JP2012183735A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 オリゴマー析出量が極めて少なく、例えば、LCD用偏光板、位相差板等の液晶構成部材製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種光学用途等に好適な離型フィルムを提供する。
【解決手段】 少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステルフィルムの片面に塗布層(1)を有し、反対側のフィルム面に、ニッケル元素または亜鉛元素を含む有機化合物の少なくとも1種と有機珪素化合物とを含有する塗布層(2)を有し、当該離型層(2)上に離型層を有することを特徴とする離型フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、オリゴマー析出量が極力少ない離型フィルムに関するものであり、例えば、液晶ディスプレイ(以下、LCDと略記する)に用いられる偏光板、位相差板等のLCD構成部材製造用、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する)構成部材製造用、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記する)構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種光学用途等に好適な離型フィルムに関するものである。
従来、ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムが、LCD用偏光板、位相差板製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用等、各種光学用途等に使用されている。離型フィルム使用上の問題点として、高温下、離型層表面に析出するオリゴマーが製造工程内において各種不具合を生じることが挙げられる。
近年、IT(Information Technology)分野の躍進に伴い、LCD、PDP、有機EL等の表示部材製造時に使用される離型フィルムの品質向上と共にオリゴマーの析出に伴う各種不具合が顕在化する状況にある。
上述の各種用途に対応するために、離型性に優れるだけでなく、フィルム表面の異物を極力少なくすることが望まれる。すなわち、特に光を透過して見る、いわゆる視認性を重視する用途でもあるため、通常のフィルム用途では全く問題とならないフィルム表面の異物ですら重大な問題となるからである。
例えば、LCD用偏光板の製造工程を一例に挙げると、当該製造工程は、粘着剤層を介して離型フィルムと偏光板が貼り合わされてロール状に巻き取られる工程を含んでいるが、オリゴマーは粘着剤塗布後の乾燥工程を経て析出するものと考えられる。離型層表面に析出するオリゴマーは、貼り合わせている相手方粘着剤層表面へ転着し、オリゴマーの付着した粘着剤層付きの偏光板をガラス基板と貼り合わせてLCDを製造した場合、得られるLCDの輝度が低下する等の不具合を生じる場合がある。
近年、LCDの視認性向上を目的として表示画面の輝度をより高くする傾向があり、上記不具合が深刻な問題となってきている。
一方、生産性向上に伴う製造コストの低減を図ることを目的として、製造工程の高速化に伴い、特に乾燥工程における乾燥温度をより高く設定する傾向があり、上述のオリゴマーがより析出しやすい状況になっている。
LCD用偏光板の表示能力、色相、コントラスト、異物混入などの光学的評価を伴う検査工程においては、目視あるいは拡大鏡使用による欠陥品の流出防止対策が講じられているが、結晶化したオリゴマーが付着した離型フィルムを使用した場合、異物混入により不良品と判定され、製品歩留まりが低下する等の不具合を生じるという問題を抱えている。
特開平5−194768号公報 特開平9−323392号公報 特開昭52−32030号公報 特開平9−59041号公報
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、オリゴマー析出量が極めて少なく、例えば、LCD用偏光板、位相差板等の液晶構成部材製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種光学用途等に好適な離型フィルムを提供するものである。
本発明者らは、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる離型フィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステルフィルムの片面に塗布層(1)を有し、反対側のフィルム面に、ニッケル元素または亜鉛元素を含む有機化合物の少なくとも1種と有機珪素化合物とを含有する塗布層(2)を有し、当該離型層(2)上に離型層を有することを特徴とする離型フィルムに存する。
本発明の離型フィルムによれば、オリゴマー析出量が極力少ない離型フィルムを提供することが可能であり、特にオリゴマー由来の異物の存在を極端に嫌う用途に好適であり、その工業的価値は高い。
本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても積層構成であってもよく、例えば、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を超えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
本発明において、ポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
