JP2011142128A - 太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム - Google Patents

太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】接着性の優れ、耐久性、長期熱安定性に優れた太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム。
【解決手段】アルミニウム及び/又はその化合物と、芳香族基を分子内に有するリン化合物を含有する重縮合触媒を用いて重合されたポリエステルを主たる構成成分とし、白色度が50以上であり、平均粒径が0.1〜3μmの微粒子を3〜50質量%含有し、フィルムの酸価が1(eq/ton)以上30(eq/ton)以下であり、厚みが20〜500μmである白色ポリエステルフィルムに、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂を主成分とし、前記塗布層の赤外分光スペクトルにおいて脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)との比率(A1460/A1530)が0.70〜1.60である塗布層を有する太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムおよびそれを用いたバックシートに関する。詳しくは、太陽電池用バックシートに用いた場合に、耐加水分解性および長期熱安定性に優れるばかりでなく、太陽電池用バックシートの封止剤に接する面に用いた際に、高温高湿下においても封止剤との接着に優れた白色ポリエステルフィルム、およびそれを用いたバックシートに関する。
近年、地球温暖化の原因となる石油エネルギーに代わる、エネルギー手段として、太陽電池が注目を浴びており、その需要が高まっている。太陽電池は太陽光のエネルギーを直接電気に換える太陽光発電システムであり、太陽電池素子として、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどの半導体や、化合物系、あるいは有機物系色素など使用されている。最近では、原料、生産に要するエネルギーやコストを削減させるためにシリコンの厚みを薄くした薄膜太陽電池素子の割合が増加してきている。このような太陽電池素子単体を一般的に数枚〜数十枚の太陽電池素子を直列、並列に配線し、長期間(約20年以上)に亘って素子を保護するため種々のパーケージングが行われ、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットを太陽電池モジュールと呼ぶ。
ここで、太陽電池モジュールは、一般的に太陽光が当たる面をガラスで覆い、太陽電子素子を封止材で間隙を埋め、裏面をバックシートと呼ばれる耐熱、耐候性プラスチック材料などの複数の層構成からなる保護シートで保護された構成になっている。太陽電池素子を充填する封止材としてはエチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂(以下、EVA)やポリビニルブチラール樹脂(以下、PVB)などのオレフィン系樹脂が用いられる。これらの封止材を用い、上記ガラス基板/封止材/太陽電池素子/封止材/バックシートの構成で重ね合わせ、真空ラミネーターなどで加熱圧着することによりモジュールが作製される。封止材には、太陽電池素子を接着固定するとともに、外部からの湿気の侵入を防ぎ、太陽電池素子を保護する役割がある。
太陽電池用バックシートとしては、太陽電池素子側(封止材側)からポリエステルフィルム/接着剤/ポリエステルフィルム(着色)/金属、または、金属酸化物系薄膜層(防湿層)/接着剤/フッ素フィルム(防汚層)などの積層構成を有したものが提案されている。特に、光電変換効率の向上を図ることを目的として、太陽電池素子(特に薄膜太陽電池素子)を透過した光を反射させ、効率よく吸収させるために、太陽電池素子側(封止材側)のポリエステルフィルムとして白色ポリエステルフィルムが採用される場合がある(特許文献1)。このようなバックシートには太陽電池素子を外部の湿気や汚染から長期にわたり、保護する役目がある。そのため、太陽電池用バックシートに使用されるポリエステルフィルムの耐久性は重要である。また、特に封止材と直接的に接する太陽電池素子側のポリエステルフィルムでは、封止材との接着性も重要である。しかしながら、表面未処理のポリエステルフィルムでは、封止材との十分な接着性が得られず、改善することが求められている。ポリエステルフィルムの接着性を改善させる方法として、樹脂や架橋剤を含む接着層を設けることが提案されている(特許文献2〜5)。
特開2009−182188号公報 特開2006−152013号公報 特開2006−332091号公報 特開2007−48944号公報 特開2007−136911号公報
前述のように白色ポリエステルフィルムを用いることにより、太陽光を反射させ、発電効率を上げることが可能である。一方、屋外で過酷な環境条件下で使用される太陽電池モジュールは、20年以上の長寿命化が期待されている。しかしながら、白色ポリエステルフィルムはポリエステル基材に対し、粒子を多量に添加する必要があり、そのため、それらの分散性や混合状態を良好にするため、2種類以上の材料を予備混合した原料を作製することや、通常の押出工程でも溶融時間を長くとることなどにより熱履歴が多く行われるため樹脂が劣化しやすくなり、高温高湿度下において太陽電池として使用する場合に、耐久性に乏しいことが問題であった。
また、近年、太陽電池は従来の屋根置きから、砂漠地域など大規模な太陽光発電所での設置へと発展している。このような環境では日照時間が長く、長期に高温に曝されることとなる。さらに、太陽電池モジュールは大型化、大出力化しており、大型化による温度上昇や、大出力化による電極・コネクタ部位の温度上昇が生じている。このように長期熱安定性がますます求められる状況においては、従来の耐加水分解性による改善だけでは、十分な耐久性を奏し得ないと考えられた。
さらに、太陽電池素子の薄膜化の進展により、太陽光がシリコン薄膜などを透過して直接バックシートに到達しやすくなっている。そのため、用途によってはバックシートが光照射による分解・劣化が問題となりつつある。加えて、大規模な太陽光発電システムにおいては広大な太陽電池モジュールを設置するため、用途によっては地面からの照り返しによりバックシートが分解・劣化する場合がある。
さらには、封止材と直接的に接する太陽電池素子側の部材として用いられる封止材易接着フィルムにおいても、初期接着性だけでなく、高温高湿下でも長期間、接着性を保持することが必要であると考えられた。しかしながら、上記特許文献に開示されるような太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムは、いまだ接着性が不十分であり、特に高温高湿下の長期間の使用においては接着強度の低下は避けられないものであった。
加えて、封止材には、生産性の向上や劣化防止の観点から架橋剤、紫外線吸収剤などの添加剤を含む多様な組成物種が用いられるようになってきた。そのため、多様な封止材に対しても同程度の接着性を示す汎用性の高い易接着性フィルムが求められている。
本発明は上記課題に鑑み、高温高湿度下における耐加水分解性および、長期熱安定性が良好であり、さらに光照射下においても耐久性に優れ、さらには、過酷な環境下にも耐ええる強度な接着性を有し、従来避けられないと考えられてきた高温高湿下における接着性の低下をほとんど引き起こさず、多様な封止材に対しても良好な接着性を有する太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを提供するものである。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、少なくとも片面に塗布層を有するポリエステルフィルムにおいて、フィルム基材に用いるポリエステルの触媒種が熱劣化に影響を及ぼすことを感知し、特定の重合触媒により重合したポリエステルポリエステルフィルムを用い、さらに特定の塗付層を用いることにより、太陽電池用ポリエステルフィルムとして優れた耐加水分解性と格段に優れた長期熱安定性を発揮し、過酷な環境下にも耐え得る強度な接着性を奏し、高温高湿下でも優れた接着性をも奏するという驚くべき効果を見出し、本願発明に至ったものである。
前記の課題は、以下の解決手段により達成することができる。
アルミニウム及び/又はその化合物と、芳香族基を分子内に有するリン化合物を含有する重縮合触媒を用いて重合されたポリエステルを主たる構成成分とし、白色度が50以上であり、平均粒径が0.1〜3μmの微粒子を3〜50質量%含有し、フィルムの酸価が1(eq/ton)以上30(eq/ton)以下であり、厚みが20〜500μmである白色ポリエステルフィルムに、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂を主成分とし、前記塗布層の赤外分光スペクトルにおいて脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)との比率(A1460/A1530)が0.70〜1.60である塗布層を有する太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム。
本発明の太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムは、その接着層が強固な接着性を奏し、特に、高温高湿下での接着性(耐湿熱性)に優れる。また、基材の白色ポリエステルフィルム層が光反射効率および高温高湿度下での優れた耐久性を有し、さらには、長期熱安定性も有する。また、上記特性に加え、光照射下での優れた耐久性をも有する。そのため、本発明の好ましい実施態様としては、本発明の太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムをバックシートの部材として用いた場合、封止材との接着性が良好であるばかりか、高温高湿処理において、接着性とフィルムの力学特性がともに高く維持され、よって、太陽電池において有用である。
(白色ポリエステルフィルム)
本発明の太陽電池用ポリエステルフィルムの主たる構成成分であるポリエステルを重合する際に使用する重縮合触媒は、アルミニウム及び/又はその化合物と、芳香族基を分子内に有するリン化合物を含有する触媒、リン化合物のアルミニウム塩を含有する触媒、または前記一般式(5)で表わされる化合物から選択される少なくとも1種を含有する触媒である。
前記アルミニウム及び/又はアルミニウム化合物として、金属アルミニウムのほか、公知のアルミニウム化合物を限定なく使用することができる。
アルミニウム化合物としては、具体的には、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムiso-プロポキサイド、アルミニウムn-ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、などのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好ましく、これらの中でもさらに酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートが特に好ましい。
前記アルミニウム及び/又はアルミニウム化合物の添加量としては、得られるポリエステルのジカルボン酸や多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して0.001〜0.05モル%が好ましく、さらに好ましくは、0.005〜0.02モル%である。添加量が0.001モル%未満であると触媒活性が十分に発揮されない場合があり、添加量が0.05モル%以上になると、熱安定性や熱酸化安定性の低下、アルミニウムに起因する異物の発生や着色の増加が問題になる場合が発生する。この様にアルミニウム成分の添加量が少なくても本発明の重合触媒は十分な触媒活性を示す点に大きな特徴を有する。その結果、熱安定性や熱酸化安定性が優れ、アルミニウムに起因する異物や着色を低減することができる。
前記重縮合触媒を構成するリン化合物としては特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらの中でも、一種または二種以上のホスホン酸系化合物を用いると触媒活性の向上効果が特に大きく好ましい。
前記のホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物とは、それぞれ下記式(6)、(7)で表される構造を有する化合物のことである。
Figure 2011142128
Figure 2011142128
前記のホスホン酸系化合物としては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルなどが挙げられる。
前記のホスフィン酸系化合物としては、例えば、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸フェニルなどが挙げられる。
ホスフィン酸系化合物、としては、下記式(8)、(9)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 2011142128
Figure 2011142128
本発明の重縮合触媒においては、前記のリン化合物の中でも、分子中に芳香環構造を有する化合物を用いることが、十分な触媒活性を得るためには必要である。
また、前記の重縮合触媒を構成するリン化合物としては、下記一般式(10)〜(11)で表される化合物を用いると、特に触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
Figure 2011142128
Figure 2011142128
(式(10)〜(11)中、R1、R4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2、R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
前記の重縮合触媒を構成するリン化合物としては、上記式(10)〜(11)中、R1、R4が芳香環構造を有する基である化合物が特に好ましい。
前記の重縮合触媒を構成するリン化合物としては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸フェニルなどが挙げられる。これらのうちで、フェニルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルが特に好ましい。
前記のリン化合物の添加量としては、得られるポリエステルのジカルボン酸や多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して5×10−7〜0.01モルが好ましく、更に好ましくは1×10−6〜0.005モルである。
前記の重縮合触媒を構成するフェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、フェノール構造を有するリン化合物であれば特に限定はされないが、フェノール部を同一分子内に有する、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらの中でも、一種または二種以上のフェノール部を同一分子内に有するホスホン酸系化合物を用いると触媒活性の向上効果が特に大きく好ましい。
また、前記の重縮合触媒を構成するフェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、下記一般式(12)、(13)で表される化合物などが挙げられる。これらのうちで、下記式を用いると特に触媒活性が向上するため好ましい。
Figure 2011142128
Figure 2011142128
(式(12)〜(13)中、R1はフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基およびフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は分岐構造やシクロRとRの末端どうしは結合していてもよい。)
