホスホニウム塩を含む化合物または抗菌性組成物を合成樹脂などに含有させた抗菌性樹脂である。
本発明の抗菌剤は、分子内に2つのホスホニウム塩を持つことを特徴とする化合物である。分子内に2つのホスホニウム塩を持つ化合物としては上記式(1)で表されるものが例示でき、これは従来の有機抗菌剤と比較して、高い抗菌活性を有し、且つ高い耐熱性を有する抗菌剤である。
上記式(1)において、R1〜R6はそれぞれ同一でも異なっていても良い。上記式(1)において、R1〜R6は分岐を有しても良い炭素数1〜12のアルキル基またはフェニル基が使用できるが、抗菌性能と人体に対する安全性のバランスを取るためにはR1〜R3の炭素数の合計が8〜30のものが好ましく、更には合計が10〜24のものがより好ましく、並びにR4〜R6の炭素数の合計が8〜30のものが好ましく、更には合計が10〜24のものがより好ましい。また、R1とR4、R2とR5、およびR3とR6がそれぞれ同一であることが好ましく、R1〜R6が同一であることが更に好ましい。
上記式(1)において、Yは存在しないか、メチル基を1〜4個付加しても良いフェニル基、1〜8個のメチル基を有しても良いビフェニル基、1〜8個のメチル基を有しても良いアントラセン基、或いはエーテル結合を有しても良い炭素数2〜12のアルキレン基やアルケニレン基より選ばれる。より高い抗菌力を有するためには、Yはビフェニル基や、ジュレン基、フェニル基、エーテル結合を有しても良い炭素数2〜8のアルキレン基などが好ましく、フェニル基、ビフェニル基、或いはエーテル結合を有しても良い炭素数4〜8のアルキレン基であることが好ましく、ビフェニル基がより好ましい。
上記式(1)のXは無機性または有機性のアニオン基であり、好ましくは、ヨウ素イオン、臭素イオン、塩素イオン、フッ素イオン、ヨウ素酸イオン、臭素酸イオン、塩素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、過塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、水酸化物イオン又は下記式(2)〜(5)で表されるアニオン基等である。
式(1)の化合物にアニオン基Xが結合する数は、アニオン基Xが2価の場合には1個であり、1価の場合には2個である。
4COO- (2)
式(2)中、R4は水酸基またはカルボニル基を有しても良い炭素数1〜7のアルキル基またはアルケニル基を表す。
-OCO−R5−COO- (3)
式(3)中、R5は存在しない(COO同志が直接結合する)か、あるいは水酸基を有しても良い炭素数1〜8のアルキル基またはアルケニル基である。
6SO4 - (4)
式(4)中、R6は炭素数1〜12のアルキル基を表す。
Figure 2005060332
式(5)中、R7及びR8はそれぞれ水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、またはカルボキシル基を表す。
尚、本発明における抗菌剤は、1分子中に2つのホスホニウム塩を含む化合物1種類であっても良く、または2種類以上を併用してもよい。また、他の抗菌剤を併用しても良い。
本発明の式(1)の化合物は、分子内にホスホニウム塩が1つの化合物や、従来の市販の殺菌剤、例えば第四アンモニウム塩などに比べて、優れた殺菌活性を示す。従って、本発明の式(1)の化合物は、従来の市販の同種の殺菌剤よりもはるかに少ない使用濃度で従来の殺菌剤と同等の殺菌効果を期待することができ、従って、経済的であり且つ人体に対する安全性もそれだけ向上する。更に、本発明の式(1)の化合物は、第四アンモニウム塩の抗菌剤と比べて細胞毒性濃度が高いことから、安全性の面でも優れている。
また、本発明の式(1)の化合物における分解温度のほとんどが約200℃を超えており、樹脂成形の使用温度では分解を起さないものであった。
以上より、本発明の式(1)の化合物は、細菌に対して高い抗菌活性を有し、且つ優れた耐熱性を有する抗菌剤であることが判明した。
