JP2009179739A - ポリエステル樹脂組成物およびそれからなるフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】
ポリエステル樹脂組成物およびフィルム製造工程中でのポリマーの酸化劣化を抑制し、表面欠点が少ない高品質のフィルムを生産性よく得られるポリエステルおよびポリエーテルイミドを必須成分とするポリエステル樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】
ポリエステルとポリエーテルイミドを必須成分とするポリエステル樹脂組成物であり、リン系酸化防止剤をリン元素含有量として25〜500ppm、アルカリ金属化合物をアルカリ金属元素として2〜50ppm含有せしめてなるポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし
ポリエステル樹脂組成物およびフィルム製造工程中でのポリマーの酸化劣化を抑制し、表面欠点が少ない高品質のフィルムを生産性よく得られるポリエステルおよびポリエーテルイミドを必須成分とするポリエステル樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】
ポリエステルとポリエーテルイミドを必須成分とするポリエステル樹脂組成物であり、リン系酸化防止剤をリン元素含有量として25〜500ppm、アルカリ金属化合物をアルカリ金属元素として2〜50ppm含有せしめてなるポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリエステルとポリエーテルイミドを必須成分としてなるポリエステル樹脂組成物に関するものである。本発明のポリエステル樹脂組成物にはリン系酸化防止剤とアルカリ金属化合物を含有せしめることで、ポリエステル樹脂組成物の耐酸化劣化性に優れており、さらには、本発明のポリエステル樹脂組成物から表面欠点が少なく寸法安定性に優れたポリエステルフィルムを生産性よく得ることが出来る。本発明のフィルムは包装材料用途、電子部品関連用途等の広範な分野に用いることができ、特に高い寸法安定性、表面の平滑性を要求する磁気記録媒体用途に好ましく用いることができる。
ポリエステルは、結晶性、強度、耐薬品性、透明性に優れ、フィルム、繊維、ボトル、押出成型品など様々な用途に使用されている。なかでも、フィルム用途ではその優れた機械特性と経済性のため、多方面で使用されており、特に磁気記録用途での有用性は周知である。しかしながら、近年磁気テープなどの磁気記録材料では、高記録密度化の要求が高くなっており、テープの寸法安定性、表面平滑性、厚み均一性といったポリエステルフィルムへの特性の要求はますます高くなっている。
フィルムの厚み均一性のためには、従来から、フィルム化する際に未固化のシート状物上面に高電圧を印加し、シート状物を回転冷却ドラムに密着させる方法(以下静電印加キャスト法という)が有効な方法として用いられており、高品質なフィルムを得る点から静電印加性は重要な特性である。
ポリエステルフィルムの寸法安定性を改善する技術としては、ポリエチレンテレフタレートとポリエーテルイミドからなる二軸配向ポリエステルフィルムが特許文献1に開示されている。
特許文献1では表面平滑性に優れたポリエチレンテレフタレートとポリエーテルイミドからなるフィルムを得るためにポリエチレンテレフタレートの重合触媒として特定の構造を有するチタン触媒を使用し、重合触媒に由来する粗大突起を軽減する技術が開示されている。
しかし、上記のポリエステルとポリエーテルイミドからなるフィルムでは、ポリエステルとポリエーテルイミドからなるポリエステル樹脂組成物の製造工程およびフィルムの溶融製膜工程においてポリエステルとポリエーテルイミドの相互作用によるポリエステルの酸化劣化が促進されやすく、酸化劣化によりゲル化したポリマーによってフィルムの表面に欠点が発生するという問題がある。
一方、特許文献2にはフェノール系酸化防止剤を含有せしめることによって、フィルム製造工程でのポリマーの酸化を抑制する技術が、特許文献3にはイミド安定剤を含有せしめることによって欠点の発生を低減する技術が開示されているが、フェノール系酸化防止剤では酸化劣化防止の効果が十分ではなく、イミド安定剤では表面欠点となるゲル化物は低減されるものの、フィルム製造時の静電印加性が低下し、生産性が十分満足し得るものではないという問題がある。
特開2005−2155号公報
特開2003−268211号公報
特開2003−206359号公報
本発明の目的は、上記した従来の課題を解決し、ポリエステル樹脂およびフィルム製造工程中でのポリマーの酸化劣化を抑制し、表面欠点が少ない高品質のフィルムを生産性よく得られるポリエステル樹脂組成物を提供することである。
前記した本発明の目的は、ポリエステルとポリエーテルイミドを必須成分とするポリエステル樹脂組成物であり、リン系酸化防止剤をリン元素として25〜500ppm、アルカリ金属化合物をアルカリ金属元素として2〜50ppm含有せしめてなるポリエステル樹脂組成物によって達成することができる。
本発明は、ポリエステルとポリエーテルイミドを必須成分とするポリエステル樹脂組成物およびそれからなるフィルムであって、リン系酸化防止剤とアルカリ金属化合物を特定量含有せしめることで、ポリエステル樹脂組成物の製造工程、フィルム製造工程でのポリマーの酸化劣化が抑制でき、かつ静電印加性に良好な、表面欠点が少ない高品質のフィルムを生産性よく得ることができる。本発明のフィルムは包装材料用途、電子部品関連用途等の広範な分野に用いることができ、特に高い寸法安定性、表面の平滑性を要求する磁気記録媒体用途に好ましく用いることができる。
