JP2015009447A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱加工時のオリゴマーの表面析出を抑え、ヘーズ上昇を抑制することができ、また、コーティング層と芳香族ポリエステルとの層との層間密着性に優れ、各種光学用途に好適な積層体を提供する。【解決手段】下記層(A)及び層(B)からなる積層体による。層(A):芳香族ポリエステルからなる層層(B):水溶性樹脂(B−1)、熱硬化性架橋剤(B−2)及び層状ケイ酸塩鉱物(B−3)を含む硬化性樹脂組成物からなる層【選択図】なし

Description

本発明は、高温下においてもヘーズの上昇が抑制され、また、芳香族ポリエステル中のオリゴマー析出を抑制することができ、層間の密着性にも優れた積層体に関する。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートに代表される芳香族ポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等の優れた特性を有し、また、コストパフォーマンスにも優れるため、各種の用途において使用されている。しかし、その用途が多様化するにつれて、フィルムの加工、使用条件も多様化し、例えば芳香族ポリエステルフィルムを100℃以上の高温で放置すると、フィルム表面に内部から滲出してきたオリゴマー(主に環状オリゴマー)が析出してしまうため、このような高温条件でフィルムを加工したり、使用したりすることにおいて、種々の問題が生じている。また、芳香族ポリエステルフィルムの表面改質を目的として、各種の塗布フィルムが提案されているが、塗布する組成によっては、オリゴマーの析出を促進してしまうという問題が生じている。
フィルム表面に析出するオリゴマーの弊害には2種類あり、1つはヘーズの上昇である。透明性を高く、かつヘーズを低くすることが重要な要求特性となる光学用途では、ヘーズ上昇が致命的な欠陥となる場合がある。もう1つは析出するオリゴマーのサイズが大きくなると、輝点として欠点のように見えてしまうことである。特に、積層膜の上に更に別の層が設けられている場合では、オリゴマーが揮発する逃げ場がないため、析出するオリゴマーの全てが輝点状の欠点として見えてしまう可能性がある。このため、オリゴマーの析出防止を徹底的に抑え込むことも重要である。
この加熱時のオリゴマー析出の抑制を試みた公知例は数多く存在するが、それらは2種に大別できる。1つは基材フィルムを改良する方法であり、基材ポリエステルの重合方法の改良や、基材フィルムを多層化させて表面層をオリゴマーブロック層とする方法等が挙げられる。ただし、これらの手法は高透明性や低ヘーズに大きな影響を与えるため、光学用途としては採用できない場合があった。オリゴマー析出防止を担う部分が基材部であるため、厚みが厚すぎてフィルム全体の光学特性に大きな影響を与えてしまう。
もう1つの手法は、コーティングなどで表面に積層膜を設け、その積層膜にオリゴマーの析出を防止する機能を持たせることであり、こちらの方法が光学フィルムとして好適であった。このような方法の公知例として、積層膜にポリエステル系化合物とイソシアネート系化合物との2液反応樹脂を用いる方法(特許文献1)、積層膜にポリビニルアルコールを10〜100重量%含有する方法(特許文献2)、積層膜にガラス転移点が−20℃以上60℃未満のポリエステル樹脂を用いる方法(特許文献3)、四級アンモニウム塩含有ポリマーと熱硬化性樹脂の併用する方法(特許文献4)等がある。
また、光学用途に使用するフィルムの公知例としては重合性の金属含有化合物(シランカップリング剤)、ガラス転移温度(Tg)の高い芳香族ポリマー、極性基を有する鎖状高分子等を塗布する方法(特許文献5)等がある。
特開平6−328646号公報 特開2000−289168号公報 特開2000−272070号公報 特開2011−93273号公報 特開昭61−162337号公報
本発明者等の詳細な検討によれば、前記特許文献1〜4に記載されているような方法では室温(20℃)付近においてヘーズ上昇やオリゴマー総量を抑えることはできるものの、高温、例えば170℃以上の環境下におかれた場合、これらを抑え込むには限界があることがわかった。
また、前記特許文献5においても積層膜を施すことでオリゴマー防止ができることが記載されてはいるものの、積層膜の具体例は何ら示されてはいない。また、特許文献5においては水系塗料ではなく有機溶剤系塗料を用いた積層膜であるため、インラインコートに適用することが困難である(「インラインコート」とは、フィルムの製造工程の途中にコーティングを行う方法であり、芳香族ポリエステルフィルムの二軸延伸フィルムの製造工程の途中(通常は縦延伸した直後)の段階で、水系塗料をコーティングし、さらにその後に横延伸し、塗膜を表面に積層した芳香族ポリエステルの二軸延伸フィルムを得るプロセスとして広く実用化されている方法である。有機溶剤系塗料を用いると、横延伸工程の前に、溶剤乾燥工程を入れる必要があり、製造ラインの大幅改造が必要であり、大きなコストアップとなるため、水系塗料に実質的に限定される)。すなわち、オフラインコート(「オフラインコート」とは、フィルム製造後に、フィルム製造ラインとは別のラインでコーティングを行う方法であり、芳香族ポリエステルフィルムにおいては、二軸延伸フィルムを製造した後にコーティングする方法を指す。)にしか適用できず、製造工程上の制限がある。
本発明の目的は、加熱加工時のオリゴマーの表面析出を抑え、ヘーズ上昇を抑制することができ、また、コーティング層と芳香族ポリエステルとの層との層間密着性に優れ、各種光学用途に好適な積層体を提供することにある。
本発明は上記課題を解決するべく鋭意検討した結果なされたものである。即ち、本発明の要旨は以下の[1]〜[9]に存する。
[1] 下記層(A)及び層(B)からなる積層体。
層(A):芳香族ポリエステルからなる層
層(B):水溶性樹脂(B−1)、熱硬化性架橋剤(B−2)及び層状ケイ酸塩鉱物(B−3)を含む硬化性樹脂組成物からなる層