更に本発明において、1分子中に2つのホスホニウム塩を含む化合物と特定の金属酸化物とを含有した抗菌性組成物は高い抗菌活性を有する。また、1分子中に2つのホスホニウム塩を含む化合物として式(1)のホスホニウム塩化合物を用いた抗菌性組成物は、高い抗菌活性を有する。当該金属酸化物としては、例えば酸化亜鉛および二酸化チタンから選ばれる少なくとも1種の化合物である。
当該金属酸化物における酸化亜鉛は、天然物または合成物の何れでもよく、性状および製造方法において特に制限はない。一般に亜鉛華として顔料に用いられている酸化亜鉛の他、インキ、充填剤、紫外線吸収剤、セラミックス原料、化粧品、歯科原料、媒熔剤、感光体、医薬品、触媒、電子材料、蛍光体、および電池などに用いられているもの等を使用できる。
当該金属酸化物における二酸化チタンは、天然物または合成物の何れでもよく、非晶質または結晶質の何れであってもよく、性状および製造方法において特に制限はない。二酸化チタンは結晶構造によりアナターゼ型、ルチル型およびブルッカイト型に分類されるが、本発明において、何れの結晶構造のものを用いてもよい。工業的に容易に入手できることから、アナターゼ型およびルチル型は好ましいものである。一般に顔料として用いられている二酸化チタンの他、インキ、化粧品、医薬品、釉薬、歯科材料、有機チタン原料、セラミックス原料、研磨剤、補強剤、触媒、および電子材料などに用いられているもの等を使用できる。
当該金属酸化物の粒子径および粒子の形状において特に制限はない。当該金属酸化物の樹脂への分散性を考慮すると、好ましい平均粒子径は10μm以下が好ましく、より好ましくは0.1〜7μmである。好ましい粒子の形状は立方体状、直方体状、球状、または針状である。更に、当該金属酸化物は分散性向上および/または表面活性低減のため、表面処理を施したものを使用することもできる。当該金属酸化物の表面処理方法は湿式または乾式の何れであってもよい。この表面処理剤についての限定は無く、一般に用いられるアルミニウム、亜鉛、およびケイ素等の可溶性塩類等を用いることができる。例えば、メチルトリメトキシシランやジメチルジメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシランなどのシランカップリング剤、シリコーンオイルなどである。
本発明の抗菌性組成物における金属酸化物の好ましい配合割合は、本発明の式(1)の化合物と金属酸化物との合計100部を基準として、金属酸化物が10〜90部であり、好ましくは20〜80部である。抗菌性組成物における金属酸化物の配合割合が10部より少なかったり、または90部より多かったりすると、金属酸化物と本発明の式(1)の化合物との併用による抗菌効果の向上が困難となる恐れがある。
本発明の抗菌剤および抗菌性組成物は各種合成樹脂に配合して優れた抗菌効果を付与するものとして有用である。配合することができる合成樹脂としては、例えばシリコーンおよびブタジエン系などの合成ゴム;並びに塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ABS、ポリスチレン、酢酸ビニル、およびポリカーボネート等のプラスチック等がある。本発明の抗菌剤および抗菌性組成物は、合成樹脂に配合して成形したり、成形体の表面に被覆したりすることにより、成形体に抗菌性を賦与することできる。この成形体の形状は、公知の成形法により繊維、フィルム、シート、板或いはブロック等の種々の形状とすることができる。
また、本発明の抗菌剤または抗菌性組成物は、水又は有機溶剤等の液状媒体に懸濁させたものを、スプレーコーティング、コーターコーティング、ディッピング、刷毛塗り、ロールコーティング等の通常の塗布手段によって、各種金属やプラスチックス、セラミックス等の表面上に塗布することができる。また、本発明の式(1)の化合物または抗菌性組成物を水性塗料又は油性塗料等に懸濁させたものを、スプレーコーティング、コーターコーティング、ディッピング、刷毛塗り、ロールコーティング等の通常の塗布手段によって、各種金属やプラスチックス、セラミックス等の表面上に塗布することができる。そのようにして得たものは細菌などの発育を阻止することができる。
