JPH11302362A - ポリエチレンナフタレート共重合体およびそのフイルム - Google Patents

ポリエチレンナフタレート共重合体およびそのフイルム

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JPH11302362A
JPH11302362A JP10635898A JP10635898A JPH11302362A JP H11302362 A JPH11302362 A JP H11302362A JP 10635898 A JP10635898 A JP 10635898A JP 10635898 A JP10635898 A JP 10635898A JP H11302362 A JPH11302362 A JP H11302362A
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JP
Japan
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film
polyethylene naphthalate
mol
glycol
component
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JP10635898A
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English (en)
Inventor
Ryoji Tsukamoto
亮二 塚本
Seiji Ito
誠司 伊藤
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐デラミネーション性および機械的強
度を有し、さらには優れた抗カール性、色相および透明
性を兼備した二軸配向フイルム、特に写真フィルム用二
軸配向フイルムを形成し得るポリエチレンナフタレート
共重合体およびそのフイルムを提供する。 【解決手段】 ナフタレンジカルボン酸を主たるジカル
ボン酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコー
ル成分とし、共重合成分としてp−ヒドロキシエトキシ
安息香酸成分を0.5〜10モル%(全ジカルボン酸成
分およびp−ヒドロキシエトキシ安息香酸成分の総量に
対し)含有し、かつジエチレングリコール成分の含有量
が3モル%以下(全グリコール成分の総量に対し)であ
るポリエチレンナフタレート共重合体、並びに該共重合
体からなる二軸配向フイルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエチレンナフタ
レート共重合体およびそのフイルムに関し、さらに詳し
くは、優れた耐デラミネーション性および機械的強度を
有する二軸配向フイルム、特に優れた耐デラミネーショ
ン性、機械的強度、抗カール性、色相および透明性を兼
備した写真フイルム用二軸配向フイルムを形成し得るポ
リエチレンナフタレート共重合体およびそのフイルムに
関する。
【0002】
【従来の技術】写真フイルムの基材としては、従来か
ら、トリアセテートフイルムが使用されてきた。このト
リアセテートフイルムはその製造工程において、有機溶
剤を使用することから安全上、環境上の問題を抱えてい
る。また、機械的強度および寸法安定性に限界がある等
の欠点もある。このため、代替基材としてポリエチレン
テレフタレートフイルムが一部使用されるようになった
が、フィルムを巻いた状態で保管したとき、強い巻き癖
(カール)が残留する性質があり、かつ、これを取り除
くことが難しいため、現像処理後の取扱性が悪く、ロー
ルフイルムとして使用する写真フイルム用には使用する
ことは困難であった。
【0003】抗カール性を向上する技術として、特開昭
53−146773号公報、特開平1−244446号
公報等において、水蒸気透過性の向上、含水率の向上等
を図った改質ポリエチレンテレフタレートフイルムが提
案されている。これらはカール解消性の面で効果は認め
られるものの、吸湿による寸法安定性の低下、ガラス転
移温度低下によるフイルム端面部の変形増大等の欠点を
有しており、不十分なものであった。
【0004】さらに近年、写真フイルムに対する品質要
求が高度化し、たとえばロールフイルムでは撮影時のフ
イルム搬送の高速化、撮影装置の小型化が進んでおり、
小さい巻径で巻いた場合にも優れた抗カール性を示すこ
と、薄膜化しても機械的強度、寸法安定性が良好である
こと等の性能が要求されてきている。これらの要求に対
して、トリアセテートフイルムおよび改質ポリエチレン
テレフタレートフイルムはともに十分対応できず、優れ
た特性を有する写真フイルム用基材が求められている。
【0005】これに応えるべく、ポリエチレンナフタレ
ート(PEN)の写真フイルムへの応用が、たとえば特
公昭48−40414号公報、特開昭50−10971
5号公報等に記載されている。これらのフイルムでは、
機械的強度、寸法安定性といった薄膜化の適応性、小さ
い巻径で巻いた場合の抗カール性においてはある程度満
