JP2001253958A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルム

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JP2001253958A
JP2001253958A JP2000064850A JP2000064850A JP2001253958A JP 2001253958 A JP2001253958 A JP 2001253958A JP 2000064850 A JP2000064850 A JP 2000064850A JP 2000064850 A JP2000064850 A JP 2000064850A JP 2001253958 A JP2001253958 A JP 2001253958A
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polyester
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JP2000064850A
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Yukari Nakamori
ゆか里 中森
Shoji Nakajima
彰二 中島
Tetsuya Tsunekawa
哲也 恒川
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気記録テープの録画再生時のMRヘッドの
耐久性に優れ、かつ、フィルムの走行性と磁性面側のフ
ィルム表面の耐久性に優れたベースフィルムを提供す
る。 【解決手段】 表面の地肌部分に微細な突起が多数形成
された二軸配向ポリエステルフィルムであって、該微細
突起は、突起高さが3〜5nmである突起の総突起個数
が300万〜1億個/mm2であり、かつ、突起の高さ
のしきい値が3nmの時のグレインサイズの平均値が1
0〜100nmである。この二軸配向ポリエステルフィ
ルムは、単層フィルムでも2層以上の積層フィルムであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の二軸配向ポリエステ
ルフィルムは、地肌部分に微細な突起が緻密に形成され
ていて、例えば、磁気記録媒体用、コンデンサー用、熱
転写リボン用、あるいは感熱孔版印刷原紙用などの各種
の工業材料用フィルムとして非常に適した二軸配向ポリ
エステルフィルムに関するものである。特にデジタルビ
デオカセット用、データストレージテープ用等のデジタ
ル記録方式の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体基材として
有用な二軸配向ポリエステルフィルムに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体用ベースフィルムとして
は、出力性能や走行性を向上させるために、積層厚みと
含有粒子の平均粒子径との関係を規定し、突起の高さを
均一にして平滑性(磁気テープにしたときのC/N(キ
ャリア/ノイズ比)の高さに関与)と滑り性(磁気テー
プの走行性に関与)、耐久性(耐摩耗性等)の3者を満
足させたフィルムが知られている(例えば特公平7−8
0282号公報)。また、高速結晶性のポリマを利用し
てポリマの結晶化で表面形成をし、粗大突起(ドロップ
アウトやヘッド偏摩耗に関与)を低減させたフィルムが
知られる(例えば特開平10−52900号公報)。さ
らに、デジタルビデオカセット(DVC)用ベースフィ
ルムとしては、ポリエステルフィルムの少なくとも片面
に塗設されたポリマーと粒径50〜500Åの微細粒子
を主体とした不連続被膜とからなるポリエステルフィル
ムが知られている(例えば特公平1−26338号公
報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この様
なベースフィルムでは、磁性面側の高度な平滑性と走行
性、さらに、デジタル記録方式の金属薄膜型蒸着テープ
においては磁気ヘッドとテープ表面の相対速度が大きく
なることから高度な走行耐久性が要求されるため、表面
が平滑すぎるとヘッドとの摩擦が大きくなりテープ表面
に傷がつきやすくなるという問題が生じる。これらの問
題を回避するためにはベースフィルムの磁性面側に微細
な突起を高密度に形成させることが必要であり、粒径の
極めて小さい不活性粒子を高濃度に添加する手段がとら
れている。さらに近年、さらなる電磁変換特性を向上さ
せるために、MRヘッドと呼ばれる磁気記録ヘッドが採
用され、上記従来の二軸配向ポリエステルフィルムで
は、粒子の脱落による削れ物あるいは高濃度に添加され
た微細粒子の凝集による粗大突起によってMRヘッドの
表面が傷つく偏摩耗が問題となってきている。
【0004】本発明は、かかる問題点を解決し、磁気記
録テープの録画再生時のMRヘッドの耐久性(以下耐傷
つけ性という)に優れ、かつ、フィルムの走行性と磁性
面側のフィルム表面の耐久性に優れたベースフィルムを
提供することを目的とするものである。特に磁気記録媒
体用ベースフィルムして使用したときに、磁気記録ヘッ
ドおよびフィルム表面の耐久性や電磁変換特性、走行性
に優れる、磁気記録テープ用ベースフィルムとして好適
な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的に沿う本発明の
二軸配向ポリエステルフィルムは、表面の地肌部分に微
細な突起が多数形成された二軸配向ポリエステルフィル
ムであって、該微細突起が突起高さが3〜5nmである
突起の総突起個数が300万〜1億個/mm2であり、
かつ、突起の高さのしきい値が3nmの時のグレインサ
イズが10〜100nmであることを特徴とする二軸配
向ポリエステルフィルムである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細について説明
する。
【0007】本発明のフィルムを構成するポリマは、ポ
リエステルであれば特に限定されないが、エチレンテレ
フタレ−ト、エチレン2,6-ナフタレ−ト、エチレンα,
β−ビス(2-クロルフェノキシ)エタン-4,4'-ジカルボ
キシレ−ト単位から選ばれた少なくとも一種の構造単位
を主要構成成分とするポリエステルが好ましく、特に、
エチレンテレフタレ−トあるいはエチレン2,6-ナフタレ
−トを繰り返し単位に50重量%以上含有するポリエス
テルが好ましい。ポリエステルには、例えば、芳香族ジ
カルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボ
ン酸などの酸成分やジオール成分から構成されるポリエ
