JP2018012799A - アレルゲン低減化組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】亜鉛塩、希土類塩およびタンニン酸を特定の濃度範囲で含有するアレルゲン低減化組成物を用い、不織布、フィルター材に表面加工ができるアレルゲン低減化組成物、アレルゲン低減化性能を有する不織布、フィルター材を提供することを目的とする。【解決手段】亜鉛塩、希土類塩およびタンニン酸を、亜鉛塩と希土類塩の金属分の比率が1:9〜9:1の範囲であって、さらに亜鉛塩と希土類塩の金属の合計とタンニン酸の比率が2:8〜19:1の範囲で含有するアレルゲン低減化組成物を用いることによって、ダニやスギ花粉等のアレルゲンを低減化させることができ、また不織布、マスク、フィルター材、電気掃除機の集塵袋等にアレルゲンを低減化させる機能を付与することができる。【選択図】 なし

Description

本発明は、ダニや花粉等のアレルゲンを低減化させるため、あるいは不織布、フィルター材等にアレルゲンを低減化させる機能を付与するためのアレルゲン低減化組成物に関する。
喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎等のアレルギー性疾患は多くの人が悩まされているものであり、特に近年では増加する傾向となっている。これらのアレルギー性疾患の原因となっているのは環境中に存在する種々のアレルゲンであり、それらの中でも屋内に棲息するダニやペットの毛、花粉、カビは代表的な吸入性のアレルゲンとして、良く知られている。特に家屋内に生息する塵性ダニであるヒョウヒダニ類はアレルゲンの発生源として大きな問題となっている。ヒョウヒダニ類は畳、絨毯、寝具、カーテン等の家屋内の繊維製品、あるいは屋外においても電車や自動車等の移動車両の座席シート生地等が生育の温床となる。
ヒョウヒダニ類の中でも、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)とヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)は代表的な種であり、これらのダニの死骸や糞が強いアレルゲン物質となる。また春先に飛散するスギ(Cryptomeria japonica)の花粉や、その他の多種の植物の花粉もアレルゲンとなるものであり、特にアレルギー性鼻炎を発症させる原因となっている。飛散する花粉は春先のスギ花粉だけでなく、ヒノキ、ヨモギ、ブタクサ、カモガヤ等、多くの種類があり一年を通じて何らかの花粉が飛散している状態であり、いつの時期でも花粉によるアレルギーを引き起こす危険性があると考えられる。
このようなダニや花粉等のアレルゲンを除去するためには、エアコンや空気清浄機を用いて空気をフィルターに通じる方法があるが、除去できるのは空気中に舞うアレルゲンのみであり、フィルターにアレルゲン物質を集める結果となり、フィルターを交換する際にはアレルゲンが再飛散する危険性がある。また、マスクはスギ等の花粉を吸入するのを防ぐために用いられているが、マスクに付着した花粉アレルゲンが消失するわけではないので、再飛散することによって吸収してしまう危険性がある。電気掃除機はアレルゲン除去の方法として有効であるが、吸引したゴミに含まれる多量のアレルゲンは集塵袋に貯蔵されるだけであり、集塵袋の廃棄時にアレルゲンが再飛散する危険性が考えられる。
亜鉛化合物を利用したアレルゲン低減化組成物としては、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛等の亜鉛の無機塩化合物、また酢酸亜鉛等の水溶性亜鉛化合物が、アレルゲンの低減化成分、除去剤、中和組成物または不活化剤として提案されている(特許文献1〜4)。また希土類塩を利用したアレルゲン低減化組成物も提案されており(特許文献5)、最近では希土類塩と亜鉛化合物を組合せたアレルゲン低減化組成物も提案されている(特許文献6)。
特開2003−96670号公報 特開2004−189606号公報 特表2004−510841号公報 特開2006−239393号公報 特開2001−322937号公報 WO/2015−141713
ダニやスギ花粉等のアレルゲンを低減化させること、さらに不織布、フィルター材等にアレルゲンを低減化させる機能を付与できる、アレルゲン低減化組成物、およびこれらのアレルゲン低減化組成物を加工した不織布、フィルター材を提供することが、本発明の課題である。
本発明者は、このような課題を解決するため鋭意研究を行った結果、亜鉛塩、希土類塩およびタンニン酸の3種類の化合物を、特定の比率で含有する組成物が飛躍的に高いアレルゲンを低減化させる効果を発現し、この組成物がダニやスギ花粉等のアレルゲンを低減化できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、(1)亜鉛塩から選択される一種類以上の化合物、希土類塩から選択される一種類以上の化合物およびタンニン酸を含有する組成物であって、亜鉛から選択される一種類以上の化合物および希土類塩から選択される一種類以上の化合物の、金属分の比率が1:9〜9:1の範囲であり、亜鉛から選択される一種類以上の化合物および希土類塩から選択される一種類以上の化合物の金属分の合計と、タンニン酸を含有する比率が2:8〜19:1の範囲であるアレルゲン低減化組成物であり、(2)亜鉛塩から選択される一種類以上の化合物がヒドロキシ酸亜鉛であるアレルゲン低減化組成物であり、(3)上記のアレルゲン低減化組成物を加工した不織布、フィルター材である。
