JP2009196176A - 離型フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】オリゴマー析出量が極力少なく、帯電防止性、シリコーン密着性が良好な離型フィルムを提供する。
【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、下記式(I)で示されるオルガノシロキサンの少なくとも一種と、金属化合物とをアルコールで希釈した液を塗布、乾燥させて得られるアンカー層を有し、当該アンカー層上に、付加反応型シリコーン樹脂を塗布、乾燥させて形成した離型層を有することを特徴とする離型ポリエステルフィルム。
[上記式(I)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、アルコキシ基またはエポキシ基を含む有機基を示し、R3はアルコキシ基または特定な基を示し、nおよびmは0〜10の整数である]
【選択図】なし
【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、下記式(I)で示されるオルガノシロキサンの少なくとも一種と、金属化合物とをアルコールで希釈した液を塗布、乾燥させて得られるアンカー層を有し、当該アンカー層上に、付加反応型シリコーン樹脂を塗布、乾燥させて形成した離型層を有することを特徴とする離型ポリエステルフィルム。
[上記式(I)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、アルコキシ基またはエポキシ基を含む有機基を示し、R3はアルコキシ基または特定な基を示し、nおよびmは0〜10の整数である]
【選択図】なし
Description
本発明は、離型フィルムに関するものである。
従来、ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムが、液晶偏光板、位相差板等の液晶構成部材製造時に用いる粘着剤層保護用に使用されているが、高温下、離型層表面に析出するオリゴマーが製造工程内において各種不具合を生じることが問題となっている。液晶偏光板の製造工程は、粘着剤層を介して離型フィルムと偏光板が貼り合わされてロール状に巻き取られる工程等からなるが、粘着剤塗布後の乾燥工程を経てオリゴマーが析出するものと考えられる。離型層表面に析出するオリゴマーは、貼り合わせている相手方の粘着剤層表面へ転着し、オリゴマーの付着した粘着剤層付きの偏光板をガラス基板と貼り合わせてLCDを製造した場合、得られるLCDの輝度が低下する等の不具合を生じる場合がある。
近年、LCDの視認性向上を目的として表示画面の輝度をより高くする傾向にあり、上記不具合が深刻な問題となってきている。また、生産性向上に伴う製造コストの低減を図ることを目的として、製造工程における高速化に伴い、特に乾燥工程における乾燥温度をより高く設定する傾向にあり、上述のオリゴマーがより析出しやすい状況になっている。
このオリゴマー析出を解決するために、シランカップリング剤と金属キレートを用いたアンカー層が提案されている(特許文献1および2)。アンカー層を設け、次いで、シリコーン離型層を設けることで、上記課題を解決できるが不十分である。
一方、粘着加工工程中において、離型フィルムの帯電が問題になることがある。例えば、離型フィルムが帯電してしまうと、離型面に塵埃が付着しまい、粘着剤側に塵埃が混入してしまう、粘着剤塗布工程においては粘着剤の塗布むらが発生するなどの問題がある。また、検査時に離型フィルムを一旦剥離し、検査終了後に再度貼付けることがあり、その場合、剥離帯電が発生する場合がある。
特許文献1および2の方法では、帯電の問題は解決できない。帯電の問題を解決するため、以下の2つの方法が提案されている。一つは、ポリエステルフィルム製膜工程時に主鎖にピロリジウム環を有するポリマーを塗布して延伸して塗布層を有する二軸延伸ポリエステルフィルムを形成した後、当該塗布層上にシリコーン離型層を設ける方法(特許文献3)、もう一つは、ポリエステルフィルムに、側鎖および末端基の8割以上が水酸基で置換されたポリシロキサンの部分加水分解物を塗布し、次いで、当該塗布層上にシリコーン離型層を設ける方法である(特許文献4)
特許文献3の方法では、付加反応型シリコーン樹脂の白金触媒の触媒毒である窒素が含有されているため、シリコーン離型層の硬化時の架橋反応が阻害され、密着性の低く、転移成分の多いシリコーン離型層が形成されてしまう。また、特許文献4の方法では、良好な帯電防止性、上記のオリゴマー析出抑制、シリコーン離型層とポリエステルフィルムへの良好な密着性が得られるが、アンカー層の硬化速度が悪いという欠点がある。アンカー層および離型性シリコーン皮膜の形成は、ポリシロキサンの部分加水分解物を塗工し、乾燥し、続いて、離型性シリコーン樹脂を塗工し、乾燥によって行われる。アンカー層の塗工後の乾燥から離型性シリコーン皮膜塗工までの時間間隔は、コストの観点で短いほどよい。さらに、アンカー層形成後、一度巻き上げて、改めて離型性シリコーン皮膜を形成するのでなく、アンカー層形成後、連続して離型性シリコーン皮膜を塗布することが適している。これは、加工コストを下げるだけでなく、加工工程数を減らすことから異物混入を減らすことができるため、離型性フィルムに求められている異物削減に繋がる。特許文献3の方法で連続塗工、または、アンカー層を設けた後直ちにシリコーン樹脂層を塗工した場合、一段目のアンカー層の硬化が不十分となり、有機溶媒を用いて硬化性シリコーン樹脂を塗工する際に、アンカー層が溶媒によって脱離したり、離型性シリコーン皮膜の密着性が不充分となったりして、摩擦等によりシリコーン層も含めて容易に脱離してしまうという問題が発生する。また、アンカー層の硬化が不十分であると、工程中のガイドロールとの接触によりアンカー層が脱落する恐れもある。よって、シリコーン樹脂層を形成する前に、あらかじめ、硬化性のよいアンカー層を形成する必要がある。
特開2004−177719号公報
特開2006−334806号公報
特開平1−171940号公報
特公平2−6625号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、オリゴマー析出量が極力少なく、帯電防止性、シリコーン密着性が良好な離型フィルムを提供することにある。
本発明者は、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる離型フィルムを用いれば、上述の課題を解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、下記式(I)で示されるオルガノシロキサンの少なくとも一種と、金属化合物とをアルコールで希釈した液を塗布、乾燥させて得られるアンカー層を有し、当該アンカー層上に、付加反応型シリコーン樹脂を塗布、乾燥させて形成した離型層を有することを特徴とする離型ポリエステルフィルムに存する。
[上記式(I)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、アルコキシ基またはエポキシ基を含む有機基を示し、R3はアルコキシ基または下記式(II)で示される基を示し、nおよびmは0〜10の整数である]