[2] 前記水溶性樹脂(B−1)として、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はカルボキシメチルセルロース系樹脂を含む、[1]に記載の積層体。
[3] 前記熱硬化性架橋剤(B−2)として、メラミン化合物、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン樹脂及びイソシアナートからなる群のうちの少なくとも1つを含む、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 前記熱硬化性架橋剤(B−2)として、メラミン化合物、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン樹脂及びイソシアナートからなる群のうちの少なくとも1つと、有機酸触媒、有機塩基触媒及び有機金属触媒からなる群のうちの少なくとも1つとを含む、[1]又は[2]に記載の積層体。
[5] 前記層状ケイ酸塩鉱物(B−3)として、スメクタイト及び/又は雲母を含む、[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の積層体。
[6] 層(B)の硬化性樹脂組成物が、水溶性樹脂(B−1)、熱硬化性架橋剤(B−2)及び層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の合計量に対し、水溶性樹脂(B−1)20〜80重量%、熱硬化性架橋剤(B−2)5〜70重量%、層状ケイ酸塩鉱物(B−3)2〜60重量%である、[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の積層体。
[7] 前記層(A)の芳香族ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレートを含む、[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の積層体。
[8] 前記層(A)の厚みが10〜250μm、前記層(B)の厚みが5〜2000nmである、[1]乃至[7]のいずれか1つに記載の積層体。
[9] 前記層(B)の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる、[1]乃至[8]のいずれか1つに記載の積層体。
本発明の積層体は、150℃を超える高温に加熱してもオリゴマーの析出が少なく、ヘーズの上昇を顕著に抑制することができ、また、層間の密着性にも優れたものである。また、本発明の積層体は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、これらを用いたタッチパネル等の光学用途に好適である。
以下に本発明の実施形態を詳細に説明するが、以下の説明は本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本発明において、「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
〔積層体〕
本発明の積層体は、下記層(A)及び層(B)からなる。
層(A):芳香族ポリエステルからなる層
層(B):水溶性樹脂(B−1)、熱硬化性架橋剤(B−2)及び層状ケイ酸塩鉱物(B−3)を含む硬化性樹脂組成物からなる層
本発明は、高温下においてもヘーズの上昇が抑制され、また、芳香族ポリエステル中のオリゴマー析出を抑制することができ、また、層間の密着性にも優れるという効果を奏するが、その理由は、以下のように推定される。まず、本発明の積層体は、層(A)の芳香族ポリエステルが強度、弾性率、伸び、長期使用特性、光学特性等のバランスに優れるが、芳香族ポリエステルの欠点である加熱時のオリゴマー析出を防止するため、層(B)が設けられている。
層(B)の硬化性樹脂組成物において、水溶性樹脂(B−1)は、造膜性を有し、層(A)表面から析出するオリゴマーの抑制効果をある程度有する上、他成分との相溶性に優れており、均質な硬化膜を得るのに寄与する。また、熱硬化性架橋剤(B−2)は、水溶性樹脂(B−1)とともに熱で架橋構造を生成し、塗膜の耐水性や架橋度を増し、層(A)表面から析出するオリゴマーの抑制効果向上に寄与し、また、層(A)の芳香族ポリエステルに対する密着性向上も同時にもたらす。そして、層状ケイ酸塩鉱物(B−3)は層(A)表面から析出するオリゴマーの抑制効果が高く、かつ塗布時に配向するため、層状
構造による物理的バリア効果、ケイ酸塩によるオリゴマー吸着やオリゴマー吸収によるバリア効果の相乗効果で層(A)表面から析出するオリゴマーの抑制効果を有する。また、層状ケイ酸塩鉱物(B−3)それ自体、層(A)の芳香族ポリエステルに対する密着を発現しうる構造を有するが、単独では膜強度が低く、密着性が低い。しかし、層状ケイ酸塩鉱物(B−3)中に通常、シラノール基等として存在するOH基との間で水溶性樹脂(B−1)が水素結合、共有結合、イオン結合等を形成し、層状ケイ酸塩鉱物(B−3)が水溶性樹脂(B−1)の膜中に固定されると、膜としての強度が向上し、100℃以下の比較的低い熱処理温度でも、密着性を発現するようになる。更に、これに熱硬化性架橋剤(B−2)を加え、熱架橋することで、密着性が大幅に向上する。
層(B)はこれら組み合わせて用い、硬化膜とすることで、水溶性樹脂(B−1)や熱硬化性架橋剤(B−2)を単独で使用した場合に比べ、その硬化膜が均一で欠陥がなく、しかも熱硬化性架橋剤(B−2)による架橋により膜構造が緻密となる。更に、層(B)の塗布時に層状ケイ酸塩鉱物(B−3)が配向し、その性能を有効に発揮できる上、耐水性、耐熱性、層(A)への密着にも優れた層となる。その結果としてそれぞれの成分の加算効果以上の相乗効果で、極めて効率的に加熱時のオリゴマー析出を防止できるものと思われる。
[層(A)]
本発明における層(A)は芳香族ポリエステルからなる層である。
<芳香族ポリエステル>
