JP2024076726A - 積層体及び成形容器 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024076726000001
【課題】優れたガスバリア性と成形性とを備えながらも、リサイクル性に適した積層体及びこれを用いた成形容器を提供する。
【解決手段】本発明の積層体11は、基材フィルム12と、基材フィルム12の少なくとも一方の面に剥離可能に設けられたバリア層13及び保護層14と、を備え、バリア層13が、水溶性又はアルカリ可溶性を有する樹脂を含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層体及び成形容器に関する。
食品、日用品及び医薬品等の包装に用いられるフィルムには、酸素又は水蒸気による内容物の変質又は劣化を抑制するために、高度なガスバリア性が求められる場合がある。ガスバリア性を備えるフィルムとして、基材フィルムに、真空蒸着又はスパッタ等により酸化珪素又は酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成した積層フィルムが知られている。このような蒸着膜を備える積層フィルムは、深絞り成形といった加工をする際に、蒸着膜が損傷を受けたり剥離したりすることがあるため、フィルムやシートを容器等の最終形態に加工した後に蒸着膜を形成する必要があった。
一方、ガスバリア性を備える積層体として、ガスバリア性樹脂を用いた積層体も知られている。例えば、特許文献1には、酸素吸収性樹脂層の内側にガスバリア性樹脂層および熱可塑性樹脂層がそれぞれ積層されているガスバリア性多層フィルムが提案されている。該ガスバリア性多層フィルムにおけるガスバリア性樹脂層は、例えば、エチレン成分を44モル%以下含有するエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物からなる。また、特許文献2には、ガスバリア性に優れたシートとして、ビニルアルコール成分を含む共重合体を主成分樹脂として含有するガスアリア層を備えたシートが記載されている。
特開2010-234718号公報 特開2020-183117号公報
ところで、近年、二酸化炭素排出削減等の環境負荷低減を目的として、使用済みプラスチック製容器のリサイクルが行われている。リサイクルは、同種の材料にて行う必要があるため、例えば、使用済みペットボトルをリサイクルする場合に、回収されたペットボトルは、ラベル、キャップ及びボトル本体に分別する必要がある。
しかしながら、特許文献1に記載のガスバリア性多層フィルム及び特許文献2に記載のシートは、異種の材料が積層された積層体であり、且つ各層間で剥離することが困難であることから、リサイクルには適していなかった。
従って、本発明の目的は、優れたガスバリア性と成形性とを備えながらも、リサイクル性に適した積層体を提供することである。また、本発明の別の目的は、該積層体を使用して製造した、成形容器を提供することである。
本発明は、基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の面に剥離可能に設けられたバリア層及び保護層と、を備えた積層体であって、
前記バリア層が、水溶性又はアルカリ可溶性を有する樹脂を含む、積層体である。
本発明による積層体において、前記バリア層が、ポリビニルアルコール系樹脂を含んでもよい。
本発明による積層体において、前記バリア層が、カルボキシ基含有樹脂を更に含んでもよい。
本発明による積層体において、前記基材フィルムの厚さが、10μm以上500μm以下であってもよい。
本発明による積層体において、前記基材フィルムが、無延伸フィルムであってもよい。
本発明による積層体において、前記保護層が、共重合ポリエステルを含んでもよい。
本発明による積層体において、前記保護層の厚さが、0.5μm以上1000.0μm以下であってもよい。
本発明は、前記積層体からなる成形容器であって、前記保護層が外側に配置される、成形容器である。
本発明は、優れたガスバリア性と成形性とを備えながらも、リサイクル性に適した積層体を提供できる。
また、本発明は、該積層体を使用して製造した、成形容器を提供できる。
本発明の積層体の一実施形態を示した概略断面図である。 本発明の成形容器の一実施形態を示した正面図である。
以下、本発明の積層体の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明の積層体11は、基材フィルム12と、基材フィルム12の少なくとも一方の面に剥離可能に設けられたバリア層13及び保護層14と、を備える。例えば、図1に示すように、基材フィルム12の一方の面にバリア層13及び保護層14が剥離可能に設けられている。あるいは、基材フィルム12の両方の面にバリア層13及び保護層14が剥離可能に設けられている(図示せず)。剥離可能とは、使用済みの積層体において、基材フィルム12からバリア層13及び保護層14を容易に剥がすことができることをいう。
以下、本発明の積層体を構成する各層について詳細に説明する。
[基材フィルム]
基材フィルムは、積層体及び成形容器の形態を維持できるものであり、例えば、熱可塑性樹脂から構成される。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。中でも、PE、PP及びPETから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