[上記式(II)中、R4はR1基またはR2基である]
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において、ポリエステルフィルムに使用するポリエステルはホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。
本発明において、ポリエステルフィルムに使用するポリエステルはホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。
一方、共重合ポリエステルの場合は30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート単位であるポリエチレン−2,6−ナフタレート等であるポリエステルを指す。
本発明におけるポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されているような耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。
さらにポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等の何れを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
使用する粒子の平均粒径は、0.1〜5μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.5〜3μmの範囲である。平均粒径が0.1μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分となることがあり、一方、5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を設ける場合等に不具合を生じることがある。さらにポリエステル中の粒子含有量は、0.01〜5重量%を満足するのが好ましく、さらに好ましくは0.01〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.01重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分になる場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルム表面の平滑性が不十分になる場合がある。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後に粒子の添加を行い、重縮合反応を進める方法を採用する。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは特に限定される訳ではないが、通常、9〜188μm、好ましくは9〜100μmの範囲がよい。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、押出し機を用いて、ダイより押し出された溶融シートを用いて冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法がよい。
この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。
その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸を行うが、延伸温度は通常130〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。
そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。
その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。また、同時二軸延伸を行うことも可能である。同時二軸延伸法としては前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で縦方向(あるいは機械方向)および横方向(あるいは幅方向)に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。
上述の延伸方式を使用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。「スクリュー方式」はスクリューの溝にクリップを乗せてクリップ間隔を広げていく方式である。「パンタグラフ方式」はパンタグラフを用いてクリップ間隔を広げていく方式である。「リニアモーター方式」はリニアモーター原理を応用し、クリップを個々に制御可能な方式でクリップ間隔を任意に調整することができる利点を有する。
さらに同時二軸延伸に関しては二段階以上に分割して行ってもよく、その場合、延伸場所は一つのテンター内で行ってもよいし、複数のテンターを併用してもよい。同時二軸延伸法としては、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。
また、上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。
それは以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。上述の塗布延伸法にてポリエステルフィルム上にアンカー層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共にアンカー層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
また、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明におけるアンカー層であるが、下記式(I)のオルガノシロキサンと金属化合物のアルコール溶液を塗布して形成することが必須である。
上記(I)式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基などのようなエポキシ基を含有する有機基、または、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基であり、R3はメトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、または下記式(II)で示される基である。
上記(II)式中、R4はR1基またはR2基と同じ、エポキシ基含有有機基またはアルコキシ基である。このオルガノシロキサンとして具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、メトラエトキシシランなどの単量体、およびこれら単量体もしくはこれら単量体の混合物の加水分解性生物が例示される。