ステル単位や主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエス
テル、その他のポリマーとして例えばポリイミドやポリ
カーボネートを共重合や混合、ブレンドで含有していて
もよい。
【0008】芳香族ジカルボン酸成分としては、例え
ば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4―
ナフタレンジカルボン酸、1,5―ナフタレンジカルボ
ン酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、4,4'―ジフ
ェニルジカルボン酸、4,4'―ジフェニルエーテルジカ
ルボン酸、4,4'―ジフェニルスルホンジカルボン酸等
を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル
酸、フタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸を用い
ることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例
えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることがで
きる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジ
ピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等
を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用
いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0009】また、ジオール成分としては、例えば、エ
チレングリコール、1,2ープロパンジオール、1,3―
プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3―
ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、1,5―ペン
タンジオール、1,6―ヘキサンジオール、1,2―シク
ロヘキサンジメタノール、1,3―シクロヘキサンジメ
タノール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアル
キレングリコール、2,2'―ビス(4'―β―ヒドロキ
シエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、
なかでも好ましくは、エチレングリコール、1,4―ブ
タンジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、
ジエチレングリコール等を用いることができ、特に好ま
しくは、エチレングリコール等を用いることができる。
これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種
以上を併用してもよい。
【0010】また、主鎖にメソゲン基を含有する共重合
ポリエステルとは、溶融成形性のポリマーでああり、そ
れ自身は液晶性であっても非液晶性であってもよい。メ
ソゲン基とは、溶融状態において、液晶性を発現させる
機能を有する基を意味する。メソゲン基は比較的剛直で
異方性に富んでおり、芳香環あるいは複素芳香環などが
共役性の原子団で結合したパラ置換形式のものが多い。
代表的なものとして、ベンジリデンアニリン、アゾベン
ゼン、スチルベン、フェニルベンゾエート、ビフェニル
等から水素原子が2個脱落して2価の基となったものが
挙げられる。
【0011】また、ポリエステルには、トリメリット
酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリト
ール、2, 4―ジオキシ安息香酸、ラウリルアルコー
ル、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物等の他の化
合物を、ポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合
されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外
に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香
酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロ
キシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミ
ノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少
量であればさらに共重合せしめることができる。また、
本発明を阻害しない範囲内で、熱安定剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪
酸エステル、ワックスなどの有機滑剤や不活性粒子など
が添加されてもよい。
【0012】本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの
地肌部分とは、例えば、原子間顕微鏡(以下AFMとい
う)を用い、一定の測定視野(例えば、2μm平方)で
表面を観察したときに、突起高さ10nm以上の突起が
存在しない場所である。その測定視野内に突起高さ10
nm以上の突起が存在する場合は測定視野をもっと狭め
て観察してもよい。
【0013】本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの
地肌部分に多数形成される微細突起は、AFMで測定し
たときの突起高さが3〜5nmである突起の総突起個数
が300万〜1億個/mm2である。好ましくは500
万〜8000万個/mm2であり、さらに好ましくは8
00万〜6000万個/mm2である。さらに、突起の
高さのしきい値が3nmの時のグレインサイズが10〜
100nmである。好ましくは15〜90nm、さらに
好ましくは20〜80nmである。突起高さが3〜5n
mの突起の総突起個数とグレインサイズを本発明の範囲
内とすることによって、金属薄膜型蒸着テープとしたと
きのテープ表面とヘッド間の摩擦が極めて低くなり、ヘ
ッドとの走行性が安定すると共に耐傷つけ性が良好にな
る。総突起個数やグレインサイズが本発明の範囲外であ
るとテープ表面とヘッド間の摩擦が高くなり耐傷つけ性
や耐久性、走行性が悪化したり、表面突起が大きくなり
すぎて耐傷つけ性や耐久性が悪化する。
【0014】本発明の微細突起を効率よく形成させる方
法は特に限定されないが、未延伸フィルムあるいは1軸
