JP2875154B2 - 写真フイルム用ベースフイルム - Google Patents

写真フイルム用ベースフイルム

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JP2875154B2
JP2875154B2 JP8036594A JP8036594A JP2875154B2 JP 2875154 B2 JP2875154 B2 JP 2875154B2 JP 8036594 A JP8036594 A JP 8036594A JP 8036594 A JP8036594 A JP 8036594A JP 2875154 B2 JP2875154 B2 JP 2875154B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は写真フイルム用ベースフ
イルムに関し、更に詳しくは、優れたカール解消性、透
明性、色相及び耐デラミ性を備えたポリエチレンナフタ
レートを素材とする写真フイルム用ベースフィルムに関
する。
【0002】
【従来の技術】写真フイルムには、X線用フイルム、製
版用フイルム、カットフイルム等の如きシート状フイル
ムで用いるものと、一般のカメラに装填して撮影に用い
るカラーまたは黒白ネガフイルム等の如きロールフイル
ムとして用いるものとがある。
【0003】このシート状フイルムのベースフイルムに
はポリエチレンテレフタレートからなる二軸延伸ポリエ
ステルフイルムが主として用いられ、またロールフイル
ムのベースフイルムにはトリアセチルセルロース(以下
『TAC』と略称することがある)に代表されるセルロ
ース系ポリマーからなるフイルムが主として用いられて
いる。
【0004】TACフイルムの特徴は光学的に異方性が
なく、透明性が高く、現像処理後のカール解消性に優れ
ている点にあるが、特にカール解消性は他素材フイルム
にみられない特徴と言われている。しかしながら、この
TACフイルムはその製造工程で有機溶剤を使用するた
め、溶剤回収を完全に行い、環境を汚染することがない
ように注意しなければならない。特に、最近は環境破壊
の問題が関心を集めており、環境汚染の恐れがある有機
溶剤を使用することは、なるべく避けようとする傾向が
強くなってきた。
【0005】一方、このような有機溶剤を使用せずに、
溶融押出法により製膜を行うことのできるフイルムとし
て、ポリエチレンテレフタレートフイルムがあり、前述
のシート状フイルムで用いる写真フイルムのベースフイ
ルムとして使用されるようになってきている。
【0006】しかしながら、ポリエチレンテレフタレー
トフイルムは、カール(巻き癖)が強く残留する性質が
あり、かつこれを取り除くのが難しいため写真フイルム
用としての使用範囲が限られている。例えば、ポリエチ
レンテレフタレートフイルムをロールフイルムとして使
用する用途に用いると、写真現像処理後のフイルムにカ
ールが強く残留する(カール解消性が悪い)ため、現像
後写真印画紙に画像を形成させる焼き付け工程で、フイ
ルムが傷付いたり、焦点がボケたりする問題が生じる。
このためポリエチレンテレフタレートフイルムはロール
フイルムとして使用する写真フイルム用には使い難い。
【0007】このポリエチレンテレフタレートフイルム
のカール解消性を改良する技術は種々提案されている。
【0008】例えば特開平1−244446号公報、或
いは特開昭53−146773号公報には、含水率が
0.5重量%以上である改質ポリエチレンテレフタレー
ト、或いはポリエチレングリコールや金属スルフォネー
トを有する芳香族ジカルボン酸を共重合した改質ポリエ
チレンテレフタレートをベースフイルムに用いた写真感
光材料が開示されている。しかし、これ等の改質ポリエ
チレンテレフタレートを用いた写真フイルムではカール
解消性の効果は認められるが、含水率を高めているため
吸湿した際の寸法安定性が悪くなることや、金属スルホ
ネートを有する芳香族ジカルボン酸を共重合しているた
めガラス転移温度が低くなりフイルム端面部の変形が増
大すること等の欠点を有しており、写真フイルム用とし
て十分なものではない。
【0009】また、特開昭50−16783号公報や、
特開昭56−53754号公報には、固有粘度の異なる
ポリエステルを積層した二軸配向ポリエステルフイルム
にて、各層の収縮応力の差によりカールを相殺する等の
カール解消性改良技術が開示されている。しかし、これ
らの改良技術は収縮応力の差を調節するのが難しいこと
等の欠点を有する。
【0010】更に、カール解消性を改良したポリエステ
ルフイルムとして、例えばUSP−4141735号で
熱処理を施した二軸配向ポリエチレンテレフタレートフ
