JP2006022217A - 抗菌・防黴性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、壁紙をはじめ種々の抗菌グッズのような健康・衛生面で抗菌・抗黴性が要求される分野で広範囲に利用することができる抗菌・防黴性樹脂組成物に関する。
高分子樹脂を素材とする成形品は本来防黴性が比較的良好であり、各種の建材の表装材、家庭用品、靴のインソールなどに使用されているが、防黴性をさらに向上させるために、高分子樹脂にチアベンダゾールや砒素系、イミダゾール系、チアゾール系などの各種の防黴剤を配合することが行われている(例えば、特許文献1、2参照)。
ところが、近年、樹脂製品の用途が多様化し、黴の成育を阻止するだけでは不充分となり、大腸菌やブドウ球菌などの各種バクテリアに対しても充分に耐性を有するものが要求されるようになりつつあり、例えば、病院内での感染が問題となっているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の増殖を抑制するための繊維素材が開発されており、また、大腸菌の繁殖を抑制するための抗菌剤を配合したプラスチック部材を用いた冷蔵庫、洗濯機、食器乾燥機などの家電製品が実用化されつつある。
抗菌剤を高分子樹脂に配合した例としては、塩化ベンザルコニウム、第4級アンモニウム塩、クロルヘキシジンなどを配合したものが挙げられるが(例えば、特許文献2、3参照)、これらの抗菌剤は細菌類には効果があるが、防黴効果はなく、防菌・防黴効果を有する高分子樹脂製品とするためには、防黴剤を併用する必要がある。
従って、本発明の目的は、グラム陽性およびグラム陰性のいずれの細菌類に対しても優れた抗菌効果を発揮するのみならず、同時に真菌類に対しても優れた防黴効果を示し、健康・衛生面で抗菌・防黴性が要求される分野で広範囲に利用することができる抗菌・防黴性樹脂組成物を提供することである。
上記目的は以下の本発明によって達成される。
1.高分子樹脂と、下記一般式(1)で表される化合物とからなることを特徴とする抗菌・防黴性樹脂組成物。
(但し、上記一般式において、R1およびR4は、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐の同一または異なるアルキレン基であり、R2およびR5は、水素原子、同一または異なるハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基であり、R3は、炭素数2〜12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基であり、R6は、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはOSO2R7基(R7は、低級アルキル基若しくは置換或いは無置換のフェニル基である)である。)
1.高分子樹脂と、下記一般式(1)で表される化合物とからなることを特徴とする抗菌・防黴性樹脂組成物。
(但し、上記一般式において、R1およびR4は、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐の同一または異なるアルキレン基であり、R2およびR5は、水素原子、同一または異なるハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基であり、R3は、炭素数2〜12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基であり、R6は、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはOSO2R7基(R7は、低級アルキル基若しくは置換或いは無置換のフェニル基である)である。)
2.前記一般式(1)において、R1およびR4は、ピリジン環の3または4位置に結合しているメチレン基であり、R2およびR5は、水素原子であり、R3は、テトラメチレン基であり、R6は、オクチル基、デシル基およびドデシル基から選ばれる基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはOSO2R7基(R7は、低級アルキル基若しくは置換或いは無置換のフェニル基である)である前記1に記載の抗菌・防黴性樹脂組成物。
4.高分子樹脂100質量部あたり前記一般式(1)で表される化合物を0.001〜10質量部含有する前記1に記載の抗菌・防黴性樹脂組成物。
本発明の抗菌・防黴性樹脂組成物は、従来の第4級アンモニウム塩化合物よりも細菌類の繁殖を抑制し、広い抗菌スペクトルを示す他に、真菌類に対しても防黴効果を有する上記一般式(1)で表される化合物を高分子樹脂に含有させているため、健康・衛生面で抗菌、防黴性が要求される分野に広範囲に利用することができ、細菌類、真菌類に起因する非衛生的な状態の改善が期待される。
以下に発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明に用いられる前記一般式(1)で表される化合物のなかで好ましい化合物は、前記一般式(1)において、R1およびR4が、ピリジン環の3または4位置に結合しているメチレン基であり、R2およびR5が、水素原子であり、R3が、テトラメチレン基であり、R6が、オクチル基、デシル基およびドデシル基から選ばれる基であり、Zが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはOSO2R7基(R7は、低級アルキル基若しくは置換或いは無置換のフェニル基である)である化合物であり、特に好ましい化合物は前記式(1)〜(4)の化合物である。前記一般式(1)で表される化合物は、単独でも混合物としても使用できる。
