JPH09324070A - 抗菌性組成物 - Google Patents

抗菌性組成物

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JPH09324070A
JPH09324070A JP14289896A JP14289896A JPH09324070A JP H09324070 A JPH09324070 A JP H09324070A JP 14289896 A JP14289896 A JP 14289896A JP 14289896 A JP14289896 A JP 14289896A JP H09324070 A JPH09324070 A JP H09324070A
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JP
Japan
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antibacterial
synthetic polymer
ammonium salt
carbon atoms
quaternary ammonium
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JP14289896A
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English (en)
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Kana Arimori
奏 有森
Hideyuki Yokota
英之 横田
Masahiro Seko
政弘 世古
Masakazu Tanaka
昌和 田中
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性、安全性に優れた抗菌性組成物を提供
する。 【解決手段】 合成高分子に有機酸−アンモニウム塩化
合物を含有せしめたことを特徴とする抗菌性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗菌性組成物に関す
るものであり、合成高分子に有機酸−第4級アンモニウ
ム塩化合物を含有せしめることにより、合成高分子に耐
久性のある抗菌性を、可塑性とともに付与するものであ
る。本発明における抗菌性組成物は、例えば食品包装用
フィルムをはじめ種々の抗菌グッズ、各種治療用カテー
テル及び院内感染防止材等のような健康・衛生・医療等
の分野に広範囲に利用することができるものである。
【0002】
【従来の技術】従来より細菌感染や腐敗を防止する目的
で、有害な微生物から防御するため、多くの方面で種々
のタイプの抗菌剤が使用されている。この場合の抗菌剤
の理想とする要件としては、 1. 広い抗菌スペクトル 2. 高い滅菌率と長時間の耐久性 3. 有機化合物による抗菌性阻害がみられないこと 4. 高い化学安定性 5. 動物細胞に対して、低毒性かつ低刺激性であること 6. 使用法が簡単であること 7. 無色、無臭であること 8. 低価格であること 等を具備することが重要であるが、これら全てを満足で
きる抗菌剤は未だ開発されていないのが現状である。
【0003】従来の抗菌剤においては、上記の要求特性
のうちで、特に耐久性に関して問題があることが多い。
例えば、アンモニウム塩をポリマーに添加することによ
り抗菌性を付与されたポリマーについては、特公平4−
25301、特公平3−64143、特公平6−118
13などに開示されている。しかし、これらはポリマー
にアンモニウム塩のみを添加するものであり、抗菌剤の
流出が起こりやすく、したがって長期間において抗菌性
を維持するのは困難なものである。上記のような問題点
を解決するため、最近の抗菌剤の改良の方向としてはポ
リマー主鎖又は側鎖に抗菌剤を固定化する試みが広く試
みられている。こうした固定化型抗菌剤としては、ポリ
エステル、ポリビニル等のポリマー鎖に、抗菌成分がペ
ンダント型に固定化されたものが報告されている。例え
ば、ポリビニル鎖に固定化されたアルキルピリジニウム
塩又はアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩[Ma
kromol.Chem.,185,869(198
4);Appl.Environ.Microbio
l.,47,88(1984);Makromol.C
hem.Suppl.,9,25(1985)]、ビグ
