JP6904521B2 - アレルゲン低減化組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ダニや花粉等のアレルゲンを低減させるため、あるいは不織布、フィルター材料、繊維または繊維製品、壁紙、床材、天井材等の建築用内装材等にアレルゲンを低減させる機能を付与するための耐水性を有するアレルゲン低減化組成物に関する。
喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎等のアレルギー性疾患は多くの人が悩まされているものであり、特に近年では増加する傾向となっている。これらのアレルギー性疾患の原因となっているのは環境中に存在する種々のアレルゲンであり、それらの中でも屋内に棲息するダニやペットの毛、花粉、カビは代表的な吸入性のアレルゲンとして、良く知られている。特に家屋内に生息する塵性ダニであるヒョウヒダニ類はアレルゲンの発生源として大きな問題となっている。ヒョウヒダニ類は畳、絨毯、寝具、カーテン等の家屋内の繊維製品、あるいは屋外においても電車や自動車等の移動車両の座席シート生地等が生育の温床となる。
ヒョウヒダニ類の中でも、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)とヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)は代表的な種であり、これらのダニの死骸や糞が強いアレルゲン物質となる。また春先に飛散するスギ(Cryptomeria japonica)の花粉を初め、多種の植物の花粉もアレルゲンとなるものであり、特にアレルギー性鼻炎を発症させる原因となっている。飛散する花粉は春先のスギ花粉だけでなく、ヒノキ、ヨモギ、ブタクサ、カモガヤ等、多くの種類があり一年を通じて何らかの花粉が飛散している状態であり、いつの時期でも花粉によるアレルギーを引き起こす危険性があると考えられる。
このようなダニや花粉等のアレルゲンを除去するためには、エアコンや空気清浄機を用いて空気をフィルターに通じる方法があるが、除去できるのは空気中に舞うアレルゲンのみであり、フィルターにアレルゲン物質を集める結果となり、フィルターを交換する際にはアレルゲンが再飛散する危険性がある。また、マスクはスギ等の花粉を吸入するのを防ぐために用いられているが、マスクに付着した花粉はアレルゲン性が消失するわけではないので、再飛散することによって吸収してしまう危険性がある。電気掃除機はアレルゲン除去の方法として有効であるが、吸引したゴミに含まれる多量のアレルゲンは集塵袋に貯蔵されるだけであり、集塵袋の廃棄時にアレルゲンが再飛散する危険性が考えられる。
アレルゲン物質のアレルギー性を低減あるいは除去するための薬剤に関しては、タンニン酸が古くから知られており、タンニン酸等のポリフェノール類化合物を応用する方法が提案されてきた。例えば、タンニン酸をアレルゲンの不活性化剤として使用する方法(特許文献1)、茶抽出物、ハイドロキシアパタイト、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、没食子酸および没食子酸と炭素数1から4までのアルコールとのエステルをアレルゲンの不活性化剤として使用する方法(特許文献2)が開示されている。タンニン酸は褐色に呈色しており、さらに経時的に着色が進行することで用途が制限される短所があったが、安全性の高い天然物であること、優れたアレルゲン低減化効果を有していることから、着色が問題とならない用途では優秀な剤であった。しかしタンニン酸は水溶性であるため、耐水性を要求される用途では依然として使用に適していないという問題があった。
またタンニン酸等のポリフェノール化合物以外のアレルゲン低減化組成物として、非水溶性亜鉛化合物あるいは非水溶性亜鉛・金属酸化物の複合粒子を用いたアレルゲン不活化剤が提案され(特許文献3)、さらに二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウムを用いたアレルゲン不活化剤や、シリカまたは酸化亜鉛を含有するアレルゲン不活性化剤が提案されているが(特許文献4、5)、アレルゲン不活化性能は満足できるものではなかった。
特開昭61−44821号公報 特開平6−279273号公報 特開2006−239393号公報 特開2007−39620号公報 特開2008−248043号公報