本発明のアレルゲン低減化組成物を用いて、不織布、フィルター材等に加工することにより、ダニやスギ花粉等のアレルゲンを低減化させる機能を持ったエアコンディショナーや空気清浄器用のフィルター材、マスク、電気掃除機の集塵袋等の不織布材を提供することができる。
本発明に使用する亜鉛塩は、水溶性の亜鉛塩であればいずれも化合物でも使用することができ、硫酸亜鉛、塩化亜鉛等の無機亜鉛塩、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛等の有機酸亜鉛塩を例示することができるが、安全性の点からヒドロキシ酸の亜鉛塩が望ましい。ヒドロキシ酸は、水酸基をひとつあるいは二つ以上有するカルボン酸であり、具体的な例としては、グリコール酸、グリセリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、タルトロン酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、シキミ酸等が挙げられ、これらのうちグルコン酸、クエン酸、乳酸が好ましく、さらにグルコン酸がより好ましい。例えば、グルコン酸亜鉛は急性経口毒性がラットにおいて5000mg/kgを超える値であり、安全性が非常に高く、母乳代替食品として、また亜鉛欠乏症の予防や治療を目的とした保健機能食品として利用されている。
これらのヒドロキシ酸は、一般に試薬や工業用原料として市販されているものを使用することができる。ヒドロキシ酸の亜鉛塩は、ヒドロキシ酸の水溶液に、アルカリ金属の水酸化物を反応させて中和し、さらに水溶性の亜鉛塩を反応させて合成することも可能である。アルカリ金属の水酸化物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられ、水酸化ナトリウムが好ましい。水溶性の亜鉛塩としては、塩化亜鉛、臭化亜鉛等が挙げられ、塩化亜鉛が好ましい。またヒドロキシ酸の亜鉛塩は、亜鉛の酸化物にヒドロキシ酸を直接反応させることによっても合成することが可能である。亜鉛の酸化物がヒドロキシ酸に溶解しにくい場合には加温することができる。
本発明に使用する希土類塩は、スカンジウム塩、イットリウム塩、ランタン塩、セリウム塩、プラセオジム塩、ネオジム塩、サマリウム塩、ユウロピウム塩、ガドリニウム塩、テルビウム塩、ジスプロシウム塩、ホルミウム塩、エルビウム塩、ツリウム塩、イッテルビウム塩、ルテチウム塩が挙げられ、特にランタン塩、セリウム塩、エルビウム塩、イッテルビウム塩が好ましく、ランタン塩、セリウム塩がより好ましい。
塩としては、いずれの対イオンを有する塩でも使用することができ、塩化物塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、炭酸塩、リン酸塩、有機酸塩、水酸化物等を例示することができる。有機酸塩としては、一価または二価のカルボン酸やヒドロキシ酸の塩が挙げられ、具体的にはヒドロキシ酸として乳酸、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸が例示でき、一価または二価のカルボン酸として酢酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等が例示できる。これらのうち、塩化物塩、ヒドロキシ酸塩が好ましく、さらに塩化物塩、グルコン酸塩、乳酸塩がより好ましい。
本発明におけるタンニン酸は、植物から抽出される収れん性の多価フェノール成分で、縮合型タンニン酸あるいは加水分解型タンニン酸のいずれでもよく、タンニン酸、ガロタンニン、エピカテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート等のポリフェノール類が含まれる。これらのポリフェノール類化合物の二種類以上を混合して使用しても差し支えない。タンニン酸は、一般に試薬や工業用原料として市販されているものを使用することができる。
亜鉛塩から選択される一種類以上の化合物と、希土類塩から選択される一種類以上の化合物を含有する比率は、それぞれの金属分の重量の比率として、1:9〜9:1の範囲であり、さらに亜鉛塩から選択される一種類以上の化合物および希土類塩から選択される一種類以上の化合物の合計の金属分とタンニン酸の含有する比率は、それぞれの重量の比率として2:8〜19:1の範囲である。
亜鉛塩から選択される一種類以上の化合物および希土類塩から選択される一種類以上の化合物の合計に対して、タンニン酸の含有する比率が2:8よりも大きくなると、着色の懸念が大きくなるだけでなくアレルゲン低減化効果も大幅に低下するため好ましくない。