本発明の抗菌剤または抗菌性組成物を各種材料に配合する好ましい割合は、抗菌性を賦与しようとする材料100部当たり、0.05〜20部であり、より好ましくは0.1〜10部である。
本発明の抗菌剤若しくは抗菌性組成物を配合した材料又は成形体の用途としては、タオル、カーペット、カーテン、および衣類等の繊維製品;皮革;冷蔵庫、洗濯機、食器乾燥器、掃除機、空調機、テレビ、および電話等の電化製品;壁紙、タイル、煉瓦、コンクリート、ネジ、目地、各種コーティング材、塗料、および接着剤等の建築材料;洗面器、歯ブラシ、ほうき、ホース、スリッパ、ごみ箱、およびたわし等の日用雑貨品;まな板、三角コーナー、および包丁等の台所用品;トイレタリー用品等が例示できる。
更に、本発明の抗菌剤または抗菌性組成物は、耐熱性を必要としない従来の有機抗菌剤が使用されている用途にも使用できる。例えば、医療・環境消毒剤、木材、食品、医薬品、金属加工油、紙・パルプのスライムコントロール剤、点眼剤、洗浄剤、化粧品、農薬、および畜産分野などにおいても有用である。耐熱性を必要としない用途に使用されるときには、本発明の抗菌剤または抗菌性組成物は、従来の有機抗菌剤と併用しても良い。
<実施例>
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、熱重量測定をTGと、示差熱分析をDTAと、示差熱分析をTG/DTAと略す。
始めに分子内に2つのホスホニウム塩を持つ化合物を合成した。
ハロゲン化合物として4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル2mmolを、ホスフィン化合物としてトリ−n−ブチルホスフィン4.2mmolを、溶媒としてアセトニトリル10mlをそれぞれ50ml反応容器中に仕込み、加熱還流下で5時間反応させた後、溶媒を除去し粗晶を得た。この粗晶をエタノール/酢酸エチルエステル溶媒にて再結晶した後、減圧乾燥し、白色の化合物4,4’−ビス(トリブチルホスホニウムメチル)ビフェニルジクロリド(BPB−4と略す)を0.81g得た。
BPB−4の融点は、282〜285℃であった。また、分解温度は350℃以上(TG/DTAによる)であった。更にBPB−4の1H−NMR(溶媒CDCl3)の分析結果は次のとおり。単位(ppm)
1.00(18H、t、J=7.4Hz)、1.42(12H、m)1.89(12H、m)、3.29(12H、m)、5.27(4H、s)、7.34(4H、d、J=8.4Hz)、7.64(4H,d、J=8.4Hz)
実施例1において、ハロゲン化合物を4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニルの代わりにα、α’−ジクロロ−p−キシレンを使用した以外は実施例1と全く同様の操作を行い白色の化合物1,4−ビス(トリブチルホスホニウムメチル)フェニレンジクロリド(BPP−4と略す)を得た。
BPP−4の融点は、282〜285℃であった。また、BPP−4の分解温度は350℃以上(TG/DTAによる)であった。
実施例1において、ハロゲン化合物を4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニルの代わりに9、10−ビス(クロロメチル)アントラセンを使用した以外は実施例1と全く同様の操作を行い黄色化合物9,10−ビス(トリブチルホスホニウムメチル)アントラセンジクロリド(BPA−4と略す)を得た。
実施例1において、ハロゲン化合物を4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニルの代わりに3、6−ビス(クロロメチル)ジュレンを使用した以外は実施例1と全く同様の操作を行い白色の化合物1,4−ビス(トリブチルホスホニウムメチル)−2,3,5,6−テトラメチルフェニレンジクロリド(BPD−4と略す)を得た。