ダニやスギ花粉等のアレルゲンを低減させること、また不織布、フィルター材料、繊維または繊維製品、建築用内装材にアレルゲンを低減させる機能を付与し、容易に流脱することのないアレルゲン低減化組成物、およびこれらのアレルゲン低減化組成物を加工した不織布、フィルター材料、繊維または繊維製品、建築用内装材を提供することが、本発明の課題である。
本発明者は、このような課題を解決するため鋭意研究を行った結果、炭酸亜鉛を含有する組成物によってダニやスギ花粉のアレルゲンに対して高い低減化性能を発揮し、耐水性のあるアレルゲン低減化加工が可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、(1)炭酸亜鉛を含有するアレルゲン低減化組成物であり、(2)炭酸亜鉛が塩基性炭酸亜鉛であるアレルゲン低減化組成物であり、(3)これらのアレルゲン低減化組成物を加工した壁材、壁紙、不織布、フィルター材料、繊維または繊維製品、建築用内装材である。
本発明のアレルゲン低減化組成物を用いて、不織布、フィルター材料、繊維または繊維製品、建築用内装材に加工することにより、ダニやスギ花粉等のアレルゲンを低減させる機能、さらにその機能に耐水性を持たせ、アレルゲンを低減させる機能を持った、フィルター材、マスク等の不織布、繊維または繊維製品、床材、天井材、壁紙等の建築用内装材を提供することができる。
本発明に使用する炭酸亜鉛は、化学式ZnCOで表される亜鉛塩であり、硫酸亜鉛等の亜鉛塩に炭酸ナトリウム等の炭酸塩を反応させることによって得ることができる。また工業的には塩基性炭酸亜鉛が製造されており、これは水酸化亜鉛との複塩となっていて組成は一定ではないが、代表的な組成は2ZnCO・3Zn(OH)・HOで表される。本願発明のアレルゲン低減化組成物に使用する炭酸亜鉛は、工業的に生産されている塩基性炭酸亜鉛が好ましい。
本発明のアレルゲン低減化組成物が対象とするアレルゲンには、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)の糞由来のアレルゲン(Der p1)および虫体由来のアレルゲン(Der p2)、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)の糞由来のアレルゲン(Der f1)および虫体由来のアレルゲン(Der f2)が挙げられる。また植物を由来とするアレルゲンとして、スギ(Cryptomeria japonica)の花粉由来のアレルゲン(Cry j1)を筆頭に、ヒノキ、ブタクサ、ヨモギ、カモガヤ、ハルガヤ等のアレルゲンが挙げられる。その他にも、イヌの毛やフケ由来のアレルゲン(Can f1、Can f2)、ネコの毛やフケ由来のアレルゲン(Fel d1)、ゴキブリ由来のアレルゲン(Bra g1、Bra g2)、カビ由来のアレルゲン(Alt a1)、天然ゴムラテックス由来のアレルゲン等が挙げられる。これらの中でも、ダニ由来のアレルゲンおよびスギ花粉由来のアレルゲンは、特に低減化が必要なアレルゲンとして重要視されている。本発明組成物、および本発明組成物を加工した不織布、繊維または繊維製品、建築用内装材の使用により、上記に挙げた種々のアレルゲンを低減することができ、多種のアレルゲンを実質的になくすことができる。
本発明のアレルゲン低減化組成物を適用する用途としては、例えば不織布、繊維または繊維製品への加工が考えられ、その使用方法としては、不織布、繊維または繊維製品に浸漬、塗布、スプレー等の方法によって加工することができる。繊維または繊維製品としては、衣料品、カーペット、ソファー、壁紙、カーテン等のインテリア類、布団側地、布団カバー、布団中綿、シーツ、枕カバー、マット等の寝具類、カーシート、カーマット等の自動車部品類、ぬいぐるみ等が挙げられ、不織布としては掃除用ウェットワイパー、マスク、フィルター材料、電気掃除機の集塵袋等があげられる。また建築用内装材としては、塩ビ等の樹脂を用いた壁紙、天井材、合板等の木質材料、床材等が挙げられ、これらの内装材料に表面加工を行うための表面処理剤、コーティング剤、塗料等も含まれる。
本発明のアレルゲン低減化組成物を加工することができる不織布や繊維には種々のものがあるが、たとえばナイロン、綿、ポリエステル、羊毛等が挙げられ、これらの繊維を二種類以上使用した複合繊維であっても差し支えない。またポリエチレンやポリプロピレンを用いた不織布にも使用することが可能である。本発明のアレルゲン低減化組成物の不織布、繊維または繊維製品への加工方法は特に限定されるものではないが、浸漬処理、スプレー処理、吸尽加工等を行うことが可能である。
