JPH11263703A - 抗菌剤及び抗菌性樹脂組成物 - Google Patents

抗菌剤及び抗菌性樹脂組成物

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JPH11263703A
JPH11263703A JP6664698A JP6664698A JPH11263703A JP H11263703 A JPH11263703 A JP H11263703A JP 6664698 A JP6664698 A JP 6664698A JP 6664698 A JP6664698 A JP 6664698A JP H11263703 A JPH11263703 A JP H11263703A
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JP
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zinc oxide
fine powder
resin
weight
antibacterial
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Application number
JP6664698A
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English (en)
Inventor
Kaoru Kojima
薫 兒島
Eiki Takeshima
鋭機 竹島
Junji Saida
淳治 才田
Hiroshige Nakamura
浩茂 中村
Michio Nakane
通雄 中根
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
Nisshin Steel Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 樹脂中に練り込んだ場合でも少量で優れた抗
菌性を短時間に発現する抗菌剤を提供する。 【構成】 平均粒径1μm以下の酸化亜鉛微粉末を基体
とし、微粉末粒子の個々の表面にAg被覆が形成されて
いる。Ag被覆は、酸化亜鉛微粉末に対して1〜10重
量%の被覆率で乾式法により設けられる。Ag被覆した
酸化亜鉛微粉末を0.1〜1重量%の割合で樹脂に分散
させると、樹脂,塗料,繊維,化粧品等に良好な抗菌性
が付与される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂,塗料,繊
維,化粧品等に対する添加剤や塗布剤として使用され、
優れた抗菌性を発揮する抗菌剤及びこの抗菌剤を配合し
た樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】生活環境の高レベル化に伴って清潔志向
が強くなってきており、抗菌剤によって抗菌性を付与し
た各種生活用品が市販されている。有機系抗菌剤として
は、界面活性剤系,ビグアナイド系,アルコール系,フ
ェノール系,アニリド系,沃素系,イミダゾール系,チ
アゾール系,イソチアゾロン系,トリアジン系,ニトリ
ル系,フッ素系,糖質系,トロポロン系,有機金属系等
が知られている。無機系抗菌剤としては、ゼオライト,
シリカゲル,ガラス,リン酸カルシウム,リン酸ジルコ
ニウム,ケイ酸カルシウム,酸化チタン,酸化亜鉛,シ
リカ,アルミナ等の無機質粉末にAg,Cu,Zn等の
抗菌性金属を担持させた抗菌剤が知られている。
【0003】無機系抗菌剤は、有機系抗菌剤に比較する
と揮発や分解がなく、溶出量も少ないため長期間にわた
って良好な抗菌性が持続する。また、耐熱性にも優れ、
人体に対する安全性も高いことから、広範な分野での使
用が期待されている。なかでも、強い抗菌作用を呈する
Agは、各種の無機系抗菌剤に多用されている。たとえ
ば、ポリオレフィン等の樹脂に無機系抗菌剤を配合した
後、繊維状,フィルム状,線状等の種々の形状に成形加
工することにより、抗菌性を付与したプラスチック製品
として各種用途に使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、無機系抗菌剤
は、抗菌性が効果的に発現し難く、所望の抗菌性を得る
ためには多量使用が必要であった。たとえば、大腸菌,
