JP3353869B2 - 抗菌性組成物 - Google Patents

抗菌性組成物

Info

Publication number
JP3353869B2
JP3353869B2 JP00542896A JP542896A JP3353869B2 JP 3353869 B2 JP3353869 B2 JP 3353869B2 JP 00542896 A JP00542896 A JP 00542896A JP 542896 A JP542896 A JP 542896A JP 3353869 B2 JP3353869 B2 JP 3353869B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibacterial
synthetic polymer
plasticizer
carbon atoms
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP00542896A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09194629A (ja
Inventor
昌和 田中
政弘 世古
英之 横田
重次 小長谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP00542896A priority Critical patent/JP3353869B2/ja
Publication of JPH09194629A publication Critical patent/JPH09194629A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3353869B2 publication Critical patent/JP3353869B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗菌性組成物に関す
るものであり、合成高分子にホスホニウム塩化合物を用
いることにより、合成高分子に耐久性のある抗菌性を、
可塑性とともに付与するものである。本発明における抗
菌性組成物は、たとえば食品包装用フィルムをはじめ種
々の抗菌グッズ、各種治療用カテ−テル及び院内感染防
止等のような健康・衛生・医療等の分野に広範囲に利用
されうるものである。
【0002】
【従来の技術】従来より細菌感染や腐敗を防止する目的
で、有害な微生物からの防御のため、多くの方面で種々
のタイプの抗菌剤が使用されている。この場合の抗菌剤
の理想とする要件としては、 1.広い抗菌スペクトル 2.高い滅菌率と長時間の耐久性 3.有機化合物による抗菌活性阻害がみられないこと 4.高い化学的安定性 5.動物細胞に対して、低毒性かつ低刺激性であること 6.使用法が簡単であること 7.無色、無臭であること 8.低価格であること 等を具備することが重要であるが、これら全てを満足で
きる抗菌剤は未だ開発されていないのが現状である。
【0003】これらの要求特性のうちで、特に耐久性に
関して問題があることが多い。これは一般にモノマ−型
抗菌剤は水や有機溶媒に対する溶解性が高く、使用中に
溶出してその抗菌性が失活するためである。従って、最
近の抗菌剤の改良の方向は、ポリマ−の主鎖又は側鎖に
抗菌剤を固定化する試みが広く試みられている。固定化
型抗菌剤としては、ポリエステル、ポリビニル等のポリ
マ−鎖に、抗菌成分がペンダント型に固定化されたもの
が報告されている。例えば、ポリビニル鎖に固定化され
たアルキルピリジニウム塩又はアルキルジメチルベンジ
ルアンモニウム塩、ピグアナイト類が側鎖に固定化され
たポリアクリレ−ト又はポリメタアクリレ−ト、更に
は、第4級アンモニウム塩が主鎖に組入れられたポリア
ミド等が報告されている。しかし、これらの試みも抗菌
効果、耐久性、毒性等の面で問題を残している。
【0004】一方、ホスホニウム塩化合物も又、種々の
含窒素化合物と同様に、細菌類、真菌類、藻類に対し広
い抗菌スペクトルを持つ化合物としての使用の例が多く
見受けられる。例えば、特開昭57−204286に
は、第4級ホスホニウムクロリドを水に添加することに
よる藻類の繁殖制御について、特開昭63−60903
には、第4級アンモニウム化合物と第4級ホスホニウム
塩の併用に関する抗菌剤混合物について、特開平1−9
3596には、新規なある種のチアゾ−ル−4−イルホ
スホニウム塩が殺菌活性を有する記載があり、さらに特
開平2−240090には、水溶性のトリヒドロキシメ
チルホスホニウム塩の殺生物剤としての組成物について
の記載がある。しかし、これらのホスホニウム塩の使用
法は水、その他の溶剤に溶解して、水処理、農業用途等