以上に挙げた種々の用途に本発明のアレルゲン低減化組成物の加工を行う場合、処理を行うことが容易にできるように、アレルゲン低減化組成物を加工に適した製剤とすることができる。このような製剤としては、水を代表とする極性溶剤あるいは非水溶性剤に分散した製剤、また適当な担体に混合した粉剤、粒剤等が挙げられる。
本発明のアレルゲン低減化組成物は非水溶性であり、不織布、繊維または繊維製品、建築用内装材に耐水性のある加工を行うことが可能である。また耐水性をさらに増強させるために樹脂を含有するバインダーを併用することも可能である。このようなバインダーとして特に制限はないが、例えばアクリル系バインダー、ウレタン系バインダー等が挙げられる。
アクリル系バインダーはアクリル樹脂を含有するバインダーであり、アクリル樹脂は(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド誘導体等の一種以上のモノマーを原材料として、ラジカル重合法によって得られるポリマーである。
ウレタン系バインダーはウレタン樹脂を含有するバインダーであり、ウレタン樹脂は高分子ジオール成分とイソシアネート基を有する有機イソシアネート化合物からなり、ジオール成分の種類によって、ポリエーテル系、ポリエステル系,ポリカーボネート系およびこれらの混合系等、種々のものがある。ウレタン系バインダーはこれらのポリエーテル系、ポリエステル系,ポリカーボネート系等のいずれを使用しても差し支えなく、また二種類以上を混合して使用することも可能である。また溶剤系のポリウレタン樹脂と、ポリウレタン樹脂エマルジョンのいずれもバインダーとして使用可能である。ポリウレタン樹脂のエマルジョンには自己乳化型または強制乳化型があるがいずれの型のものをバインダーとして使用しても差し支えなく、各々の型のものを混合して使用しても差し支えない。炭酸亜鉛あるいは塩基性炭酸亜鉛は、水に分散させた場合に中性からアルカリ性のpHを示す。バインダーや樹脂エマルジョンは中性から弱アルカリ性のpHのものが多く、これらに混合するときに相溶性が高い。
水等の溶剤に分散させた製剤を調製する場合、安定性の向上等の目的のために界面活性剤を添加することが可能である。界面活性剤は特に限定されず、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を挙げることができる。非イオン性界面活性剤の種類は特に限定されるものではないが、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。アニオン性界面活性剤にはアルキルベンゼンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、ジアルキルスルホサクシネート等が挙げられる。カチオン性界面活性剤では脂肪族アミン塩およびその4級アンモニウム塩等が挙げられ、両イオン性界面活性剤ではベタイン型界面活性剤、アミノカルボン酸塩等が挙げられる。また、これらの非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両イオン性界面活性剤は一種を単独に用いても二種以上を併用してもよい。
本発明のアレルゲン低減化組成物には、物性を損なわない範囲で、公知となっているアレルゲン低減化成分をさらに添加することも可能である。アレルゲン低減化成分としては、ジヒドロキシ安息香酸や2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシ安息香酸系化合物またはその塩、パラヒドロキシポリスチレンやポリスチレンスルホン酸塩等のポリスチレン系化合物、柿渋等の天然抽出物、カルシウム塩やストロンチウム塩や、希土類塩等の無機塩系化合物が挙げられる。
本発明のアレルゲン低減化組成物は、屋内塵性ダニのアレルゲン除去を目的に使用する場合、殺ダニ剤と同時に加工することにより、そのアレルゲン低減化効果をさらに持続させることも可能である。使用する殺ダニ剤は、屋内塵性ダニに対して致死効果や忌避効果のあるものであれば特に限定はなく、例えば、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、サリチル酸フェニル、シンナムアルデヒド、ヒソップ油、ニンジン種子油等を用いることができ、また天然ピレトリン、フェノトリン、ペルメトリン等のピレスロイド系化合物、フェニトロチオン、マラチオン、フェンチオン、ダイアジノン等の有機リン系化合物、ジコホル、クロルベンジレート、ヘキシチアゾクス、テブフェンピラド、ピリダベン、アミドフルメト等を用いることができる。