一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(a)
で表されるピリジン化合物と、下記一般式(b)
で表されるジオール類とを、強塩基の存在下に反応させることにより、下記一般式(c)
で表されるピリジン化合物を製し、該化合物と下記一般式(d)
で表されるピリジン化合物とを強塩基の存在下に反応させることにより下記一般式(e)
で表されるピリジン化合物を製し、該化合物と下記一般式(f)
で表されるハロゲン化合物若しくはスルホン酸エステル化合物とを反応させることによって得られる。
(但し、上記一般式(a)〜(f)において、AおよびBは塩基の作用により脱離基として機能し、アルキルカチオンを生成し得る置換基であり、XおよびYは無機、若しくは有機のプロトン酸の対アニオンであり、mおよびnは0〜1であり、R1〜R7、Zは前記と同意義である。)
で表されるピリジン化合物と、下記一般式(b)
で表されるジオール類とを、強塩基の存在下に反応させることにより、下記一般式(c)
で表されるピリジン化合物を製し、該化合物と下記一般式(d)
で表されるピリジン化合物とを強塩基の存在下に反応させることにより下記一般式(e)
で表されるピリジン化合物を製し、該化合物と下記一般式(f)
で表されるハロゲン化合物若しくはスルホン酸エステル化合物とを反応させることによって得られる。
(但し、上記一般式(a)〜(f)において、AおよびBは塩基の作用により脱離基として機能し、アルキルカチオンを生成し得る置換基であり、XおよびYは無機、若しくは有機のプロトン酸の対アニオンであり、mおよびnは0〜1であり、R1〜R7、Zは前記と同意義である。)
一方、本発明に従い前記一般式(1)で表される化合物を配合することができる高分子樹脂の種類には特に制約はなく、本発明の樹脂組成物の用途などに応じて自由に選ぶことができる。使用し得る樹脂の具体例としては、例えば、塩化ビニル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、アミド系ポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン系ポリマー、スチレン系ポリマー、エステル系ポリマー、ナイロン系ポリマー、セルロース誘導体、カーボネート系ポリマー、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルエステル系ポリマー、合成ゴム、天然ゴムなどが挙げられる。
本発明の抗菌・防黴性樹脂組成物は、上記の如き高分子樹脂中に前記一般式(1)で表される化合物を均一に分散させることにより調製することができる。例えば、高分子樹脂に一般式(1)で表される化合物を加えて溶融混練する方法、高分子樹脂の溶液中に一般式(1)で表される化合物または、その溶液を加えて混合する方法、高分子樹脂の原料となるモノマーに一般式(1)で表される化合物を混合した後該モノマーを重合させる方法などにより、本発明の樹脂組成物を得ることができる。或いはまた、高分子樹脂に一般式(1)で表される化合物を化学的に結合させることもできる。
高分子樹脂に対する一般式(1)で表される化合物の配合量は、厳密に制限されるものではなく、用いる樹脂や一般式(1)で表される化合物の種類、得られる樹脂組成物の用途などに応じて変えることができるが、一般には、高分子樹脂100質量部あたり0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜1質量部の範囲内とすることができる。本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、可塑剤、充填剤、着色剤(染料、顔料など)、紫外線吸収剤などを適宜配合してもよい。
本発明の樹脂組成物は、その用途などに応じて種々の形態に加工することができる。例えば、本発明の樹脂組成物は、押出成形、射出成形、溶液流延法、紡糸法などそれ自体既知の樹脂加工法によって、フィルム状、シート状、板状、繊維状、立体状に成形し、例えば、内装材(壁紙など)、床材(タイルなど)、家電製品(冷蔵庫、洗濯機、乾燥機など)などに利用することができる。
また、本発明の樹脂組成物は、塗料用溶剤に溶解ないし分散させ、適宜、顔料、架橋剤、その他の塗料用添加物を配合することにより、抗菌塗料の形態にすることもできる。
さらに、本発明の樹脂組成物は、繊維製品および紙製品の抗菌・防黴加工用として、有機溶剤溶液または水性エマルジョンの形態で繊維製品や紙製品に適用することができる。その適用法としては、例えば、パディング法、浸漬法、スプレー法、プリント法、コーティング法、グラビア加工法、泡加工法などが挙げられる。このような繊維製品および紙製品の処理に適した高分子樹脂としては、例えば、澱粉系、カルボキシメチルセルロース系、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、フッ素系、シリコン系、ポリアミド系、ポリエステル系、グリオキザール系、ポリフッ化ビニリデン系、スチレン系、ブタジエン系、アクリロニトリル・ブタジエン系、アクリレート系、エチレン・酢酸ビニル系、アクリル・エチレン・酢酸ビニル系、エチレン・塩化ビニル系などが挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物を用いて抗菌・防黴加工をすることができる繊維製品および紙製品の種類には特に制約はなく、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維などの合成繊維;アセテートなどの半合成繊維;レーヨンなどの再生繊維;木綿、麻、羊毛、絹、パルプなどの天然繊維;或いはこれらを混紡、混織、交撚、交織、交編、混綿した混用素材などの材料を各種の形態、例えば、フィラメント、ステープルなどの繊維;フィラメント糸、紡績糸などの糸;織物、編物、不織布などの布帛;繊維を抄いて紙状にしたもの、或いはこれらから得られる繊維製品、紙製品などの形態のものが挙げられる。
