JP2001279043A - 抗菌性ポリ塩化ビニル系樹脂シート - Google Patents

抗菌性ポリ塩化ビニル系樹脂シート

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JP2001279043A
JP2001279043A JP2000098893A JP2000098893A JP2001279043A JP 2001279043 A JP2001279043 A JP 2001279043A JP 2000098893 A JP2000098893 A JP 2000098893A JP 2000098893 A JP2000098893 A JP 2000098893A JP 2001279043 A JP2001279043 A JP 2001279043A
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antibacterial
sheet
chloride resin
weight
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JP2000098893A
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Satoshi Hayakawa
聡 早川
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌性が長時間維持され、かつ安全性も高
く、更に優れた機械的性質を有する抗菌性を有するポリ
塩化ビニル系樹脂シートを提供する。 【解決手段】 ポリ塩化ビニル系樹脂より成形されるシ
ートであって、ポリ塩化ビニル樹脂中に下記一般式
(1)で示される4級ホスホニウム塩化合物を含有する
ことを特徴とする抗菌性ポリ塩化ビニル系樹脂シート。 【化1】 (式中、Aは芳香族基、R1、R2は炭素数3〜18の直
鎖又は分岐した同一又は相異なるアルキル基を示す。R
3、R4、R5、及びR6は直鎖又は分岐したアルキル基で
あり、そのうちの3つは炭素数4のアルキル基、他の1
つは炭素数12のアルキル基である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリ塩化ビニル系樹
脂シートに関し、詳しくは建築物の内装材または下地材
用途において、建物の内壁材や床材等の内装材として貼
り合わせたり、あるいは敷設して、細菌類やカビ類の繁
殖を長期にわたって防止し、清潔な建物空間を維持する
ことができる、抗菌耐久性、可塑性及び機械的性質に優
れたポリ塩化ビニル系樹脂シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年における住生活は多様化、個性化が
進んでおり、内装材にも極めて多種多彩なものが使用さ
れている。反面、住宅等の建物は鉄筋コンクリート構造
やプレハブ構造等に加えて、アルミサッシや新建材等の
採用とが相俟って著しく密閉性や保温性が高まっている
ため、多湿な水回り設備近傍や風通しの悪い部屋の隅、
或いは家具類や設備類に配置された裏側壁面等には、細
菌類やカビ類等の有害微生物が著しく繁殖し、内装材は
もとより、壁や床の下地材にまでシミ、斑点、変色等の
汚着や、これら繁殖に伴い分泌される分泌物によって、
内装材や下地材の変質や劣化等の汚損まで招来されてい
る。更には、細菌類やカビ類の繁殖は、小児喘息やアレ
ルギー性疾患の原因と考えられている等健康面にも大き
な障害をもたらしている。
【0003】従来より、細菌感染等を防止したり、有害
な微生物からの防御のため、多くの方面で種々のタイプ
の抗菌剤が使用されている。この場合の抗菌剤の理想と
する要件としては、(1)広い抗菌スペクトル、(2)
高い滅菌率と長時間の耐久性、(3)有機化合物による
抗菌活性阻害がみられないこと、(4)高い化学的安定
性、(5)動物細胞に対して、低毒性かつ低刺激性であ
ること、(6)使用法が簡単であること、(7)無色、
無臭であること、(8)低価格であること等を具備する
ことが重要であるが、これら全てを満足できる抗菌剤は
未だ開発されていないのが現状である。
【0004】これらの要求特性のうちで、特に抗菌耐久
性に関して問題があることが多い。これは一般にモノマ