アナイト類が側鎖に固定化されたポリアクリレート又は
ポリメタアクリレート[Antimicrob.Age
nts Chemother.,26,139(198
4);同.,30,132(1986)]、更には、第
4級アンモニウム塩が主鎖に組入れられたポリアミド
[Makromol.Chem.,187,333(1
986)]等が報告されている。しかし、これらの抗菌
剤はいずれも主鎖と共有結合を介してアンモニウムカチ
オンを有するため、ポリマーが着色しやすく、さらに抗
菌性を有する官能基がポリマー鎖中に存在するためその
抗菌能がポリマー鎖の運動に支配され、抗菌性が十分に
は発揮されにくい等の欠点を持つ。加えて耐久性、毒性
等の問題も解決されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
事情に鑑みなされたものであり、その目的は抗菌性が良
好なことは勿論のこと、その効果が長時間持続され、安
全性も高く、更に優れた機械的性質を有する抗菌性を有
する合成高分子組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな課題を解決するために、抗菌性に優れることの他
に、抗菌性の持続性、安全性、機械的性質の点に優れた
抗菌性組成物を得るべく鋭意研究した結果、有機酸と第
4級アンモニウム塩とのイオン錯体を用いることにより
抗菌剤の流出が起こりにくいことを見出し、本発明に到
達した。すなわち本発明は、合成高分子に有機酸−第4
級アンモニウム塩化合物を含有せしめたことを特徴とす
る抗菌性組成物である。また上記有機酸−第4級アンモ
ニウム塩化合物が前記化1の構造を有していることが好
ましく、上記合成高分子がポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタ
ン、ポリエステル又はポリアミドのいずれかであること
が好ましい。更に上記合成高分子に可塑剤を含有せしめ
るのが好ましく、特に合成高分子がポリ塩化ビニル又は
ポリ塩化ビニリデンであって、かつ可塑剤がフタル酸エ
ステル系可塑剤又は脂肪族エステル系可塑剤であること
が好ましい。
【0006】本発明の抗菌性組成物は、合成高分子に有
機酸−第4級アンモニウム塩化合物を含有せしめて得ら
れるものである。本発明において含有せしめるとは、合
成高分子に有機酸−第4級アンモニウム塩化合物が均一
に含有される状態に至らしめることを意味するものであ
る。したがって、有機酸−第4級アンモニム塩化合物と
合成高分子とを単に混合する場合も含まれるし、それ以
外にも例えば、有機酸−第4級アンモニウム塩化合物が
合成高分子に化学的に固定化される場合や、両者が共有
結合されている場合も包含される。この中で、特に化学
的な結合によらない通常の混合による方法が、抗菌剤の
流出阻止および抗菌性の効果の両面から好ましいもので
ある。また、有機酸−第4級アンモニウム塩化合物と合
成高分子との混合方法についても特に限定されず、各々
が可溶な溶媒中で各々の溶液を混合する方法や、合成高
分子の原料となるモノマーと有機酸−第4級アンモニウ
ム塩化合物とを混合した後モノマーを重合させて合成高
分子を形成させる方法、更にその他の方法、のいずれを
利用してもよい。本発明において有機酸−第4級アンモ
ニウム塩化合物とは、酸性有機化合物と第4級アンモニ
ウム化合物のイオン性複合体を意味するものである。こ
こで酸性有機化合物としては例えばカルボキシル基含有
有機化合物、スルホン酸基含有有機化合物、ホスホン酸
含有有機化合物等が挙げられ、さらに具体的には、例え
ば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、スクシン酸、アジピン
酸等の脂肪族カルボン酸、安息香酸、フタル酸、トリメ
リット酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、メタンス
ルホン酸、エタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸、ベ
ンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、ベンゼンホス
ホン酸等の芳香族ホスホン酸などが例示される。また、
これらの酸性基が複数個含まれる化合物であってもよい
し、他の官能基が含まれる化合物であってもよい。一
方、第4級アンモニウム化合物としては、例えば、テト
ラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ト
リエチルドデシルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム
などが例示されるが、本発明においてはこれらの化合物
に特に限定されるものではない。上記の有機酸−第4級
アンモニウム塩化合物において、前記化1で示される化
合物が可塑効果とポリマーとの相溶性の観点から特に好
ましいものである。前記化1で表わされる有機酸−第4
級アンモニウム塩化合物におけるR1 及びR2 に関して
は、直鎖又は分枝した炭素数3〜18のアルキル基が挙
げられる。このアルキル基の炭素数は、好ましくは4〜
15、更に好ましくは5〜12である。エステルを形成
するアルキル基R1 および/またはR2 の炭素数が18
よりも多い場合は抗菌剤の合成高分子に対する可塑効果
が低下し、3よりも少ない場合は、水洗等行なうことに
より溶出し易くなり、抗菌効果を長期にわたり維持する
ことが困難になると同時に、溶出による毒性の点も問題
となる。一方アンモニウム側の炭化水素基であるR3
4 、R5 およびR6 に関しては、炭素数1〜20の直
鎖又は分枝したアルキル基又は炭素数7〜20のアラル
キル基又は炭素数6〜15のアリール基である。これら
のうち少なくとも一つが炭素数6以上のアルキル基であ
り、このアルキル基の炭素数は好ましくは10以上、更
に好ましくは12以上である。また、例えばベンジル基
のようなアラルキル基であっても良い。なおR3
4 、R5 およびR6 はそれぞれが同一であっても異な
っていてもよい。
【0007】本発明における有機酸−第4級アンモニウ
ム塩の合成高分子への添加量は構造によっても異なるが
一般には、基材ポリマー100重量部に対し、0.05
〜25重量部(以後、基材ポリマー100重量部当たり
の添加重量部数をphrと略記する)であり、好ましく
は0.2〜20phr、更に好ましくは0.5〜15p
hrである。前記化1の抗菌剤の添加量が好ましい範囲
以下になると十分な抗菌性が発揮できず、逆に好ましい
範囲を超えると抗菌剤が表面にブリーズ・アウトし易く
なり、安全性の点で問題が生じる。
【0008】本発明に用いられる合成高分子としては、
例えば、ポリ塩化ビニル(以後、PVCと略記する)、
ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン等あるいはポリスチレン−ブタジエン共重合体等が例
示されるが、特にこれらに限定されるのではなく、それ
以外の合成高分子にも適用できるものである。前記の合
成高分子のうち、理由は明確ではないが、特にPVCま
たは塩化ビニリデンを用いた場合、上記有機酸−アンモ
ニウム塩化合物、特に前記化1の化合物とポリマーとの
相溶性に優れ、抗菌性を十分に発揮しやすくなる。ま
た、上記有機酸−アンモニウム塩化合物、特に前記化1
の化合物を添加することにより、ポリマーの持つ特有な
物性を損なうことはない。更に、PVCは汎用ポリマー
として特に用途が広く、広汎な分野に本発明の技術を容
易に展開できることからも有用である。また、上記抗菌
剤を合成高分子に含有せしめた組成物(以後、組成物と
略記する)の抗菌性は、合成高分子の結晶性を下げる適
当な可塑剤を同時に含有せしめることにより相剰効果を
発揮し、抗菌剤の添加量が少量でも十分な抗菌効果を発
揮することが可能となる。
【0009】上記の抗菌剤と相剰効果を発揮する可塑剤
としては、各々の合成高分子に対して相溶性が高く高分
子の結晶性を下げる作用のあるものであれば高分子量物
質、低分子量物質いずれでも有効であるが、最も好まし
い合成高分子であるPVCまたはポリ塩化ビニリデンを
用いた場合の可塑剤の具体例としては、例えばジー2ー
エチルヘキシルフタレート(以後、DOPと略記する)
及びジーnーオクチルフタレート等のフタル酸エステル
系、アジピン酸と炭素数2〜8のジオールから得られる
脂肪族ポリエステル等が例示されるが、ポリマーとの相
溶性、可塑効果を考慮するとジー2ーエチルヘキシルフ
タレート及びジーnーオクチルフタレートを用いること
が特に好ましい。これら可塑剤の使用量は1〜120p
hrであり、好ましくは5〜110phr、更に好まし
くは10〜100phrである。これ以下の添加量では
可塑効果が十分に発揮されにくく、これ以上の添加量で
は溶出物が多くなりやすいため好ましくない。
【0010】これらの可塑剤及び抗菌剤と合成高分子と
の混和は、例えば次の様な方法が例示されるが、特にこ
れらの方法に限定されるものではなく、他の方法も利用
できるものである。 可塑剤、抗菌剤、合成高分子、必要に応じてその他の
