JPH07252378A - 熱可塑性プラスチックの抗菌防黴組成物 - Google Patents

熱可塑性プラスチックの抗菌防黴組成物

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JPH07252378A
JPH07252378A JP8216894A JP8216894A JPH07252378A JP H07252378 A JPH07252378 A JP H07252378A JP 8216894 A JP8216894 A JP 8216894A JP 8216894 A JP8216894 A JP 8216894A JP H07252378 A JPH07252378 A JP H07252378A
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resin
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Ryuzo Fujita
龍三 藤田
Tomiyoshi Suyama
富義 陶山
Takahiro Muramatsu
高広 村松
Kiyoko Watanabe
季代子 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 【目的】プラスチック練り込み用抗菌防黴剤として練り
込み時の温度にも分解せず、しかもプラスチックの物性
に全く影響を与えることのない優れた抗菌防黴剤であ
る。 【構成】ポリヘキサメチレンビグアナイドを従来使用さ
れている塩酸塩、硫酸塩等の水溶性塩として使用せず、
ポリヘキサメチレンビグアナイドをプラスチックに15
0〜300℃で直接または微粒子無機担持体に担持させ
たもの或いはマスターバッチとしたものを練り込み、半
永久的な抗菌防黴性を付与するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性プラスチック
に抗菌防黴組成物としてポリヘキサメチレンビグアナイ
ドを練り込み長期間、抗菌防黴効力を持続させる抗菌防
黴組成物に関する。更に詳しくは、ポリヘキサメチレン
ビグアナイドを塩酸塩、硫酸塩など水溶性の塩類として
ではなく、水に不溶性のポリヘキサメチレンビグアナイ
ドを、そのまま、又は微粒子無機担持体に担持させたも
の、あるいはそれらのマスターバッチを直接、熱可塑性
プラスチックに練り込みフィルム、成型物等を半永久的
に抗菌防黴効果を持続させる組成物である。
【0002】
【従来の技術】プラスチックのフィルムや成型物に対す
る抗菌防黴剤の処理方法は、抗菌防黴組成物を直接プラ
スチックの表面に加工する方法が一般的であった。しか
し、このような方法では水洗や表面の摩擦等で薬剤が脱
落しやすく、長期間効果を維持することが困難であっ
た。恒久的に抗菌、防黴性を付与する方法として、素材
となるプラスチックに練り込むことが考えられる。
【0003】しかしながら、熱可塑性プラスチックに練
り込みを行なうことはプラスチックの加工温度が高く、
例えば150〜300℃あるいはそれ以上にもなると多
くの有機化合物は、この温度に耐えられず熱分解を伴う
ことが多い。その結果プラスチックへの着色や抗菌防黴
効果の低下、あるいはプラスチックの物性に変化の起こ
ることがあるために実用化が困難であった。このような
ことから、熱に対して安定な銀、銅などの金属をそのま
ま、あるいは、それらを主成分とした化合物を種々の形
態にして応用されているのが従来の方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】プラスチックへの抗菌
防黴加工として、プラスチックの表面加工はプラスチッ
クと薬剤の親和性、浸透性が悪いためたとえ表面に処理
しても、長期間の効果を期待することができない。抗菌
防黴剤を熱可塑性プラスチックの加工時に練り込むこと
は、抗菌防黴組成物の耐熱性の問題及びプラスチックと
の相溶性や物性の変化が障害となって思うような進展が
見られなかった。
【0005】本発明は、以上のような欠点がなくプラス
チックに溶融状態で練り込みを行なっても分解、変色あ
るいはプラスチックに悪影響を与えることが少ない化合
物で、しかも抗菌防黴性に優れた化合物の実用化試験を
おこない、充分に効果の見られる化合物の開発を行なっ
た。一般に有機化合物は酸素、紫外線および熱に対して
影響を受けやすい物質が多い。特に熱に対しては特定な
化合物を除いて分解、変色するものが多い。
【0006】抗菌防黴性を有する有機化合物を構造的に