本発明のアレルゲン低減化組成物が対象とするアレルゲンには、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)の糞由来のアレルゲン(Der p1)および虫体由来のアレルゲン(Der p2)、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)の糞由来のアレルゲン(Der f1)および虫体由来のアレルゲン(Der f2)が挙げられる。また植物を由来とするアレルゲンとして、スギ(Cryptomeria japonica)の花粉由来のアレルゲン(Cry j1)を筆頭に、ヒノキ、ブタクサ、ヨモギ、カモガヤ、ハルガヤ、シラカバ等のアレルゲンが挙げられる。その他にも、イヌの毛やフケ由来のアレルゲン(Can f1、Can f2)、ネコの毛やフケ由来のアレルゲン(Fel d1)、ゴキブリ由来のアレルゲン(Bra g1、Bra g2)、カビ由来のアレルゲン(Alt a1)、天然ゴムラテックス由来のアレルゲン等が挙げられる。これらの中でも、ダニ由来のアレルゲンおよびスギ花粉由来のアレルゲンは、特に低減化が必要なアレルゲンとして重要視されている。本発明の組成物、および本発明の組成物を加工した不織布、フィルター材の使用により、上記に挙げた種々のアレルゲンを低減化することができ、多種のアレルゲンを実質的になくすことができる。
本発明のアレルゲン低減化組成物を適用する用途としては、例えば不織布への加工が考えられ、その加工方法としては、浸漬、塗布、スプレー等の方法が挙げられる。加工した不織布は、掃除用ウェットワイパー、マスク、フィルター材、電気掃除機の集塵袋等へ適用することができる。
本発明のアレルゲン低減化組成物を加工することができるフィルター材には種々のものがあるが、たとえばナイロン、ポリエステル等が挙げられ、これらの素材を二種類以上使用した複合材であっても差し支えない。またポリエチレンやポリプロピレンを用いた不織布にも使用することが可能である。本発明のアレルゲン低減化組成物の不織布やフィルター材への加工方法は特に限定されるものではないが、浸漬処理、スプレー処理が適している。
製剤を行なう上で、安定性の向上等の目的のために界面活性剤を添加することが可能である。界面活性剤は特に限定されず、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を挙げることができる。非イオン性界面活性剤の種類は特に限定されるものではないが、例えばポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。アニオン性界面活性剤にはアルキルベンゼンスルホネート、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、ジアルキルスルホサクシネート等が挙げられる。カチオン性界面活性剤では脂肪族アミン塩およびその4級アンモニウム塩等が挙げられ、両イオン性界面活性剤ではベタイン型界面活性剤、アミノカルボン酸塩等が挙げられる。また、これらの非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両イオン性界面活性剤は一種を単独に用いても二種以上を併用してもよい。
本発明のアレルゲン低減化組成物には、物性を損なわない範囲で、公知となっているアレルゲン低減化成分をさらに添加することも可能である。アレルゲン低減化成分としては、ジヒドロキシ安息香酸や2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシ安息香酸系化合物またはその塩、パラヒドロキシポリスチレンやポリスチレンスルホン酸塩等のポリスチレン系化合物、柿渋等の天然抽出物、カルシウム塩やストロンチウム塩等の無機塩系化合物が挙げられる。
本発明のアレルゲン低減化組成物は、屋内塵性ダニのアレルゲン除去を目的に使用する場合、殺ダニ剤と同時に加工することにより、そのアレルゲン低減化効果をさらに持続させることも可能である。使用する殺ダニ剤は、屋内塵性ダニに対して致死効果や忌避効果のあるものであれば特に限定はなく、例えば、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、サリチル酸フェニル、シンナムアルデヒド、ヒソップ油、ニンジン種子油等を用いることができ、また天然ピレトリン、フェノトリン、ペルメトリン等のピレスロイド系化合物、フェニトロチオン、マラチオン、フェンチオン、ダイアジノン等の有機リン系化合物、ジコホル、クロルベンジレート、ヘキシチアゾクス、テブフェンピラド、ピリダベン、アミドフルメト、エトキサゾール等を用いることができる。
