JPH0892019A - 抗菌性樹脂組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 少量の抗菌剤の使用で初期及び長期において
優れた抗菌性が得られると共に、成形時や使用時にの黄
変が抑制された抗菌性樹脂組成物を提供する。 【構成】 合成樹脂、チアゾリン系化合物、ならびに抗
菌性金属化合物もしくは抗菌性金属からなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、抗菌性を有する樹脂組
成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、合成樹脂を素材とする成形品は、
一般に抗細菌性や抗真菌性に優れていると考えられてい
た。しかし、近年、合成樹脂が、かび、酵母、細菌等の
微生物によって被害が受けることが数多く報告されてい
る。これに対して、合成樹脂に抗細菌性を付与するため
に銀イオンや亜鉛イオン等の金属イオンを利用した抗細
菌剤が配合された抗菌抗黴性樹脂組成物（特開平５−４
３４１４号公報）や、合成樹脂に抗真菌性を付与するた
めにチアゾリン系化合物等の有機系化合物が抗真菌剤と
して配合された合成樹脂成形品（特開平４−３２５１９
８号公報）が開示されている。

【０００３】しかしながら、金属イオンを利用した抗菌
剤は効果の持続性が不足するという欠点があり、そのた
めゼオライト等に胆持させたり、表面の一部又は全部を
何らかの物質で被覆することによって効果の持続性を高
めた抗菌剤も提案されているが、依然として抗細菌性能
の持続性は不十分であった。また、金属イオン単独では
かび、酵母等の真菌類に対する効果が小さく、一方、有
機系化合物を抗菌剤として単独で使用した場合、持続性
はある程度認められるものの、初期の抗細菌性能が不十
分であった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記欠点に
鑑みてなされたものであり、その目的は、少量の抗菌剤
の使用で初期及び長期において優れた抗菌性が得られる
と共に、成形時や使用時の変色（黄変）が抑制された抗
菌性樹脂組成物を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】以下に本発明について説
明する。本発明の抗菌性樹脂組成物は、合成樹脂、チア
ゾリン系化合物、ならびに抗菌性金属化合物もしくは抗
菌性金属からなる。

【０００６】上記合成樹脂としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミ
ド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。

【０００７】上記チアゾリン系化合物としては、例え
ば、１，２−ベンズイソチアゾリン−３−オン、５−ク
ロロ−２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オン、２
−メチル−４−イソチアゾリン−３−オン、２−ｎ−オ
クチル−４−イソチアゾリン−３−オン等が挙げられ
る。

【０００８】本発明の抗菌性樹脂組成物において、上記
チアゾリン系化合物の添加量は、少なくなると十分な抗
菌性能が得られず、多くなると成形体の機械的強度が低
下したり、成形時の熱及び使用時の光によって変色する
恐れがあるので、上記合成樹脂１００重量部に対して、
０．０１〜１０重量部に限定される。

【０００９】上記抗菌性金属化合物及び抗菌性金属と
は、一般に抗菌作用を有するものであれば使用可能であ
るが、特に銀、銅、亜鉛の金属イオンを生じるもの、そ
れらの金属、又はそれらの金属の酸化物が好ましく、例
えば、硝酸銀、塩化銀、ヨウ化銀、酸化銀、銀、臭化
銅、硫酸銅、硝酸銅、燐酸銅、亜酸化銅、銅、塩化亜
鉛、ヨウ化亜鉛、酸化亜鉛、亜鉛等が好適に使用され
る。

【００１０】本発明の抗菌性樹脂組成物において、上記
抗菌性金属化合物及び抗菌性金属の添加量は、少なくな
ると十分な抗菌性能が得られず、多くなると成形体の機
械的強度が低下する恐れがあるので、上記合成樹脂１０
０重量部に対して、金属含有量として０．００１〜１０
重量部に限定される。さらに、成形時の熱及び使用時の
光による着色の恐れがある場合は、上記合成樹脂１００
重量部に対して、５重量部以下が好ましい。

【００１１】上記抗菌性金属化合物及び抗菌性金属は、
ゼオライト、シリカゲル等の担体に担持させてもよく、
例えば、銀を担持させたものとして、銀ゼオライト、燐
酸ジルコニウム銀塩、アパタイト銀塩等が挙げられる。