本発明の樹脂組成物を用いて加工された繊維製品および紙製品としては、例えば、病院用リネン製品、衛生加工製品、寝装品、靴下、サポーター、カーペット、トイレタリー用品、調理用台所用品、玩具類、電気製品のフィルター類、ぬれティシュ、ヘルメット、壁紙などが挙げられる。
次に本発明で使用する前記一般式(1)で表される化合物の合成例を挙げる。合成例1(前記化合物(1)の合成)
[下記構造式で示される化合物(1−1)の合成]
DMF(ジメチルホルムアミド)75mlに1,4−ブタンジオール8.24g(91.43mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド10.3g(91.79mmol)を添加し、室温で1.5時間撹拌した。このスラリー液に−8〜−3℃で3−クロロメチルピリジン塩酸塩1.0g(6.10mmol)およびカリウムtert−ブトキシド0.68g(6.06mmol)を交互に添加し、これを15回繰り返し、全量で3−クロロメチルピリジン塩酸塩15.0g(91.45mmol)およびカリウムtert−ブトキシド10.2g(90.9mmol)を添加した。
[下記構造式で示される化合物(1−1)の合成]
DMF(ジメチルホルムアミド)75mlに1,4−ブタンジオール8.24g(91.43mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド10.3g(91.79mmol)を添加し、室温で1.5時間撹拌した。このスラリー液に−8〜−3℃で3−クロロメチルピリジン塩酸塩1.0g(6.10mmol)およびカリウムtert−ブトキシド0.68g(6.06mmol)を交互に添加し、これを15回繰り返し、全量で3−クロロメチルピリジン塩酸塩15.0g(91.45mmol)およびカリウムtert−ブトキシド10.2g(90.9mmol)を添加した。
添加終了後、反応混合物をHPLC(条件1)で分析すると、3−クロロメチルピリジンのピークが確認されたので、3−クロロメチルピリジンのピークが消失するまで、カリウムtert−ブトキシドを5℃以下で添加した。追加したカリウムtert−ブトキシドは1.13g(10.07mmol)であった。反応混合物を固液分離し、ケークをDMF30mlで洗浄、ろ洗液からDMFを減圧下に留去して油状の粗生成物(化合物(1−1))17.1gを得た。得られたオイルをHPLC(条件1)で分析すると、前記化合物(1−1)の面積%は76.0%であった。
前記化合物(1−1)の粗生成物を水30mlに溶解し、トルエンで洗浄した。その後、水層に食塩6gを加え、ジクロロメタン20ml×2で抽出し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、溶媒を留去し、油状の前記化合物(1−1)9.21g(収率(1,4−ブタンジオールより):57.2%)を得た。得られたオイルをHPLC(条件1)で分析すると、面積%は99.4%であった。(1H−NMR(CDCl3):δ1.67−1.75(4H,m,−(CH 2)2−)、δ2.35(1H,s,OH)、δ3.52−3.56(2H,t,J=6.0Hz,CH 2)、δ3.64−3.68(2H,t,J=6.0Hz,CH 2 )、δ4.52(2H,s,CH 2)、δ7.27−7.31(1H,m,aromH)、δ7.66−7.70(1H,m,aromH)、δ8.52−8.56(2H,m,arom H×2)、MS(APCl):m/z=182[M+H]+)
HPLC(条件1)
・カラム:Inertsil ODS-3(GL Sciences)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.5%酢酸アンモニウム水溶液、B−アセトニトリル A:B=70:30(一定)
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:20μL
・カラム:Inertsil ODS-3(GL Sciences)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.5%酢酸アンモニウム水溶液、B−アセトニトリル A:B=70:30(一定)
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:20μL
[下記構造式で示される化合物(1−2)の合成]
DMF25mlに前記化合物(1−1)5.0g(27.59mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド3.1g(27.63mmol)を添加した。このスラリーに5〜6℃で3−クロロメチルピリジン塩酸塩0.5g(3.05mmol)およびカリウムtert−ブトキシド0.34g(3.03mmol)を交互に添加し、これを9回繰り返し、全量で3−クロロメチルピリジン塩酸塩4.5g(27.43mmol)およびカリウムtert−ブトキシド3.06g(27.27mmol)を添加した。添加終了後、反応混合物をHPLC(条件1)で分析すると、3−クロロメチルピリジンおよび前記化合物(1−1)のピークが確認されたので、3−クロロメチルピリジンのピークおよび前記化合物(1−1)のピークが消失するまで、カリウムtert−ブトキシドを5℃以下で添加した。追加したカリウムtert−ブトキシドは0.62g(5.53mmol)であった。