本発明のアレルゲン低減化組成物は、カビあるいは菌の増殖が懸念される場合がある。そのために防カビ剤または抗菌剤を同時に併用することが可能である。防カビ剤または抗菌剤の種類は、防カビまたは抗菌効果を有するものであれば特に限定されないが、例えば、5−クロロ−N−メチルイソチアゾロン、メチレンビスチオシアネート、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、グルタルアルデヒド、ヨードプロピニルブチルカーバメート、ピリジンチオール−N−オキシドの亜鉛塩、1,2−ベンゾイソチアゾロン、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、グルコン酸クロルヘキシジン、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、オルトフェニルフェノール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラクロロメタキシレノール、パラクロロメタクレゾール、フェノキシエタノール、ポリリジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、N−n−ブチルベンゾイソチアゾロン、N−オクチルイソチアゾロン、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−ベンズイミダゾリルカルバミン酸メチル、テトラクロロイソフタロニトリル、ジヨードメチルパラトリルスルホン、パラクロロフェニル−3−ヨードプロパギルホルマール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、脂肪酸グリセリンエステル、ヒノキチオール等を用いることができる。
本発明のアレルゲン低減化組成物の製剤化に際しては、前述の界面活性剤、防ダニ剤、抗菌剤の他に、必要に応じてキレート剤、防錆剤、香料、スケール防止剤、消泡剤、帯電防止剤、樹脂バインダー、増粘剤、柔軟加工剤等を添加することも可能である。
本発明のアレルゲン低減化組成物はタンニン酸を使用による着色の懸念があるため、使用形態として加工剤用途が挙げられるが、着色が問題とならない範囲において、人が接触する可能性のある組成物、たとえば柔軟剤、消臭剤、防カビ剤、除菌剤、殺虫剤、塗料、接着剤等に添加することができ、また環境中で人が接触する可能性のある材料、たとえば木材、コンクリート、金属、石、ガラス等の建材等、ゴム、紙、樹脂、プラスチックのよる成型品等に加工することも可能である。
本発明を実施例、試験例により更に詳しく説明するが、本発明がこれらによって限定されるものではない。なお、下記に示す%はすべて重量%である。
製剤例1
グルコン酸亜鉛(ヘルシャスZn(登録商標)、扶桑化学工業株式会社製)5gおよび塩化ランタン七水和物(和光純薬工業株式会社製)2.5gをイオン交換水92.5gに溶解した溶液を製剤例1とした。
製剤例2
グルコン酸亜鉛(ヘルシャスZn(登録商標)、扶桑化学工業株式会社製)5gおよび塩化セリウム七水和物(和光純薬工業株式会社製)2.5gをイオン交換水92.5gに溶解した溶液を製剤例2とした。
製剤例3
グルコン酸亜鉛(ヘルシャスZn(登録商標)、扶桑化学工業株式会社製)5gおよび塩化ランタン七水和物(和光純薬工業株式会社製)5gをイオン交換水95gに溶解した溶液を製剤例3とした。
[試験例1]
製剤例1または製剤例2を、イオン交換水を用いて20倍に希釈し、所定の比率でタンニン酸1%水溶液を混合した。これらの試験液についてダニアレルゲンDer f2およびスギ花粉アレルゲンCry j1に対する低減化効果を、下記評価方法にて測定した。結果を表1〜4に示した。
[ダニアレルゲンDer f2に対する評価方法]
ダニアレルゲンDer f2を含有する、タンパク質量として約900ng/1mL{リン酸緩衝液(pH7.2)}のアレルゲン液1mLに対し、製剤例1または製剤例2の20倍希釈液とタンニン酸1%水溶液を所定の比率で混合した試験液について、それぞれ25μLを反応させた。これら試料について Der f2酵素免疫測定法(ELISA)のサンドイッチ法にてダニアレルゲン低減化効果の測定を行った。まず、リン酸緩衝液(pH7.4)で2μg/mLに希釈した抗Der f2 モノクローナル抗体15E11を、F16 MAXISORP NUNC−IMMUNO MODULEプレート(NUNC社製)の1ウェルあたり100μLずつ添加し、4℃にて3日以上感作させた。感作後、液を捨て、ブロッキング試薬{1重量%牛血清アルブミン+リン酸緩衝液(pH7.2)}を1ウェルあたり200μLずつ添加し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液(pH7.2)にてプレートを洗浄した。
