JP3579580B2 - 共重合ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートからなる二軸配向フイルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(以下、ポリエチレンナフタレート又はPENと略称することがある)からなる二軸配向フイルムに関する。好ましくは、優れた耐デラミネーション性および機械的強度を有する二軸配向フイルム、特に優れた耐デラミネーション性、機械的強度、抗カール性、色相および透明性を兼備したポリエチレンナフタレート共重合体からなる写真フイルム用二軸配向フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
写真フイルムの基材としては、従来から、トリアセテートフイルムが使用されてきた。このトリアセテートフイルムはその製造工程において、有機溶剤を使用することから安全上、環境上の問題を抱えている。また、機械的強度および寸法安定性に限界がある等の欠点もある。このため、代替基材としてポリエチレンテレフタレートフイルムが一部使用されるようになったが、フィルムを巻いた状態で保管したとき、強い巻き癖(カール)が残留する性質があり、かつ、これを取り除くことが難しいため、現像処理後の取扱性が悪く、ロールフイルムとして使用する写真フイルム用には使用することは困難であった。
【0003】
抗カール性を向上する技術として、特開昭53−146773号公報、特開平1−244446号公報等において、水蒸気透過性の向上、含水率の向上等を図った改質ポリエチレンテレフタレートフイルムが提案されている。これらはカール解消性の面で効果は認められるものの、吸湿による寸法安定性の低下、ガラス転移温度低下によるフイルム端面部の変形増大等の欠点を有しており、不十分なものであった。
【0004】
さらに近年、写真フイルムに対する品質要求が高度化し、たとえばロールフイルムでは撮影時のフイルム搬送の高速化、撮影装置の小型化が進んでおり、小さい巻径で巻いた場合にも優れた抗カール性を示すこと、薄膜化しても機械的強度、寸法安定性が良好であること等の性能が要求されてきている。これらの要求に対して、トリアセテートフイルムおよび改質ポリエチレンテレフタレートフイルムはともに十分対応できず、優れた特性を有する写真フイルム用基材が求められている。
【0005】
これに応えるべく、ポリエチレンナフタレートの写真フイルムへの応用が、たとえば特公昭48−40414号公報、特開昭50−109715号公報等に記載されている。これらのフイルムでは、機械的強度、寸法安定性といった薄膜化の適応性、小さい巻径で巻いた場合の抗カール性においてはある程度満足するものであったが、該ポリエチレンナフタレートフイルムについては、フイルムにデラミネーション(層間剥離)が発生しやすく、特にロールフイルムの場合パーフォレーション孔あけ時にデラミネーションが発生するという新たな問題が発生する。これらの場合、層間剥離した部分が白化し写真フィルムのベースフィルムとして使用するのが困難になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記実情に鑑み写真フイルム用ベースフィルムに適したポリマーおよびそのフイルムを開発すべく鋭意研究した結果、特定組成のポリエチレンナフタレート共重合体からなる二軸配向フイルムが写真フィルム用ベースフイルムとして優れた特性を有し、上記問題点を解決することができることを見出し、本発明に達した。
【0007】
本発明の目的は、優れた耐デラミネーション性および機械的強度を有し、さらには優れた抗カール性、色相および透明性を兼備した二軸配向フイルム、特にポリエチレンナフタレート共重合体からなる写真フイルム用二軸配向フイルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、本発明によれば、ナフタレンジカルボン酸を主たるジカルボン酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とし、共重合成分としてデカリンジカルボン酸成分(下記化学式)を0.5〜10モル%(全ジカルボン酸成分の総量に対し)含有し、かつジエチレングリコール成分の含有量が3モル%以下(全グリコール成分の総量に対し)である共重合ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートからなる二軸配向フィルムによって達成される。
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、Rは水素または低級アルキル基を表す。)
本発明の目的はまた、このフィルムを二軸延伸した二軸配向フイルム、特に写真フイルム用二軸配向フイルム、によって達成される。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