前記のフェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、例えば、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメチル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジエチル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸メチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸フェニルおよび下記式(14)〜(17)で表される化合物などが挙げられる。これらのうちで、下記式(16)で表される化合物およびp−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメチルが特に好ましい。
Figure 2011142128
Figure 2011142128
Figure 2011142128
Figure 2011142128
上記の式(16)にて示される化合物としては、例えばSANKO−220(三光株式会社製)が使用可能である。
これらのフェノール部を同一分子内に有するリン化合物をポリエステルの重合時に添加することによってアルミニウム化合物の触媒活性が向上するとともに、重合したポリエステルの熱安定性も向上する。
前記のフェノール部を同一分子内に有するリン化合物の添加量としては、得られるポリエステルのジカルボン酸や多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して5×10−7〜0.01モルが好ましく、更に好ましくは1×10−6〜0.005モルである。
また、前記のリン化合物として、リンの金属塩化合物を用いることが好ましい。前記のリンの金属塩化合物とは、リン化合物の金属塩であれば特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物の金属塩を用いると、触媒活性の向上効果が大きく好ましい。リン化合物の金属塩としては、モノ金属塩、ジ金属塩、トリ金属塩などが含まれる。
また、上記のリン化合物の中でも、金属塩の金属部分が、Li、Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると、触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgが特に好ましい。
前記のリンの金属塩化合物として、下記一般式(18)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると、触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
Figure 2011142128
(式(18)中、R1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、(l+m)は4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR1としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。R3-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
上記一般式(18)で表される化合物の中でも、下記一般式(19)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
Figure 2011142128
(式(19)中、R1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、(l+m)は4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR1としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。R3-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
上記のリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
上記式(19)の中でも、Mが、Li、Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
前記のリンの金属塩化合物としては、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、カリウム[(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベリリウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ストロンチウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、マンガンビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸]、ナトリウム[(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−クロロベンジルホスホン酸フェニル]、マグネシウムビス[4−クロロベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−アミノベンジルホスホン酸メチル]、マグネシウムビス[4−アミノベンジルホスホン酸メチル]、フェニルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[フェニルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[フェニルホスホン酸エチル]などが挙げられる。
これらの中で、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸]が特に好ましい。
前記の重縮合触媒を構成する別の好ましいリン化合物であるリンの金属塩化合物は、下記一般式(20)で表される化合物から選択される少なくとも一種からなるものである。
Figure 2011142128
(式(20)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、(l+m)は4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
これらの中でも、下記一般式(21)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
Figure 2011142128
(式(21)中、Mn+はn価の金属カチオンを表す。nは1、2、3または4を表す。)
上記式(20)または(21)の中でも、Mが、Li、Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgが特に好ましい。
前記の特定のリンの金属塩化合物としては、リチウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸]、カリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸]、ベリリウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル]、ストロンチウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、バリウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル]、マンガンビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ニッケルビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、銅ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]などが挙げられる。これらの中で、リチウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]が特に好ましい。
本発明の別の実施形態は、リン化合物のアルミニウム塩から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とするポリエステル重合触媒である。リン化合物のアルミニウム塩に他のアルミニウム化合物やリン化合物やフェノール系化合物などを組み合わせて使用しても良い。
前記の重縮合触媒を構成する好ましい成分であるリン化合物のアルミニウム塩とは、アルミニウム部を有するリン化合物であれば特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物のアルミニウム塩を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。リン化合物のアルミニウム塩としては、モノアルミニウム塩、ジアルミニウム塩、トリアルミニウム塩などが含まれる。
上記リン化合物のアルミニウム塩の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
上記の重合触媒を構成するリン化合物のアルミニウム塩としては、下記一般式(34)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
Figure 2011142128
(式(22)中、R1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、(l+m)は3である。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR1としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。上記のR3-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、エチレングリコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
前記のリン化合物のアルミニウム塩としては、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、(1−ナフチル)メチルホスホン酸のアルミニウム塩、(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、ベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、ベンジルホスホン酸のアルミニウム塩、(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、2−メチルベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、4−クロロベンジルホスホン酸フェニルのアルミニウム塩、4−アミノベンジルホスホン酸メチルのアルミニウム塩、4−メトキシベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、フェニルホスホン酸エチルのアルミニウム塩などが挙げられる。
これらの中で、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、ベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩が特に好ましい。
また、別の実施形態は、下記一般式(23)で表されるリン化合物のアルミニウム塩から選択される少なくとも一種からなるポリエステル重合触媒である。リン化合物のアルミニウム塩に、他のアルミニウム化合物やリン化合物やフェノール系化合物などを組み合わせて使用しても良い。
Figure 2011142128
(式(23)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、(l+m)は3である。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
これらの中でも、下記一般式(24)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
Figure 2011142128
(式(24)中、R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、(l+m)は3である。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR3としては、例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。上記のR4-としては、例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、エチレングリコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
前記のリン化合物のアルミニウム塩としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチルのアルミニウム塩、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸イソプロピルのアルミニウム塩、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニルのアルミニウム塩、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のアルミニウム塩などが挙げられる。
これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチルのアルミニウム塩が特に好ましい。
また、前記リン化合物としてP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物を用いることが好ましい。P−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物とは、分子内にP−OHを少なくとも一つ有するリン化合物であれば特に限定はされない。これらのリン化合物の中でも、P−OH結合を少なくとも一つ有するホスホン酸系化合物を用いると、触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
上記のリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
前記の重縮合触媒を構成するP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物として、下記一般式(25)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると、触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
Figure 2011142128
(式(25)中、R1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR1としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。
上記のリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