添加剤(安定剤等)、各々が可溶な溶媒に各々を溶解し
て溶媒を揮発させる方法。 固体状態の合成高分子に可塑剤、及び抗菌剤を加えて
一定時間混合撹拌(PVCの場合を例にとれば、混錬り
装置により条件は大きく異なるが、リボンブレンダーを
用いる場合は、70〜100℃で10分〜120分間混
合撹拌する)することにより、可塑剤、及び抗菌剤、必
要に応じてその他の添加剤(安定剤等)を合成高分子に
吸収させた後、造粒機でペレット化する方法。 上記の方法では、各成分を溶解した溶液を、抗菌性が
必要な場所(壁、柱、タイル等)や用具(尿道カテーテ
ル、無菌ブース、フィルム等)にコーティングし、溶媒
を揮発させることにより、無菌性が必要な場所や用具の
表面に抗菌性を付与することができる。また、上記の
方法で得られたペレットは、溶融状態で所望の形態(フ
ィルム、チューブ、カテーテル等)に成形することがで
きる。
【0011】
【発明の実施の形態】上記のようにして本発明の抗菌性
組成物が得られる。詳細な機構は明らかではないが、合
成高分子、特にPVCまたはポリ塩化ビニリデンとの相
溶性に優れ、特にフタル酸エステル系の可塑剤と併用し
た場合は、少量の添加で十分な抗菌性を発揮すると同時
に、PVCに対して抗菌剤の相溶性が優れているため、
溶出も制御され、安全性の点でも優れた抗菌性組成物を
得ることができる。
【0012】優れた抗菌性、低溶出性及び良好な機械的
特性を持つ本発明の抗菌性組成物の特徴を生かして、該
組成物自身を上記の様に成型・加工し、フィルム、チュ
ーブ及び各種の医療用カテーテル等として抗菌性が要求
される分野に利用できる。また該組成物を適当な溶媒や
塗料溶液に溶解し、抗菌性の必要な箇所に塗布すること
によって抗菌性を付与することもできる。該組成物の具
体的用途としては、例えば、台所、風呂場、トイレ、食
品工場及び病院等の壁紙や床材、食品包装用フィルム、
クリーンブース用フード、抗菌塗料、繊維の表面加工に
よるオムツ、マスク、ガーゼおよび生理用品等の衛生用
品、尿道カテーテル、高カロリー輸液チューブ等の各種
カテーテル類が挙げられるが、特にこれらに限定される
ものではない。
【0013】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明は特にこれらに限定されるものではない。なお実施
例中、部とあるのはすべて重量部を表す。 <実施例1>5−スルホイソフタル酸ジ−n−オクチル
ナトリウム71.6部を水700部に溶解し、塩化ベン
ザルコニウム50.0部を水500部に溶解した溶液を
室温で滴下し、1時間反応させた。反応後ジエチルエー
テルを用いて生成物を抽出した。溶媒をエバポレーター
で留去し、乾燥させて、イソフタル酸ジ−n−オクチル
とアンモニム塩との錯体(この化合物を錯体Aとする)
100部を得た。
【0014】次いで、重合度1000のPVC100部
に対し、DOP60部、エポキシ化ダイズ油5部、錯体
A2部、ステアリン酸亜鉛0.2部及びステアリン酸カ
ルシウム0.3部の割合で混合し、この混合物を蒸気加
熱式8インチミキシングロール(ロール温度150〜1
60℃)を使用して10分間混練してポリ塩化ビニル組
成物を作った。この際、ミキシングロールからポリ塩化
ビニル組成物をシート状に引き出し、0.5mm厚のシ
ートを作成した。プレス条件はプレス温度160〜17
0℃にてプレス時間3分間及び圧力100〜150kg
/cm2 、冷却時間5分間及び圧力130〜150kg
/cm2 で行った。このようにして得られたフィルムを
フィルムAとする。フィルムA及び上記の配合で錯体A
を添加しないフィルムa(比較例)の抗菌性、安全性及
び溶出物試験を以下に示す方法で評価した。結果は後記
表1に示した。
【0015】<抗菌性試験>ブロース液(滅菌生理食塩
水で50倍希釈)で細菌数を約1×107 個/mlに調
製した黄色ブトウ球菌液(以下この菌懸濁液を菌原液と
呼ぶ)を調製した。この菌原液の細菌数は次のように測
定した。原液を104 倍に希釈した後100μlを普通
寒天板に播き、24時間後に形成されたコロニー数を計
測した。このコロニー数をN個とすると、菌原液中の細
菌数Cは、 C=104 ×N/0. 1=105 ×N[個/ml] と示される。この菌原液10μlをあらかじめ5cm×
5cmに裁断してエチレンオキシドガス滅菌し、滅菌シ
ャーレ上に置いたフィルムA上に滴下し、同じ大きさの
滅菌済市販食品包装用ラップを密着させて覆って37℃
で24時間培養した。培養後、被覆ラップを剥離して、
フィルムAと被覆ラップからSCDLP培地10mlを