さらに、ポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常5〜250μm、好ましくは5〜188μmの範囲である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜 110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常 3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の 温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明におけるポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
本発明において、離型フィルムを構成する塗布層(1)中には、外部から塗布層(1)への熱的ダメージにより、オリゴマー析出量が増加することを低減するため、四級アンモニウム塩基含有ポリマー(A)を含有することが好ましい。
本発明において使用する4級アンモニウム塩基を有する化合物に関しては、分子中の主鎖や側鎖に、4級アンモニウム塩基を含む構成要素を有するものが対象となる。具体例としては、ピロリジウム環、アルキルアミンの4級化物、さらにこれらをアクリル酸やメタクリル酸と共重合したもの、N−アルキルアミノアクリルアミドの4級化物、ビニルベンジルトリメチルアンモニウム塩、2−ヒドロキシ3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。さらに、これらを組み合わせたり、あるいは他のバインダーポリマーと共重合させたりしても構わない。また、これら4級アンモニウム塩の対イオンとなるアニオンとしては例えば、ハロゲン、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、硝酸等のイオンが挙げられる。中でも、ハロゲン以外の対イオンが、特に耐熱性が良好となる点でこのましい。
本発明においては、4級アンモニウム塩基を有する化合物は高分子化合物であることが望ましい。分子量が低すぎる場合は、塗布層中から容易に除去されて経時的に性能が低下、あるいは塗布層のブロッキング等の不具合を生じる場合がある。また、分子量が低いと耐熱安定性に劣る場合がある。かかる観点より、4級アンモニウム塩基を有する化合物の数平均分子量は通常、1000以上、好ましくは2000以上、さらに好ましくは5000以上であることがよい。一方、数平均分子量が高すぎる場合は、塗布液の粘度が高くなりすぎる等の不具合を生じる場合がある。かかる観点より、数平均分子量の上限は500000以下を目安にするのが好ましい。また、これらの化合物は単独で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
塗布層中における四級アンモニウム塩基含有ポリマー(A)の配合量は20〜70重量%の範囲であるのが好ましく、さらに好ましくは40〜70重量%の範囲であるのがよい。当該範囲を外れる場合、所望するオリゴマー封止効果を得るのが困難になる場合がある。
本発明における離型フィルムを構成する、積層ポリエステルフィルムにおいて、従来よりもさらに高度な塗布性を確保することにより、塗布層形成時における延伸追従性を良好とすることを目的として、塗布層を構成するポリエチレングリコール含有ポリマー(B)を含有することが好ましい。具体的には、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(ポリエチレグリコール単位の重合度は4〜14の範囲が好ましい。)、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート等を出発原料とする重合体が例示される。
本発明におけるポリエチレングリコール含有ポリマー(B)の数平均分子量は通常、1000以上、好ましくは2000以上、さらに好ましくは5000以上であることがよい。一方、数平均分子量が高すぎる場合は、塗布液の粘度が高くなりすぎる等の不具合を生じる場合がある。かかる観点より、数平均分子量の上限は500000以下を目安にするのが好ましい。また、これらの化合物は単独で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
本発明における塗布層(1)中には塗布層(1)のさらなる耐久性向上を目的として、架橋剤(C)を併用することが好ましい。具体例として、メチロール化またはアルキロール化した尿素、メラミン、グアナミン、アクリルアミド、ポリアミド化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ブロックポリイソシアネート、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネートカップリング剤、ポリカルボジイミド等が挙げられる。
架橋剤(C)の中でも、特に本発明の用途上、塗布性、耐久密着性が良好となる点で、メラミン架橋剤が好ましい。メラミン架橋剤としては、特に限定されるものではないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全エーテル化した化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。
また、メラミン架橋剤は、単量体、あるいは2量体以上の多量体からなる縮合物のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。上記エーテル化に用いる低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを好ましく使用することができる。官能基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン、メチロール基型メラミン、メチロール基型メチル化メラミン、完全アルキル型メチル化メラミンなどを用いることができる。その中でもメチロール化メラミンが最も好ましい。さらに、メラミン架橋剤の熱硬化促進を目的として、例えば、p−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を併用することもできる。