基材フィルムは、単層でも、2層以上の多層でもよい。また、基材フィルムが多層である場合には、各層が、同一の組成でも、異なる組成でもよい。
基材フィルムは、本発明の特性を損なわない範囲において、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、分散剤、紫外線吸収剤及び着色顔料等が挙げられる。これらの添加剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
隣接する層とのラミネート性向上のため、基材フィルムの表面には、コロナ処理やプラズマ処置等の表面処理が施されていることが好ましい。
基材フィルムの厚さは、成形性の観点から、10μm以500μm以下であることが好ましく、30μm以上400μm以下であることがより好ましく、50μm以上300μm以下であることが更に好ましい。
基材フィルムの厚さとは、基材フィルムが最も薄くなる箇所の厚さを意味する。基材フィルムが多層である場合、基材フィルムの厚さは、全ての層の厚さの合計である。
基材フィルムは、無延伸フィルムでも、一軸延伸フィルムでも、二軸延伸フィルムでもよいが、無延伸フィルムであることが好ましい。無延伸フィルムは、延伸処理を施していない分、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムと比較して、延伸する余地が十分に残っている。そのため、成形の際に延伸しやすく、成形加工を容易に行うことができる。特に、絞り高さの高い深絞り成形を容易に行うことができる。
なお、基材フィルムには市販のフィルムを使用してもよい。
無延伸フィルムである基材フィルムは、押出法、カレンダー法、キャスティング法等の、延伸工程を含まない公知の方法により作製できる。ここで、基材フィルムの製造工程中又は製造工程後の巻き取り工程において、フィルムが引っ張られ、場合によっては僅かに延伸することがあるが、これは「延伸」には含まない。言い換えると、フィルムを適切に巻き取るために不可避の延伸が生じたとしても、実質的な延伸工程を含んでいない限り、その工程で製造された基材フィルムは、「無延伸」の基材フィルムに含まれる。
[バリア層]
バリア層とは、ガスバリア性を有する層である。このようなバリア層を備える積層体は、酸素又は水蒸気の透過を抑制できるため、該積層体を使用した容器は内容物の変質又は劣化を抑制できる。
本発明の積層体において、バリア層は、水溶性又はアルカリ可溶性を有する。これにより、リサイクル性に優れる積層体とすることができる。その理由は以下の通りである。
使用済みの積層体のリサイクルでは、まず、容器を粉砕してフレーク状とし、次いで、水又はアルカリ溶液等の液体を使用して洗浄する。水溶性又はアルカリ可溶性を有するバリア層が基材フィルムと保護層との間に存在すると、この洗浄工程において、バリア層が溶解し、基材フィルムから保護層を剥離させて基材フィルムを分離できる。従って、このような積層体はリサイクル性に優れる。なお、バリア層は、水溶性及びアルカリ可溶性の両方を有する層であってもよい。
なお、本明細書において、「水溶性」とは、バリア層が、20℃の蒸留水に対して、3質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上溶解することを意味する。また、「アルカリ可溶性」とは、バリア層が、90℃の1.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液に対して、3質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上溶解することを意味する。
一実施形態において、バリア層は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」とも称する。)を含む。PVA系樹脂は、水溶性又はアルカリ可溶性を有する樹脂であると共に、凝集力が高いため、酸素又は水蒸気を遮断する効果が高い。バリア層がPVA系樹脂を含むことにより、水溶性又はアルカリ可溶性を有するバリア層とすることができると共に、積層体のガスバリア性を向上できる。
一実施形態において、バリア層は、カルボキシ基含有樹脂と、PVA系樹脂とを含む。バリア層がカルボキシ基含有樹脂を更に含むことにより、バリア層の水溶性又はアルカリ可溶性がより向上し、積層体のリサイクル性をより向上できる。更に、カルボキシ基含有樹脂のカルボキシ基が、PVA系樹脂の「-OH」又はバリア層の形成に使用される塗工液の溶媒(例えば、水及びヒドロキシ基を有する有機溶媒等)の「-OH」と、水素結合を形成し、塗工液の粘性が高くなる。これにより、少ない塗工回数でバリア層の厚さを厚くできるため、積層体の生産性を向上できる。
以下、PVA系樹脂及びカルボキシ基含有樹脂について説明する。
PVA系樹脂は、ポリマーの構造中にアルコール性ヒドロキシ基を含有する樹脂である。PVA系樹脂は、通常、ビニルエステル系重合体をケン化することにより得られるものである。