本発明におけるポリエステルは、特に限定されないが、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、プロピレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、ヘキサメチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、ブチレン−2,6−ナフタレート、ヘキサメチレン−2,6−ナフタレート、シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレート単位等から選ばれた少なくとも一種の構造単位を主要構成成分とするものが好ましい。中でも、エチレンテレフタレートを主要構成単位とするポリエステルは、成形加工性に優れるため特に好ましい。また、2種以上のポリエステルを混合しても良いし、共重合のポリエステルを用いてもよい。
本発明で用いるポリエステルがポリエチレンテレフタレートである場合、通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリエステルを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリエステルを得るプロセスである。ここでエステル交換反応においては、通常既知の、マンガン、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物であるエステル交換触媒を添加しても良い。
本発明におけるポリエーテルイミドとは、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであり、溶融成形性を有するポリマーであれば、特に限定されない。例えば米国特許第4141927号明細書、特許第2622678号公報などに記載されたポリエーテルイミド、特許第2598536号公報、特開平9−48852号公報などに記載されたポリマーである。本発明の効果を阻害しない範囲であれば、ポリエーテルイミドの主鎖に環状イミド、エーテル単位以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていても良い。
その中でも、ポリエステルとの相溶性、溶融成形性の観点から、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物である、下記式で示される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
このポリエーテルイミドは、“ウルテム”(登録商標)の商品名で、SABICイノベイティブプラスチックス社より入手可能である。
本発明において、ポリエステルとポリエーテルイミドを必須成分とするポリエステル樹脂組成物を製造する方法は、特に限定されず、ポリエステルのエステル化もしくはエステル交換反応前にポリエーテルイミドを添加しても良いし、重合後に重合装置へポリエーテルイミドを添加してもよいが、二種のポリマーをよく相溶化するためにはポリエステルとポリエーテルイミドを押出機に投入し、溶融混練する方法が好ましい。
本発明では、ポリエステルとポリエーテルイミドの2種のポリマーを効率良く相溶化する点およびポリエステル樹脂組成物の耐熱性の点で、ポリエステル樹脂組成物中のポリエーテルイミドの重量分率を5〜80%とすることが好ましい。好ましくは25〜70%、より好ましくは30〜60%である。ポリエーテルイミドの重量分率が5%未満である場合、ポリエーテルイミドを主成分とする粗大異物が残存することがあり、一方、ポリエーテルイミドの重量分率が80%を超える場合、溶融押出の際、剪断発熱によりポリエステル樹脂組成物の熱分解が発生することがある。
通常、ポリエステル樹脂組成物中のポリエーテルイミドの重量分率が高いほどポリエステル樹脂組成物の耐熱性は向上するため、ポリエーテルイミドの重量分率を増量することが望ましいが、同時に、ポリエステルとポリエーテルイミドを相溶化する際に、ポリエステルの酸化劣化が進行しやすくなり、フィルム化した際の表面欠点が発生しやすくなる。このため、特に、ポリエーテルイミドの重量分率が高濃度の場合は、本発明のリン系酸化防止剤とアルカリ金属化合物を含有せしめ、ポリエステル樹脂組成物の耐酸化劣化性を向上させる効果が顕著に発現する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、リン化合物である酸化防止剤を含有する必要がある。リン化合物である酸化防止剤によりポリエステル樹脂組成物の耐酸化劣化性が向上する。リン化合物である酸化防止剤を添加しないと、ポリエステルの酸化劣化が進行しやすくなり、フィルム化した際に表面欠点が発生し、高品質のフィルムを得ることができない。
本発明で用いるリン系酸化防止剤は、ポリエステルが溶融される条件下で溶融可能であれば特に限定されないが、例えば、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェイニル)フォスファイト、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d、f][1,3、2]ジオキサホルフェピン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェイニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトが好ましい。