−型抗菌剤は水や有機溶媒に対する溶解性が高く、使用
中に溶出してその抗菌性が失活するためである。かかる
状況に鑑み、細菌類やカビ類に対し抗菌性を有し、残効
性も保持する抗菌剤を添加してフィルム若しくはシート
状物を作成し、これを基材として内壁材や床材等の内装
材に用いて、細菌類や黴菌類の繁殖を防止するものとし
て、実開平7−9952号公報が開示されている。しか
しながら、先願考案で用いられている、従来の抗菌剤の
抗菌作用は、抗菌成分の揮散や溶出等に伴って発揮され
るものであるから、塩化ビニール樹脂のような疏水性の
極めて高い素材に抗菌剤を添加して成形させたフィルム
若しくはシート状物においては、その外表面に直接露出
する僅かな抗菌成分のみしか抗菌作用に寄与しないた
め、十分な抗菌性の発揮はもとより長期にわたる抗菌性
も発揮されず、しかも細菌類に対するピリジン系化合物
とカビ類に対するイミダゾール系化合物とを併用しなけ
ればならないため、コスト的に割高となるばかりか生産
時における安全性にも十分な注意も要求される。
【0005】一方、ホスホニウム塩化合物もまた、種々
の含窒素化合物と同様に、細菌類、真菌類、藻類に対し
広い抗菌スペクトルを持つ化合物として、使用例が多く
見受けられる。例えば、特開昭57−204286号公
報には、第4級ホスホニウムクロリドを水に添加するこ
とによる藻類の繁殖制御について、特開昭63−609
03号公報には、第4級アンモニウム化合物と第4級ホ
スホニウム塩の併用に関する抗菌剤混合物について、特
開平1−93596号公報には、新規なある種のチアゾ
−ル−4−イルホスホニウム塩が殺菌活性を有する記載
があり、さらに特開平2−240090号公報には、水
溶性のトリヒドロキシメチルホスホニウム塩の殺生物剤
としての組成物についての記載がある。しかし、これら
のホスホニウム塩の使用法は、水、その他の溶剤に溶解
して、水処理、農業用途等の分野で使用されているに過
ぎず、高分子材料自体を抗菌性にする方策については全
く記載されていない。
【0006】また、建築物の内装材または下地材用途に
使用する場合、ポリ塩化ビニル樹脂系シートには、加工
したり、建築物に固定するために、耐割れ性などの機械
的強度及び成形加工性が必要とされる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は抗
菌性が良好なことは勿論のこと、その効果が長時間維持
され、安全性も高く、更に優れた成形加工性と機械的性
質を有する抗菌性を有するポリ塩化ビニル系樹脂シート
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するこ
とができた本発明の抗菌性ポリ塩化ビニル系樹脂シート
とは、以下の通りである。
【0009】即ち、本発明の第1の発明は、ポリ塩化ビ
ニル系樹脂より成形されるシートであって、ポリ塩化ビ
ニル樹脂中に下記一般式(1)で示される4級ホスホニ
ウム塩化合物を含有することを特徴とする抗菌性ポリ塩
化ビニル系樹脂シートである。
【0010】
【化2】 (式中、Aは芳香族基、R1、R2は炭素数3〜18の直
鎖又は分岐した同一又は相異なるアルキル基を示す。R
3、R4、R5、及びR6は直鎖又は分岐したアルキル基で
あり、そのうちの3つは炭素数4のアルキル基、他の1
つは炭素数12のアルキル基である。)
【0011】第2の発明は、ポリ塩化ビニル樹脂中に前
記一般式(1)で示される4級ホスホニウム塩化合物
を、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.
5〜180重量部含有することを特徴とする第1の発明
に記載の抗菌性ポリ塩化ビニル系樹脂シートである。
【0012】第3の発明は、抗菌性ポリ塩化ビニル系樹
脂シートが建築物の内装材または下地材に用いられるこ
とを特徴とする請求項1又は2記載の抗菌性ポリ塩化ビ
ニル系樹脂シートである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で使用する抗菌性ポリ塩化
ビニル系樹脂組成物は、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物に
対して4級ホスホニウム塩化合物を遊離状態で含有せし
めて得られるものである。前記の「遊離状態で含有せし