延伸フィルム表面に紫外線を照射する方法やポリエチレ
ンテレフタレート(以下PETという)とポリエーテル
イミド(以下PEIという)を9:1〜6:4の割合で
ブレンドしたポリマを用いる方法が好ましく例示でき
る。不活性粒子や内部析出粒子によって突起を形成させ
る従来技術では、本発明の微細突起を形成することはで
きない。
【0015】ここで紫外線とは、波長400nm以下の
波長の光を含有する光であり、本発明では、270〜3
30nmの波長の紫外光を選択的に照射することが好ま
しい。
【0016】使用する光源としては、270〜300n
mの波長を有する光の相対強度が10%以上であること
が好ましい。また、250nm未満の波長の光について
は、実質的にカットされていることが好ましく、その波
長の相対強度が1%未満である光源を使用することが好
ましい。270〜300nmの波長を有する光の相対強
度が10%未満であると、照射時のエネルギー密度を高
めないとフィルム表面に微細突起が形成され難くなり、
結晶化による突起形成に長時間を要するので、コストの
点でも不利である。また、250nm未満の波長の光が
フィルムに照射されると、ポリエステルの光劣化が激し
くなり、フィルム表面の耐摩耗性が悪化することが多い
ので注意すべきである。波長270〜300nmの光の
相対強度は、25%以上がより好ましく、35%以上が
さらに好ましい。
【0017】本発明では、具体的には、高圧水銀ランプ
やメタルハライド型ランプ等、ランプやレーザー光を好
ましく使用できるが、本発明ではメタルハライド型の光
源が特に好ましい。
【0018】ランプを光源として使用する場合、その様
式は、集光型、平行型(半集光型)、拡散型のいずれで
もよく、使用するポリマーの組成、製造条件、使用する
設備の都合等により適宜に選択可能である。
【0019】光源としてレーザー光照射装置を使用する
場合には、特に限定されるわけではないが、270〜3
30nmの波長のレーザー光が特に有効である。
【0020】また、本発明では、270〜330nmの
波長の紫外光を選択的に利用することが好ましいため、
各種の光学フィルターを光源と組み合わせて使用するこ
とも好適に行うことができる。この光学フィルターとし
ては、光干渉フィルター、バンドパスフィルター、短波
長カットするフィルター、長波長カットフィルター、石
英ガラスまたは色ガラスなどの吸収材などが挙げられ
る。
【0021】フィルムに紫外光を照射する際のエネルギ
ー密度は、0.1〜10J/cm2が好ましいものであ
り、また、照射時間は0.01〜100秒、好ましくは
0.1〜50秒である。紫外線照射強度は、0.1〜2
0KWの範囲が適切である。
【0022】本発明でいうエネルギー密度は、300〜
390nmの波長の光を検知するセンサーを有したUV
強度計による積算値である。本発明では、微細突起を形
成させようとする表面に、上述のように0.1〜10J
/cm2のエネルギー密度を有する紫外光を照射時間
0.01〜100秒の範囲内で照射することが好まし
い。
【0023】エネルギー密度が0.1J/cm2 未満で
あったり、照射時間が0.01秒未満では微細突起が形
成されにくく、また、これとは逆に、エネルギー密度が
10J/cm2 を越えたり、照射時間が100秒を越え
ると表面劣化が激しくなり、耐摩耗性が悪化する場合が
あるので注意すべきである。
【0024】より好ましい照射条件は、0.2〜5J/
cm2 のエネルギー密度、照射時間0.1〜20秒であ
り、さらに好ましい照射条件は、0.4〜3J/cm2
のエネルギー密度で照射時間0.2〜10秒である。
【0025】本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの
好ましい態様は、単層でも積層構成でも構わないが、耐
傷つけ性、走行性および表面耐久性の点から、少なくと
も2層以上の積層構造が好ましい。積層構成は2層以上
でも3層以上でも構わないが、特にポリエステルA層/
ポリエステルB層の2層積層構成、ポリエステルA層/
ポリエステルC層/ポリエステルB層あるいはポリエス
テルA層/ポリエステルB層/ポリエステルA層の3層
積層構成であり、少なくとも片面の最外層を本発明で特
定した表面の層(ポリエステルA層)とする必要があ
る。
【0026】本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに
は、本発明の特長を阻害しない範囲内で不活性粒子が含
有されていてもよい。使用される不活性粒子の種類は特
に限定されないが、耐傷つけ性の点からコロイダルシリ
カもしくは有機粒子、中でも架橋型有機粒子、特にジビ
ニルベンゼン粒子やシリコン粒子、フッ素樹脂粒子が好
ましい。また、基材との親和性を改良するために粒子表
面がポリマで変性されていたり表面処理が施されている
不活性粒子は耐傷つけ性がさらに向上するので好まし
い。その他の粒子の、アルミナ、ジルコニア、シリカ、
酸化チタンなどの凝集粒子は、ポリマ中での粒子分散を
適切に行うことにより用いることが可能である。これら
の粒子を複数併用してもよい。不活性粒子の平均粒径と
しては耐傷つけ性の点から0.001〜1μm、好まし
くは0.005〜0.8μm、さらに好ましくは0.0
1〜0.6μmである。
【0027】本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの
ポリエステルA層の地肌部分には、微細突起が多数形成
されているのでA層には不活性粒子を含有する必要はな
いが、平均粒径0.001〜0.5μm以下の平均1次
粒径を有する粒子であれば含有していても構わない。含
有量は本発明の特長を阻害しない範囲内であれば特に限
定されないが、0.001〜1重量%、好ましくは、
0.005〜0.5重量%である。添加量がこの範囲内
であれば、耐傷つけ性を悪化させる突起が形成されにく
いので好ましい。
【0028】ポリエステルA層の積層厚みは、特に限定
されないが0.01μm以上であり、好ましくは0.1
μm以上である。さらに好ましくは0.5〜1μmであ
る。積層厚みが0.01μmよりも薄いと突起高さのし
きい値が3nmの時のグレインサイズを10〜100n
mの範囲にすることが困難となり、耐傷つけ性及びフィ
ルム表面の耐久性も悪化するため好ましくない。また、
積層厚みの上限も特に限定されないが1μmよりも厚く
なると突起高さのしきい値が3nmの時のグレインサイ
ズを10〜100nmの範囲にすることが困難となる場
合がある。
【0029】本発明のフィルムのポリエステルB層を構
成するポリマは、ポリエステルであれば特に限定されな
いが、特にエチレンテレフタレート、エチレン−2,6
−ナフタレート単位から選ばれた少なくとも一種の構造
単位を主要構成成分とすることが望ましい。