中でも、ポリエステル樹脂組成物との親和性、ポリエステル樹脂組成物の酸化劣化防止の観点から、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェイニル)フォスファイト(この物質は、“アデガスタブPEP−36”(登録商標)の商品名でアデカ株式会社より入手可能である)、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d、f][1,3、2]ジオキサホルフェピン(この物質は“スミライザーGP”の商品名で住友化学工業株式会社より入手可能である)が特に好ましい。
本発明では、リン系酸化防止剤をポリエステル樹脂組成物に対してリン元素として25〜500ppm含有せしめる必要がある。好ましくは50〜400ppmであり、より好ましくは80〜300ppmである。25ppm未満の場合、酸化劣化防止の効果が得られず、ポリエステル樹脂組成物の製造工程中およびフィルム製造工程中でポリマーの酸化劣化が起こり、フィルムの表面欠点が増加する。一方、500ppmを超えると、静電印加性が低下し、フィルム製造時の生産性に劣る。
本発明のポリエステル樹脂組成物中にリン系酸化防止剤を含有せしめる方法は、特に限定されず、ポリエステル製造時に添加、混合する方法や、従来から使用されている混合機や混練機、例えば一軸または二軸の押出機型混練機を使用して、ポリエステルとポリエーテルイミドの混合段階において添加、混合する方法が挙げられる。中でも、ポリエステル樹脂組成物への相溶性の点から、一軸または二軸の押出機型混練機を使用して、ポリエステルとポリエーテルイミドの混合段階において添加、混合する方法が好ましい。
本発明におけるアルカリ金属化合物は、特に限定されるものではなく、例えば、アルカリ金属の酢酸塩、炭酸塩、安息香酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、水酸化塩が挙げられる。これらのアルカリ金属化合物のうち、ポリマーの静電印加性、酸化劣化防止の観点から、リチウム、カリウムの化合物が好ましく、その中でもリチウムの化合物がより好ましい。リチウム化合物の中でもポリエステルとの親和性の点から、酢酸リチウム2水和物が好ましい。
本発明では、アルカリ金属化合物をポリエステル樹脂組成物に対してアルカリ金属元素として、2〜50ppm含有せしめることが必要である。好ましくは、3〜30ppmである。アルカリ金属元素が2ppm未満だとポリエステル樹脂組成物の静電印加性が低下し、フィルムの生産性が低下する。一方、50ppmを超えると、ポリエステル中の微小異物が増大し、フィルムの表面欠点が増加する。
本発明でいう静電印加性とは、上述した静電印加キャスティング法における、ポリエステルの冷却ドラムへの密着性のことをいう。製膜時の静電印加性と、フィルムに使用するポリエステルの溶融比抵抗とは相関があり、溶融比抵抗が低いポリエステルほど、静電印加性が向上し、得られるフィルムの厚さ均一性や透明性が向上する。本発明のポリエステル組成物は、静電印加性の点から、溶融比抵抗が、1.0×108Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.8×108Ω・cm以下であり、さらに好ましくは0.5×108Ω・cm以下である。溶融比抵抗が1.0×108Ω・cmより高いと、静電印加性に劣る場合がある。アルカリ金属元素をポリエステル樹脂組成物に含有せしめることでポリエステル樹脂組成物の溶融比抵抗を1.0×108Ω・cm以下とすることができる。
本発明において、ポリエステル樹脂組成物にアルカリ金属化合物を含有せしめる方法は、特に限定されず、ポリエステル製造時に添加、混合する方法や、従来から使用されている混合機や混練機、例えば一軸または二軸の押出機型混練機を使用して、ポリエステルとポリエーテルイミドの混合段階において添加、混合する方法が挙げられる。中でも、ポリエステル樹脂組成物への相溶性の点から、ポリエステルの重合段階で添加する方法が好ましい。
次いで、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法について詳しく説明するが、これに限定されるものではない。ここでは、ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレートを用いる。
まず、テレフタル酸とエチレングリコールをエステル化する事により、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応することにより、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)を得る。エステル交換反応の場合、エステル交換触媒として酢酸リチウム2水和物などのアルカリ金属化合物を添加してもよい。次にこのBHTを重合槽へ移送し、重合触媒として従来既知のアンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などの重合触媒を添加し、装置内温度をゆっくり280℃まで加熱し、常圧から133Pa以下まで減圧する。重合反応の進行に従って反応物の粘度が上昇する。所定の撹拌トルクとなった時点で反応を終了し、重合装置からポリエステルを水槽へ吐出する。吐出されたポリエステルは水槽で急冷され、カッターでペレット状とする。
得られたポリエステルの固有粘度を高くするために、さらに固相重合してもよい。固相重合する場合は、ペレット状ポリエステルを180℃以下の温度で予備結晶化させた後、190〜250℃で1mmHg程度の減圧下、10〜50時間固相重合させる。ポリエステルには本発明の効果を妨げない範囲で、従来公知の方法で不活性粒子や各種の添加剤、例えばエポキシ化合物等の末端封鎖剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、顔料、蛍光増白剤等を必要に応じて適宜含有してもよい。