黄色ブドウ球菌,黒麹黴等に対する抗菌剤自体のMIC
値(菌の最少発育阻止濃度)は、有機系抗菌剤ではそれ
ぞれ15ppm,8ppm,3ppm程度であるのに対
し、無機系抗菌剤ではそれぞれ125ppm,250p
pm,1,000ppm程度と大きく、有機系抗菌剤の
1/10以下の抗菌作用しか得られない。また、無機系
抗菌剤は、有機系抗菌剤に比べて高価である。このよう
な高価な抗菌剤の多量使用は、経済的観点や資源的観点
からしても好ましくない。
【0005】更には、無機系抗菌剤を樹脂中に練り込ん
だ場合、抗菌性が極めて発現し難いことも欠点である。
抗菌性が発現し難い理由は、成形品を透過してくる水分
によってAg,Cu,Zn等の金属がイオン化し、更に
成形品表面まで移動してくるのに長時間かかることが原
因であると考えられている。樹脂中に練り込んだ無機系
抗菌剤の抗菌性を短時間で発現させる方法として、ポリ
オレフィン系樹脂やABS系樹脂に界面活性剤を混合す
ることが特開平8−208945号公報,特開平9−1
2788号公報等で紹介されている。しかし、単に界面
活性剤を混合しただけでは、抗菌性の発現が十分でな
い。また、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子を予
め被覆した無機系抗菌剤を樹脂に配合することが特開平
9−49638号公報で紹介されているが、水溶性高分
子の被覆によっても依然として抗菌性の発現が十分でな
い。
【0006】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、酸化亜鉛の微粉末にAg又はAg
合金を被覆することにより、樹脂中に練り込んだ場合で
も少量で優れた抗菌性を短時間に発現する抗菌剤を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の抗菌剤は、その
目的を達成するため、平均粒径1μm以下の酸化亜鉛微
粉末を基体とし、微粉末粒子の表面にAg又はAg合金
の被覆が形成されていることを特徴とする。Ag又はA
g合金の被覆は、酸化亜鉛微粉末に対してAg換算で1
〜10重量%の被覆率で乾式法により設けることが好ま
しい。Ag又はAg合金(以下、Agで代表させる)を
被覆した酸化亜鉛微粉末を樹脂,塗料,繊維,化粧品等
に適当量添加することにより、得られる成形品,塗膜等
に良好な抗菌性が付与される。抗菌性の発現には、成形
品や塗膜中の主たる成分,たとえば樹脂100重量部に
対してAg被覆酸化亜鉛微粉末を0.05〜3重量部含
有させることが好ましい。また、溶媒に分散させたAg
被覆酸化亜鉛微粉末を対象物の表面にスプレーすると、
その表面を抗菌化することも可能である。
【0008】
【作用】本発明者等は、樹脂に練り込まれる抗菌剤につ
いて種々調査・研究した結果、抗菌剤の粒径が小さくな
るほど、短期間で優れた抗菌剤が発現することを見い出
した。粒径が小さくなるほど粉末の比表面積が大きくな
り活性度が高くなることは一般的に知られているところ
であるが、微粉末として粒径1μm以下の酸化亜鉛を選
択し、この微粉末の表面をAg被覆するとき、樹脂に対
する均一分散性が向上することは勿論、Agの溶出量も
増加することを解明した。その結果、樹脂に練り込む抗
菌剤の配合比を減らしても、十分な抗菌性が短時間で発
現される抗菌剤となる。また、抗菌性だけでなく、胞子
類の成長を抑制する防カビ性も得られる。以下の説明で
は、防カビ性を「抗菌性」に包含させて説明している。
【0009】Ag被覆した酸化亜鉛微粉末を抗菌剤とし
て使用するとき、Agの溶出量が多くなることは次のよ
うに推察される。たとえば、平均粒径が0.8μmの酸
化亜鉛微粉末は、比表面積が約7m2 /gと大きく、
0.1〜1重量%と少量の配合比で樹脂に練り込んでも
極めて均一に分散する。しかも、酸化亜鉛微粉末の表面
にAg被覆が設けられているので、樹脂に対するAgの
単位重量当りの接触面積も大きくなる。更には、Agの
溶出に酸化亜鉛が触媒的な働きをしていることも一因と
考えられる。
【0010】これに対し、平均粒径が数μmの多孔質ゼ
オライトや多孔質シリカゲル等では、粒径が大きく、樹
脂等への分散性が悪い。しかも、担持されたAgは、ゼ
オライトやシリカゲルの多孔質構造内部に取り込まれて
いるため、樹脂に対する単位重量当りの接触面積もそれ