P−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物としては、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、(1−ナフチル)メチルホスホン酸、(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸、(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、2−メチルベンジルホスホン酸エチル、4−クロロベンジルホスホン酸フェニル、4−アミノベンジルホスホン酸メチル、4−メトキシベンジルホスホン酸エチルなどが挙げられる。これらの中で、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸エチルが特に好ましい。
また、好ましいリン化合物としては、P−OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物が挙げられる。重縮合触媒を構成する好ましいリン化合物であるP−OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物とは、下記一般式(26)で表される化合物から選択される少なくとも一種の化合物のことを意味する。
Figure 2011142128
(式(26)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
これらの中でも、下記一般式(27)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
Figure 2011142128
(式(27)中、R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR3としては、例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。
前記のP−OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸イソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸オクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸などが挙げられる。これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチルが特に好ましい。
好ましいリン化合物としては、化学式(28)であらわされるリン化合物が挙げられる。
Figure 2011142128
(式(28)中、R1は炭素数1〜49の炭化水素基、または水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜49の炭化水素基を表し、R2、R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
また、更に好ましくは、化学式(28)中のR、R、Rの少なくとも一つが芳香環構造を含む化合物である。
前記リン化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2011142128
Figure 2011142128
Figure 2011142128
Figure 2011142128
Figure 2011142128
Figure 2011142128
また、前記リン化合物は、分子量が大きいものの方が重合時に留去されにくいためより好ましい。
重縮合触媒として使用することが好ましい別のリン化合物は、下記一般式(35)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。
Figure 2011142128
(上記式(35)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3、R4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記一般式(35)の中でも、下記一般式(36)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると触媒活性の向上効果が高く好ましい。
Figure 2011142128
(上記式(36)中、R3、R4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR3、R4としては例えば、水素、メチル基、ブチル基等の短鎖の脂肪族基、オクタデシル等の長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基等の芳香族基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。
前記の特定のリン化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジイソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジ−n−ブチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルなどが挙げられる。
これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルが特に好ましい。
重縮合触媒として使用することが好ましい別のリン化合物は、化学式(37)、化学式(38)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。
Figure 2011142128
Figure 2011142128
上記の化学式(37)で示される化合物としては、Irganox1222(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)が市販されている。また、化学式(38)にて示される化合物としては、Irganox1425(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)が市販されている。
リン化合物は、一般に酸化防止剤としてはよく知られていたが、これらのリン化合物を従来の金属含有ポリエステル重合触媒と組み合わせて使用しても、溶融重合を大きく促進することは知られていない。実際に、ポリエステル重合の代表的な触媒であるアンチモン化合物、チタン化合物、スズ化合物あるいはゲルマニウム化合物を重合触媒としてポリエステルを溶融重合する際に、リン化合物を添加しても、実質的に有用なレベルまで重合が促進されることは認められない。
即ち、前記のリン化合物を併用することにより、ポリエステル重合触媒中のアルミニウムの含有量が少量でも、十分な触媒効果を発揮することができる。
前記のリン化合物の添加量は、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して、0.0001〜0.1モル%が好ましく、0.005〜0.05モル%であることがさらに好ましい。リン化合物の添加量が0.0001モル%未満の場合には添加効果が発揮されない場合がある。一方、0.1モル%を超えて添加すると、逆にポリエステル重合触媒としての触媒活性が低下する場合がある。また、その低下の傾向は、アルミニウムの添加量等により変化する。
リン化合物を使用せず、アルミニウム化合物を主たる触媒成分とし、アルミニウム化合物の添加量を低減し、さらにコバルト化合物を添加することにより、アルミニウム化合物を主触媒とした場合の熱安定性の低下による着色を防止することが検討されているが、コバルト化合物を十分な触媒活性を有する程度に添加するとやはり熱安定性が低下する。従って、この技術では両者を両立することは困難である。
前記の特定の化学構造を有するリン化合物の使用により、熱安定性の低下、異物発生等の問題を起こさず、しかも金属含有成分のアルミニウムとしての添加量が少量でも十分な触媒効果を有する重縮合触媒が得られ、この重縮合触媒により重合したポリエステルを使用することにより、溶融成形後のポリエステルフィルムの熱安定性が改善される。
また、前記リン化合物に代えてリン酸やトリメチルリン酸等のリン酸エステルを添加しても、前記添加効果は見られない。さらに、前記のリン化合物を前記好ましい添加量の範囲で、従来のアンチモン化合物、チタン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物等の金属含有ポリエステル重縮合触媒と組み合わせて使用しても、溶融重合反応を促進する効果は認められない。
一方、本発明においてアルミニウムもしくはその化合物に加えて少量のアルカリ金属、アルカリ土類金属並びにその化合物から選択される少なくとも1種を第2金属含有成分として共存させても良い。かかる第2金属含有成分を触媒系に共存させることは、ジエチレングリコールの生成を抑制する効果に加えて触媒活性を高め、従って反応速度をより高めた触媒成分が得られ、生産性向上に有効である。
アルミニウム化合物にアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を添加して十分な触媒活性を有する触媒とする技術は公知である。かかる公知の触媒を使用すると熱安定性に優れたポリエステルが得られるが、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を併用した公知の触媒は、実用的な触媒活性を得ようとすると、触媒添加量を多くする必要がある。
アルカリ金属化合物を併用した場合、それに起因する異物量が多くなり、フィルム製造時の溶融押出し工程でフィルター交換頻度が短くなったり、フィルム欠点が増加する傾向がある。
また、アルカリ土類金属化合物を併用した場合には、実用的な活性を得ようとすると、得られたポリエステルの熱安定性や熱酸化安定性が低下し、加熱による着色が大きく、異物の発生量も多くなる。
アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を添加する場合、その添加量M(モル%)は、ポリエステルを構成する全ポリカルボン酸ユニットのモル数に対して、1×10-6以上0.1モル%未満であることが好ましく、より好ましくは5×10-6〜0.05モル%であり、さらに好ましくは1×10-5〜0.03モル%であり、特に好ましくは、1×10-5〜0.01モル%である。
すなわち、アルカリ金属やアルカリ土類金属の添加量が少量であるため、熱安定性低下、異物の発生、着色等の問題を発生させることなく、反応速度を高めることが可能である。また、耐加水分解性の低下等の問題を発生させることもない。
アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物の添加量Mが0.1モル%以上になると熱安定性の低下、異物発生や着色の増加、耐加水分解性の低下等が製品加工上問題となる場合が発生する。Mが1×10-6モル%未満では、添加してもその効果が明確ではない。
前記アルミニウムもしくはその化合物に加えて使用することが好ましい第2金属含有成分を構成するアルカリ金属、アルカリ土類金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Baから選択される少なくとも1種であることが好ましく、アルカリ金属ないしその化合物の使用がより好ましい。
アルカリ金属ないしその化合物を使用する場合、アルカリ金属としては、特にLi、Na、Kが好ましい。アルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物としては、例えば、これら金属のギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸などの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、炭酸水素、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸などの無機酸塩、1−プロパンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキサイド、アセチルアセトネートなどとのキレート化合物、水素化物、酸化物、水酸化物などが挙げられる。
これらのアルカリ金属、アルカリ土類金属またはそれらの化合物のうち、水酸化物等のアルカリ性の強いものを用いる場合、これらはエチレングリコール等のジオールもしくはアルコール等の有機溶媒に溶解しにくい傾向があるため、水溶液で重合系に添加しなければならず重合工程上問題となる場合が有る。
さらに、水酸化物等のアルカリ性の強いものを用いた場合、重合時にポリエステルが加水分解等の副反応を受けやすくなるとともに、重合したポリエステルは着色しやすくなる傾向があり、耐加水分解性も低下する傾向がある。
従って、前記のアルカリ金属またはその化合物、アルカリ土類金属またはその化合物として好適なものは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の飽和脂肪族カルボン酸塩、不飽和脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン塩、ハロゲン含有カルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸から選ばれる無機酸塩、有機スルホン酸塩、有機硫酸塩、キレート化合物、および酸化物である。これらの中でもさらに、取り扱い易さや入手のし易さ等の観点から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の飽和脂肪族カルボン酸塩、特に酢酸塩の使用が好ましい。
本発明で用いるポリエステルの触媒は、重合反応のみならずエステル化反応およびエステル交換反応にも触媒活性を有する。例えば、テレフタル酸ジメチルなどのジカルボン酸のアルキルエステルとエチレングリコールなどのグリコールとのエステル交換反応による重合は、通常チタン化合物や亜鉛化合物などのエステル交換触媒の存在下で行われるが、これらの触媒に代えて、もしくはこれらの触媒に共存させて本発明の請求項に記載の触媒を用いることもできる。また、前記の触媒は、溶融重合のみならず固相重合や溶液重合においても触媒活性を有しており、いずれの方法によってもポリエステルフィルムを製造に適したポリエステルを製造することが可能である。特に、本発明ではポリエステルフィルムの耐久性を付与するため、固有粘度が0.60dl/g超のポリエステルを用いるのか好ましいが、固有粘度を調整するために、重合後に固相重合を施すことが望ましい。
本発明で用いるポリエステルの重合触媒は、重合反応の任意の段階で反応系に添加することができる。例えば、エステル化反応もしくはエステル交換反応の開始前および反応途中の任意の段階、重縮合反応の開始直前、あるいは重縮合反応途中の任意の段階で、反応系への添加することが出きる。特に、アルミニウムないしその化合物は重縮合反応の開始直前に添加することが好ましい。
本発明で用いるポリエステルの重縮合触媒の添加方法は、特に限定されないが、粉末状もしくはニート状での添加であってもよいし、エチレングリコールなどの溶媒のスラリー状もしくは溶液状での添加であってもよい。また、アルミニウム金属もしくはその化合物と他の成分、好ましくは本発明のフェノール系化合物もしくはリン化合物とを予め混合したものを添加してもよいし、これらを別々に添加してもよい。また、アルミニウム金属もしくはその化合物と他の成分、好ましくはフェノール系化合物もしくはリン化合物とを同じ添加時期に重合系に添加しても良いし、それぞれを異なる添加時期に添加してもよい。
本発明で用いるポリエステルの重縮合触媒は、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、スズ化合物等の他の重合触媒は用いないことが好ましいが、を、ポリエステルの特性、加工性、色調品に問題が生じない範囲内において、適量共存させても良い。
具体的には、アンチモン化合物の添加量は、重合して得られるポリエステルに対してアンチモン原子換算で50ppm以下とすることが好ましく、より好ましくは30ppm以下の量である。アンチモン原子換算量が50ppmを超えると、金属アンチモンの析出が起こり、ポリエステルが黒っぽくなり外観上好ましくない。また、金属アンチモンに起因する異物が増加し、特に欠点に対する要求が厳しい用途では好ましくない。