イルムやポリエチレンナフタレートフイルム等が開示さ
れているが、この技術では透明性、色相、耐デラミ性及
びカール解消性の全てを満足する写真フイルム用のベー
スフイルムを得ることが難しい。
【0011】更に近年、ロールフイルムとして使用する
写真フイルムに対する品質要求が高度化されており、例
えば写真撮影の際に従来よりも高速で搬送できる写真フ
イルムや、撮影装置を小型にするため従来よりも肉薄と
し、小さい巻径で巻いて使用できる写真フイルム等が要
求されている。従って写真フイルム用のベースフイルム
は、従来よりも高速での搬送に耐え得ること、従来より
も小さい巻径で巻いたときのカール解消性が良好である
こと、従来よりも薄膜にしても機械的強度や寸法安定性
が良好であること等が必要になる。これらの要求に対し
て、トリアセテートフイルム、改質ポリエチレンテレフ
タレートフイルム或いは熱処理を施した二軸配向ポリエ
チレンテレフタレートフイルムやポリエチレンナフタレ
ートフイルム等では十分対処できず、優れた特性を有す
る写真フイルム用ベースフイルムが望まれている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、透明
性、色相、耐デラミ性及びカール解消性に優れた写真フ
イルム用ベースフイルムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のかかる目的は、
本発明によれば、ポリエチレンナフタレートを主成分と
するポリエステルからなるポリエステルフイルムにおい
て、該ポリエステルフイルムのヘーズが2.0%以下、
折り目デラミ白化率が10%以下、イエローインデック
ス(YID)が5以下であって、該ポリエステル中にナフ
トエ酸及び/又はナフトエ酸の低級アルキルエステルが
ナフトエ酸メチルエステルとしての換算で2〜1000
ppm含まれていることを特徴とする写真フイルム用ベ
ースフイルムよって達成される。
【0014】本発明においてポリエチレンナフタレート
とは、ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、エ
チレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエ
ステルである。
【0015】上記のナフタレンジカルボン酸成分として
は、例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−
ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボ
ン酸等を挙げることができるが、これらの中で特に2,
6−ナフタレンジカルボン酸が、優れた特性を有するベ
ースフイルム用のポリエチレンナフタレートとなるので
好ましい。主たる酸成分がナフタレンジカルボン酸でな
い場合、例えばフイルムのカール解消性が不良となるた
め好ましくない。
【0016】他の酸成分としては、芳香族ジカルボン酸
(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエタ
ンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニル
エーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン
酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカ
ルボン酸等);脂肪族ジカルボン酸(例えばアジピン
酸、セバシン酸等);脂環族ジカルボン酸(例えばシク
ロヘキサン−1,4−ジカルボン酸等)等を例示するこ
とができる。これらの酸成分の割合は、全酸成分に対し
20モル%以下であることが好ましく、更に5モル%以
下、特に2モル%以下であることが、例えばフイルムの
カール解消性が良好となるため好ましい。
【0017】エチレングリコール以外のグリコール成分
としては、脂肪族グリコール(例えばトリメチレングリ
コール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレング
リコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレング
リコール等のごとき炭素数3〜10のポリメチレングリ
コール等);脂環族グリコール(例えばシクロヘキサン
ジメタノール等);芳香族ジオール(例えばハイドロキ
ノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン等);ポリオキシアルキレングリコール