次に、該ポリエステルのペレットとポリエーテルイミドのペレットを所定の割合で混合し、180℃で3時間以上真空乾燥した後、270℃〜300℃に加熱された溶融押出機に供給する。同時に、ポリエステル樹脂組成物に対してリン元素として25〜500ppmとなる量のリン系酸化防止剤を計量器で計量しながら供給し、溶融押出し、ポリエステル樹脂組成物を得る。このときの滞留時間は30〜600秒が好ましく、より好ましくは60〜300秒の条件である。
本発明のポリエステルフィルムは、未延伸のシート状でもよいし、一軸または二軸に延伸された延伸フィルムであってもよい。
本発明のポリエステルフィルムの製造方法の具体例について詳細を説明するが、以下の記述に限定されるものではない。
得られたポリエステルとポリエーテルイミドを必須成分とするポリエステル樹脂組成物のペレットを、180℃で3時間以上真空乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは真空下で、280〜320℃に加熱された押出機に供給し、繊維焼結ステンレス金属フィルター内を通過させた後、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール状で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、本発明のポリエステル樹脂組成物とポリエチレンテレフタレートを所定の割合で混合し、乾燥後、押出機へ供給してもよい。
キャスト方法は溶融したポリエステル組成物をギアーポンプで計量した後に口金から吐出させ、冷却されたドラム上に、静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラムなどの冷却媒体に密着冷却固化させて室温まで急冷し、未延伸のフィルムを得ることが好ましい。特に平面性や均一な厚みを得るには、静電印加法が特に好ましく用いられる。
次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向させることができる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法を用いることができる。
逐次二軸延伸により延伸する場合は、得られた未延伸フィルムをポリエステル組成物の(ガラス転移温度Tg−30℃)以上、(ガラス転移温度Tg+50℃)以下に加熱されたロール群上で接触昇温させて、長手方向に1.1〜4.0倍延伸し、これをいったん冷却した後に、テンタークリップに該フィルムの端部を噛ませて幅方向にポリエステル組成物の(ガラス転移温度Tg+5℃)以上、(ガラス転移温度Tg+50℃)以下の温度雰囲気下の中で1.1〜4.0倍延伸し、二軸配向したポリエステル組成物フィルムを得るのである。延伸の終了した二軸配向フィルムはさらにTg+50℃〜Tg+150℃の範囲の温度で熱処理すると寸法安定性が向上する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
・ ポリエステル樹脂組成物中の金属元素の含有量
アルカリ金属元素量は原子吸光法により、その他金属元素量は蛍光X線測定により、各元素の検量線から定量した。蛍光X線装置は堀場製作所社製、MESA−500W型を使用した。
・ ポリエステル樹脂組成物の耐酸化劣化性(ゲル化率)
ポリエステル樹脂組成物1gを凍結粉砕して直径300μm以下の粉体状とし真空乾燥した。この試料を、オーブン中で、大気下、300℃で7時間熱処理する。これを、50mlのオルトクロロフェノール(OCP)中、80〜150℃の温度で0.5時間加熱し溶解させる。続いて、ブフナー型ガラス濾過器(最大細孔の大きさ20〜30μm)で濾過し、洗浄・真空乾燥する。濾過前後の濾過器の重量の増分より、フィルターに残留したOCP不溶物の重量を算出し、OCP不溶物のポリエステル樹脂組成物重量(1g)に対する重量分率を求め、ゲル化率(%)とした。このゲル化率により、以下の基準で耐酸化劣化性を判断した。
・ :ゲル化率が0%以上5%未満
・ :ゲル化率が5%以上10%未満
×:ゲル化率が10%以上
・ ポリエステル樹脂組成物の溶融比抵抗(ρ)
290℃で溶融したポリエステル中に2枚の電極板を置き、500Vの電圧を印加した時の電圧(V‘)を測定し、比抵抗(ρ)を次式により求め、静電印加性の指標とした。この溶融比抵抗値が低いほど、静電印加性に優れる。
・ ポリエステル樹脂組成物中の金属元素の含有量
アルカリ金属元素量は原子吸光法により、その他金属元素量は蛍光X線測定により、各元素の検量線から定量した。蛍光X線装置は堀場製作所社製、MESA−500W型を使用した。
・ ポリエステル樹脂組成物の耐酸化劣化性(ゲル化率)
ポリエステル樹脂組成物1gを凍結粉砕して直径300μm以下の粉体状とし真空乾燥した。この試料を、オーブン中で、大気下、300℃で7時間熱処理する。これを、50mlのオルトクロロフェノール(OCP)中、80〜150℃の温度で0.5時間加熱し溶解させる。続いて、ブフナー型ガラス濾過器(最大細孔の大きさ20〜30μm)で濾過し、洗浄・真空乾燥する。濾過前後の濾過器の重量の増分より、フィルターに残留したOCP不溶物の重量を算出し、OCP不溶物のポリエステル樹脂組成物重量(1g)に対する重量分率を求め、ゲル化率(%)とした。このゲル化率により、以下の基準で耐酸化劣化性を判断した。
