JP5633255B2 - ポリエステル組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、耐加水分解性に優れたポリエステル組成物に関する。詳しくは、耐加水分解性に優れ、かつ溶融成型時において良好な操業性を維持できるポリエステル組成物に関する。
ポリエステル組成物はジカルボン酸成分とジオール成分の重縮合によって得られ、特に、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造される線状高分子であり、汎用性、実用性の点で優れており、フィルム、シート、繊維、ボトルなどの素材として好適に使用されている。
ポリエステル樹脂はその優れた機械特性、耐候性、耐薬品性により今後も様々な用途への応用が期待される。このような分野としては電気絶縁用途、太陽電池用途、タイヤコードといった工業部品が挙げられる。しかし、ポリエステル樹脂は耐加水分解性に劣るため、これら長期に渡り厳しい環境で使用される用途への展開には限界があった。
ポリエステル樹脂のカルボキシ末端のプロトンは触媒となり、ポリエステル樹脂の分解を促進する。そのため、ポリエステル樹脂の耐加水分解性を向上させるには、カルボキシ末端基を低下させる方法がとられる。そこで、ポリエステル樹脂にカルボキシ末端と反応する反応性化合物を添加することにより、カルボキシ末端量を低下させることでポリエステル樹脂の加水分解性を向上させることが提案されている(特許文献1〜3)。
特開2008−4839号公報 特許第4198203号公報 特開昭55−82148号公報
フィルム、ボトル等の溶融成形品を生産する上で、生産性を向上させ、かつ安定的に長時間生産できることが求められている。一方、成型品には高い品位が求められるようになっており、異物の混入を防ぐ為に溶融工程において精密濾過が施されている。しかしながら、上記提案のような反応性化合物を含有するポリエステル樹脂を長期において溶融成形をしたところ、ポリエステル樹脂中のゲル化物がポリマーフィルターにトラップされ、背圧上昇により生産性が低下することがあった。また、ゲル化物等によりポリマーフィルターが詰まることで、ポリマーフィルターの取替え作業が頻発し、安定的な生産に支障が生じる場合があった。さらに、反応性化合物を含有するポリエステル樹脂は、溶融時に溶融粘度、カルボキシ末端量等の物性が変化し、安定的な生産が難しいことがあった。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、耐加水分解性に優れ、かつ溶融成形時において良好な操業性を維持できるポリエステル組成物を提供することである。
本発明者は上記要因について検討したところ、溶融時に生じるゲル化物はポリエステル樹脂中に残存する未反応の反応性化合物が要因であることが分かった。そこで、本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討を行なった結果、反応性化合物として単官能反応性末端封鎖剤と多官能反応性末端封鎖剤を併用することでゲル化を抑制し、溶融成形時において良好な操業性を維持しながら高い加水分解性を奏するという効果を見出した。
第1の発明は、下記要件(1)および(2)を満たすポリエステル樹脂組成物である。
(1)単官能反応性末端封鎖剤及び多官能反応性末端封鎖剤を含む
(2)下記式で表されるHSΔカルボキシ末端量が10eq/ton以下
(HSΔカルボキシ末端量)=(下記による加水分解試験後のカルボキシ末端量)−(加水分解試験前のカルボキシ末端量)
(加水分解試験)
ポリエステル組成物を冷凍粉砕して20メッシュ以下の粉末にし、130℃で12時間真空乾燥した後、1gを秤量し、純水100ml中に入れる。これを密閉系にして130℃に加熱、加圧した条件下に6時間攪拌する。係る加水分解処理前後の試料および加水分解処理前の試料についてカルボキシ末端量を測定する
第2の発明は、さらに下記要件(3)および(4)を満たす前記ポリエステル組成物である。
(3)カルボキシ末端量がポリエステルに対して5eq/ton以下であること。
(4)下記溶融試験前後の固有粘度が下記式を満たすこと
IV15−IV<0.08
(溶融試験)
ポリエステル組成物を凍結粉砕後、20メッシュ以下の粉末とし、130℃で12時間真空乾燥する。これを0.3g秤量し、ガラス試験管に入れ、更に70℃で12時間真空乾燥した後、空気下で230℃、15分間溶融処理する。係る溶融処理後の試料および溶融処理前の試料についてカルボキシ末端量を測定する。ここで、IV15は溶融試験後の固有粘度であり、IVは溶融試験前の固有粘度である。
第3の発明は、単官能反応性末端封鎖剤及び多官能反応性末端封鎖剤が、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、またはカルボジイミド化合物であることを特徴とする前記ポリエステル組成物である。
第4の発明は、前記ポリエステル組成物からなる太陽電池裏面封止用二軸延伸ポリエステルフィルムである。
第5の発明は、前記ポリエステル組成物からなる電気絶縁用二軸延伸ポリエステルフィルムである。
本発明のポリエステル樹脂は、耐加水分解性に優れ、溶融時にゲル化が無い為、溶融成形用途として用いた際に操業性に優れる。そのため、太陽電池裏面封止部材や電気絶縁用部材、タイヤコードなど耐久性が要求させる成型品として好適に用いることができる。
耐加水分解性を向上させる為には、カルボキシ末端を低下することと共に粘度(すなわち、分子量)を上昇させることが有効である。ポリエステルの粘度を上昇させるには、二官能以上の反応基を有する化合物を添加する必要がある。これは、2以上のポリエステル分子鎖の末端同士を多官能性化合物を介して結合させることでポリエステル組成物の分子量を大きくすることを目的とするものである。しかしながら、ポリエステル中に未反応の反応性化合物が残留すると、未反応の残存多官能性化合物や未反応の官能基末端とポリエステルとの反応が徐々に進行し、ゲル化が生じ、これがフィルターの目詰まりなど生産性の低下の要因となることが分かった。
本発明のポリエステル樹脂は、カルボキシ基末端量を低減させる為に反応性化合物として単官能反応性末端封鎖剤と多官能反応性末端封鎖剤を併用することを特徴とする。
多官能反応性末端封鎖剤は、単官能反応性末端封鎖剤に比べて、ポリエステルとの反応性が高くカルボキシ末端基を封鎖するには有効であるが、上記のようにゲル化の問題を抱えている。そこで多官能反応性末端封鎖剤と単官能反応性末端封鎖剤を併用することにより、多官能反応性末端封鎖剤の未反応官能基部分を単官能反応性末端封鎖剤で失活させることで溶融時にゲル化を抑制することができる。
反応性末端封鎖剤とは、ポリエステルのカルボキシ末端基と反応し、カルボキシ基を修飾する化合物である。反応性末端封鎖剤は、その効果を有するものであれば特に制限されない。ここで単官能反応性末端封鎖剤とは、分子内に反応性官能基を一つ含有し、多官能反応性末端封鎖剤の官能基と反応すれば制限はない。具体的な官能基としては、ジアゾ基、グリシジル基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、カルボン酸、カルボン酸の金属塩、アミノ基、またはヒドロキシル基等が挙げられるが、反応性の高さおよび取扱のしやすさの点から、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カルボン酸およびカルボン酸の金属塩からなる群より選ばれる化合物が好適である。