の分野で使用されているに過ぎず、高分子材料自体を抗
菌性にする方策については全く記載されていない。特開
平5−310820には、酸性基及びこの酸性基とイオ
ン結合しているホスホニウム塩基を含有する高分子物質
を主体とした抗菌性材料として、不飽和結合を有するス
ルホン酸とホスホニウム塩とのイオン結合複合体をビニ
ル化合物と共重合して抗菌性を獲得する方法や、スルホ
イソフタル酸とホスホニウム塩基との複合体をポリエス
テル中に共重合して抗菌性を獲得する方法等が開示され
ている。しかし、ポリエステル中に共重合された場合、
ホスホニウムイオンの脱離速度が非常に遅くなるためか
抗菌効果が大きく低下する。即ち、合成高分子への抗菌
剤の添加に関して、従来知られているような抗菌剤モノ
マ−を単に練り込み等で添加した場合には、容易に抗菌
剤が溶出し、抗菌効果が短期間で消失すると同時に、抗
菌剤の溶出による毒性が問題となる。他方、抗菌剤を合
成高分子に固定化した場合には、抗菌剤の溶出は確かに
防止できるが、抗菌効果が著しく低下する等の欠点を有
する場合が多く、未だ満足できる抗菌性化には至ってい
ないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
事情に鑑みなされたものであり、その目的は抗菌性が良
好なことは勿論のこと、その効果が長時間維持され、安
全性も高く、更に優れた機械的性質を有する抗菌性を有
する合成高分子組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段としては、合成高分子にホスホニウム塩化合物
を、遊離状態で含有せしめたことを特徴とする抗菌性組
成物である。上記ホスホニウム塩化合物は前記化1の構
造式を有している。好ましい態様は、上記合成高分子が
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステル又はポリ
アミドであることを特徴とする。さらに上記合成高分子
に可塑剤が添加されていることを特徴とし、特に合成高
分子がポリ塩化ビニルまたはポリ塩化ビニリデンであっ
て、かつ可塑剤がフタル酸エステル系可塑剤または脂肪
族ポリエステル系可塑剤であることを特徴とする。
【0007】本発明の抗菌組成物は、合成高分子に対し
てホスホニウム塩化合物を遊離状態で含有せしめて得ら
れるものである。本発明において遊離状態で含有せしめ
るということは、ホスホニウム塩化合物を化学反応等に
より合成高分子に固定化、結合、共重合等を行なうこと
を目的としたものではなく、ホスホニウム塩化合物をフ
リーな状態にて共存させた状態をいう。合成高分子に前
記化1で表わされるホスホニウム塩化合物の具体例とし
ては、スルホン酸エステル側のR1 及びR2 に関して
は、直鎖又は分岐した炭素数3〜18アルキル基があげ
られるが、好ましくは4〜15、更に好ましくは5〜1
2である。エステルを形成するアルキル基(R1 、R
2 )がこの鎖長より上下に外れた場合は、抗菌剤の合成
高分子に対する可塑効果が低下し、その結果として、水
洗その他の条件で溶出し易くなり、抗菌効果を長期にわ
たり維持することが困難となると同時に、溶出による毒
性の点も問題となる。一方ホスホニウム塩側のアルキル
基であるR3 、R4 、R5 およびR6 に関しては、炭素
数1〜20の直鎖又は分岐したアルキル基又は炭素数7
〜20のアラルキル基であり、このうちの少なくとも一
つが炭素数6以上であり、好ましくは10以上、更に好
ましくは12以上である。また、たとえばベンジル基の
様なアラルキル基であっても良い。なおR3 、R4 、R
5 およびR6 はそれぞれが同一であっても異なっていて
もよい。
【0008】合成高分子に前記化1のホスホニウム塩の
合成高分子への添加量は、P(リン原子)含量に換算し
て20〜7000ppmであり、化合物全体の重量分率
での添加量は、構造によっても異なるが一般的には、基
材ポリマ−100重量部に対し、0.05〜25重量部
(以後、基材ポリマ−100重量部当たりの添加重量部
数をphrと略記する)であり、好ましくは0.2〜2
0phr、更に好ましくは0.5〜15phrである。
前記化1の抗菌剤の添加量が好ましい範囲以下になると
十分な抗菌性が発揮できず、逆に好ましい範囲を超える
と抗菌剤が表面にブリ−ズ・アウトし易くなり、安全性
の点で問題が生じる。
【0009】前記化1の抗菌剤(以後、抗菌剤と略記す
る)を添加する合成高分子としては、たとえばポリ塩化
ビニル(以後、PVCと略記)、ポリ塩化ビニリデン、
ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリスチレン−
ブタジエン共重合体等が例示されるが、特にこれらに限