次に、ダニアレルゲン液と上記試験液を反応させた試料を1ウェルあたり100μLずつ滴下し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液(pH7.2)にてプレートを洗浄した。ペルオキシダーゼ標識した抗Der f2モノクローナル抗体をリン酸緩衝液{pH7.2、1重量%牛血清アルブミンおよび0.05重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}で200μg/mLに溶解し、それをリン酸緩衝液(pH7.2、1重量%牛血清アルブミンおよび0.05重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有)で1200倍希釈した液を、1ウェルあたり100μLずつ添加した。37℃、60分間反応させた後、リン酸緩衝液(pH7.2)でプレートを洗浄した。0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH6.2)6.5mLにオルト−フェニレンジアミンジヒドロクロライド(13mg Tablet、和光純薬工業株式会社製)一錠と30%過酸化水素水6.5μLを加えたものを1ウェルあたり100μLずつ添加し、37℃、3分間反応させた。その後直ちに、1mol/L HSOを50μLずつ入れて反応を停止させ、マイクロプレート用分光光度計(テカンジャパン株式会社製)で吸光度(OD490nm)を測定した。
[スギ花粉アレルゲンCry j1に対する評価方法]
スギ花粉アレルゲンCry j1として約12.5ng/1mL{リン酸緩衝液(pH7.2)}のアレルゲン液に対し、製剤例1または製剤例2の20倍希釈液とタンニン酸1%水溶液を所定の比率で混合した試験液について、それぞれ25μLを反応させた。これら試料についてCry j1酵素免疫測定法(ELISA)のサンドイッチ法にてスギ花粉アレルゲン低減化効果の測定を行った。まず、リン酸緩衝液(pH7.4、0.1重量%NaN含有)で2μg/mLに希釈したCry j1 モノクローナル抗体013を、F16 MAXISORP NUNC−IMMUNO MODULEプレート(NUNC社製)の1ウェルあたり100μLずつ添加し、4℃にて1日以上感作させた。感作後、液を捨て、ブロッキング試薬{1重量%牛血清アルブミン+リン酸緩衝液(pH7.2、0.1重量%NaN含有)}を1ウェルあたり200μLずつ添加し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}にてプレートを洗浄した。
次に、スギ花粉アレルゲン液と上記試験液と反応させた試料を1ウェルあたり100μLずつ滴下し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}にてプレートを洗浄した。ペルオキシダーゼ標識したCry j1モノクローナル抗体053を蒸留水で200μg/mLに溶解し、それをリン酸緩衝液{pH7.2、1重量%牛血清アルブミンおよび0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}で1200倍希釈した液を、1ウェルあたり100μLずつ添加した。37℃、60分間反応させた後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}でプレートを洗浄した。0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH6.2)13mLにオルト−フェニレンジアミンジヒドロクロライド(SIGMA CHEMICAL CO.製:26mg Tablet)と過酸化水素水13μLを加えたものを1ウェルあたり100μLずつ添加し、37℃、5分間反応させた。その後直ちに、2mol/L HSOを50μLずつ入れて反応を停止させ、マイクロプレート用分光光度計(テカンジャパン株式会社製)で吸光度(OD490nm)を測定した。
Figure 2018012799
Figure 2018012799
Figure 2018012799
Figure 2018012799
[試験例2]
製剤例3を、イオン交換水を用いて10倍に希釈し、所定の比率でタンニン酸0.5%水溶液を混合した。この混合液についてダニアレルゲンDer f2およびスギ花粉アレルゲンCry j1に対する低減化効果を測定した。結果を表5および表6に示した。
Figure 2018012799
Figure 2018012799
本発明の、亜鉛塩、希土類塩およびタンニン酸を含有するアレルゲン低減化組成物を使用することにより、ダニや花粉等のアレルゲンを低減化させることができ、また不織布、フィルター材にアレルゲンを低減化させる機能を付与するためのアレルゲン低減化組成物、およびアレルゲンを低減化できる不織布、フィルター材を提供することができる。
























Claims (3)

  1. (A)亜鉛塩から選択される一種類以上の化合物、(B)希土類塩から選択される一種類以上の化合物および(C)タンニン酸を含有する組成物であって、(A)と(B)の金属分の比率が1:9〜9:1の範囲であり、(A)および(B)の金属分の合計と(C)の含有する比率が2:8〜19:1の範囲であることを特徴とするアレルゲン低減化組成物。
  2. 亜鉛塩がヒドロキシ酸亜鉛である請求項1に記載のアレルゲン低減化組成物。
  3. 請求項1または請求項2に記載のアレルゲン低減化組成物を加工した不織布、フィルター材。








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