JP3295210B2 - 写真感光材料用共重合ポリエチレンナフタレートフイルム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は写真感光材料用共重合ポ
リエチレンナフタレートフイルムに関し、更に詳しく
は、優れた透明性、色相、および巻ぐせカール解消性を
兼備した写真感光材料用共重合ポリエチレンナフタレー
トフイルムに関する。

【０００２】

【従来の技術】写真感光材料の基材フイルムとしては、
従来から、トリアセテートフイルムが広く使用されてき
た。このトリアセテートフイルムはその製造工程におい
て有機溶剤を使用することから、安全上、環境上の課題
をかかえている。また、機械的強度、および寸法安定性
に限界がある等の欠点もある。このため、代替素材とし
て、ポリエチレンテレフタレートフイルムが一部使用さ
れるようになったが、巻ぐせカールが強く残留するた
め、現像処理後の取扱性が悪く、その使用範囲が限定さ
れている。

【０００３】そこで、特開昭５３−１４６７７３号、特
開平１−２４４４４６号等において、水蒸気透過性の向
上、含水率の向上等を図った改質ポリエチレンテレフタ
レートフイルムが提案されている。これらは、巻ぐせカ
ールの減少の面では効果は認められるものの、吸湿によ
る寸法安定性の悪化、ガラス転移温度低下によるフイル
ム端面部の変形増大等の欠点を有しており、不十分なも
のであった。

【０００４】特に近年、写真感光材料の用途は多様化し
てきており、撮影時のフイルム搬送の高速化、撮影装置
の小型化が進んでおり、写真感光材料用フイルムとして
は、優れた巻ぐせカール解消性と共に、強度、寸法安定
性、薄膜化の適応性等の性能が要求されてきている。こ
れらの要求に対して、トリアセテートフイルムおよび改
質ポリエチレンテレフタレートフイルムはともに十分対
応できず、優れた特性を有する写真感光材料用フイルム
が望まれている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記実情
に鑑み、写真感光材料に適したフイルムを開発すべく鋭
意研究した結果、特定組成の共重合ポリエチレンナフタ
レートフイルムが写真用基材フイルムとして優れた特性
を有し、上記問題が解決できることを見い出し、本発明
に到達した。

【０００６】従って、本発明の目的は、優れた透明性、
色相、および巻ぐせカール解消性を兼備した写真感光材
料用共重合ポリエチレンナフタレートフイルムを提供す
ることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のかかる目的は、
本発明によれば、酸成分がナフタレンジカルボン酸９０
〜９９．５モル％及びテレフタル酸０．５〜１０モル％
からなり、グリコール成分がエチレングリコール５０〜
９９．５モル％及びシクロヘキサンジメタノール０．５
〜５０モル％からなる共重合ポリエチレンナフタレート
のフイルムであって、該フイルムをヘキサフルオロイソ
プロパノールとクロロホルムとの２：３混合溶媒に１０
ｍｇ／ｍｌで溶解させたときの４００ｎｍ波長光の透過
度（Ｔ_{40 0}）が９７％／ｃｍ以上であり、かつ該透過度
（Ｔ₄₀₀）と４２０ｎｍ波長光の透過度（Ｔ₄₂₀）との差
（ΔＴ）が２％／ｃｍ以下であることを特徴とする写真
感光材料用共重合ポリエチレンナフタレートフイルムに
よって達成される。

【０００８】本発明において共重合ポリエチレンナフタ
レートを構成する酸成分およびグリコール成分は、酸成
分がナフタレンジカルボン酸９０〜９９．５モル％及び
テレフタル酸０．５〜１０モル％からなり、グリコール
成分がエチレングリコール５０〜９９．５モル％及びシ
クロヘキサンジメタノール０．５〜５０モル％からなる
必要がある。