める」という意味は、4級ホスホニウム塩化合物を化学
反応等により合成高分子に固定化、結合、共重合等を行
なうことを目的としたものではなく、ホスホニウム塩化
合物をフリーな状態にて共存させた状態をいう。
【0014】前記一般式(1)で示される抗菌性4級ホ
スホニウム塩化合物の官能基としては、スルホン酸エス
テル側のR1及びR2が、直鎖又は分岐した炭素数3〜1
8のアルキル基が好ましく、前記炭素数は4〜15がさ
らに好ましく、特に好ましくは5〜12である。
【0015】エステルを形成するアルキル基(R1及び
2)の炭素数が、3未満あるいは18を超えるた場合
には、4級ホスホニウム塩化合物のポリ塩化ビニル系樹
脂に対する可塑効果が低下しやすくなる。その結果、水
洗その他の条件で溶出し易くなり、抗菌効果を長期にわ
たり維持することが困難となり、さらに溶出による毒性
の点も問題となりやすい。さらに、シートに成形する際
の加工性の悪化やシートの機械的強度の低下を生じる為
に、シートとしての実用上の価値も低いものとなる。
【0016】一方、ホスホニウム塩側のアルキル基であ
るR3、R4、R5、及びR6は、いずれも直鎖又は分岐し
たアルキル基であり、抗菌活性と安全性及び生産コスト
の面から、そのうちの3つは炭素数4のアルキル基、他
の1つは炭素数12のアルキル基であることが好まし
い。例えば、前記「炭素数4の3つのアルキル基」以外
の、他の1つのアルキル基が炭素数12未満の場合、充
分な抗菌活性を発現することができなくなり、一方炭素
数が12を超えると安全性の面で問題となりやすい。
【0017】ポリ塩化ビニル系樹脂に対する前記一般式
(1)で示される4級ホスホニウム塩化合物の含有量
は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.0
5〜180重量部(以後、ポリ塩化ビニル系樹脂100
重量部当たりの含有量(重量部数)をphrと略記す
る)であることが好ましく、さらに好ましくは0.20
〜170phr、特に好ましくは0.50〜160ph
rである。前記一般式(1)で示される4級ホスホニウ
ム塩化合物の含有量が前記の好ましい範囲の下限未満に
なると十分な抗菌性が発揮できず、逆に好ましい範囲を
超えると抗菌剤が表面にブリ−ドアウトし易くなり、安
全性の点で問題が生じやすくなる。
【0018】前記一般式(1)で示される4級ホスホニ
ウム塩化合物をポリ塩化ビニル系樹脂に特定量含有させ
ることにより、抗菌性を付与するのみならず、ポリ塩化
ビニル系樹脂を可塑化する、可塑剤としての効果も発現
する。可塑剤としての効果を発現させる場合には、前記
一般式(1)で示される4級ホスホニウム塩化合物を、
30〜180phrの量でポリ塩化ビニル系樹脂に含有
させることが好ましい。
【0019】また、他の可塑剤を併用し、前記一般式
(1)で示される4級ホスホニウム塩化合物をポリ塩化
ビニル系樹脂に少量含有させることも可能である。この
場合に使用される可塑剤としては、ポリ塩化ビニル系樹
脂に対して相溶性が高く樹脂の結晶性を下げる作用のあ
るものであれば、高分子、低分子を問わず有効である。
このような可塑剤としては、例えば、ジ−2−エチルヘ
キシルフタレ−ト(以下、DOPと略記する)及びジ−
n−オクチルフタレ−ト等のフタル酸エステル系、アジ
ピン酸と炭素数2〜8のジオ−ルから得られる脂肪族ポ
リエステル系、エポキシ化大豆油等が挙げられるが、ジ
−2−エチルヘキシルフタレ−ト及びジ−n−オクチル
フタレ−トを用いることが特に好ましい。これら可塑剤
の使用量は1.0〜170phrであり、好ましくは
5.0〜160phr、更に好ましくは10〜150p
hrである。これらの可塑剤と前記一般式(1)で示さ
れる4級ホスホニウム塩化合物を併用する場合には、両
者の合計含有量が、35〜200phrであることが好
ましい。
【0020】また、本発明の抗菌性ポリ塩化ビニル系樹
脂よりなるシートには、所望により充填材を含有させる
ことが可能である。充填材としては、カオリン、炭酸カ
ルシウム、沈降炭酸塩などの無機粒子及び/又は防火充
填材(難燃剤ともいう)、例えば水酸化アルミニウム、
水酸化マグネシウムなどの水酸基含有金属塩を添加する
ことができる。また、必要に応じて各種安定剤を配合し
てもよいし、顔料を配合することによって着色すること