チタン化合物の添加量は、重合して得られるポリエステルに対してチタン原子換算で10ppm以下の量とすることが好ましく、より好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは2ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。チタン原子換算量が10ppmを超えると、得られるレジンの熱安定性が著しく低下する。
ゲルマニウム化合物の添加量は、重合して得られるポリエステルに対してゲルマニウム原子換算量で20ppm以下とすることが好ましく、より好ましくは10ppm以下である。ゲルマニウム原子換算量が20ppmを超えると、コスト的に不利となるため好ましくない。
前記アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物およびスズ化合物の種類は特に限定はない。
具体的には、アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコキサイドなどが挙げられ、これらのうち三酸化アンチモンが好ましい。
また、チタン化合物としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、蓚酸チタン等が挙げられ、これらのうちテトラ−n−ブトキシチタネートが好ましい。
さらに、ゲルマニウム化合物としては二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウムなどが挙げられ、これらのうち二酸化ゲルマニウムが好ましい。
スズ化合物としては、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、モノブチルヒドロキシスズオキサイド、トリイソブチルスズアデテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズサルファイド、ジブチルヒドロキシスズオキサイド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸などが挙げられ、特にモノブチルヒドロキシスズオキサイドの使用が好ましい。
本発明でフィルム原料として使用するポリエステルとは、ジカルボン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる一種または二種以上とグリコールを含む多価アルコールから選ばれる一種または二種以上とから成るもの、またはヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体からなるもの、または環状エステルからなるものをいう。
好ましいポリエステルとしては、主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体、もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であり、主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルである。
主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であるポリエステルとは、全酸成分に対してテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。
主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルとは、全グリコール成分に対してアルキレングリコールを合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。
テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸に共重合可能なジカルボン酸としては、耐加水分解性を低下させないことから、オルソフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などに例示される芳香族ジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。また、ピロメリット酸、トリメリット酸、などの3官能以上のカルボン酸成分を共重合させても良い。
グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール、1,10−デカメチレングリコール、1,12−ドデカンジオールなどのアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビスフェノール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5−ナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコール、などに例示される芳香族グリコールが挙げられる。
これらのグリコールのうち、アルキレングリコールが好ましく、さらに好ましくは、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールである。また、前記アルキレングリコールは、分子鎖中に置換基や脂環構造を含んでいても良く、同時に2種以上を使用しても良い。
これらグリコール以外の多価アルコールとして、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
これらの中でも、とくに好ましく本発明で用いるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレートおよびこれらの共重合体が好ましく、特に好ましくはポリエチレンテレフタレートおよびこの共重合体である。
また、ポリエステルを重合した後に、得られたポリエステルから触媒を除去するか、またはリン化合物などの添加によって触媒を失活させることによって、ポリエステルの熱安定性をさらに高めることができる。
本発明のフィルムは、特定の触媒種を用いて重合してなるポリエステルを用いるため、160℃での耐熱テストにおける破断伸度保持率半減期が700時間以上、より好ましくは800時間以上である。係る範囲にあることにより、本発明のフィルムは、大型化、高出力化した太陽電池でも長期の使用に耐えうる長期熱安定性を奏することができる。
本発明のフィルムは、固有粘度(IV)の値が0.60〜0.90dl/gであることが高度な耐熱性、耐加水分解性を得るためには好ましく、より好ましくは0.62〜0.85dl/g、更に好ましくは0.65〜0.8dl/gである。IVの値が0.60dl/gより低い場合は、耐加水分解性や耐熱性が十分でなく、また、0.90dl/gより高い場合は、溶融工程の背圧が高くなるために生産性を低下させたり、せん断発熱により熱劣化が促進したりするために好ましくない。
フィルム原料となるポリエステルは酸価が1(eq/ton)以上30(eq/ton)以下であることが好ましく、より好ましくは2(eq/ton)以上20(eq/ton)以下、さらに好ましくは2(eq/ton)以上16(eq/ton)以下である。30(eq/ton)を超えると、耐加水分解性の良好なフィルムが得られない。1(eq/ton)未満のポリエステルは、工業的には作製が難しい。
本発明のフィルムは、耐加水分解性の評価である破断伸び保持率が60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。60%未満では太陽電池バックシートとしての耐久性が低く使用できない。フィルムの酸価を制御することにより本発明のフィルムの耐加水分解特性を上記範囲に制御することができる。
本発明のフィルムは、太陽電池の光電変換効率の向上の点から、反射光を利用しうるように白色ポリエステルフィルムを用いる。効果的な光反射性を奏するために、本発明の白色ポリエステルフィルムの白色度は50以上、好ましくは60以上である。この範囲であれば、光の反射率が高くなり、好ましい。
本発明のフィルムには、平均粒径は0.1〜3μmの微粒子がフィルム全質量に対して、3〜50質量%、好ましくは4〜25質量%含まれる。0.1μm以下または3μmを超えると、添加量を上げていってもフィルムの白色度を50以上とすることが困難となる。また、3質量%未満では、白色度を50以上とすることが困難となる。50質量%を超えるとフィルム重量が大きくなり、加工などでの取り扱いが困難になる。
なお、本発明の平均粒径は電顕法により求める。具体的には、以下の方法による。
微粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子の大きさに応じて適宜倍率を変え、写真撮影したものを拡大コピーする。次いで、ランダムに選んだ少なくとも200個以上の微粒子について、各粒子の外周をトレースする。画像解析装置にてこれらのトレース像から粒子の円相当径を測定し、それらの平均値を平均粒径とする。
本発明の微粒子としては、無機または有機の粒子を用いることができる。これら微粒子としては、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸価亜鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、有機白色顔料等が例示されるが特に限定されるものではない。白色度の向上の点と生産性の点から、好ましくは酸化チタンまたは硫酸バリウム、より好ましくは酸化チタンである。なお、酸化チタンはアナターゼ型、ルチル型の何れでもよい。また、微粒子表面にアルミナやシリカ等の無機処理を施してもよいし、シリコン系あるいはアルコール系等の有機処理を施してもよい。
本発明のフィルムの好ましい態様においては、光照射下でも優れた耐久性を奏することが好ましい。具体的には、63℃、50%Rh、照射強度100mW/cmで100時間UV照射した場合、破断伸び保持率が好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上である。このように光照射によっても本発明のフィルムは光分解や劣化が抑制されるため、屋外で用いられる太陽電池のバックシートとしてより好適である。
光照射下での耐久性を上記範囲に制御するために、本発明のフィルムにルチル型を主体とする二酸化チタン微粒子を添加することが好ましい。酸化チタンでは、主にルチル型とアナターゼ型の2つの結晶形態が知られているが、アナターゼ型は紫外線の分光反射率が非常に大きいのに対し、ルチル型は紫外線の吸収率が大きい(分光反射率が小さい)という特性を有している。本発明者は、二酸化チタンの結晶形態におけるこうした分光特性の違いに着目し、ルチル型の紫外線吸収性能を利用することで、太陽電池用ポリエステルフィルムにおいて、耐光性を向上させるに至ったのである。これにより本発明は他の紫外線吸収剤を実質的に添加しなくても光照射下でのフィルム耐久性に優れる。そのため、紫外線吸収剤のブリードアウトによる汚染や密着性の低下のような問題が生じにくい。
なお、上記の通り、本発明に係る二酸化チタン粒子は、ルチル型を主体とするものである。ここでいう「主体」とは、全二酸化チタン粒子中のルチル型二酸化チタン量が50質量%を超えていることを意味する。また、全二酸化チタン粒子中のアナターゼ型二酸化チタン量が10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは0質量%以下である。アナターゼ型二酸化チタンの含有量が上記上限値を超えると、全二酸化チタン粒子中に占めるルチル型二酸化チタン量が少なくなるために紫外線吸収性能が不十分となる場合がある他、アナターゼ型二酸化チタンは光触媒作用が強いため、この作用によっても耐光性が低下する傾向にある。ルチル型二酸化チタンとアナターゼ型二酸化チタンとは、X線構造回折や分光吸収特性により区別することができる。
本発明のルチル型二酸化チタン微粒子は、微粒子表面にアルミナやシリカ等の無機処理を施してもよいし、シリコン系あるいはアルコール系等の有機処理を施してもよい。ルチル型二酸化チタンは、ポリエステル組成物に配合する前に、精製プロセスを用いて、粒径調整、粗大粒子除去を行ってもよい。精製プロセスの工業的手段としては、粉砕手段で例えばジェットミル、ボールミルを適用することができ、分級手段としては、例えば乾式もしくは湿式の遠心分離を適用することができる。
フィルム中への微粒子の添加は公知の方法を用いることで可能であるが、事前にポリエステル樹脂と微粒子を押出機で混合しておくマスターバッチ法(MB法)が好ましい。また、事前に乾燥させていないポリエステル樹脂と微粒子を押出機に投入し、水分や空気などを脱気しながらMBを作製する方法を採用することもできる。さらに、好ましくは、事前に少しでも乾燥したポリエステル樹脂を用いてMBを作製する方が、ポリエステルの酸価上昇を抑えられる。この場合、脱気しながら押出する方法や、十分乾燥したポリエステル樹脂により脱気をせずに押出する方法などがあげられる。
本発明のフィルムは、内部に微細な空洞を多数含有してもよい。内部に微細な空洞を含有させることで、フィルムの電気絶縁性が向上するため、高い電気絶縁性が求められる太陽電池バックシート(特に内層部材)として有効である。その場合の見かけ比重は0.7以上1.3以下、好ましくは0.9以上1.3以下、より好ましくは1.05以上1.2以下である。0.7未満では、フィルムに腰がなく太陽電池モジュール作製時の加工が困難になる。1.3を越えるフィルムであっても本発明のフィルムの範囲であるが、好ましくは1.3を越えた場合にフィルム重量が大きいため太陽電池の軽量化を検討する場合の障害となる可能性がある。
上記の微細な空洞は、前記微粒子および/もしくは後述のポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂に由来して形成することができる。なお、微粒子もしくはポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂に由来する空洞とは前記微粒子もしくは前記熱可塑性樹脂のまわりに空洞が存在することを言い、例えばフィルムの電子顕微鏡による断面写真などで確認することができる。
本発明に用いられるポリエステルには、非相溶の熱可塑性樹脂の添加が任意であり、ポリエステルに非相溶性のものであれば特に制限されるものではない。具体的には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂などがあげられる。特にポリスチレン系樹脂あるいはポリメチルペンテン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が好んで用いられる。
これらの空洞形成剤すなわちポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂のポリエステルに対する混合量は、目的とする空洞の量によって異なってくるが、フィルム全体に対して3〜20質量%の範囲とすることが好ましく、更には5〜18質量%が好ましい。そして、3質量%未満では、空洞の生成量を多くすることに限界がある。逆に、20質量%以上では、フィルムの延伸性が著しく損なわれ、また耐熱性や強度、腰の強さが損なわれるため好ましくない。
本発明の太陽電池用ポリエステルフィルムは、空洞含有ポリエステル系フィルムとすることも可能である。本発明のポリエステルフィルムは、単層または2層以上の多層からなる積層構成であっても構わない。積層構成としては、平均粒径が0.1〜3μmの微粒子に由来する空洞を多数含有するポリエステル層からなるスキン層と、ポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂に由来する空洞を多数含有するポリエステル層からなるコア層とを有することも本発明の好ましい態様である。
本発明の基材となるポリエステルフィルムの厚みは20〜500μmであり、より好ましくは25〜450μmであり、さらに好ましくは30〜300μmである。基材厚みが薄いと、熱収縮の影響が大きく、高温高湿処理後の接着性が低下する場合がある。厚いとロールとして巻き取りができなくなってしまう。
(塗布層)