【0030】また、本発明で用いるポリエステルは結晶
性である場合に、機械的特性、表面の走行耐久性が一層
良好となるので望ましい。なお、本発明のフィルムは、
上記組成物を主要成分とするが、本発明の目的を阻害し
ない範囲内であれば、他種ポリマをブレンドしてもよい
し、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、結晶
核生成剤等の無機または有機添加剤が添加されていても
よい。さらに、ポリエステルA層とB層を構成するポリ
マは同じであっても異なっていても構わない。
【0031】ポリエステルB層には、フィルムの走行性
とフィルム表面の耐久性の点から不活性粒子を含有する
ことが好ましい。
【0032】使用される不活性粒子の種類は特に限定さ
れないが、コロイダルシリカや有機粒子、中でも、架橋
型有機粒子(特にジビニルベンゼン粒子)やシリコーン
粒子が好ましい。その他の粒子として、アルミナ、ジル
コニア、シリカ、酸化チタンなどの凝集粒子、または単
分散した炭酸カルシウム、酸化チタンなども、適切なポ
リマ中での粒子分散手段をとることにより用いることが
可能である。これらの粒子を複数併用してもよい。
【0033】使用される不活性粒子の平均粒径は、フィ
ルムの走行性とフィルム表面の耐久性の点から0.00
1〜2μmである。好ましくは0.005〜1.0μm
であり、さらに好ましくは、0.01〜0.8μmであ
る。平均粒径が0.001μmよりも小さいとポリエス
テルB層中での分散が悪化し粒子が塊となり走行性に有
効な表面突起の数が減少し走行性が悪化すると共に表面
耐久性も悪化するので好ましくない。また、平均粒径が
2μmを超えるとポリエステルB層の表面性が悪化し表
面耐久性が悪化する。
【0034】ポリエステルB層の積層厚みとしては特に
限定されないが、表面耐久性の点から0.05〜3μm
が好ましい。より好ましくは0.1〜2μmである。
【0035】本発明のフィルムのポリエステルC層を構
成するポリマは、特に限定されないが、エチレンテレフ
タレート、エチレン−2,6−ナフタレート単位から選
ばれた少なくとも一種の構造単位を主要構成成分とする
ポリエステルのが望ましい。また、ポリエステルA層や
B層と同種であっても異なっていてもよく、いわゆるリ
サイクルポリマであっても構わない。なおここでリサイ
クルポリマとは、例えばポリエステルの場合、ポリエス
テルの末端カルボキシル基量が55当量/10 6g以上
でポリマの溶液ヘイズが18%以下のものをいう。さら
に、ポリエステルC層にはA,B層で用いられると同じ
不活性粒子を含有していてもよいが含有量は両最外層の
含有量よりも少なくすることが耐傷つけ性、耐久性の点
から好ましい。
【0036】本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの
用途は、特に限定されないが、磁気記録媒体用、コンデ
ンサー用、感熱転写リボン用、感熱孔版印刷原紙用など
に用いられ、特にデジタルビデオカセット用、データス
トレージテープ用等のデジタル記録方式の強磁性金属薄
膜型磁気記録媒体基材として有効に用いることができ
る。
【0037】本発明のフィルムの製造方法の具体例につ
いて説明するがこれに限定されるものではない。
【0038】まず、常法に従い、テレフタル酸とエチレ
ングリコールからエステル化し、または、テレフタル酸
ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応によ
り、ビスーβ―ヒドロキシエチルテレフタレート(BH
T)を得る。次にこのBHTを重合槽に移行しながら、
真空下で280℃に加熱して重合反応を進める。ここ
で、固有粘度が0.5程度のポリエステルを得る。得ら
れたポリエステルをペレット状で減圧下において固相重
合する。固相重合する場合は、あらかじめ180℃以下
の温度で予備結晶化させた後、190〜250℃で1m
mHg程度の減圧下、10〜50時間固相重合させて、
所望の固有粘度を有するポリエステルを得る。ポリエス
テルに粒子を含有せしめる方法としては、ジオール成分
であるエチレングリコールのスラリーの形で分散せし
め、このエチレングリコールを所定のジカルボン酸成分
と重合せしめる方法が好ましい。また、粒子のエチレン
グリコールのスラリーを140〜200℃、特に180
〜200℃の温度で30分〜5時間、特に1〜3時間熱
処理する方法は粒子の脱落を低減させることができるた
め有効である。
【0039】また、ポリエステルに粒子を含有せしめる
他の方法として、粒子をエチレングリコール中で熱処理
した後、溶媒を水に置換したスラリーの形でポリエステ
ルと混合し、ベント方式の二軸押出機を用いて混練して
ポリエステルに練り込む方法も本発明の目的を達成する
ためにはきわめて有効である。
【0040】粒子の含有量を調節する方法としては、上
記方法で高濃度マスターを作っておき、それを製膜時に
粒子を実質的に含有しないポリマで希釈して粒子の含有
量を調節する方法が有効である。
【0041】このようにして得られた、粒子を所定量含
有するポリエステルAおよびB(それぞれA層,B層
用)、粒子を実質的に含有しないポリエステルC(C層
用)は、必要に応じて乾燥する。
【0042】A/Bの2層構成の積層フィルムとする場
合は、上記のポリエステルA、Bを2台の押出機に供給
して2層のマニホールドまたは、合流ブロックを用いて
積層する。積層されたシートを口金より押出し、キャス
ティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。
【0043】A/C/Bの3層構成の積層フィルムとす
る場合は、上記のポリエステルA、B、Cを3台の押出
機に供給し、3層のマニホールドまたは、合流ブロック
を用いて積層する。積層されたシートを口金より押出
し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを
作る。この場合、ポリエステルAのポリマ流路に、スタ
ティックミキサー、ギヤポンプを設置する方法は積層厚
みをコントロールするために有効である。また、ポリエ
ステルAの押し出し系に1μmカット以下の性能を有す
る高精度濾過フィルターを設けることは所定のグレイン
サイズを得るために極めて有効である。
【0044】次にこの未延伸フィルムのフィルム温度を
40〜150℃、好ましくは45〜120℃の状態で長
手方向に微延伸しながらUV照射を施すことは、本発明
フィルムの突起のグレインサイズと総突起個数を本発明
の範囲内にするために有効である。微延伸の程度として
は、1.02〜1.1倍程度である。紫外光として、2
50〜450nmの波長の紫外光を選択的に照射する。
さらに、フィルムに紫外光を照射する際のエネルギー密
度は、0.1〜10J/cm2 が好ましいものであり、
また、照射時間は0.01〜100秒であることが好ま
しい。本発明でいうエネルギー密度とは、300〜39
0nmの波長の光を検知するセンサーを有したUV強度
計による積算値である。
【0045】このUV照射した未延伸フィルムを二軸延
伸し、二軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延
伸法または同時二軸延伸法を用いることができるが、最
初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法
が好ましく、長手方向の延伸を3段階以上に分けて行う
ことは、突起高さが3〜5nmの突起の総突起個数を本
発明の範囲内とするために有効である。長手方向の延伸
倍率は総延伸倍率として3.0〜6.0倍が好ましい
が、本発明のグレインサイズと総突起個数を本発明の範
囲内とするために、1段目の延伸倍率を1.2〜2.0
倍とすることが有効である。長手方向延伸温度はポリエ
ステルの種類によって異なり一概には言えないが、通常
その1段目を50〜160℃とし、2段目はそれより高
くし、3段目以降は2段目の延伸温度よりも低くするこ
とが本発明フィルムのグレインサイズを得るために有効
である。長手方向延伸速度は5,000〜50,000
%/minの範囲が好適である。幅方向の延伸方法とし
てはステンタを用いる方法が一般的であり、延伸倍率は
3.0〜7.0倍の範囲が適当である。延伸速度は1,
000〜20,000%/min、温度は80〜160
℃の範囲が好適である。次にこの延伸フィルムを熱処理
する。この場合の熱処理温度は150〜240℃、特に
170〜210℃、時間は0.5〜60秒の範囲が好適
である。
【0046】[物性の測定方法ならびに効果の評価方
法] (1)粒子の平均粒径 粒子を含有させて得られたフィルムの断面を透過型電子
顕微鏡(TEM )を用い、10万倍以上の倍率で観察
する。TEMの切片厚さは約100nm とし、場所を変
えて100視野以上測定する。粒子の平均径は重量平均
径(等価円相当径)から求める。 (2)粒子の含有量 積層部の粒子含有量はフィルムを幅1/2インチにテープ
状にスリットしたものを用い、粒子含有のポリエステル
が積層されている側の表面に片刃を垂直に押しあて、さ
らに0.5mm押し込んだ状態で20cm走行させる
(走行張力:500g、走行速度:6.7cm/秒)。
このとき片刃の先に付着したフィルム表面の削れ物の粒
子含有量を、ポリエステルは溶解し粒子は溶解しない溶
媒を選択し、粒子をポリエステルから遠心分離し、粒子
の全体重量に対する比率(重量%)を求める方法でもっ
て測定し、この値を粒子含有量とする。場合によっては
赤外分光法の併用も有効である。 (3)フィルム積層厚み 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層か
ら深さ3000nmの範囲のフィルム中の粒子のうち最も
高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元素
の濃度比(M+/C+)を粒子濃度とし、表面から深さ3
000nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では表面と
いう界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざかるにつ
れて粒子濃度は高くなる。本発明フィルムの場合は一旦
極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。この濃度
分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の1/2となる
深さ(この深さは極大値となる深さよりも深い)を求
め、これを積層厚さとした。条件は次の通りである。
【0047】(1) 測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) 西独、ATOMIKA社製 A-DIDA3000 (2) 測定条件 1次イオン種 :O2 + 1次イオン加速電圧:12KV 1次イオン電流 :200nA ラスター領域 :400μm□ 分析領域 :ゲート30% 測定真空度 :5.0×10-9Torr E−GUN :0.5KV−3.0A なお、表層から深さ3000nmの範囲に最も多く含有す
る粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難
しいので、表面からエッチングしながらXPS(X線光
電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様のデ
プスプロファイルを測定し積層厚みを求めてもよいし、
透過型電子顕微鏡(日立製H−600型)を用いて、加
速電圧100kVで、フィルム断面を、超薄切片法(R
uO4染色)で観察し、その界面をとらえ、その積層厚
さを求めることもできる。倍率は、判定したい積層厚さ
によって選ぶことが通常であり、特に限定されないが、
1万〜10万倍が適当である。
【0048】(4)固有粘度 オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度
から下式により計算される値を用いる。 ηsp/C=[η]+K[η]2・C ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)ー1、Cは溶
媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100m
l、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とす
る)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド
粘度計を用いて測定する。
【0049】(5)グレインサイズ、総突起個数 原子間力顕微鏡(AFM)を用いて下記の測定条件で、
場所を変えて測定を20回行い、得られた画像について
突起高さのしきい値を3nmとして突起部の面積を測定
し、20視野の平均値から突起高さ3nmの時のグレイ
ンサイズを直径に換算しグレインサイズとした。また、
突起個数については、高さのしきい値を3〜5nmの間
で個数を計測し、高さのしきい値3nmの時の累計突起
個数(M3)としきい値5nmの時の累計突起個数(M
5)の差(M3−M5)を突起高さが3〜5nmである
突起の総突起個数とした。
【0050】装置:NanoScope III AFM(Digital Instru
ments社製) カンチレバー:シリコン単結晶 走査モード :タッピングモード 走査速度 :0.5Hz 測定視野 :5μm四方〜0.5μm四方で適宜選択 (6) ポリマーの溶液ヘイズ ポリエステル2gをフェノール/四塩化炭素(重量比:
6/4)の混合溶媒20mlに溶解し、ASTM−D−
1003−52により測定した。光路長は20mmとし
て測定を行った。
【0051】(7) 波長270〜300nmの相対強
度(%) 25℃、60RH、1気圧の条件下、分光器を用いて、
光源の発光スペクトル(波長(nm) vs. 発光強度
(mJ))を測定する。ここで得られた発光スペクトル
のデータを解析し、下記式から波長270〜300nm
の紫外光の相対強度を求めた。 相対強度=[(発光スペクトルにおける270〜300
nmの発光強度の積分値)/最大発光強度]x100 ここで、最大発光強度とは、発光スペクトルにおいて最
大の強度を示す波長の発光強度であり、本発明において
好ましく使用する紫外線ランプでは、365nmまたは
254nmの発光強度である。 (8) 紫外光のエネルギー密度(J/cm2 ) 日本電池製のUV強度計(UV350N型)を用い、積
算値を測定した。 (9)耐傷つけ性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行試験機を用いて、市販のMEテープ(H
i8MEテープ)を巻き付けたステンレス製ガイドピン
(表面粗度:Raで100nm)上を、A層表面がME
テープと接触するように走行させる(走行速度2m/
分、巻き付け角90゜、張力50g、走行回数1回)。
このとき、ガイドピンに巻き付けたMEテープの表面に
入った傷を顕微鏡で観察し、幅2.5μm以上の傷がテ
ープ幅あたり2本未満は傷つき性を優、2本以上10本
未満は良、10本以上は不良と判定した。優が望ましい
が、良でも実用的には使用可能である。
【0052】(10)走行性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行試験機SFT−700型((株)横浜シ
ステム研究所製)を使用し、20℃、60%RH雰囲気
で走行させ、初期の摩擦係数を下記の式より求めた。 μk=2/πln(T2/T1) ここで、T1は入側張力(荷重20g)、T2は出側張力
である。ガイド径は6mmΦであり、ガイド材質はSUS
27(表面粗度0.2S)、巻き付け角は90゜、走行
速度は3.3cm/秒である。この測定によって得られ
たμkが0.7以下の場合は走行性:良好、0.7を越
える場合は走行性:不良、と判定した。
【0053】(11)耐久性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行試験機を用いてステンレス製ガイドピン
(表面粗度:Raで40nm)上を走行させる(走行速
度50m/分、巻き付け角90゜、張力50g、走行回
数20往復)。走行後ガイドピン表面に付着した付着粉
を目視で観察し次の基準で判定を行った。 全く粉が付着していない 5点 やや粉が付着している 3点 多量に粉が付着している 1点 5点と3点の間を4点、3点と2点の間を1点とし、4
点より点数の高いものを耐久性が良好とした。
【0054】
【実施例】次の実施例に基づき、本発明の実施形態を具
体的に説明する。
【0055】実施例1 重合触媒として、酢酸マグネシウム0.10重量%、二
酸化ゲルマニウム0.025重量%、リン化合物として
トリメチルホスフェート0.024重量%を用いて、通
常の方法でポリエチレンテレフタレートを重合し、無粒
子のポリエステルAを作成した。ポリエステルBに用い
る原料として、平均粒径0.6μmのスチレン・ジビニ
ルベンゼン共重合体粒子(ジビニルベンゼン成分81
%)を含有するエチレングリコールスラリーを調製し、
このエチレングリコールスラリーを190℃で1時間熱
処理した後、テレフタル酸ジメチルとエステル交換反応
させ、重縮合し、該粒子を1.0重量%含有するポリエ
チレンテレフタレートのペレット(重合触媒は、酢酸マ
グネシウム0.06重量%、三酸化アンチモン0.00
8重量%、トリメチルホスフェート0.02重量%)を
作成した。該粒子の含有量が所定の濃度となるように、
前記無粒子のポリエステルAで稀釈し、ポリエステルB
を作成した。
【0056】押出機2台を用い、270℃に加熱された
押出機Aには、ポリエステルA(固有粘度0.62)を
180℃で3時間真空乾燥した後に供給し、同じく29
0℃に加熱された押出機Bには、ポリエステルB(固有
粘度0.60)を180℃で3時間真空乾燥した後に供
給し、2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層構
成:A/B)、B層がキャスティングドラム面に密着す
るよう表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加
させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作成
した。なお、ポリエステルAの押し出し系には0.6μ
mカット(95%カット径)の性能を有する高精度濾過
フィルターを設けた。
【0057】次いで、この未延伸フィルムに、ロールの
周速差を利用して長手方向に1.05倍の微延伸を施し
ながら、50℃の雰囲気下で、0.5J/cm2 のエネ
ルギー密度になるように照射距離を調節し、フィルムの
A層側から1秒間紫外光を照射した。ここで、紫外光の
光源としては、日本電池社製のメタルハライド型の紫外
線ランプ(Aタイプ MAN500L、160W/c
m、270〜300nmの相対強度38%(最大発光強
度:365nm))を使用し、250nm未満の波長は
カットした。
【0058】その後、紫外線照射済みの未延伸フィルム
をロール式延伸機にて長手方向に3段に分けて、温度9
2℃で1.5倍、95℃で2.2倍、さらに93℃で
1.3倍延伸し、続いて、テンターを用いて、幅方向に
温度90℃で4.2倍延伸した。定長下で温度210℃
で10秒間熱処理を行い、B層の積層厚さ1μm、全厚
さ7μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
【0059】実施例2 実施例1と同様にポリエステルA用として平均粒径15
nmのδアルミナを含有するエチレングリコールスラリ
ーを調製し、このエチレングリコールスラリーを190
℃で3時間熱処理した後、テレフタル酸ジメチルとエス
テル交換反応させ、重縮合し、該粒子を1wt%含有す
るポリマペレットを得る。その後、無粒子のPETポリ
マーで稀釈して粒子含有量0.1wt%のポリエステル
Aとした。ポリエステルB用として、平均粒径0.3μ
mのコロイダルシリカに起因するシリカ粒子を高濃度含
有したPETポリマーを実施例1と同様の方法で作成
し、その後無粒子のPETポリマで稀釈して含有量0.
2wt%のポリエステルBとした。それぞれのポリマを
溶融押し出しして、B層の積層厚みが0.5μmとなる
よう調節して実施例1と同様にして、A/Bの2層積層
構成の積層ポリエステルフィルムを得た。
【0060】実施例3 通常の方法により得られたポリエチレンテレフタレート
のペレット(ペレット1)、ポリエーテルイミドのペレ
ット“ウルテム1010”(ジーイープラスチックス社
登録商標)(ペレット2)、平均粒径0.6μmのシ
リコン粒子を1重量%含有するポリエチレンテレフタレ
ートのペレット(ペレット3)を用いた。ペレット1と
ペレット2を1対1の割合となるよう配合し、280℃
に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して、剪
断速度100sec-1、滞留時間1分にて溶融押出し、
ポリエーテルイミドを50重量%含有したポリエステル
チップ(ペレット4)を得た。ペレット4とペレット1
を配合しポリエーテルイミドを30重量%含有するポリ
マ(ポリマA)を得た。
【0061】押出機2台を用い、280℃に加熱された
押出機Bには、粒子含有ポリエチレンテレフタレートの
ペレット3を180℃で3時間真空乾燥した後に供給
し、同じく270℃に加熱された押出機Aには、得られ
たポリエーテルイミド含有ポリエステル組成物(ポリマ
A)を180℃で3時間真空乾燥した後に供給し、2層
積層するべくTダイ中で合流させ(積層構成:A/
B)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加
させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作成
した。
【0062】この未延伸フィルムをロール式延伸機にて
長手方向に3段に分けて、温度90℃で1.5倍、95
℃で2.2倍、さらに94℃で1.3倍延伸し、続い
て、テンターを用いて、幅方向に温度90℃で3.8倍
延伸した。定長下で温度210℃で10秒間熱処理を行
い、ポリマAの積層厚さ1μm、全厚さ7μmの積層ポ
リエステルフィルムを得た。
【0063】実施例4 実施例2のポリエステルA(PET)の不活性粒子を
0.03μmのコロイダルシリカに起因するシリカ粒
子、含有量0.3重量%と変更して用い、ポリエステル
B(PET)として実施例3のポリエステルBを用い、
ポリエステルCに用いるポリマーとして、通常の方法で
得られた無粒子のポリエチレン−2,6−ナフタレート
(PEN)とした。
【0064】押出機3台を用い、270℃に加熱された
押出機A,Bには、それぞれポリエステルA、Bを18
0℃で3時間真空乾燥した後に供給し、同じく290℃
に加熱された押出機Cには、ポリエステルCを180℃
で3時間真空乾燥した後に供給し、3層積層するべくT
ダイ中で合流させ(積層構成:A/C/B)、B層がキ
ャスティングドラム面に密着するよう表面温度25℃の
キャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化
し、積層未延伸フィルムを作成した。なお、ポリエステ
ルAの押し出し系には0.6μmカット(95%カット
径)の性能を有する高精度濾過フィルターを設けた。次
いで、実施例1と同様に、この未延伸フィルムに、ロー
ルの周速差を利用して長手方向に1.02倍の微延伸を
施しながら、50℃の雰囲気下で、0.5J/cm2
エネルギー密度になるように照射距離を調節し、フィル
ムのA層側から1秒間紫外光を照射した。
【0065】その後、紫外線照射済みの未延伸フィルム
をロール式延伸機にて長手方向に3段に分けて、温度1
18℃で1.3倍、123℃で3.0倍、さらに120
℃で1.5倍延伸し、続いて、テンターを用いて、幅方
向に温度115℃で5.2倍延伸した。定長下で温度2
10℃で10秒間熱処理を行い、A/C/Bの3層構成
の総厚み7μm、A層0.05μm、B層1μmの積層
フィルムを得た。
【0066】実施例5 平均粒径0.3μmのケイ酸アルミニウム粒子を含有す
るエチレングリコールスラリーを調製し、このエチレン
グリコールスラリーを190℃で1時間熱処理した後、
テレフタル酸ジメチルとエステル交換反応させ、重縮合
し、該粒子を1.0重量%含有するポリエステルを得
る。その後、無粒子のPETポリマで稀釈して粒子含有
量0.3重量%のポリエステルAを得た。このポリエス
テルAを用い、その他は実施例1と同様にして単層で製
膜し、総厚み7μmの単膜のフィルムを得た。
【0067】上記実施例1〜5で得られた(積層)ポリ
エステルフィルムの特性は、表2に示したとおり、いず
れも、本発明で特定した表面条件を満足し、走行性、耐
久性、耐傷つけ性に優れた特性を有していた。
【0068】比較例1 通常の方法により得られたポリエチレンテレフタレート
(固有粘度0.63、平均粒径2.1μmの炭酸カルシ
ウム粒子を3重量%配合)のペレットを用いて実施例5
と同様にして全厚み7μmの単層フィルムを得た。紫外
線照射の条件は表の通りとした。
【0069】比較例2 実施例4で用いたポリマAのシリカ粒子の平均粒径と添
加量を表1の通りに変更したポリエステルAを用い、未
延伸フィルムに紫外線を照射せずにそれ以外はすべて実
施例1と同様にして総厚み6μm、A層積層厚み0.0
5μmのB/Aの2層積層構成のフィルムを得た。
【0070】比較例3 実施例4で用いたシリカ粒子の添加量を2.0重量%に
変更した以外は実施例4と同様に未延伸フィルムを作成
し、紫外線を照射して実施例4と同様に、総厚み7μ
m、A層積層厚み0.05μm、B層積層厚み1μmの
A/C/Bの3層積層構成のフィルムを得た。
【0071】比較例4 実施例1と同様に作成した未延伸フィルムに紫外線を照
射せずに、ロール式縦延伸機で長手方向に92℃で3.
8倍延伸した後、下記の水溶液をA層表面に塗布し、続
いて、テンターを用いて、幅方向に温度110℃で4.