もできる。本発明に使用する安定剤には特段の制限はな
く、一般的に用いられるジアルキルスズジラウレートや
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム或いはステア
リン酸カルシウム等を使用することができる。
【0021】本発明の抗菌性ポリ塩化ビニル系樹脂より
なるシートは、建築物の内装材または下地材に用いられ
ることができる。建築物の内装材とは、具体的には壁
材、壁紙、床材、クッションフロアー材、天井、柱等の
建築物の内装表面に使用される材料をさす。下地材と
は、前述の、壁紙、床材、クッションフロアー材、天
井、柱等に使用されるが、表面に露出しない材料をさ
す。
【0022】本発明の抗菌性ポリ塩化ビニル系樹脂シー
トの好適な製造方法を説明する。ポリ塩化ビニル樹脂
(以後、PVCと略記する)に、4級ホスホニウム塩化
合物、可塑剤及び各種安定剤等を混合する。混練り装置
により条件は大きく異なるが、リボンブレンダ−を用い
る場合は、70〜100℃で10〜120分間混合撹拌
する。その後、造粒機を用いてペレット化し、このペレ
ットを公知のカレンダー成形法や溶融押し出し成形法等
で、シート状に成形する。シート材として比較的肉薄
(厚さ:0.1乃至1mm程度)な内壁材等に用いる場
合には、加熱カレンダー成形法が主に用いられる。ま
た、床材等その厚さが略3mm以上のものでは、溶融押
し出し成形法が主として用いられる。いずれの成形法に
おいても成形温度は120〜190℃の範囲内で行うこ
とが好ましい。但し、これらの製造方法は1例であり、
本発明の抗菌性ポリ塩化ビニル系樹脂シートの製造方法
は上記の方法に限定されるものではない。
【0023】このようにして、本発明の抗菌性ポリ塩化
ビニル系樹脂シートが得られる。本発明の4級ホスホニ
ウム塩化合物は、PVCとの相溶性に優れ、かつ通常使
用される可塑剤と同等の可塑効果も発揮することがで
き、さらに溶出性も低い為に抗菌持続効果にも優れ、安
全性の点でも優れた抗菌性組成物を得ることができる。
特に、フタル酸エステル系の可塑剤と併用した場合は、
少量の添加で十分な抗菌性を発揮することができる。
【0024】
【実施例】次に、実施例及び比較例を用いて本発明を更
に詳細に説明するが、以下の実施例に限定されるもので
はない。また、実施例及び比較例で得られたポリ塩化ビ
ニル系樹脂シートの物性の測定方法は以下の通りであ
る。
【0025】1.抗菌性試験 滅菌生理食塩水で50倍に希釈したブロ−ス液で、菌数
を約1×107 個/mlに調製した黄色ブドウ球菌液
(以下この菌液を菌原液と呼ぶ)を調製した。この菌原
液の濃度は、次のように測定した。菌原液を104 倍に
希釈した後、100μlを普通寒天板に巻き、24時間
後に形成されたコロニ−数を計測した。このコロニ−数
をN個とすると、菌原液の濃度Cは下記式(2)で表さ
れる。 C=104 ×N/0.1=105 ×N〔個/ml〕 ・・・(2)
【0026】この菌原液10μlを、予め5cm×5c
mに裁断してエチレンオキサイドガス滅菌して、滅菌シ
ャ−レ上に置いたシートA上に滴下し、同じ大きさの滅
菌済み市販食品包装用ラップを密着させて覆って、37
℃で24時間培養した。培養後、被覆ラップを剥離し
て、シートAと被覆ラップからSCDLP培地10ml
を用いて菌を洗い出し、10倍に希釈して普通寒天培地
にまいた。24時間後、普通寒天培地上に形成された黄
色ブドウ球菌のコロニ−数を計測した。このコロニ−数
をN’個とすると、面積25cm2のシートAとの接触
後の菌数Naは、下記式(3)で与えられる。 Na=102 ×N’・・・(3)
【0027】シートAと接触する前の菌原液の濃度は前
記Cの通りであり、使用した原液は10μlであるか
ら、シートA接触前の菌数Nbは、Nb=103×Nと
なる。25cm2の大きさのシート上での菌数の変化
(Nb →Na)を表1に示した。接触によって菌数が
減少するということは、シートの抗菌性が発揮されてい
ることを示すものである。表中、溶出前の抗菌性におけ
るNDは、100個/25cm2未満であることを意味
する。
【0028】2.安全性試験 乾燥ブイヨン(日水製薬製)1.5gを蒸留水50ml
に加温溶解し、121℃×20分間高圧蒸気滅菌して調
製した液体培地で黄色ブドウ球菌を培養し、菌数が7.