ほど大きくならない。そのため、抗菌性発現に必要なA
gの溶出量を確保するため、配合比を多くすることが強
いられる。
【0011】
【実施の形態】本発明で使用する酸化亜鉛の微粉末は、
蓚酸亜鉛を空気中400℃で加熱分解する方法や、ヒド
ロキシ炭酸亜鉛の加熱分解,金属亜鉛の燃焼等によって
製造される。この種の酸化亜鉛の微粉末は、ゴムの加硫
促進補助剤,塗料原料,顔料原料,絵の具原料,医薬
品,硬質ガラス原料,陶磁器やほうろうの釉薬,有機合
成触媒,電池,電子写真材料,ガスセンサー,フェライ
トコア,印刷用インキ,化粧品等に従来から使用されて
おり、亜鉛華,亜鉛白,ジンサイト,チャイニーズホワ
イト,ジンクホワイト等として市販されている。酸化亜
鉛の微粉末は、単体でも抗菌性を呈するものである(特
開平5−140331号公報,特開平8−59890号
公報参照)が、AgやCuに比較すると極めて弱い抗菌
性である。弱い抗菌性を補うため多量の酸化亜鉛微粉末
を樹脂に練り込もうとすると、耐熱性,耐候性,機械的
性質等の特性が低下する原因になる。そのため、現実的
には、酸化亜鉛微粉末単体は抗菌剤として使用されてい
ない。
【0012】粒径が1μm以下の微粉末にAg被覆を施
す方法としては、本発明者等が開発した粉末スパッタリ
ング法が適している。粉末スパッタリング法は、水を全
く使用しない乾式法であり、流動状態に維持した酸化亜
鉛粉末に向けてAg蒸気をスパッタリングすることによ
り、酸化亜鉛微粉末の表面にAg被覆層を直接形成する
ことができる。たとえば、特開平2−153068号公
報で紹介したように、粉末を入れた容器を回転させるこ
とにより粉末の流動層を維持し、この粉末流動層に所定
金属をスパッタリングする装置が使用される。また、真
空蒸着,イオンプレーティング等によっても、酸化亜鉛
微粉末の表面にAg被覆層が直接形成される。これに対
し、イオン交換法,キレート法,包接化合物法等の湿式
法では、水,アルカリ,酸の何れに対しても酸化亜鉛が
溶けるため、酸化亜鉛微粉末の表面にAgを担持させる
ことはできない。因みに、18℃の水に対する酸化亜鉛
の溶解度は0.42mg/100mlである。また、両
性酸化物である酸化亜鉛は、酸と反応して亜鉛塩とな
り、アルカリと反応して亜鉛酸塩となって水に溶ける。
【0013】酸化亜鉛微粉末に施すAg被覆としては、
Ag単体の外に、Cu,Zn,Sn,Ni,Cr,C
o,Sb,Ti,Al等の1種又は2種以上を含むAg
合金を使用できる。なかでも、防カビ性に効果のあるC
u,チオパチルス菌等の特定の細菌に対して抗菌性を呈
するSn,Ni等を含む合金で酸化亜鉛微粉末を被覆す
ると、Agに由来する抗菌性に加えてこれらの効果を発
揮する抗菌剤となる。ただし、Agの抗菌性を確保する
ため、合金元素の含有量は合計量で10重量%以下にす
ることが好ましい。
【0014】乾式法でAg被覆を施した粒径1μm以下
の酸化亜鉛微粉末は、従来の抗菌剤に比較して極めて大
きな溶出速度を示す。大きな溶出速度は、次のような現
象によるものと推察される。たとえば、Ag被覆酸化亜
鉛微粉末を樹脂に練り込み成形品を得た場合、成形品中
を透過してきた水分によってZnがイオン化し、Agや
Cuに比較して非常に早い速度でZnイオンが成形品表
面に移行する。このZnイオンの移行に伴ってAgイオ
ンの移行も加速される。このような現象は、平均粒径が
1μm以下の酸化亜鉛微粉末の表面に数十Åの厚みでA
gの超微粒子が付着している状態により初めて発現する
ものであり、イオン化したZnが成形品中を移動する際
にAgイオンも巻き込まれるものと考えられる。実際、
Agの微粉末を酸化亜鉛の微粉末と混合しただけでは、
成形品表面へのAgの移行はほとんど進行しない。
【0015】酸化亜鉛微粉末に対するAgの被覆率は、
1〜10重量%(特に3〜7重量%の範囲が好ましい。
被覆率が1重量%に満たないと、担持されるAgの絶対
量が少なくなり、樹脂中に多量のAg被覆酸化亜鉛微粉
末を配合しないと必要な抗菌性が発現しない。Ag被覆
率を多くするほど、樹脂に対するAg被覆酸化亜鉛微粉
末の配合比を減らすことができる。しかし、10重量%
を超える被覆率では、微粉末粒子の全表面をAg被覆が
覆ってしまい、Ag溶出に有効なZnのイオン化反応が
抑制される虞れがある。
【0016】Ag被覆酸化亜鉛微粉末は、樹脂,塗料,