[ポリエチレンナフタレート共重合体]
本発明においてポリエチレンナフタレート共重合体を構成する主たるジカルボン酸成分はナフタレンジカルボン酸であり、主たるグリコール成分はエチレングリコールである。
【0012】
本明細書において、主たるジカルボン酸成分とは全ジカルボン酸成分の総量に対して80モル%以上、好ましくは90モル%以上をいい、主たるグリコール成分とは全グリコール成分の総量に対して80モル%以上、好ましくは90モル%以上をいう。
【0013】
ナフタレンジカルボン酸としては、たとえば2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸を挙げることができ、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0014】
本発明において、ポリエチレンナフタレート共重合体は、共重合成分としてデカリンジカルボン酸成分を、全ジカルボン酸成分の総量に対し、0.5〜10モル%を占めるように共重合されている必要がある。
【0015】
このデカリンジカルボン酸成分は、共重合体の製造反応において下記一般式で表わされる化合物を用いることで共重合させることが好ましい。
【0016】
【化3】
【0017】
(式中、Rは水素または低級アルキル基を表す。)
上記一般式中、Rは水素又は低級アルキル基である。低級アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。
【0018】
このデカリンジカルボン酸成分の共重合量が、全ジカルボン酸成分の総量に対して0.5モル%より少ない場合、フイルムの耐デラミネーション性が向上せず、10モル%を超える場合、フイルムとした場合の結晶性が損なわれて機械的強度に劣るだけでなく、抗カール性が低下する。デカリンジカルボン酸成分の共重合量は好ましくは1〜8モル%であり、更に好ましくは3〜7モル%である。
【0019】
上記一般式で表わされる化合物としては、デカリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸ジメチルを好ましい例として挙げることができる。
【0020】
本発明においては、ポリエチレンナフタレート共重合体はジエチレングリコール成分の共重合量が3モル%以下(全グリコール成分に対し)である必要がある。
【0021】
このジエチレングリコール成分は、共重合体製造反応時、共重合成分としてジエチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体の形で添加されて共重合されたものである必要はなく、製造反応の過程で副生して共重合されたものであってもよい。
【0022】
ジエチレングリコール成分の全共重合量が3モル%を超えると、フイルムとしたときの耐デラミネーション性の改良効果は大きくなるが、結晶性が損なわれるため機械的強度が大幅に低下するようになる。ジエチレングリコール成分の全共重合量は好ましくは2.5モル%以下であり、更に好ましくは2モル%以下である。
【0023】
本発明におけるポリエチレンナフタレート共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば全ジカルボン酸成分総量の10モル%以下、好ましくは5モル%以下の割合で、他のジカルボン酸成分が共重合されていてもよい。他のジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、5−スルホキシイソフタル酸金属塩、5−スルホキシイソフタル酸ホスホニウム塩等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらは1種または2種以上を用いても良い。
【0024】
本発明におけるポリエチレンナフタレート共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば全グリコール成分の総量の10モル%以下、好ましくは5モル%以下の割合で、他のグリコール成分が共重合されていてもよい。他のグリコール成分としては、例えばプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族グリコール; o,m,p−キシリレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、4,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、4,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルスルホン、4,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ) ジフェニルスルホン等の芳香族グリコール;ヒドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、レゾルシン、カテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシジフェニルスルホン等のジフェノール類等が挙げられる。これらは1種または2種以上を用いても良い。