0倍延伸した。定長下で温度215℃で10秒間熱処理
を行い、B層の積層厚さ1μm、全厚さ7μmの積層ポ
リエステルフィルムを得た。 [コーティング剤組成] 水溶性ポリエステル樹脂 :0.30重量% テレフタル酸 87.5モル% 5−ナトリウムスルホニルイソフタル酸 12.5モル% エチレングリコール 100モル% メチルセルロース :0.10重量% アミノエチルシランカップリング剤 :0.01重量% コロイダルシリカ(平均粒径18nm):0.03重量% 上記水溶性ポリエステル樹脂で構成される水系塗料の固
形分塗布濃度は20mg/m2とした。
【0072】比較例5 重合触媒に酢酸マグネシウム0.1重量%、三酸化アン
チモン0.03重量%、リン化合物としてジメチルフェ
ニルホスホネート0.35重量%を用いて常法により重
合したポリエチレンテレフタレートを用いた。
【0073】ポリエステルBとして、重合触媒に酢酸マ
グネシウム0.06重量%、三酸化アンチモン0.00
8重量%、リン化合物としてトリメチルホスフェート
0.02重量%を用いて常法により重合したポリエチレ
ンテレフタレートを用いた。これらのポリマを、それぞ
れ180℃で3時間乾燥後、2台の公知の押出機を用い
て、ポリエステルAを290℃で、ポリエステルBを2
75℃でそれぞれ溶融押出しを行い、3層用の矩形の合
流ブロック(フィードブロック)で、A/B/Aの積層
構成になるように合流積層し、静電印加キャスト法を用
いて、表面温度20℃の金属キャスティングドラム上に
巻き付けて、冷却、固化し、未延伸フィルムを得た。
【0074】この未延伸フィルムに、熱処理温度150
℃の条件で、公知のシリコーンゴム製ロール上で加熱処
理を行った後、ロール間で、90℃、延伸速度2000
%/分で縦方向に3.8倍延伸後、公知のステンタを用
いて10000%/分で幅方向に100℃で4.5倍で
延伸を行い、定長下で200℃にて3秒間熱処理を行
い、さらに190℃で2秒間10%の比率で幅方向の弛
緩熱処理を行い、総厚さ7μmの2軸配向積層フィルム
を得た。
【0075】比較例6 通常の方法により得られたポリエチレンテレフタレート
のペレット(ペレット1)、ポリエーテルイミドのペレ
ット“ウルテム1010”(ジーイープラスチックス社
登録商標)(ペレット2)、平均粒径0.6μmのシ
リコン粒子を1重量%含有するポリエチレンテレフタレ
ートのペレット(ペレット3)を用いた。ペレット1と
ペレット2を1対1の割合となるよう配合し、280℃
に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して、剪
断速度100sec-1、滞留時間1分にて溶融押出し、
ポリエーテルイミドを50重量%含有したポリエステル
チップ(ペレット4)を得た。ペレット4とペレット2
を配合しポリエーテルイミドを55重量%含有するポリ
マ(ポリマA)を得た。
【0076】押出機2台を用い、280℃に加熱された
押出機Bには、粒子含有ポリエチレンテレフタレートの
ペレット3を180℃で3時間真空乾燥した後に供給
し、同じく270℃に加熱された押出機Aには、得られ
たポリエーテルイミド含有ポリエステル組成物(ポリマ
A)を180℃で3時間真空乾燥した後に供給し、2層
積層するべくTダイ中で合流させ(積層構成:A/
B)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加
させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作成
した。
【0077】この未延伸フィルムをロール式延伸機にて
長手方向に3段に分けて、温度90℃で1.5倍、95
℃で2.2倍、さらに94℃で1.3倍延伸し、続い
て、テンターを用いて、幅方向に温度90℃で3.8倍
延伸した。定長下で温度210℃で10秒間熱処理を行
い、ポリマBの積層厚さ1μm、全厚さ7μmの積層ポ
リエステルフィルムを得た。
【0078】上記比較例1〜6で得られた(積層)ポリ
エステルフィルムは、表2に示したとおり、いずれも、
本発明で特定した表面条件を満足せず、耐傷つけ性、走
行性等が不良であり、これらの特性を同時に満足するも
のは得られなかった。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【発明の効果】磁気記録テープの録画再生時のヘッドへ
の耐久性に優れ、かつ、フィルムの走行性と磁性面側の
フィルム表面の耐久性に優れたベースフィルムを得るこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67/02 G11B 5/73 G11B 5/73 B41M 5/26 B Fターム(参考) 2H111 BB06 BB08 FA35 4F071 AA26 AA45 AA46 AA67 AB18 AB26 AC03 AD02 AE11 AH12 AH14 BB08 BC01 BC14 BC15 4F100 AK12H AK12J AK41A AK41B AK41C AK42A AK42B AK42C AL01H BA02 BA03 BA06 BA10A BA10B CA23B DD07A EJ38A EJ54 GB41 JB20B JB20H JL00 YY00A YY00B YY00H 4J002 BD122 CF011 CF031 CF041 CF061 CF081 CF091 CF141 CF181 CP032 DE136 DE146 DJ016 FD016 GS01 5D006 CB01 CB05 CB07 CB08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面の地肌部分に微細な突起が多数形成
    された二軸配向ポリエステルフィルムであって、該微細
    突起は、突起高さが3〜5nmである突起の総突起個数
    が300万〜1億個/mm2であり、かつ、突起の高さ
    のしきい値が3nmの時のグレインサイズの平均値が1
    0〜100nmであることを特徴とする二軸配向ポリエ
    ステルフィルム。
  2. 【請求項2】 表面の地肌部分に微細な突起が多数形成
    された二軸配向ポリエステルフィルムであって、突起高
    さが3〜5nmである突起の総突起個数が300万〜1
    億個/mm2であり、かつ、突起の高さのしきい値が3
    nmの時のグレインサイズの平均値が10〜100nm
    である微細突起を外表面に有するポリエステルA層を、
    ポリエステルB層の少なくとも片面側に積層してなるこ
    とを特徴とする積層二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 表面の地肌部分に微細な突起が多数形成
    された二軸配向ポリエステルフィルムであって、片面の
    最外層が、突起高さが3〜5nmである突起の総突起個
    数が300万〜1億個/mm2であり、かつ、突起の高
    さのしきい値が3nmの時のグレインサイズの平均値が
    10〜100nmの微細突起を外表面に有するポリエス
    テルA層であり、他の片面の最外層が不活性粒子を含有
    したポリエステルB層であり、さらに、ポリエステルA
    層とポリエステルB層との間に他のポリエステル層が介
    在することを特徴とする積層二軸配向ポリエステルフィ
    ルム。
  4. 【請求項4】 不活性粒子の平均粒径が0.001〜2
    μmであることを特徴とする請求項3に記載の積層二軸
    配向ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 ポリエステルがポリエチレンテレフタレ
    ート又はポリエチレン−2、6−ナフタレートであるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配
    向ポリエステルフィルム。
JP2000064850A 2000-03-09 2000-03-09 二軸配向ポリエステルフィルム Pending JP2001253958A (ja)

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JP2000064850A JP2001253958A (ja) 2000-03-09 2000-03-09 二軸配向ポリエステルフィルム

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