DMF25mlに前記化合物(1−1)5.0g(27.59mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド3.1g(27.63mmol)を添加した。このスラリーに5〜6℃で3−クロロメチルピリジン塩酸塩0.5g(3.05mmol)およびカリウムtert−ブトキシド0.34g(3.03mmol)を交互に添加し、これを9回繰り返し、全量で3−クロロメチルピリジン塩酸塩4.5g(27.43mmol)およびカリウムtert−ブトキシド3.06g(27.27mmol)を添加した。添加終了後、反応混合物をHPLC(条件1)で分析すると、3−クロロメチルピリジンおよび前記化合物(1−1)のピークが確認されたので、3−クロロメチルピリジンのピークおよび前記化合物(1−1)のピークが消失するまで、カリウムtert−ブトキシドを5℃以下で添加した。追加したカリウムtert−ブトキシドは0.62g(5.53mmol)であった。
反応混合物を固液分離し、ケークをDMF30mlで洗浄、ろ洗液からDMFを減圧下に留去した。この濃縮残液にジクロロメタン20mlを添加し、溶解液を飽和食塩水で洗浄後、溶媒を留去し、油状物5.8gを得た。この粗生成物0.5gについてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム−メタノール)で精製を行い、油状の前記化合物(1−2)0.3gを得た。(1H−NMR:δ1.70−1.74(4H,m,−(CH 2)2−)、δ3.50−3.54(4H,m,CH 2×2)、δ4.51(4H,s,CH 2×2)、δ7.25−7.29(2H,dd,J=4.9Hz,7.9Hz,aromH×2)、δ7.65−7.69(2H,dt,J=1.7Hz,7.9Hz,aromH×2)、δ8.52−8.57(4H,dd,J=1.7Hz,4.9Hz,aromH×4)、MS(APCl):m/z=273[M+H]+)
[化合物(1)の合成]
前記化合物(1−2)5.0g(18.36mmol)にオクチルブロマイド35.5g(183.8mmol)を加え、70〜80℃で20時間反応を行った。反応混合物をHPLC(条件2)で分析すると、前記化合物(1−2)のピークは消失していた。反応混合物より上層のオクチルブロマイド層を分離し、下層油状物をアセトニトリル−酢酸エチル=1:3(v/v)混液に注加した。混合物を冷却し、析出結晶を0℃でろ過、減圧乾燥を行い、灰白色結晶9.7g(粗収率(前記化合物(1−2)より):85%)を得た。
前記化合物(1−2)5.0g(18.36mmol)にオクチルブロマイド35.5g(183.8mmol)を加え、70〜80℃で20時間反応を行った。反応混合物をHPLC(条件2)で分析すると、前記化合物(1−2)のピークは消失していた。反応混合物より上層のオクチルブロマイド層を分離し、下層油状物をアセトニトリル−酢酸エチル=1:3(v/v)混液に注加した。混合物を冷却し、析出結晶を0℃でろ過、減圧乾燥を行い、灰白色結晶9.7g(粗収率(前記化合物(1−2)より):85%)を得た。
得られた結晶2gについてアセトニトリル−酢酸エチル=1:3(v/v)混液で再結晶を行い、微灰白色結晶の化合物(1)1.6gを得た。(融点:52〜53℃、1H−NMR(d6−DMSO):δ0.82−0.89(6H,t,J=5.3Hz,CH 3×2)、δ1.25−1.34(20H,m,−(CH 2)5−×2)、δ1.77−1.80(4H,m,−(CH 2)2−×2)、δ2.04−2.09(4H,t,J=7.0Hz,CH 2×2)、δ3.70−3.72(4H,t,J=5.9Hz,CH 2×2)、δ4.67−4.71(4H,t,J=7.0Hz,CH 2×2)、δ4.84(4H,s,CH 2×2)、δ8.11−8.15(2H,dd,J=6.0Hz,8.0Hz,aromH×2)、δ8.56−8.59(2H,d,J=8.0Hz,aromH×2)、δ8.69−8.92(4H,dd,J=6.0Hz,13.1Hz,aromH×4)、MS(ESI):m/z=579[M−Br]+)。
HPLC(条件2)
・カラム:Inertsil ODS-3(GL Sciences)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.5%酢酸アンモニウム水溶液、B−アセトニトリル A:70%(12min保持)→(10min)→A:50%(14min保持)→A:70%
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:20μL
・カラム:Inertsil ODS-3(GL Sciences)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.5%酢酸アンモニウム水溶液、B−アセトニトリル A:70%(12min保持)→(10min)→A:50%(14min保持)→A:70%
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:20μL
合成例2(前記化合物(2)の合成)