・ :ゲル化率が0%以上5%未満
・ :ゲル化率が5%以上10%未満
×:ゲル化率が10%以上
・ ポリエステル樹脂組成物の溶融比抵抗(ρ)
290℃で溶融したポリエステル中に2枚の電極板を置き、500Vの電圧を印加した時の電圧(V‘)を測定し、比抵抗(ρ)を次式により求め、静電印加性の指標とした。この溶融比抵抗値が低いほど、静電印加性に優れる。
ρ(Ω・cm)=V・S・R/I・V‘
V:印加電圧(V)
S:電極面積(cm2)
R:抵抗体抵抗
I:電極間距離(cm)
V‘:測定電圧(V)
・ 長期製膜安定性(表面欠点)
一定時間製膜した時点で得られたフイルムにおける長さ5m、幅1mの部分の表面に偏光を通して、長手方向の大きさ5〜10mm程度の欠点を目視で10視野観察する。この欠点個数の総数(50m2当たり)より、以下の基準で判断した。
・ :150時間以上製膜を行っても、フィルム表面欠点が10個以下である。
・ :製膜時間が、100時間までは、フィルム表面欠点が10個以下であるが、100〜150時間の間にフィルム表面欠点が10個を超える。
×:製膜時間が100時間未満で、フィルム欠点個数が10個を超える。
V:印加電圧(V)
S:電極面積(cm2)
R:抵抗体抵抗
I:電極間距離(cm)
V‘:測定電圧(V)
・ 長期製膜安定性(表面欠点)
一定時間製膜した時点で得られたフイルムにおける長さ5m、幅1mの部分の表面に偏光を通して、長手方向の大きさ5〜10mm程度の欠点を目視で10視野観察する。この欠点個数の総数(50m2当たり)より、以下の基準で判断した。
・ :150時間以上製膜を行っても、フィルム表面欠点が10個以下である。
・ :製膜時間が、100時間までは、フィルム表面欠点が10個以下であるが、100〜150時間の間にフィルム表面欠点が10個を超える。
×:製膜時間が100時間未満で、フィルム欠点個数が10個を超える。
実施例1
(ポリエステルの合成)テレフタル酸86重量部とエチレングリコール39重量部とのエステル化反応物(低重合体)をエステル交換反応槽で240℃で溶融し、これにテレフタル酸86重量部、およびエチレングリコール39重量部を加え、250℃で攪拌しながらエステル化反応を続け、水の留出量が理論留出量の97%以上に達したエステル化反応物からテレフタル酸86重量部に相当する反応物を重縮合反応槽に移行した。引き続いて、三酸化アンチモン0.03重量部、リン酸トリメチル0.02重量部、酢酸リチウム2水和物をポリエステルに対してリチウム元素量として8ppmとなるよう計量し、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に添加した。その後、エステル化反応生成物を攪拌しながら、反応系を250℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージして常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリエステルを得た。
(ポリエステル樹脂組成物の製造)上記の方法より得られたポリエステルのペレット50重量部とポリエーテルイミド(SABICイノベイティブプラスチックス社製の“ULTEM1010−1000”(登録商標))50重量部、ポリエステルに対してリン元素量として125ppm含有する量のリン系酸化防止剤のアデガスタブPEP−36”(表1にはPEP−36と表記)を同方向回転型二軸混練押出機(東芝機械株式会社TEM−35B)に供給し、押出温度300℃、剪断速度150秒−1、滞留時間3.5分の条件下で混練機、吐出して水冷後ペレタイズしてペレットに成型した。
(ポリエステルの合成)テレフタル酸86重量部とエチレングリコール39重量部とのエステル化反応物(低重合体)をエステル交換反応槽で240℃で溶融し、これにテレフタル酸86重量部、およびエチレングリコール39重量部を加え、250℃で攪拌しながらエステル化反応を続け、水の留出量が理論留出量の97%以上に達したエステル化反応物からテレフタル酸86重量部に相当する反応物を重縮合反応槽に移行した。引き続いて、三酸化アンチモン0.03重量部、リン酸トリメチル0.02重量部、酢酸リチウム2水和物をポリエステルに対してリチウム元素量として8ppmとなるよう計量し、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に添加した。その後、エステル化反応生成物を攪拌しながら、反応系を250℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージして常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリエステルを得た。
(ポリエステル樹脂組成物の製造)上記の方法より得られたポリエステルのペレット50重量部とポリエーテルイミド(SABICイノベイティブプラスチックス社製の“ULTEM1010−1000”(登録商標))50重量部、ポリエステルに対してリン元素量として125ppm含有する量のリン系酸化防止剤のアデガスタブPEP−36”(表1にはPEP−36と表記)を同方向回転型二軸混練押出機(東芝機械株式会社TEM−35B)に供給し、押出温度300℃、剪断速度150秒−1、滞留時間3.5分の条件下で混練機、吐出して水冷後ペレタイズしてペレットに成型した。
得られたポリエステル樹脂組成物の物性を表1に示す。ポリエステル樹脂組成物中のリチウム元素の含有量は4ppmであった。ゲル化率は、0.5%と小さく、溶融比抵抗も低く、良好であった。