(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール等)などを例示する
ことができる。これらのグリコール成分の割合は、全グ
リコール成分に対し20モル%以下であることが好まし
く、更に5モル%以下、特に2モル%以下であること
が、例えばフイルムのカール解消性が良好となるため好
ましい。
【0018】また、本発明におけるポリエチレンナフタ
レートには本発明の効果を損なわない範囲で、例えばヒ
ドロキシ安息香酸の如き芳香族オキシ酸、ω−ヒドロキ
シカプロン酸の如き脂肪族オキシ酸等のオキシカルボン
酸に由来する成分を、全酸成分に対し20モル%以下で
共重合させることもできる。
【0019】本発明におけるポリエチレンナフタレート
は実質的に線状のポリエステルであるが、本発明の効果
を損なわないかぎり、例えば全酸成分に対し2モル%以
下の量で、3官能以上のポリカルボン酸又はポリヒドロ
キシ化合物、例えばトリメリット酸、ペンタエルスリト
ール等を共重合させることもできる。
【0020】更に、本発明におけるポリエチレンナフタ
レートには、ポリエステルフイルムの透明性、表面平坦
性、および熱安定性を損なわない程度であれば、例えば
滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、光安定剤、遮光剤の如
き添加剤を必要に応じて配合させることもできる。
【0021】本発明におけるポリエチレンナフタレート
は、前記のナフタレンジカルボン酸及び/又はその低級
アルキルエステルを主成分とする酸成分と、エチレング
リコールを主成分とするグリコール成分とを重縮合させ
ることにより製造できるが、特に、ナフタレンジカルボ
ン酸の低級アルキルエステルを主成分とする酸成分とエ
チレングリコールを主成分とするグリコール成分とをエ
ステル交換反応させて得られる反応生成物を重縮合させ
て製造することが、色相が良好で透明性の良いフイルム
が得られるため好ましい。
【0022】上記ナフタレンジカルボン酸の低級アルキ
ルエステルとしては、例えば、ジメチルエステル、ジエ
チルエステル、ジプロピルエステル等を挙げることがで
き、特にジメチルエステルが好ましい。
【0023】本発明のポリエステルフイルムのヘーズは
2.0%以下であり、好ましくは1.5%以下、更に好
ましくは1.0%以下である。このヘーズが2.0%を
越えると、フイルムの透明性が低下するため好ましくな
い。
【0024】本発明のポリエステルフイルムの折り目デ
ラミ白化率は、10%以下である。折り目デラミ白化率
(以下『デラミ白化率』ということがある)が10%を
越えると、フイルムが層剥離(デラミ)をおこし易く、
層剥離した部分が白化すること、パーフォレーション孔
あけ時の層剥離し易いこと、金属等との接触によって生
ずる傷が成長し易いこと等の問題が起こるため好ましく
ない。
【0025】また本発明のポリエステルフイルムのイエ
ローインデックス(YID)は、5以下である。YIDが5
を越えると、カラー写真フイルム用として使用した時に
画像が偏った色調となるため、好ましくない。
【0026】更に、本発明において、ポリエステルフイ
ルムを構成するポリエチレンナフタレート中にはナフト
エ酸及び/又はナフトエ酸の低級アルキルエステルが、
ナフトエ酸メチルエステルとしての換算で2〜1000
ppm、好ましくは3〜800ppm、特に好ましくは
5〜500ppm含まれている必要がある。ここでナフ
トエ酸及び/又はナフトエ酸の低級アルキルエステルと
は、ポリエステル中に含まれる遊離ナフトエ酸、遊離ナ
フトエ酸の低級アルキルエステル、及びポリエステルの
末端に結合したナフトエ酸をいい、ナフトエ酸及び/又
はナフトエ酸の低級アルキルエステルが含まれる量と
は、ポリエステル中に含まれる遊離ナフトエ酸、遊離ナ
フトエ酸の低級アルキルエステル、及びポリエステルの
末端に結合したナフトエ酸を遊離ナフトエ酸メチルエス
テルとして換算したものの総重量のポリエステルに対す
る重量割合(ppm)をいう。
【0027】該ナフトエ酸及び/又はナフトエ酸の低級
アルキルエステルが2ppmより少ないと、フイルムの
折り目デラミ白化率が不良となる。この理由は、例えば
ポリエステルの末端に結合したナフトエ酸の割合が少な
いと、二軸延伸させた際にポリエステル分子が過度に配
向した状態になり、フイルムを折り返し変形させた際
に、ポリエステル分子の摩れ変形が過度なものとなって
層状に剥離し易くなること、或いは遊離ナフトエ酸及び
/又は遊離ナフトエ酸の低級アルキルエステルが少な過
ぎるとフイルムを折り返し変形させた際に、遊離ナフト
エ酸及び/又は遊離ナフトエ酸の低級アルキルエステル
のポリエステル分子に対する可塑剤的効果が減少し、ポ