【０００９】テレフタル酸成分が０．５〜１０モル％で
あっても、シクロヘキサンジメタノール成分が５０モル
％を超える場合、重合反応性が低下してしまうため好ま
しくない。逆に、テレフタル酸成分が０．５〜１０モル
％であっても、シクロヘキサンジメタノール成分が０．
５モル％に満たない場合、フイルムとしたときのカール
回復率が不良となってしまうため、好ましくない。

【００１０】また、シクロヘキサンジメタノール成分が
０．５〜５０モル％であっても、テレフタル酸成分が１
０モル％を超える場合、フイルムとしたときのカール回
復率、およびデラミ特性が不良となってしまうため、好
ましくない。逆に、シクロヘキサンジメタノール成分が
０．５〜５０モル％であっても、テレフタル酸成分が
０．５モル％に満たない場合、デラミ特性が不良となる
と同時にフイルムをヘキサフルオロイソプロパノールと
クロロホルムとの２：３混合溶媒に１０ｍｇ／ｍｌで溶
解させたときの４００ｎｍ波長光の透過度（Ｔ₄₀₀）が
９７％／ｃｍ未満となってしまい、写真感光材料用フイ
ルムとして好ましくない。

【００１１】また、テレフタル酸成分が０．５モル％に
満たず、かつシクロヘキサンジメタノール成分が５０モ
ル％を超える場合、重合反応性が低下してしまうと同時
に、ポリマー製造工程において溶融粘度が増加してしま
うため、好ましくない。

【００１２】また、テレフタル酸成分が１０モル％を超
え、かつシクロヘキサンジメタノール成分が０．５モル
％を満たない場合、フイルムとしたときのカール回復率
が不良となってしまうため、好ましくない。

【００１３】また、テレフタル酸成分が１０モル％を超
え、かつシクロヘキサンジメタノール成分が５０モル％
を超える場合、重合反応性が低下してしまうと同時に、
フイルムをとしたときのカール回復率やデラシ特性が不
良となってしまうため、好ましくない。

【００１４】さらに、テレフタル酸成分、シクロヘキサ
ンジメタノール成分のいずれもが０．５モル％に満たな
い場合、フイルムをヘキサフルオロイソプロパノールと
クロロホルムとの２：３混合溶媒に１０ｍｇ／ｍｌで溶
解させたときの４００ｎｍ波長光の透過度（Ｔ₄₀₀）が
９７％／ｃｍ未満となってしまい、写真感光材料用フイ
ルムとして好ましくない。

【００１５】前記ナフタレンジカルボン酸としては、例
えば２，６−ナフタレンジカルボン酸、２，７−ナフタ
レンジカルボン酸、１，５−ナフタレンジカルボン酸、
等を挙げることができるが、これらの中でも特に２，６
−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。

【００１６】本発明における共重合ポリエチレンナフタ
レートとしては、発明の効果を損なわない限り、ナフタ
レンジカルボン酸およびテレフタル酸以外の酸成分を共
重合していてもかまわない。

【００１７】この他の酸成分としては、芳香族ジカルボ
ン酸（例えば、イソフタル酸、ジフェニルエタンジカル
ボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル
ジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフ
ェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸
等）；脂肪族ジカルボン酸（例えば、アジピン酸、セバ
シン酸等）；脂環族ジカルボン酸（例えば、シクロヘキ
サン−１，４−ジカルボン酸等）等を例示することがで
きる。

【００１８】また、前記共重合ポリエチレンナフタレー
トは、発明の効果を損なわない限り、シクロヘキサンジ
メタノールおよびエチレングリコール以外のグリコール
成分を共重合していてもかまわない。

【００１９】この他のグリコール成分としては、脂肪族
グリコール（例えば、トリメチレングリコール、テトラ
メチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキ
サメチレングリコール、デカメチレングリコール等のご
とき炭素数３〜１０のポリメチレングリコール等）；芳
香族ジオール（例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、
２，２−ビス（４−ヒドロキシフェニル）プロパン
等）；ポリアルキレングリコール（ポリオキシアルキレ
ングリコール）（例えば、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル等）などを例示することができる。