定されるものではなく、今後開発されるであろう合成高
分子にも適用できる。前記の合成高分子のうち、PVC
及びポリ塩化ビニリデンに抗菌剤を必要量添加した組成
物が最も好ましい。抗菌剤を合成高分子に添加した組成
物(以後、組成物と略記する)の抗菌性は、抗菌剤単独
の添加では効果が小さく、合成高分子の結晶性を下げる
適当な可塑剤を同時に添加することにより相乗効果を発
揮し、抗菌剤の少量の添加で十分な抗菌効果を発揮する
ことが可能となる。
【0010】上記の抗菌剤と相乗効果を発揮する可塑剤
としては、各々の合成高分子に対して相溶性が高く高分
子の結晶性を下げる作用のあるものであれば高分子、低
分下を問わず有効であるが、最も好ましい組成物である
PVC及び塩化ビニリデンの場合に用いられる可塑剤の
具体例としては、たとえばジ−2−エチルヘキシルフタ
レ−ト(以下、DOPと略記する)及びジ−n−オクチ
ルフタレ−ト等のフタル酸エステル系、アジピン酸と炭
素数2〜8のジオ−ルからえられる脂肪族ポリエステル
等が例示されるが、ジ−2−エチルヘキシルフタレ−ト
及びジ−n−オクチルフタレ−トを用いることが特に好
ましい。これら可塑剤の使用量は1〜120phrであ
り、好ましくは5〜110phr、更に好ましくは10
〜100phrである。
【0011】これらの可塑剤及び抗菌剤と合成高分子と
の混和は、各々を溶解する溶媒に、合成高分子、抗菌剤
及び可塑剤を適当量溶解した溶液を抗菌性が必要な場所
(壁、柱、タイル、他)や用具(尿路カテ−テル、無菌
ブ−ス、フィルム、他)にコ−ティングし、溶媒を発揮
させることにより、無菌性が必要な場所や用具の表面に
抗菌性を付与する方法及び合成高分子に抗菌剤及び可塑
剤を加え、一定温度、一定時間混合撹拌(PVCの場合
を例に取れば、混練り装置により条件は大きく異なる
が、リボンブレンダ−を用いる場合は、70〜100℃
で10〜120分間混合撹拌する)することにより、抗
菌剤、可塑剤及び各種安定剤等をPVCに吸収させた
後、造粒機を用いてペレット化し、このペレットを用い
溶融状態で所望の形態(フィルム、チュ−ブ、カテ−テ
ル、他)に成形する方法とが挙げられるがこの何れの方
法を用いても良い。
【0012】
【発明の実施形態】このようにして本発明の抗菌性組成
物が得られる。詳細な機構は明らかではないが、合成高
分子、特にPVC及びポリ塩化ビニリデンとの相溶性に
優れ、特にフタル酸エステル系の可塑剤と併用した場合
は、少量の添加で十分な抗菌性を発揮すると同時に、P
VCに対して抗菌剤の相溶性が優れているため、溶出も
抑制され、安全性の点でも優れた抗菌性組成物を得るこ
とができる。
【0013】優れた抗菌性、低溶出性及び良好な機械的
特性を持つ組成物の特徴を生かして、組成物自身を上記
の様に成形・加工し、フィルム、チュ−ブ及び各種の医
療用カテ−テル等として抗菌性が要求される分野に利用
できる。またこの組成物を適当な溶媒や塗料溶液に溶解
し、抗菌性の必要な表面及び箇所に塗布することによっ
て抗菌性を付与することもできる。これら組成物の具体
的用途としては、たとえば台所、風呂場、トイレ、食品
工場及び病院の等の壁紙や床材、食品包装用フィルム、
クリ−ンブ−ス用フ−ド、抗菌塗料、繊維の表面加工に
よるオムツ、マスク、ガ−ゼ及び生理用品等の衛生用
品、尿導カテ−テル、高カロリ−輸液チュ−ブ等の各種
カテ−テル類が挙げられるが、特にこれらに限定される
ものではない。
【0014】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。実施
例中、部とあるのはすべて重量部を表わす。 〈実施例1〉5−スルホイソフタル酸ジ−n−オクチル
ナトリウム5.0部を水200部に溶解し、トリ−n−
ブチルテトラデシルホスホニウムクロリド4.4部を水
200部に溶解した溶液を室温で滴下し、1時間反応さ
せた。反応終了後ジエチルエ−テル200mlを用いて
生成物を抽出した。溶媒をエバポレ−タ−で留去し、乾
燥させて、ホスホニウム塩とイソフタル酸ジ−n−オク
チルとの錯体(この化合物を錯体Aとする)7.7部を
得た。
【0015】次いで、重合度1000のPVC100部
に対し、DOP60部、エポキシ化大豆油5部、錯体A
2部及びステアリン酸亜鉛1部及びステアリン酸カルシ
ウム0.5部の割合で混合し、この混合物を蒸気過熱式
8インチミキシングロ−ル(ロ−ル温度150〜160
℃)を使用して10分間混練してポリ塩化ビニル組成物
を作った。この際、ミキシングロ−ルからポリ塩化ビニ
ル組成物をシ−ト状に引出し、0.5mm厚のシ−トを
作製した。プレス条件はプレス温度160〜170℃に
てプレス時間3分間及び圧力100〜150kg/cm
2 、冷却時間5分間及び圧力130〜150kg/cm