単官能カルボジイミド化合物とは、分子内にカルボジイミド基を一つ含有すれば制限はないが、具体的にはジ−o−トルイル−カルボジイミド、ジ−(2,4−ジイソプロピル)フェニル−カルボジイミド、オルゴ−2,4−トルイル−カルボジイミド等が挙げられる。
単官能オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を一つ含有すれば制限はないが、具体的には2−メトキシ−2−オキサゾリン、2−エトキシ−2−オキサゾリン、2−プロポキシ−2−オキサゾリン、2−ブトキシ−2−オキサゾリン、2−ペンチルオキシ−2−オキサゾリン、2−ヘキシルオキシ−2−オキサゾリン、2−ヘプチルオキシ−2−オキサゾリン、2−オクチルオキシ−2−オキサゾリン、2−ノニルオキシ−2−オキサゾリン、2−デシルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロペンチルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシルオキシ−2−オキサゾリン、2−アリルオキシ−2−オキサゾリン、2−メタアリルオキシ−2−オキサゾリン、2−クロチルオキシ−2−オキサゾリン、2−フェノキシ−2−オキサゾリン、2−クレジル−2−オキサゾリン、2−o−エチルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−o−プロピルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−o−フェニルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−m−エチルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−m−プロピルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキサゾリン、2−ブチル−2−オキサゾリン、2−ペンチル−2−オキサゾリン、2−ヘキシル−2−オキサゾリン、2−ヘプチル−2−オキサゾリン、2−オクチル−2−オキサゾリン、2−ノニル−2−オキサゾリン、2−デシル−2−オキサゾリン、2−シクロペンチル−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシル−2−オキサゾリン、2−アリル−2−オキサゾリン、2−メタアリル−2−オキサゾリン、2−クロチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2−o−エチルフェニル−2−オキサゾリン、2−o−プロピルフェニル−2−オキサゾリン、2−o−フェニルフェニル−2−オキサゾリン、2−m−エチルフェニル−2−オキサゾリン、2−m−プロピルフェニル−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェニル−2−オキサゾリン等が挙げられる。
単官能エポキシ化合物とは、分子内にグリシジル基を一つ含有すれば制限はないが、具体的には、ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ラウリルアルコールグリシジルエーテル、N−グリシジルフタルイミド、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、p−ヒドロキシベンゾイック酸グリシジルエステルエーテル等が挙げられる。
モノカルボン酸とは、分子内にカルボン酸を一つ含有すれば制限はないが、具体的には、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、lバクセン酸、リノール酸、(9、12、15−)リノレン酸、(6、9、12−)リノレン酸、エレオステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。未反応の多官能反応性末端封鎖剤の官能基との反応性の観点から炭素数10以上が好ましい。
モノカルボン酸金属塩とは、分子内にカルボン酸金属塩を一つ含有すれば制限はないが、具体的には、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、lバクセン酸、リノール酸、(9、12、15−)リノレン酸、(6、9、12−)リノレン酸、エレオステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩が挙げられる。ここで、アルカリ金属とは、Li、Na、K、Rb、Cs、及びFrであり、アルカリ土類金属とは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、及びRaを表す。未反応の多官能反応性末端封鎖剤の官能基との反応性の観点から炭素数10以上のモノカルボン酸金属塩が好ましい。
多官能カルボジイミド化合物とは、分子内にカルボジイミド基を二つ以上含有すれば制限はないが、具体的にはp−フェニレン−ビス−(2,6−キシリル−カルボジイミド)、p−フェニレン−ビス−(t−ブチル−カルボジイミド)、テトラメチレン−ビス−(t−ブチル−カルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス−(メチレン−t−ブチル−カルボジイミド)、日清紡ケミカル株式会社製カルボジライト(LA−1)、ラインケミー製スタバックゾール、スタバックゾールP、スタバックゾールP100、スタバックゾールP400、スタバックゾールKE7646等が挙げられる。ポリエステルのカルボキシ末端基との反応性の観点から三つ以上のカルボジイミド基を有する日清紡ケミカル株式会社製カルボジライト(LA−1)、ラインケミー製スタバックゾール、スタバックゾールP、スタバックゾールP100、スタバックゾールP400、スタバックゾールKE7646が好ましい。
多官能オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を二つ以上含有すれば制限はないが、具体的には2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4’−ジエチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−プロピル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−シクロヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ベンジル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−デカメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−9,9’−ジフェノキシエタンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)、株式会社日本触媒製エポクロス等が挙げられる。さらには、上記した化合物をモノマー単位として含むポリオキサゾリン化合物など、例えばスチレン・2−イソプロペニル−2−オキサゾリン共重合体等が挙げられる。ポリエステルのカルボキシ末端基との反応性の観点から三つ以上のオキサゾリン基を有する株式会社日本触媒製エポクロスが好ましい。
多官能エポキシ化合物とは、分子内にグリシジル基を二つ以上含有すれば制限はないが、具体的にはモノアリルジグリシジルイソシアヌル酸、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、ジグリシジル−o−フタレート、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ビスフェノール−A−ジグリシジルエステル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。ポリエステルのカルボキシ末端基との反応性の観点から三つ以上のグリシジル基を有するソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが好ましい。
単官能反応性末端封鎖剤と多官能反応性末端封鎖剤の組み合わせは、官能基構造が異なる化合物であってもよいし、官能基構造が同種の化合物であっても良いが、未反応官能基の残存量を少なくする点では反応速度が等しい同種の官能基構造を有する化合物の組合せが好ましい。
単官能反応性末端封鎖剤および多官能反応性末端封鎖剤の添加量は、反応基単位で、ポリエステルのカルボキシ末端量に対し0.1〜10当量であることが好ましい。添加量が0.1当量以下の場合は、反応性化合物として機能せず耐加水分解性を改善できない。また、添加量が10当量を越えると、着色が多くなる場合がある。さらに好ましい添加量は、ポリエステルのカルボキシ末端量に対し0.2〜7当量、特に好ましい添加量は、ポリエステルのカルボキシ末端量に対し0.3〜5当量である。
多官能反応性末端封鎖剤の官能基数により最適値は異なるが、単官能反応性末端封鎖剤/多官能反応性末端封鎖剤の添加量の重量比は、0.5〜15であることが好ましい。より詳しくは、多官能反応性末端封鎖剤の官能基当量 X(eq/g)に対して、単官能反応性末端封鎖剤の官能基当量 Y(eq/g)が、2×Y=Xとなる重量比が好ましい。これにより、多官能反応性末端封鎖剤の未反応の残基を好適に解消することができる。0.5以下の場合は、単官能反応性末端封鎖剤の添加量が少ない為、多官能反応性末端封鎖剤を単独で使用した時と同様にゲル化が進行する場合がある。また、重量比が15を超えると、ポリエステル樹脂に含有する未反応の単官能反応性末端封鎖剤が多くなり、安定的に溶融成形品を生産できない場合がある。
末端封鎖反応を有効に行うために、ポリエステルに添加する反応性末端封鎖剤の水分率は、1000ppm以下が好ましい。さらに好ましくは化合物の水分率800ppm以下であり、特に好ましくは500ppm以下である。乾燥工程により反応性末端封鎖剤の水分率を低減することが可能であるが、乾燥工程での取り扱いの面から固体であることが望ましい。
反応性末端封鎖剤を添加することに加え、酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤は、上記の化合物と併用して使用されることで効果をなす。そのメカニズムは明確にされてはいないが、酸化防止剤が上記末端封鎖剤の熱劣化を抑制することで、耐加水分解性や耐熱変色性が改善されるものと考えられる。本発明の酸化防止剤としては、分解抑制効果が高いことから、好ましくはフェノール系の酸化防止剤が使用される。フェノール系の酸化防止剤の具体例として、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル−フェノール、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]−メタン、ステアリル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート等が挙げられるが、本発明においてこれらに限定されるものではない。
ポリエステルと反応性末端封鎖剤との反応は、ポリエステルを好ましくは250℃以上、より好ましくは260℃以上、さらに好ましくは280℃以上に溶融させた状態で、反応性末端封鎖剤を添加し、好ましくは30秒以上、より好ましくは45秒以上攪拌することにより行うことができる。
ポリエステルに反応性末端封鎖剤を配合する工程は、特に限定しないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートの重縮合工程で配合する方法、ポリエステルの重縮合工程後に配合する方法、二軸配向フィルムの製膜工程(ポリエステル原料の溶融工程)で配合する方法などがある。配合形態としては、上記化合物をポリエチレンテレフタレートに直接配合して溶融混練を行う方法、高濃度の上記化合物を含むマスターバッチを予め作製しておき、そのマスターバッチを配合する方法がある。
ポリエステルに単官能反応性末端封鎖剤、多官能反応性末端封鎖剤を配合する工程は、特に限定しないが、ゲル化抑制の観点から単官能反応性末端封鎖剤、多官能反応性末端封鎖剤多官能反応性末端封鎖剤を同時に添加することが好ましい。また、反応性末端封鎖剤としてエポキシ化合物を使用する場合に限り、カルボキシ末端との反応を促進させる為、トリフェニルホスフィンなどを触媒として使用することが好ましい。
また、回収原料を再利用することは、製造原単位を下げることになりコスト的に有利である。しかし、回収原料は、熱履歴によるカルボキシ末端上昇により、加水分解性悪化する場合があるため、高度な耐久性が得られない場合がある。この場合、回収原料として使用する際に、前処理として単官能反応性末端封鎖剤、多官能反応性末端封鎖剤を添加することも有効である。回収原料を再度、固相重合することでカルボキシ末端量を低下させることも可能であるが、製造コストは高くなり、回収原料を使用するメリットが低下する。そこで本発明に記載の末端封鎖技術によるカルボキシ末端量の低減が有用である。
さらに、ポリエステルに粒子や紫外線吸収剤などの各種添加剤を配合する際は、ポリエステルに余計な熱履歴がかかり、耐久性が低下する場合があるが、その場合でも上記単官能反応性末端封鎖剤、多官能反応性末端封鎖剤を添加することで、ポリエステルの耐久性を保持することができ有効である。
本発明のポリエステルとは、ジカルボン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる一種または二種以上とグリコールを含む多価アルコールから選ばれる一種または二種以上とから成るもの、またはヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体からなるもの、または環状エステルからなるものをいう。
好ましいポリエステルとしては、主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体、もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であり、主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルである。
主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であるポリエステルとは、全酸成分に対してテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。
主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルとは、全グリコール成分に対してアルキレングリコールを合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。
テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸に共重合可能なジカルボン酸としては、耐加水分解性を低下させないことから、オルソフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などに例示される芳香族ジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。また、ピロメリット酸、トリメリット酸、などの3官能以上のカルボン酸成分を共重合させても良い。
グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール、1,10−デカメチレングリコール、1,12−ドデカンジオールなどのアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビスフェノール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5−ナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコール、などに例示される芳香族グリコールが挙げられる。
これらのグリコールのうち、アルキレングリコールが好ましく、さらに好ましくは、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールである。また、前記アルキレングリコールは、分子鎖中に置換基や脂環構造を含んでいても良く、同時に2種以上を使用しても良い。
これらグリコール以外の多価アルコールとして、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
これらの中でも、とくに好ましく本発明で用いるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレートおよびこれらの共重合体が好ましく、特に好ましくはポリエチレンテレフタレートおよびこの共重合体である。
本発明のポリエステル樹脂は、上記のように反応性末端封鎖剤によりカルボキシ基末端が消費されている為、高度な耐加水分解性を奏する。そのため、本発明のポリエステル樹脂は、耐加水分解性の指標である、下記式で表されるHSΔカルボキシ末端量が10eq/ton以下となる。
(HSΔカルボキシ末端量)=(下記による加水分解試験後のカルボキシ末端量)−(加水分解試験前のカルボキシ末端量)
(加水分解試験)
ポリエステル組成物を冷凍粉砕して20メッシュ以下の粉末にし、130℃で12時間真空乾燥した後、1gを秤量し、純水100ml中に入れる。これを密閉系にして130℃に加熱、加圧した条件下に6時間攪拌する。係る加水分解処理前後の試料および加水分解処理前の試料についてカルボキシ末端量を測定する。
上記HSΔカルボキシ末端量は、9eq/ton以下がより好ましく、8eq/ton以下がさらに好ましく、7eq/ton以下がよりさらに好ましい。上記HSΔカルボキシ末端量を上記範囲にするには、ポリエステルのカルボキシ末端量を低減させることが好ましい。カルボキシ末端を反応性末端封鎖剤で封鎖することにより、HSΔカルボキシ末端量を上記範囲にすることが可能となる。上記HSΔカルボキシ末端量は小さいほうが好ましいが、生産性の点からは0.1eq/tonが下限であると考える。
本発明のポリエステル組成物は、カルボキシ末端量がポリエステルに対して5eq/ton以下であることが好ましい。カルボキシ末端量を極小濃度とすることで本発明のポリエステル組成物は、高い耐加水分解性を奏することができる。カルボキシ末端量が上記範囲を超えると、カルボキシ末端がプロトンソースとなり自己作用を奏し、耐加水分解性が低下するため、本発明のポリエステル組成物を用いた二軸延伸ポリエステルフィルムは、太陽電池裏面封止用途もしくは電気絶縁用途として十分な耐久性が得られない場合がある。
上記カルボキシ末端量の上限は、4eq/ton以下が好ましく、3eq/ton以下がさらに好ましく、2eq/ton以下がよりさらに好ましい。上記カルボキシ末端量は少ない方が好ましいが、生産性の点から0.1eq/tonが下限であると考える。
本発明のポリエステル樹脂は、上記のように単官能末端封鎖剤と多官能末端封鎖剤を併用することによりゲル化が抑制できる為、溶融成形加工する際に高い生産安定性を奏する。そのため、本発明のポリエステル樹脂は、ゲル化抑制の指標である、下記式を満たす。
(溶融試験)
ポリエステル組成物を凍結粉砕後、20メッシュ以下の粉末とし、130℃で12時間真空乾燥する。これを0.3g秤量し、ガラス試験管に入れ、更に70℃で12時間真空乾燥した後、空気下で230℃、15分間溶融処理する。係る溶融処理後の試料および溶融処理前の試料についてカルボキシ末端量を測定する。ここで、IV15は溶融試験後の固有粘度であり、IVは溶融試験前の固有粘度である。
反応性末端封鎖剤が添加されていないポリエステルは、溶融試験を実施すると、熱分解が進行し、固有粘度が低下するため、IV15−IV<0となる。一方、多官能末端封鎖剤のみを含有するポリエステル組成物は、溶融試験中に残存していた未反応官能基の反応が進行し、固有粘度が上昇するため、IV15−IV>0.08となる。溶融により固有粘度が上昇するポリエステル組成物を溶融成形すると、ポリマーフィルター詰りが頻発し、生産性が著しく低下する。
これに対して、本発明のポリエステル樹脂は、単官能末端封鎖剤と多官能末端封鎖剤を併用するため、未反応の残留官能基量を低減することができ、溶融による固有粘度の変化を少なくすることができる。生産性をより向上させる為、より好ましくは、IV15−IV<0.06、さらに好ましくはIV15−IV<0.03、最も好ましくはIV15−IV<0.01である。IV15−IV<0.08を達成するには、単官能末端封鎖剤、多官能末端封鎖剤を併用し、かつ単官能末端封鎖剤/多官能末端封鎖剤の添加量比が重要である。
本発明のポリエステル組成物は、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物などの重縮合触媒を用いることができる。
アルミニウム化合物を触媒として用いる場合、重合して得られるポリエステルに対してアルミニウム原子として50ppm以下の量で添加することが好ましい。より好ましい添加量は、30ppm以下である。アルミニウム化合物とアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはリン化合物とを併用し重合活性を向上させることもできる。アルミニウムの添加量を50ppm以上にすると、得られるポリエステルの着色が顕著になるため好ましくない。
アンチモン化合物を触媒として用いる場合、重合して得られるポリエステルに対してアンチモン原子として400ppm以下の量で添加することが好ましい。より好ましい添加量は、300ppm以下である。アンチモンの添加量を400ppm以上にすると、金属アンチモンの析出が起こり、ポリエステルに黒ずみや異物が発生するため好ましくない。
ゲルマニウム化合物を触媒として用いる場合、重合して得られるポリエステルに対してゲルマニウム原子として350ppm以下の量で添加することが好ましい。より好ましい添加量は300ppm以下である。ゲルマニウムの添加量を350ppm以上にすると、コスト的に不利になるため好ましくない。
チタン化合物を触媒として用いる場合、重合して得られるポリエステルに対してチタン原子として50ppm以下の量で添加することが好ましい。より好ましい添加量は30ppm以下であり、さらに好ましくは20ppm以下である。チタンの添加量を50ppm以上にすると、得られるポリエステルの着色が顕著になるため好ましくない。
本発明のフィルムには後述するように易滑性付与もしくは隠蔽性を付与するために酸化チタンを添加することも好ましい。この場合は、触媒として用いるチタン添加量と異なり、易滑性付与のためにはチタン元素量として好ましくは300ppm以上、より好ましくは400ppm以上、隠蔽性付与のためにはチタン元素量として好ましくは10000ppm以上の酸化チタンを添加する。チタンを触媒として用いるか、あるいは他の目的として用いるかどうかは、チタンの添加量により区別することが可能である。
本発明で用いるポリエステル中には、使用する目的に応じて、無機粒子、耐熱性高分子粒子、架橋高分子粒子などの不活性粒子、蛍光増白剤、紫外線防止剤、赤外線吸収色素、熱安定剤、界面活性剤、酸化防止剤などの各種添加剤を1種もしくは2種以上含有させることができる。酸化防止剤としては、芳香族アミン系、フェノール系などの酸化防止剤が使用可能であり、安定剤としては、リン酸やリン酸エステル系等のリン系、イオウ系、アミン系などの安定剤が使用可能である。
本発明のポリエステル組成物は、耐加水分解性に優れ、ゲル化も少なく、溶融成型用途として優れた特性を有する。そのため、フィルム、シート、繊維、ボトル、その他の成型品として好適に用いることができる。特に、高い耐久性が求められる工業用のフィルム用用途には好適である。
本発明の一つの実施態様は、ポリエステル組成物を用いた二軸延伸ポリエステルフィルムである。二軸延伸ポリエステルフィルムの場合、重合したポリエステルチップを押出機において溶融する溶融工程、押出機から溶融樹脂を押出すことにより未延伸フィルムを形成するフィルム化工程、未延伸フィルムの少なくとも一方向に延伸する延伸工程、および、延伸したフィルムを熱処理する熱固定工程を経ることにより製造することが望ましい。
溶融工程においては、ポリエステルチップを溶融押出機に供給し、ポリマー融点以上の温度に加熱し溶融する。この際、フィルム製造中のカルボキシ末端量の上昇を抑制するために、十分乾燥したポリエステルチップを用いることが好ましい。用いるポリエステルチップの水分量は100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、30ppm以下であることがさらに好ましい。ポリエステルチップを乾燥する方法は、減圧乾燥など公知の方法を用いることができる。
押出機内におけるポリエステル樹脂の最高温度は、280℃以上であることが好ましく、285℃以上であることが好ましく、290℃以上であることがさらに好ましい。溶融温度を上げることにより、押出機内での濾過時の背圧が低下し、良好な生産性を奏することができる。また、押出機内におけるポリエステル樹脂の最高温度は、320℃以下が好ましく、310℃以下がさらに好ましい。溶融温度が高くなるとポリエステルの熱劣化が進行し、ポリエステルのカルボキシ末端量が上昇し、耐加水分解性が低下する場合がある。
本発明で用いた単官能末端封鎖剤および多官能末端封鎖剤を含有したポリエステルは、熱安定性が高く、押出機内での最高温度が上記の範囲であっても、フィルム製造中におけるカルボキシ末端量の低下を抑制することができる。原料樹脂として用いるポリエステルチップのカルボキシ末端量と製膜後のポリエステルフィルムでのカルボキシ末端量との差(変動量)は5eq/ton以下であることが好ましく、4eq/ton以下であることがさらに好ましい。上記範囲であれば、固有粘度が0.65dl/g超のポリエステルチップを用いても、フィルム製造中でのカルボキル末端濃度の上昇が抑制され、耐久性の良好なポリエステルフィルムを高い生産性を維持したまま製造することができる。なお、上記変動量の下限は、生産性の点から0.5eq/tonが下限であると考える。
フィルム化する場合、ポリエステル組成物の固有粘度は、強度ならびに耐久性の点から0.67dl/g以上にすることが好ましく、0.70dl/g以上であることがより好ましい。ポリエステルの固有粘度の上限は、特に限定されないが生産性の点から1.20dl/g以下であることが好ましく、1.00dl/gであることがより好ましく、0.80dl/gであることがよりさらに好ましい。0.67dl/g以上にするために上記範囲でエポキシ化合物の添加量や量比を制御することが好ましい。
フィルム化工程においては、少ない金属触媒量で重合したポリエステル樹脂を溶融押出しし、T−ダイスより冷却回転ロール上にシート状に成型し、未延伸フィルムを作成する。この際、例えば特公平6−39521号公報、特公平6−45175号公報に記載の技術を適用することにより、高速製膜性が可能となる。また、複数の押出し機を用い、コア層、スキン層に各種機能を分担させ、共押出し法により積層フィルムとしても良い。
延伸工程においては、本発明のポリエステルフィルムは、公知の方法を用いて、ポリエステルのガラス転移温度以上結晶化温度未満で、少なくとも一軸方向に1.1〜6倍に延伸することにより得ることができる。
例えば、二軸配向ポリエステルフィルムを製造する場合、縦方向または横方向に一軸延伸を行い、次いで直交方向に延伸する逐次二軸延伸方法、縦方向及び横方向に同時に延伸する同時二軸延伸する方法、さらに同時二軸延伸する際の駆動方法としてリニアモーターを用いる方法を採用することができる。
さらに、延伸終了後、フィルムの熱収縮率を低減させるために、熱固定工程において(融点−50℃)〜融点未満の温度で30秒以内、好ましくは10秒以内で熱固定処理を行い、0.5〜10%の縦弛緩処理、横弛緩処理などを施すことが好ましい。
ポリエステルフィルムとしてより高度な熱寸法安定性が要求される場合は、縦緩和処理を施すことが望ましい。縦緩和処理の方法としては、公知の方法を用いることができるが、例えばテンターのクリップ間隔を徐々に狭くして縦緩和処理を行う方法(特特公平4−028218号公報)や、テンターの内で端部に剃刀を入れ切断しクリップの影響を避けて緩和処理を行う方法(特公昭57−54290号公報)などが利用できる。
得られたポリエステルフィルムの厚みは、10〜500μmであることが好ましく、より好ましく15〜400μmであり、さらに好ましくは20〜250μmである。10μm未満では腰が無く取り扱いが困難である。また500μmを超えるとハンドリング性が低下し、取り扱いが困難となる。
また、接着性、絶縁性、耐擦り傷性、などの各種機能を付与するために、ポリエステルフィルム表面にコーティング法により高分子樹脂を被覆してもよい。また、被覆層にのみ無機及び/又は有機粒子を含有させて、易滑ポリエステルフィルムとしてもよい。さらに、無機蒸着層もしくはアルミ層を設け水蒸気バリア機能を付与したりすることもできる。
また、本願発明のポリエステルフィルムは、滑り性、走行性、耐摩耗性、巻き取り性などのハンドリング特性を向上させるために、フィルム表面に凹凸を形成させることが好ましい。フィルム表面に凹凸を付与するためには、ポリエステルの重合工程で無機及び/又は耐熱性高分子樹脂粒子を添加する外部粒子添加法、重合工程で触媒残渣とポリエステルの構成成分とを反応させて不溶性の粒子を析出させる内部粒子法、被覆層に前記粒子を含有させる方法、薄膜層表面に凹凸が付与されたロールなどでエンボス加工する方法、レーザービームなどで表面凹凸をパターニングする方法、などが挙げられる。
易滑性付与のためにポリエステルに添加する不活性粒子の種類及び含有量は、特に限定されるものではないが、シリカ、二酸化チタン、タルク、カオリナイト等の金属酸化物、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属の塩または耐熱性高分子粒子など、ポリエステル樹脂に対し不活性な粒子が例示される。これらの不活性粒子は、いずれか一種を単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
ヘイズを小さくするためには、ポリエステルに含有させる不活性粒子としては、粒子の屈折率がポリエステルに近いシリカ、ガラスフィラー、アルミナ−シリカ複合酸化物粒子が好ましく、可視光線の波長よりも小さな粒子径を有する粒子が好ましく、含有量も低いほうが良い。また、延伸張力が大きくなると、粒子周囲に発生するボイドが大きくなるため、延伸張力が低くなるように、すなわち、延伸温度を高目にする又は延伸倍率を小さくするように延伸条件を適正化する必要がある。さらに、積層構成とし、中心層のポリエステル層には不活性粒子を含有させず、表面層のみ粒子を含有する方法もヘイズを小さくするのにきわめて有効な方法である。
前記の不活性粒子は、平均粒子径が0.01〜3.5μmであることが好ましく、粒子径のばらつき度(標準偏差と平均粒子径との比率)が25%以下であることが好ましい。また、粒子の形状は、面積形状係数が60%以上の粒子が1種類以上含まれていることが好ましい。このような特性を有する不活性粒子をポリエステル樹脂に対し0.005〜2.0質量%含有させることが好ましく、特に好ましくは1.0質量%以下である。
また、フィルムを積層構成とし、最外層にのみ無機及び/又は耐熱性高分子樹脂粒子を添加する構成としても良い。
本発明のポリエステルフィルムは、高い長期熱安定性を有し、熱安定性の指標である160℃での耐熱テストにおける破断伸度保持率半減期が700時間以上、より好ましくは800時間以上である。係る範囲にあることで、太陽電池用途もしくは電気絶縁用途として長期間高温に晒される条件においても好適に利用することができる。
また、本発明のポリエステルフィルムは、高い耐加水分解性を有し、耐加水分解性の指標である105℃、100%RH、0.03MPa下192時間での伸度保持率が好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、よりさらに好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。係る範囲にあることで、太陽電池用途もしくは電気絶縁用途として長期間屋外に晒される条件においても好適に利用することができる。
本発明でいう太陽電池とは、太陽光、室内光等の入射光を取り込んで電気に変換し、当該電気を蓄えるシステムをいい、表面保護シート、高光線透過材、太陽電池モジュール、充填剤層および裏面封止シートなどから構成される。用途によりフレキシブルな性状のものがある。
本発明の太陽電池用ポリエステルフィルムは、上記表面保護シート、裏面封止シートやフレキシブルな電子部材の張合材の基材フィルム(ベースフィルム)として用いることができる。特に、高い耐久性、長期熱安定性が求められる太陽電池裏面封止シートのベースフィルムとして好適である。太陽電池裏面封止シートとは、太陽電池の裏側の太陽電池モジュールの保護するものである。
本発明の太陽電池用ポリエステルフィルムは、単独または2枚以上を貼り合わせて、太陽電池裏面封止シートとして使用することができる。本発明の太陽電池用ポリエステルフィルムには、水蒸気バリア性を付与する目的で、水蒸気バリア性を有するフィルムやアルミ箔などを積層することができる。バリア性フィルムとしては、ポリフッ化ビニリデンコートフィルム、酸化ケイ素蒸着フィルム、酸化アルミニウム蒸着フィルム、アルミニウム蒸着フィルムなどをもちいることができる。これらは、本発明の太陽電池用ポリエステルフィルムに接着層を介して、または直接積層したり、サンドイッチ構造をとる形態で用いることができる。
また、太陽電池封止シートと充填剤層との接着性を向上させるために、本発明の太陽電池用ポリエステルフィルムに、オフラインコートまたは/およびインラインコートにより易接着層を設けることも好ましい。
また、電気絶縁用ポリエステルフィルムとは、電子部材の絶縁用途の用いされる単層もしくは多層積層したフィルムもしくはシートである。本発明のポリエステルフィルムは、高い耐久性と耐熱性を有するため、例えば、コンデンサーの内装、外装、または、モーター用電気絶縁帯、フレキシブルプリント配線基板、トランス、ケーブル、ジェネレーターなどのベースフィルムとして好適である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はもとよりこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各実施例および比較例において用いた評価方法を以下に説明する。
(1)ポリエステルの固有粘度(IV)
ポリエステル組成物をフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの6/4(重量比)混合溶媒を使用して溶解し、温度30℃にて測定した。
(2)カルボキシ末端量の測定方法
A.試料の調整
ポリエステル組成物を粉砕し、70℃で24時間真空乾燥を行った後、天秤を用いて0.20±0.0005gの範囲に秤量する。そのときの重量をW(g)とする。試験管にベンジルアルコール10mlと秤量した試料を加え、試験管を205℃に加熱したベンジルアルコール浴に浸し、ガラス棒で攪拌しながら試料を溶解する。溶解時間を3分間、5分間、7分間としたときのサンプルをそれぞれA、B、Cとする。次いで、新たに試験管を用意し、ベンジルアルコールのみ入れ、同様の手順で処理し、溶解時間を3分間、5分間、7分間としたときのサンプルをそれぞれa、b、cとする。
B.滴定
予めファクターの分かっている0.04mol/l水酸化カリウム溶液(エタノール溶液)を用いて滴定する。指示薬はフェノールレッドを用い、黄緑色から淡紅色に変化したところを終点とし、水酸化カリウム溶液の滴定量(ml)を求める。サンプルA、B、Cの滴定量をXA、XB、XC(ml)とする。サンプルa、b、cの滴定量をXa、Xb、Xc(ml)とする。
C.カルボキシ末端量の算出
各溶解時間に対しての滴定量XA、XB、XCを用いて、最小2乗法により、溶解時間0分での滴定量V(ml)を求める。同様にXa,Xb,Xcを用いて、滴定量V0(ml)を求める。次いで、次式に従いカルボキシ末端量を求めた。
カルボキシ末端量(eq/ton)=[(V−V0)×0.04×NF×1000]/W
NF:0.04mol/l水酸化カリウム溶液のファクター
W:試料重量(g)
(3)HSΔカルボキシ末端量の測定方法