ビニルエステル系重合体は、通常、ビニルエステルモノマーを重合成分として重合することにより得られる。ビニルエステルモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリル酸ビニル、バーサチック酸ビニル及びモノクロロ酢酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル、並びに安息香酸ビニル等のアレーンカルボン酸ビニル(例えば、C7-12アレーンカルボン酸-ビニルエステル)等の芳香族カルボン酸ビニルエステル等が挙げられる。これらのモノマーは、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ビニルエステル系重合体は、他の重合性モノマー(ビニルエステルと共重合可能なモノマー)由来の単位を有していてもよい。他の重合性モノマーとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸アルキルエステル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有ビニルモノマー;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニルモノマー;イタコン酸アルキルエステル類等を挙げることができる。これらのモノマーは、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
PVA系樹脂は、ビニルアルコール単位の一部が、アセタール化、エーテル化、アセトアセチル化、カチオン化等の反応によって、変性されたものであってもよい。
PVA系樹脂の重合度は、好ましくは1000以上4000以下であり、より好ましくは1200以上3500以下であり、更に好ましくは1500以上3000以下である。
PVA系樹脂の平均重合度は、JIS K 6726:1994に準拠して測定できる。
PVA系樹脂のケン化度は、溶媒への溶解性や組成物の保管安定性が優れる等の観点から、好ましくは70.0モル%以上99.9モル%以下であり、より好ましくは90.0モル%以上99.5モル%以下であり、更に好ましくは95.0モル%以上99.5モル%以下である。
PVA系樹脂のケン化度は、JIS K 6726:1994に準拠して測定できる。
PVA系樹脂は、PVA系樹脂を4質量%となるように純水に溶かした際に、その水溶液の粘度が、好ましくは3mPa・s以上70mPa・s以下であり、より好ましくは50mPa・s以上68mPa・s以下であり、更に好ましくは54mPa・s以上66mPa・s以下である。なお、PVA系樹脂の水溶液の粘度は、JIS Z 8803:2011に準拠して、20℃の温度において測定できる。
PVA系樹脂は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
カルボキシ基含有樹脂は、既存のカルボキシ基含有樹脂を使用できる。既存のカルボキシ基含有樹脂とは、ポリマーの構造中にカルボキシ基を含有する樹脂の総称である。カルボキシ基含有樹脂は、カルボキシ基含有不飽和モノマーの単独重合体、カルボキシ基含有不飽和モノマーの共重合体、カルボキシ基含有不飽和モノマーと他の重合性モノマーとの共重合体、及び分子内にカルボキシ基を含有する多糖類(以下、「酸性多糖類」とも称する。)が挙げられる。これらのカルボキシ基含有樹脂は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
なお、カルボキシ基には、遊離のカルボキシ基のみならず、酸無水物基(具体的には、ジカルボン酸無水物基)も含まれる。酸無水物基は、部分的に開環してカルボキシ基となっていてもよい。カルボキシ基含有樹脂において、カルボキシ基の一部は、アルカリで中和されていてもよい。
カルボキシ基含有不飽和モノマーは、好ましくはα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸である。従って、カルボキシ基含有樹脂には、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸の単独重合体、2種以上のα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸の共重合体、及びα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸と他の重合性モノマーとの共重合体が含まれる。他の重合性モノマーとしては、エチレン性不飽和モノマー等が挙げられる。
α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物等が挙げられる。これらの酸は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸は、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸の1種又は2種以上から選択され、より好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸及びマレイン酸の1種又は2種以上から選択される。
α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能な他の重合性モノマー、特にエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、エチレン;プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン;酢酸ビニル等の飽和カルボン酸ビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸アルキルエステル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有ビニルモノマー;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニルモノマー;イタコン酸アルキルエステル類等を挙げることができる。これらのモノマーは、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
酸性多糖類としては、例えば、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン等の分子内にカルボキシ基を有する酸性多糖類等が挙げられる。これらの酸性多糖類は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。酸性多糖類をα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸の(共)重合体と組み合わせて使用できる。
本発明の積層体において、カルボキシ基含有樹脂が、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸とその他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体である場合には、その共重合体の組成は、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの組成を、好ましくは60モル%以上とし、より好ましくは80モル%以上とし、更に好ましくは90モル%以上とする。
カルボキシ基含有樹脂は、好ましくは、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸のみの重合によって得られる単独重合体又は共重合体である。ポリカルボン酸系重合体がα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸のみからなる(共)重合体の場合、カルボキシ基含有樹脂は、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸の1種又は2種以上から選択されるカルボン酸によって得られる単独重合体、共重合体、並びにそれらの2種以上の混合物であり、より好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸及びマレイン酸の1種又は2種以上から選択されるカルボン酸によって得られる単独重合体、共重合体、並びにそれらの2種以上の混合物である。
カルボキシ基含有樹脂は、好ましくは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びマレイン酸重合体の1種又は2種以上から選択される。カルボキシ基含有樹脂は、入手が比較的容易であると共に、リサイクル性及びガスバリア性の観点から、好ましくはポリアクリル酸である。
カルボキシ基含有樹脂の数平均分子量は、好ましくは2000以上10000000以下の範囲であり、より好ましくは5000以上1000000以下の範囲であり、更に好ましくは10000以上500000以下の範囲である。なお、数平均分子量は、定法に従いゲル濾過クロマトグラフィーにより算出される値を意味する。
バリア層において、PVA系樹脂の含有量は、バリア層に含まれる全成分に対して、好ましくは20質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上98質量%以下であり、更に好ましくは40質量%以上95質量%以下である。
PVA系樹脂の含有量を20質量%以上とすることにより、積層体のガスバリア性をより向上できる。PVA系樹脂の含有量を99質量%以下とすることにより、積層体のリサイクル性をより向上できる。
バリア層が、カルボキシ基含有樹脂とPVA系樹脂とを含む場合、カルボキシ基含有樹脂の含有量は、バリア層に含まれる全成分に対して、好ましくは1質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上70質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以上60質量%以下であり、特に好ましくは10質量%以上40質量%以下である。
カルボキシ基含有樹脂の含有量を1質量%以上とすることにより、積層体のリサイクル性をより向上できる。カルボキシ基含有樹脂の含有量を80質量%以下とすることにより、積層体のガスバリア性をより向上できる。
バリア層が、カルボキシ基含有樹脂とPVA系樹脂とを含む場合、PVA系樹脂に対するカルボキシ基含有樹脂の質量比(カルボキシ基含有樹脂/PVA系樹脂)は、1/20以上10/1以下であることが好ましく、1/15以上5/1以下であることがより好ましく、1/10以上2/1以下であることが更に好ましく、1/3以上2/3以下であることが特に好ましい。
上記質量比を1/20以上とすることにより、積層体のリサイクル性をより向上できる。上記質量比を10/1以下とすることにより、積層体のガスバリア性をより向上できる。なお、上記質量比は固形分比である。
バリア層は、本発明の特性を損なわない範囲において、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、酸素吸収剤、可塑剤、紫外線安定化剤、酸化防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤及びイオン交換剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
バリア層は、単層であっても、2層以上の多層であってもよい。また、バリア層が多層である場合には、各層が、同一の組成であっても、異なる組成であってもよい。
バリア層の厚さは、好ましくは0.1μm以上200μm以下であり、より好ましくは1μm以上50μm以下である。
バリア層の厚さとは、バリア層が最も薄くなる箇所の厚さを意味する。バリア層が多層である場合、バリア層の厚さは、全ての層の厚さの合計である。
バリア層は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、茶褐色、橙色、黒色、及び白色等の色に着色されていてもよく、更に透明であっても不透明であってもよい。バリア層が着色されていることにより、積層体を使用した容器は、外部から容器内に進入してくる光(例えば、日光)を吸収でき、容器の内容物の味及び色の変化を抑制できる。波長400nm以上500nm以下の可視光線を効果的に吸収できる観点から、バリア層は、好ましくは茶褐色又は橙色等に着色されている。バリア層の着色には、例えば、着色剤を使用できる。
[保護層]
保護層は、バリア層を保護するためのものである。積層体が保護層を有することにより、積層体の製造時及び使用時において、バリア層の破損や剥離等の物理的要因から、あるいは吸湿や溶解等の化学的要因から、バリア機能の劣化を抑制できる。
本発明の積層体において、保護層は共重合ポリエステルを含むことが好ましい。本明細書において、共重合ポリエステルとは、主たるジカルボン酸成分としてテレフタル酸と主たるジオール成分としてエチレングリコールとを重縮合したものであり、共重合成分として、テレフタル酸及びエチレングリコール以外のモノマーを含むものである。共重合ポリエステルを保護層の構成材料として使用することにより、積層体のリサイクル性をより向上させることができる。また、積層体をリサイクルする際に、仮に保護層の構成材料が基材フィルムに数%レベルで含まれていた場合であっても、得られる再生樹脂の変色が少なく、再生樹脂を用いた樹脂製品(リサイクル品)の品質を担保することができる。
好ましい共重合ポリエステルとしては、エチレングリコール以外のジオール成分が含まれるものであり、例えば、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール等の脂肪族ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジエタノール等の脂環式ジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族多価アルコール等のジオール成分が挙げられる。これらの中でも、ネオペンチルグリコール又はプロピレングリコールが好ましい。ジオール成分中のエチレングリコール成分以外の成分の割合は、本発明の特性を損なわなければ特に制限されるものではないが、50モル%以上であることが好ましい。
また、共重合ポリエステルは、主たるジカルボン酸成分としてテレフタル酸を含むものであるが、ジカルボン酸共重合成分として、イソフタル酸、ナフタレン-1,4-又は-2,6-ジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸等の脂肪族ジカルボン酸が含まれていてもよい。これらの中でも、本発明の効果の観点からは、イソフタル酸が好ましい。
保護層を構成する共重合ポリエステルは、重量平均分子量が1000超20000以下であることが好ましい。共重合ポリエステルの重量平均分子量(以下、Mwと表記する場合がある。)が1000以下であると、保護層にタックが発生して容器の取り扱い性が悪化する場合がある。また、Mwが20000を超えると、積層体をリサイクルして再生樹脂を得た際に透明性が低下し、再生樹脂から樹脂製品を製造した際に着色の問題が生じる場合がある。Mwの好ましい範囲は、10000以上18000以下である。なお、重量平均分子量は、定法に従いゲル濾過クロマトグラフィーにより算出される値を意味する。
一実施形態において、共重合ポリエステルは、ガラス転移温度(以下、Tgと表記する場合がある。)が35℃以上100℃以下であることが好ましい。上記したような共重合成分が含まれることにより、ポリエチレンテレフタレートよりもガラス転移温度が下がり、保護層の膜質等が向上する。一方、ガラス転移温度が低すぎると、耐熱性が劣ったり、リサイクル時に基材フィルムから保護層を剥離する際の取り扱い性が悪化したりする場合がある。好ましいガラス転移温度は、65℃以上90℃以下である。なお、ガラス転移温度は、定法に従い、示差走査熱量計を用いてガラス転移に伴う吸熱ピークの変曲点から算出された値を意味する。
保護層は、本発明の特性を損なわない範囲において、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、酸素吸収剤、可塑剤、紫外線安定化剤、酸化防止剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、及び着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
保護層は、単層でも、2層以上の多層でもよい。また、保護層が多層である場合には、各層が、同一の組成でも、異なる組成でもよい。
保護層の厚さは、好ましくは0.5μm以上1000.0μm以下であり、より好ましくは0.7μm以上500.0μm以下であり、更に好ましくは1.0μm以上130.0μm以下である。これにより、バリア層の耐劣化性をより向上できる。
保護層の厚さとは、保護層が最も薄くなる箇所の厚さを意味する。保護層が多層である場合、保護層の厚さは、全ての層の厚さの合計である。
保護層は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、茶褐色、橙色、黒色、及び白色等の色に着色されてもよく、更に透明でも不透明でもよい。保護層が着色されていることにより、バリア層を着色する場合と同様に、積層体を使用した容器は、外部から容器内に進入してくる光(例えば、日光)を吸収でき、容器の内容物の味及び色の変化を抑制できる。波長400nm以上500nm以下の可視光線を効果的に吸収できる観点から、保護層は、好ましくは茶褐色又は橙色等に着色されている。保護層の着色には、例えば、着色剤を使用できる。
[積層体の製造方法]
以下、本発明の積層体の製造方法の一例を説明する。
まず、従来公知の方法により、基材フィルム12となるフィルムを作製する。
次いで、バリア層13を構成する材料と、溶媒とを含むバリア層用塗工液を準備する。
次いで、バリア層用塗工液を基材フィルム12の一方の面に塗工して、塗工膜を形成する。
次いで、塗工膜を乾燥して溶媒を除去することにより、バリア層13を形成する。
次いで、保護層14を構成する材料と、溶媒とを含む保護層用塗工液を準備する。
次いで、保護層用塗工液をバリア層13の表面に塗工して、塗工膜を形成する。
次いで、塗工膜を乾燥して溶媒を除去することにより、保護層14を形成し、図1に示す積層体11を製造できる。
バリア層用塗工液に使用する溶媒は、バリア層を構成する材料を溶解又は乳化分散できるものである。溶媒としては、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール等のアルコール類;ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等の極性有機溶剤等が挙げられる。これらの溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
溶媒は、好ましくは、水、アルコール類、又はこれらの混合物を使用し、より好ましくは、水とイソプロピルアルコールとの混合溶媒を使用する。これにより、バリア層用塗工液の粘性が向上し、塗工回数を少なくすることが可能となるため、積層体の生産性を向上できる。
バリア層用塗工液において、バリア層を構成する材料の固形分の合計濃度は、好ましくは2質量%以上15質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上10質量%以下である。これにより、厚さの均一なバリア層を形成できる。
バリア層用塗工液の粘度は、好ましくは150mPa・s以上4000mPa・s以下であり、より好ましくは200mPa・s以上2500mPa・s以下である。これにより、積層体の生産性をより向上できる。
バリア層用塗工液の粘度は、JIS Z 8803:2011に準拠して、20℃の温度において、回転式粘度計を使用して測定できる。
バリア層用塗工液の塗工は、従来公知の方法により行うことができる。塗工方法は、例えば、刷毛等により塗布する方法、バリア層用塗工液に基材フィルムを浸漬する方法、基材フィルムの表面にバリア層用塗工液を噴霧する方法、グラビア印刷により基材フィルムの表面にバリア層用塗工液を塗布する方法等が挙げられる。
バリア層用塗工液から形成された塗工膜の乾燥温度は、溶媒を除去できる温度である。乾燥温度は、好ましくは20℃以上100℃以下であり、より好ましくは30℃以上80℃以下であり、更に好ましくは40℃以上70℃以下である。
保護層用塗工液に使用する溶媒は、保護層形成用材料を溶解、乳化分散できるものであれば特に限定されず、例えば、水、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸nプロピル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ヘキサン、へプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等を使用できる。これらの中でも、保護層形成用材料を良好に溶解又は乳化分散できることから、保護層用塗工液に使用する溶媒は、酢酸エチル、メチルエチルケトン又は酢酸エチルとメチルエチルケトンとの混合溶媒が好ましい。
保護層用塗工液の塗工は、従来公知の方法により行うことができる。塗工方法は、例えば、刷毛等により塗布する方法、表面にバリア層を形成した基材フィルムを保護層用塗工液に浸漬する方法、バリア層の表面に保護層用塗工液を噴霧する方法、グラビア印刷によりバリア層の表面に保護層用塗工液を塗布する方法等が挙げられる。
保護層用塗工液から形成された塗工膜の乾燥温度は、溶媒を除去できる温度である。乾燥温度は、好ましくは40℃以上80℃以下であり、より好ましくは50℃以上70℃以下である。
一実施形態による積層体の製造方法は、積層体の表面に、模様及び文字等の画像の印刷を施す工程を含んでもよい。
印刷は、公知の方法により行うことができる。印刷法としては、例えば、インクジェット法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、熱転写法、シルクスクリーン法、パッド法、ホットスタンプ法及びコールドスタンプ法等が挙げられる。例えば、インクジェット法により印刷を行う場合には、積層体にUV硬化型インクを塗布し、これにUV照射を行い、硬化することにより印刷を行う。また、熱転写シートを使用して印刷を施してもよい。
[成形容器]
本発明の成形容器は、本発明の積層体からなるものである。成形容器は、積層体を成形して製造することができ、その製造方法は特に限定されない。例えば、深絞り成形用金型に、空圧や真空等を利用して積層体を密着させて、所定の形状の成形容器を製造できる。
本発明の成形容器21は、図2に示すように、内容物側22と外側23とを有する。内容物側22とは、成形容器21に内容物を入れた場合に積層体11と内容物とが接する側のことである。また、外側23とは、内容物側22とは反対側のことである。
本発明の成形容器21においては、保護層14が外側23に配置されることが好ましい。かかる配置は、例えば、基材フィルム12の両方の面にバリア層13及び保護層14を備えた積層体11を用いることで実現できる。あるいは、基材フィルム12の一方の面にバリア層13及び保護層14を備えた積層体11を用いてもよい。かかる場合、基材フィルム12は内容物側22に配置される。
本発明の成形容器は、バリア性を要する様々な内容物を収容することができ、内容物は特に限定されない。例えば、成形容器は、食品、医薬品、医療器具等の包装容器として用いることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
基材フィルムとして、無延伸PETフィルム(厚さ:125μm)を準備した。
次いで、18.75gのポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:PVA-124、重合度:2400、ケン化度:98%以上99%以下)を、462.5gの水に加え、続いて18.75gのポリアクリル酸((株)日本触媒製、商品名:AS-58、数平均分子量:106000)を加えて撹拌し、固形分濃度が7.5質量%であるバリア層用塗工液(粘度:2032mPa・s(20℃))を調製した。このバリア層用塗工液を上記無延伸PETフィルムの一方の面に塗工して、塗工膜を形成し、塗工膜を50℃で10分間乾燥した。このようにしてバリア層を形成した。なお、ポリビニルアルコールに対するポリアクリル酸の質量比(固形分比)は1/1である。
次いで、バイロン200(ジオール共重合成分としてエチレングリコールとネオペンチルグリコールとを含み、ジカルボン酸共重合成分としてテレフタル酸とイソフタル酸とを含む共重合ポリエステル、Tg=67℃、Mw=17000、東洋紡(株)製)を、酢酸エチルとメチルエチルケトンの混合溶媒(1:1混合溶媒)に溶解し、保護層用塗工液を調製した。この保護層用塗工液を上記バリア層の表面に塗工して、塗工膜を形成し、塗工膜を50℃で10分間乾燥した。このようにして保護層を形成し、図1に示すような積層体を作製した。
バリア層の厚さは20μmであり、保護層の厚さは30μmであった。
[実施例2]
バリア層用塗工液におけるポリビニルアルコールとして、PVA-124の代わりにPVA-117(商品名、(株)クラレ製、重合度:1700、ケン化度:98%以上99%以下)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。
[実施例3]
バリア層用塗工液において、ポリビニルアルコールの使用量を25.0g、ポリアクリル酸の使用量を12.5gとしたこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。なお、ポリビニルアルコールに対するポリアクリル酸の質量比(固形分比)は1/2である。
[比較例1]
実施例1で使用した無延伸PETフィルムの一方の面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネート用接着剤を、グラビアロールコート法によりコーティングして、ラミネート用接着剤層(厚さ:乾燥状態で5.0g/m)を形成した。
次に、上記のラミネート用接着剤層の面に、バリア層としてエチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム((株)クラレ製、商品名:EF-CR、厚さ:15μm)を重ね合わせて、ドライラミネート積層した。
次に、上記でドライラミネート積層したエチレン-ビニルアルコール共重合体フィルムのコロナ処理面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネート用接着剤を、グラビアロールコート法によりコーティングして、ラミネート用接着剤層(厚さ:乾燥状態で5.0g/m)を形成した。
次に、上記のラミネート用接着剤層の面に、保護層として無延伸PETフィルム(厚さ:12μm)を重ね合わせて、ドライラミネート積層した。
このようにして、基材フィルムとバリア層と保護層とをドライラミネート法により貼り合わせることで、積層体を作製した。
[比較例2]
基材フィルムである無延伸PETフィルム(厚さ:125μm)上に、実機である、プラズマガンを備える誘導加熱式真空成膜装置を用いて、Roll to Rollにより、基材フィルムにテンションを与えながら、バリア層である酸化珪素(シリカ)蒸着膜を形成した(PVD法)。なお、蒸着膜形成条件は以下の通りとした。
(形成条件)
(プラズマ照射条件)
・ライン速度:30m/分
・真空度:1.7×10-2Pa
・出力:5.7kw
・加速電圧:151V
・Arガス流量:7.5sccm
(成膜条件)
・蒸着材料:SiO
・反応ガス:O
・反応ガス流量:100sccm
次に、上記の酸化珪素蒸着膜の面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネート用接着剤を、グラビアロールコート法によりコーティングして、ラミネート用接着剤層(厚さ:乾燥状態で5.0g/m)を形成した。
次に、上記のラミネート用接着剤層の面に、保護層として無延伸PETフィルム(厚さ:12μm)を重ね合わせて、ドライラミネート積層した。
このようにして、蒸着を施した基材フィルムと保護層とをドライラミネート法により貼り合わせることで、積層体を作製した。
<ガスバリア性評価>
上記実施例1~3並びに比較例1及び2で作製した積層体について、酸素透過度測定装置(モダンコントロール(MOCON)社製〔機種名:オクストラン(OX-TRAN)2/21〕)を用いて、酸素供給側が積層体の基材フィルム面となるようにセットし、23℃、40%RH雰囲気下の測定条件で、JIS K 7126-1:2006に準拠して、酸素透過度(cc/m・atm・day)を測定した。酸素透過度が小さいほど、積層体がガスバリア性に優れていることを表す。結果を表1に示す。
<深絞り成形性の評価>
上記実施例1~3並びに比較例1及び2で作製した積層体を用いて、以下の条件で深絞り成形を行い、金型に積層体を密着させることで、図2に示すような成形容器を作成した。その際、保護層が外側に配置され、且つ基材フィルムが内容物側に配置されるようにした。深絞り成形時の成形性を、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
・深絞り成形の条件
5.6MPa、10秒間、冷感成形(常温)。
・成形性の評価基準
○:深絞り成形時にバリア層に割れが発生しなかった。
×:深絞り成形時にバリア層に割れが発生した。
<リサイクル性の評価>
上記実施例1~3並びに比較例1及び2で作製した積層体を粉砕してフレーク状態にした後、90℃の1.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液にフレークを投入し、15分間撹拌した。その後、洗浄液からフレークを回収し、基材フィルムと保護層とが分離されているかを目視にて確認した。リサイクル性の評価基準は以下の通りとした。結果を表1に示す。
○:保護層が、基材フィルムからほぼ完全に剥離している。
×:保護層の一部が、基材フィルムから剥離している。
Figure 2024076726000002
上記表1からも明らかなように、本発明の積層体は、優れたガスバリア性と成形性とを備え、且つリサイクル性に適していることが分かる。
11:積層体
12:基材フィルム
13:バリア層
14:保護層
21:成形容器
22:内容物側
23:外側

Claims (8)

  1. 基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の面に剥離可能に設けられたバリア層及び保護層と、を備えた積層体であって、
    前記バリア層が、水溶性又はアルカリ可溶性を有する樹脂を含む、積層体。
  2. 前記バリア層が、ポリビニルアルコール系樹脂を含む、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記バリア層が、カルボキシ基含有樹脂を更に含む、請求項2に記載の積層体。
  4. 前記基材フィルムの厚さが、10μm以上500μm以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記基材フィルムが、無延伸フィルムである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記保護層が、共重合ポリエステルを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 前記保護層の厚さが、0.5μm以上1000.0μm以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層体。
  8. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層体からなる成形容器であって、
    前記保護層が外側に配置される、成形容器。
JP2022188419A 2022-11-25 積層体及び成形容器 Pending JP2024076726A (ja)

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