JP5253730B2 - 離型フィルム - Google Patents
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本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムは少なくとも3層構成であればよく、例えば、3層構成以外にも本発明の要旨を超えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
Tiに関して、さらに好ましくは2〜10ppmの範囲である。Tiが上記の上限を超える場合、ポリエステルを溶融押出する工程でオリゴマーが副生し、低オリゴマーでかつ高透明性を有するフィルムが得られない場合がある。また、光学用途等、特に離型フィルムの色調を重視する用途に対応困難になる場合がある。一方、Pに関して、特に5〜200ppmの範囲がよい。Pが上記の上限を越える場合、ポリエステル製造時にゲル化が発生し、異物となってフィルムの品質を低下させ、例えば、光学的評価を伴う検査工程に対応困難になる場合がある。上記の好ましい範囲を同時に満足することにより、積層ポリエステルフィルム中の含有オリゴマー量低減に対して、顕著な効果を奏することが可能となる。
本発明における離型フィルムを構成する離型層は上述の塗布延伸法(インラインコーティング)等のフィルム製造工程内において、積層ポリエステルフィルム上に設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用しても良く、いずれの手法を採用してもよい。塗布延伸法(インラインコーティング)については以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法により積層ポリエステルフィルム上に離型層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、積層ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
所定量の積層ポリエステルフィルムをクロロホルム/1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(混合比:3/2)混合溶液に溶解した後、クロロホルム/メタノール(混合比:2/1)で再析出して濾過し、線状ポリエチレンテレフタレートを除いた後、次いで得られた濾液中の溶媒を、エバポレータを用いて蒸発させ、得られた析出物を所定量のDMFに溶解させた。得られたDMFを、液体クロマトグラフィー(島津LC−7A)に供給してポリエステル中に含まれるオリゴマー(環状三量体)量を求め、この値を測定に用いたポリエステル量で割って、積層ポリエステルフィルム中に含まれるオリゴマー(環状三量体)量とした。液体クロマトグラフィーで求めるオリゴマー(環状三量体)量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、あらかじめ分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMF(ジメチルホルムアミド)に溶解して作成した。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製 MCI GEL ODS 1HU
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
あらかじめ、未熱処理の離型フィルムを空気中、180℃で10分間加熱する。その後、熱処理をした該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmの箱の内面にできる だけ密着させて箱形の形状とする。塗布層を設けている場合は塗布層面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF(ジメチルホルムアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m2)とする。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
(4)項において、測定面が異なる以外は同様にして、オリゴマー量(OL2)を測定した。
あらかじめ、離型フィルムの離型層が設けられていないフィルム面を溶剤(メチルエチルケトン)塗布した後、窒素雰囲気下、180℃のオーブンで10分間放置し、熱処理を行った。次に得られた離型フィルムをJIS−K7105に準じ、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−20Dにより、フィルムヘーズ(H)を測定した。
その後、未処理(メチルエチルケトン塗布前)の離型フィルムについて、フィルムヘーズ(H0)を測定し、下記(3)式により、離型フィルムのフィルムヘーズ(ΔH)を求めた。
ΔH=H−H0 ・・・(3)
積層フィルムを3角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋する。ミクロトーム(ULTRACUT-S)で、製膜方向と厚み方向とに平行な方向にカットして、厚み50nm薄膜切片にする。そして、透過型電子顕微鏡を用い、加速電圧1000kvにて観察し、倍率1万倍〜10万倍で撮影し、写真より各層の厚みを測定した。
試料フィルムをSAICASを用いて、斜め切削を行い、断面を露出させた。その後、
TOF−SIMS(飛行時間型質量分析マススペクトル)を用いて、各ポリエステル層中に含まれる金属元素およびリン元素量を求めた。
試料フィルム(幅700mm幅、長さ10m)を用いて、クロスニコル法により、輝点となって検出される異物を全てサンプリングした。次に光学顕微鏡を用いて、フィルム内部に存在する、最大径30μm以上の異物のみを選別し、その個数を求め、単位面積あたりに換算した。その後、下記判定基準により判定を行なった。
《判定基準》
