JP3246629B2 - 写真用ポリエステルフィルム - Google Patents

写真用ポリエステルフィルム

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JP3246629B2
JP3246629B2 JP00530094A JP530094A JP3246629B2 JP 3246629 B2 JP3246629 B2 JP 3246629B2 JP 00530094 A JP00530094 A JP 00530094A JP 530094 A JP530094 A JP 530094A JP 3246629 B2 JP3246629 B2 JP 3246629B2
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健次 喜田
史朗 今井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真用ポリエステルフ
ィルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、異物が少
なく、耐熱性、寸法安定性に優れた写真用ポリエステル
フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(PETと
略称する)に代表されるポリエステルの二軸延伸フィル
ムは、機械的特性、電気的特性、耐薬品性、寸法安定
性、透明性などの諸性質において優れており、各方面の
分野で広く利用されている。特に、X線写真用、印刷製
版用、マイクロフィルム用、電子写真、ジアゾ写真等の
複写用などの写真用として、透明で曇りのないこと、引
張り、引裂き、ねじれに対し強いこと、寸法的に安定で
あること、カールが少ないこと、乳剤や水、アルカリ液
に対し安定であること、熱変形温度が高いこと、フィル
ム表面及び内部に異物のないこと等ほとんど全ての特性
を満足し使用されてきた。
【0003】写真用ベースに使用されるプラスチックフ
ィルムとしては古くはニトロセルロースフィルム、ジア
セチルセルロースフィルムなどが使用されていたが、そ
の後トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム
と略称する)が使われるようになった。しかしながらポ
リエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレート
フィルムが開発されてからは、その優れた特性の故に次
第にその分野が拡大し、TACフィルムと置き替わって
きた。
【0004】しかしながら、TACフィルムは、適度な
吸水性を有するため、特に白黒およびカラーの一般向け
ロールフィルム用で必要となる現像処理後のカール解消
性に優れる(例えば特開平4−93937号公報に記
載)という特徴をもち、写真用の一部用途では、依然と
してTACフィルムの使用が残っている。TACフィル
ムは、厳重な管理のもとに溶媒に塩化メチレンを用いた
溶液製膜法で製造されているが、溶媒の人体や環境への
影響が懸念されること、機械的強度が劣り現状フィルム
が巻込まれているパトローネの小型化ができず、カメラ
の薄板化の要求に応えられない問題をもっている。
【0005】また、TACに替わってPETフィルムが
用いられている分野でも、性能要求が高度化しており、
従来のPETフィルムでは必ずしも対応できなくなりつ
つある。たとえば、マイクロフィルムにおいて、記録密
度のアップと記録再生拡大倍率のアップが進み、従来の
透明性の尺度では計れない微少な異物が問題とされるよ
うになっている。また、X線フィルムにおいては、病院
など大量に使用するところで運搬の際重量がかさむこと
から薄膜化が望まれている一方、写真一枚一枚を手に持
ったとき曲がってしまわない腰の強さが必要であり、P
ETフィルムでは腰の弱さから両立することは困難であ
る。さらには、印刷製版用などでは、大きな面積を正確
な縮尺で再現するため、あるいは現像時間を短くするた
め高温現像を行なうような用途で、従来のPETフィル
ムの寸法安定性では不十分でさらに高度な寸法安定性が
必要になっている。
【0006】このような中で、TACやPETに替わる
プラスチックフィルムとして、ポリエチレン−2,6−
ナフタレートフィルム(PENフィルムと略称する)も
提案されている(特開昭50−109715号公報)
が、今だ不十分であり、実用化に至ってはいなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の写真
用ポリエステルフィルムの上記問題点を解消し、異物が