本発明ので用いる金属化合物としては、金属キレート化合物が好ましく、Al,Ti,Fe,Ni,Sn,Cu,Mg,In,Sb等のキレートが挙げられるが、特にAlキレートが適している。また、Alキレートと有機錫化合物の併用も有効である。Alキレートの具体例として、アルミニウムトリス(アセチルアセトネ−ト)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソ−プロポキシド−モノメチルアセトアセテート等が例示される。有機錫化合物の具体例として、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジオレート、ジフェニル錫ジアセテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジメトキサイド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)錫、ジブチル錫ベンジルマレート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウリレート等が挙げられる。
本発明における離型フィルムを構成する離型層であるが、付加反応型シリコーン樹脂の具体例を挙げると、信越化学工業製KS−774,KS−775,KS−778,KS−779H,KS−847H,KS−847T,東芝シリコーン製TPR−6700,TPR−6710,TPR−6721,東レ・ダウ・コーニング製SD7220,SD7226等が挙げられる。本発明における離型フィルムを構成する離型層の塗布量(Si)(乾燥後)は0.01〜2g/m2、好ましくは0.01〜1g/m2、さらに好ましくは0.01〜0.5g/m2の範囲が好ましい。塗布量(Si)(乾燥後)が0.01g/m2未満の場合、塗工性の面より安定性に欠ける傾向があり、均一な塗膜を得るのが困難な場合がある。一方、塗布量(Si)が2g/m2を超える場合、アンカー層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
本発明において、ポリエステルフィルムにアンカー層、シリコーン離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、バーコート、ダイコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
アンカー層の塗布後の乾燥温度は特に限定されるわけでないが、オフラインコーティングによりアンカー層を設ける場合、100〜150℃であり、好ましくは110〜140℃が好適であり、さらに110〜130℃が好適である。100℃以下では、硬化が不十分であり、一方、150℃以上であると、ポリエステルフィルムに熱シワが発生してしまい、次工程の離型層を均一に塗布することが困難となる。
本発明において、ポリエステルフィルム上にシリコーン離型層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、120〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのがよい。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
本発明によれば、オリゴマー析出量が極力少なく、帯電防止性、シリコーン密着性が良好な離型フィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)アンカー層の硬化性評価
ポリエステルフィルムにアンカー層を設けた直後15分後に、アンカー層にトルエン/MEK=1/1混合溶媒を、メイヤーバーで塗布、乾燥させた後、アンカー層にキズが発生したかを目視で判定した。
《判定基準》
○:キズが発生していない(実用可能なレベル)
×:キズが発生している(実用困難なレベル〉
ポリエステルフィルムにアンカー層を設けた直後15分後に、アンカー層にトルエン/MEK=1/1混合溶媒を、メイヤーバーで塗布、乾燥させた後、アンカー層にキズが発生したかを目視で判定した。
《判定基準》
○:キズが発生していない(実用可能なレベル)
×:キズが発生している(実用困難なレベル〉
(4)離型フィルムの塗膜密着性促進評価(実用特性代用評価)
試料フィルム加工直後からに、恒温恒湿槽中、25℃、50%RH雰囲気下、1ヶ月放置した後に試料フィルムを取り出した。その後直ちに、試料フィルムの離型面を触手により10回擦り、離型層の脱落程度を下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
○:塗膜の脱落が見られない(実用可能なレベル)
△:塗膜が白くなるが脱落はしていない(実用可能なレベル〉
×:塗膜の脱落が確認された(実用困難なレベル)
試料フィルム加工直後からに、恒温恒湿槽中、25℃、50%RH雰囲気下、1ヶ月放置した後に試料フィルムを取り出した。その後直ちに、試料フィルムの離型面を触手により10回擦り、離型層の脱落程度を下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
○:塗膜の脱落が見られない(実用可能なレベル)
△:塗膜が白くなるが脱落はしていない(実用可能なレベル〉
×:塗膜の脱落が確認された(実用困難なレベル)
(5)離型フィルムの離型層表面から抽出されるオリゴマー量(OL)の測定
あらかじめ、未熱処理の離型フィルムを空気中、180℃で10分間加熱する。その後、熱処理をした該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmの箱の内面にできるだけ密着させて箱形の形状とする。離型層を設けている場合は離型層面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF(ジメチルホルムアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m2)とする。以下の基準で評価した。
《判定基準》
○:1mg/m2未満(実用可能なレベル)
×:1mg/m2以上(実用困難なレベル〉
あらかじめ、未熱処理の離型フィルムを空気中、180℃で10分間加熱する。その後、熱処理をした該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmの箱の内面にできるだけ密着させて箱形の形状とする。離型層を設けている場合は離型層面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF(ジメチルホルムアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m2)とする。以下の基準で評価した。
《判定基準》
○:1mg/m2未満(実用可能なレベル)
×:1mg/m2以上(実用困難なレベル〉
なお、DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、あらかじめ分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
(6)帯電防止性の評価
離型フィルムの離型面側の表面固有抵抗を、ヒューレットパッカード社製高抵抗計:4329A(商品名)および測定電極:16008A(商品名)を使用し、測定温度23℃、測定湿度50%の条件調湿後、印加電圧100Vで1分後の表面固有抵抗率Ω/□を測定し、以下の基準で判定した。