【0025】
本発明におけるポリエチレンナフタレート共重合体は実質的に線状であるが、本発明の効果を損なわないかぎり、たとえば全酸成分に対し2モル%以下、好ましくは1モル%以下の範囲で、3官能基以上のポリカルボン酸またはポリヒドロキシ化合物、例えばトリメリット酸、ペンタエリスリトールが共重合されていてもよい。
【0026】
[添加剤]
本発明におけるポリエチレンナフタレート共重合体には、フイルムの透明性、表面平坦性、および熱安定性を損なわない程度であれば、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、光安定剤、遮光剤の添加剤を必要に応じて配合することもがきる。
【0027】
[滑剤]
本発明のフイルムには用途に応じて易滑性を付与することができる。易滑性を付与する手段としては公知の方法を用いることができ、例えば、ポリマー中へ滑剤粒子を分散させる方法、易滑性を有する層をフイルムの表面に設ける方法を用いることができる。
【0028】
ポリマー中へ滑剤粒子を分散させる方法としては、例えばSiO2、BaSO4、CaCO3、アルミノシリケート、架橋有機粒子等をポリマー中に添加する方法、ポリエチレンナフタレートの重合時に触媒残査等を析出させる方法を挙げることができる。
【0029】
ポリマー中に滑剤粒子を分散させる方法としては、滑剤粒子をポリマー中に添加する方法が好ましい。この方法によると、易滑性付与の効果が顕著である。
【0030】
この方法において特に好ましい方法は、ポリエチレンナフタレートの屈折率に近い屈折率を有する滑剤粒子、例えばBaSO4、アルミノシリケート、架橋有機粒子(例えば架橋ポリスチレン)を添加する方法である。この方法によると易滑性を効果的に付与することができ、かつフイルムの透明性を高く保つことができる。
【0031】
易滑性を有する層をフイルムの表面に設ける方法においては、滑剤粒子を実質的に含まないポリエチレンナフタレート共重合体フイルムの少なくとも片面に滑剤粒子を有する層を薄く積層する方法が好ましい。この方法によると、易滑性と透明性の良好なフイルムを得ることができる。この積層法としては、複数の押出機とフィードブロックやマルチマニフォールドとを組み合わせて共押出しすることにより積層する方法が好ましい。
【0032】
[厚み]
本発明における二軸配向フイルムの厚みは、フイルム用途に応じた厚みをとる。例えば、写真フイルム用では、その用途によって適宜選択できるが、好ましくは25〜250μm、特に好ましくは40〜150μmである。
【0033】
[抗カーリング性]
本発明において、写真フイルム用二軸配向フイルムは巻きぐせカールが付き難い性質、すなわち抗カーリング性を有することが好ましく、例えば80℃における抗カーリング性がANSIカール値で50[m−1]以下であることが好ましい。この80℃は、日常生活において写真フイルムが通常曝される可能性がある最高温度の概略値である。ANSIカール値が50[m−1]を超えると、写真フイルムの現像処理工程でのハンドリングが困難となり、好ましくない。
【0034】
従来、写真フイルムの巻きぐせの評価は、巻きぐせカールが通常の写真フイルムの現像あるいは乾燥工程を経て、どの程度解消されるかにかかっていたが、上記のANSIカール値である写真フイルム用二軸配向フイルムであれば、巻癖カールが付き難い性質、即ち抗カーリング性に優れており、かつ一旦生成した巻きぐせカールが容易に解消されるというカール解消性にも優れたものとなる。
【0035】
[耐デラミネーション性]
本発明において耐デラミネーション性は、折目デラミ白化率を指標として表される。この折目デラミ白化率は、フイルムを折り曲げた際に生じる白化部分の長さのフィルム折り曲げ部分の全長に占める割合で定義される。
【0036】
本発明の二軸配向フィルムは耐デラミネーション性が、折目デラミ白化率で表わして10%以下であることが好ましい。耐デラミネーション性が10%以下であれば、写真フイルムのベースフイルムとしてパーフォレーション孔あけ時等に発生する白化現象の発生割合を低く抑えることができる。
【0037】
[ヤング率]
本発明において二軸配向フイルムは、機械的強度の点から、二軸方向(フィルムの幅方向および幅方向に直交する方向)のヤング率がそれぞれ500kg/mm2以上であることが好ましい。
【0038】
[製造方法]
本発明におけるポリエチレンナフタレート共重合体は、前記のナフタレンジカルボン酸および/またはその低級アルキルエステルを主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分と、共重合成分としての前記一般式で表わされる化合物とを重縮合反応させることにより製造できる。