5×108 個/mlになるように調整した菌液100μ
lを直径9cmのシャーレ中の普通寒天培地上にまき、
コンラ−ジ棒を用いて均一に塗布した。この寒天培地
に、予めエチレンオキサイドガス滅菌した直径5cmの
円形試験シートを中央に貼付し、37℃で24時間培養
した後、シートの辺縁に発生する溶出した抗菌剤に起因
する菌の発育阻止帯のシート辺縁からの距離を測定し
た。発育阻止帯がないか非常に小さいということは、溶
出が少なく、シートと接触した部分のみ特異的に抗菌作
用が働いており、安全性が高いことを示すものである。
【0029】3.溶出物試験 試験シートを表面積が100cm2になるように細断し
て、200mlの三角フラスコに採り、フォスフェイト
・バッファード・サリーン(以後、PBS(−)と略
す)100mlを加え、37℃で24時間抽出した。こ
の抽出液を用い、透析型人工腎臓装置承認基準(薬発4
94号)の溶出物試験中の過マンガン酸カリウム還元性
物質に準拠して、試験シートを用いずに同様に実施した
空試験の0.01N過マンガン酸カリウム液の消費量と
の差を測定した。この消費量差が小さいことは、PBS
(−)中に溶出する物質が少なく安全性の高いことを表
わす。なお、表中、過マンガン酸カリウム液の消費量が
1ml以下を合格とした。
【0030】また、PBS(−)を一日毎に交換し、3
7℃、14日間抽出した後の抗菌性も上記の抗菌性試験
に記載の方法を用いて測定し、溶出による抗菌剤の耐久
性に関しても試験した。これらの試験結果を表1にまと
めて記した。表中、溶出後の抗菌性におけるNDは、1
00個/25cm2未満であることを意味する。
【0031】4.シート成形性 下記実施例1の方法にしたがってシートを作成した際
に、成形のしやすさを評価した。評価基準は以下の通り
である。 ○:成形時に破断がなく、シート成形性は良好である。 △:成形時に破断が発生し、生産安定性はやや劣る。 ×:成形時に破断が頻発し、シート作成はできたが、生
産性に劣る。
【0032】5.耐割れ性 3cm角の試験シートを作成し、15℃の恒温室中で、
厚さ15mmの合板を台にして長さ50mm、胴部直径
2.75mmの釘をシートの中央部より打ち込んだ時
の、シート割れの発生状況を目視にて評価した。評価基
準は以下の通りである。 ○:釘穴部分の割れもなく、シートに釘を打ち込むこと
が出来た。 △:釘穴部分に割れが生じた。 ×:釘の打ち込み時にシートが割れた。
【0033】実施例1 5−スルホイソフタル酸ジ−n−オクチルナトリウム
5.0重量部を水200重量部に溶解し、トリ−n−ブ
チルドデシルホスホニウムクロリド4.4重量部を水2
00重量部に溶解した溶液を室温で滴下し、1時間反応
させた。反応終了後、ジエチルエ−テルを用いて生成物
を抽出した。溶媒をエバポレ−タ−で留去し、乾燥させ
て、ホスホニウム塩とイソフタル酸ジ−n−オクチルと
の錯体(この化合物を錯体Aとする)を得た。
【0034】次いで、重合度1000のPVC樹脂10
0重量部に対し、錯体Aを70重量部及びステアリン酸
亜鉛を1重量部及びステアリン酸カルシウムを0.5重
量部の割合で混合した。この混合物を蒸気過熱式8イン
チミキシングロ−ル(ロ−ル温度150〜160℃)を
使用して10分間混練することにより、PVC組成物を
得た。この際、ミキシングロ−ルからPVC組成物をシ
−ト状に引出し、0.5mm厚のシ−トを作製した。プ
レス条件は、プレス温度160〜170℃にてプレス時
間3分間及び圧力9.8〜14.7MPa、冷却時間5
分間及び圧力12.7〜14.7MPaで行なった。得
られたシートをシートAとする。
【0035】比較例1シートAの製造において、錯体A
の代わりにDOPを70重量部添加した以外は実施例1
と同様にして、シートaを得た。得られたシートaの抗
菌性能及び溶出物試験の結果を表1に示す。
【0036】比較例2、3及び実施例2〜4 各種の5−スルホイソフタル酸ジアルキルナトリウムと
トリ−n−ブチルドデシルホスホニウムクロリドを実施
例1と同様に反応させて、ホスホニウム塩と5−スルホ
イソフタル酸ジアルキルからなる種々の錯体、即ち、5
−スルホイソフタル酸ジアルキルのアルキル基が、メチ
ル基(錯体B/比較例2)、エチル基(錯体C/比較例
3)、ブチル基(錯体D/実施例2)及びヘキシル基