本発明の太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムには、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂を主成分とした塗布層が形成され、赤外分光法による測定で、脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)の比率(A1460/A1530)がが0.70〜1.60であることが重要である。ここで、「主成分」とは、塗布層に含まれる全固形成分中として50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有することを意味する。
上記特許文献1〜4のように、従来の技術常識では塗布層の耐久性を向上させる点からは塗布層形成において架橋構造を積極的に導入し、剛直で強硬な塗布層にすることが望ましいと考えられていた。しかし、本発明では脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするポリウレタン樹脂を赤外分光法による吸光度を一定の範囲に制御することで、強固な接着性を奏し、かつ高温高湿熱下での接着性を向上させるという顕著な効果を見出し、本発明に至った。このような構成により、接着性を向上させることの機序はよくわからないが、本発明者は次のように考えている。
例えば、モジュールのパッケージングに際して、ガラス基板/封止材/塗布層を有するポリエステルフィルム(塗布層)を積層した構成で高温で加熱圧着が行われる。この際、高温接着時のフィルムの熱収縮により、フィルム(塗布層)と封止材の間に応力が生じる。特に、係る応力の発生も多様な封止材の種類・接着条件によって変化しうる。その結果、上記応力が緩和し切れず、封止材との接着性が低下すると考えられた。さらに、係る積層体を高温高湿下においた場合、加水分解により、塗布層の劣化が進行する。その結果、上記応力に耐え切れず、封止材が剥離し、高温高湿下での接着性が低下すると考えられた。そのため、封止材との強固な密着性や高温高湿下での接着性を高度に保持するためには、単に塗布層を強固に架橋することで耐久性を付与するのではなく、耐熱、耐加水分解性を保持した成分で、かつ、上記応力に耐えうる柔軟性を備えることが望ましいと考えられる。しかし、単に柔軟性を有するだけでは、塗膜強度に問題がある。そのためこれら相反する特性を両立させることが最も望ましい。
本発明では、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂を主成分とする塗布層であって、赤外分光法による測定される脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)の比率(A1460/A1530)が0.70〜1.60とすることで、上記特性を両立させるものである。すなわち、耐加水分解性を有する脂肪族ポリカーボネート成分と、強硬性を奏するウレタン成分を所定の割合で共存させることで、上記特性の両立を図るものである。これにより、高温での熱接着時のフィルムの熱収縮による応力を緩和することができるため、封止材との強固な接着性を得ることができ、その後の高温高湿の環境下でも、耐熱、耐加水分解性を保持しているため、塗布層の劣化を防止できると考えている
ここで、1460cm−1付近の吸光度(A1460)は、脂肪族系ポリカーボネート成分に含まれるメチレン基にC−H結合に特有の変角振動に由来する。よって、1460cm−1付近の吸光度(A1460)の大きさは塗布層に存在するウレタン樹脂を構成する脂肪族系ポリカーボネートポリオール成分量に依存する。一方、1530cm−1付近の吸光度(A1530)は、ウレタン成分に含まれるN−H結合に特有の変角振動に由来する。よって、1530cm−1付近の吸光度(A1530)の大きさは塗布層に存在するウレタン樹脂を構成するウレタン成分量に依存する。そのため、これらの吸光度比率(A1460/A1530)は、それぞれ異なる特性を有する両成分を特定の割合で共存していることを示すものである。本発明では、前記比率(A1460/A1530)が0.70〜1.60であるが、前記比率(A1460/A1530)の下限は好ましくは0.75であり、より好ましくは0.80である。また、前記比率(A1460/A1530)の上限は好ましくは1.50であり、より好ましくは1.45であり、さらに好ましくは1.40である。前記比率(A1460/A1530)が、0.70未満の場合は、強硬なウレタン成分が多くなりすぎ、塗布層の応力緩和が低下するため耐湿熱性が低下する。また、前記比率(A1460/A1530)が、1.55を越える場合は、柔軟な脂肪族系ポリカーボネートの脂肪族成分が多くなりすぎ、塗布層の強度が低下するため塗膜強度や耐湿熱性が低下する。
本発明は、上記態様により、封止材との強度な接着性を奏し、高温高湿下での接着性(耐湿熱性)を向上させることができる。さらに、本発明の構成を以下に詳細する。
本発明のウレタン樹脂は、構成成分として、少なくともポリオール成分、ポリイソシアネート成分を含み、さらに必要に応じて鎖延長剤を含む。本発明のウレタン樹脂は、これら構成成分が主としてウレタン結合により共重合された高分子化合物である。本発明では、ウレタン樹脂の構成成分として脂肪族系ポリカーボネートポリオールを有することを特徴とする。本発明の塗布層に脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂を含有させることで、耐湿熱性を向上させることができる。なお、これらウレタン樹脂の構成成分は、核磁気共鳴分析などにより特定することが可能である。
本発明のウレタン樹脂の構成成分であるジオール成分には、耐熱、耐加水分解性に優れる脂肪族系ポリカーボネートポリオールを含有させる必要がある。本発明の太陽光による黄変防止の点から脂肪族系ポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。
脂肪族系ポリカーボネートポリオールとしては、脂肪族系ポリカーボネートジオール、脂肪族系ポリカーボネートトリオールなどが挙げられるが、好適には脂肪族系ポリカーボネートジオールを用いることができる。本発明のウレタン樹脂の構成成分である脂肪族系ポリカーボネートジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール類の1種または2種以上と、例えば、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲンなどのカーボネート類とを反応させることにより得られる脂肪族系ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。脂肪族系ポリカーボネートジオールの数平均分子量としては、好ましくは1500〜4000であり、より好ましくは2000〜3000である。脂肪族系ポリカーボネートジオールの数平均分子量が小さい場合は、相対的にウレタン樹脂を構成する脂肪族系ポリカーボネート成分の比率が小さくなる。そのため、前記比率(A1460/A1530)を前述の範囲にするためには、脂肪族系ポリカーボネートジオールの数平均分子量を上記範囲で制御することが好ましい。脂肪族系ポリカーボネートジオールの数平均分子量が大きいと、脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)が増加し、脂肪族成分が増加してしまうため、接着性や高温高湿処理後の強度が低下する場合がある。脂肪族系ポリカーボネートジオールの数平均分子量が小さいと強硬なウレタン成分が増加し、基材の熱収縮による応力を緩和できなくなり、接着性が低下する場合がある。
本発明のウレタン樹脂の構成成分であるポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいはこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。芳香族イソシアネートを使用した場合、黄変の問題があり、好ましくない場合がある。また、脂肪族系と比較して、強硬な塗膜になるため、基材の熱収縮による応力を緩和できなくなり、接着性が低下する場合がある。
鎖延長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびピペラジン等のジアミン類、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングルコール等のチオジグリコール類、あるいは水が挙げられる。ウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度の低下を防ぎ、柔軟性を付与するために、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサメチレンジアミンなどの直鎖で分子量の大きいものが好ましい。
本発明の塗布層の塗布方法は特に限定されず、各種のオフラインコート法やインラインコート法を採用することができる。ただし、生産性や環境保護の点からは、本発明の塗布層は、水系の塗布液を用い後述のインラインコート法により設けることが好ましい。この場合、本発明のウレタン樹脂は水溶性であることが望ましい。なお、前記の「水溶性」とは、水、または水溶性の有機溶剤を50質量%未満含む水溶液に対して溶解することを意味する。
ウレタン樹脂に水溶性を付与させるためには、ウレタン分子骨格中にスルホン酸(塩)基又はカルボン酸(塩)基を導入(共重合)することができる。スルホン酸(塩)基は強酸性であり、その吸湿性能により耐湿性を維持するのが困難な場合があるので、弱酸性であるカルボン酸(塩)基を導入するのが好適である。また、ポリオキシアルキレン基などのノニオン性基を導入することもできる。
ウレタン樹脂にカルボン酸(塩)基を導入するためには、例えば、ポリオール成分として、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などのカルボン酸基を有するポリオール化合物を共重合成分として導入し、塩形成剤により中和する。塩形成剤の具体例としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミンなどのトリアルキルアミン類、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどのN−アルキルモルホリン類、N−ジメチルエタノールアミン、N−ジエチルエタノールアミンなどのN−ジアルキルアルカノールアミン類が挙げられる。これらは単独で使用できるし、2種以上併用することもできる。
水溶性を付与するために、カルボン酸(塩)基を有するポリオール化合物を共重合成分として用いる場合は、ウレタン樹脂中のカルボン酸(塩)基を有するポリオール化合物の組成モル比は、ウレタン樹脂の全ポリイソシアネート成分を100モル%としたときに、3〜60モル%であることが好ましく、5〜40モル%であることが好ましい。前記組成モル比が3モル%未満の場合は、水分散性が困難になる場合がある。また、前記組成モル比が60モル%を超える場合は、耐水性が低下するため耐湿熱性が低下する場合がある。
本発明のウレタン樹脂のガラス転移点温度は0℃未満が好ましく、より好ましくは−5℃未満である。ガラス転移点温度が0℃未満の場合は、加圧接着の際に部分的に溶融したEVAやPVBなどのオレフィン樹脂と粘度が近くなり、部分的混合による強固な接着性の向上に寄与し、塗布層の応力緩和の点から好適な柔軟性を奏しやすく好ましい。
本発明のウレタン樹脂には高温高湿後の接着性を向上させるために、樹脂自体に架橋基を導入しても良い。塗液の経時安定性や架橋密度向上効果からシラノール基が好ましい。
本発明のウレタン樹脂以外の樹脂でも、接着性を向上させるために含有させても良い。例えば、ポリエーテル、または、ポリエステルを構成成分とするウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
本発明において、塗布層中に架橋剤を含有させても良い。架橋剤を含有させることにより、接着性を更に向上させることが可能になる。
本発明において、塗膜強度を向上させるために、2種類の架橋剤を混合させても良い。また、架橋反応を促進させるため、触媒等を必要に応じて適宜使用しても良い。
本発明において、塗布層中に粒子を含有させることもできる。粒子は(1)シリカ、カオリナイト、タルク、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、二酸化チタン、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、等の無機粒子、(2)アクリルあるいはメタアクリル系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ナイロン、スチレン/アクリル系、スチレン/ブタジエン系、ポリスチレン/アクリル系、ポリスチレン/イソプレン系、ポリスチレン/イソプレン系、メチルメタアクリレート/ブチルメタアクリレート系、メラミン系、ポリカーボネート系、尿素系、エポキシ系、ウレタン系、フェノール系、ジアリルフタレート系、ポリエステル系等の有機粒子が挙げられる。
前記粒子は、平均粒径が1〜500nmのものが好適である。平均粒子径は特に限定されないが、フィルムの透明性を維持する点から1〜100nmであれば好ましい。
前記粒子は、平均粒径の異なる粒子を2種類以上含有させても良い。
なお、上記の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、倍率12万倍で積層フィルムの断面を撮影し、塗布層の断面に存在する10ヶ以上の粒子の最大径を測定し、それらの平均値として求めることができる。
粒子の含有量としては、0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。少ない場合は、十分な耐ブロッキング性を得ることができない。また、対スクラッチ性が悪化してしまう。多い場合は、塗膜強度が低下する。
塗布層には、コート時のレベリング性の向上、コート液の脱泡を目的に界面活性剤を含有させることもできる。界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などいずれのものでも構わないが、シリコン系、アセチレングリコール系又はフッ素系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、封止材との接着性を損なわない程度の範囲、例えば、塗布液中に0.005〜0.5質量%の範囲で含有させることも好ましい。
塗布層に他の機能性を付与するために、封止材との接着性を損なわない程度の範囲で、各種の添加剤を含有させても構わない。前記添加剤としては、例えば、蛍光染料、蛍光増白剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料分散剤、抑泡剤、消泡剤、防腐剤、帯電防止剤等が挙げられる。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を設ける方法としては、溶媒、粒子、樹脂を含有する塗布液をポリエステルフィルムに塗布、乾燥する方法が挙げられる。溶媒として、トルエン等の有機溶剤、水、あるいは水と水溶性の有機溶剤の混合系が挙げられるが、好ましくは、環境問題の点から水単独あるいは水に水溶性の有機溶剤を混合したものが好ましい。
(太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムの製造)
本発明の白色ポリエステルフィルムは、その製造方法は任意であり、特に制限されるものではないが、例えば以下のようにして製造することが出来る。まず、スキン層をフィルム表面に接合する方法としては、微粒子を含有するスキン層のポリエステル樹脂と、非相溶の熱可塑性樹脂を含有するコア層のポリエステル樹脂を別々の押出機に供給した後、溶融状態で積層して同一のダイから押し出す共押出法を採用することが最も好ましい。