[下記構造式で示される化合物(2−1)の合成:3−クロロメチルピリジン塩酸塩から4−クロロメチルピリジン塩酸塩に代え、反応条件を以下の通りにした他は合成例1と同様]
DMF75mlに1,4−ブタンジオール8.24g(91.43mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド10.3g(91.79mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。このスラリーに−10〜−5℃で4−クロロメチルピリジン塩酸塩1.5g(9.14mmol)、カリウムtert−ブトキシド1.03g(9.18mmol)を交互に添加し、これを10回繰り返した。
[下記構造式で示される化合物(2−1)の合成:3−クロロメチルピリジン塩酸塩から4−クロロメチルピリジン塩酸塩に代え、反応条件を以下の通りにした他は合成例1と同様]
DMF75mlに1,4−ブタンジオール8.24g(91.43mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド10.3g(91.79mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。このスラリーに−10〜−5℃で4−クロロメチルピリジン塩酸塩1.5g(9.14mmol)、カリウムtert−ブトキシド1.03g(9.18mmol)を交互に添加し、これを10回繰り返した。
添加終了後、反応混合物をHPLC(条件1)で分析すると、4−クロロメチルピリジンのピークが確認されたので、4−クロロメチルピリジンのピークが消失するまでカリウムtert−ブトキシドを10℃以下で添加した。追加したカリウムtert−ブトキシドは1.03g(9.18mmol)であった。反応混合物を固液分離し、ケークをDMF20mlで洗浄、ろ洗液からDMFを減圧下に留去し油状の粗生成物17.0gを得た。得られたオイルをHPLC(条件1)で分析すると、前記化合物(2−1)の面積%は63.0%であった。
粗生成物を水30mlに溶解し、トルエンで洗浄した。その後、水層に食塩6gを加え、ジクロロメタン20ml×2で抽出し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、溶媒を留去し、油状の前記化合物(2−1)9.21g(収率(1,4−ブタンジオールより):57.2%)を得た。得られたオイルをHPLC(条件1)で分析すると、面積%は99.4%であった。(1H−NMR(CDCl3):δ1.65−1.80(4H,m,−(CH 2 )2−)、δ2.4(1H,s,OH)、δ3.54−3.58(2H,t,J=5.9Hz,CH 2 )、δ3.66−3.70(2H,t,J=5.9Hz,CH 2 )、δ4.53(2H,s,CH 2 )、δ7.24−7.26(2H,dd,J=1.5Hz,4.5Hz,aromH×2)、δ8.55−8.57(2H,dd,J=1.5Hz,4.5Hz,aromH×2)、MS(APCl):m/z=182[M+H]+)
[下記構造式で示される化合物(2−2)の合成:3−クロロメチルピリジン塩酸塩から4−クロロメチルピリジン塩酸塩に代え、反応条件を以下の通りにした他は合成例1と同様]
DMF49mlに1,4−ブタンジオール2.7g(30.0mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド3.4g(30.0mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。このスラリーに−5〜−3℃で4−クロロメチルピリジン塩酸塩0.98g(6mmol)、カリウムtert−ブトキシド0.68g(6mmol)を交互に添加し、これを5回繰り返した。これ以降の添加は、−5〜−2℃で4−クロロメチルピリジン塩酸塩0.98g(6mmol)、カリウムtert−ブトキシド1.36g(12mmol)を交互に添加し、これを5回繰り返し、全量で4−クロロメチルピリジン塩酸塩9.8g(60mmol)、カリウムtert−ブトキシド10.2g(90mmol)を添加した。
DMF49mlに1,4−ブタンジオール2.7g(30.0mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド3.4g(30.0mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。このスラリーに−5〜−3℃で4−クロロメチルピリジン塩酸塩0.98g(6mmol)、カリウムtert−ブトキシド0.68g(6mmol)を交互に添加し、これを5回繰り返した。これ以降の添加は、−5〜−2℃で4−クロロメチルピリジン塩酸塩0.98g(6mmol)、カリウムtert−ブトキシド1.36g(12mmol)を交互に添加し、これを5回繰り返し、全量で4−クロロメチルピリジン塩酸塩9.8g(60mmol)、カリウムtert−ブトキシド10.2g(90mmol)を添加した。
添加終了後、反応混合物をHPLC(条件1)で分析すると、4−クロロメチルピリジンおよび前記化合物(2−1)のピークが確認されたので、4−クロロメチルピリジンのピークおよび前記化合物(2−1)のピークが消失するまで、4−クロロメチルピリジン塩酸塩とカリウムtert−ブトキシドを10℃以下で添加した。追加した4−クロロメチルピリジン塩酸塩は2.0g(12mmol)、カリウムtert−ブトキシドは2.6g(24mmol)であった。反応混合物を固液分離し、ケークをDMF20mlで洗浄、ろ洗液からDMFを減圧下に留去した。