リエステル分子が摩れ変形して層状に剥離し易くなるこ
と等のためデラミ白化率が不良となるものと推察され
る。
【0028】また、ナフトエ酸及び/又はナフトエ酸の
低級アルキルエステルが1000ppmを越えると、写
真フイルムとした時のカール解消性が不良となる。この
理由は、例えばポリエステルの末端に結合したナフトエ
酸の割合が多いと、二軸延伸させた際にポリエステル分
子の配向が不足した状態になり、フイルムの剛性が低下
すること、或いは遊離ナフトエ酸及び/又は遊離ナフト
エ酸の低級アルキルエステルが多過ぎるとポリエステル
分子に対する可塑剤的効果が増加し、製膜時にフイルム
をロール状に巻いた際に、あるいは写真フイルムをロー
ルフイルムとして使用する際に、ロール状に巻いた形状
で安定する方向にポリエステル分子が動き易くなりカー
ル(巻き癖)が強く残ること等のためカール解消性が不
良となるものと推察される。
【0029】かかるナフトエ酸及び/又はナフトエ酸の
低級アルキルエステルを含むポリエチレンナフタレート
を得るには、ポリエチレンナフタレートを製造する際
に、ナフタレンジカルボン酸及び/又はその低級アルキ
ルエステルに、ナフトエ酸及び/又はナフトエ酸の低級
アルキルエステルが10〜5000ppmの範囲で、更
に好ましくは20〜3000ppm、特に好ましくは3
0〜2000ppmの範囲で含まれるものを使用するこ
とが好ましい。このナフトエ酸及び/又はナフトエ酸の
低級アルキルエステルの含まれる濃度が10ppmより
も少ないと、得られたポリエチレンナフタレートに含ま
れるナフトエ酸及び/又はナフトエ酸の低級アルキルエ
ステルが2ppmより少なくなる。また、ナフトエ酸及
び/又はナフトエ酸の低級アルキルエステルが5000
ppmを越えると、重縮合反応或いはエステル交換反応
が遅くなり、得られるポリエチレンナフタレートの色相
が悪化すると同時に、得られたポリエチレンナフタレー
トに含まれるナフトエ酸及び/又はナフトエ酸の低級ア
ルキルエステルが1000ppmを越えるため好ましく
ない。
【0030】該ナフトエ酸及び/又はナフトエ酸の低級
アルキルエステルをナフタレンジカルボン酸及び/又は
その低級アルキルエステルに10〜5000ppmの範
囲で含ませる方法は特に限定されないが、例えば、ナフ
タレンジカルボン酸及び/又はその低級アルキルエステ
ルに所定量のナフトエ酸及び/又はナフトエ酸の低級ア
ルキルエステルを添加する方法や、製品にならないポリ
エチレンナフタレートからナフタレンジカルボン酸を回
収する工程において、回収した副生ナフトエ酸メテルエ
ステルを含むナフタレンジカルボン酸のメチルエステル
を重合用原料に所定量混合する方法などを挙げることが
できる。
【0031】本発明のポリエステルフイルムを製造する
には従来公知の方法を適用できる。例えば、ポリエチレ
ンナフタレートを溶融し、シート状に押出し、冷却ドラ
ムにて冷却して未延伸フイルムを得、次いで該未延伸フ
イルムを2軸方向に延伸し、熱固定し、必要であれば熱
弛緩処理することによって製造することができる。その
際フイルムの表面特性、密度、熱収縮率等の性質は、延
伸条件その他の製造条件により変わるので、必要に応じ
て適宜条件を選択することができる。
【0032】例えば、上記の製造方法においてポリエチ
レンナフタレートを、Tm+10℃ないしTm+30℃
(但し、Tmはポリエチレンナフタレートの融点)の温
度で溶融し、押出して、未延伸フイルムを得、該未延伸
フイルムを1軸方向(縦方向又は横方向)にTg−10
℃ないしTg+50℃の温度(但し、Tgはポリエチレ
ンナフタレートのガラス転移温度)で2〜5倍の倍率で
延伸し、次いで上記延伸方向と直角方向(1段目延伸が
縦方向の場合には、2段目延伸は横方向となる)にTg
〜Tg+50℃の温度で2〜5倍の倍率で延伸する。そ
の後、更に該ポリエチレンナフタレートのTgよりも6
0℃以上かつ120℃以下の温度で熱固定することが好
ましい。該熱固定温度がTg+60℃よりも低い場合、
フイルムの折り目デラミ白化率が不良となるため好まし
くない。また該熱固定温度がTg+120℃よりも高い
場合、ポリエチレンナフタレートが過度に結晶化するた
めにフイルムが白化し、透明性が不良となるため好まし
くない。得られたフイルムは更にカール解消性を良くす
るため、該ポリエチレンナフタレートのTgよりも60
℃以上かつ120℃以下の温度で熱処理することができ
る。
【0033】二軸延伸フイルムの厚みはベースフイルム
として使用する写真フイルムの用途によって適宜選択で
きるが、25〜250μmが好ましく、特に40〜15
0μmが好ましい。
【0034】本発明のポリエステルフイルムには、用途