本発明のアレルゲン低減化組成物は、カビあるいは菌の増殖が懸念される場合がある。そのために防カビ剤または抗菌剤を同時に併用することが可能である。防カビ剤または抗菌剤の種類は、防カビまたは抗菌効果を有するものであれば特に限定されないが、例えば、5−クロロ−N−メチルイソチアゾロン、メチレンビスチオシアネート、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、グルタルアルデヒド、ヨードプロピニルブチルカーバメート、ピリジンチオール−N−オキシドの亜鉛塩、1,2−ベンゾイソチアゾロン、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、グルコン酸クロルヘキシジン、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、オルトフェニルフェノール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラクロロメタキシレノール、パラクロロメタクレゾール、ポリリジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、N−n−ブチルベンゾイソチアゾロン、N−オクチルイソチアゾロン、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−ベンズイミダゾリルカルバミン酸メチル、テトラクロロイソフタロニトリル、ジヨードメチルパラトリルスルホン、パラクロロフェニル−3−ヨードプロパギルホルマール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、脂肪酸グリセリンエステル、ヒノキチオール等を用いることができる。
本発明のアレルゲン低減化組成物の製剤化に際しては、前述の界面活性剤、防ダニ剤、抗菌剤の他に、必要に応じてキレート剤、防錆剤、香料、スケール防止剤、消泡剤、帯電防止剤、増粘剤、柔軟加工剤等を添加することも可能である。
本発明のアレルゲン低減化組成物の使用形態としては主に加工剤用途が挙げられるが、繊維または繊維製品、建築用内装材以外にも、環境中で人が接触する可能性のある組成物、たとえば柔軟剤、消臭剤、防カビ剤、除菌剤、殺虫剤、塗料、接着剤等に添加することによって環境中のアレルゲンを低減させることも可能であり、環境中で人が接触する可能性のある材料、たとえば木材、コンクリート、金属、石、ガラス等の建材等、ゴム、紙、樹脂、プラスチックのよる成型品等に加工することによって環境中のアレルゲンを低減させることも可能である。
本発明を実施例、試験例により更に詳しく説明するが、本発明がこれらによって限定されるものではない。なお、下記に示す%はすべて重量%である。
[実施例1]
硫酸亜鉛七水和物(和光純薬工業株式会社製)5gをイオン交換水100gに溶解し、この液を撹拌しながら、炭酸ナトリウム十水和物(和光純薬工業株式会社製)5gをイオン交換水100gに溶解した液を徐々に添加し、炭酸亜鉛の白色沈殿を得た。この沈殿をろ別し、ポイズ520(花王株式会社製)0.2gを添加後イオン交換水を加えて20gとし、直径1mmのガラスビーズを用いて湿式粉砕を10分間行い、約10%の炭酸亜鉛分散製剤を得て実施例1とした。
[実施例2]
炭酸亜鉛(和光純薬工業株式会社製)20g、ポイズ520(花王株式会社製)1g、イオン交換水79gを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いて湿式粉砕を10分間行い、炭酸亜鉛20%の分散製剤を得て実施例2とした。
[実施例3]
塩基性炭酸亜鉛(堺化学工業株式会社製)20g、ポイズ520(花王株式会社製)1g、イオン交換水79gを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いて湿式粉砕を10分間行い、塩基性炭酸亜鉛20%の分散製剤を得て実施例3とした。
[比較例1]
酸化亜鉛(和光純薬工業株式会社製)20g、ポイズ520(花王株式会社製)1g、イオン交換水79gを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いて湿式粉砕を10分間行い、酸化亜鉛20%の分散製剤を得て比較例1とした。