この濃縮残液に酢酸エチル50mlを添加し、溶解液を水で洗浄後、溶媒を留去し、黄色結晶の前記化合物(2−2)を得た。該化合物の結晶をHPLC(条件1)で分析すると、前記化合物(2−2)の面積%は70.5%であった。得られた粗生成物5g(18mmol)をイソプロピルアルコール23.3gで再結晶を行い、白色結晶の前記化合物(2−2)2.7gを得た。(融点:98.6〜100.2℃、1H−NMR(CDCl3):δ1.75−1.79(4H,m,−(CH 2)2−)、δ3.53−3.57(4H,m,CH 2×2)、δ4.52(4H,s,CH 2×2)、δ7.23−7.27(4H,dd,J=0.8Hz,6.0Hz,aromH×4)、δ8.55−8.57(4H,dd,J=1.6Hz,6.0Hz,aromH×4)、MS(APCl):m/z=273[M+H]+)
[下記構造式の化合物(2)の合成:前記化合物(2−2)を4−クロロメチルピリジン塩酸塩から誘導したものに代え、反応条件を以下の通りにした他は合成例1と同様]
前記化合物(2−2)2.0g(7.34mmol)にオクチルブロマイド21.3g(110.3mmol)を加え、70〜80℃で53時間反応を行った。反応混合物をHPLC(条件2)で分析すると、前記化合物(2−2)のピークは消失していた。反応混合物からオクチルブロマイドを減圧下で留去し、油状の前記化合物(2)5.2g(粗収率:107.7%)を得た。得られたオイルをHPLC(条件2)で分析すると、化合物(2)のピークの面積%は81.3%であった。
前記化合物(2−2)2.0g(7.34mmol)にオクチルブロマイド21.3g(110.3mmol)を加え、70〜80℃で53時間反応を行った。反応混合物をHPLC(条件2)で分析すると、前記化合物(2−2)のピークは消失していた。反応混合物からオクチルブロマイドを減圧下で留去し、油状の前記化合物(2)5.2g(粗収率:107.7%)を得た。得られたオイルをHPLC(条件2)で分析すると、化合物(2)のピークの面積%は81.3%であった。
反応混合物をHPLC(条件3)で分析すると、前記化合物(1−2)のピークは消失していた。反応混合物より上層のデシルブロマイド層を分離し、下層油状物をアセトニトリル−酢酸エチル=1:3(v/v)混液に注加した。混合物を冷却し、析出結晶を0℃でろ過、減圧乾燥を行い、灰白色結晶11.6g(粗収率(前記化合物(1−2)より):88.5%)を得た。該化合物の結晶をHPLC(条件1)で分析すると、前記化合物(3)の面積%は98.4%であった。融点およびNMR分析値は以下の通りであった。
(融点:76.8〜79.2℃、1H−NMR(CD3OD):δ0.9(6H、t、CH 3×2)、δ1.29〜1.40(28H、m、(CH 2)7×2)、δ1.77〜1.84(4H、m、CH 2×2)、δ2.00〜2.05(4H、t、CH 2×2)、δ3.69〜3.70(4H、t、CH 2×2)、δ4.64〜4.68(4H、t、CH 2×2)、δ4.77(4H、s、CH 2×2)、δ8.07〜8.11(2H、dd、J=、aromH×2)、δ8.55〜8.57(2H、d、aromH×2)、δ8.93〜8.94(2H、d、aromH×2)、δ9.02(2H、s、aromH×2)
(融点:76.8〜79.2℃、1H−NMR(CD3OD):δ0.9(6H、t、CH 3×2)、δ1.29〜1.40(28H、m、(CH 2)7×2)、δ1.77〜1.84(4H、m、CH 2×2)、δ2.00〜2.05(4H、t、CH 2×2)、δ3.69〜3.70(4H、t、CH 2×2)、δ4.64〜4.68(4H、t、CH 2×2)、δ4.77(4H、s、CH 2×2)、δ8.07〜8.11(2H、dd、J=、aromH×2)、δ8.55〜8.57(2H、d、aromH×2)、δ8.93〜8.94(2H、d、aromH×2)、δ9.02(2H、s、aromH×2)
HPLC(条件3)
・カラム:Inertsil ODS-3(GL Sciences)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.5%酢酸アンモニウム水溶液、B−アセトニトリル A:60%(5min保持)→(10min)→A:30%(30min保持)→A:60%
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:10μL
・カラム:Inertsil ODS-3(GL Sciences)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.5%酢酸アンモニウム水溶液、B−アセトニトリル A:60%(5min保持)→(10min)→A:30%(30min保持)→A:60%
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:10μL
合成例4(前記化合物(4)の合成)
合成例3におけるデシルブロマイドに代えて当モル量のドデシルブロマイドを用いた以外は合成例3と同様にして下記構造式で表される化合物(4)13.0g(粗収率:91.5%)を得た。得られた化合物(4)をHPLC(条件4)で分析すると、化合物(4)のピークの面積%は97.5%であった。また、融点およびNMR分析値は以下の通りであった。
合成例3におけるデシルブロマイドに代えて当モル量のドデシルブロマイドを用いた以外は合成例3と同様にして下記構造式で表される化合物(4)13.0g(粗収率:91.5%)を得た。得られた化合物(4)をHPLC(条件4)で分析すると、化合物(4)のピークの面積%は97.5%であった。また、融点およびNMR分析値は以下の通りであった。