層(A)に用いられる芳香族ポリエステルは、その構造中に芳香環を有するものであれば特に制限されず、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルである場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシ安息香酸など)等の1種又は2種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の1種又は2種以上が挙げられる。
本発明の層(A)に用いる芳香族ポリエステルでは、好ましいポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が例示される。特に、層(A)の芳香族ポリエステルは、エチレンテレフタレート単位が全エステル単位中に60モル%以上含まれることが好ましく、80モル%以上含まれることがより好ましい。
また、層(A)の芳香族ポリエステルは、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムのような芳香族ポリエステルフィルムであることが好ましい。また、芳香族ポリエステルフィルムの厚さとしては特に制限はなく、その使用目的により任意に選ぶことができるが、可視光線を十分に透過できる透明性があり、加熱による積層工程、ラミネート工程、熱成形工程、金属化合物等の蒸着工程、各種コーティング等の種々の工程に耐えうる耐熱性や機械強度、寸法安定性を有するものであることが好ましい。また、フィルムの厚みは、10μm以上であると熱的安定性及び機械的安定性の観点から好ましく、また、250μm以下であると、取り扱い性の観点で好ましい。
<その他の成分>
本発明における層(A)には前記の芳香族ポリエステルの他に、以下に例示されるような添加剤、易滑性付与粒子等のその他の成分を含んでいてもよい。また、本発明の効果を著しく阻害しない限り、層(A)に含まれる成分は以下に例示されるものに限定されるものではない。
(添加剤)
本発明の層(A)の芳香族ポリエステルに含むことのできる添加剤としては、次のようなものが挙げられる。例えば、従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料、紫外線吸収剤等が挙げられる。
(易滑性付与粒子)
本発明の層(A)において、芳香族ポリエステル中には、易滑性付与を主たる目的として易滑性付与粒子を配合することが好ましい。易滑性付与粒子としては特に制限されないが、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。その他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。更に、層(A)の芳香族ポリエステルを製造する工程において、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
<層(B)>
層(B)は、水溶性樹脂(B−1)、熱硬化性架橋剤(B−2)及び層状ケイ酸塩鉱物(B−3)を含む硬化性樹脂組成物からなる層である。
[水溶性樹脂(B−1)]
水溶性樹脂(B−1)としては水溶性を有するものであれば特に制限されないが、代表的なものを例示すると、以下の(a)〜(i)に代表されるようなものが挙げられる。水溶性樹脂(B−1)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC法)による数平均分子量は特に制限されないが、通常1,000以上であり、好ましくは3,000以上であり、より好ましくは5,000以上であり、一方、通常120,000以下であり、好ましくは100,000であり、より好ましくは80,000以下である。
(a)スルホテレフタル酸およびスルホイソフタル酸から選択されたカルボン酸のスルホ誘導体から誘導された水溶性コポリエステル
(b) 重量平均分子量が少なくとも3,000の線状または枝分れの水溶性アクリル樹

(c) アクリル酸、メタアクリル酸およびそれらの低級アルキルエステルの水溶性共重
合体
(d) セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びこ
れらの誘導体、アミロース、プルーラン、デンプン及びヒドロキシエチルセルロースから選択される多糖並びにセルロース材料のうち水溶性のもの
(f) ポリビニルアルコール及びその水溶性誘導体
(g) 水溶性脂肪族ウレタンまたは水溶性芳香族ウレタン
(h) エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニリデンジクロリド
(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)およびポリエチレンイミンポリマーの数平均分子量が3,000から100,000であるポリエチレンイミン、のうち水性のもの
(i) 水溶性メラミンホルムアルデヒド樹脂
以上に挙げたものの中でも熱硬化性架橋剤(B−2)との間で硬化反応を進行させる観点から、OH基、COOH基及びNH基のうちの少なくとも1つを有するものが好ましく、特に、熱硬化性架橋剤(B−2)との反応性と良好な水溶性とのバランスから、ポリビニルアルコール及びその誘導体(例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、カチオン化ポリビニルアルコール、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール等)等のポリビニルアルコール系樹脂;カルボキシメチルセルロース及びその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、カルボキシメチルセルロースのカリウム塩、カルボキシメチルセルロースの有機アミン塩等)等のカルボキシメチルセルロース系樹脂等が好ましい。
[熱硬化性架橋剤(B−2)]
熱硬化性架橋剤(B−2)は水溶性樹脂(B−1)との間で加熱により硬化反応するものであれば特に限定されないが、代表的なものを例示すると、以下の<1>と<2>とを組み合わせた組成物等が挙げられる。