少なく、耐熱性、寸法安定性に優れた写真用フィルムの
提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、反復構造単位の少なくとも80モル%
がエチレン−2,6−ナフタレート単位であるポリエス
テルからなり、金属状アンチモン単体の含有量がポリエ
ステル重量に対し0.01〜10ppmであることを特
徴とする写真用ポリエステルフィルムとするものであ
る。
【0009】本発明のポリエステルは、実質的にエチレ
ン−2,6−ナフタレートから構成され、反復構造単位
の少なくとも80モル%がエチレン−2,6−ナフタレ
ートである。好ましくは少なくとも90モル%、さらに
好ましくは95モル%である。エチレン−2,6−ナフ
タレート単位が反復構造単位の80モル%未満である
と、寸法安定性、機械的特性が劣るため好ましくない。
少量、すなわち、20モル%以下、好ましくは10モル
%以下、さらに好ましくは5モル%以下であれば以下の
共重合成分によって変性されたものであってもよい。共
重合成分としては、2塩基酸やグリコールなどの2価の
エステル形成性官能基を有する成分が挙げられ、2塩基
酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン
酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカル
ボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,
7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカ
ルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノ
キシエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン
酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテル
ジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニ
ルインダンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホ
イソフタル酸や4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフフ
タレンジカルボン酸といった金属スルホネートを有する
芳香族ジカルボン酸などを挙げることができる。さら
に、ポリエチレンオキシジカルボン酸、ポリテトラメチ
レンオキシジカルボン酸などのポリエーテルジカルボン
酸等も挙げることができる。
【0010】また、グリコールとしては、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコ
ール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメ
タノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニ
ル)プロパン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、
ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイ
ドロキノン、シクロヘキサンジオール、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピ
レングリコール共重合体などのポリアルキレングリコー
ル等を挙げることができる。ポリアルキレングリコール
やポリエーテルジカルボン酸の平均分子量としては、好
ましくは400〜40000であり、より好ましくは6
00〜20000、さらに好ましくは1000〜100
00である。ただし、金属スルホネートを有する芳香族
ジカルボン酸やポリアルキレングリコール、ポリエーテ
ルジカルボン酸などの吸水性を向上させる傾向のあるモ
ノマなどを共重合し現像処理後のカール解消性を付与す
る方法は、確かに現像処理後のカールは少なくなるもの
の巻癖自体はつき易いため、あまりに共重合量を増やさ
ないことが好ましい。
【0011】もちろん、複数の芳香族二塩基酸や複数の
グリコールを共重合することはかまわない。
【0012】本発明のポリエステルの固有粘度として
は、好ましくは0.4以上、さらに好ましくは0.5以
上、特に好ましくは0.55以上である。
【0013】本発明のフィルムにおいて、金属状アンチ
モン単体の含有量がポリエステル重量に対し0.01〜