【0039】
好ましくは、ナフタレンジカルボン酸の低級アルキルエステル及びエチレングリコール並びにデカリンジカルボン酸またはデカリンジカルボン酸ジメチルをエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合させて製造する。この方法で製造したポリエステル共重合体を用いてフィルムを製膜すると、色相が良好で透明性の良いフイルムを得ることができる。
【0040】
上記ナフタレンジカルボン酸の低級アルキルエステルとしては、例えばジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステルを挙げることができる。好ましくは、ジメチルエステルである。
【0041】
本発明の二軸配向フイルムを製造するには従来公知の方法を用いることができる。たとえば、ポリエチレンナフタレート共重合体を溶融し、シート状に押し出し、冷却ドラムで冷却して未延伸フイルムを得、次いで該未延伸フイルムを二軸方向に延伸し、熱固定し、必要であれば熱弛緩処理することによって製造することができる。その際、フイルムの表面特性、密度、熱収縮率の性質は、延伸条件その他の製造条件により変わるので、必要に応じて適宜条件を選択して製膜する。
【0042】
たとえば、上記の製造方法において、ポリエチレンナフタレート共重合体をTm+10℃〜Tm+30℃(但し、Tmはポリエチレンナフタレート共重合体の融点を表わす)の温度で溶融し、押し出して未延伸フイルムを得、該未延伸フイルムを一軸方向(フィルムの幅方向(横方向)またはこれに直交する方向(縦方向))にTg−10℃〜Tg+50℃の温度(ただし、Tgはポリエチレンナフタレート共重合体のガラス転移温度を表わす)で2〜5倍の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直交する方向(1段目延伸が縦方向の場合には2段目は横方向となる)にTg〜Tg+50℃の温度で2〜5倍の倍率で延伸する。
【0043】
その後、好ましくは該ポリエチレンナフタレート共重合体のTg+60℃〜Tg+120℃の温度で0.2〜20秒間フィルムを熱固定する。熱固定の温度、時間がこの範囲であれば、良好な耐デラミネーション性、抗カール性を備え、透明性の高いフィルムを得ることができる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。なお、例中の各特性値は次ぎの方法により測定した。また、例中の「部」とあるのは「重量部」を表わす。ジエチレングリコールをDEGと略称することがある。ガスクロマトグラフィーには日立製作所製263−70型を用いた。
【0045】
(1)固有粘度
フェノール/テトラクロロエタン(重量比6:4)混合溶媒中、35℃にて測定した。
【0046】
(2)ジエチレングリコール(DEG)の含有量
抱水ヒドラジンを用いてポリマーを分解し、ガスクロマトグラフィにより定量した。
【0047】
(3)折り目デラミ白化率(耐デラミネーション性)
80×80mmの大きさにフイルムサンプルを切り出し、手で軽く2つに折りながら平坦な一対の金属板で挟んだ後、プレス機により所定の圧力P1(kg/cm2G)で20秒間プレスした。プレス後、2つ折りのフイルムサンプルを手でもとの状態に戻し、前記金属板に挟んで、圧力P1(kg/cm2G)で20秒間プレスした。その後、フイルムサンプルを取り出し、折り目にあらわれた白化部分の長さ(mm)を測定して合計した。
【0048】
それぞれ新しいフイルムサンプルを使用し、プレス圧力P1=1,2,3,4,5,6(kg/cm2G)について上記測定を繰り返した。
【0049】
各プレス圧力における白化部分の長さ(mm)の合計の平均値が、折り目の全長(80mm)に占める割合(%)をもって、折目デラミ白化率(%)とし、この値をフイルムの層間剥離(デラミネーション)の起こり難さ(耐デラミネーション性)を示す指標として使用した。
【0050】
(4)抗カーリング性(ANSIカール値)
120×25mmの大きさのフイルムサンプルを平坦な状態で23℃、50%RHの雰囲気にて24時間調整後、直径7mmの巻芯に長手方向に巻き付け、巻き戻らないように仮固定し、80℃にて2時間加熱処理した後、巻芯から開放した。次いで40℃の蒸留水に15分間浸漬した後、サンプルを長手方向を鉛直にして吊るし、33.5gの荷重下55℃の空気恒温槽で3分間加熱乾燥した。
【0051】
カールが残っている状態のサンプルをANSI PH 1.29−1971の試験方法Aに準じて測定し、インチをメートル法に換えてカール値を算出し、抗カール性を示す指標とした。
【0052】
(5)ヤング率
引張試験機に幅10mmのサンプルフイルムを、チャック間距離100mmとなるようセットし、23℃、50%RHの条件下、引張速度10mm/分で引張試験を行い、縦方向(MD)および横方向(TD)のヤング率を測定した。