○:異物個数(X)が0.8個/m2未満(光学的評価を伴う検査工程に適用可能なレベル)
×:異物個数(X)が0.8個/m2以上(光学的評価を伴う検査工程に適用困難なレベル)
試料フィルムを東京電色(株)製「TC−1800MKII」を用いて、JIS Z−8722の方法に準じて、透過法によるb値を測定した。その後、下記判定基準により、判定を
行なった。
《判定基準》
○:b値が8以下(色調を重視する用途に対応可能)
×:b値が8を越える(色調を重視する用途に対応困難)
試料フィルムを日本ヒューレット・パッカード社製高抵抗測定器(HP4339B)
および測定電極(HP16008B)を使用し、23℃,50±5%RHの測定雰囲気で
サンプルを24時間調湿後、印可電圧100Vで1分後の離型層表面における表面固有抵抗値(R)を測定した。
〈ポリエステルの製造〉
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネート0.01部を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2.5μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、粒子のポリエステルに対する含有量が0.06重量%となるように添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.55に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度0.55のポリエチレンテレフタレートを得た。さらに得られたポリエチレンテレフタレートを真空下220℃で固相重合し、極限粘度0.70のポリエステルAを得た。
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩を0.09部加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、正リン酸を0.02部添加した後、二酸化ゲルマニウムを0.02部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度は0.63のポリエステルBを得た。
製造例1で得られたポリエステルAを真空下、220℃で固相重合しない以外は同様にして製造し、極限粘度0.55のポリエステルCを得た。
上記ポリエステル原料を表3記載のとおりに所定量配合し、3台のベント式二軸押出機に各々供給し、各々290℃で溶融した後、A層およびC層を最外層(表層)、B層を中間層として、40℃に冷却したキャスティングドラム上に、3種3層(A/B/C)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸積層シートを得た。得られた未延伸積層シートをまず、83℃でMD方向に3.7倍延伸した後、下記表1に記載の塗布液No.1の塗布剤をリバースグラビアコート方式により、A層表面に塗布した後、テンターに導き、TD方向に3.9倍の逐次二軸延伸を行った。その後、220℃にて3秒間熱固定し、塗布量(乾燥後)が0.06g/m2の塗布層が設けられた、層構成(A/B/C)が5/28/5(μm)である、厚み38μmの積層ポリエステルフィルムを得た。次に塗布層上にオフラインにて、下記離型剤組成からなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.1g/m2になるようにリバースグラビアコート方式により塗布し、120℃、10秒間熱処理した後に離型フィルムを得た。
硬化型シリコーン樹脂(KS−774:信越化学製):99重量%
硬化剤(PL−3:信越化学製):1重量%
上記離型剤をMEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1)で希釈し、濃度2重量%の塗布液を作製した。
実施例1において、塗布層を構成する化合物変更、あるいはポリエステルを変更し、チタン元素量、リン元素量が下記表2に示すように異なる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
実施例1において、塗布層を構成する化合物変更、あるいはポリエステルを変更し、得られたフィルム中のチタン元素量、リン元素量が下記表3に示すように異なる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
上記実施例および比較例で得られた各離型フィルムの特性を表2および3に示す。
A1:主鎖にピロリジウム環を有するポリマー(第一工業製薬社製シャロールDC−303P)
A2:ポリビニルアルコール(けん化度=88モル%、重合度=500)
A3:ポリトリメチルアミノエチルメタクリレート4級化物
A4:常法により、トリメチルアミノエチルメタクリレート4級化物/メチルメタクリレートを、重量組成比として65/35の割合で共重合した化合物
A5:アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルを共重合した、Tgが約40℃のアクリル樹脂(日本カーバイド工業製ニカゾール)
B:メトキシメチロールメラミン(大日本インキ化学工業製ベッカミン)
C:シリカゾル(平均粒径0.05μm)
Claims (1)
- チタン元素含有量が20ppm以下であり、リン元素含有量が0〜300ppmであり、アンチモン元素の含有量が100ppm以下であるポリエステル層を両外層とする、少なくとも3層から構成される積層ポリエステルフィルムの片面に4級アンモニウム塩基を有する化合物およびポリビニルアルコールを含有する塗布層と、離型層とが順次設けられた離型フィルムであり、180℃で10分間熱処理後、離型層表面からジメチルホルムアミドにより抽出されるオリゴマー量が1.5mg/m2以下であることを特徴とする粘着剤層保護用離型フィルム。
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