【００２０】本発明において、共重合ポリエチレンナフ
タレートを構成するシクロヘキサンジメタノール成分
は、１，４−シクロヘキサンジメタノールが好ましく挙
げられるが、トランス体、シス体、およびこれらの混合
物のいずれでもよい。

【００２１】また、本発明における共重合ポリエチレン
ナフタレートには、本発明の効果を損なわないかぎり、
例えばヒドロキシ安息香酸の如き芳香族オキシ酸、ω−
ヒドロキシカプロン酸の如き脂肪族オキシ酸等のオキシ
カルボン酸に由来する成分を、酸成分の総量に対し２０
モル％以下で共重合あるいは結合させることもできる。

【００２２】さらに本発明における共重合ポリエチレン
ナフタレートには実質的に線状である範囲の量であり、
かつ、本発明の効果を損なわないかぎり、例えば全酸成
分に対し２モル％以下の量で、３官能以上のポリカルボ
ン酸又はポリヒドロキシ化合物、例えばトリメリット
酸，ペンタエルスリトール等を共重合させることもでき
る。

【００２３】さらに本発明における共重合ポリエチレン
ナフタレートには、表面平坦性、および熱安定性を損な
わない程度であれば、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防
止剤、光安定剤、遮光剤（例えば、シリカ、架橋ポリス
チレン、テラゾールブルー、イルガノックス、コバルト
等）等の如き添加剤を必要に応じて含有させることもで
きる。

【００２４】本発明における共重合ポリエチレンナフタ
レートは、従来公知のポリエステルの製造方法に従って
製造できる。例えば、酸をグリコールと直接エステル化
反応するか、または酸成分としてジアルキルエステルを
用いる場合は、グリコールとエステル交換反応し、その
後減圧下に加熱重合して余剰グリコール成分を除去する
ことにより、ポリマーとすることができる。

【００２５】本発明における共重合ポリエチレンナフタ
レートフイルムは、フイルムをヘキサフルオロイソプロ
パノールとクロロホルムとの２：３混合溶媒に１０ｍｇ
／ｍｌで溶解させたときの４００ｎｍ波長光の透過度
（Ｔ₄₀₀）が９７％／ｃｍ以上であることが必要であ
る。さらに、Ｔ₄₀₀と４２０ｎｍ波長光の透過度
（Ｔ₄₂₀）との差（ΔＴ）が２％／ｃｍ以下であること
が必要である。

【００２６】本発明におけるＴ₄₀₀およびΔＴは、共重
合成分やポリエチレンナフタレートフイルム中の析出粒
子、添加滑剤粒子、触媒残渣、結晶化物、異物などの外
乱、さらにはフイルム成形時の熱劣化などに大きく影響
される。Ｔ₄₀₀が９７％／ｃｍ未満、あるいはΔＴが２
％／ｃｍを超えてしまう場合、写真フイルム基材として
使用した際、低波長光における感光状態が不良となり、
カラー写真フイルム基材として使用した場合、偏った色
調となってしまうため、好ましくない。