用いて菌を洗い出し、10倍に希釈して普通寒天培地に
播いた。24時間後普通寒天培地上に形成された黄色ブ
ドウ球菌のコロニー数を計測した。このコロニー数を
N’個とすると、25cm2 フィルムAとの接触後の菌
数Na は次式で与えられる。 Na =102 ×N’ フィルムAと接触する前の菌原液の細菌数は前記Cの通
りであり、使用した原液は10μlであるから、フィル
ムA接触前の菌数Nb は Nb =103 ×N となる。25cm2 の大きさのフィルム上でのNb →N
a の個数変化を後記表1に示した。接触によって菌数が
減少することはフィルムの抗菌性が発揮されていること
を示すものである。また、フィルム表面積100cm2
に対してPBS(−)100mlを加え、PBS(−)
を一日毎に交換しながら、37℃で14日間処理した後
の抗菌性についても上記の方法で測定して抗菌剤の耐久
性を評価した。
【0016】<安全性試験>乾燥ブイヨン(日水製薬
製)1.5gを蒸留水50mlに加温溶解し、121℃
で20分間高圧蒸気滅菌して調製した液体培地で黄色ブ
ドウ球菌を培養し、菌数が7. 5×108 個/mlにな
るように調製した細菌懸濁液100μlを直径9cmの
滅菌シャーレ中の普通寒天地上に播き、滅菌コンラージ
棒を用いて均一に塗布した。この寒天培地に予めエチレ
ンオキサイドガス滅菌した直径5cmの円形試験フィル
ムを中央に貼付し、37℃で24時間培養した後、フィ
ルムの辺縁に発生する溶出した抗菌剤に起因する菌の発
育阻止帯のフィルム辺縁からの距離を測定した。発育阻
止帯がないか非常に小さいことは溶出が少なく、フィル
ムと接触した部分のみ特異的に抗菌作用が働いており、
安全性が高いことを示すものである。
【0017】<溶出物試験>試験フィルムを表面積が1
00cm2 になるように裁断して200mlの三角フラ
スコに採り、PBS(−)100mlを加え、37℃で
24時間抽出した。この抽出液を用い、透析型人工腎臓
装置承認基準(薬発494号)の抽出物試験中の過マン
ガン酸カリウム還元性物質に準拠して、フィルムを用い
ずに実施した空試験の0.01N過マンガン酸カリウム
液の消費量との差を求めることにより試験フィルム自体
における過マンガン酸カリウム液の消費量を算出した。
この数値が小さいことはPBS(−)中に溶出する物質
が少なく安全性の高いことを示すものである。なお、透
析型人工腎臓装置承認基準の過マンガン酸カリウム還元
性物質において定められた規格値は1ml以下である。
【0018】
【表1】 表中N. D. は100個/25cm2 未満であることを
意味している。表1の結果から明らかなように、本発明
の実施例は優れた抗菌性及び溶出による耐久性を有して
いる。溶出量も非常に少なく、安全性の点でも優れてい
ることを示している。
【0019】<実施例2>各種の5−スルホイソフタル
酸ジアルキルナトリウムと塩化ベンザルコニウムを実施
例1と同様に反応させて、5−スルホイソフタル酸ジア
ルキルナトリウムと塩化ベンザルコニウムからなる種々
の錯体、即ち、5−スルホイソフタル酸ジアルキルのア
ルキル基が、メチル基(錯体B)、エチル基(錯体C)
(以上比較例)、ブチル基(錯体D)、ヘキシル基(錯
体E)及び2−エチルヘキシル基(錯体F)(以上、実
施例)を得た。錯体B〜Fを用いて、実施例1と同様に
して、フィルムB〜Fを得た。これらのフィルムを用い
て、実施例1と同様に試験した結果を後記表2に示し
た。また、フィルムに成型した場合の着色度を目視によ
って観察し、5段階で評価した。
【0020】
【表2】 表中N. D. は100個/25cm2 未満であることを
意味している。また、着色度は以下の基準によって評価
した。 1:全く着色していない 2:殆ど着色していない 3:やや着色している 4:着色している 5:著しく着色している 表2の結果から明らかなように、置換基の炭素数の多い
実施例においては優れた抗菌性及び耐久性を有し、過マ
ンガン酸カリウム消費量も規格内にある。これに対し、
置換基の炭素数の少ない比較例においては、溶出後の抗
菌性が著しく低下すると同時に、過マンガン酸カリウム
消費量に関しても規格値を越えており、実施例と比較し
て抗菌剤が溶出し易いことを示している。また、フィル
ムの着色度からみてフィルムB,Cは著しく着色してお
り、抗菌剤の熱安定性が低いことを示している。これに
対してブチル基以上の炭素数の多い置換基を有する前記
化1に示したような態様の抗菌剤を添加した場合におい
ては、成型したフィルムの着色度が低くなっており、熱
安定性に優れることを示している。
【0021】<実施例3>PVC100部に対し、実施
例1において得られた錯体Aを0. 01部、0.05
部、0. 5部、1. 0部、10部、15部、25部及び
30部添加し、各々に対しDOP30部の割合で混合
し、テトラヒドロフラン(以下、THFと略記する)に
溶解して、10%THF溶液を作成し、この溶液を水平
に保ったガラス板上に展開し、厚み0. 5mmのテスト
フィルムを得た。これらのフィルムを上記錯体Aの上記
における添加量の少ないものからそれぞれ順にG〜Nと
呼ぶ。また、PVC100部に対し、錯体Aを10部添
加したのみ(DOP無添加)のTHF溶液から作成した
フィルムOを作製し、フィルムG〜Oの抗菌性試験及び
溶出物試験を行った結果を後記表3に示した。
【0022】
【表3】 表中N. D. は100個/25cm2 未満であることを
意味している。表3の結果から明らかなように、錯体A
とDOPを添加した系では少量の抗菌剤の添加で優れた
抗菌性及び低溶出性を示した。他方、DOPを添加して
いない系においても抗菌性は確認されたが、DOP添加
系に比較するとその効果はやや低いものであった。以上
のように、本発明の抗菌性組成物は十分な抗菌性及びそ
の耐久性を有しており、DOPの存在によってその効果
が更に高まることが明らかである。
【0023】
【発明の効果】本発明の抗菌性組成物は、基材ポリマー
に有機酸−第4級アンモニウム塩、特に前記化1で表わ
される抗菌剤を添加することで簡便に抗菌性を付与する
ことができ、その性能は長期間の溶出操作後でも維持さ
れ、耐久性に優れると同時に低溶出性のため安全性の点
でも非常に優れている。本発明の抗菌性組成物における
基材ポリマーとしては、特にポリ塩化ビニルまたはポリ
塩化ビニリデンを用いる場合に、優れた抗菌性を発揮す
る。また、ポリ塩化ビニルまたはポリ塩化ビニリデンを
用いた場合は、DOPのような可塑剤を共存させること
により、その抗菌性を更に高める相剰効果をも発現させ
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23/02 KEV C08L 23/02 KEV 27/06 KHE 27/06 KHE 27/08 KHE 27/08 KHE 67/00 KJX 67/00 KJX 75/04 NGB 75/04 NGB 77/00 KKX 77/00 KKX 101/00 101/00 (72)発明者 田中 昌和 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成高分子に有機酸−第4級アンモニウ
    ム塩化合物を含有せしめたことを特徴とする抗菌性組成
    物。
  2. 【請求項2】 有機酸−第4級アンモニウム塩化合物が
    化1で示される化合物であることを特徴とする請求項1
    記載の抗菌性組成物。 【化1】 (式中R1 及びR2 は、炭素数3〜18の直鎖又は分枝
    した同一又は相異なるアルキル基を表わす。また、
    3 、R4 、R5 およびR6 は炭素数1〜20の直鎖又
    は分枝したアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基
    又は炭素数6〜15のアリール基を表わし、それぞれが
    同一であっても異なっていてもよいが、これらのうち少
    なくとも1つは炭素数6以上のアルキル基である。さら
    に、Xはスルホン酸基、カルボキシル基またはホスホン
    酸基を表わす。)
  3. 【請求項3】 合成高分子がポリ塩化ビニル、ポリ塩化
    ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレ
    タン、ポリエステル又はポリアミドのいずれかであるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の抗菌性組成物。
  4. 【請求項4】 合成高分子に可塑剤を含有せしめたこと
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌性組
    成物。
  5. 【請求項5】 合成高分子がポリ塩化ビニル又はポリ塩
    化ビニリデンであって、可塑剤がフタル酸エステル系可
    塑剤又は脂肪族ポリエステル系可塑剤である請求項1〜
    4のいずれかに記載の抗菌性組成物。
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