2 で行なった。このようにして得られたフィルムをフィ
ルムAとする。フィルムA及び上記の配合で錯体Aを添
加しない組成物から得られたフィルムa(比較例)の抗
菌性能及び溶出物試験を以下に示す方法で評価した結果
を後記表1に示した。
【0016】〈抗菌性試験〉ブロ−ス液(滅菌生理食塩
水で50倍希釈)で菌数を約1×107 個/mlに調製
した黄色ブドウ球菌液(以下この菌液を菌原液と呼ぶ)
を調製した。この菌原液の濃度は、次のように測定し
た。菌原液を104 倍に希釈した後100μlを普通寒
天版に巻き、24時間後に形成されたコロニ−数を計測
した。このコロニ−数をN個とすると、菌原液の濃度C
は C=104 ×N/0.1=105 ×N〔個/ml〕 と示される。この菌原液10μlを、あらかじめ5cm
×5cmに裁断してエチレンオキサイドガス滅菌し、滅
菌シャ−レ上に置いたフィルムA上に滴下し、同じ大き
さの滅菌済み市販食品包装用ラップを密着させて覆って
37℃で24時間培養した。培養後、被覆ラップを剥離
して、フィルムAと被覆ラップからSCDLP培地10
mlを用いて菌を洗い出し、10倍に希釈して普通寒天
培地にまいた。24時間後普通寒天培地上に形成された
黄色ブドウ球菌のコロニ−数を計測した。このコロニ−
数をN’個とすると、25cm2 フィルムAとの接触後
の菌数Na は次式で与えられる。 Na =102 ×N’ フイルムAと接触する前の菌原液の濃度は前記Cの通り
であり、使用した原液は10μlであるから、フィルム
A接触前の菌数Nb は Nb =103 ×N となる。25cm2 の大きさのフィルム上でのNb →N
a の個数変化を後記表1に示した。接触によって菌数が
減少するということはフィルムの抗菌性が発揮されてい
ることを示すものである。
【0017】〈安全性試験〉乾燥ブイヨン(日水製薬
製)1.5gを蒸留水50mlに加温溶解し、121℃
×20分間高圧蒸気滅菌して調製した液体培地で黄色ブ
ドウ球菌を培養し、菌数が7.5×108 個/mlにな
るように調整した菌液100μlを直径9cmシャーレ
中の普通寒天培地上にまき、コンラ−ジ棒を用いて均一
に塗布した。この寒天培地に、予めエチレンオキサイド
ガス滅菌した直径5cmの円形試験フィルムを中央に貼
付し、37℃で24時間培養した後、フイルムの辺縁に
発生する溶出した抗菌剤に起因する菌の発育阻止帯のフ
ィルム辺縁からの距離を測定した。発育阻止帯がないか
非常に小さいことは溶出が少なく、フィルムと接触した
部分のみ特異的に抗菌作用が働いており、安全性が高い
ことを示すものである。
【0018】〈溶出物試験〉試験フイルムを表面積が1
00cm2 になるように細断して200mlの三角フラ
スコに採り、PBS(−)100mlを加え、37℃で
24時間抽出した。この抽出液を用い、透析型人工腎臓
装置承認基準(薬発494号)の溶出物試験中の過マン
ガン酸カリウム還元性物質に準拠して、フィルムを用い
ずに実施した空試験の0.01N過マンガン酸カリウム
液の消費量との差を測定した。この消費量差が小さいこ
とは、PBS(−)中に溶出する物質が少なく安全性の
高いことを表わす。なお透析型人工腎臓装置承認基準の
過マンガン酸カリウム還元性物質において定められた規
格値は1ml以下である。またPBS(−)を一日毎に
交換し、37℃、14日間抽出した後の抗菌性も上記の
抗菌性試験を用いて測定し、溶出による抗菌剤の耐久性
に関しても試験した。これらの試験結果を表1にまとめ
て記した。
【0019】
【表1】 表中N.D.は100個/25cm2 未満であることを
意味している。表1の結果から明らかなように、本発明
の実施例は優れた抗菌性及び溶出による耐久性を有して
いる。溶出量も非常に少なく、安全性の点でも優れてい
ることを示している。
【0020】〈実施例2〉各種の5−スルホイソフタル
酸ジアルキルナトリウムとトリブチルヘキサデシルホス
ホニウムクロリドを実施例1と同様に反応させて、ホス
ホニウム塩と5−スルホイソフタル酸ジアルキルからな
る種々の錯体、即ち、5−スルホイソフタル酸ジアルキ
ルのアルキル基が、メチル基(錯体B)、エチル基(錯
体C)(以上比較例)、ブチル基(錯体D)及びヘキシ
ル基(錯体E)及び2−エチルヘキシル基(錯体F)
(以上、実施例)を得た。錯体B〜Fを用いて、実施例
1と同様にして、フィルムB〜Fを得た。これらのフィ
ルムを用いて、実施例1と同様に試験した結果を表2に
示した。
【0021】
【表2】 表中N.D.は100個/25cm2 未満であることを
意味している。表2の結果から明かなように、実施例で
は優れた抗菌性及び耐久性を有し、過マンガン酸カリウ
ム消費量も規格内であるのに対し、比較例では溶出後の
抗菌性が著しく低下すると同時に、過マンガン酸カリウ