【００２７】本発明の共重合ポリエチレンナフタレート
フイルムは、その製造方法によって特に制限されること
なく、例えば以下の方法で好ましく製造される。

【００２８】共重合ポリエチレンナフタレートを融点
（Ｔｍ：℃）ないし（Ｔｍ＋６０）℃の温度でフイルム
状に押し出し、急冷して固有粘度０．５ｄｌ／ｇ以上
（好ましくは０．５〜０．９ｄｌ／ｇ）の未延伸フイル
ムとし、ついで該未延伸フイルムを一軸方向（縦方向又
は横方向）に（Ｔｇ−１０）〜（Ｔｇ＋５０）℃の温度
（但し、Ｔｇ：共重合ポリエチレンナフタレートのガラ
ス転移温度）で２〜５倍の倍率で延伸し、続いて上記延
伸方向と直角方向（一段目延伸が縦方向の場合には、二
段目延伸は横方向となる）にＴｇ（℃）〜（Ｔｇ＋５
０）℃の温度で２〜５倍の倍率で延伸する。その後さら
に熱固定処理を行うが、この処理は共重合ポリエチレン
ナフタレートのガラス転移温度よりも６０℃以上１２０
℃以下で行うのが好ましい。該熱固定温度が（Ｔｇ＋６
０）℃よりも低い場合、フイルムの結晶化が不足するた
め、カール回復性が不良となると同時にフイルムが層剥
離（デラミ）をおこしやすく、剥離した部分が白化して
しまい、さらにはパーフォレーション孔あけときの層剥
離、金属などとの接触によって生ずる傷の成長などの問
題が起こるため、好ましくない。他方熱固定温度が（Ｔ
ｇ＋１２０）℃よりも高い場合、過度のフイルム結晶化
のためにフイルムが白化してしまい、透明性不良となる
ため、好ましくない。

【００２９】二軸延伸フイルムの厚みは写真感光材料と
しての使用態様によって適宜選択できるが、２５〜２５
０μｍ、更には４０〜１５０μｍが好ましい。

【００３０】本発明の共重合ポリエチレンナフタレート
フイルムには、用途に応じて易滑性を付与することもで
きる。易滑性付与の手段としては特に限定されるもので
はないが、ポリマーの不活性粒子の含有、またはフイル
ムへの易滑剤の塗布等が一般的手法として知られてお
り、これらを用いることができる。

【００３１】不活性粒子を含有させる方法としては、Ｓ
ｉＯ₂、ＢａＳＯ₄、ＣａＣＯ₃、アルミナミリケート、
架橋有機粒子等をポリマー中に添加する方法、ポリエチ
レンナフタレートの重合反応時に触媒等を析出させる方
法があげられる。なお、フイルムの透明性を確保する観
点より、外部より添加する場合の粒子は、ポリエチレン
ナフタレートの屈折率に近い屈折率を有するものが好ま
しく、例えばＢａＳＯ ₄、アルミナシリケート、架橋有
機粒子（架橋ポリスチレン等）が好ましく挙げられる。

【００３２】更には、不活性粒子を含有させる場合、フ
イルムの透明性を得るためには、粒子を実質的に含まな
いポリエチレンナフタレートフイルムの少なくとも片側
の面に不活性粒子を含有した層を薄く積層する方法も好
ましい。この手段としては、例えば複数の押出し機なら
びにフィードブロック、あるいはマルチマニフォールド
ダイによる共押出し法が有効な手段として挙げられる。

【００３３】本発明の共重合ポリエチレンナフタレート
フイルムは、優れた透明性、色相、および耐巻ぐせカー
ル性を有するため、例えば撮影用フイルム、スチル写真
用ロールフイルム、映画用ロールフイルム、Ｘ線用ロー
ルフイルム、製版用フイルム等の幅広い写真のベースフ
イルとして利用できる。

【００３４】

【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はその要旨を超えない範囲で実施例
に限定されるものではない。尚、実施例での「部」は重
量部を意味する。また実施例での各特性値の測定は下記
の方法による。

【００３５】（１）４００ｎｍおよび４２０ｎｍ波長光
の透過度（Ｔ₄₀₀、Ｔ₄₂₀₎ ポリエチレンナフタレートフイルム０．２５ｇをヘキサ
フルオロイソプロパノールとクロロホルムとの２：３混
合溶媒に溶解させ、２５ｍｌ溶液に調製後（１０ｍｇ／
ｍｌ）、島津製作所製自記分光光度計ＵＶ−３１０１Ｐ
Ｃにより、４００ｎｍおよび４２０ｎｍ波長光の透過度
（Ｔ₄₀₀およびＴ₄₂₀、単位＝％／ｃｍ）を測定する。