それぞれの原料を混合し押出機に投入し、溶融し、T−ダイより押し出しし、冷却ロールに密着することで未延伸シートが得られる。未延伸シートは、更に速度差をもったロール間での延伸(ロール延伸)やクリップに把持して拡げていくことによる延伸(テンター延伸)や空気圧によって拡げることによる延伸(インフレーション延伸)などによって2軸配向処理される。配向処理することにより、ポリエステル/非相溶性熱可塑性樹脂間およびポリエステル/微粒子間で界面剥離を生じ、微細空洞が多数発現する。従って、未延伸シートを延伸・配向処理する条件は、空洞の生成と密接に関係する。
まず、第1段の縦延伸工程は、フィルム内部に微細な空洞を多数形成するために最も重要なプロセスである。縦延伸は、周速が異なる2本あるいは多数本のロール間で延伸する。このときの加熱手段としては、加熱ロールを用いる方法でも非接触の加熱方法を用いる方法でもよく、それらを併用してもよい。この中で最も好ましい延伸方法としては、ロール加熱と非接触加熱を併用する方法があげられる。この場合、まず加熱ロールを用いてフィルムを50℃〜ポリエステルのガラス転移点以下の温度に予備加熱した後、赤外線ヒータで加熱する。
次いで、このようにして得られた1軸延伸フィルムをテンターに導入し、幅方向に2.5〜5倍に延伸する。このときの好ましい延伸温度は、100℃〜200℃である。このようにして得られた2軸延伸フィルムに対し、必要に応じて熱処理を施す。熱処理はテンター中で行うのが好ましく、ポリエステルの融点Tm−50℃〜Tmの範囲で行うのが好ましい。
このフィルム製造工程の任意の段階で、PETフィルムの少なくとも片面に、塗布液を塗布し、前記塗布層を形成する。塗布層はPETフィルムの両面に形成させても特に問題はない。塗布液中の樹脂組成物の固形分濃度は、2〜35重量%であることが好ましく、特に好ましくは4〜15重量%である。
この塗布液をPETフィルムに塗布するための方法は、公知の任意の方法を用いることができる。例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ダイコーター法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法、カーテンコート法、などが挙げられる。これらの方法を単独で、あるいは組み合わせて塗工する。
本発明においては、塗布層は未延伸あるいは一軸延伸後のPETフィルムに前記塗布液を塗布、乾燥した後、少なくとも一軸方向に延伸し、次いで熱処理を行って形成させる。
本発明において、最終的に得られる塗布層の厚みは10〜3000nm、乾燥後の塗布量は、0.01〜3g/mであることが好ましい。塗布層の塗布量が0.01g/m未満であると、接着性に対する効果がほとんどなくなる。一方、塗布量が3g/mを越えると、ヘイズが増加してしまう。
(太陽電池用バックシート)
本発明の太陽電池用バックシートは前記塗布層を有する白色ポリエステルフィルムを構成部材とする。特に、封止材と直接的に接する最表層に用いることが好ましい。係る構成により本発明の太陽電池用バックシートは封止材との強固な密着性を奏することができ、長期にわたる過酷な環境下においても良好な密着性を奏する。そのため、太陽電池素子の防湿性保持やバリア性向上に寄与しうる。さらに、本発明の太陽電池用バックシートは良好な光反射性を奏するので光電変換効率を向上する上で好適である。
本発明の太陽電池用バックシートの態様としては、例えば、前記塗布層を有する白色ポリエステルフィルム/接着剤/金属箔又は金属系薄膜層を有するフィルム/接着剤/ポリフッ化ビニルフイルム又はポリエステル系高耐久防湿フィルムといった構成が例示される。また本発明の白色ポリエステルフィルムは両面に前記塗布層を有する構成であっても構わない。本発明の塗布層は封止材以外の構成とも良好な接着性を奏しうる。ここで金属箔又は金属系薄膜層を有するフィルムとしては、水蒸気バリア性を有するものが好適に用いることができる。
前記金属の種類としてはアルミニウム、錫、マグネシウム、銀、ステンレスなどが挙げられるが中でもアルミニウム、銀が比較的高い反射率を有し、工業的に入手しやすいため好適である。金属層は金属箔をして使用しても良いし、ポリエステルフィルム等に薄膜として積層してもよい。これら金属を薄膜として積層する方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)等を用いることができる。
本発明においては前記塗布層を有する白色ポリエステルフィルム、金属箔又は金属系薄膜層を有するフィルム、ポリフッ化ビニルフイルム又はポリエステル系高耐久防湿フィルムの各層間を、真空吸引等により一体化して加熱圧着するラミネ−ション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して、太陽電池用バックシートを製造することができる。上記において、各フィルム間の接着性等を高めるために、接着剤を介して積層するのが好ましい。接着剤としては例えば(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、その他等の樹脂をビヒクルの主成分とする加熱溶融型接着剤、溶剤型接着剤、光硬化型接着剤等が挙げられる。
ここで、高耐久防湿フィルムとは耐候性を向上させる目的で積層されるものであり、高耐久防湿フィルムとしては、例えばポリテトラフロロエチレン(PTFE)、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2−エチレン−4フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3−フッ化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニデン(PVDF)、もしくはポリフッカビニル(PVF)等のフッ素樹脂フィルム、あるいはポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリル等の樹脂に紫外線吸収剤を練り混んだ樹脂組成物からなるフィルムが挙げられる。
次に、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は当然以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
(1)固有粘度
JIS K 7367−5に準拠し、溶媒としてp−クロロフェノールを用い、30℃で測定した。
(2)フィルムの見かけ密度
フィルムを5cm角の正方形に4枚切り出して試料とした。これを4枚重ねにして、その厚みをマイクロメーターにより場所を変え任意の10箇所を有効数字4桁で測定し、重ね厚みの平均値を求めた。この平均値を4で除して有効数字3桁に丸め、一枚あたりの平均厚み(t:μm)とした。同試料4枚の質量(w:g)を有効数字4桁で自動上皿天秤を用いて測定し、次式より見かけ密度を求めた。なお、見かけ密度は有効数字3桁に丸めた。
見かけ密度(g/cm)=(w×10)/(5.00×5.00×4×t)
(3)白色度
白色度JIS−L1015−1981−B法により、日本電色工業(株)Z−1001DPを用いて行った
(4)酸価
フィルムおよび原料ポリエステル樹脂につき、下記の方法で測定した。
(i)試料の調製
フィルムまたは原料ポリエステル樹脂を粉砕し、70℃で24時間真空乾燥を行った後、天秤を用いて0.20±0.0005gの範囲に秤量する。そのときの質量をW(g)とする。試験管にベンジルアルコール10mlと秤量した試料を加え、試験管を205℃に加熱したベンジルアルコール浴に浸し、ガラス棒で攪拌しながら試料を溶解する。溶解時間を3分間、5分間、7分間としたときのサンプルをそれぞれA,B,Cとする。次いで、新たに試験管を用意し、ベンジルアルコールのみ入れ、同様の手順で処理し、溶解時間を3分間、5分間、7分間としたときのサンプルをそれぞれa,b,cとする。
(ii)滴定
予めファクターの分かっている0.04mol/l水酸化カリウム溶液(エタノール溶液)を用いて滴定する。指示薬はフェノールレッドを用い、黄緑色から淡紅色に変化したところを終点とし、水酸化カリウム溶液の滴定量(ml)を求める。サンプルA,B,Cの滴定量をXA,XB,XC(ml)とする。サンプルa,b,cの滴定量をXa,Xb,Xc(ml)とする。
(iii)酸価の算出
各溶解時間に対しての滴定量XA,XB,XCを用いて、最小2乗法により、溶解時間0分での滴定量V(ml)を求める。同様にXa,Xb,Xcを用いて、滴定量V0(ml)を求める。次いで、次式に従い酸価を求める。
カルボキシル末端濃度(eq/ton)=[(V−V0)×0.04×NF×1000]/W
NF:0.04mol/l水酸化カリウム溶液のファクター
(5)ガラス転移点温度
JIS K7121に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製、DSC6200)を使用して、DSC曲線からガラス転移開始温度を求めた。
(6)赤外分光法による吸光度測定
得られた太陽電池用易接着性ポリエステルフィルムについて塗布層を削り取り、約1mgの試料を採取した。採取した試料に圧力をかけ、厚み約1μmのフィルム状に成型した塗布層試料片(大きさ:約50μm×約50μm)を作成した。さらに、ブランク試料として基材フィルムと同質のPET樹脂についても前記手順と同様にして試料片(ブランク試料片)を作成した。
作成した試料片をKBr板上に載せ、下記条件の顕微透過法により赤外吸収スペクトルを測定した。塗布層の赤外分光スペクトルは、塗布層試料片から得た赤外分光スペクトルとブランク試料片のスペクトルとの差スペクトルとして求めた。
脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)は1460±10cm−1の領域に吸収極大をもつ吸収ピーク高さの値とし、ウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)は1530±10cm−1の領域に吸収極大をもつ吸収ピーク高さの値とした。なお、ベースラインはそれぞれの極大吸収のピークの両側の裾を結ぶ線とした。得られた吸光度から下記式により吸光度比率を求めた。
(吸光度比率)=A1460/A1530
(測定条件)
装置:FT−IR分析装置SPECTRA TECH社製 IRμs/SIRM
検出器:MCT
分解能:4cm−1
積算回数:128回
(7)耐加水分解性
JIS−60068−2−66で規格化されているHAST(Highly Accelerated temperature and humidity Stress Test)を行った。機器はエスペック社製EHS−221を用い、105℃、100%Rh、0.03MPa下の条件で行った。
フィルムを70mm×190mmにカットし、治具を用いてフィルムを設置した。各フィルムは各々が接触しない距離を保ち設置した。105℃、100%Rh、0.03MPaの条件下で200時間処理を行った。
(8)耐光性
促進耐光性試験は、岩崎電気株式会社製アイ スーパーUVテスターSUV−W151を用い、63℃、50%Rh、照射強度100mW/cm2で100時間の連続UV照射処理を行った。
(9)破断伸び保持率
耐加水分解性、耐光性の評価は、破断伸び保持率で行った。それぞれの処理前、処理後の破断伸びをJIS C 2318−1997 5.3.31(引張強さ及び伸び率)に準拠して測定し、下記式に従い破断伸び保持率を算出した。
破断伸び保持率(%)=〔(処理後の破断伸び)×100〕/(処理前の破断伸び)
(10)160℃での耐熱テストの破断伸度率半減期
フィルムを長手方向に、長さ200mm、幅10mmの短冊状サンプルを切り出して用いた。JIS K−7127に規定された方法に従って、引っ張り試験器を用いて25℃、65%RHにて破断伸度を測定した。初期引っ張りチャック間距離は100mmとし、引っ張り速度は300m/分とした。測定はサンプルを変更して20回行い、その破断伸度の平均値(X)を求めた。また、長さ200mm、幅10mmの短冊状サンプルをギアオーブンに入れ、160℃の雰囲気下で放置した後、自然冷却し、このサンプルについて前記と同条件での引っ張り試験を20回行い、その破断伸度の平均値(Y)を求めた。得られた破断伸度の平均値(X)、(Y)から伸度保持率を次式で求めた。
伸度保持率(%)=(Y/X)×100
伸度保持率が50%以下となるまでの熱処理時間を求め、破断伸度保持率半減期とした。
(11)接着性
得られた太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを100mm幅×100mm長、EVAシートを70mm幅×90mm長に切り出したもの用意し、フィルム(塗布層面)/下記記載のEVA/(塗布層面)フィルムの構成で重ね、真空ラミネーターで下記記載の接着条件で加熱圧着し、サンプルを作成した。作成したサンプルを20mm幅×100mm長に切り出した後、SUS板に貼りつけ、下記記載の条件で引張り試験機でフィルム層とEVA層の剥離強度を測定した。剥離強度は極大点を越えた後に安定して剥離している部分の平均値として求めた。下記の基準でランク分けした。
◎:100N/20mm以上、または、フィルムの材破
○:75N/20mm以上、100N/20mm未満
△:50N/20mm以上、75N/20mm未満
×:50N/20mm未満
(サンプル作成条件)
装置:真空ラミネーター エヌ・ピー・シー社製 LM−30×30型
加圧:1気圧
EVA:
A.スタンダードキュアタイプ
I.サンビック製 Urtla Pearl PV(0.4μm)
ラミネート工程:100℃(真空5分、真空加圧5分)
キュア工程:熱処理150℃(常圧45分)
II.三井ファブロ製 ソーラーエバ SC4(0.4μm)
ラミネート工程:130℃(真空5分、真空加圧5分)
キュア工程:150℃(常圧45分)
B.ファストキュアタイプ
I.サンビック製 Urtla Pearl PV(0.45μm)
ラミネート工程:135℃(真空5分、真空加圧15分)
II.三井ファブロ製 ソーラーエバ RC02B(0.45μm)
ラミネート工程:150℃(真空5分、真空加圧15分)
(測定条件)
装置:テンシロン 東洋BALDWIN社製 RTM−100
剥離速度:200mm/分
剥離角度:180度
(12)耐湿熱性
得られた太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを、高温高湿槽中で85℃、85%RHの環境下1000時間放置した。次いで、太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを取りだし、室温常湿で24時間放置した。その後、は、前記(11)と同様の方法で剥離強度を測定し、下記の基準でランク分けをした。
◎:100N/20mm以上、または、フィルムの材破
○:75N/20mm以上、100N/20mm未満
△:50N/20mm以上、75N/20mm未満
×:50N/20mm未満
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−1の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート43.75質量部、ジメチロールブタン酸12.85質量部、数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール153.41質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン8.77質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min−1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液(A−1)を調製した。得られたポリウレタン樹脂(A−1)のガラス転移点温度は−30℃であった。
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−2の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート29.14質量部、ジメチロールブタン酸7.57質量部、数平均分子量3000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール173.29質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン5.17質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min−1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液(A−2)を調製した。