ム消費量に関しても規格値を越えており、実施例と比較
して抗菌剤が溶出し易いことを示している。
【0022】〈実施例3〉PVC100部に対し、錯体
Aを0.5部、1.0部、5部及び10部添加し、各々
に対しDOP30部の割合で混合し、テトラヒドロフラ
ン(以下、THFと略記する)に溶解して、10%TH
F溶液を作成し、この溶液を水平に保ったガラス板上に
展開し、厚み0.5mmのテストフィルムG〜J及び錯
体Aを10部添加したのみの(DOP無添加)のTHF
溶液から作成したフィルムKの抗菌性試験及び溶出物試
験を行った結果を表3に示した。
【0023】
【表3】 表中N.D.は100個/25cm2 未満であることを
意味している。表3の結果から明らかなように、錯体A
とDOPを添加した系では僅かな量の抗菌剤の添加で優
れた抗菌性及び低溶出性を示した。他方、DOPを添加
しない系においては、一応抗菌性はあるがD0P添加系
に比較するとその効果は著しく低下した。以上のよう
に、本発明の抗菌剤とDOPとは相剰効果があり、DO
Pの存在により抗菌性が著しく高まることが明らかであ
る。
【0024】
【発明の効果】本発明の抗菌性組成物は、基材ポリマ−
に前記化1で表わされる抗菌剤を添加することで簡便に
抗菌性を付与することができ、その性能は長期間の溶出
操作後でも維持され、耐久性に優れると同時に低溶出性
のため安全性の点も非常に優れている。本発明の抗菌性
組成物における基材ポリマ−としては、特にポリ塩化ビ
ニル及びポリ塩化ビニリデンを用いる場合において優れ
た抗菌性を発揮する。またポリ塩化ビニル及びポリ塩化
ビニリデンを用いた場合は、DOPのような可塑剤を共
存させることにより、その抗菌性をより高める相剰効果
も発現させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 75/04 C08L 75/04 77/00 77/00 101/00 101/00 (56)参考文献 特開 平5−295204(JP,A) 特開 昭63−117061(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08K 5/50 C08K 5/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成高分子に下記化1で示されるホスホニ
    ウム塩化合物を、遊離状態で含有せしめたことを特徴と
    する抗菌性組成物。 【化1】 式中、R1 及びR2 は、炭素数3〜18の直鎖又は分岐
    した同一又は相異なるアルキル基を表わす。またR3 、
    R4 、R5 およびR6 は、炭素数1〜18の直鎖又は分
    岐したアルキル基又は炭素数7〜20のアラルキル基を
    表わし、これらのうち少なくとも一つは炭素数6以上の
    アルキル基である。R3 、R4 、R5 およびR6 はそれ
    ぞれが同一であっても異なっていてもよい。
  2. 【請求項2】合成高分子がポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ
    ニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタ
    ン、ポリエステル又はポリアミドである請求項1記載の
    抗菌性組成物。
  3. 【請求項3】合成高分子に可塑剤が添加されていること
    を特徴とする請求項1および2記載の抗菌性組成物。
  4. 【請求項4】合成高分子がポリ塩化ビニルまたはポリ塩
    化ビニリデンであって、可塑剤がフタル酸エステル系可
    塑剤または脂肪族ポリエステル系可塑剤である請求項
    1、2、および3記載の抗菌性組成物。
JP00542896A 1996-01-17 1996-01-17 抗菌性組成物 Expired - Fee Related JP3353869B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP00542896A JP3353869B2 (ja) 1996-01-17 1996-01-17 抗菌性組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP00542896A JP3353869B2 (ja) 1996-01-17 1996-01-17 抗菌性組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09194629A JPH09194629A (ja) 1997-07-29
JP3353869B2 true JP3353869B2 (ja) 2002-12-03