ポリエステル組成物に液体窒素を入れフリーザーミル(米国スペックス社製6750型)を用いて冷凍粉砕を行い20メッシュ以下の粉末にした。この粉末を130℃で12時間真空乾燥した後、1gを純水100mlに入れ、密閉系にして130℃に加熱、加圧した条件下に6時間撹拌した。加水分解試験前および後の試料を(2)の方法によりカルボキシ末端量を測定した。得られた測定結果から、(HSΔカルボキシ末端量)=(加水分解試験後のカルボキシ末端量)−(加水分解試験前のカルボキシ末端量)により計算した。
(4)溶融試験後の固有粘度(IV)測定方法
ポリエステル組成物に液体窒素を入れフリーザーミル(米国スペックス社製6750型)を用いて冷凍粉砕を行い20メッシュ以下の粉末にした。この粉末を130℃で12時間真空乾燥したもの0.3gをガラス試験管に入れ70℃で12時間真空乾燥した後、シリカゲルで乾燥した空気下で230℃、15分間加熱溶融した。溶融試験前および後の試料を(1)の方法により固有粘度(IV)を測定した。得られた測定結果から、(溶融試験15分後の固有粘度IV15)−(溶融試験前の固有粘度IV)を算出した。
(5)耐加水分解性破断伸度保持率
フィルムの耐加水分解性評価として、JIS−60068−2−66で規格化されているHAST(Highly Accelerated temperature and humidity Stress Test)を行った。機器はエスペック社製EHS−221を用い、105℃、100%RH、0.03MPa下の条件で行った。
フィルムを70mm×190mmにカットし、治具を用いてフィルムを設置した。各フィルムは各々が接触しない距離を保ち設置した。105℃、100%RH、0.03MPaの条件下で192時間処理を行った。処理前、処理後の破断伸度をJIS−C−2318−1997 5.3.31(引張強さ及び伸び率)に準拠して測定し、下記式に従い破断伸度保持率を算出した。
破断伸度保持率(%)=[(処理後の破断伸度(MPa))/(処理前の破断伸度(MPa))]×100
(6)生産性テスト
以下の方法で簡易的に生産性テストを実施した。
押出機で調製したポリエステルペレットをL/D=22の単軸押出機(株式会社プラ技研製PS型押出機PS−25F−22型)のホッパーから連続的に放流した。押出機の温度は293℃、濾過径20μmのナスロン製フィルター(三宅金属株式会社)、吐出量:6g/min.とした。
評価は、以下のように背圧上昇でおこなった。
〇:放流から4時間以上経過しても背圧 ; 15MPa未満
△:放流から4時間未満で背圧 ; 15MPa以上
×:放流から0.5時間以内に背圧 ; 15MPa以上
放流から4時間未満で背圧 ; 15MPa以上に達した場合は、ポリエステルに不溶性の微細なゲル化物等の含有量が多くなり、フィルム等の生産をおこなった場合に、生産性が悪くなる。
(重縮合触媒溶液の調製)
(アンチモン化合物のエチレングリコール溶液の調整)
三酸化アンチモンをエチレングリコール溶液に溶解し、14g/lの三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液を得た。
(1)ポリエステルペレットAの作成
攪拌機付き2リッターステンレス製オートクレーブに高純度テレフタル酸とエチレングリコールを仕込み、常法に従ってエステル化反応を行い、オリゴマー混合物を得た。このオリゴマー混合物に重縮合触媒として、上記アンチモン化合物のエチレングリコール溶液をアンチモン元素の残存量が250ppmとなるように添加した。次いで、窒素雰囲気下、常圧にて250℃で10分間攪拌した。その後、60分間かけて280℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)として、さらに280℃、13.3Pa下でポリエステルの固有粘度(IV)が0.55dl/gになるまで重縮合反応を行った。放圧に続き、微加圧下のレジンを冷水にストランド状に吐出して急冷し、その後20秒間冷水中で保持した後、カッティングして長さ約3mm、直径約2mmのシリンダー形状の固有粘度(IV)が0.55dl/g、カルボキシ末端量が12eq/tonのペレットを得た。
(実施例1)
(1)ポリエステル樹脂組成物
ポリエチレンテレフタレートのペレットAを130℃で10時間減圧乾燥(1Torr)した後、カルボジライト(日清紡ケミカル株式会社製、品名 ; LA−1)をペレットAに対して1重量部、およびジ−o−トルイル-カルボジイミドをペレットAに対して1重量部をペレットAに分散させた。この樹脂組成物をL/D=59.5、混練部一箇所、真空ベント付きのTEX−30α(株式会社日本製鋼所製)を用いてペレット化し、ポリエステルペレットBを得た。このポリエステルペレットBを上記の方法に従い、溶融テスト、生産性テストを実施した。それぞれの結果を表1に示す。
(2)フィルムの製膜
ポリエステルペレットBを押出機に供給した。押出機熔融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂最高温度は290℃、その後のポリマー管では285℃とし、ダイスよりシート状にして押し出した。これらのポリマーは、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度20μm粒子95%カット)を用いて濾過した。また、フラットダイは樹脂温度が285℃になるようにした。なお、押出機入り口で抜き出したPETペレットの水分率を測定した結果、水分率は18ppmであった。押し出した樹脂を静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。
次に、この未延伸フィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.3倍延伸して一軸配向PETフィルムを得た。引き続いて、テンターで、130℃で幅方向に4.0倍に延伸を行った後、熱固定を235℃で行い、さらに200℃で幅方向に弛緩処理を行い、厚さ50μmの二軸配向PETフィルムを得た。得られたPETフィルムの特性を表に示す。
(実施例2)
ジ−o−トルイル-カルボジイミドをステアリン酸に変更した以外は、実施例1と同様にポリエステルペレットCを得て、二軸PETフィルムを得た。得られたポリエステルペレットC、PETフィルムの特性を表に示す。
(実施例3)
ジ−o−トルイル-カルボジイミドをステアリン酸ナトリウムに変更した以外は、実施例1と同様にポリエステルペレットDを得て、二軸PETフィルムを得た。得られたポリエステルペレットD、PETフィルムの特性を表に示す。
(実施例4)
カルボジライトをp−フェニル−ビス−(2、6−キシリル-カルボジイミド)に変更した以外は、実施例1と同様にポリエステルペレットEを得て、二軸PETフィルムを得た。得られたポリエステルペレットE、PETフィルムの特性を表に示す。
(実施例5)
カルボジライトをエポクロス(株式会社日本触媒)、およびジ−o−トルイル-カルボジイミドを2−メトキシ−オキサゾリンに変更した以外は、実施例1と同様にポリエステルペレットFを得て、二軸PETフィルムを得た。得られたポリエステルペレットF、PETフィルムの特性を表に示す。
(実施例6)
エポクロスを2、2‘−ビス−オキサゾリンに変更した以外は、実施例5と同様にポリエステルペレットGを得て、二軸PETフィルムを得た。得られたポリエステルペレットG、PETフィルムの特性を表に示す。
(実施例7)
カルボジライトをポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社)、およびラウリルアルコールグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社)に変更し、トリフェニルホスフィンをエポキシ添加量の7.5wt%になる量を添加した以外は、実施例1と同様にポリエステルペレットHを得て、二軸PETフィルムを得た。得られたポリエステルペレットH、PETフィルムの特性を表に示す。
(実施例8)
ポリエステルペレットAにエポキシを添加することなく作製したフィルムを回収し、シュレッダーで粉砕し、粉砕品を得た。粉砕品の固有粘度(IV)は、0.71dl/g、カルボキシ末端量が12eq/tonであった。粉砕品は、熱履歴の為、ポリエステルペレットAと比べ、固有粘度(IV)は低く、カルボキシ末端量が多かった。この粉砕品にカルボジライト(日清紡ケミカル株式会社製、品名 ; LA−1)を粉砕品に対して1重量部、およびジ−o−トルイル-カルボジイミドを粉砕品に対して1重量部を粉砕品に分散させた。この樹脂組成物をL/D=59.5、混練部一箇所、真空ベント付きのTEX−30α(株式会社日本製鋼所製)を用いてペレット化し、ポリエステルペレットIを得た。
重量比でポリエステルペレットA/ポリエステルペレットI=60/40のブレンド物を実施例1と同様に二軸PETフィルムを得た。得られたPETフィルムの特性を表に示す。
(比較例1)
ポリエステルペレットAをカルボジイミド、ジ−o−トルイル-カルボジイミドを添加せず、実施例1と同様に二軸押出機でポリエステルペレットJを得た。このペレットの特性を表に示す。
ポリエステルペレットJを実施例1と同様に二軸PETフィルムを得た。得られたPETフィルムの特性を表に示す。
(比較例2)
ジ−o−トルイル-カルボジイミドを添加しないこと以外は、実施例1と同様にポリエステルペレットKを得て、二軸PETフィルムを得た。得られたポリエステルペレットK、PETフィルムの特性を表に示す。
(比較例3)
ジ−o−トルイル-カルボジイミドを添加しないこと以外は、実施例3と同様にポリエステルペレットLを得て、二軸PETフィルムを得た。得られたポリエステルペレットL、PETフィルムの特性を表に示す。
(比較例4)
カルボジイミドを添加しないこと以外は、実施例1と同様にポリエステルペレットMを得て、二軸PETフィルムを得た。得られたポリエステルペレットM、PETフィルムの特性を表に示す。
(比較例5)
カルボジイミドを添加しないこと以外は、実施例2と同様にポリエステルペレットNを得て、二軸PETフィルムを得た。得られたポリエステルペレットN、PETフィルムの特性を表に示す。
(比較例6)
2−メトキシ−オキサゾリンを添加しないこと以外は、実施例5と同様にポリエステルペレットOを得て、二軸PETフィルムを得た。得られたポリエステルペレットO、PETフィルムの特性を表に示す。
(比較例7)
2−メトキシ−オキサゾリンを添加しないこと以外は、実施例6と同様にポリエステルペレットPを得て、二軸PETフィルムを得た。得られたポリエステルペレットP、PETフィルムの特性を表に示す。
(比較例8)
エポクロスを添加しないこと以外は、実施例5と同様にポリエステルペレットQを得て、二軸PETフィルムを得た。得られたポリエステルペレットQ、PETフィルムの特性を表に示す。
(比較例9)
ラウリルアルコールグリシジルエーテルを添加しないこと以外は、実施例7と同様にポリエステルペレットRを得て、二軸PETフィルムを得た。得られたポリエステルペレットR、PETフィルムの特性を表に示す。
(比較例10)
ポリグリセロールポリグリシジルエーテルを添加しないこと以外は、実施例7と同様にポリエステルペレットSを得て、二軸PETフィルムを得た。得られたポリエステルペレットS、PETフィルムの特性を表に示す。
(比較例11)
実施例8と同様にして得た粉砕品にカルボジイミド、ジ−o−トルイル-カルボジイミドを添加せず、実施例8と同様に二軸押出機でポリエステルペレットTを得た。
重量比でポリエステルペレットA/ポリエステルペレットT=60/40のブレンド物を実施例1と同様に二軸PETフィルムを得た。得られたPETフィルムの特性を表に示す。
Figure 0005633255
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Figure 0005633255
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本発明のポリエステル組成物は、溶融成型時のゲル化が少なく、良好な耐加水分解性を有する。そのため、耐久性が溶融される各種のフィルム、シート、繊維、ボトル、その他の成型品、特に太陽電池用フィルムや電気絶縁用フィルムとして好適に利用可能である。

Claims (4)

  1. 下記要件(1)および(2)を満たすポリエステル組成物からなる太陽電池裏面封止用二軸延伸ポリエステルフィルム
    (1)単官能反応性末端封鎖剤及び多官能反応性末端封鎖剤を含む
    (2)下記式で表されるHSΔカルボキシ末端量が10eq/ton以下
    (HSΔカルボキシ末端量)=(下記による加水分解試験後のカルボキシ末端量)−(加水分解試験前のカルボキシ末端量)
    (加水分解試験)
    ポリエステル組成物を冷凍粉砕して20メッシュ以下の粉末にし、130℃で12時間真空乾燥した後、1gを秤量し、純水100ml中に入れる。これを密閉系にして130℃に加熱、加圧した条件下に6時間攪拌する。係る加水分解処理前後の試料および加水分解処理前の試料についてカルボキシ末端量を測定する
  2. さらに下記要件(3)および(4)を満たすポリエステル組成物からなる請求項1記載の太陽電池裏面封止用二軸延伸ポリエステルフィルム
    (3)カルボキシ末端量がポリエステルに対して5eq/ton以下であること。
    (4)下記溶融試験前後の固有粘度が下記式を満たすこと
    IV15−IV<0.08
    (溶融試験)
    ポリエステル組成物を凍結粉砕後、20メッシュ以下の粉末とし、130℃で12時間真空乾燥する。これを0.3g秤量し、ガラス試験管に入れ、更に70℃で12時間真空乾燥した後、空気下で230℃、15分間溶融処理する。係る溶融処理後の試料および溶融処理前の試料についてカルボキシ末端量を測定する。ここで、IV15は溶融試験後の固有粘度であり、IVは溶融試験前の固有粘度である。
  3. 前記単官能反応性末端封鎖剤及び多官能反応性末端封鎖剤が、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、またはカルボジイミド化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池裏面封止用二軸延伸ポリエステルフィルム
  4. さらに下記要件(5)および(6)を満たすポリエステル組成物からなる請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池裏面封止用二軸延伸ポリエステルフィルム
    (5)単官能反応性末端封鎖剤及び多官能反応性末端封鎖剤の添加量が、反応基単位で、ポリエステルのカルボキシル末端量に対し0.1〜10当量であること
    (6)単官能反応性末端封鎖剤/多官能反応性末端封鎖剤の添加量の重量比が0.5〜15であること
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