10ppmであることが必要である。好ましくは、0.
01〜5ppm、さらに好ましくは0.01〜3ppm
である。金属状アンチモン単体の含有量が0.01pp
m未満であると、黄色に着色し、機械的特性が劣るため
好ましくない。また、10ppmを超えると、写真フィ
ルムで光線を透過しない点が多数発生し、写真像が鮮明
性を欠くため好ましくない。エチレンナフタレートを主
体とするポリエステルでは、従来のPETに比べて融点
が高く高温で重合を行なう必要があり、メカニズムはさ
だかではないが、金属状アンチモン単体を生成しやすい
傾向がある。フィルム中のアンチモン元素の含有量は好
ましくは、10〜500ppmであり、さらに好ましく
は50〜400ppmである。
【0014】本発明のポリエステルフィルムのヘイズ値
は5%以下が好ましく、2%以下がさらに好ましい。ヘ
イズ値が5%を超えるとフィルムを写真感光材料として
用いた場合、画像がぼやけてしまい不鮮明になってく
る。
【0015】本発明のポリエステルフィルムの150
℃、30分における熱収縮率は2%以下が好ましく、さ
らに好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1.2%
以下である。また、80℃、8時間における熱収縮率は
0.7%以下が好ましく、さらに好ましくは0.5%以
下、特に好ましくは0.3%以下である。
【0016】また、本発明のポリエステルフィルムの引
裂伝播抵抗は、好ましくは500g/mm以上、さらに
好ましくは700g/mm以上、特に好ましくは、80
0g/mm以上である。破断強度は、好ましくは10k
g/mm2 以上、さらに好ましくは15kg/mm2
上、特に好ましくは、18kg/mm2 以上である。さ
らにヤング率は、好ましくは400kg/mm2 以上、
さらに好ましくは450kg/mm2 、特に好ましくは
500kg/mm2 である。また、38℃の蒸留水中に
30分間浸漬した時のヤング率は、好ましくは350k
g/mm2 、特に好ましくは450kg/mm2 であ
る。
【0017】本発明のポリエステルフィルムは、未延伸
フィルムや一軸延伸フィルムであってもよいが、特に寸
法安定性の面から二軸延伸フィルムが好ましい。
【0018】本発明のポリエステルフィルムには、用途
に応じて易滑性を付与することも可能であり、易滑性付
与手段としては特に限定されないが、無機系粒子、有機
系架橋粒子の配合が一般的手法として用いられる。
【0019】かかる不活性な粒子の代表的なものとして
タルク、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリ
カ、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、アルミナ、硫
酸バリウム、ジルコニア、マイカ、リン酸カルシウム、
架橋ポリスチレン系粒子が挙げられる。また、ポリエス
テル合成反応系に不活性な粒子を添加する以外に、ポリ
エステルの重合反応時に添加する触媒等を析出させる内
部粒子による易滑性付与方法も採用可能である。
【0020】これら易滑性付与手段には特に限定を加え
るものではないが、写真用としては透明性が重要な要件
となるため、ポリエステルと比較的近い屈折率をもつ炭
酸カルシウム、シリカ、架橋ポリスチレン系粒子あるい
は内部粒子で粗大粒子のないものが好ましい。粗大粒子
としては、5μm以上の径をもつものである。
【0021】本発明のポリエステルフィルムの表面状態
としては、中心線平均粗さRaが、好ましくは0.02
0μm、さらに好ましくは0.015μm以下、特に好
ましくは0.010μm以下、最大粗さRtは、好まし
くは0.3μm以下、さらに好ましくは0.2μm以
下、特に好ましくは0.15μm以下である。また、波
長540nmの多重干渉法で測定したとき、2次、3
次、4次の干渉縞を示す突起の数がそれぞれ130個/
mm2 以下、30個/mm2 以下、15個/mm2以下
が好ましい。
【0022】さらに、本発明のポリエステルフィルム
は、目的を損なわない範囲であれば他の成分を含有する
ことができる。例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線
吸収剤、耐候剤、着色剤などの通常の各種添加剤を含有
してもよい。本発明のポリエステルフィルムは、エチレ
ン−2,6−ナフタレート単位を主体とするため高屈折
率であり、ライトパイピング現象を起こしやすい傾向が
ある。ライトパイピング現象を回避する方法として染料
を添加する方法が知られている。フィルム染色に使用す
る染料については特に限定はされないが、色調は感光材
料の一般的な性質上グレー染色が好ましく、また、染料
はポリエステルフィルムの製膜領域での耐熱性に優れ、
かつポリエステルとの相溶性に優れたものが好ましい。
染色濃度に関しては、マクベス社製の色濃度計にて可視
領域での色濃度を測定し少なくとも0.01以上である
ことが好ましく、0.03以上がさらに好ましい。
【0023】本発明のポリエステルフィルムは、単層で
あってもよいが、多層構造であってもよく、主体となる
層がエチレン−2,6−ナフタレートを主体とするポリ
エステルからなるものであればよい。他の層としては、
易滑性、着色、帯電防止性、接着性を付与する層、ある
いは写真感材塗布によるカール発生を防止するため、感
材類似の組成の層を感材塗布層の反対面に設けたり、他
のポリマ例えばPETや共重合ポリエステルなどの層を
設けることもできる。この場合、エチレン−2,6−ナ
フタレートを主体とするポリエステルの層の厚みが、全
体の少なくとも70%以上であることが好ましい。
【0024】次に本発明の写真感光材料用ポリエステル
フィルムの製造方法について説明する。
【0025】まず、ポリエステルの製造方法は、この分
野において周知であり、いずれの方法をも採用すること
ができる。例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸お
よび少量の他のジカルボン酸成分とエチレングリコール
および少量の他のグリコール成分とを直接エステル化反
応するか、または、ジカルボン酸成分のジアルキルエス
テルを用いる場合はグリコール成分とでエステル交換反
応し、これを減圧下に加熱して余剰のグリコール成分を
除去することにより、ポリエステルを得ることができ
る。この際必要に応じてエステル交換反応触媒あるいは
重合反応触媒を用い、あるいは安定剤を添加することが
好ましい。重合触媒としては、アンチモン化合物を用
い、安定剤としてリン化合物を用いることが好ましい。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化
アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコラート
などが挙げられる。また、リン化合物としては、リン酸
およびそのエステル、亜リン酸およびそのエステル、ホ
スホン酸およびそのエステル、ホスフィン酸およびその
エステルが挙げられるが、リン酸およびリン酸エステル
のような還元作用の小さいものが好ましい。また、重合
温度は、溶融状態を維持できればできるだけ低温で行な
ことが好ましい。もちろん、着色防止剤、酸化防止剤、
結晶核剤、滑剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線
吸収剤、消泡剤、帯電防止剤などを添加してもよい。
【0026】本発明のフィルムは、押出によって最も好
ましく製造される。ポリエステルは溶融押出装置に乾燥
後供給され、スリット状の口金出口より押出される。か
かる溶融物を回転冷却ドラム上で冷却し、実質的に非晶
状態の未延伸フィルムを得る。回転冷却ドラム上に冷却
する際は、厚みの均一性の点から静電印加キャスト法を
採用することが好ましい。溶融押出装置は周知の装置が
適用可能であるが、エクストルーダが簡便であり好まし
い。製膜においても、溶融状態を越える温度雰囲気はで
きるだけ短時間が好ましい。
【0027】本発明のポリエステルフィルムは、未延伸
フィルムや一軸延伸でもよいが、機械的強度を付与する
ために、二軸延伸することが好ましく、通常のポリエス
テルの二軸延伸方法が採用できる。たとえばテンタ法に
よる同時二軸延伸や逐次二軸延伸法がある。
【0028】延伸温度は、ガラス転移温度〜昇温結晶化
温度の範囲で選択することが好ましいが、本発明におい
て長手方向の場合110〜180℃、幅方向の延伸の場
合120〜200℃であることがより好ましい。延伸倍
率は、長手方向、幅方向それぞれ2〜5倍で選択され
る。フィルムの強度を高めるためには、製膜性が低下し
ない範囲内で延伸倍率を高くしたほうがよく、好ましく
は2.5倍以上、より好ましくは3.0倍以上である。
また、縦延伸時にまず高温で延伸し、更にやや低温で延
伸するといういわゆる多段階の縦延伸法を行なってもよ
い。
【0029】さらに、延伸したフィルムに熱処理を施し
てもよい。この場合の熱処理条件としては、定長下、弛
緩状態、微延伸状態のいずれでもよく、本発明のポリエ
ステルフィルムの場合、150〜270℃が好ましく、
より好ましくは170〜220℃の範囲で0.5〜60
秒間が好適である。また、さらにリラックス処理を施す
ことも可能である。
【0030】また、本発明のポリエステルフィルムは、