繊維,化粧品等の各種材料に添加又は塗布される。たと
えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,
ABS,ポリエステル,ポリアミド,ポリカーボネー
ト,シリコーン樹脂,フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂に練
り込み、射出成形,押出し成形等で成形するとき、抗菌
性が付与されたプラスチック製品が得られる。また、エ
ポキシ樹脂,フェノール樹脂,尿素樹脂等の熱硬化性樹
脂、アルキッド樹脂,セルロース樹脂,ビニル樹脂等の
塗料用樹脂、アクリル樹脂系やウレタン樹脂系の接着剤
等に添加するとき、抗菌性を付与した各種製品が得られ
る。なお、樹脂に対するAg被覆酸化亜鉛微粉末の配合
比を過度に減らすと、樹脂中にAg被覆酸化亜鉛微粉末
を均一に分散させることが困難になる。
【0017】前記したような種々の熱可塑性樹脂とAg
被覆酸化亜鉛微粉末とを練り込んだ成形品は、Ag被覆
酸化亜鉛微粉末を高濃度に含有する熱可塑性樹脂組成
物、いわゆるマスターバッチを調合した後、マスターバ
ッチを熱可塑性樹脂で希釈し、成形品を得る方法、Ag
被覆酸化亜鉛微粉末を含有する熱可塑性樹脂組成物を希
釈することなくそのまま成形加工する方法等で製造され
る。後者の方法の場合、成形加工前の熱可塑性樹脂組成
物を着色ペレット又はコンパウンドという。マスターバ
ッチ中のAg被覆酸化亜鉛微粉末の量は特に制約される
ものではないが、マスターバッチ自体の製造容易性を考
慮すると、Ag被覆酸化亜鉛微粉末の量を1〜60重量
%,熱可塑性樹脂の量を99〜40重量%にすることが
好ましい。
【0018】マスターバッチを用いる場合、得られる成
形品に抗菌性を発現させるため、熱可塑性樹脂100重
量部に対しAg被覆酸化亜鉛微粉末が0.05〜3重量
部となるようにマスターバッチを熱可塑性樹脂で適度に
希釈すればよく、なかでもAg被覆酸化亜鉛微粉末が
0.1〜1重量部(より好ましくは、0.3〜0.7重
量部)となるようにマスターバッチを熱可塑性樹脂で適
度に希釈することが望ましい。Ag被覆酸化亜鉛微粉末
が0.1重量部より少ないと、樹脂中にAg被覆酸化亜
鉛微粉末を均一に分散させることが困難になるばかりで
なく、Agの絶対量が少なくなるため十分な抗菌性も発
現し難い。一方、Ag被覆酸化亜鉛微粉末を3重量%よ
りも多く配合しても、配合量の増加に見合った抗菌性の
改善がみられず、却って着色,コスト高等の欠点が生じ
る。
【0019】なお、マスターバッチの製造に使用される
熱可塑性樹脂及び希釈用の熱可塑性樹脂は、同種の樹脂
であっても、或いは異種の樹脂であってもよい。すなわ
ち、マスターバッチの汎用性の観点から、ある1種の樹
脂でマスターバッチを製造し、そのマスターバッチを種
々の熱可塑性樹脂で希釈して使用することが好ましい。
マスターバッチと希釈用熱可塑性樹脂との相溶性の観点
からは、同種の樹脂を使用することが好ましい。着色ペ
レット又はコンパウンドを用いて成形品を得る場合に
は、成形品に要求される抗菌性を確保するために必要な
量、すなわち0.05〜3重量部のAg被覆酸化亜鉛微
粉末を熱可塑性樹脂100重量部に配合することが好ま
しい。配合比0.05〜3重量部が好ましい理由は、前
述した場合と同様である。
【0020】マスターバッチを用いる場合及び着色ペレ
ット又はコンパウンドを用いる場合の何れも、その理由
はいまだ詳細に解明されていないが、成形品の主たる成
分となる熱可塑性樹脂の種類によって抗菌性の発現の程
度が若干異なる。たとえば、ABS樹脂では、ポリプロ
ピレン樹脂に比較して抗菌性が若干発現し難いため、ポ
リプロピレン樹脂の場合に比較して多めにAg被覆酸化
亜鉛微粉末を配合することが好ましい。
【0021】Ag被覆酸化亜鉛微粉末を樹脂に混合する
際、酸化防止剤,紫外線吸収剤,光安定剤等を添加する
ことが好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系抗
酸化剤,リン系酸化防止剤,イオウ系酸化防止剤等があ
り、成形加工時の熱による樹脂の劣化を防止する。紫外
線吸収剤には各種のベンゾトリアゾール系化合物があ
り、光安定剤としては各種のヒンダードアミン系化合物
があり、何れも成形品の耐候性を改善する。また、必要