(融点:90.0〜91.4℃、1H−NMR(CD3OD):δ0.89(6H、t、CH 3×2)、δ1.26〜1.39(36H、m、(CH 2)9×2)、δ1.79〜1.82(4H、m、CH 2×2)、δ1.84〜2.05(4H、m、CH 2×2)、δ3.67〜3.70(4H、t、CH 2×2)、δ4.65〜4.68(4H、t、CH 2×2)、δ4.77(4H、s、CH 2×2)、δ8.07〜8.11(2H、dd、aromH×2)、δ8.55〜8.57(2H、d、aromH×2)、δ8.93〜8.94(2H、d、aromH×2)、δ9.02(2H、s、aromH×2)
HPLC(条件4)
・カラム:CAPCELL PAK C18 SG120(資生堂)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.1Mリン酸二水素カリウム(0.05%燐酸)水溶液、B−80%アセトニトリル水溶液 A:B=30:70
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:20μL
・カラム:CAPCELL PAK C18 SG120(資生堂)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.1Mリン酸二水素カリウム(0.05%燐酸)水溶液、B−80%アセトニトリル水溶液 A:B=30:70
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:20μL
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
エーテル系ポリウレタンとエステル系ポリウレタンに前記化合物(1)〜(4)または銀系無機抗菌剤を1phr添加した抗菌ポリウレタンを得た。得られた抗菌ポリウレタンを用いてフィルム密着法に従い抗菌試験を行なった。すなわち、各試験片(5cm×5cm)を、それぞれ滅菌シャーレに入れ、試験面に各接種用菌液0.5mlを接種し、その上に被膜フィルムを被せて蓋をし、37℃、24時間保存した。その後、試験片および被覆フィルムに付着している菌をSCDLP培地(9.5ml)を用いてシャーレ中に十分に洗い出し、この洗い出した液1ml中の生菌数を寒天平板培養法により測定した。試験は1サンプルにつき3検体で行ない、生菌数は3検体の平均値で算出した。なお、菌としては黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus IFO 12732)および大腸菌(Escherichia coliK12 W3110)の2種を使用した。結果を表1に示す。
実施例1
エーテル系ポリウレタンとエステル系ポリウレタンに前記化合物(1)〜(4)または銀系無機抗菌剤を1phr添加した抗菌ポリウレタンを得た。得られた抗菌ポリウレタンを用いてフィルム密着法に従い抗菌試験を行なった。すなわち、各試験片(5cm×5cm)を、それぞれ滅菌シャーレに入れ、試験面に各接種用菌液0.5mlを接種し、その上に被膜フィルムを被せて蓋をし、37℃、24時間保存した。その後、試験片および被覆フィルムに付着している菌をSCDLP培地(9.5ml)を用いてシャーレ中に十分に洗い出し、この洗い出した液1ml中の生菌数を寒天平板培養法により測定した。試験は1サンプルにつき3検体で行ない、生菌数は3検体の平均値で算出した。なお、菌としては黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus IFO 12732)および大腸菌(Escherichia coliK12 W3110)の2種を使用した。結果を表1に示す。
実施例2
ポリ塩化ビニルに前記化合物(1)〜(4)または亜鉛系無機抗菌剤を添加した0.5質量%防黴塩ビシートを得た。得られた防黴塩ビシートを用いて防黴壁紙性能表示規定で定められた試験方法に従い防黴試験を行なった。すなわち、無機塩類寒天培地が入ったシャーレに壁紙(4cm×4cm)をのせ、混合胞子懸濁液0.5mlを寒天培地と試験片との面に均等にまきかけ、蓋をして、温度28℃で、1週間ごとに9週間、黴の発育状況を観察した。なお、黴には、クロコウジ黴(Aspergillus niger IFO 6341)、アオ黴(Penicillium funiculosum IFO 6345)、ケタマ黴(Chaetomium globosum IFO 6347)、オウレオバシディウム(Aureobasidium pullulans IFO 6353)の4種を混合胞子懸濁液にして使用した。結果を表2に示す。表2中の各記号○、△、×の意味は以下の通りである。
ポリ塩化ビニルに前記化合物(1)〜(4)または亜鉛系無機抗菌剤を添加した0.5質量%防黴塩ビシートを得た。得られた防黴塩ビシートを用いて防黴壁紙性能表示規定で定められた試験方法に従い防黴試験を行なった。すなわち、無機塩類寒天培地が入ったシャーレに壁紙(4cm×4cm)をのせ、混合胞子懸濁液0.5mlを寒天培地と試験片との面に均等にまきかけ、蓋をして、温度28℃で、1週間ごとに9週間、黴の発育状況を観察した。なお、黴には、クロコウジ黴(Aspergillus niger IFO 6341)、アオ黴(Penicillium funiculosum IFO 6345)、ケタマ黴(Chaetomium globosum IFO 6347)、オウレオバシディウム(Aureobasidium pullulans IFO 6353)の4種を混合胞子懸濁液にして使用した。結果を表2に示す。表2中の各記号○、△、×の意味は以下の通りである。