実施例1において、ハロゲン化合物を4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニルの代わりに1、6−ジイオドヘキサメチレンを使用した以外は実施例1と全く同様の操作を行い白色の化合物1,6−ビス(トリブチルホスホニウム)ヘキサメチレンジクロリド(BPM6−4と略す)を得た。
実施例1において、ホスフィン化合物をトリブチルホスフィンの代わりにトリフェニルホスフィンを使用した以外は実施例1と全く同様の操作を行い白色の化合物4,4’−ビス(トリフェニルホスホニウムメチル)ビフェニルジクロリド(BPB−Pと略す)を得た。
BPP−Pの融点は、400℃以上であった。また、BPP−Pの分解温度は350℃以上(TG/DTAによる)であった。
実施例1において、ホスフィン化合物をトリブチルホスフィンの代わりにトリオクチルホスフィンを使用した以外は実施例1と全く同様の操作を行い白色の化合物4,4’−ビス(トリオクチルホスホニウムメチル)ビフェニルジクロリド(BPB−8と略す)を得た。このBPB−8の融点は、111〜118℃であった。
実施例1で得たBPB−4と酸化亜鉛とを質量比で3:7で混合し、抗菌性組成物(以下Z−BPB−4と略す)を得た。
実施例6で得たBPB−Pと酸化亜鉛とを質量比で3:7で混合し、抗菌性組成物(以下Z−BPB−Pと略す)を得た。
<比較例1>
比較例1として、ハロゲン化合物としてベンジルクロリド2mmolを、ホスフィン化合物としてトリブチルホスフィン2.1mmolを、溶媒としてアセトニトリル10mlをそれぞれ50ml反応容器中に仕込み、加熱還流下で5時間反応させた後、溶媒を減圧除去し粗晶を得た。この粗晶をアセトニトリル/酢酸エチル溶媒にて再結晶した後減圧乾燥し、白色の化合物トリブチルベンジルホスホニウムクロリド(MP−4と略す)を0.81g得た。
<比較例2>
比較例2として、市販の第四アンモニウム塩系抗菌剤(殺菌剤)である塩化ベンザルコニウム(BACと略す)を使用した。
続いて、実施例の化合物並びに比較例1,2の化合物について、各試験を行い評価した。
○細菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)の測定
試験サンプルとして実施例1〜7で得た化合物および比較例1〜2で得た化合物を用いて、一般的な寒天希釈法に従い、滅菌水を用いて菌懸濁濃度が、106cell/mlになるように調整した定常期状態の菌液を、段階希釈した薬剤を含む普通寒天培地上に塗布し、37℃で24時間静置培養後、増殖の有無により、MIC値を決定した。
供試菌として、Staphylococcus aureus IFO 12732(以下S.A.と略す)並びにEscherichia coli K12 W 3110(以下E.C.と略す)を用いた。これらの結果を下記表1に示す。
Figure 2005060332
上記表1の結果から、本発明の化合物のMIC値は比較例のものよりも小さいことから、次のことが言える。本発明の抗菌剤は比較例として使用した塩化ベンザルコニウムよりも細菌に対する抗菌力が高い。分子内に1つのホスホニウム塩を持つ化合物よりも分子内に2つのホスホニウム塩を持つ化合物の方が、抗菌効果が向上することである。
○細胞毒性試験
試験サンプルとして実施例1〜6で得た化合物および比較例1〜2で得た化合物を用いて、人由来の細胞であるヒトメラノーマ細胞A375(以下A375と記す)を用いて細胞毒性試験を行った。A375を96穴プレートに1.5×104cell/well分注し、18時間後、段階希釈した薬剤を含む10%FBS/DMEM培地と交換し、5%CO2、37℃で6時間接触させた後の生細胞数を測定した。測定はXTTアッセイでの発色を吸光度(OD490-650)を利用し測定した。別に薬剤を用いないで同様の試験を行い100%生細胞率のコントロールとし、薬剤として塩化ベンザルコニウム200ppmを用いて0%生細胞数のコントロールとした。生細胞率が50%となる濃度を細胞毒性濃度EC50とした。結果を下記表2に示す。
Figure 2005060332