<1>メラミン化合物、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン樹脂、イソシアナート、アジリジン、カルボジイミド、尿素ホルムアルデヒド、フェノール樹脂、シラノールおよび酸から選択された少なくとも1種の架橋剤と
<2>有機酸触媒、有機塩基触媒、有機金属触媒(ただし、有機金属触媒のうち、有機酸及び有機塩基触媒に該当するものを除く。)から選択された触媒
上記<1>の架橋剤と<2>の触媒の使用量は、<1>の架橋剤100重量部に対して<2>の触媒の使用量が好ましくは0.5〜40重量部であり、より好ましくは1〜30重量部である。上記下限値以上であると、架橋反応の反応速度の観点で好ましく、一方、上記上限値以下であると、硬化性樹脂組成物の保存安定性や硬化性樹脂組成物を塗膜とした際に均一な塗膜を得る観点から好ましい。
上記<1>の架橋剤は市販品として入手することができる。代表的な製品を例示すると、以下のようなものを挙げることができる。
・メラミン化合物、メラミンホルムアルデヒド樹脂:ベッカミンMA−S(DIC社製)、ニカラック(三和ケミカル社製)
・エポキシ樹脂:水系モデビクス300(荒川化学社製)
・オキサゾリン樹脂:エポクロスWS−500(日本触媒)
・イソシアナート:ブロック型デュラネート(旭化成社製)
・アジリジン:ケミタイト(日本触媒社製)
・カルボジイミド:カルボジライト(日清紡ケミカル社製)
・尿素ホルムアルデヒド:ベッカミンJ−300S(DIC社製)
・フェノール樹脂:TD−4304(DIC社製)
上記<2>の触媒の具体例としては以下のようなものが挙げられる。有機酸触媒としては、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、長鎖アルキルベンゼンスルホン酸(例えばドデシルベンゼンスルホン酸等)、スルファミン酸等の有機スルホン酸等が挙げられる。また、有機塩基触媒としては、アルキルアミン、アルキルジアミン、環状アルキルアミン、アルキルポリアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、イミダゾール、N−アルキル置換イミダゾール、核アルキル置換イミダゾール等が挙げられる(なお、ここでいう「アルキル」は通常、炭素数4以下のアルキル基である。)。更に、有機金属触媒としてはジアルキルスズジラウレート、モノアルキルジチオラート、ステアリン酸スズ化合物、オクチル酸スズ化合物、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、オクチル酸ジルコニウム化合物、チタンエチルアセトアセテート等が挙げられる。
上記<1>、<2>の熱硬化性架橋剤(B−2)と先述の水溶性樹脂(B−1)との組み合わせに関する特に好ましい態様を例示すると、以下のようなものが挙げられる。
熱硬化性架橋剤(B−2)としてメラミン化合物及び/又はメラミンホルムアルデヒド樹脂と、有機アミン系触媒との組成物を用い、また、これに水溶性樹脂(B−1)として、ポリビニルアルコール、カチオン化ポリビニルアルコール、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、カルボキシメチルセルロースの有機アミン塩等のOH基、COOH基及びNH基のうちの少なくとも1つとを有するものを組み合わせて使用する。これはメラミン同士の(加水分解)縮合による架橋反応、及び水溶性樹脂(B−1)中のOH基、COOH基及びNH基のうちの少なくとも1つとの縮合(加水分解縮合)による架橋反応が促進されるためである。
熱硬化性架橋剤(B−2)としてエポキシ樹脂と、有機酸触媒及び/又は有機塩基触媒との組成物を用い、また、これに水溶性樹脂(B−1)として、ポリビニルアルコール、カチオン化ポリビニルアルコール、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、カルボキシメチルセルロースの有機アミン塩等のOH基、COOH基及びNH基のうちの少なくとも1つを有するものとを組み合わせて使用する。これはエポキシ基と触媒とが反応することによる架橋反応、エポキシ基同士の反応による架橋反応、水溶性樹脂(B−1)中のOH基、COOH基、NH基との付加・縮合による架橋反応が促進されるためである。
熱硬化性架橋剤(B−2)としてオキサゾリン樹脂と有機酸系触媒及び/又は有機アミン系触媒との組成物を用い、また、これに水溶性樹脂(B−1)として、ポリビニルアルコール、カチオン化ポリビニルアルコール、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、カルボキシメチルセルロースの有機アミン塩等のOH基及びNH基のうちの少なくとも1つを有するものとを組み合わせて使用する。これはオキサゾリン基と触媒とが反応しての架橋、OH基及びNH基のうちの少なくとも1つを有するものとを組み合わせて使用し、これらの付加反応により架橋反応が促進されるためである。
熱硬化性架橋剤(B−2)としてイソシアネートと有機金属触媒との組成物を用い、また、これに水溶性樹脂(B−1)として、ポリビニルアルコール、カチオン化ポリビニルアルコール、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、カルボキシメチルセルロースの有機アミン塩等のOH基、COOH基及びNH基のうちの少なくとも1つを有するものを組み合わせて用いる。これはイソシアネート基と、水溶性樹脂(B−1)中のOH基、COOH基、NH基との付加による架橋反応が促進されるためである。
[層状ケイ酸塩鉱物(B−3)]
層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の好ましいものとしては、合成スメクタイト、天然スメクタイト等のスメクタイト;合成雲母、天然雲母等の雲母等が挙げられる。これらの中でもスメクタイトがより好ましく、着色の少なさ、不純物の少なさ等の理由から合成スメクタイトが特に好ましい。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
合成スメクタイトは、公知の方法(例えば、白水晴雄著「粘土鉱物学−粘土科学の基礎」朝倉書店、1988年、第98〜100頁)により合成することもできるし、また、市販品として入手することもできる。合成スメクタイトとしては特に、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成スティーブンサイトが好適に使用でき、市販品としては例えばコー
プケミカル社製合成スメクタイトSWN、SWF(合成ヘクトライト)、クニミネ工業社製合成無機高分子スメクトンSA(合成サポナイト)、ロックウッド(ROCKWOOD)社製合成珪酸塩LAPONITE(合成ヘクトライト)、水澤工業社製合成ケイ酸マグネシウム塩イオナイト(合成スティーブンサイト)等を挙げることができる。これらの中で特に好ましいのは、透明性、サイズの点でコープケミカル社製合成スメクタイトSWN、SWFである。
層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の数平均粒径は、好ましくは10〜3000nmであり、より好ましくは50〜1000nmである。なお、ここでいう層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の数平均粒径とは、溶媒中に分散させながら動的光散乱法により求めた数平均粒径を指す。動的光散乱法による数平均粒径は、例えば「粒子径計測技術」(粉体工学会編,1994年)の第169〜179頁を参照することにより求めることができる。具体的な測定装置としては、動的光散乱式粒径分布測定装置(例えば、堀場製作所社製,LB−550型)を挙げることができる。前記の動的光散乱法により求めた層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の数平均粒径は、本発明における樹脂中に分散された後の層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の数平均粒径と実質的に同じと考えることができる。
層状ケイ酸塩鉱物(B−3)のアスペクト比(Z)は、Z=L/aなる関係で示される。ここで、Lは分散媒中、動的光散乱法により求められる前記の数平均粒径であり、aは合成スメクタイトの単位厚みである。単位厚み(a)は、粉末X線回折法によって層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の回折ピークを測定して算出することができる値である。本発明で使用される層状ケイ酸塩鉱物(B−3)は、アスペクト比が10〜3000の範囲であり、50〜1000の範囲がさらに好ましい。アスペクト比が上記下限値以上であると、積層体をフィルム化したときに層状ケイ酸塩鉱物(B−3)がフィルムの面方向に配向しやすくなるという利点があり、一方、アスペクト比が上記上限値以下であると、積層体をフィルム化したときの透明性の観点から好ましい。
本発明の積層体をディスプレイ用途等に使用する場合、前記層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の単位厚み(a)が可視光の波長より十分小さいものであることが好ましい。なお、ここでいう可視光とは、波長が400〜800nmの範囲の光をいう。このような観点から、層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の単位厚みは1〜300nmの範囲が好ましく、5〜100nmの範囲がさらに好ましい。層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の単位厚みが上記下限値以上であると、透明フィルムの面方向の線膨張係数が十分小さくなる観点から好ましく、また、上記上限値以下であると、塗膜の白濁を抑えやすいために好ましい。
[硬化性樹脂組成物の配合組成]
層(B)の硬化性樹脂組成物は、水溶性樹脂(B−1)、熱硬化性架橋剤(B−2)及び層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の合計量に対し、水溶性樹脂(B−1)が好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%、更に好ましくは40〜60重量%である。水溶性樹脂(B−1)の配合量が上記下限値以上であると、層(B)を硬化させて得られる膜の造膜性が向上し、膜欠陥を生じにくくなるために好ましい。また、上記下限値以下であると層(A)表面からのオリゴマー抑制効果が向上する傾向にあるために好ましい。なお、ここでいう重量比率は溶媒を除いた固形分換算でのものである。
また、熱硬化性架橋剤(B−2)は、水溶性樹脂(B−1)、熱硬化性架橋剤(B−2)及び層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の合計量に対し、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは7〜65重量%、更に好ましくは10〜60重量%である。熱硬化性架橋剤(B−2)の配合量が上記下限値以上であると、層(B)の硬化度が高く、耐水性の観点、層(A)表面からのオリゴマー抑制効果向上の観点等から好ましい。一方、熱硬化性架橋剤(B−2)の配合量が上記上限値以下であると、層(B)を硬化させて得られる膜がもろ
くなりにくく、膜欠陥を生じにくくなる上、同時に層(A)表面からのオリゴマー抑制効果も向上する傾向にあるために好ましい。