○:混合胞子懸濁液を接種した塩ビシートの部分に菌糸の発育が認められない。
△:混合胞子懸濁液を接種した塩ビシートの部分に認められる菌糸の発育部分の面積は、全面積の1/3を越えない。
×:混合胞子懸濁液を接種した塩ビシートの部分に認められる菌糸の発育部分の面積は、全面積の1/3を越える。
△:混合胞子懸濁液を接種した塩ビシートの部分に認められる菌糸の発育部分の面積は、全面積の1/3を越えない。
×:混合胞子懸濁液を接種した塩ビシートの部分に認められる菌糸の発育部分の面積は、全面積の1/3を越える。
上記表2の結果から明らかなように、前記化合物(1)〜(4)入り防黴塩ビシートは、市販されている亜鉛系無機抗菌剤入り防黴塩ビシートより強い防黴力を示し、特に、前記化合物(1)〜(4)入り防黴塩ビシートでは、培養9週間後においてでも黴の発育が観察されず、防黴力が優れていることがわかる。
参考例1
前記化合物(1)〜(4)の最小発育阻止濃度(MIC)すなわち静菌力を測定し、塩化ベンザルコニウムの静菌力と比較した。最小発育阻止濃度(MIC)の測定は、一般的なブロス希釈法に従い、ニュウトリエントブロスを用いて、菌懸濁濃度106cell/mlとなるように調整した定常期状態の菌液を段階希釈した薬剤溶液と混合し、37℃で、24時間静置培養後、増殖の有無によりMIC値を決定した。なお、供試菌として、グラム陰性菌8種およびグラム陽性菌4種を用いた。結果を表3に示す。
前記化合物(1)〜(4)の最小発育阻止濃度(MIC)すなわち静菌力を測定し、塩化ベンザルコニウムの静菌力と比較した。最小発育阻止濃度(MIC)の測定は、一般的なブロス希釈法に従い、ニュウトリエントブロスを用いて、菌懸濁濃度106cell/mlとなるように調整した定常期状態の菌液を段階希釈した薬剤溶液と混合し、37℃で、24時間静置培養後、増殖の有無によりMIC値を決定した。なお、供試菌として、グラム陰性菌8種およびグラム陽性菌4種を用いた。結果を表3に示す。
上記表3の結果から明らかなように、前記化合物(1)〜(4)は大腸菌を含むグラム陰性菌8種およびMRSAを含むグラム陽性菌4種のいずれの細菌に対しても、同等の強い静菌力を示し、塩化ベンザルコニウムよりも広い静菌スペクトルを有している。
参考例2
前記化合物(1)〜(4)の最小発育阻止濃度(MIC)、すなわち防黴力を測定し、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール(以下、「TBZ」という)の防黴力と比較した。最小発育阻止濃度(MIC)の測定は、一般的なブロス希釈法に従い、前培養した真菌類をそれぞれ湿潤剤添加滅菌水で調整し胞子液を作製した。その各胞子液を段階希釈した薬剤溶液と混合し、27℃で、1週間静置培養後、増殖の有無によりMIC値を決定した。なお、防黴試験には、黴10種を用いた。結果を表4に示す。
前記化合物(1)〜(4)の最小発育阻止濃度(MIC)、すなわち防黴力を測定し、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール(以下、「TBZ」という)の防黴力と比較した。最小発育阻止濃度(MIC)の測定は、一般的なブロス希釈法に従い、前培養した真菌類をそれぞれ湿潤剤添加滅菌水で調整し胞子液を作製した。その各胞子液を段階希釈した薬剤溶液と混合し、27℃で、1週間静置培養後、増殖の有無によりMIC値を決定した。なお、防黴試験には、黴10種を用いた。結果を表4に示す。
本発明の抗菌・防黴性樹脂組成物は、従来の第4級アンモニウム塩化合物よりも細菌類の繁殖を抑制し、広い抗菌スペクトルを示す他に、真菌類に対しても防黴効果を有する一般式(1)で表される化合物を高分子樹脂に含有させているため、健康・衛生面で抗菌、防黴性が要求される分野に広範囲に利用することができ、細菌類、真菌類に起因する非衛生的な状態の改善が期待される。
Claims (4)
- 前記一般式(1)において、R1およびR4は、ピリジン環の3または4位置に結合しているメチレン基であり、R2およびR5は、水素原子であり、R3は、テトラメチレン基であり、R6は、オクチル基、デシル基およびドデシル基から選ばれる基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはOSO2R7基(R7は、低級アルキル基若しくは置換或いは無置換のフェニル基である)である請求項1に記載の抗菌・防黴性樹脂組成物。
- 高分子樹脂100質量部あたり前記一般式(1)で表される化合物を0.001〜10質量部含有する請求項1に記載の抗菌・防黴性樹脂組成物。
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JP2011231431A (ja) * | 2010-04-28 | 2011-11-17 | Dainippon Jochugiku Co Ltd | 繊維製品の抗菌・抗ウイルス処理方法 |
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-
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- 2004-07-08 JP JP2004201726A patent/JP2006022217A/ja active Pending
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