後で設ける感光層や保護層などとの接着性を向上させる
ため、コロナ放電処理、薬液処理、火炎処理、紫外線処
理、プラズマ処理などの各種表面処理を必要に応じて施
すことができる。
【0031】
【物性および特性の評価法】評価は次のようにして行な
った。
【0032】(1)固有粘度 o−クロロフェノールを溶媒として25℃にて測定し
た。
【0033】(2)フィルム中のアンチモン元素の含有
量 フィルムを濃硫酸で灰化したのち、水溶液として原子吸
光法で測定した。
【0034】(3)金属状アンチモン単体 フィルムをo−クロロフェノール(以下OCPと略称す
る)に8重量%濃度、100℃以下の温度で溶解する。
得られたポリマ溶液は、超遠心分離器を用い1万G以上
で遠心分離し、傾瀉法で上澄液を除去する。次いで、O
CPを加えて超音波洗浄を行ない、付着ポリマの洗浄を
行なう。再度、同様の操作で超遠心分離を行ない、IR
で上澄液にポリマが観察されなくなるまでこの操作を繰
り返し、最後にアセトン洗浄、乾燥を行ない不溶物を分
離する。こうして得た不溶物を、X線回折によって金属
状アンチモン単体に対応するピークに着目し、粉砕ポリ
マと混合し金属状アンチモン単体量が既知の試料と強度
を比較し定量し、フィルム重量に対して表わした。単位
は、ppmを用いた。
【0035】(4)フィルムヘイズ フィルムヘイズは、ASTM−D1003−52に準じ
て測定した。
【0036】(5)熱収縮率 幅10mm、長さ250〜300mmのフィルムサンプ
ルを200mm間隔にマーキングし、サンプル支持板に
一定張力下で固定し、万能投影機(日本光学製V16
A)を用いてマーキング間隔の原長を測定した。測定し
たサンプルに3gのクリップを用いて荷重をかけ、80
℃に設定した熱風オーブン中で8時間回転させながら処
理した。処理したサンプルは、原長を測定した雰囲気下
に2時間放置後、原長測定法と同様にマーキング間隔を
測定して収縮率を求めた。
【0037】同様の測定を150℃、30分でも行なっ
た。
【0038】(6)破断強度、引張弾性率 JIS−Z1702−1976に準じて、幅10mm、
長さ100mmの短冊片で、引張速度は破断強度の測定
の際には300mm/min、引張弾性率は20mm/
minで測定した。
【0039】(7)引裂伝播抵抗 軽荷重式引裂試験機(東洋精機(株)製)を用いて、A
STM−D−1922に従って測定した。サンプルサイ
ズは、51×64mmで13mmの切れ込みを入れ、残
り51mmを引き裂いた時の指示値を読み取った。
【0040】(8)巻癖カールの大きさ フィルムを幅方向35mm、長手方向135mmの大き
さにサンプリングし、直径10mmの巻芯に巻き付け、
70℃、30%RH、72時間の処理を行なった。処理
したフィルムを巻芯から開放し、平面上に置いた時に形
成される円筒の直径を測定し、巻癖カールとした。
【0041】巻癖カールは、以下の5段階で評価した。
巻癖カールは数値の大きいものほど好ましく、カール回
復性は評価2〜4のものが写真用として使用でき、評価
1では使用不可である。
【0042】4:円筒直径が60mm以上 3:円筒の直径が40〜60mm未満 2:円筒の直径が30〜40mm未満 1:円筒の直径が30mm未満
【0043】(9)拡大評価 ベースフィルムにジアゾ層を塗布し、ジアゾマイクロフ
ィルム解像チャートを得、これをプロジェクターにより
200倍に拡大し、写し出された画質の次の3段階に評
価した。
【0044】Aランク:線画や白黒の地肌色合いのコン
トラストが鮮明で、微小黒斑点状の影が見られず、画像
も極めて明るく、特に印刷製版、マイクロフィルムとし
て最適のフィルム Bランク:微小黒斑点状の影が若干見られるが、線画や
白黒の地肌色合いのコントラストが鮮明で画像も明る
く、実用問題のないフィルム Cランク:微小黒斑点状の影が多く認められ、線画や、
白黒の地肌色合いのコントラストが不鮮明で、実用上問
題となるフィルム
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。
【0046】実施例1 (1)ポリエステルの重合 撹拌装置、精留塔、凝縮器を備えたエステル交換反応器
に2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量
部とエチレングリコール(以下EGと略称する)51重
量部に、酢酸カルシウム0.06重量部および三酸化ア
ンチモン0.025重量部を添加し、180〜240℃
まで徐々に昇温し同時に生成したメタノールは連続的に
反応系外へ留出させながらエステル交換反応を行なっ
た。こうして得られた反応物にリン酸トリメチルエステ