更に、層状ケイ酸塩鉱物(B−3)は、水溶性樹脂(B−1)、熱硬化性架橋剤(B−2)及び層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の合計量に対し、好ましくは2〜60重量%、より好ましくは4〜50重量%、更に好ましくは5〜40重量%である。層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の配合量が上記下限値以上であると、層(A)表面からのオリゴマー抑制効果の観点から好ましい。一方、層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の配合量が上記上限値以下であると、膜がもろくなりにくく、膜欠陥を生じにくくなる上、同時に層(A)表面からのオリゴマー抑制効果も向上する傾向にあるために好ましい。
[その他の成分]
本発明における層(B)の硬化性樹脂組成物には、前記水溶性樹脂(B−1)、熱硬化性架橋剤(B−2)及び層状ケイ酸塩鉱物(B−3)以外に必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。
(水及び/又は低級アルコール)
水溶性樹脂(B−1)、熱硬化性架橋剤(B−2)及び層状ケイ酸塩鉱物(B−3)を均一に混合するために媒体として、水や低級アルコール(炭素数4以下のアルコール)を含むことが好ましい。水と低級アルコールは組み合わせて用いてもよく、例えば、水と低級アルコールの合計量に対して40重量%以下を低級アルコールとしてもよい。水及び/又は低級アルコールの使用量は、水溶性樹脂(B−1)、熱硬化性架橋剤(B−2)及び層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の合計100重量部に対して、通常、200〜50000重量部、好ましくは500〜25000重量部、より好ましくは1000〜10000重量部である。なお、水及び/又は低級アルコールは、通常、最終的に形成される層(B)には実質的に含まれないが、層形成プロセスにおいて含まれることが好ましい。また、低級アルコールの好ましいものとしては炭素数3以下の脂肪族アルコール、一分子中の炭素数が4以下であり、エーテル結合を有するアルコール等が挙げられる。
(添加剤)
また、層(B)の硬化性樹脂組成物において、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により添加剤を含有させることができる。このような添加剤の例としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、充填剤、帯電防止剤、有機顔料、スリップ剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、シランカップリング剤、消泡剤、酸化防止剤等が挙げられる。これらの添加剤は1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<その他の層>
本発明の積層体は、層(B)を層(A)の少なくとも片面に有するが、両面に有していてもよい。層(B)を層(A)の両面に形成する場合、それぞれの層(B)を構成する水溶性樹脂(B−1)、熱硬化性架橋剤(B−2)及び層状ケイ酸塩鉱物(B−3)のそれぞれの成分比が異なっていてもよいし、また、それぞれの厚みが異なっていてもよい。
一方、層(A)の片面に層(B)を有する場合、もう一方の面に別の層を有していてもよい。更に、層(B)の上にさらに別の層を有していてもよい。このような別の層としては特に制限されないが、例示すると、ハードコート膜層、粘着剤層、光拡散層、ITOなどの導電膜層、反射防止膜層、帯電防止膜層、ブロッキング防止層、ガスバリア層、水蒸気バリア層等を挙げることができる。
<積層体の厚み>
本発明の積層体は、層(A)の厚みが好ましくは10〜250μm、より好ましくは4
0〜200μmである。層(A)の厚みが上記下限値以上であると、積層体強度、および硬度向上の観点から好ましい。また、層(A)の厚みが上記上限値以下であると、積層体を巻き物にする際の取扱い性向上の観点から好ましい。
本発明の積層体は、層(B)の厚みが好ましくは5〜2000nm、より好ましくは10〜1000nm、更に好ましくは30〜800nmである。層(B)の厚みが上記下限値以上であると、層(A)表面からのオリゴマー抑制効果の観点から好ましい。また、上記上限値以下であると、積層体の硬さや伸び等が向上する傾向にあるために好ましい。
また、本発明の積層体は、層(A)及び層(B)、また、必要に応じて積層されるその他の層を含めた総厚みが、好ましくは10〜250μm、より好ましくは40〜200μmである。総厚みが上記下限値以上であると、積層体強度、および硬度向上(巻き物にする際に割れにくく、かつ皺が寄りにくいこと)等の観点から好ましい。また、総厚みが上記上限値以下であると、積層体を巻き物にする際の取扱い性の向上(均一に巻き取りやすいこと等)の観点から好ましい。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体を製造する方法は特に制限されないが、例えば、層(A)として芳香族ポリエステルフィルムを用い、これを基材として層(B)をその片面又は両面に積層膜として積層する方法が挙げられる。層(B)の積層膜を設けるための好ましい方法としては、例えば以下の(1)、(2)が挙げられる。
(1)層(A)の芳香族ポリエステルフィルムの製造工程中に層(B)を設け、フィルムと共に延伸する方法
(2)層(A)の芳香族ポリエステルフィルム製造後、塗布方法で塗膜として層(B)を設け、乾燥工程で媒体である水及び/又はアルコールを除去する方法
層(A)として芳香族ポリエステルのフィルムを基材として用いる場合、このフィルム基材上への塗布の方法は各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。またコーティング膜の塗布の均一性や接着性を考慮して、表面にコロナ放電を施しても構わない。
媒体である水及び/またはアルコールの除去のための乾燥は、通常、40℃〜120℃、好ましくは50〜100℃である。上記下限値以上であることが十分な乾燥を行う観点から好ましい。また、上記上限値以下であると、気泡等の塗膜欠陥を防ぐ観点、均一な塗膜を得る観点等から好ましい。