【００３６】（２）カール回復率 フイルムサンプルを１２０ｍｍ×３５ｍｍにカットし、
直径１０ｍｍの巻芯に長手方向に巻いた後、８０℃で２
時間処理した後、巻芯から解放する。その後４０℃の蒸
留水に１５分間浸漬した後、サンプルを長手方向に垂直
に垂らし、５ｇの荷重下５５℃の空気恒温槽で３分間乾
燥する。続いて荷重を除いて、フイルムの上端部と下端
部の距離（Ａ：ｍｍ）を求める。カール回復率を下記の
式で表わす。

【００３７】

【数１】

【００３８】（３）フイルムの折り目デラミ白化率 ８０ｍｍ×８０ｍｍの大きさにフイルムサンプルを切り
出し、手で軽く二つ折りしながら、平坦な一対の金属板
ではさんだ後、プレス機により所定の圧力Ｐ₁（ｋｇ／
ｃｍ²Ｇ）で２０秒間プレスする。プレス後、二つ折り
のフイルムを手で元の状態に戻し、前記金属板にはさん
で、圧力Ｐ₁（ｋｇ／ｃｍ²Ｇ）で２０秒間プレスする。
その後、サンプルフイルムを取り出し、折り目に現われ
た白化部分の長さ（ｍｍ）を測定して合計する。それぞ
れ新しいフイルムサンプルを使用し、プレス圧力Ｐ₁＝
１，２，３，４，５，６（ｋｇ／ｃｍ²Ｇ）について上
記測定を繰り返す。各プレス圧力における白化部分の長
さ（ｍｍ）の合計の平均値が、折り目の全長（８０ｍ
ｍ）に占める割合をもって、折り目デラミ白化率とし、
この値をフイルムの層剥離（デラミ）の起こり易さを示
す指標として使用する。

【００３９】

【数２】

【００４０】（４）耐傷性 フイルムをヘイドン−１４型測定機（新東化学）に装着
した後、ダイアモンド針でフイルム表面を走行させ、傷
つき状態を評価する。 ◎：フイルムに傷がはいらず良好である ○：フイルム表面に若干傷が入るが使用に耐える △：フイルム表面に傷が見られる ×：フイルム表面に深い傷が入り不良である

【００４１】（５）ガラス転移温度 示差熱測定装置（Du Pont製ＤＳＣ２１００型）を用
い、２０℃／分の昇温速度でガラス転移ピーク温度を求
める。

【００４２】［実施例１］２，６−ナフタレンジカルボ
ン酸ジメチル１００部、テレフタル酸ジメチル４．２
部、エチレングリコール５３部およびシクロヘキサンジ
メタノール６．５部（モル比で、９５：５：９５：５）
を、エステル交換触媒として酢酸マンガン４水塩０．０
３２部を使用して、常法に従ってエステル交換反応させ
た後、トリメチルフォスフェート０．０２３部を添加
し、実質的にエステル交換反応を終了させた。更に三酸
化アンチモン０．０２４部を添加後、引き続き高温高真
空下で常法通り重縮合反応を行ない、固有粘度（ο−ク
ロロフェノール、３５℃）０．６０ｄｌ／ｇの共重合ポ
リエチレンナフタレートを得た。

【００４３】この共重合ポリエチレンナフタレートのペ
レットを１８０℃で３時間乾燥後、押出機ホッパーに供
給し、溶融温度３００℃で溶融し、この溶融ポリマーを
１ｍｍのスリット状ダイを通して表面温度４０℃の回転
冷却ドラム上に押出し、未延伸フイルムを得た。このよ
うにして得られた未延伸フイルムを１２０℃にて予熱
し、更に低速、高速のロール間で１５ｍｍ上方より９０
０℃の表面温度のＩＲヒーター１本にて加熱して３．０
倍に延伸し、続いてステンターに供給し、１４０℃にて
横方向に３．３倍に延伸した。得られた二軸配向フイル
ムを２１０℃の温度で５秒間熱固定し、厚み７５μｍの
ポリエチレンナフタレートフイルムを得た。