本発明の離型フィルムを構成する塗布層(1)中に含有されるメラミン架橋剤の配合量は、通常1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲である。当該範囲を外れる場合、塗布層の耐久密着性が不十分な場合がある。
さらに塗布層(1)の固着性、滑り性改良を目的として、粒子(D)を含有するのが好ましい。具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、バリウム塩等が挙げられる。
塗布層(1)中における粒子の配合量は、通常0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。かかる配合量が0.5重量%未満では、耐ブロッキング性が不十分となる場合があり、一方、10重量%を超えると、フィルムの透明性が低下する場合がある。
また、本発明の主旨を損なわない範囲において、塗布層(1)中には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤発泡剤、染料等が含有されてもよい。
塗布延伸法(インラインコーティング)の場合、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固型分濃度を0.1重量%〜50重量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。
また、本発明の要旨を越えない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤としては、n−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール等の脂肪族または脂環族アルコール類、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、n−ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。有機溶剤は一種類のみでもよく、適宜、二種類以上を使用してもよい。
本発明におけるポリエステルフィルム上に設けられる塗布層(1)の塗布量(乾燥後)は通常0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/m、さらに好ましくは0.005〜0.1g/mの範囲である。塗布量が0.005g/m未満の場合には、塗布厚みの均一性が不十分な場合があり、熱処理後、塗布層表面から析出するオリゴマー量が多くなる場合がある。一方、1g/mを超えて塗布する場合には、滑り性低下等の不具合を生じる場合がある。
本発明における離型フィルムにおいて、塗布外観の向上、オリゴマー析出防止性の向上等を目的として、本発明の主旨を損なわない範囲において、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等のバインダーポリマーを併用することも可能である。
本発明において、塗布層(1)を設ける方法は、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート、スプレーコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明における離型フィルムに関して、例えば、タッチパネル用等、長時間、高温雰囲気下に晒された後であっても、高度な透明性が要求される場合がある。かかる観点より、タッチパネル用部材として対応するためには、熱処理(180℃、1時間)前後におけるフィルムヘーズ変化率(ΔH)が0.5%以下であるのが好ましく、さらに好ましくは0.3%以下、もっとも好ましくは0.1%以下がよい。ΔHが0.5%を越える場合にはフィルムヘーズ上昇に伴い視認性が低下し、例えば、タッチパネル用等、高度な視認性が必要とされる用途に不適となる場合がある。
本発明における離型フィルムを熱処理(180℃、1時間)した前後における塗布層(A)表面からジメチルホルムアミドにより抽出されるオリゴマー(環状三量体)量(OL)は、通常1.0mg/m以下であり、好ましくは0.8mg/m以下である。OLが1.0mg/mを超える場合、後加工において、例えば、180℃、1時間等、高温雰囲気下で長時間の加熱処理に伴い、オリゴマー析出量が多くなり、フィルムの透明性が低下する場合がある。
次に本発明における離型フィルムを構成する塗布層(2)の形成について説明する。塗布層(2)に関しては上述の塗布延伸法(インラインコーティング)を用いてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用してもよく、何れの手法を採用してもよい。
本発明は、ニッケル元素または亜鉛元素を含む有機化合物の少なくとも1種を塗布層中に含有することを必須の要件とするものである。
ニッケル元素を有する有機化合物の具体例としては、例えば、ステアリン酸ニッケル、マルガリン酸ニッケル、パルミチン酸ニッケル、ペンタデシル酸ニッケル、ミリスチン酸ニッケル、トリデカン酸ニッケル、ラウリン酸ニッケル、ウンデカン酸ニッケル、カプリン酸ニッケル、ペラルゴン酸ニッケル、オクチル酸ニッケル、カプリル酸ニッケル、エナント酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、カプロン酸ニッケル、バレリアン酸ニッケル、酪酸ニッケル、プロピオン酸ニッケル、酢酸ニッケル等の有機酸ニッケル塩類;ニッケルメトキシド、ニッケルエトキシド、ニッケルアセチルアセトナート、ニッケルエチルアセトアセテート、ニッケルアセテート、ニッケルノルマルプロピレート、ニッケルノルマルブチレート、ニッケルメトキシド、ニッケルエトキシド、ニッケルアセチルアセトナート、ニッケルエチルアセトアセテート、ニッケルアセテート、ニッケルノルマルプロピレート、ニッケルノルマルブチレート等のニッケルキレート類等が挙げられる。が挙げられる。