上記表2の結果から、本発明の抗菌剤の細胞毒性濃度EC50の値は、比較例の化合物と同等あるいは高いことから、本発明の抗菌剤は安全性に優れている。
○抗菌性試験用プレートの作成
試験サンプルとして実施例1のBPB−4、実施例6のBPB−P、実施例8のZ−BPB−4並びに比較例2のMP−4を使用した。グランドポリマー株式会社製ポリプロピレン樹脂(商品名J707)に対し、抗菌剤または抗菌性組成物を所定質量%配合し、名機製作所株式会社製射出成形機M−50AII−DMを用いて成形温度220℃で射出成形し、11cm×11cm×2mmのプレートを作製した。またポリプロピレン樹脂のみを成形したもの(ブランク)を同様に射出成形し、抗菌性試験用プレートとした。
射出成形時にシリンダ−内で樹脂組成物を溶融状態で5分間滞留させたものについても成形し、変色性評価用プレートを作成した。この結果、全てのプレートにおいて、ブランクのプレートと比較して変色は認められなかった。また、各プレ−トを90℃の温水に1週間浸漬し、浸漬後のプレ−トの外観状態を確認することで耐水性を評価したが、ブランクのプレートと変わりなく、プレートの外観に変化は見られなかった。以上から、樹脂の変色性、並びに耐水性に優れていることは明らかである。
○プレートの抗菌性試験
実施例12で得られたプレ−トの抗菌力を、以下の方法により評価した。供試菌として、E.C.並びにS.A.を用いた。実施例11で作成したプレートを5cm×5cmに切断し、菌数がプレ−ト1枚当りに105〜106個となるように1/500NBにて調整した菌液0.5mlをプレート表面に滴下し、その上から4.5cm×4.5cmのポリエチレン製フィルムを被せ、プレート表面に一様に接触させ、温度37℃、湿度95RH%で24時間保存した。保存開始から0時間後(理論添加菌数)及び24時間保存した後に、生理食塩水でプレート上の生残菌を洗い出し、この洗液について、菌数測定用培地普通寒天培地を用いる混釈平板培養法(37℃、2日間)により生菌数を測定して、抗菌性プレートの5cm×5cm当りの生菌数に換算した。また、24時間後のサンプルプレートを接触させない菌液だけで同様の操作を行った対照の菌数も測定した。上記のようにして得られた抗菌性試験の結果を表3に示した。
Figure 2005060332
本発明のBPB−4、BPB−P並びにZ−BPB−4を含むプレートは比較例のMP−4を含むプレートよりも抗菌性に優れていることは明らかである。
本発明は分子内に2つのホスホニウム塩を持つ化合物による抗菌剤であり、抗菌性と耐熱性に優れたものである。この特性によって本発明の抗菌剤または抗菌性組成物は、各種ゴム、プラスチック等の材料及びそれらからなるフィルム、シート等の成形品、並びに各種繊維、紙、皮革、塗料、接着剤、断熱材、コーキング材等に適用できるものとして有用である。

Claims (4)

  1. 分子内に2つのホスホニウム塩を持つことを特徴とする化合物を有効成分とする抗菌剤。
  2. 請求項1記載の化合物が下記式(1)のホスホニウム塩化合物である抗菌剤。
    Figure 2005060332
    (式(1)中、R1〜R6は炭素数1〜12の分岐を有しても良いアルキル基またはフェニル基であり、それぞれ同じであっても異なっていても良く、Yは存在しないか、1〜4個のメチル基を有しても良いフェニル基、1〜8個のメチル基を有しても良いビフェニル基、1〜8個のメチル基を有しても良いアントラセン基、エーテル結合を有しても良い炭素数2〜12のアルキレン基、またはエーテル結合を有しても良い炭素数2〜12のアルケニレン基であり、Xn-は無機性または有機性のアニオン基であり、nはアニオン基Xの価数であって、mとnの積が2である。)
  3. 酸化亜鉛または二酸化チタンから選ばれる少なくとも1種の金属酸化物と請求項1または請求項2に記載の抗菌剤とを含有する抗菌性組成物
  4. 請求項1または請求項2に記載の抗菌剤または請求項3記載の抗菌性組成物を合成樹脂に含有させた抗菌性樹脂。
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