(ポリエステルフィルムの製造)ポリエステル樹脂組成物20重量部と上記の方法より得られたポリエステル70重量部と平均粒径0.3μmの架橋ジビニルベンゼン粒子を2重量%含有するポリエチレンテレフタレートペレット10重量部との混合原料を、180℃で3時間真空乾燥した後に混練機へ供給した。
(ポリエステルフィルムの製造)ポリエステル樹脂組成物20重量部と上記の方法より得られたポリエステル70重量部と平均粒径0.3μmの架橋ジビニルベンゼン粒子を2重量%含有するポリエチレンテレフタレートペレット10重量部との混合原料を、180℃で3時間真空乾燥した後に混練機へ供給した。
続いて、上記原料材料を、口金から吐出し、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作成した。この未延伸フィルムを長手方向3.5倍、幅方向3.0倍に延伸して、厚さ約6μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作成した。このポリエステルフィルムは表1に示したとおり、長期製膜においても欠点の発生が少なく、優れた生産性を有していた。
実施例2
(ポリエステルの合成)エステル化反応物を重合反応槽へ移行後、リン酸トリメチルを添加せず、リン系酸化防止剤のアデガスタブPEP−36”の添加時期をポリエステルの重合時、所定の攪拌トルクとなった時点に変更した点以外は、実施例1と同様にポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。結果を表1に示す。ポリエステル樹脂組成物はゲル化率、静電印加性ともに良好であった。また、長期製膜においても欠点の発生が少なく、優れた生産性を有していた。
(ポリエステルの合成)エステル化反応物を重合反応槽へ移行後、リン酸トリメチルを添加せず、リン系酸化防止剤のアデガスタブPEP−36”の添加時期をポリエステルの重合時、所定の攪拌トルクとなった時点に変更した点以外は、実施例1と同様にポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。結果を表1に示す。ポリエステル樹脂組成物はゲル化率、静電印加性ともに良好であった。また、長期製膜においても欠点の発生が少なく、優れた生産性を有していた。
実施例3
リン系酸化防止剤を“スミライザーGP”に変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。結果を表1に示す。ポリエステル樹脂組成物はゲル化率、静電印加性ともに良好であった。また、長期製膜においても欠点の発生が少なく、優れた生産性を有していた。
リン系酸化防止剤を“スミライザーGP”に変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。結果を表1に示す。ポリエステル樹脂組成物はゲル化率、静電印加性ともに良好であった。また、長期製膜においても欠点の発生が少なく、優れた生産性を有していた。
実施例4
リン系酸化防止剤を“スミライザーGP”に変更し、酢酸リチウム2水和物を添加せず、水酸化カリウムをポリエステルに対してカリウム元素として40ppmとなる量を添加した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示したとおり、ゲル化率が低く、静電印加性に優れ、フィルムとした場合の表面欠点も少なく良好であった。
リン系酸化防止剤を“スミライザーGP”に変更し、酢酸リチウム2水和物を添加せず、水酸化カリウムをポリエステルに対してカリウム元素として40ppmとなる量を添加した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示したとおり、ゲル化率が低く、静電印加性に優れ、フィルムとした場合の表面欠点も少なく良好であった。
実施例5
リン系酸化防止剤をトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(Ciba−Geigy社製“Irgafos168”(登録商標))に変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示したとおり、ゲル化率は実施例1よりやや高くなったが、ポリエステル樹脂組成物およびフィルムの物性は良好であった。
リン系酸化防止剤をトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(Ciba−Geigy社製“Irgafos168”(登録商標))に変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示したとおり、ゲル化率は実施例1よりやや高くなったが、ポリエステル樹脂組成物およびフィルムの物性は良好であった。
実施例6
リン系酸化防止剤を2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン6−イル]オキシ]−N、N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン6−イル]−エチル]エタナミン(Ciba−Geigy社製“Irgafos12”(登録表彰))に変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示したとおり、ゲル化率は実施例1よりやや高くなったが、ポリエステル樹脂組成物およびフィルムの物性は良好であった。