に応じて潤滑剤,顔料,染料,顔料分散剤,静電防止剤
等を添加することもできる。Ag被覆酸化亜鉛微粉末が
添加された樹脂は、Ag被覆酸化亜鉛微粉末を均一に分
散させるため、常法に従って適宜の方法で混練される。
たとえば、熱可塑性樹脂組成物では、バンバリミキサ,
タンブラ,ブレンダ,ナウタミキサ,混練ロール,1軸
又は2軸のベント付きエクストルーダ等により加熱混合
され、押出し機や射出成形器等で所定形状に成形され
る。
【0022】
【実施例】実施例1:微粉末を装入した容器を回転させ
て容器内部に微粉末の流動層を作り、微粉末流動層にス
パッタリングする粉末スパッタリング装置(特開平2−
153068号公報)を用い、市販の酸化亜鉛微粉末
(平均粒径0.8μm,堺化学工業株式会社製)の表面
に被覆率1重量%でAgを被覆層を形成した。ポリプロ
ピレン樹脂(J−740,三井化学工業株式会社製)1
00重量部に対し、Ag被覆酸化亜鉛微粉末を0.1重
量部,酸化防止剤(イルガノックスB−225,チバガ
イギー社製)を0.2重量部,紫外線吸収剤(チヌビン
326,チバガイギー社製)を0.1重量部,光安定剤
(サノールLS−770,三共株式会社製)を0.2重
量部配合し、均一に混練した。得られたコンパウンドを
220℃で射出成形し、厚さ2mm,長さ100mm,
幅100mmのプレートを得た。
【0023】実施例2:実施例1と同じ粉末スパッタリ
ング装置を用い、被覆率5重量%でAgを被覆層を形成
した酸化亜鉛微粉末を得た。ABS樹脂(ABS−1
2,日本合成ゴム株式会社製)100重量部に対し、A
g被覆酸化亜鉛微粉末を0.4重量部,酸化防止剤(イ
ルガノックスB−225,チバガイギー社製)を0.1
重量部,紫外線吸収剤(チヌビン326,チバガイギー
社製)を0.2重量部,光安定剤(サノールLS−77
0,三共株式会社製)を0.3重量部配合し、均一に混
練した。得られたコンパウンドを220℃で射出成形
し、実施例1と同じサイズのプレートを得た。
【0024】実施例3:実施例1と同じ粉末スパッタリ
ング装置を用い、被覆率7重量%でAgを被覆層を形成
した酸化亜鉛微粉末を得た。ポリスチレン樹脂(スチレ
ンG−20,新日鐵化学株式会社製)100重量部に対
し、Ag被覆酸化亜鉛微粉末を0.7重量部,酸化防止
剤(イルガノックスB−225,チバガイギー社製)を
0.1重量部,紫外線吸収剤(チヌビン326,チバガ
イギー社製)を0.2重量部,光安定剤(サノールLS
−770,三共株式会社製)を0.1重量部,酸化チタ
ンを0.5重量部配合し、均一に混練した。得られたコ
ンパウンドを実施例1と同じサイズのプレートに射出成
形した。
【0025】実施例4:実施例1と同じ粉末スパッタリ
ング装置を用い、被覆率10重量%でAgを被覆層を形
成した酸化亜鉛微粉末を得た。ポリカーボネート樹脂
(タフロン−2200,出光石油化学株式会社製)10
0重量部に対し、Ag被覆酸化亜鉛微粉末を1.0重量
部,酸化防止剤(イルガノックスB−225,チバガイ
ギー社製)を0.2重量部,紫外線吸収剤(チヌビン3
26,チバガイギー社製)を0.2重量部,光安定剤
(サノールLS−770,三共株式会社製)を0.1重
量部配合し、均一に混練した。得られたコンパウンドを
実施例1と同じサイズのプレートに射出成形した。
【0026】実施例5:実施例1と同じポリプロピレン
樹脂100重量部に対し、同じくAg被覆酸化亜鉛微粉
末2.5重量部,酸化防止剤5.0重量部,紫外線吸収
剤2.5重量部及び光安定剤2.5重量部を配合し、均
一に混練してマスターバッチを得た。得られたマスター
バッチ4.8重量部を実施例1と同じポリプロピレン樹
脂100重量部で希釈し、220℃で射出成形し、厚さ
2mm,長さ100mm,幅100mmのプレートを得
た。
【0027】比較例1:Ag被覆酸化亜鉛微粉末を配合
しない以外は実施例2と同じ樹脂組成物を調製し、実施
例1と同じサイズのプレートに射出成形した。 比較例2:ABS樹脂(ABS−12,日本合成ゴム株
式会社製)100重量部に対し、Agの還元微粉末(平
均粒径約2μm,高純度化学株式会社製)を0.02重
量部,実施例1と同じ酸化亜鉛微粉末を0.32重量
部,酸化防止剤(イルガノックスB−225,チバガイ
ギー社製)を0.1重量部,紫外線吸収剤(チヌビン3
26,チバガイギー社製)を0.2重量部,光安定剤