層(B)の硬化性樹脂組成物は各成分を混合した後、硬化させることが好ましい。このときの層(B)の形状は特に制限されないが、硬化膜の形状とすることが好ましい。層(B)を硬化させる際の硬化反応は、加熱により進行させることが可能であり、好ましくは120〜180℃、より好ましくは130〜160℃で、通常、5〜30分間行う。硬化反応の反応温度が上記下限値以上であると硬化反応を十分に進行させる観点で好ましく、一方、上記上限値以下であると、硬化反応前での層(A)表面からのオリゴマー析出を抑制する観点から好ましい。
<用途>
本発明の積層体は、加熱時のオリゴマー析出が顕著に抑えられており、加熱処理を行ってもヘーズの上昇が抑えられるため、従来、芳香族ポリエステルフィルムを用いる各種用途、特に後で加熱処理工程を有する用途や高温で使用する用途の中でも、透明性の維持が要求される用途、において好適に使用できる。本発明の積層体は、とりわけ、ディスプレ
イ関連用途(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、これらを用いたタッチパネル等)の各種光学フィルム、LED照明や太陽電池用途でポリエステルフィルムが用いられる
用途、工業用離型フィルム用途、転写箔用途等、透明性が重要な用途や芳香族ポリエステル中のオリゴマー等の異物生成を抑制することが好まれる用途に好適である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。以下において、特に指定しない限り、「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
〔製造例〕
[水溶性樹脂(B−1)]
(製造例1:(B−1a)の製造)
1000mlのセパラブル丸底フラスコに純水720g、ポリビニルアルコール(キシダ化学(株)製 ケン化度86.5〜89モル%(平均88モル%)、重合度500)を80g添加し、20〜30℃で液が完全に均一になるまで撹拌した。固形分濃度は10重量%であった(B−1a)。ここで、固形分濃度は、液1gをアルミカップに測りとり、80℃にて3時間真空乾燥した後の残存固形物量(3点の平均値)を固形分濃度として測定した。
(製造例2:(B−1b)の製造)
1000mlのセパラブル丸底フラスコに純水760g、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(Na含量6.5〜8.5重量%、和光純薬(株)製)を40g添加し、20〜30℃で液が完全に均一になるまで撹拌した。固形分濃度は5重量%であった(B−1b)。
[熱硬化性樹脂(B−2)]
(製造例3:(B−2a)の製造)
500mlのセパラブル丸底フラスコにメラミン化合物(低ホルムアルデヒドタイプのメラミン樹脂であるベッカミンMA−S(DIC(株)製、固形分濃度重量70%の水溶液))200g、メラミン化合物の有機アミン系の潜在性硬化触媒(キャタリスト376(ベッカミンMA−S用の触媒、DIC(株)製、濃度重量100%)40gを加え、20℃で撹拌し、均一水溶液を得た。固形分濃度は75重量%であった(B−2a)。
(製造例4:(B−2b)の製造)
500mlのセパラブル丸底フラスコにメラミン化合物(低ホルムアルデヒドタイプのメラミン樹脂であるベッカミンMA−S(DIC(株)製、固形分濃度70重量%))180g、メラミン化合物の有機アミン系の潜在性硬化触媒(キャタリスト376(ベッカミンMA−S用の触媒、DIC(株)製、濃度100重量%)36g、エポクロスWS−500(オキサゾリン基含有ポリマー、水と1−メトキシ−2−プロパノールの混合溶媒の40重量%溶液、日本触媒(株)製)を20g加え、20℃で撹拌し、均一水溶液を得た。固形分濃度は72重量%であった(B−2b)。
[層状ケイ酸塩鉱物(B−3)]
(製造例5:(B−3a)の製造)
1000mlのセパラブル丸底フラスコに水780g、ルーセンタイトSWF(合成スメクタイト)を20g添加し、20〜30℃で液が完全に均一になるまで撹拌した。固形分濃度は2.5重量%であった(B−3a)。
〔実施例・比較例〕
[実施例1]
(硬化性樹脂組成物(B1)の製造)
500mlのセパラブル丸底フラスコに、(B−1a)80g、(B−3a)80g、純水40gを加え、20℃で均一になるまで撹拌した(計算固形分量10g)。次に(B−2b)を5g(計算固形分量3.60g)を加え、20℃で30分撹拌し、硬化性樹脂組成物(B1)を得た。この硬化性樹脂組成物は[水溶性樹脂(B−1)の重量]/[熱硬化性架橋剤(B−2)の重量]/[層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の重量]=58.8/26.5/14.7(溶媒を除いたそれぞれの固形分の重量比であり、表−1中、「(B−1)/(B−2)/(B−3)」と略記する。)となるように配合した。
(積層体の製造と熱処理)
芳香族ポリエステルフィルム(二軸延伸PETフィルム、膜厚75μm、表面未処理、三菱樹脂(株)製ダイアホイルS−75)の片面に硬化性樹脂組成物(B1)を乾燥後の膜厚が100nmになるように塗布し、熱風乾燥機により80℃で2分間乾燥した。次いで裏面にも同様の層を設け、両面に未硬化層を有する積層体を得た(L1−0)。次に、この積層体を150℃の熱風乾燥炉に入れ、150℃で5分維持し、硬化性樹脂組成物(B1)の硬化物からなる膜厚100nmの層をPET層(A)の両面に有するフィルム積層体(L1−1)を得た。
このフィルムの一部を、10cm角に切り、熱風乾燥炉で160〜170℃で2分、更に170℃で5分加熱し、170℃熱処理フィルム積層体(L1−2)を得た。また、このフィルムの別の一部を10cm角に切り、熱風乾燥機で175〜185℃で2分加熱し、更に185℃で5分加熱して185℃熱処理フィルム積層体(L1−3)を得た。
[実施例2〜4、比較例1〜5]