に応じて易滑性を付与することもできる。易滑性を付与
する手段は特に限定されるものではないが、ポリマー中
へ滑剤粒子を分散させる方法、或いは易滑性を有する層
をフイルムの表面に設ける方法等の一般的手法を用いる
ことができる。
【0035】ポリマー中へ滑剤粒子を分散させる方法に
は、SiO2 、BaSO4 、CaCO3 、アルミナシリ
ケート、架橋有機粒子等をポリマー中に添加する方法、
ポリエチレンナフタレートの重合時に触媒等を析出させ
る方法等が挙げられる。このうち滑剤粒子をポリマー中
に添加する方法が、易滑性を付与する効果が顕著である
ため好ましい。特に、ポリエチレンナフタレートの屈折
率に近い屈折率を有する滑剤粒子、例えばBaSO4
アルミナシリケート、架橋有機粒子(架橋ポリスチレン
等)を添加する方法が易滑性を付与でき、かつフイルム
の透明性を良好に保つことができるために好ましい。ま
た、易滑性を有する層をフイルムの表面に設ける方法で
は、滑剤粒子を実質的に含まないポリエチレンナフタレ
ートフイルムの少なくとも片面に滑剤粒子を有する層を
薄く積層する方法が易滑性と透明性の良好なフイルムを
得るために好ましく、この場合複数の押出機とフィード
ブロックやマルチマニフォールドとを組み合わせて共押
出しする方法を有効な手段として挙げることができる。
【0036】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を更に詳しく説
明する。尚、実施例中の各特性値は次の方法により測定
した。また、実施例中「部」とあるのは「重量部」を表
わす。
【0037】(1)ヘーズ(透明性) JIS−K6714の手法に従い、日本精密光学(株)
製、積分球式HTRメーターにより、フイルム1枚当た
りの全ヘーズ値(%)を測定する。このヘーズをフイル
ムの透明性を示す指標として使用する。
【0038】(2)折り目デラミ白化率(耐デラミ性) 80mm×80mmの大きさにフイルムサンプルを切り
出し、手で軽く2つに折りながら、平坦な一対の金属板
で挟んだ後、プレス機により所定の圧力P1 (kg/c
2 G)で20秒間プレスする。プレス後、2つ折りの
フイルムサンプルを手で元の状態に戻し、前記金属板に
挟んで、圧力P1 (kg/cm2 G)で20秒間プレス
する。その後、フイルムサンプルを取り出し、折り目に
現われた白化部分の長さ(mm)を測定して合計する。
それぞれ新しいフイルムサンプルを使用し、プレス圧力
1 =1,2,3,4,5,6(kg/cm2 G)につ
いて上記測定を繰り返す。各プレス圧力における白化部
分の長さ(mm)の合計の平均値が、折り目の全長(8
0mm)に占める割合(%)をもって、折り目デラミ白
化率(%)とし、この値をフイルムの層剥離(デラミ)
の起こり難さ(耐デラミ性)を示す指標として使用す
る。
【0039】
【数1】
【0040】(3)イエローインデックス(YID) ASTM D1925−70に準じた手法で、日本電色
工業(株)製色差計SZ−Σ90を用い、フイルムのイ
エローインデックス(YID)を下記式により求める。
【0041】
【数2】
【0042】式中の X,Y,Z=国際照明委員会が定
める光の3刺激値
【0043】(4)カール回復率(カール解消性) 120mm×25mmの大きさのフイルムサンプルを平
坦な状態で23℃×50%RHの雰囲気にて24時間調
整後、直径7mmの巻芯に長手方向に巻き付け巻き戻ら
ないように仮固定し、80℃にて2時間加熱処理した
後、巻芯から解放する。次いで40℃の蒸留水に15分
間浸漬した後、サンプルを長手方向に垂直に吊し、3
3.5gの荷重下55℃の空気恒温槽で3分間乾燥す
る。続いて、荷重を除いてフイルムの上端部と下端部の
距離(A:mm)を求める。カール回復率(%)を下記
の式で表わしカール解消性を示す指標とする。
【0044】
【数3】
【0045】(5)ポリエステルフイルム中のナフトエ
酸及び/又はナフトエ酸の低級アルキルエステル含有率 フイルムサンプル0.5gを2mlのメタノールに分散
させ、260℃で6時間オートクレーブ(約90kgf
/cm2 )にて分解処理後、クロロホルムに溶解させ、
ガスクロマトグラフィーでフイルムサンプル中の末端に
結合および遊離のナフトエ酸及びナフトエ酸の低級アル
キルエステル(以下併せて『NE』という)を定量し、
ナフトエ酸メチルエステルとしての含有率を求める。
【0046】[実施例1]ナフトエ酸メチルエステルを
80ppm含有した2,6−ナフタレンジカルボン酸メ
チルエステル100部とエチレングリコール60部と
を、エステル交換触媒として酢酸マンガン4水塩0.0
3部(1.23モル)を使用して、常法にてエステル交