足するものであったが、該ポリエチレンナフタレートフ
イルムについては、フイルムにデラミネーション(層間
剥離)が発生しやすく、特にロールフイルムの場合パー
フォレーション孔あけ時にデラミネーションが発生する
という新たな問題が発生する。これらの場合、層間剥離
した部分が白化し写真フィルムのベースフィルムとして
使用するのが困難になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記実
情に鑑み写真フイルムに適したポリマーおよびそのフイ
ルムを開発すべく鋭意研究した結果、特定組成のポリエ
チレンナフタレート共重合体からなる二軸配向フイルム
が写真フィルムのベースフイルムとして優れた特性を有
し、上記問題点を解決することができることを見出し、
本発明に達した。
【0007】本発明の目的は、優れた耐デラミネーショ
ン性および機械的強度を有し、さらには優れた抗カール
性、色相および透明性を兼備した二軸配向フイルム、特
に写真フイルム用二軸配向フイルムを形成し得るポリエ
チレンナフタレート共重合体およびそのフイルムを提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、ナフタレンジカルボン酸を主たるジカルボン
酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成
分とし、共重合成分としてp−ヒドロキシエトキシ安息
香酸成分を0.5〜10モル%(全ジカルボン酸成分お
よびp−ヒドロキシエトキシ安息香酸成分の総量に対
し)含有し、かつジエチレングリコール成分の含有量が
3モル%以下(全グリコール成分に対し)であるポリエ
チレンナフタレート共重合体、並びに該ポリエチレンナ
フタレート共重合体からなる二軸配向フイルム、特に写
真フイルム用二軸配向フイルム、によって達成される。
以下、本発明について説明する。
【0009】[ポリエチレンナフタレート共重合体]本
発明においてポリエチレンナフタレート共重合体を構成
する主たるジカルボン酸成分はナフタレンジカルボン酸
であり、主たるグリコール成分はエチレングリコールで
ある。
【0010】本明細書において、主たるジカルボン酸成
分とは全ジカルボン酸成分及びp−ヒドロキシエトキシ
安息香酸成分の総量に対して80モル%以上、好ましく
は90モル%以上をいい、主たるグリコール成分とは全
グリコール成分及びp−ヒドロキシエトキシ安息香酸成
分の総量に対して80モル%以上、好ましくは90モル
%以上をいう。
【0011】ナフタレンジカルボン酸としては、たとえ
ば2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレ
ンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸を挙
げることができ、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好
ましい。
【0012】本発明において、ポリエチレンナフタレー
ト共重合体は、共重合成分としてp−ヒドロキシエトキ
シ安息香酸成分を、全ジカルボン酸成分及びp−ヒドロ
キシエトキシ安息香酸成分の総量に対し、0.5〜10
モル%を占めるように共重合されている必要がある。
【0013】このp−ヒドロキシエトキシ安息香酸成分
は、共重合体の製造反応において下記一般式で表わされ
る化合物を用いることで共重合させることが好ましい。
【0014】
【化1】
【0015】上記一般式中、Rは水素、またはメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル
基である。
【0016】このp−ヒドロキシエトキシ安息香酸成分
の共重合量が、全ジカルボン酸成分及びp−ヒドロキシ
エトキシ安息香酸成分の総量に対して0.5モル%より
少ない場合、フイルムの耐デラミネーション性が向上せ
ず、逆に10モル%を超える場合、フイルムとした場合
の結晶性が損なわれて機械的強度に劣るだけでなく、抗
カール性が低下する。p−ヒドロキシエトキシ安息香酸
成分の共重合量は好ましくは1〜8モル%であり、更に
好ましくは3〜7モル%である。
【0017】上記一般式で表わされる化合物としては、
p−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−ヒドロキシエト
キシ安息香酸メチルエステルを好ましい例として挙げる
ことができる。
【0018】本発明においては、ポリエチレンナフタレ
ート共重合体はジエチレングリコール成分の共重合量が
3モル%以下(全グリコール成分に対し)である必要が
ある。
【0019】このジエチレングリコール成分は、共重合
体製造反応時、共重合成分としてジエチレングリコール
またはそのエステル形成性誘導体の形で添加されて共重
合されたものではなく、製造反応の過程で副生して共重
合されたものである。
【0020】ジエチレングリコール成分の全共重合量が
3モル%を超えると、フイルムとしたときの耐デラミネ
ーション性の改良効果は大きくなるが、結晶性が損なわ
れるため機械的強度が大幅に低下するようになる。ジエ
チレングリコール成分の全共重合量は好ましくは2.5
モル%以下であり、更に好ましくは2モル%以下であ
る。
【0021】本発明におけるポリエチレンナフタレート
共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば
全ジカルボン酸成分及びp−ヒドロキシエトキシ安息香
酸誘導体成分の総量の10モル%以下、好ましくは5モ
ル%以下の割合で、他のジカルボン酸成分が共重合され
ていてもよい。他のジカルボン酸成分としては、例えば
テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニルジ
カルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェ
ニルスルホンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン
酸、フェニルインダンジカルボン酸、5-スルホキシイソ
フタル酸金属塩、5-スルホキシイソフタル酸ホスホニウ
ム塩等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、ア
ジピン酸、セバチン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等
の脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらは1種
または2種以上を用いても良い。
【0022】本発明におけるポリエチレンナフタレート
共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば
全グリコール成分及びp−ヒドロキシエトキシ安息香酸
成分の総量の10モル%以下、好ましくは5モル%以下
の割合で、他のグリコール成分が共重合されていてもよ
い。他のグリコール成分としては、例えばプロピレング
リコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレン
グリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレ
ングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサ
ンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族グ
リコール、 o,m,p-キシリレングリコール、1,4-ビス(2-
ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシ
エトキシエトキシ)ベンゼン、4,4'-ビス(2-ヒドロキシ
エトキシ)ビフェニル、4,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ
エトキシ)ビフェニル、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシエト
キシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシエ
トキシエトキシ)フェニル]プロパン、1,3-ビス(2-ヒド
ロキシエトキシ)ベンゼン、1,3-ビス(2-ヒドロキシエト
キシエトキシ)ベンゼン、1,2-ビス(2-ヒドロキシエトキ
シ)ベンゼン、1,2-ビス(2-ヒドロキシエトキシエトキ
シ)ベンゼン、4,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ジフェ
ニルスルホン、4,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシエトキ
シ) ジフェニルスルホン等の芳香族グリコール、ヒドロ
キノン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、レ
ゾルシン、カテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒ
ドロキシビフェニル、ジヒドロキシジフェニルスルホン
等のジフェノール類等が挙げられる。これらは1種また
は2種以上を用いても良い。
【0023】本発明におけるポリエチレンナフタレート
共重合体は実質的に線状であるが、本発明の効果を損な
わないかぎり、たとえば全酸成分に対し2モル%以下、
好ましくは1モル%以下の範囲で、3官能基以上のポリ
カルボン酸またはポリヒドロキシ化合物、例えばトリメ
リット酸、ペンタエリスリトールが共重合されていても
よい。
【0024】[添加剤]本発明におけるポリエチレンナ
フタレート共重合体には、フイルムの透明性、表面平坦
性、および熱安定性を損なわない程度であれば、例えば
滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、光安定剤、遮光剤の添
加剤を必要に応じて配合することもがきる。
【0025】[滑剤]本発明のフイルムには用途に応じ
て易滑性を付与することができる。易滑性を付与する手
段としては公知の方法を用いることができ、例えば、ポ
リマー中へ滑剤粒子を分散させる方法、易滑性を有する
層をフイルムの表面に設ける方法を用いることができ
る。
【0026】ポリマー中へ滑剤粒子を分散させる方法と
しては、例えばSiO2、BaSO4、CaCO3、アル
ミノシリケート、架橋有機粒子等をポリマー中に添加す
る方法、ポリエチレンナフタレートの重合時に触媒残渣
等を析出させる方法を挙げることができる。
【0027】ポリマー中に滑剤粒子を分散させる方法と
しては、滑剤粒子をポリマー中に添加する方法が好まし
い。この方法によると、易滑性付与の効果が顕著であ
る。
【0028】この方法において特に好ましい方法は、ポ
リエチレンナフタレートの屈折率に近い屈折率を有する
滑剤粒子、例えばBaSO4、アルミノシリケート、架
橋有機粒子(例えば架橋ポリスチレン)を添加する方法
である。この方法によると易滑性を効果的に付与するこ
とができ、かつフイルムの透明性を高く保つことができ
る。
【0029】易滑性を有する層をフイルムの表面に設け
る方法においては、滑剤粒子を実質的に含まないポリエ
チレンナフタレート共重合体フイルムの少なくとも片面
に滑剤粒子を有する層を薄く積層する方法が好ましい。
この方法によると、易滑性と透明性の良好なフイルムを
得ることができる。この積層法としては、複数の押出機
とフィードブロックやマルチマニフォールドとを組み合
わせて共押出しすることにより積層する方法が好まし
い。
【0030】[厚み]本発明における二軸配向フイルム
の厚みは、フイルム用途に応じた厚みをとる。例えば、
写真フイルム用では、その用途によって適宜選択できる
が、好ましくは25〜250μm、特に好ましくは40
〜150μmである。
【0031】[抗カーリング性]本発明において、写真
フイルム用二軸配向フイルムは巻きぐせカールが付き難
い性質、すなわち抗カーリング性を有することが好まし
く、例えば80℃における抗カーリング性がANSIカ
ール値で50[m−1]以下であることが好ましい。こ
の80℃は、日常生活において写真フイルムが通常曝さ
れる可能性がある最高温度の概略値である。ANSIカ
ール値が50[m−1]を超えると、写真フイルムの現
像処理工程でのハンドリングが困難となり、好ましくな
い。
【0032】従来、写真フイルムの巻きぐせの評価は、
巻きぐせカールが通常の写真フイルムの現像あるいは乾
燥工程を経て、どの程度解消されるかにかかっていた
が、上記のANSIカール値である写真フイルム用二軸
配向フイルムであれば、巻癖カールが付き難い性質、即
ち抗カーリング性に優れており、かつ一旦生成した巻き
ぐせカールが容易に解消されるというカール解消性にも
優れたものとなる。
【0033】[耐デラミネーション性]本発明において
耐デラミネーション性は、折目デラミ白化率を指標とし
て表される。この折目デラミ白化率は、フイルムを折り
曲げた際に生じる白化部分の長さのフィルム折り曲げ部
分の全長に占める割合で定義される。
【0034】本発明の二軸配向フィルムは耐デラミネー
ション性が、折目デラミ白化率で表わして10%以下で
あることが好ましい。耐デラミネーション性が10%以
下であれば、写真フイルムのベースフイルムとしてパー
フォレーション孔あけ時等に発生する白化現象の発生割
合を低く抑えることができる。
【0035】[ヤング率]本発明において二軸配向フイ
ルムは、機械的強度の点から、二軸方向のヤング率がそ
れぞれ500kg/mm2以上であることが好ましい。
【0036】[製造方法]本発明におけるポリエチレン
ナフタレート共重合体は、前記のナフタレンジカルボン
酸および/またはその低級アルキルエステルを主成分と
するジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分
とするグリコール成分と、共重合成分としての前記一般
式で表わされる化合物とを重縮合反応させることにより
製造できる。
【0037】好ましくは、ナフタレンジカルボン酸の低
級アルキルエステルと、エチレングリコールと、 p−
ヒドロキシエトキシ安息香酸またはp−ヒドロキシエト
キシ安息香酸メチルエステルとをエスエル交換反応さ
せ、次いで得られる反応生成物を重縮合させて製造す
る。この方法で製造したポリエステル共重合体を用いて
フィルムを製膜すると、色相が良好で透明性の良いフイ
ルムを得ることができる。
【0038】上記ナフタレンジカルボン酸の低級アルキ
ルエステルとしては、例えばジメチルエステル、ジエチ
ルエステル、ジプロピルエステルを挙げることができ
る。好ましくは、ジメチルエステルである。
【0039】本発明の二軸配向フイルムを製造するには
従来公知の方法を用いることができる。たとえば、ポリ
エチレンナフタレート共重合体を溶融し、シート状に押
し出し、冷却ドラムで冷却して未延伸フイルムを得、次
いで該未延伸フイルムを二軸方向に延伸し、熱固定し、
必要であれば熱弛緩処理することによって製造すること
ができる。その際、フイルムの表面特性、密度、熱収縮
率の性質は、延伸条件その他の製造条件により変わるの
で、必要に応じて適宜条件を選択して製膜する。
【0040】たとえば、上記の製造方法において、ポリ
エチレンナフタレート共重合体をTm+10℃〜Tm+
30℃(但し、Tmはポリエチレンナフタレート共重合
体の融点を表わす)の温度で溶融し、押し出して未延伸
フイルムを得、該未延伸フイルムを一軸方向(縦方向ま
たは横方向)にTg−10℃〜Tg+50℃の温度(た
だし、Tgはポリエチレンナフタレート共重合体のガラ
ス転移温度を表わす)で2〜5倍の倍率で延伸し、次い
で上記延伸方向と直角方向(1段目延伸が縦方向の場合
には2段目は横方向となる)にTg〜Tg+50℃の温
度で2〜5倍の倍率で延伸する。
【0041】その後、好ましくは該ポリエチレンナフタ
レート共重合体のTg+60℃〜Tg+120℃の温度
で0.2〜20秒間フィルムを熱固定する。熱固定の温
度、時間がこの範囲であれば、良好な耐デラミネーショ
ン性、抗カール性を備え、透明性の高いフィルムを得る
ことができる。
【0042】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明する。なお、例中の各特性値は次ぎの方法により測
定した。また、例中の「部」とあるのは「重量部」を表
わす。ジエチレングリコールをDEGと略称することが
ある。ガスクロマトグラフィーには日立製作所製263
−70型を用いた。
【0043】(1)固有粘度 フェノール/テトラクロロエタン(重量比6:4)混合
溶媒中、35℃にて測定した。
【0044】(2)ジエチレングリコール(DEG)の
含有量 抱水ヒドラジンを用いてポリマーを分解し、ガスクロマ
トグラフィにより定量した。
【0045】(3)折り目デラミ白化率(耐デラミネー
ション性) 80×80mmの大きさにフイルムサンプルを切り出し、
手で軽く2つに折りながら平坦な一対の金属板で挟んだ
後、プレス機により所定の圧力P1(kg/cm2G)で20
秒間プレスした。プレス後、2つ折りのフイルムサンプ
ルを手でもとの状態に戻し、前記金属板に挟んで、圧力
P1(kg/cm2G)で20秒間プレスした。その後、フイ
ルムサンプルを取り出し、折り目にあらわれた白化部分
の長さ(mm)を測定して合計した。
【0046】それぞれ新しいフイルムサンプルを使用
し、プレス圧力P1=1,2,3,4,5,6(kg/cm2
G)について上記測定を繰り返した。
【0047】各プレス圧力における白化部分の長さ(m
m)の合計の平均値が、折り目の全長(80mm)に占め
る割合(%)をもって、折目デラミ白化率(%)とし、
この値をフイルムの層間剥離(デラミネーション)の起
こり難さ(耐デラミネーション性)を示す指標として使
用した。
【0048】(4)抗カーリング性(ANSIカール
値) 120×25mmの大きさのフイルムサンプルを平坦な状
態で23℃、50%RHの雰囲気にて24時間調整後、
直径7mmの巻芯に長手方向に巻き付け、巻き戻らないよ
うに仮固定し、80℃にて2時間加熱処理した後、巻芯
から開放した。次いで40℃の蒸留水に15分間浸漬し
た後、サンプルを長手方向を鉛直にして吊るし、33.
5gの荷重下55℃の空気恒温槽で3分間加熱乾燥し
た。
【0049】カールが残っている状態のサンプルをAN
SI PH 1.29−1971の試験方法Aに準じて
測定し、インチをメートル法に換えてカール値を算出
し、抗カール性を示す指標とした。
【0050】(5)ヤング率 引張試験機に幅10mmのサンプルフイルムを、チャック
間距離100mmとなるようセットし、23℃、50%R
Hの条件下、引張速度10mm/分で引張試験を行い、縦
方向(MD)および横方向(TD)のヤング率を測定し
た。
【0051】(6) p−ヒドロキシエトキシ安息香酸
メチルの合成 特公昭47−42256に従って合成した。
【0052】[実施例1]ナフタレン−2,6−ジカル
ボン酸ジメチルエステル100部、p−ヒドロキシエト
キシ安息香酸メチル1.7部(全ジカルボン酸成分およ
びp−ヒドロキシエトキシ安息香酸成分の総量に対し3
モル%)およびエチレングリコール60部を、エステル
交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03部を使用し
て、常法に従ってエステル交換反応させた後、トリメチ
ルフォスフェート0.023部を添加し実質的にエステ
ル交換反応を終了させた。
【0053】ついで、三酸化アンチモン0.024部を
添加し、引き続き高温高真空下で常法にて重縮合反応を
行い、固有粘度0.63dl/g、DEG共重合量1.2
モル%のポリエチレンナフタレート共重合体を得た。
【0054】このポリエチレンナフタレート共重合体の
ぺレットを180℃で3時間乾燥後、押出機ポッパーに
供給し、溶融温度300℃で溶融し、1mmのスリット状
ダイを通して表面温度40℃の回転冷却ドラム上に押出
し、未延伸フイルムを得た。このようにして得られた未
延伸フイルムを120℃にて予熱し、さらに低速、高速
のロール間で15mm上方より900℃のIRヒータにて
加熱して縦方向に3.0倍に延伸し、続いてステンター
に供給し、140℃にて横方向に3.3倍に延伸した。
得られた二軸配向フイルムを210℃の温度で5秒間熱
固定し、厚み75μmの共重合ポリエチレンナフタレー
トフイルムを得た。
【0055】得られたフイルムを110℃で2日間熱処
理し、フイルムの特性を測定した結果、表1に示す通
り、写真フイルム用ベースフィルムとして良好な特性を
有するものであった。
【0056】[実施例2〜4]p−ヒドロキシエトキシ
安息香酸メチルの共重合量を表1に示す量に変更する以
外は実施例1と同様に行なって二軸配向フイルムを得
た。得られたフイルムの特性を表1に示す。実施例1と
同様に写真フイルム用ベースフィルムとして良好な特性
を有するものであった。
【0057】[比較例1]p−ヒドロキシエトキシ安息
香酸メチルを添加しない以外は実施例1と同様に行って
二軸配向フイルムを得た。得られたフイルムの特性を表
1に示す。デラミネーション特性、カール解消性におい
て満足できるフイルムは得られなかった。
【0058】[比較例2]p−ヒドロキシエトキシ安息
香酸メチルの共重合量を表1に示す量、すなわち10モ
ル%を超える量に変更する以外は実施例1と同様に行っ
て二軸配向フイルムを得た。得られたフイルムの特性を
表1に示す。デラミネーション特性は十分であったが、
ヤング率およびカール解消性は不十分であった。
【0059】[比較例3]DEGを2部添加する以外は
実施例1と同様に行なって二軸配向フィルムを得た。ポ
リエステル共重合体に存在するDEGの共重合量は4.
3モル%であった。DEGの共重合量が3モル%を超え
た場合には、実施例1と同量のp−ヒドロキシエトキシ
安息香酸成分が共重合されていても、ヤング率およびカ
ール解消性は不十分であった。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】本発明のポリエチレンナフタレート共重
合体は優れた耐デラミネーション性と機械的強度を有す
る、さらには優れた耐デラミネーション性、抗カール
性、機械的強度、良好な色相および透明性を兼備してい
る二軸配向フイルムを形成できる。そして、この二軸配
向フイルムは、特に写真フィルム用二軸配向フイルムと
して、たとえば撮影用フイルム、スチル写真用ロールフ
イルム、映画用ロールフイルム、X線用ロールフイル
ム、製版用フイルム等、幅広い写真用途に好適に使用す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 67:00 B29L 7:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナフタレンジカルボン酸を主たるジカル
    ボン酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコー
    ル成分とし、共重合成分としてp−ヒドロキシエトキシ
    安息香酸成分を0.5〜10モル%(全ジカルボン酸成
    分およびp−ヒドロキシエトキシ安息香酸成分の総量に
    対し)含有し、かつジエチレングリコール成分の含有量
    が3モル%以下(全グリコール成分の総量に対し)であ
    るポリエチレンナフタレート共重合体。
  2. 【請求項2】 p−ヒドロキシエトキシ安息香酸成分の
    共重合量が1〜8モル%(全ジカルボン酸成分およびp
    −ヒドロキシエトキシ安息香酸成分の総量に対し)であ
    る請求項1記載のポリエチレンナフタレート共重合体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のポリエチレンナフタレー
    ト共重合体からなる二軸配向フイルム。
  4. 【請求項4】 フイルムの80℃における抗カーリング
    性がANSIカール値で50[m−1]以下であり、か
    つ耐デラミネーション性が折り目デラミ白化率で10%
    以下である請求項3記載の二軸配向フイルム。
  5. 【請求項5】 フイルムの二軸方向のヤング率がそれぞ
    れ500kg/mm2以上である請求項3又は4記載の二軸配
    向フイルム。
  6. 【請求項6】 写真フイルムのベースフイルムに用いる
    請求項3、4又は5記載の二軸配向フイルム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009161694A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Teijin Fibers Ltd 常圧カチオン可染性ポリエステル
JP2009161695A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Teijin Fibers Ltd 常圧カチオン可染性ポリエステル

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JP2009161694A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Teijin Fibers Ltd 常圧カチオン可染性ポリエステル
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