塗布層に含まれるニッケル化合物の量は、通常0.001〜70重量%、好ましくは0.1〜30重量%であり、さらに好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。ニッケル化合物の量が0.001重量%以下であると、塗布層の硬化反応が迅速に進まず、塗布層の上に離型層を形成した後の離型面の塗膜密着性が悪化する。また、ニッケル化合物の量が70重量%以上であると、塗布層の硬化反応に関与せずに、塗布層中に残存したニッケル化合物が離型層の硬化を妨げ、離型面の塗膜密着性が悪化することがある。
亜鉛元素を有する有機化合物の具体例としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、マルガリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ペンタデシル酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、トリデカン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ウンデカン酸亜鉛、カプリン酸亜鉛、ペラルゴン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、カプリル酸亜鉛、エナント酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、カプロン酸亜鉛、バレリアン酸亜鉛、酪酸鉄亜鉛、プロピオン酸亜鉛、酢酸鉄亜鉛等の有機酸カリウム塩類;亜鉛メトキシド、亜鉛エトキシド、亜鉛アセチルアセトナート、亜鉛エチルアセトアセテート、亜鉛アセテート、亜鉛ノルマルプロピレート、亜鉛ノルマルブチレート、亜鉛メトキシド、亜鉛エトキシド、亜鉛アセチルアセトナート、亜鉛エチルアセトアセテート、亜鉛アセテート、亜鉛ノルマルプロピレート、亜鉛ノルマルブチレート等の亜鉛キレート類等が挙げられる。
塗布層に含まれる亜鉛化合物の量は、通常0.001〜70重量%、好ましくは0.1〜30重量%であり、さらに好ましくは0.2〜10重量%の範囲である。亜鉛化合物の量が0.001重量%以下であると、塗布層の硬化反応が迅速に進まず、塗布層の上に離型層を形成した後の離型面の塗膜密着性が悪化することがある。また、亜鉛化合物の量が70重量%以上であると、塗布層の硬化反応に関与せずに、塗布層中に残存した亜鉛化合物が離型層の硬化を妨げ、離型面の塗膜密着性が悪化することがある。
上記、ニッケル化合物、亜鉛化合物は少なくとも1種類以上の化合物を併用することが、オリゴマー析出防止性の点から好ましい。
なお、「架橋剤ハンドブック」(山下晋三、金子東助 編者(株)大成社 平成2年版)にも具体的に記載されている。
本発明における離型フィルムを構成する塗布層(2)はオリゴマー析出防止性を良好とすると共に、経時での離型層とポリエステルフィルムとの塗膜密着性を良好とするために有機珪素化合物を併用することを必須の要件とするものであり、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Si(X)(Y)(R
上記式中、Xはエポキシ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、ハロアルキル基およびアミノ基から選ばれる少なくとも1種を有する有機基、Rは一価炭化水素基であり、かつ炭素数1〜10のものであり、Yは加水分解性基であり、dは1または2の整数、eは2または3の整数、fは0または1の整数であり、d+e+f=4である。]で表されるタイプを用いるのが好ましい。
前記一般式(1)で表される有機珪素化合物は、加水分解・縮合反応によりシロキサン結合を形成しうる加水分解性基Yを2個有するもの(D単位源)あるいは3個有するもの(T単位源)を使用することができる。
一般式(1)において、一価炭化水素基Rは、炭素数が1〜10のもので、特にメチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
一般式(1)において、加水分解性基Yとしては、従来公知のものが使用可能で、以下のものを例示できる。メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソプロペノキシ基、アセトキシ基、ブタノキシム基およびアミノ基等。これらの加水分解性基は、単独あるいは複数種を使用してもよい。メトキシ基あるいはエトキシ基を適用すると、コーティング材に良好な保存安定性を付与でき、また適当な加水分解性があるため、特に好ましい。
本発明において、塗布層(2)中に含有する有機珪素化合物としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3, 4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、5−ヘキセニルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を例示することができる。