【0053】
[実施例1]
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル97部、デカリンジカルボン酸ジメチル3.12部(全ジカルボン酸成分の総量に対し3モル%)およびエチレングリコール60部を、エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03部を使用して、常法に従ってエステル交換反応させた後、トリメチルフォスフェート0.023部を添加し実質的にエステル交換反応を終了させた。
【0054】
ついで、三酸化アンチモン0.024部を添加し、引き続き高温高真空下で常法にて重縮合反応を行い、固有粘度0.61dl/g、DEG共重合量1.2モル%のポリエチレンナフタレート共重合体を得た。
【0055】
このポリエチレンナフタレート共重合体のぺレットを180℃で3時間乾燥後、押出機ポッパーに供給し、溶融温度300℃で溶融し、1mmのスリット状ダイを通して表面温度40℃の回転冷却ドラム上に押出し、未延伸フイルムを得た。このようにして得られた未延伸フイルムを120℃にて予熱し、さらに低速、高速のロール間で15mm上方より900℃のIRヒータにて加熱して縦方向に3.0倍に延伸し、続いてステンターに供給し、140℃にて横方向に3.3倍に延伸した。得られた二軸配向フイルムを210℃の温度で5秒間熱固定し、厚み75μmの共重合ポリエチレンナフタレートフイルムを得た。
【0056】
得られたフイルムを110℃で2日間熱処理し、フイルムの特性を測定した結果、表1に示す通り、写真フイルム用ベースフィルムとして良好な特性を有するものであった。
【0057】
[実施例2〜4]
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル及びデカリンジカルボン酸ジメチルの共重合量を表1に示す量に変更する以外は実施例1と同様に行なって二軸配向フイルムを得た。得られたフイルムの特性を表1に示す。実施例1と同様に写真フイルム用ベースフィルムとして良好な特性を有するものであった。
【0058】
[比較例1]
デカリンジカルボン酸ジメチルを添加せずにポリエチレン−2,6−ナフタレートホモポリマーを製造した以外は実施例1と同様に行って二軸配向フイルムを得た。得られたフイルムの特性を表1に示す。デラミネーション特性、カール解消性において満足できるフイルムは得られなかった。
【0059】
[比較例2、3]
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル及びデカリンジカルボン酸ジメチルの共重合量を表1に示す量、すなわち10モル%を超える量に変更する以外は実施例1と同様に行って二軸配向フイルムを得た。得られたフイルムの特性を表1に示す。デラミネーション特性は十分であったが、ヤング率およびカール解消性は不十分であった。
【0060】
[比較例4]
DEGを2部添加する以外は実施例1と同様に行なって二軸配向フィルムを得た。ポリエステル共重合体に存在するDEGの共重合量は4.3モル%であった。
【0061】
DEGの共重合量が3モル%を超えた場合には、実施例1と同量のデカリンジカルボン酸成分が共重合されていても、ヤング率およびカール解消性は不十分であった。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】
本発明のポリエチレンナフタレート共重合体は優れた耐デラミネーション性と機械的強度を有する、さらには優れた耐デラミネーション性、抗カール性、機械的強度、良好な色相および透明性を兼備している二軸配向フイルムを形成できる。そして、この二軸配向フイルムは、特に写真フィルム用二軸配向フイルムとして、たとえば撮影用フイルム、スチル写真用ロールフイルム、映画用ロールフイルム、X線用ロールフイルム、製版用フイルム等、幅広い写真用途に好適に使用することができる。
Claims (5)
- 2,6−デカリンジカルボン酸成分の共重合量が1〜8モル%(全ジカルボン酸成分の総量に対し)である請求項1記載の共重合ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートからなる二軸配向フィルム。
- 二軸配向フイルムの80℃における抗カーリング性がANSIカール値で50[m-1]以下であり、かつ耐デラミネーション性が折り目デラミ白化率で10%以下である請求項1に記載の二軸配向フイルム。
- 二軸配向フイルムの二軸方向のヤング率がそれぞれ500kg/mm2以上である請求項1又は3に記載の二軸配向フイルム。
- 二軸配向フィルムが写真フイルム用ベースフイルムである請求項1、3又は4に記載の二軸配向フイルム。
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