(サノールLS−770,三共株式会社製)を0.3重
量部配合し、均一に混練した。得られたコンパウンドか
ら実施例1と同じサイズのプレートを射出成形法で作製
した。
【0028】実施例1〜5及び比較例1,2で得られた
各成形プレートから試験片を切り出し、抗菌性試験及び
防カビ性試験に供した。抗菌性試験は、黄色ブドウ球菌
を用い、銀等無機抗菌剤研究会「銀等無機抗菌剤の自主
規格および抗菌試験法:抗菌・防かび性加工製品の抗菌
力試験法(1995年度版)フィルム密着法」に準じて
行った。試験前後の生菌数をカウントし、生菌数の減少
程度に応じて抗菌性を評価した。防カビ性試験では、直
径90mmの滅菌シャーレに混合胞子懸濁液を0.5m
l接種し、無機塩寒天培地10mlを流し込み、直径3
0mmの円盤状に加工したプレートを固化する直前の培
地中央部に固定し、28±1℃で7日間培養してカビの
発育状況を目視観察で評価した。
【0029】試験結果を表1に示す。なお、表1におけ
る評価基準は、抗菌性又は防カビ性が非常に強いものを
++,抗菌性又は防カビ性があるものを+,抗菌性又は防
カビ性が弱いながらも認められるものを±,抗菌性又は
防カビ性がないものを−とした。表1にみられるよう
に、本発明に従ったAg被覆酸化亜鉛微粉末を練り込ん
だ樹脂成形体は、何れも優れた抗菌性及び防カビ性を呈
していた。また、何れの樹脂成形体も白色〜淡黄色の色
調を呈し、Ag被覆酸化亜鉛微粉末の配合による外観の
劣化はなかった。これに対し、ほぼ同量のAg微粉末及
び酸化亜鉛微粉末を配合した比較例2では、生菌数及び
胞子数の実質的な減少が計測されず、抗菌性及び防カビ
性がなかった。
【0030】
【0031】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の抗菌剤
は、1μm以下の酸化亜鉛微粉末にAg被覆層を形成し
ているのでAgイオンの溶出が促進され、Ag特有の優
れた抗菌性が短時間で発現される。そのため、抗菌剤の
少量配合によっても良好な抗菌性が樹脂に付与され、内
装材,外装材,壁紙,カーペット,ユニットバス,空調
フィルタ,サニタリ−用品,浴用器具,厨房器具,医療
器具,衣料用繊維,靴下,文房具,水処理部品,食品容
器,包装フィルム,抗菌塗装等として広範な分野で使用
される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 才田 淳治 千葉県市川市高谷新町7番1号 日新製鋼 株式会社技術研究所内 (72)発明者 中村 浩茂 千葉県市川市高谷新町7番1号 日新製鋼 株式会社技術研究所内 (72)発明者 中根 通雄 東京都中央区京橋二丁目3番13号 東洋イ ンキ製造株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径1μm以下の酸化亜鉛微粉末を
    基体とし、微粉末粒子の表面にAg又はAg合金の被覆
    が形成されている抗菌剤。
  2. 【請求項2】 酸化亜鉛微粉末に対してAg換算で1〜
    10重量%の被覆率でAg又はAg合金の被覆が乾式法
    で形成されている請求項1記載の抗菌剤。
  3. 【請求項3】 樹脂及び請求項1又は2記載の抗菌剤を
    含む抗菌性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂及び請求項1又は2記載の
    抗菌剤を含む抗菌性を有する成形用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂100重量部に対し、請求
    項1又は2記載の抗菌剤を0.05〜3重量部分散させ
    ている成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20100221486A1 (en) * 2007-04-30 2010-09-02 Pfleiderer Holzwerkstoffe Gmbh & Co.Kg Biocidal composition, and resin compositions, composite materials, and laminates containing the same
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