本発明において、離型フィルムを構成する塗布層(2)には加水分解・縮合反応促進を目的として、触媒を併用してもよい。具体例としては、酢酸、酪酸、マレイン酸、クエン酸などの有機酸類、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸などの無機酸類、トリエチルアミンなどの塩基性化合物類、テトラブチルチタネート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジオレート、ジフェニル錫ジアセテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジメトキサイド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)錫、ジブチル錫ベンジルマレート等などの有機金属塩類、KF、NH4 Fなどのフッ素元素含有化合物などを挙げることができる。上記触媒は単独で使用しても良くあるいは2種類以上を併用しても良い。その中でも、特に塗膜耐久性が良好となる点で有機金属塩類が好ましく、さらに好ましくは触媒活性が長時間持続可能な点で錫触媒を用いるのが好ましい。
さらに塗布層(2)の固着性、滑り性改良を目的として、無機系粒子を含有してもよく、具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、バリウム塩等が挙げられる。
また、必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤発泡剤、染料等が含有されてもよい。
本発明の要旨を越えない範囲において、分散性改良、造膜性改良等を目的として、使用する有機溶剤は一種類のみでもよく、適宜、二種類以上を使用してもよい。
本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルム上に設けられる塗布層
(2)の塗布量(乾燥後)は通常、0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/mの範囲である。塗布量(乾燥後)が、0.005g/m未満の場合には、塗布厚みの均一性が不十分な場合があり、熱処理後、塗布層(2)表面から析出するオリゴマー量が多くなる場合がある。一方、1g/mを超えて塗布する場合には、滑り性低下等の不具合を生じる場合がある。
本発明において、塗布層(2)を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層(2)を形成する際の硬化条件に関しては、特に限定されるわけではなく、例えば、オフラインコーティングにより塗布層(2)を設ける場合、通常、60〜200℃で3〜40秒間、好ましくは80〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
次に本発明における離型層の形成について説明する。
本発明における離型フィルムを構成する離型層とは、離型性を有する層のことを指し、具体的にはアクリル系粘着テープと離型層との剥離力(F)が5〜500mN/cmであるのが、本発明の用途上、好ましい。
本発明における離型フィルムを構成する離型層は上述の塗布延伸法(インラインコーティング)等のフィルム製造工程内において、ポリエステルフィルム上に設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用しても良く、何れの手法を採用してもよい。塗布延伸法(インラインコーティング)については以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に離型層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
また、本発明における離型フィルムを構成する離型層は離型性を良好とするために硬化型シリコーン樹脂を含有するのが好ましい。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、何れの硬化反応タイプでも用いることができる。具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、X−62−1387、KNS−3051、X−62−1496、KNS320A、KNS316、X−62−1574A/B、X−62−7052、X−62−7028A/B、X−62−7619、X−62−7213、ダウ・コーニング・アジア(株)製DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、GE東芝シリコーン(株)製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56−A2775、XS56−A2982、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605、東レ・ダウコーニング(株)製SRX357、SRX211、SD7220、LTC750A、LTC760A、SP7259、BY24−468C、SP7248S、BY24−452等が例示される。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、120〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。なお、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、従来から公知の装置,エネルギー源を用いることができる。離型層の塗工量は塗工性の面から、通常0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/m、さらに好ましくは0.01〜0.2g/m範囲である。塗工量が0.005g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、1g/mを超えて厚塗りにする場合には離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
本発明における離型フィルムに関して、離型層が設けられていない面には本発明の主旨を損なわない範囲において、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよい。
また、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明において塗布層(2)上に離型層を設ける場合、塗布層(2)を設けた後にフィルムを一旦巻き取り、あらためて離型層を設けてもよく、また、塗布層(2)を設けた後、連続して、離型層を塗布層(2)上に設けてもよく、何れの方法を採用してもよい。
本発明の離型フィルムを熱処理(180℃、1時間)した後、離型層表面からジメチルホルムアミドにより抽出されるオリゴマー量(OL)は、2.0mg/m以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0mg/m以下、特に好ましくは0.5mg/m以下である。OLが2.0mg/mを超える場合、例えば、液晶構成部材製造時、粘着剤層保護用途に使用した場合、粘着剤の透明性低下、粘着剤層の粘着力低下、あるいは光学的評価を伴う検査工程において支障を来たす等の不具合を生じることがある。
本発明における離型フィルムにおいては、OLが上記範囲を満足するために塗布層(2)中に含有される金属元素量として、0.2kcps以上、さらには0.6kcps以上であることが好ましい。当該金属元素量が0.2kcps未満の場合、所望する密着性が得られない場合がある。また、本発明者らは、塗布層(2)中に、ニッケル、亜鉛から選ばれる、少なくとも1種以上の金属元素を含む金属化合物を用いることで、金属元素量の合計量として見た場合には、従来よりもさらに少ない含有量で、より長期間、経時における離型層に対する良好な密着性を維持することを知見した。
本発明において「オリゴマー」とは、フィルムを熱処理した後、結晶化してフィルム表面に析出する低分子量物のうちの環状三量体と定義する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)湿熱処理後における離型フィルムの剥離力上昇率(ΔF)測定
あらかじめ試料フィルムを80℃、90%RHの雰囲気に1週間保持した。
次に試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。(F1)
さらに溶剤処理を行わない以外は同様にして剥離力(F2)を測定した。
得られた各剥離力値を用いて、溶剤処理前後における剥離力の変化率(ΔF)を求めた後、下記判定基準により、判定を行った。
ΔF(%)=(溶剤処理後の剥離力―溶剤処理前の剥離力)/溶剤処理前の剥離力×100
《判定基準》
○:ΔFが20%未満(実用可能なレベル)
△:ΔFが20%以上、50%未満(実用困難な場合があるレベル〉
×:ΔFが50%以上(実用困難なレベル)
(4)離型フィルムの離型層表面から抽出されるオリゴマー量(OL)の測定
あらかじめ、未熱処理の離型フィルムを空気中、180℃で1時間加熱する。その後、熱処理をした該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmの箱の内面にできるだけ密着させて箱形の形状とする。塗布層を設けている場合は塗布層面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF(ジメチルホルムアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m)とする。
DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、あらかじめ分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
(5)離型フィルムの離型面側からの金属元素量測定
あらかじめ、試料サンプルの離型層が設けられた面より蛍光X線測定装置((株)島津製作所(製)型式「XRF−1500」)を用いてFP(Fundamental Parameter Method)法により、下記測定条件下、金属元素量を測定した。
Figure 2012183735
(6)離型フィルムの塗膜密着性初期評価(実用特性代用評価)
塗工直後の試料フィルムの離型面を触手により5回擦り、離型層の脱落程度を下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
○:塗膜の脱落が見られない(実用可能なレベル)
△:塗膜が白くなるが脱落はしていない(実用可能なレベル〉
×:塗膜の脱落が確認された(実用困難なレベル)
(7)離型フィルムの塗膜密着性促進評価(実用特性代用評価)
試料フィルムを恒温恒湿槽中、80℃、90%RH雰囲気下、3週間放置した後に試料フィルムを取り出した。その後、試料フィルムの離型面をMEK(メチルエチルケトン)を染み込ませた脱脂綿で100回擦った後、触手により5回擦り、離型層の脱落程度を下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
○:塗膜の脱落が見られない(実用可能なレベル)
△:塗膜が白くなるが脱落はしていない(実用可能なレベル〉
×:塗膜の脱落が確認された(実用困難なレベル)
(8)フィルムヘーズ(H0)の測定
試料フィルムをJIS−K−7136に準じ、村上色彩研究所製「HM−150」により、フィルムヘーズを測定した。
(9)加熱処理後のフィルムヘーズ(H1)の測定
試料フィルムにおいて、下記塗布剤組成からなる塗布剤を塗布層が設けられた面とは反対側の面に塗布する。その後、得られたフィルムを所定の熱処理条件(180℃、 1時間)で処理した後、(8)項と同様にして、フィルムヘーズを測定した。
《塗布剤組成》
コルコート社製 コルコートP
使用バー:♯3バー
乾燥条件:100℃ 1分間
(10)離型フィルムの視認性評価(実用特性代用評価)
(9)項において、試料フィルムを180℃×1時間熱処理した後の、フィルムヘーズ
(H1)を下記判定基準により、判定を行った。
《判定基準》
◎:フィルムヘーズが1.0%以下(特に視認性良好。実用可能なレベル)
○:フィルムヘーズが1.1%以上1.4%以下(視認性良好。実用可能なレベル)
△:フィルムヘーズが1.5%以上1.9%以下(実用困難な場合があるレベル〉
×:フィルムヘーズが2.0%以上(視認性不良。実用困難なレベル)
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエチレンテレフタレートA1)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.03部、平均粒径1.5μmのシリカ粒子を0.01部添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.61のポリエチレンテレフタレートA1を得た。
実施例1:
製造例1で製造したポリエチレンテレフタレートA1を180℃で4時間、不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融し、口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。得られた未延伸シートにまず、95℃で延伸倍率をMD方向に3.6倍延伸し、テンターに導き、下記塗布剤組成から構成される塗布層(1)を塗布量(乾燥後)が0.05g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布した後、TD方向に4.3倍の逐次二軸延伸を行った。その後、230℃にて3秒間熱固定し、厚さ38μmのPETフィルムを得た。次に、得られたPETフィルムにおいて、塗布層(1)の反対面側に、下記塗布剤組成より構成される塗布層(2)を塗布量(乾燥後)が0.05g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布した後、120℃、30秒間熱処理した。
(塗布層(1)の化合物例)
・4級アンモニウム塩基含有ポリマー(A1):
2−ヒドロキシ3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩ポリマー
対イオン:メチルスルホネート 数平均分子量:30000
・ポリエチレングリコール含有アクリレートポリマー(B1):
ポリエチレングリコール含有モノアクリレートポリマー 数平均分子量:20000
・ポリエチレングリコール含有アクリレートポリマー(B2):
オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレートポリマー 数平均分子量:32000
・架橋剤(C):メラミン架橋剤(DIC社製:ベッカミン「MAS」)
・粒子(D):アルミナ表面変性コロイダルシリカ(平均粒径:50nm)
・バインダー(E):ポリビニルアルコール(けん化度88モル%、重合度500)
塗布層(2)を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
・アルミニウム元素を有する有機化合物:(F1)
アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)
・ニッケル元素を有する有機化合物:(F2)
オクチル酸ニッケル
・亜鉛元素を有する有機化合物:(F3)
オクチル酸亜鉛
・有機珪素化合物:(G1)
2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
・有機珪素化合物:(G2)
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
《塗布剤組成》
ニッケル元素を有する有機化合物:(F2)
オクチル酸ニッケル:0.4重量%
有機珪素化合物(G1):99.6重量%
上記塗布剤をトルエン/MEK混合溶媒(混合比率は1:4)にて希釈し、4重量%と した。
その後、塗布層(2)上に下記離型剤組成からなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.1g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗設し、150℃、30秒間熱処理した後に離型フィルムを得た。
《離型剤組成》
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製):99重量%
硬化剤(PL−50T:信越化学製):1重量%
上記離型剤をMEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1)で希釈し、濃度2重量%の塗布液を作成した。
実施例2〜9および比較例1〜2:
実施例1において、塗布剤組成を下記表2に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
上記実施例および比較例で得られた各離型フィルムの特性を表3〜表5に示す。
Figure 2012183735
Figure 2012183735
Figure 2012183735
Figure 2012183735
本発明の離型フィルムは、例えば、LCD、PDP、有機EL等、表示部材製造用等の光学用途のほか、フィルム表面にオリゴマー起因の異物が存在することを極端に嫌う用途に好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステルフィルムの片面に塗布層(1)を有し、反対側のフィルム面に、ニッケル元素または亜鉛元素を含む有機化合物の少なくとも1種と有機珪素化合物とを含有する塗布層(2)を有し、当該離型層(2)上に離型層を有することを特徴とする離型フィルム。
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