[比較例2]
微粒子化酸化亜鉛(FINEX 25:堺化学工業株式会社製)20g、ポイズ520(花王株式会社製)1g、イオン交換水79gを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いて湿式粉砕を10分間行い、微粒子化酸化亜鉛20%の分散製剤を得て比較例2とした。
[比較例3]
塩基性炭酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)20g、ポイズ520(花王株式会社製)1g、イオン交換水79gを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いて湿式粉砕を10分間行い、塩基性炭酸マグネシウム20%の分散製剤を得て比較例3とした。
[比較例4]
塩化亜鉛(和光純薬工業株式会社製)10gをイオン交換水90gに溶解した溶液を比較例4とした。
[試験例1]
アレルゲン低減化組成物によるダニアレルゲンの低減化効果の測定
ダニアレルゲンDer f2を含有する、タンパク質量として約900ng/1mL{リン酸緩衝液(pH7.2)}のアレルゲン液1mLに対し、実施例1〜3、比較例1〜3をそれぞれ20または40μL反応させた。これら試料について Der f2酵素免疫測定法(ELISA)のサンドイッチ法にてダニアレルゲン低減化効果の測定を行った。まず、リン酸緩衝液(pH7.4)で2μg/mLに希釈した抗Der f2 モノクローナル抗体15E11を、F16 MAXISORP NUNC−IMMUNO MODULEプレート(NUNC社製)の1ウェルあたり100μLずつ添加し、4℃にて3日感作させた。感作後、液を捨て、ブロッキング試薬{1重量%牛血清アルブミン+リン酸緩衝液(pH7.2)}を1ウェルあたり200μLずつ添加し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液(pH7.2)にてプレートを洗浄した。
次に、ダニアレルゲン液に上記試料を添加した液を1ウェルあたり100μLずつ滴下し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液(pH7.2)にてプレートを洗浄した。ペルオキシダーゼ標識した抗Der f2モノクローナル抗体をリン酸緩衝液{pH7.2、1重量%牛血清アルブミンおよび0.05重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}で200μg/mLに溶解し、それをリン酸緩衝液(pH7.2、1重量%牛血清アルブミンおよび0.05重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有)で1200倍希釈した液を、1ウェルあたり100μLずつ添加した。37℃、60分間反応させた後、リン酸緩衝液(pH7.2)でプレートを洗浄した。0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH6.2)6.5mLにオルト−フェニレンジアミンジヒドロクロライド(13mg Tablet、和光純薬工業株式会社製)一錠と30%過酸化水素水6.5μLを加えたものを1ウェルあたり100μLずつ添加し、37℃、3分間反応させた。その後直ちに、1mol/L HSOを50μLずつ入れて反応を停止させ、マイクロプレート用分光光度計(テカンジャパン株式会社製)で吸光度(OD490nm)を測定した。初期アレルゲン量に対する減少率を表1に示した。
Figure 0006904521
[試験例2]
アレルゲン低減化組成物によるスギ花粉アレルゲンの低減化効果の測定
スギ花粉アレルゲンCry j1として約12.5ng/1mL{リン酸緩衝液(pH7.2)}のアレルゲン液1mLに対し、実施例1〜3、比較例1〜3をそれぞれ20または40μL反応させた。これら試料についてCry j1酵素免疫測定法(ELISA)のサンドイッチ法にてスギ花粉アレルゲン低減化効果の測定を行った。まず、リン酸緩衝液(pH7.4、0.1重量%NaN含有)で2μg/mLに希釈したCry j1 モノクローナル抗体013を、F16 MAXISORP NUNC−IMMUNO MODULEプレート(NUNC社製)の1ウェルあたり100μLずつ添加し、4℃にて1日感作させた。感作後、液を捨て、ブロッキング試薬{1重量%牛血清アルブミン+リン酸緩衝液(pH7.2、0.1重量%NaN含有)}を1ウェルあたり200μLずつ添加し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}にてプレートを洗浄した。