見ると脂肪族系、芳香族系を問わず窒素、硫黄、ハロゲ
ンを含有する化合物や二重結合、三重結合を持った不飽
和化合物のほかエステル、アルデヒド、フェノール系化
合物あるいは複素環式化合物などは物質の差はあるもの
の酸化、還元の影響を受けやすいものである。本発明
は、以上のような欠点の少ない安定した化合物で、しか
も抗菌防黴効果に優れた化合物の発見のために研究をお
こなった。
【0007】
【課題を解決するための手段】プラスチックを加工する
際の溶融状態で抗菌防黴組成物を練り込むためには、そ
の温度に対する安定性とプラスチックに均一に相溶配合
され、しかも、その化合物がプラスチックフィルムや成
型物の表面に於いて抗菌防黴効力が発揮されなければな
らない。ポリヘキサメチレンビグアナイド系化合物は優
れた抗菌防黴組成物として既に公知の化合物でなる。こ
の化合物は一般には殆ど塩酸塩又は硫酸塩或いは有機酸
塩などとしてのみ使用されている。酸性塩とすることに
よってカチオン性で水に溶解し易くなるので使用が簡単
になる。
【0008】本発明は、ポリヘキサメチレンビグアナイ
ド塩酸塩の如き酸性塩を使用するものでははなく、ポリ
ヘキサメチレンビグアナイドを抗菌防黴組成物として直
接そのままで使用するものである。その理由は、酸性塩
では水への溶解は良いが、プラスチックへの相溶性は逆
に悪くなり、熱分解も起り易くなるほかプラスチックに
も悪影響を与えることが多い。
【0009】例えば、ポリヘキサメチレンビグアナイド
塩酸塩を、ナイロン6に熱時練り込むときは、ナイロン
6が塩酸による加水分解のため低分子化が起る。その結
果、液状化するので使用することができない。しかし、
ポリヘキサメチレンビグアナイドを使用するときはその
ような現象は全く起らずナイロン6にも優れた抗菌防黴
性を付与することができる。このような実験結果から本
発明を完成した。
【0010】本発明化合物であるポリヘキサメチレンビ
グアナイドそのままを熱可塑性プラスチックに練り込み
抗菌防黴組成物として使用された報告はない。本発明で
使用するポリヘキサメチレンビグアナイドは、グアニジ
ン基が2個結合したビグアニド基誘導体のヘキサメチレ
ンビグアナイドが平均12個重合したポリマーである。
このビグアナイド基を有する化合物で抗菌性を有するも
のは数多く知られているが、その殆どが酸付加物として
応用されている。
【0011】従来から使用されているポリヘキサメチレ
ンビグアナイドの塩酸塩または硫酸塩は水溶性の抗菌防
黴組成物で広範囲の抗菌スペクトルを持つカチオン系の
抗菌組成物であるが、界面活性剤の第四級アンモニウム
塩のように泡立ちがなく、抗菌性、防黴性および酵母菌
に対しても優れた効果を有している。しかも、低毒性で
あるために食品加工工場や醸造工場その他一般用殺菌剤
として安心して応用できる抗菌組成物である。
【0012】このポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸
塩の抗菌防黴効力として効力のある微生物群は例えば、
枯草菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑濃菌、黴類には黒
黴、青黴、白癬菌その他酵母菌などに優れた殺菌、阻止
効力を有している。本発明化合物であるポリヘキサメチ
レンビグアナイドは、そのままでは水に溶けないが、酸
性塩と変わらない効力を有している。
【0013】本発明に使用するポリヘキサメチレンビグ
アナイドを得る方法は、ポリヘキサメチレンビグアナイ
ド塩酸塩などの水溶液を撹拌しながら、希釈した水酸化
ナトリウム液を少量宛、加えることによって細かい粒子
となって析出する。この際、反応液相に粒径0.01〜
0.5mmの多孔質の微粒子無機系化合物を共存させる
ときは、使用した担持体に均一に吸着させることができ
る。この分散液をスプレードライヤーによって水分を除
去することによって微粒子担持体に均一に担持させた抗
菌防黴組成物を得ることができる。。
【0014】このようにして得られたポリヘキサメチレ
ンビグアナイドをそのまま、或いは担持体加工物、また
はマスターバッチとしたのちプラスチックに練り込み抗
菌加工を行なうときは優れた効果が期待できる。
【0015】プラスチックは、用途、目的に応じて素材
を選択することができる。使用する熱可塑性のプラスチ
ックとしては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリ
ル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹
脂、ポリ塩化ビニル樹脂などで、それらの成型品、フィ
ルム、繊維製品などに応用することができる。また、用
途別では工業用をはじめ家庭用電化製品、キッチンや浴
室用などの日用雑貨品類、衣料品、天幕、包装用フィル
ム、農業用フィルム、漁業用の漁網やロープからOA機
器、コンピューター関係の精密電化製品のほか各種産業
用に広く応用することができる。
【0016】プラスチックに対するポリヘキサメチレン
ビグアナイドの樹脂への添加量は、0.001〜1.0
重量%(以下総て重量%で示す)好ましくは0.005
〜0.5%をそのままか担持体処理品あるいはマスター
バッチとして添加する。
【0017】本発明には、この他に他の殺菌剤、防黴
剤、防虫剤、消臭剤およびこれらに対する効力増強剤の
使用や着香剤、着色剤、紫外線防止剤、酸化防止剤を併
用することができる。また、プラスチックへの練り込み
に際して各種可塑剤、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、シリ
コンその他の微粉天然鉱物質などを使用することができ
る。
【0018】
【作用】熱可塑性プラスチックに恒久的に抗菌防黴効果
を付与する方法として、各種樹脂に抗菌防黴組成物を直
接練り込むことが最良の方法である。しかしながら、こ
れに使用する抗菌防黴組成物を各種実験したがプラスチ
ックの加工温度が150℃〜300℃あるいはそれ以上
ともなると多くの化合物がこの温度に耐えられず分解を
起こすために効力の低下、着色、悪臭の発生やプラスチ
ックの物性の変化などが見られ実用化が困難であった。
本発明の抗菌防黴組成物ポリヘキサメチレンビグアナイ
ドは、熱可塑性プラスチックの練り込み温度にも充分に
耐え得る化合物で優れた抗菌防黴効果を恒久的に発揮さ
せるものである。
【0019】以下、実施例により詳細説明する。しか
し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0020】
【実施例】
【0021】(実験例1) ポリヘキサメチレンビグアナイドのシリカ担持体処理物
の製造方法 BG−IR (三洋化成株式会社製品:主成分ポリヘキ
サメチレンビグアナイド塩酸塩20%液)70gを78
gの水に加える。この液に担持体としてシリカを主成分
とするミズカシルP527(水沢化学工業株式会社製
品)32.5gをよく撹拌しながら少量宛添加して均一
なスラリーとする。その後この液に4.8%の苛性ソー
ダ液2.6gを少量宛添加し、液のPHを7.0〜8.
0にする。苛性ソーダ液添加終了後、約15分間撹拌し
たのち、スプレードライヤー(Lab型スピンフラッシ
ュドライヤー:松坂貿易株式会社製品)で乾燥する。 粒径:10〜14μm 収量 42.5g (有効成分
含有量:26.4%) スブレードライヤーによる乾燥条件 スラリー液入 口 温 度:約250℃ ” 出 口 温 度:約120℃ 水分蒸発量:約50g/hr.
【0022】(実験例2)実験例1で得られたポリヘキ
サメチレンビグアナイドをミズカシルP527に担持さ
せた微粉末試料をポリプロピレンペレットに純分換算
0.1%、0.07%、0.05%、0.03%を、そ
れぞれ添加した後、ラボプラストミル((株)東洋精機
製作所)の押出しフィルム製造試験機により、温度23
0〜255℃において厚さ25ミクロンのフィルムを試
作した。抗菌結果を表1、防黴試験結果を表2に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】抗菌防黴試験方法 このフィルムに対する抗菌防黴試験は、次に示す方法に
より行なった。
【0026】抗菌試験・・・・・JIS L 1902
ハロー法による。 試験に供する細菌 Staphylococcus aureus ATC
C 6538P
【0027】抗菌防黴試験結果に対する効果の判定方法
は、試料の周囲にできた阻止帯のあるものは、あり、無
いものは、なし、とする。
【0028】防黴試験・・・・・JIS Z 2911
による。 試験に供する黴 Aspergillus niger ATC
C 6275 Penicillum citrinum ATC
C 9849 Cladosporium berbarum IAM
F517
【0029】防黴試験結果に対する効果の判定方法は、
次の表に示す表示方法による。
【0030】(実験例3)実験例1と同様にしてポリヘ
キサメチレンビグアナイドをミズカシルP527に担持
させた微粉末試料をナイロン6ペレットに純分換算0.