(錯体E/実施例3)及び2−エチルヘキシル基(錯体
F/実施例4)を得た。錯体B〜Fを用いて、実施例1
と同様にして、シートB〜Fを得た。シートBが比較例
2、シートCが比較例3、シートDが実施例2、シート
Eが実施例3、シートFが実施例4を示す。これらのシ
ートを用いて、実施例1と同様に試験した結果を表1に
示した。
【0037】実施例5〜7 重合度1000のPVCを100重量部及びステアリン
酸亜鉛を1重量部及びステアリン酸カルシウムを0.5
重量部に、錯体Aを20重量部(シートG:実施例
5)、100重量部(シートH:実施例6)、180重
量部(シートI:実施例7)の割合で混合し、シートG
〜Iを得た。これらのシートを用いて、実施例1と同様
に試験した結果を表1に示した。
【0038】実施例8 重合度1000のPVCを100重量部及びステアリン
酸亜鉛を1重量部及びステアリン酸カルシウムを0.5
重量部及びDOP70重量部に、錯体A0.5重量部の
割合で混合し、シートJ(実施例8)を得た。これらの
シートを用いて、実施例1と同様に試験した結果を表1
に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明の抗菌性ポリ塩化ビニル系樹脂シ
ートは、ポリ塩化ビニル樹脂に前記一般式(1)で示さ
れる4級ホスホニウム化合物を抗菌剤として添加するこ
とで、簡便に抗菌性と可塑性をあわせて付与することが
でき、その抗菌性能は長期間の溶出操作後でも維持さ
れ、耐久性に優れると同時に低溶出性のため安全性の点
も非常に優れており、シートとしての成形加工性と機械
的強度においても優れている。また、DOPのような可
塑剤を共存させることにより、その抗菌性より高める相
剰効果も発現させることができる。本発明の抗菌性ポリ
塩化ビニル系樹脂シートは、建物の内壁材や床材等の内
装材として貼り合わせたり敷設することにより、細菌類
やカビ類の繁殖を長期にわたって防止し、清潔な建物空
間を維持できる効果を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E04F 13/18 E04F 13/18 A Fターム(参考) 2E110 AA65 AB04 AB05 AB23 BA02 BA12 BB03 CA03 GA32W GA32Y GB46W GB46Y 4F071 AA24 AC15 AE08 AF52 AH03 BA01 BB04 BB06 BC01 4H011 AA02 BA01 BB17 BC19 DA07 DH02 4J002 BD031 EW176 FD010 FD020 FD030 GL01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ塩化ビニル系樹脂より成形されるシ
    ートであって、ポリ塩化ビニル樹脂中に下記一般式
    (1)で示される4級ホスホニウム塩化合物を含有する
    ことを特徴とする抗菌性ポリ塩化ビニル系樹脂シート。 【化1】 (式中、Aは芳香族基、R1、R2は炭素数3〜18の直
    鎖又は分岐した同一又は相異なるアルキル基を示す。R
    3、R4、R5、及びR6は直鎖又は分岐したアルキル基で
    あり、そのうちの3つは炭素数4のアルキル基、他の1
    つは炭素数12のアルキル基である。)
  2. 【請求項2】 ポリ塩化ビニル樹脂中に前記一般式
    (1)で示される4級ホスホニウム塩化合物を、ポリ塩
    化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.5〜180
    重量部含有することを特徴とする請求項1記載の抗菌性
    ポリ塩化ビニル系樹脂シート。
  3. 【請求項3】抗菌性ポリ塩化ビニル系樹脂シートが建築
    物の内装材または下地材に用いられることを特徴とする
    請求項1又は2記載の抗菌性ポリ塩化ビニル系樹脂シー
    ト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012082602A (ja) * 2010-10-08 2012-04-26 Okamoto Kk 遮熱化粧シート
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