【００４４】得られたフイルムを１００℃にて２日間熱
処理し、フイルム特性を測定したが、表１に示す通り良
好であった。

【００４５】［実施例２］酸成分とグリコール成分との
モル比を表１に示す通りに変更する以外は、実施例１と
同様に行ってフイルムを得た。このフイルムはカール回
復性が若干悪くなるが、写真フイルム用基材としての要
求特性を満足することができた。フイルム特性を表１に
示す。

【００４６】［実施例３］酸成分とグリコール成分との
モル比を表１に示す通りに変更する以外は、実施例１と
同様に行ってフイルムを得た。このフイルムはエステル
交換反応が実施例１に比して悪くなるため、目標の固有
粘度を達成することができず、カール回復性およびデラ
ミ白化率が若干悪くなるが、写真フイルム用基材として
の要求特性を満足することができた。これを超える量の
シクロヘキサンジメタノール成分を共重合することは、
写真フイルム用基材として好ましくない。フイルム特性
を表１に示す。

【００４７】［実施例４］酸成分としてさらにイソフタ
ル酸ジメチルを共重合させる以外は、実施例１と同様に
行った。得られたフイルムはカール回復性および耐傷性
が若干劣るものの、写真フイルム用基材として使用可能
であった。フイルム特性を表１に示す。

【００４８】［実施例５］グリコール成分としてさらに
ジエチレングリコールを共重合させる以外は、実施例１
と同様に行った。得られたフイルムは実施例１に比して
各特性において劣っているものの、写真フイルム用基材
として使用可能の範囲であった。フイルム特性を表１に
示す。

【００４９】［実施例６］２，６−ナフタレンジカルボ
ン酸１００部、テレフタル酸４．２部、エチレングリコ
ール５３部およびシクロヘキサンジメタノール６．５部
を、加圧下直接エステル化反応させ、更に三酸化アンチ
モン０．０２４部を添加後、引き続き高温高真空下で重
縮合反応を行ない、固有粘度（ο−クロロフェノール、
３５℃）０．６０ｄｌ／ｇの共重合ポリエチレンナフタ
レートを得た。

【００５０】その後、実施例１と同様に行ったが、実施
例１とほぼ同等の良好な結果が得られた。フイルム特性
を表１に示す。

【００５１】［比較例１〜７］酸成分およびグリコール
成分を表１に示すように変更する以外は、実施例１と同
様に行った。フイルム特性を表１に示す。

【００５２】以上から、本発明の要件を満足するもの
は、写真フイルム用基材として優れた特性を示すが、そ
れ以外のものは何らかの欠点を有し、写真フイルム用基
材として使用不可能であることがわかる。

【００５３】

【表１】

【００５４】

【発明の効果】本発明によれば、優れた透明性、色相お
よび巻ぐせカール解消性を兼備した写真感光材料用とし
て有用な共重合ポリエチレンナフタレートフイルムを提
供することができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平５−158188（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−303167（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−202277（ＪＰ，Ａ) 特公 昭48−40414（ＪＰ，Ｂ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G03C 1/795

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 酸成分がナフタレンジカルボン酸９０〜
   ９９．５モル％及びテレフタル酸０．５〜１０モル％か
   らなり、グリコール成分がエチレングリコール５０〜９
   ９．５モル％及びシクロヘキサンジメタノール０．５〜
   ５０モル％からなる共重合ポリエチレンナフタレートの
   フイルムであって、該フイルムをヘキサフルオロイソプ
   ロパノールとクロロホルムとの２：３混合溶媒に１０ｍ
   ｇ／ｍｌで溶解させたときの４００ｎｍ波長光の透過度
   （Ｔ₄₀₀）が９７％／ｃｍ以上であり、かつ該透過度
   （Ｔ₄₀₀）と４２０ｎｍ波長光の透過度（Ｔ₄₂₀）との差
   （ΔＴ）が２％／ｃｍ以下であることを特徴とする写真
   感光材料用共重合ポリエチレンナフタレートフイルム。