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−3の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート43.75質量部、ジメチロールブタン酸11.12質量部、ヘキサンジオール1.97質量部、数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール143.40質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン8.77質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min−1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液(A−3)を調製した。
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするシラノール基含有ウレタン樹脂A−4の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート38.41質量部、ジメチロールプロパン酸6.95質量部、数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール158.99質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン4.37質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次にγ―(アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン3.84質量部、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール1.80質量部と水450gを添加して、ポリウレタンプレポリマー溶液を滴下して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分30%の水溶性シラノール基含有ポリウレタン樹脂溶液(A−4)を調製した。
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−5の重合)
水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)の数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールを数平均分子量1000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールに変更した以外は、同様の方法で固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液(A−5)を得た。
(脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂A−6の重合)
水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)の数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールを数平均分子量5000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールに変更した以外は、同様の方法で固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液(A−6)を得た。
(ポリエステルポリオールを構成成分とするウレタン樹脂の重合A−7)
水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)の数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールを数平均分子量2000のポリエステルジオールに変更した以外は、同様の方法で固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液(A−7)を得た。
(ポリエーテルポリオールを構成成分とするウレタン樹脂の重合A−8)
水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)の数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールを数平均分子量2000のポリエーテルジオールに変更した以外は、同様の方法で固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液(A−8)を得た。
実施例1
(ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−I)の調製)
(1)重縮合触媒溶液の調製
(リン化合物のエチレングリコール溶液の調製)
窒素導入管、冷却管を備えたフラスコに、常温常圧下、エチレングリコール2.0リットルを加えた後、窒素雰囲気下200rpmで攪拌しながら、リン化合物として(化39)で表されるIrganox1222(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)の200gを加えた。さらに2.0リットルのエチレングリコールを追加した後、ジャケット温度の設定を196℃に変更して昇温し、内温が185℃以上になった時点から60分間還流下で攪拌した。その後加熱を止め、直ちに溶液を熱源から取り去り、窒素雰囲気下を保ったまま、30分以内に120℃以下まで冷却した。得られた溶液中のIrganox1222のモル分率は40%、Irganox1222から構造変化した化合物のモル分率は60%であった。
(アルミニウム化合物の水溶液の調製)
冷却管を備えたフラスコに、常温常圧下、純水5.0リットルを加えた後、200rpmで攪拌しながら、塩基性酢酸アルミニウム200gを純水とのスラリーとして加えた。さらに全体として10.0リットルとなるよう純水を追加して常温常圧で12時間攪拌した。その後、ジャケット温度の設定を100.5℃に変更して昇温し、内温が95℃以上になった時点から3時間還流下で攪拌した。攪拌を止め、室温まで放冷し水溶液を得た。
(アルミニウム化合物のエチレングリコール混合溶液の調製)
上記方法で得たアルミニウム化合物水溶液に等容量のエチレングリコールを加え、室温で30分間攪拌した後、内温80〜90℃にコントロールし、徐々に減圧して、到達27hPaとして、数時間攪拌しながら系から水を留去し、20g/lのアルミニウム化合物のエチレングリコール溶液を得た。得られたアルミニウム溶液の27Al−NMRスペクトルのピーク積分値比は2.2であった。
(2)エステル化反応および重縮合
3基の連続エステル化反応槽および3基の重縮合反応槽よりなり、かつ第3エステル化反応槽から第1重縮合反応槽への移送ラインに高速攪拌器を有したインラインミキサーが設置された連続式ポリエステル製造装置に高純度テレフタル酸1質量部に対してエチレングリコール0.75質量部とをスラリー調製槽に連続的に供給した。調製されスラリーを連続的に供給し第1エステル化槽が反応温度250℃、110kPa、第2エステル化反応槽が260℃、105kPa、第3エステル化反応槽が260℃、105kPaとして、第2エステル化反応槽にエチレングルコール0.025質量部を連続的に投入しポリエステルオリゴマーを得た。該オリゴマーを3基の反応槽よりなる連続重縮合装置に連続的に移送すると共に、該移送ラインに設置されたインラインミキサーに上記方法で調製したアルミニウム化合物のエチレングリコール溶液およびリン化合物のエチレングリコール溶液をそれぞれポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子およびリン原子として0.015モル%および0.036モル%となるように攪拌式のミキサーで攪拌しながら連続的に添加し、初期重縮合反応槽が265℃、9kPa、中期重縮合反応槽が265〜268℃、0.7kPa、最終重縮合反応槽が273℃、13.3Paで重縮合し、極限粘度0.59、酸価10.5(eq/ton)のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−I)を調製した。
(ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−II)の調製)
上記で調製したポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−I)を回転型真空重合装置を用い、0.5mmHgの減圧下、220℃で時間を変えて固相重合を行い、値極限粘度0.75、カルボキシル末端濃度5.0(eq/ton)のポリエチレンテレフタレート樹脂(PETII)を作成した。
(微粒子含有マスターバッチの作製)
事前に120℃、8時間ほど10−3torr下で乾燥した、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−I)50質量%に、平均粒径0.3μm(電顕法)のルチル型二酸化チタン50質量%を混合したものをベント式2軸押し出し機に供給して、混練りして脱気しながら275℃で押出し、ルチル型二酸化チタン微粒子含有マスターバッチ(MB−I)ペレットを調製した。このペレットの酸価は、12.0(eq/ton)であった。
(塗布液の調整)
下記の塗剤を混合し、塗布液を作成した。
水 55.86質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂溶液(A−1) 13.52質量%
粒子 0.59質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.03質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
(フィルムの作製)
次いで、上記のように作製したポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−II)50質量%と、先に作製したMB−Iを50質量%とを混合した(A)層の原料と、PET−IIを70質量%とMB−Iを30質量%とを(B)層の原料とし、それぞれ別々の押出機に投入し、280℃で混合、溶融し、続いてフィードブロックを用い、A層の片面にB層を溶融状態で接合した。このとき、A層とB層の吐出量比率は、ギアポンプを用いて制御した。次いでT−ダイを用いて30℃に調節された冷却ドラム上に押し出し、A/B/A層となるように未延伸シートを作成した。
得られた未延伸シートを、加熱ロールを用いて70℃に均一加熱し、90℃で3.3倍ロール延伸を行った。次いで、前記塗布液をロールコート法でPETフィルムの片面に塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。なお、最終(二軸延伸後)の乾燥後の塗布量が0.15g/mになるように調整した。得られた1軸延伸フィルムをテンターに導き、140℃に加熱して3.7倍に横延伸し、幅固定して220℃で5秒間の熱処理を施し、更に220℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚み188μm(19/150/19)の太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
比較例1
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−5)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
比較例2
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−6)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム得た。
比較例3
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−7)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
比較例4
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−8)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
比較例5
太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムの基材厚みを5μmに変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例2
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−2)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例3
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−3)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例4
ポリウレタン樹脂をシラノール基含有ポリウレタン樹脂(A−4)に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例5
太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムの基材厚みを50μmに変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例6
太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムの基材厚みを100μmに変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例7
太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムの基材厚みを350μmに変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例8
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 61.51質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂溶液(A−1) 8.11質量%
粒子 0.35質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.03質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
実施例9
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 41.71質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂溶液(A−1) 27.05質量%
粒子 1.18質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.06質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
実施例10
(3)太陽電池用バックシートの製造
実施例1の太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム/アルミ箔(30μm)/ポリフッ化ビニルフィルム(38μm)の構成でドライラミネート法で接着し、太陽電池用バックシートを得た。
ドライラミネート用接着剤