リン系酸化防止剤を2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン6−イル]オキシ]−N、N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン6−イル]−エチル]エタナミン(Ciba−Geigy社製“Irgafos12”(登録表彰))に変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示したとおり、ゲル化率は実施例1よりやや高くなったが、ポリエステル樹脂組成物およびフィルムの物性は良好であった。
実施例7
“アデガスタブPEP−36”の添加量を変更し、アルカリ金属化合物として水酸化ナトリウムをポリエステル樹脂組成物に対してナトリウム元素として38ppmとなる量添加した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示した通り、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率、静電印加性は良好で、長期製膜においても欠点の発生が少なく、良好であった。
“アデガスタブPEP−36”の添加量を変更し、アルカリ金属化合物として水酸化ナトリウムをポリエステル樹脂組成物に対してナトリウム元素として38ppmとなる量添加した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示した通り、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率、静電印加性は良好で、長期製膜においても欠点の発生が少なく、良好であった。
実施例8
ポリエステルとポリエーテルイミドの重量比と“アデガスタブPEP−36”および酢酸リチウム2水和物の添加量を変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示した通り、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率、静電印加性は良好で、長期製膜においても欠点の発生が少なく、良好であった。
ポリエステルとポリエーテルイミドの重量比と“アデガスタブPEP−36”および酢酸リチウム2水和物の添加量を変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示した通り、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率、静電印加性は良好で、長期製膜においても欠点の発生が少なく、良好であった。
実施例9
ポリエステルとポリエーテルイミドの重量比と酢酸リチウム2水和物の添加量を変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示した通り、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率、静電印加性は良好であったり、長期製膜においても欠点の発生が少なく、良好であった。
ポリエステルとポリエーテルイミドの重量比と酢酸リチウム2水和物の添加量を変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示した通り、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率、静電印加性は良好であったり、長期製膜においても欠点の発生が少なく、良好であった。
比較例1
“アデガスタブPEP−36”を添加せず、酢酸リチウム2水和物の替わりに酢酸カルシウム4水和物0.01重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示したとおり、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率は高く、長期製膜においても欠点が多く、生産性に劣るものであった。
“アデガスタブPEP−36”を添加せず、酢酸リチウム2水和物の替わりに酢酸カルシウム4水和物0.01重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示したとおり、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率は高く、長期製膜においても欠点が多く、生産性に劣るものであった。
比較例2
“アデガスタブPEP−36”を添加せず、フェノール系酸化防止剤である1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(チバスペシャリティーケミカル社製“Irganox1330”(登録商標))を0.5重量部添加した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示したとおり、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率は高く、長期製膜においても欠点が多く、生産性に劣るものであった。
“アデガスタブPEP−36”を添加せず、フェノール系酸化防止剤である1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(チバスペシャリティーケミカル社製“Irganox1330”(登録商標))を0.5重量部添加した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示したとおり、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率は高く、長期製膜においても欠点が多く、生産性に劣るものであった。
比較例3