ル0.04重量部を添加し、5分間反応させた。
【0047】引き続いてエチレングリコールを連続的に
留出させながら285℃まで昇温し、同時に0.2mm
Hgまで減圧を進めて重縮合反応を行ない、固有粘度
0.65のポリマペレットを得た。
【0048】(2)製膜 (1)のポリマペレットを150℃で予備結晶化させた
後、180℃で真空乾燥した。295℃で溶融押し出し
を行ない、未延伸シートを作成した。得られた未延伸シ
ートを、138℃で縦方向に4.5倍、132℃で横方
向に4.0倍逐次二軸延伸した後、230℃で5秒間熱
処理して、厚さ90μmの二軸延伸フィルムを得た。得
られた二軸延伸フィルムは、表2のような特性を有して
いた。
【0049】比較例1 リン酸トリメチルエステルのかわりに、亜リン酸0.0
3重量部を用い295℃で重縮合を行なったこと以外は
実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。得られ
たフィルムの特性を表2に表わしたが、写真フィルムと
して好ましくないものであった。
【0050】実施例2、実施例3 重合および製膜条件を表1のように実施例1の条件を種
々変更し、金属状アンチモン単体の量が異なるフィルム
を得た。表2にその特性を表わしたが、本発明のフィル
ムが写真フィルムとして優れた性能を有することがわか
る。
【0051】実施例4 撹拌装置、精留塔、凝縮器を備えたエステル交換反応器
に2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量
部とエチレングリコール(以下EGと略称する)51重
量部に、酢酸マンガン4水塩0.08重量部を添加し、
180〜240℃まで徐々に昇温し同時に生成したメタ
ノールは連続的に反応系外へ留出させながらエステル交
換反応を行なった。こうして得られた反応物にリン酸ト
リメチルエステル0.035重量部を添加し、10分間
反応させ、三酸化アンチモン0.035重量部を添加し
5分間反応させた。
【0052】引き続いてエチレングリコールを連続的に
留出させながら290℃まで昇温し、同時に0.2mm
Hgまで減圧を進めて重縮合反応を行ない、固有粘度
0.68のポリマペレットを得た。
【0053】得られたポリマペレットを用いて、実施例
1と同様の製膜を行ない、厚さ140μmの二軸延伸フ
ィルムを得た。得られたフィルムは、巻癖カールがつき
難くロール状写真フィルムとして優れたものであった。
【0054】比較例2 三酸化アンチモンの添加量を0.005とすること以外
は実施例と同様にして厚さ140μmの二軸延伸フィ
ルムを得た。得られたフィルムは、巻癖カールが大きく
写真フィルムとして好ましくないものであった。
【0055】
【表1】
【表2】
【0056】
【発明の効果】本発明のポリエステルフィルムは、異物
が少なく、耐熱性、寸法安定性に優れ、写真用フィルム
として優れた性能を有する。
【0057】特に、X線写真用、印刷製版用、マイクロ
フィルム用、電子写真、ジアゾ写真等の複写用などの写
真用として好適である。
【0058】また、巻癖カールがつき難いことから、一
般用ロール状写真フィルムとしても使用することができ
る。
【0059】また、白色化すれば、印画紙などにも使用
することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−333471(JP,A) 特開 平6−67345(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 1/795

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反復構造単位の少なくとも80モル%が
    エチレン−2,6−ナフタレート単位であるポリエステ
    ルからなり、金属状アンチモン単体の含有量がポリエス
    テル重量に対し0.01〜10ppmであることを特徴
    とする写真用ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 アンチモン元素をポリエステル重量に対
    し10〜500ppm含有することを特徴とする請求項
    1に記載の写真用ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 金属状アンチモン単体の含有量がポリエ
    ステル重量に対し0.01〜5ppmであることを特徴
    とする請求項1に記載の写真用ポリエステルフィルム。
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