換反応させた後、トリメチルフォスフェート0.023
部(1.64モル)を添加し実質的にエステル交換反応
を終了させた。
【0047】更に、三酸化アンチモン0.024部
(0.82モル)を添加後、引き続き高温高真空下で常
法にて重縮合反応を行ない、固有粘度(フェノール/テ
トラクロロエタン混合溶媒にて35℃で測定)0.62
dl/gのポリエチレンナフタレートを得た。
【0048】このポリエチレンナフタレートのペレット
を180℃で3時間乾燥後、押出機ホッパーに供給し、
溶融温度300℃で溶融し、この溶融ポリマーを1mm
のスリット状ダイを通して表面温度40℃の回転冷却ド
ラム上に押出し、未延伸フイルムを得た。このようにし
て得られた未延伸フイルムを120℃にて予熱し、更に
低速、高速のロール間で15mm上方より900℃の表
面温度のIRヒーターにて加熱して縦方向に3.0倍に
延伸し、続いてステンターに供給し、140℃にて横方
向に3.3倍に延伸した。得られた二軸配向フイルムを
210℃の温度で5秒間熱固定し、厚み75μmのポリ
エチレンナフタレートフイルムを得た。
【0049】得られたフイルムのポリエチレンナフタレ
ートに含まれるNEの濃度および固有粘度([η])を
表−1に示す。このフイルムを110℃にて2日間熱処
理し、フイルムの特性を測定したが、表−1に示す通り
写真フイルム用ベースフイルムとして良好であった。
【0050】[実施例2,3]ナフトエ酸メチルエステ
ルを1200ppm、あるいは3000ppm含有した
2,6−ナフタレンジカルボン酸メチルエステルを用い
る以外は、実施例1と同様の条件で検討を行いフイルム
を得た。得られたフイルムの特性を表1に示す。表1よ
り明らかなようにデラミ白化率が良好となり、フイルム
ID、およびカール回復性が若干低下するものの、写真
フイルム用ベースフイルムとして良好な特性を示した。
【0051】[比較例1]ナフトエ酸メチルエステルを
5500ppm含有した2,6−ナフタレンジカルボン
酸メチルエステルを用いる以外は、実施例1と同様の条
件で検討を行いフイルムを得た。得られたフイルムの特
性を表1に示す。表1より明らかなように、デラミ白化
率が良好となるものの、エステル交換反応および重合反
応が不十分となり、目標の固有粘度を達成できず、重合
時間延長のためポリエチレンナフタレートの色相が悪化
し、カール回復性も不良となった。
【0052】[比較例2]ナフトエ酸メチルエステルを
5ppm含有した2,6−ナフタレンジカルボン酸メチ
ルエステルを用いる以外は、実施例1と同様の条件で検
討を行いフイルムを得た。得られたフイルムの特性を表
1に示す。表1より明らかなように、デラミ白化率が不
良となり、写真フイルム用ベースフイルムとしての要求
特性を満足することができなかった。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】本発明のポリエチレンナフタレートから
なるポリエステルフイルムは、優れた透明性、色相、耐
デラミ性およびカール解消性を有するため、例えば撮影
用フイルム、スチル写真用ロールフイルム、映画用ロー
ルフイルム、X線用ロールフイルム、製版用フイルム等
の幅広い写真用途のベースフイルムとして使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−81325(JP,A) 特開 平5−333471(JP,A) 特開 平7−120890(JP,A) 特開 平6−202279(JP,A) 特開 平5−257234(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03C 1/795 G03C 1/81 C08G 63/189

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンナフタレートを主成分とす
    るポリエステルからなるポリエステルフイルムにおい
    て、該ポリエステルフイルムのヘーズが2.0%以下、
    折り目デラミ白化率が10%以下、イエローインデック
    ス(YID)が5以下であって、該ポリエステル中にナフ
    トエ酸及び/又はナフトエ酸の低級アルキルエステルが
    ナフトエ酸メチルエステルとしての換算で2〜1000
    ppm含まれていることを特徴とする写真フイルム用ベ
    ースフイルム。
  2. 【請求項2】 ポリエチレンナフタレートが、エステル
    交換反応法で得られたポリエステルである請求項1に記
    載の写真フイルム用ベースフイルム。
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