Family

ID=11610918

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP00542896A Expired - Fee Related JP3353869B2 (ja) 1996-01-17 1996-01-17 抗菌性組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3353869B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN117430941B (zh) * 2023-10-10 2024-05-14 佛山市塑派科技有限公司 一种用于除异味抗菌保鲜产品的净化母粒及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09194629A (ja) 1997-07-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI405536B (zh) 用於防止微生物附著之非濾出型界面活性膜組成物
EP0024107B1 (en) A pressure-sensitive adhesive containing iodine
EP0371103B1 (en) Biocidal delivery system and method of preparation thereof
KR950001383B1 (ko) 살균 카페트와 케페트 타일
TW200425835A (en) Polymer emulsions resistant to biodeterioration
US6403113B1 (en) Anti-microbic agent
EP1912683B1 (en) Antimicrobial composition
CA3186859A1 (en) Antimicrobial and biologically active polymer composites and related methods, materials, coatings and devices
EP1014786B1 (en) Anti-microbic agent
JPH10109906A (ja) 工業用抗菌防黴剤
JP3353869B2 (ja) 抗菌性組成物
JPH09324070A (ja) 抗菌性組成物
JPH0892019A (ja) 抗菌性樹脂組成物
US3852436A (en) Biocidal compositions and their method of preparation employing a grapefruit derivative
JP2001279043A (ja) 抗菌性ポリ塩化ビニル系樹脂シート
AU2013245551B2 (en) Non-leaching surface-active film compositions for microbial adhesion prevention
US20240292844A1 (en) Antimicrobial and Biological Active Polymer Composites and Related Methods, Materials, Coatings and Devices
MXPA00000629A (en) Anti-microbic agent
JPH025956A (ja) プラスチック製品の防菌防カビ方法
JPH0687701A (ja) 抗生物質耐性細菌殺菌消毒剤
JP2004508444A (ja) 抗菌性接着性ラテックス、その製造方法及びそれを含むカーペット製品

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070927

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080927

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080927

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090927

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090927

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100927

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100927

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110927

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees