JP5253730B2 - 離型フィルム - Google Patents

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本発明は、オリゴマー析出量が極力少ない離型フィルムに関するものであり、例えば、液晶ディスプレイ(以下、LCDと略記する)に用いられる偏光板、位相差板等のLCD構成部材製造用、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する)構成部材製造用、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記する)構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種光学用途等に好適な離型フィルムを提供するものである。
従来、ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムが、LCD用偏光板、位相差板製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用等、各種光学用途等に使用されている。離型フィルム使用上の問題点として、高温下、離型層表面あるいは離型層が設けられていない面に析出するオリゴマーが製造工程内において各種不具合を生じることが挙げられる。
近年、IT(Information Technology)分野の躍進に伴い、LCD、PDP、有機EL等の表示部材製造時に使用される離型フィルムの品質向上と共にオリゴマーの析出に伴う各種不具合が顕在化する状況にある。
上述の各種用途に対応するために、離型性に優れるだけでなく、フィルム表面の異物を極力少なくすることが望まれる。すなわち、特に光を透過して見る、いわゆる視認性を重視する用途でもあるため、通常のフィルム用途では全く問題とならないフィルム表面の異物ですら重大な問題となるからである。
例えば、LCD用偏光板の製造工程を一例に挙げると、当該製造工程は、粘着剤層を介して離型フィルムと偏光板が貼り合わされてロール状に巻き取られる工程を含んでいるが、オリゴマーは粘着剤塗布後の乾燥工程を経て析出するものと考えられる。離型層表面に析出するオリゴマーは、貼り合わせている相手方粘着剤層表面へ転着し、オリゴマーの付着した粘着剤層付きの偏光板をガラス基板と貼り合わせてLCDを製造した場合、得られるLCDの輝度が低下する等の不具合を生じる場合がある。
近年、LCDの視認性向上を目的として表示画面の輝度をより高くする傾向があり、上記不具合が深刻な問題となってきている。
一方、生産性向上に伴う製造コストの低減を図ることを目的として、製造工程の高速化に伴い、特に乾燥工程における乾燥温度をより高く設定する傾向があり、上述のオリゴマーがより析出しやすい状況になっている。
液晶偏光板の表示能力、色相、コントラスト、異物混入などの光学的評価を伴う検査工程においては、目視あるいは拡大鏡使用による欠陥品の流出防止対策が講じられているが、結晶化したオリゴマーが付着した離型フィルムを使用した場合、異物混入により不良品と判定され、製品歩留まりが低下する等の不具合を生じるという問題を抱えている。
さらに、加工工程においては離型層が設けられていないフィルム面と接触する搬送用 ロールを汚染する等の不具合を生じる場合があった。
そのため、従来からポリエステルフィルムのオリゴマー析出防止方法として、固相重合により原料中に含まれるオリゴマーの低減を図ったり(特開2003−119271号公報等)、末端封鎖剤を用いてポリエステルフィルムの加水分解性を向上させたりすることなどが行われてきた。
しかしながら、固相重合した原料であっても、フィルムの製造条件によっては、加熱によりオリゴマーが副生するなどの理由で顕著な効果が見られないなど、現状、フィルム 表面へのオリゴマー析出防止は必ずしも満足出来るレベルには至っていなかった。
また、末端封止剤を用いた場合は、末端封止剤に起因する異物の発生、ポリマーの着色、固相重合性の悪化等の恐れがある。
特開平6−16941号公報 特開平7−3215号公報 特開2000−44904号公報 特開2000−238441号公報
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、オリゴマー析出量が極めて少なく、例えば、LCD用偏光板、位相差板等の液晶構成部材製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種光学用途等に好適な離型フィルムを提供するものである。
本発明者らは、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる離型フィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、チタン元素含有量が20ppm以下であり、リン元素含有量が0〜300ppmであり、アンチモン元素の含有量が100ppm以下であるポリエステル層を両外層とする、少なくとも3層から構成される積層ポリエステルフィルムの片面に4級アンモニウム塩基を有する化合物およびポリビニルアルコールを含有する塗布層と、離型層とが順次設けられた離型フィルムであり、180℃で10分間熱処理後、離型層表面からジメチルホルムアミドにより抽出されるオリゴマー量が1.5mg/m以下であることを特徴とする粘着剤層保護用離型フィルムに存する。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムは少なくとも3層構成であればよく、例えば、3層構成以外にも本発明の要旨を超えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明において積層ポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。いずれにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
本発明において、両外層を構成するポリエステル層におけるアンチモン元素量は、100ppm以下であることを必須の要件とするものである。アンチモン元素量は好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下である。当該アンチモン元素量が100ppmを超える場合、フィルム表面において、アンチモン化合物由来の析出が多くなり、くすみが発生し、特に光学用途に用いた場合には輝度が低下する、あるいは検査工程において、アンチモン化合物由来の析出物が異物と認識され、歩留まりを低下させる等の不具合を生じるようになる。
本発明のポリエステルは、溶融重合反応で得られたものであってもよいが、溶融重合後、チップ化したポリエステルを固相重合して得られた原料を用いれば、原料中に含まれるオリゴマー量が低減できるので好ましく使用される。ポリエステル原料中に含有するオリゴマー量は0.7重量%以下であるのが好ましく、さらに好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.3重量%以下である。ポリエステル原料中のオリゴマー量が少ない場合、本発明のポリエステルフィルム中に含まれるオリゴマー量の低減、また、フィルム表面へのオリゴマー析出防止効果が特に良好となる。
なお、本発明においては2種類以上のポリエステルを用いて積層ポリエステルフィルムを製造してもよい。
本発明において、離型フィルムを構成する積層ポリエステルフィルムに関して、両外層を構成するポリエステル層中には、通常、チタン化合物、リン化合物より選ばれる少なくとも1種類の化合物を含有することが好ましい。チタン元素含有量(Ti)およびリン元素含有量(P)の好ましい範囲はそれぞれ、20ppm以下、0〜300ppmである。
Tiに関して、さらに好ましくは2〜10ppmの範囲である。Tiが上記の上限を超える場合、ポリエステルを溶融押出する工程でオリゴマーが副生し、低オリゴマーでかつ高透明性を有するフィルムが得られない場合がある。また、光学用途等、特に離型フィルムの色調を重視する用途に対応困難になる場合がある。一方、Pに関して、特に5〜200ppmの範囲がよい。Pが上記の上限を越える場合、ポリエステル製造時にゲル化が発生し、異物となってフィルムの品質を低下させ、例えば、光学的評価を伴う検査工程に対応困難になる場合がある。上記の好ましい範囲を同時に満足することにより、積層ポリエステルフィルム中の含有オリゴマー量低減に対して、顕著な効果を奏することが可能となる。
本発明における離型フィルムを構成する積層ポリエステルフィルムに関して、ポリエステル層中に含まれるオリゴマー量は0.7重量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.5重量%以下である。積層ポリエステルフィルム中に含まれるオリゴマー量が0.7重量%を超える場合、フィルムヘーズの悪化や、塗布工程内でフィルムと接触する搬送ロールにオリゴマーが付着堆積する等の不具合を生じる場合がある。
本発明における離型フィルムを構成する積層ポリエステルフィルムに関して、通常のオリゴマー含有量のポリエステルからなるポリエステル層の両面に、かかるオリゴマー含有量の少ないポリエステル層を共押出積層した構造を有することを特徴とする。
本発明の離型フィルムを構成する積層ポリエステルフィルムにおいて、フィルム表面にメチルエチルケトンを塗布、乾燥し、続いて180℃、10分間熱処理した後のフィルムヘーズ(H)とメチルエチルケトン塗布前のフィルムヘーズ(H0)との差(ΔH)は、5.0%以下が好ましく、さらに好ましくは3.0%以下、最も好ましくは1.0%以下である。ΔHが5.0%を超える場合は、光学用途等、特に透明性を必要とする用途に適用困難になる場合がある。
本発明において、ポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
さらに、ポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明における積層ポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明の離型フィルムを構成する積層ポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常9〜250μm、好ましくは12〜188μmの範囲である。
次に本発明における積層ポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、複数のダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明における積層ポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述の積層ポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法により積層ポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、積層ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
次に本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層の形成について説明する。塗布層に関しては上述の塗布延伸法(インラインコーティング)を用いてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用してもよく、いずれの手法を採用してもよい。
本発明において、積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層中にはオリゴマー析出防止の観点から、バインダーポリマー(A)として、4級アンモニウム塩基を有する化合物および/またはポリビニルアルコールが好適に用いられる。
4級アンモニウム塩基を有する化合物に関しては、分子中の主鎖や側鎖に、4級アンモニウム塩基を含む構成要素を持つものを指す。そのような構成要素としては例えば、ピロリジウム環、アルキルアミンの4級化物、さらにこれらをアクリル酸やメタクリル酸と共重合したもの、N−アルキルアミノアクリルアミドの4級化物、ビニルベンジルトリメチルアンモニウム塩、2−ヒドロキシ3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。さらに、これらを組み合わせて、あるいは他の樹脂と共重合させても構わない。また、これらの4級アンモニウム塩の対イオンとなるアニオンとしては例えば、ハロゲン、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、硝酸等のイオンが挙げられる。
また、本発明においては、4級アンモニウム塩基を有する化合物は高分子化合物であることが望ましい。分子量が低すぎる場合は、塗布層中から容易に除去されて経時的に性能の低下を引き起こしたり、塗布層がべたついたりするおそれがある。また、分子量が低いと耐熱安定性に劣る場合がある。このような不具合を生じないためには、4級アンモニウム塩基を有する化合物の数平均分子量が、通常は1000以上、さらには2000以上、特に5000以上であることが望ましい。また、一方で、かかる化合物は分子量が高すぎる場合は、塗布液の粘度が高くなりすぎる等の不具合を生じる場合がある。そのような不具合を生じないためには、数平均分子量が500000以下であることが好ましい。
一方、本発明で用いるポリビニルアルコールに関しては、通常の重合反応によって合成することができ、水溶性であることが好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、特に限定されるものではないが、通常100以上、好ましくは300〜40000のものが用いられる。重合度が100以下の場合、塗布層の耐水性が低下する傾向がある。ポリビニルアルコールのけん化度は、特に限定されるものではないが、通常70モル%以上、好ましくは80モル%以上、99.9モル%以下であるポリ酢酸ビニルけん化物が実用上用いられる。さらに塗布層中には、必要に応じて上記以外の水溶性または水分散性のバインダー樹脂の1種もしくは2種以上を併用することができる。かかるバインダーポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂等が挙げられる。これらは、それぞれの骨格構造が共重合等により実質的に複合構造を有していてもよい。複合構造を持つバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂グラフトポリエステル、アクリル樹脂グラフトポリウレタン、ビニル樹脂グラフトポリエステル、ビニル樹脂グラフトポリウレタン等が挙げられる。
また、本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層中には前記バインダーポリマー(A)に加えて、架橋剤(B)を併用するのが好ましい。具体例として、メチロール化またはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ブロックポリイソシアネート、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネートカップリング剤等が挙げられる。これらの架橋成分はバインダーポリマー(A)とあらかじめ結合していてもよい。
架橋剤(B)の中でも、特に本発明の用途上、塗布性、耐久接着性が良好となる点で、メラミン系架橋剤が好ましい。メラミン系架橋剤としては、特に限定されるものではないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全エーテル化した化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。
また、メラミン系架橋剤は、単量体、あるいは2量体以上の多量体からなる縮合物のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。上記エーテル化に用いる低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを好ましく使用することができる。官能基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン、メチロール基型メラミン、メチロール基型メチル化メラミン、完全アルキル型メチル化メラミンなどを用いることができる。その中でもメチロール化メラミンが最も好ましい。さらに、メラミン系架橋剤の熱硬化促進を目的として、例えば、p−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を併用することもできる。
本発明における塗布層中に含有されるメラミン系架橋剤の配合量は、通常1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲である。当該範囲を外れる場合、塗布層の耐久接着性が不十分な場合がある。
さらに塗布層の固着性、滑り性改良を目的として、無機系粒子(C)を含有してもよく、具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、バリウム塩等が挙げられる。
塗布層中における粒子の配合量は、通常0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。かかる配合量が0.5重量%未満では、耐ブロッキング性が不十分となる場合があり、10重量%を超えると、フィルムの透明性を阻害し、画像の鮮明度が落ちる傾向がある。
また、必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤発泡剤、染料等が含有されてもよい。
塗布延伸法(インラインコーティング)の場合、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固型分濃度を0.1重量%〜50重量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。
また、本発明の要旨を越えない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤としては、n−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール等の脂肪族または脂環族アルコール類、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、n−ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。有機溶剤は一種類のみでもよく、適宜、二種類以上を使用してもよい。
本発明におけるポリエステルフィルム上に設けられる塗布層の塗布量(乾燥後)は通常0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/mの範囲である。塗布量が0.005g/m未満の場合には、塗布厚みの均一性が不十分な場合があり、熱処理後、塗布層表面から析出するオリゴマー量が多くなる場合がある。一方、1g/mを超えて塗布する場合には、滑り性低下等の不具合を生じる場合がある。
本発明において、塗布層を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の硬化条件に関しては、特に限定されるわけではなく、例えば、塗布延伸法(インラインコーティング)により塗布層を設ける場合、通常、170〜280℃で3〜40秒間、好ましくは200〜280℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。一方、オフラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、塗布延伸法(インラインコーティング)あるいはオフラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
次に本発明における離型層の形成について説明する。
本発明における離型フィルムを構成する離型層は上述の塗布延伸法(インラインコーティング)等のフィルム製造工程内において、積層ポリエステルフィルム上に設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用しても良く、いずれの手法を採用してもよい。塗布延伸法(インラインコーティング)については以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法により積層ポリエステルフィルム上に離型層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、積層ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
また、本発明における離型フィルムを構成する離型層は離型性を良好とするために硬化型シリコーン樹脂を含有するのが好ましい。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、X−62−1387、KNS−3051、X−62−1496、KNS320A、KNS316、X−62−1574A/B、X−62−7052、X−62−7028A/B、X−62−7619、X−62−7213、GE東芝シリコーン(株)製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56−A2775、XS56−A2982、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605、SM3200、SM3030、東レ・ダウコーニング(株)製DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、SRX357、SRX211、SD7220、LTC750A、LTC760A、SP7259、BY24−468C、SP7248S、BY24−452、SP7268S、SP7265S、LTC1000M、LTC1050L、SYLOFF7900、SYLOFF7198、SYLOFF22A、旭化成ワッカー社製Dehesive430、Dehesive440等が例示される。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
本発明において、積層ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、積層ポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、塗布延伸法(インラインコーティング)により離型層を設ける場合、通常、170〜280℃で3〜40秒間、好ましくは200〜280℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。一方、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。また、塗布延伸法(インラインコーティング)あるいはオフラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。尚、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、従来から公知の装置,エネルギー源を用いることができる。離型層の塗工量は塗工性の面から、通常0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/mの範囲である。塗工量が0.005g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、1g/mを超えて厚塗りにする場合には離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
本発明における離型フィルムに関して、離型層が設けられていない面には本発明の主旨を損なわない範囲において、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよい。
また、離型フィルムを構成する積層ポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
離型フィルムを180℃で10分間熱処理した後、離型層表面からジメチルホルムアミドにより抽出されるオリゴマー量(OL)は1.5mg/m以下である必要があり、好ましくは1.0mg/m以下、さらに好ましくは0.5mg/m以下である。OLが1.5mg/mを超える場合、例えば、液晶構成部材製造時、粘着剤層の透明性が低下する等の不具合を生じる。
本発明において、「オリゴマー」とは、熱処理後、結晶化してフィルム表面に析出する低分子量物のうちの環状三量体と定義する。
さらに本発明における離型フィルムに関して、離型層が設けられていないフィルム表面からジメチルホルムアミドにより抽出されるオリゴマー量(OL2)も1.5mg/m以下であるのが好ましい。OL2は1.0mg/m以下、さらに好ましくは0.5mg/m以下である。OL2が1.5mg/mを超える場合、熱処理工程を経た離型フィルムにおいて、離型層が設けられていないフィルム面と接触する搬送用ロール表面が汚染する等の不具合を生じる場合がある。
本発明において、離型フィルムのいずれか一方のフィルム面の帯電防止性(R)は1×1013(Ω)以下であるのが好ましく、さらに好ましくは1×1012(Ω)以下、最も好ましくは1×1010(Ω)以下がよい。Rが上記範囲を外れる場合、離型フィルムを剥離する際に剥離帯電等の不具合を生じる場合がある。
本発明の離型フィルムによれば、オリゴマー析出量が極力少ない離型フィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)離型フィルムを構成する積層ポリエステルフィルム中のオリゴマー(環状三量体)含有量
所定量の積層ポリエステルフィルムをクロロホルム/1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(混合比:3/2)混合溶液に溶解した後、クロロホルム/メタノール(混合比:2/1)で再析出して濾過し、線状ポリエチレンテレフタレートを除いた後、次いで得られた濾液中の溶媒を、エバポレータを用いて蒸発させ、得られた析出物を所定量のDMFに溶解させた。得られたDMFを、液体クロマトグラフィー(島津LC−7A)に供給してポリエステル中に含まれるオリゴマー(環状三量体)量を求め、この値を測定に用いたポリエステル量で割って、積層ポリエステルフィルム中に含まれるオリゴマー(環状三量体)量とした。液体クロマトグラフィーで求めるオリゴマー(環状三量体)量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、あらかじめ分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMF(ジメチルホルムアミド)に溶解して作成した。
液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製 MCI GEL ODS 1HU
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
(4)離型フィルムの離型層表面から抽出されるオリゴマー量(OL)の測定
あらかじめ、未熱処理の離型フィルムを空気中、180℃で10分間加熱する。その後、熱処理をした該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmの箱の内面にできる だけ密着させて箱形の形状とする。塗布層を設けている場合は塗布層面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF(ジメチルホルムアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m)とする。
DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、あらかじめ分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
(5)離型フィルムの離型層が設けられていないフィルム表面から抽出されるオリゴマー量(OL2)の測定
(4)項において、測定面が異なる以外は同様にして、オリゴマー量(OL2)を測定した。
(6)離型フィルムのフィルムヘーズ(ΔH)
あらかじめ、離型フィルムの離型層が設けられていないフィルム面を溶剤(メチルエチルケトン)塗布した後、窒素雰囲気下、180℃のオーブンで10分間放置し、熱処理を行った。次に得られた離型フィルムをJIS−K7105に準じ、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−20Dにより、フィルムヘーズ(H)を測定した。
その後、未処理(メチルエチルケトン塗布前)の離型フィルムについて、フィルムヘーズ(H0)を測定し、下記(3)式により、離型フィルムのフィルムヘーズ(ΔH)を求めた。
ΔH=H−H0 ・・・(3)
(7)離型フィルムを構成する積層ポリエステルフィルムの各ポリエステル層の厚み測定
積層フィルムを3角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋する。ミクロトーム(ULTRACUT-S)で、製膜方向と厚み方向とに平行な方向にカットして、厚み50nm薄膜切片にする。そして、透過型電子顕微鏡を用い、加速電圧1000kvにて観察し、倍率1万倍〜10万倍で撮影し、写真より各層の厚みを測定した。
(8)離型フィルムを構成する積層ポリエステルフィルムの各ポリエステル層中の金属元素量測定
試料フィルムをSAICASを用いて、斜め切削を行い、断面を露出させた。その後、
TOF−SIMS(飛行時間型質量分析マススペクトル)を用いて、各ポリエステル層中に含まれる金属元素およびリン元素量を求めた。
(9)離型フィルムの異物個数(X)測定
試料フィルム(幅700mm幅、長さ10m)を用いて、クロスニコル法により、輝点となって検出される異物を全てサンプリングした。次に光学顕微鏡を用いて、フィルム内部に存在する、最大径30μm以上の異物のみを選別し、その個数を求め、単位面積あたりに換算した。その後、下記判定基準により判定を行なった。
《判定基準》
○:異物個数(X)が0.8個/m未満(光学的評価を伴う検査工程に適用可能なレベル)
×:異物個数(X)が0.8個/m以上(光学的評価を伴う検査工程に適用困難なレベル)
(10)離型フィルムの色調測定
試料フィルムを東京電色(株)製「TC−1800MKII」を用いて、JIS Z−8722の方法に準じて、透過法によるb値を測定した。その後、下記判定基準により、判定を
行なった。
《判定基準》
○:b値が8以下(色調を重視する用途に対応可能)
×:b値が8を越える(色調を重視する用途に対応困難)
(11)離型フィルムのいずれか一方のフィルム面における表面固有抵抗(R)測定
試料フィルムを日本ヒューレット・パッカード社製高抵抗測定器(HP4339B)
および測定電極(HP16008B)を使用し、23℃,50±5%RHの測定雰囲気で
サンプルを24時間調湿後、印可電圧100Vで1分後の離型層表面における表面固有抵抗値(R)を測定した。
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエステルA)
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネート0.01部を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2.5μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、粒子のポリエステルに対する含有量が0.06重量%となるように添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.55に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度0.55のポリエチレンテレフタレートを得た。さらに得られたポリエチレンテレフタレートを真空下220℃で固相重合し、極限粘度0.70のポリエステルAを得た。
製造例2(ポリエステルB)
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩を0.09部加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、正リン酸を0.02部添加した後、二酸化ゲルマニウムを0.02部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度は0.63のポリエステルBを得た。
製造例3(ポリエステルC)
製造例1で得られたポリエステルAを真空下、220℃で固相重合しない以外は同様にして製造し、極限粘度0.55のポリエステルCを得た。
実施例1:
上記ポリエステル原料を表3記載のとおりに所定量配合し、3台のベント式二軸押出機に各々供給し、各々290℃で溶融した後、A層およびC層を最外層(表層)、B層を中間層として、40℃に冷却したキャスティングドラム上に、3種3層(A/B/C)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸積層シートを得た。得られた未延伸積層シートをまず、83℃でMD方向に3.7倍延伸した後、下記表1に記載の塗布液No.1の塗布剤をリバースグラビアコート方式により、A層表面に塗布した後、テンターに導き、TD方向に3.9倍の逐次二軸延伸を行った。その後、220℃にて3秒間熱固定し、塗布量(乾燥後)が0.06g/mの塗布層が設けられた、層構成(A/B/C)が5/28/5(μm)である、厚み38μmの積層ポリエステルフィルムを得た。次に塗布層上にオフラインにて、下記離型剤組成からなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.1g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布し、120℃、10秒間熱処理した後に離型フィルムを得た。
《離型剤組成》
硬化型シリコーン樹脂(KS−774:信越化学製):99重量%
硬化剤(PL−3:信越化学製):1重量%
上記離型剤をMEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1)で希釈し、濃度2重量%の塗布液を作製した。
実施例2〜9:
実施例1において、塗布層を構成する化合物変更、あるいはポリエステルを変更し、チタン元素量、リン元素量が下記表2に示すように異なる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
比較例1〜3:
実施例1において、塗布層を構成する化合物変更、あるいはポリエステルを変更し、得られたフィルム中のチタン元素量、リン元素量が下記表3に示すように異なる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
上記実施例および比較例で得られた各離型フィルムの特性を表2および3に示す。
Figure 0005253730
上記表中の記号は以下の化合物を意味し、各化合物の欄の数値は固型分換算の重量組成比である。
A1:主鎖にピロリジウム環を有するポリマー(第一工業製薬社製シャロールDC−303P)
A2:ポリビニルアルコール(けん化度=88モル%、重合度=500)
A3:ポリトリメチルアミノエチルメタクリレート4級化物
A4:常法により、トリメチルアミノエチルメタクリレート4級化物/メチルメタクリレートを、重量組成比として65/35の割合で共重合した化合物
A5:アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルを共重合した、Tgが約40℃のアクリル樹脂(日本カーバイド工業製ニカゾール)
B:メトキシメチロールメラミン(大日本インキ化学工業製ベッカミン)
C:シリカゾル(平均粒径0.05μm)
Figure 0005253730
Figure 0005253730
本発明の離型フィルムは、例えば、LCD、PDP、有機エレクトロルミネッセンス等、表示部材製造用等の光学用途のほか、フィルム表面にオリゴマー起因の異物が存在することを極端に嫌う用途に好適に使用することができる。

Claims (1)

  1. チタン元素含有量が20ppm以下であり、リン元素含有量が0〜300ppmであり、アンチモン元素の含有量が100ppm以下であるポリエステル層を両外層とする、少なくとも3層から構成される積層ポリエステルフィルムの片面に4級アンモニウム塩基を有する化合物およびポリビニルアルコールを含有する塗布層と、離型層とが順次設けられた離型フィルムであり、180℃で10分間熱処理後、離型層表面からジメチルホルムアミドにより抽出されるオリゴマー量が1.5mg/m以下であることを特徴とする粘着剤層保護用離型フィルム。
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