15%、0.1%、0.05%、0.03%それぞれ添
加した後、練り込み温度240〜265℃で厚さ30ミ
クロンのフィルムを試作し、そのフィルムに対する抗菌
試験結果を表3に、防黴試験結果を表4に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】別に同一条件でポリヘキサメチレンビグア
ナイド塩酸塩を添加してフィルムの試作を行なったがナ
イロン6の融点降下が甚だしくフィルムは作成できなか
った。
【0034】(実験例4)実験例1と同様にしてポリヘ
キサメチレンビグアナイドをミズカシルP527に担持
させた微粉末試料をポリスチレン樹脂ペレットに純分換
算0.15%、0.1%、0.05%、0.03%およ
び0.15%を、それぞれ添加した後、練り込み温度2
60〜270℃で厚さ35ミクロンのフィルムを試作
し、そのフィルムに対する抗菌試験結果を表5に、防黴
試験結果を表6に示す。
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】(実験例5)実験例1と同様にしてポリヘ
キサメチレンビグアナイドをミズカシルP527にたん
担持させた微粉末試料をポリエチレン樹脂ペレットに純
分換算0.15%、0.1%、0.05%、0.03%
それぞれ添加した後、練り込み温度170〜190℃で
厚さ30ミクロンのフィルムを試作し、そのフィルムに
対する抗菌試験結果を表7に、防黴試験結果を表8に示
す。
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】(実験例6)ポリヘキサメチレンビグアナ
イドを練り込み温度250〜280℃にてポリエステル
樹脂ペレットに20%練り込んだマスターバッチを、ポ
リエステル樹脂ペレットに1.0%、0.7%、0.5
%、0.3%を、それぞれ添加した後、同一温度で練り
込み、厚さ20ミクロンのフィルムを試作した。このフ
ィルムに対する抗菌試験結果を表9に、防黴試験結果を
表10に示す。
【0041】
【表9】
【0042】
【表10】
【0043】別に同一条件でポリエステル樹脂ペレット
にポリメチレンビグアナイド塩酸塩を20%練り込んだ
マスターバッチを作り、これをポリエステル樹脂ペレッ
トに1.0%、0.7%、0.5%、0.3%を、それ
ぞれ添加した後、厚さ20ミクロンのフィルムを試作し
た。そのフィルムに対する抗菌試験結果を表11に、防
黴試験結果を表12に示す。しかし、その結果はポリメ
チレンビグアナイド塩酸塩の分解のために起こったと思
われるプラスチックへの着色及び抗菌防黴効力の低下が
見られた。
【0044】
【表11】
【0045】
【表12】
【0046】
【発明の効果】従来から使用されているポリヘキサメチ
レンビグアニジン塩酸塩又は硫酸塩はプラスチックの加
工時150〜300℃において練り込み行なうときは熱
によって分解が起こるほかプラスチックの物性に変化が
おこる。ナイロン6の如きは、低分子化を起こし、液状
化するためフィルムまたは成型することが困難であっ
た。しかし、本発明化合物であるポリヘキサメチレンビ
グアナイドは、プラスチックに150〜300℃の高温
に於いて練り込みを行なっても分解、着色がなく充分に
耐えられる性質を有している。しかも、プラスチックへ
の着色や物性を全く損なうことなく、半永久的な抗菌防
黴性を付与する組成物として使用できる優れたものであ
る。しかも低毒性であるので工業用、OA機器用、家庭
用、漁業用、農業用と広く一般のプラスチック製品の抗
菌防黴組成物として安心して応用することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性プラスチックに抗菌防黴組成物と
    して化1に示すポリヘキサメチレンビグアナイドを直
    接、又はその組成物を微粒子無機多孔性物質を担持体と
    して担持させたもの、あるいはこれらをマスターバッチ
    としたのちプラスチックの溶融時に練り込むことを特徴
    とする熱可塑性プラスチックの抗菌防黴組成物。 【化1】
  2. 【請求項2】熱可塑性プラスチックとして、ポリエチレ
    ン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポレウレタン樹脂、ポリ
    エステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
    リスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂に1
    50〜300℃の温度で抗菌防黴組成物としてポリヘキ
    サメチレンビグアナイドを練り込むことを特徴とする請
    求項1記載の熱可塑性プラスチックの抗菌防黴組成物。
  3. 【請求項3】熱可塑性プラスチックの抗菌防黴組成物と
    して、ポリヘキサメチレンビグアナイドを0.001〜
    1.0重量%を溶融時のプラスチックに練り込むことを
    特徴とする請求項1〜2記載の熱可塑性プラスチックの
    抗菌防黴組成物。
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