【００１２】本発明の抗菌性樹脂組成物は、必要に応じ
て、着色剤、充填剤、可塑剤、展着剤、紫外線防止剤、
難燃剤、帯電防止剤等が添加されてもよい。

【００１３】本発明の抗菌性樹脂組成物を使用して、例
えば、押出成形、射出成形等の成形方法により成形体を
得ることができる。さらに、高濃度の抗菌剤を含有する
抗菌性樹脂組成物をマスターバッチとして使用してもよ
い。

【００１４】

【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。 （実施例１〜３、比較例１〜４）表１及び２に示した所
定量の、合成樹脂、銀化合物及びチアゾリン系化合物を
配合して抗菌性樹脂組成物を調製し、この抗菌性樹脂組
成物から射出成形によって板状の試験用プレート（３ｍ
ｍ厚×１００ｍｍ×１００ｍｍ）を作製した。

【００１５】〔試験用プレートの抗菌性能評価〕下記の
抗菌性能評価に使用する試験片として、（イ）上記実施
例及び比較例で得られた試験用プレート（初期品）なら
びに（ロ）上記実施例及び比較例で得られた試験用プレ
ート（初期品）を６０℃の温水中に１０日間浸漬して劣
化させた劣化処理品を用いた。

【００１６】１）抗細菌性性能評価 試験菌（細菌）を含むHeart Infusion Broth培地（ＤＩ
ＦＣＯ社製、２５ｇ／ｌ、以下「ＢＨＩ培地」という）
を分注した滅菌シャーレ内に、上記実施例及び比較例で
得られた試験用プレート（初期品）及び（劣化処理品）
を入れて蓋をした。次いで、滅菌シャーレを密封し、３
０℃、１５０ｒｐｍで４時間振とう培養した後、培養後
の試験菌を含むＢＨＩ培地を通常のコロニーカウント法
により測定し、表１及び２に示した。尚、試験菌（細
菌）として、Ｅ．ｃｏｌｉ、Ｍｉｃｒｏｃｏｃｃｕｓ
ｓｐ．を使用した。

【００１７】２）抗真菌性性能評価 寒天のみの培地を分注した滅菌シャーレ内に、上記実施
例及び比較例で得られた試験用プレート（初期品）及び
（劣化処理品）を置き、その試験用プレート上に試験菌
（黴）の胞子懸濁液を含むポテトデキストロース寒天培
地（日水製薬社製、３９ｇ／ｌ、以下「ＰＤＡ培地」と
いう）を滴下した。次いで、滅菌シャーレの蓋をして２
５℃で培養する際に、黴の発育によってＰＤＡ培地が着
色するまでの日数を測定し、表１及び２に示した。但
し、２０日間の観測後も着色が認められない場合は、表
中「−」と記した。尚、試験菌（黴）として、Ｃｌａｄ
ｏｓｐｏｒｉｕｍ、Ｐｈｏｍａ、Ｒｈｏｄｏｔｏｒｕｌ
ａを使用した。

【００１８】３）着色性 上記試験用プレート（初期品）については成形後、上記
試験用プレート（劣化処理品）については劣化処理後に
目視観察し、着色のないものを○、着色のあるものを×
と判定し、表１及び２に示した。

【００１９】

【表１】

【００２０】

【表２】

【００２１】

【発明の効果】本発明の抗菌性樹脂組成物は、合成樹脂
に少量のチアゾリン系抗菌剤、ならびに抗菌性金属化合
物もしくは金属を含有することにより、抗菌性及び抗真
菌性に優れると共に、チアゾリン系化合物ならびに抗菌
性金属化合物もしくは金属を併用することにより、金属
化合物及び金属の添加量を減らすことができるので、成
形時や使用時における着色（黄変）を防止できる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】合成樹脂１００重量部に対して、チアゾリ
   ン系化合物０．０１〜１０重量部、ならびに抗菌性金属
   化合物及び抗菌性金属のうち少なくともいずれか一方が
   金属含有量として０．００１〜１０重量部配合されてい
   ることを特徴とする抗菌性樹脂組成物。