《判定基準》
○:1×1013 Ω/□未満
×:1×1013 Ω/□以上
離型フィルムの離型面側の表面固有抵抗を、ヒューレットパッカード社製高抵抗計:4329A(商品名)および測定電極:16008A(商品名)を使用し、測定温度23℃、測定湿度50%の条件調湿後、印加電圧100Vで1分後の表面固有抵抗率Ω/□を測定し、以下の基準で判定した。
《判定基準》
○:1×1013 Ω/□未満
×:1×1013 Ω/□以上
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエチレンテレフタレートA1)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.03部、平均粒径1.5μmのシリカ粒子を0.01部添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.61のポリエチレンテレフタレートA1を得た。
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエチレンテレフタレートA1)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.03部、平均粒径1.5μmのシリカ粒子を0.01部添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.61のポリエチレンテレフタレートA1を得た。
実施例1:
製造例1で製造したポリエチレンテレフタレートA1を180℃で4時間、不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融し、口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。得られた未延伸シートにまず、95℃で延伸倍率をMD方向に3.6倍延伸し、テンターに導き、TD方向に4.3倍の逐次二軸延伸を行った。その後、230℃にて3秒間熱固定し、厚さ38μmのPETフィルムを得た。次に、PETフィルム表面に、下記アンカー剤組成からなるアンカー剤を塗布量(乾燥後)が0.04g/m2になるようにリバースグラビアコート方式により塗工し、120℃、15秒間熱処理した後、次いで、下記離型剤組成からなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.11g/m2になるようにリバースグラビアコート方式により塗設し、150℃、15秒間熱処理した後に離型フィルムを得た。
製造例1で製造したポリエチレンテレフタレートA1を180℃で4時間、不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融し、口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。得られた未延伸シートにまず、95℃で延伸倍率をMD方向に3.6倍延伸し、テンターに導き、TD方向に4.3倍の逐次二軸延伸を行った。その後、230℃にて3秒間熱固定し、厚さ38μmのPETフィルムを得た。次に、PETフィルム表面に、下記アンカー剤組成からなるアンカー剤を塗布量(乾燥後)が0.04g/m2になるようにリバースグラビアコート方式により塗工し、120℃、15秒間熱処理した後、次いで、下記離型剤組成からなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.11g/m2になるようにリバースグラビアコート方式により塗設し、150℃、15秒間熱処理した後に離型フィルムを得た。
《アンカー剤組成》
オルガノシロキサン(エチルシリケート48:コルコート社):10重量部
アルミニウムキレート(ALCH−TR:川研ファインケミカル):10重量部
上記の重量部の化合物を、イソプロピルアルコールで固形分濃度1重量%になるように希釈してアンカー塗布液を作成した。
オルガノシロキサン(エチルシリケート48:コルコート社):10重量部
アルミニウムキレート(ALCH−TR:川研ファインケミカル):10重量部
上記の重量部の化合物を、イソプロピルアルコールで固形分濃度1重量%になるように希釈してアンカー塗布液を作成した。
《離型剤組成》
シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製):20重量部
硬化剤(PL−50T:信越化学製):0.2重量部
上記の重量部の化合物をMEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1)350重量部で希釈し、塗布液を作成した。
シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製):20重量部
硬化剤(PL−50T:信越化学製):0.2重量部
上記の重量部の化合物をMEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1)350重量部で希釈し、塗布液を作成した。
実施例2,3および比較例1〜3:
実施例1において、下記表1および2に示すアンカー剤組成、表2に示すアンカー層の有無を変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。上記実施例および比較例で得られた各離型フィルムの特性評価をまとめて表2に示す。
実施例1において、下記表1および2に示すアンカー剤組成、表2に示すアンカー層の有無を変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。上記実施例および比較例で得られた各離型フィルムの特性評価をまとめて表2に示す。
表1中の塗剤については、以下のとおりである。
PS−8S(信越化学製)有機錫化合物,KBM−303(信越化学製)2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン,コルコートP(コルコート製)側鎖および末端基の8割以上が水酸基で置換されたポリシロキサンの部分加水分解物
PS−8S(信越化学製)有機錫化合物,KBM−303(信越化学製)2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン,コルコートP(コルコート製)側鎖および末端基の8割以上が水酸基で置換されたポリシロキサンの部分加水分解物
なお、比較例1については、硬化が進まず、液状であったことから評価を×とした。
本発明の離型フィルムは、例えば、LCD、PDP、有機EL等、表示部材製造用等の光学用途で、安定した剥離力が必要な用途に好適に利用することができる。
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- 2008-02-20 JP JP2008039040A patent/JP2009196176A/ja active Pending
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