次に、スギ花粉アレルゲン液に上記試料を添加した液を1ウェルあたり100μLずつ滴下し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}にてプレートを洗浄した。ペルオキシダーゼ標識したCry j1モノクローナル抗体053を蒸留水で200μg/mLに溶解し、それをリン酸緩衝液{pH7.2、1重量%牛血清アルブミンおよび0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}で1200倍希釈した液を、1ウェルあたり100μLずつ添加した。37℃、60分間反応させた後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}でプレートを洗浄した。0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH6.2)13mLにオルト−フェニレンジアミンジヒドロクロライド(SIGMA CHEMICAL CO.製:26mg Tablet)と過酸化水素水13μLを加えたものを1ウェルあたり100μLずつ添加し、37℃、5分間反応させた。その後直ちに、2mol/L HSOを50μLずつ入れて反応を停止させ、マイクロプレート用分光光度計(テカンジャパン株式会社製)で吸光度(OD490nm)を測定した。結果を表2に示した。
Figure 0006904521
[加工例1]
実施例3を5g、ウレタン系バインダーとしてスーパーフレックス130(第一工業製薬株式会社製)2gを採り、イオン交換水43gを加えて希釈した。この希釈液に27cm×20cmのポリプロピレン製不織布(80g/m)を浸漬処理し、希釈液6.5gを付着させ、110℃で乾燥させた。(加工量は塩基性炭酸亜鉛として約2.4g/m)。
[加工例2]
比較例1について、加工例1と同様の方法にて27cm×20cmのポリプロピレン製不織布(80g/m)を浸漬処理を行った(加工量は酸化亜鉛として約2.4g/m)。
[加工例3]
比較例4を10g、ウレタン系バインダーとしてスーパーフレックス130(第一工業製薬株式会社製)2gを採り、イオン交換水38gを加えて希釈した。この希釈液に27cm×20cmのポリプロピレン製不織布(80g/m)を浸漬処理し、希釈液6.5gを付着させ、110℃で乾燥させた。(加工量は塩化亜鉛として約2.4g/m)。
[不織布の水洗]
加工例1〜3の不織布を等分に切断し(13.5cm×20cm)、一方を4Lのイオン交換水に浸漬して30分間攪拌し、取り出して室温で風乾し水洗後の試料とした。
[試験例3](加工不織布のダニアレルゲンの低減化効果の測定)
加工例1〜3の不織布および、これらの水洗を行った不織布を5cm×5cmに切り取り、チャック付きポリ袋に投入し、標準ダニアレルゲン懸濁液(ダニアレルゲンDer f2を含有しタンパク質量として約900ng/1mL)1mLを加え、試料とアレルゲンを接触させた。1時間後にチャック付きポリ袋からアレルゲン液を搾り出し、遠心分離後のこれら試料について Der f2酵素免疫測定法(ELISA)のサンドイッチ法にてダニアレルゲン濃度の測定を[試験例1]と同様の方法を用いて行った。結果を表3に示す。
Figure 0006904521

本発明の、炭酸亜鉛を含有するアレルゲン低減化組成物を使用することにより、ダニや花粉等のアレルゲンを低減させることができ、また不織布、繊維または繊維製品、建築用内装材に耐水性を有するアレルゲンを低減させる機能を付与することができ、さらにアレルゲンを低減できる不織布、繊維または繊維製品、建築用内装材を提供することができる。






Claims (3)

  1. 炭酸亜鉛を含有することを特徴とするアレルゲン低減化組成物。
  2. 炭酸亜鉛が塩基性炭酸亜鉛であることを特徴とする請求項1記載のアレルゲン低減化組成物。
  3. 請求項1または請求項2に記載のアレルゲン低減化組成物を加工したアレルゲン低減化用壁材、壁紙、不織布、フィルター材料、繊維または繊維製品、建築用内装材。
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