タケラックA−315(三井化学製)/タケネートA−10(三井化学製)=9/1(固形分比)
実施例11
(空洞形成剤の調製)
原料として、メルトフローレート1.5のポリスチレン(日本ポリスチ社製、G797N)20質量%、メルトフローレート3.0の気相法重合ポリプロピレン(出光石油化学製、F300SP)20質量%、及びメルトフローレート180のポリメチルペンテン(三井化学製:TPX DX−820)60質量%ペレット混合し、2軸押し出し機に供給して十分に混練りし、空洞形成剤を調製した(MB−II)。
B層の原料として、PET−II:MB−I:MB−IIを80:12:8(質量%)とした以外は、実施例1と同様の方法で太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
比較例6
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−5)に変更した以外は実施例11と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
比較例7
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−6)に変更した以外は実施例11と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム得た。
比較例8
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−7)に変更した以外は実施例11と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
比較例9
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−8)に変更した以外は実施例11と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
比較例10
太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムの基材厚みを5μmに変更した以外は実施例11と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例12
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−2)に変更した以外は実施例11と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例13
ポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(A−3)に変更した以外は実施例11と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例14
ポリウレタン樹脂をシラノール基含有ポリウレタン樹脂(A−4)に変更した以外は実施例11と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例15
太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムの基材厚みを50μmに変更した以外は実施例11と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例16
太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムの基材厚みを100μmに変更した以外は実施例11と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例17
太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムの基材厚みを350μmに変更した以外は実施例11と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例18
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例11と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 61.51質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂溶液(A−1) 8.11質量%
粒子 0.35質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.03質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
実施例19
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例11と同様にして太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 41.71質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂溶液(A−1) 27.05質量%
粒子 1.18質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.06質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
比較例11
フィルム原料としてのポリエチレンテレフタレート樹脂の酸価を29.5(PET−III)とした以外は、実施例1と同様の方法で太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例20
微粒子含有マスターバッチの作成において、原料として、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−I)50質量%に、平均粒径0.3μm(電顕法)のアナターゼ型二酸化チタン50質量%を混合したものをベント式2軸押し出し機に供給して、混練りして脱気しながら275℃で押出し、微粒子含有マスターバッチ(MB−III)ペレットを調製した。このペレットの酸価は、11.9(eq/ton)であった。微粒子含有マスターバッチMB−Iに代えてMB−IIIとした以外は実施例1と同様の方法で太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
比較例12
微粒子含有マスターバッチの作製において、原料として紙袋に入れ温湿度の管理されていない場所で保管してあった未乾燥の極限粘度0.59、酸価10.5(eq/ton)のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−I)50質量%に、平均粒径0.3μm(電顕法)のルチル型二酸化チタン 50質量%を混合したものをベント式2軸押し出し機に供給して、混練りして305℃で脱気しながら微粒子(酸化チタン)含有マスターバッチ(MB−IV)ペレットを調製した。このペレットの酸価は、36.6(eq/ton)であった。微粒子含有マスターバッチMB−Iに代えてMB−IVとした以外は、実施例1と同様の方法で太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例21
微粒子含有マスターバッチの作製において、ルチル型二酸化チタンの代わりに平均粒径が0.6μmの硫酸バリウムとし(MB−V)、それをA層の原料としてMB−Iの代わりに用いた以外は、実施例1と同様の方法で太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
比較例13
ジメチレンテレフタレート100質量部、エチレングリコール64質量部と酢酸カルシウム0.09質量部を触媒としてエステル交換した後、トリメチルホスフェート、三酸化アンチモンを0.03質量%で重合し、さらに回転型真空重合装置を用い、0.5mmHgの減圧下、220℃で時間を変えて固相重合を行い、値極限粘度0.75、カルボキシル末端濃度8.0(eq/ton)のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−IV)を作成した。PET−IIに代えてPET−IVを用いた以外は実施例1と同様の方法で太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
Figure 2011142128
本発明の太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムは、耐加水分解性および長期熱安定性に優れるばかりでなく、封止材との接着性及び高温高湿下での接着性(耐湿熱性)に優れるため、太陽電池用バックシートの部材、特に太陽電池用バックシートの最内装の基材フィルムとして好適である。

Claims (13)

  1. 少なくとも片面に塗布層を有する白色ポリエステルフィルムであって、
    前記フィルムは、アルミニウム及び/又はその化合物と、芳香族基を分子内に有するリン化合物を含有する重縮合触媒を用いて重合されたポリエステルを主たる構成成分とし、
    白色度が50以上であり、
    平均粒径が0.1〜3μmの微粒子を3〜50質量%含有し、
    フィルムの酸価が1(eq/ton)以上30(eq/ton)以下であり、
    厚みが20〜500μmであり、
    前記塗布層は、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂を主成分とし、
    前記塗布層の赤外分光スペクトルにおいて脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)との比率(A1460/A1530)が0.70〜1.60であることを特徴とする太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム。
  2. 前記微粒子がルチル型を主体とする二酸化チタン微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム。
  3. フィルム内部に微細な空洞を多数有することにより、フィルムの見かけ比重が0.7以上1.3以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム。
  4. 平均粒径が0.1〜3μmの微粒子に由来する空洞を多数含有するポリエステル層(スキン層)と、ポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂に由来する空洞を多数含有するポリエステル層(コア層)が積層されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム。
  5. リン化合物が、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム。
  6. リン化合物が、下記一般式(1)〜(2)で表される化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム。
    Figure 2011142128
    Figure 2011142128
    (式(1)〜(2)中、R1、R4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2、R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は脂環構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
  7. 前記一般式(1)〜(2)中のR1、R4が芳香環構造を有する基であることを特徴とする請求項6記載の太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム。
  8. リン化合物が、フェノール部を同一分子内に有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム。
  9. フェノール部を同一分子内に有するリン化合物が、下記一般式(3)〜(4)で表される化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする請求項8記載の太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム。
    Figure 2011142128
    Figure 2011142128
    (式(3)〜(4)中、R1はフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基およびフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2、R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は分岐構造や脂環構造や芳香環構造を含んでいてもよい。R2とR4の末端どうしは結合していてもよい。)
  10. 少なくとも片面に塗布層を有する白色ポリエステルフィルムであって、
    前記フィルムは、リン化合物のアルミニウム塩を含有する重縮合触媒を用いて重合されたポリエステルを主たる構成成分とし、
    白色度が50以上であり、
    平均粒径が0.1〜3μmの微粒子を3〜50質量%含有し、
    フィルムの酸価が1(eq/ton)以上30(eq/ton)以下であり、
    厚みが20〜500μmであり、
    前記塗布層は、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂を主成分とし、
    前記塗布層の赤外分光スペクトルにおいて脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)との比率(A1460/A1530)が0.70〜1.60であることを特徴とする太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム。
  11. 少なくとも片面に塗布層を有する白色ポリエステルフィルムであって、
    前記フィルムは、下記一般式(5)で表される化合物から選択される少なくとも1種を含有する重縮合触媒を用いて重合されたポリエステルを主たる構成成分とし、
    白色度が50以上であり、
    平均粒径が0.1〜3μmの微粒子を3〜50質量%含有し、
    フィルムの酸価が1(eq/ton)以上30(eq/ton)以下であり、
    厚みが20〜500μmであり、
    前記塗布層は、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂を主成分とし、
    前記塗布層の赤外分光スペクトルにおいて脂肪族系ポリカーボネート成分由来の1460cm−1付近の吸光度(A1460)とウレタン成分由来の1530cm−1付近の吸光度(A1530)との比率(A1460/A1530)が0.70〜1.60であることを特徴とする太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム。
    Figure 2011142128
    (式(7)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、(l+m)は4以下である。nは1以上の整数を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
  12. 160℃での耐熱テストにおける破断伸度保持率半減期が700時間以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルム。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の太陽電池用易接着性白色ポリエステルフィルムを積層した太陽電池用バックシート。
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