表−1に示すように、水溶性樹脂(B−1)、熱硬化性架橋剤(B−2)、層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の種類と量を変え、硬化性樹脂組成物(B2)〜(B4)を得た。これらのそれぞれを、実施例1と同様の膜厚で塗布し、硬化してフィルム状の積層体を得た。またそれぞれの積層体を実施例1と同様に熱処理を行い、熱処理フィルムの積層体を得た(実施例2、比較例1〜2)。また、層(B)の膜厚を500nmに変えた他は同様の塗布、硬化、熱処理を行い、フィルム積層体を得た(実施例3〜4、比較例3〜4)。また層(B)を設けない場合の熱処理フィルムを得た(比較例5)。それぞれ得られた積層体の層(B)の構成、膜厚等について表−2にまとめた。表−3にさらに得られた積層体の物性(ヘーズ、密着性、オリゴマー析出状態)に関する結果を示した。
〔評価方法〕
以上で得られた積層体の評価方法は以下のとおりである。
・ヘーズ(曇り価):
JIS K7105に従って、各積層体のヘーズ値(H%)を求めた。この値が小さい程、透明性が高い。
・密着性:
JIS K5600に準じ、碁盤目試験により初期密着性を下記の基準で評価した(隙間
間隔1mm)。
○:残ったマス目数が100
△:残ったマス目数が90〜99
×:残ったマス目数が0〜89
・オリゴマー析出状態:
目視及び顕微鏡観察でオリゴマー析出の有無を確認した。以下の基準で評価した。
◎:目視ではオリゴマー析出なし、光学顕微鏡観察(倍率:100倍)でもなし
○:目視ではオリゴマー析出なし、光学顕微鏡観察(倍率:100倍)では0.1〜10μmサイズのオリゴマーを確認
△:目視で部分的(面積の20%以下)にオリゴマー析出を確認
×:目視で20%以上の面にオリゴマー析出を確認
Figure 2015009447
Figure 2015009447
Figure 2015009447
〔評価結果〕
比較例5に比較して比較例1〜比較例4の層状ケイ酸塩鉱物(B−3)を含まない層(B)を設けた積層体でも、厚く塗れば(500nm)、170℃熱処理までは耐えうる場合があったが、185℃熱処理では、オリゴマー析出が避けられなかった。一方、本発明に該当する実施例1〜4はヘーズ変化で判定したオリゴマー析出が、薄膜(100nm)塗布時、厚膜(500nm)塗布時の両方において抑制されており、ヘーズ差でみた場合では大きな差がない場合であっても、オリゴマー析出は抑制されている。即ち、層(B)の硬化性樹脂組成物における層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の有無によりヘーズの上昇、オリゴマー析出が抑制されることが明確に示されている。
本発明の積層体は、加熱時のオリゴマー析出が顕著に抑えられており、加熱処理を行ってもヘーズの上昇が抑えられるため、従来、芳香族ポリエステルフィルムを用いる各種用途、特に後で加熱処理工程を有する用途や高温で使用する用途の中でも、透明性の維持が要求される用途において好適に使用できる。本発明の積層体は、とりわけ、ディスプレイ関連用途(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、これらを用いたタッチパネル等)
の各種光学フィルム、LED照明や太陽電池用途でポリエステルフィルムが用いられる用途、工業用離型フィルム用途、転写箔用途等、透明性が重要な用途や芳香族ポリエステル中のオリゴマー等の異物生成を抑制することが好まれる用途に好適である。

Claims (9)

  1. 下記層(A)及び層(B)からなる積層体。
    層(A):芳香族ポリエステルからなる層
    層(B):水溶性樹脂(B−1)、熱硬化性架橋剤(B−2)及び層状ケイ酸塩鉱物(B−3)を含む硬化性樹脂組成物からなる層
  2. 前記水溶性樹脂(B−1)として、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はカルボキシメチルセルロース系樹脂を含む、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記熱硬化性架橋剤(B−2)として、メラミン化合物、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン樹脂及びイソシアナートからなる群のうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記熱硬化性架橋剤(B−2)として、メラミン化合物、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン樹脂及びイソシアナートからなる群のうちの少なくとも1つと、有機酸触媒、有機塩基触媒及び有機金属触媒からなる群のうちの少なくとも1つとを含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  5. 前記層状ケイ酸塩鉱物(B−3)として、スメクタイト及び/又は雲母を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 層(B)の硬化性樹脂組成物が、水溶性樹脂(B−1)、熱硬化性架橋剤(B−2)及び層状ケイ酸塩鉱物(B−3)の合計量に対し、水溶性樹脂(B−1)20〜80重量%、熱硬化性架橋剤(B−2)5〜70重量%、層状ケイ酸塩鉱物(B−3)2〜60重量%である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記層(A)の芳香族ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記層(A)の厚みが10〜250μm、前記層(B)の厚みが5〜2000nmである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記層(B)の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の積層体。
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