ポリエステルとポリエーテルイミドの重量比を変更し、酢酸リチウム2水和物の替わりに酢酸マグネシウム0.01重量部を添加し、“アデガスタブPEP−36”を添加せず、フェノール系酸化防止剤であるペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバスペシャリティーケミカル社製“Irganox1010”(登録商標)を0.3重量部添加した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示したとおり、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率は高く、長期製膜においても欠点が多く、生産性に劣るものであった。
ポリエステルとポリエーテルイミドの重量比を変更し、酢酸リチウム2水和物の替わりに酢酸マグネシウム0.01重量部を添加し、“アデガスタブPEP−36”を添加せず、フェノール系酸化防止剤であるペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバスペシャリティーケミカル社製“Irganox1010”(登録商標)を0.3重量部添加した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示したとおり、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率は高く、長期製膜においても欠点が多く、生産性に劣るものであった。
比較例4
酢酸リチウム2水和物を添加せず、酢酸マグネシウム4水和物0.01重量部添加した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示したとおり、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率は低く抑えられたが、静電印加性が低く、生産性に劣るものであった。
酢酸リチウム2水和物を添加せず、酢酸マグネシウム4水和物0.01重量部添加した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示したとおり、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率は低く抑えられたが、静電印加性が低く、生産性に劣るものであった。
比較例5
酢酸リチウム2水和物を添加せず、酢酸コバルト(ポリエステル樹脂組成物に対するコバルト元素として50ppm)を添加した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示したとおり、静電印加性はやや向上したものの、フィルムの表面欠点が多く、生産性に劣るものであった。
酢酸リチウム2水和物を添加せず、酢酸コバルト(ポリエステル樹脂組成物に対するコバルト元素として50ppm)を添加した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。表1に示したとおり、静電印加性はやや向上したものの、フィルムの表面欠点が多く、生産性に劣るものであった。
Claims (5)
- ポリエステルとポリエーテルイミドを必須成分とするポリエステル樹脂組成物であり、リン系酸化防止剤をリン元素として25〜500ppm、アルカリ金属化合物をアルカリ金属元素として2〜50ppm含有せしめてなるポリエステル樹脂組成物。
- アルカリ金属がリチウムもしくはカリウムであることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
- リン系酸化防止剤が、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェイニル)フォスファイト、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d、f][1,3、2]ジオキサホルフェピン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェイニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトから選ばれるいずれか少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂組成物。
- ポリエーテルイミドを5〜80重量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物からなるポリエステルフィルム。
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JP2008020971A JP2009179739A (ja) | 2008-01-31 | 2008-01-31 | ポリエステル樹脂組成物およびそれからなるフィルム |
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JP2012215406A (ja) * | 2011-03-31 | 2012-11-08 | Mitsubishi Materials Corp | 試料調製方法 |
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- 2008-01-31 JP JP2008020971A patent/JP2009179739A/ja active Pending
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